JPH05270957A - セラミックス焼結体 - Google Patents

セラミックス焼結体

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JPH05270957A
JPH05270957A JP6643092A JP6643092A JPH05270957A JP H05270957 A JPH05270957 A JP H05270957A JP 6643092 A JP6643092 A JP 6643092A JP 6643092 A JP6643092 A JP 6643092A JP H05270957 A JPH05270957 A JP H05270957A
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JP
Japan
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sialon
layer
alumina
sintered body
surface layer
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JP6643092A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Itsudo
康広 五戸
Takayuki Fukazawa
孝幸 深澤
Akihiko Tsuge
章彦 柘植
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/009After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
    • C04B41/52Multiple coating or impregnating multiple coating or impregnating with the same composition or with compositions only differing in the concentration of the constituents, is classified as single coating or impregnation

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  • Materials Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐酸化性および耐食性に優れ、かつ、高温にお
ける強度の低下を緩和したセラミックスを提供する。 【構成】表面にサイアロンを有する窒化ケイ素を基体
(52)とし、その基体の最表面には、アルミナからな
る最表面層(56)を有する、耐酸化性セラミッス焼結
体である。最表面層と基体との間には、サイアロンとア
ルミナの中間の物理的性質を有するムライトからなるバ
ッファー層(54)が存在する。また、各層は、組成を
徐々に変化させた界面層(52c、53、55)を介し
て接合している。前記バッファー層および各界面層が存
在することにより、焼結体の機械的性質に連続性をもた
せる。さらに、窒化ケイ素以外の層の厚さを、全体の1
5%以下とすることにより、焼結体の強度低下を抑え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強度、靭性等の機械的
性質に優れ、かつ耐酸化性にも優れたセラミックス焼結
体に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化ケイ素セラミックスは、高強度、高
靭性という機械的性質を有している。また、1000℃
までは、耐熱性も優れているため、機械部品として広く
応用されている。しかし、ガスタービン部品のように、
1200℃以上の高温条件下で使用する場合には、耐酸
化性および耐食性が低下する。これは、窒化ケイ素を焼
結する際に不可欠なアルミナ等の焼結助剤が、第2成分
として粒界に存在し、この粒界相が酸化あるいは腐食さ
れることに起因している。
【0003】そこで、窒化ケイ素セラミックスの表面
を、サイアロンセラミックスとすることが行われた(特
開昭61−55301)。サイアロンは、窒化ケイ素粉
末とアルミナ粉末との混合粉末を原料とし、焼結させて
作製する。この際、アルミナは、窒化ケイ素内に固溶す
るため、窒化ケイ素セラミックスにおいて問題となった
第2成分は、粒界にほとんど存在しない。したがって、
表面をサイアロンとした窒化ケイ素セラミックスは、耐
酸化性については、1500℃まで低下しない。
【0004】さらに高温において使用する場合には、よ
り耐酸化性の大きい酸化物セラミックスを表面に使用す
ることが考えられる。特にアルミナはアルカリなどに対
する高い耐食性も有している。
【0005】しかしながら、セラミックスの耐酸化性
は、窒化ケイ素<サイアロン<アルミナの順で向上する
のに対し、強度は、逆に、窒化ケイ素>サイアロン>ア
ルミナの順に大きい。
【0006】サイアロンは、強度は50kg/mm2
度、破壊靭性は2〜3MPam1/2 程度であって、機械
的性質は、窒化ケイ素より劣る。また、窒化ケイ素との
熱膨脹係数の差が大きいので、窒化ケイ素セラミックス
の表面をサイアロンとした場合には、焼結温度からの冷
却過程において、表層部に引張りの残留応力が発生す
る。すなわち、強度特性には、内部の窒化ケイ素の特徴
が生かされないという欠点がある。
【0007】一方、アルミナの場合は、強度は30kg
/mm2 程度、破壊靭性は2〜3MPam1/2 程度であ
り、機械的性質は、サイアロンよりさらに劣る。また、
熱膨脹係数は、7.2〜8.6ppmである。このた
め、例えば、サイアロンセラミックスの表面をアルミナ
にした場合も、前述と同様に、表層部に引張りの残留応
力が発生し、セラミックスの強度は低下する。
【0008】したがって、いずれの場合も、高温におい
て、窒化ケイ素またはサイアロンの有する強度を維持
し、かつ、その耐酸化性を向上させたセラミックス焼結
体を製造することはできなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のセラミックス焼
結体には、高温において、強度、靭性等を維持し、かつ
耐酸化性を高めることが困難であるという問題がある。
本発明は、上述した課題を解決し、高温における強度の
低下を緩和させ、耐酸化性に優れたセラミックスを提供
することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の第1の態様においては、窒化ケイ素からな
る基体と、サイアロンからなる最表面層とが、Al固溶
率に傾斜を有するサイアロンからなる界面層を介して一
体化されたセラミックス焼結体を提供する。前記界面層
に存在するサイアロンにおけるAl固溶率が、最表面層
におけるサイアロン中のAl固溶率から、実質的に0%
(すなわち窒化ケイ素)になるように、前記最表面層側
から前記基体に向かって漸減している。また、前記最表
面層と前記界面層との合計の厚さが、焼結体全体の15
%以下である。
【0011】さらに、本発明の他の態様においては、少
なくとも表面層がサイアロンで形成された基体と、少な
くとも表面層がアルミナで形成された保護体とが、サイ
アロンおよびアルミナを含む材料で形成された界面層を
介して一体化されたセラミックス焼結体を提供する。前
記界面層において、アルミナの量が、前記保護体側から
前記基体に向かって漸減している。また、前記界面層に
含まれるサイアロンにおけるAl固溶率が、最終的に前
記基体表面層におけるAl固溶率まで、前記保護体側か
ら前記基体に向かって漸減している。
【0012】
【作用】本発明のセラミックス焼結体の第1の態様にお
いては、窒化ケイ素セラミックスの最表面層が、窒化ケ
イ素より耐酸化性および耐食性に優れたサイアロンで形
成されている。これにより、内部の窒化ケイ素は、この
最表面層によって保護され、酸化あるいは腐食雰囲気に
直接さらされることがない。したがって、本態様の窒化
ケイ素系セラミックス焼結体の耐酸化性および耐食性
は、従来より大きく向上する。また、最表面のサイアロ
ンから基体に向かって組成が、段階的に変化している。
このように、界面層において、組成に変化を持たせたこ
とにより、熱膨脹係数等の物性値が連続的に変化するこ
とになる。これによって、表面のサイアロンに生じる引
張り残留応力を緩和することができる。また、最表面層
および界面層を含む表面層の厚さを、焼結体全体の厚さ
の15%以下にすることによって、最表面層がサイアロ
ンであることに起因する強度の低下を防止することがで
きる。
【0013】本発明のセラミックス焼結体の他の態様に
おいては、サイアロンを表面に有する基体が、サイアロ
ンより耐酸化性および耐食性に優れたアルミナを表面に
有する保護体層で保護されている。これにより、内部の
基体は、この最表面層によって保護され、第1の態様と
同様に、酸化あるいは腐食雰囲気に直接さらされること
がない。したがって、本態様のセラミックス焼結体の耐
酸化性および耐食性は、従来より大きく向上する。ま
た、保護体表面のアルミナから基体表面層に向かって組
成が、段階的に変化している。このように、界面層にお
いて、組成に傾斜を持たせたことにより、熱膨張係数等
の物性値が連続的に変化することになる。また、最表面
のアルミナと基体との間に、これらの中間の物性値を有
するセラミックスからなるバッファー層を介入させるこ
とにより、さらに全体的に組成傾斜を持たせるようにし
た。これによって、表面のアルミナ層に生じる引張り残
留応力を、より緩和することができる。さらに、基体に
おいて、窒化ケイ素からなる支持体が、サイアロン表面
層を支持することにより、窒化ケイ素の有する高い強度
および靭性を備えた焼結体とすることができる。この場
合も、サイアロン表面層から支持体に向かって組成が、
段階的に変化しているので、物性値変化の連続性は保た
れる。また、保護体および界面層を含む表面層の厚さ
を、焼結体全体の厚さの15%以下にすることによっ
て、焼結体全体の最表面層がアルミナであることに起因
する強度の低下を防止することが可能となる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の態様を説明す
る。 (実施例1)図1に本発明のセラミックス焼結体の第1
の実施例の断面図を示す。本実施例の窒化ケイ素系セラ
ミックス焼結体11は、基体12と最表面層14とが、
界面層13を介して一体化されたものである。基体12
は窒化ケイ素からなり、焼結体の強度、靭性等を保つ機
能を有している。
【0015】最表面層14は、実質的にサイアロンのみ
からなる。この表面層は、耐酸化性および耐食性に優れ
たサイアロンで形成されているので、基体12が酸化ま
たは腐食雰囲気に直接さらされるのを防止する。
【0016】界面層13は、Al量を段階的に変化させ
たサイアロンからなる。界面層13内のAl固溶率は、
最表面層14側から基体12側へ向けて徐々に減少して
いる。すなわち、界面層13内のAl固溶率は、最表面
層14との界面における最表面層内のAl固溶率から、
基体12との界面におけるAl固溶率に至るまで、漸減
している。このAl固溶率の変化は、連続的であっても
不連続的(すなわち、段階的)であってもよい。
【0017】最表面層14と界面層13とを含めた表面
層15の厚さは、焼結体11全体の厚さの15%以下と
することが好ましい。サイアロン本来の高い耐酸化性等
の効果を十分に発揮させるため、ある程度の厚さが必要
であるが、15%を越えると、サイアロンの影響が大き
くなり、焼結体の強度および靭性が低下するためであ
る。本実施例の焼結体11は、複数のサイアロン原料粉
末および窒化ケイ素粉末をモールド中に積層した後、成
形、焼結して作製することができる。基体12の原料と
なる窒化ケイ素粉末には、焼結助剤としてイットリア
(Y23 )およびアルミナをボールミルで混合する。
【0018】最表面層14の原料としては、焼結後に下
記式(1)に示すサイアロンとなる、原料粉末を使用す
る。前記原料粉末は、窒化ケイ素粉末とアルミナ粉末と
を、上述と同様にボールミルを用いて混合し、調製す
る。 Si5 AlON7 式(1)
【0019】界面層13の原料としては、焼結後に下記
式(2)に示すβサイアロンとなる、複数の原料粉末を
使用する。前記原料粉末としては、アルミナの含有率を
段階的に変化させて、上述と同様にボールミルを用い
て、窒化ケイ素に混合して調製した混合粉末を使用す
る。 Si6-z Alz z 8-z (z=0〜4.2) 式(2) また、この界面層は、前記のサイアロン原料粉末を、A
l含有率の多いものから順に積層して、組成の異なる数
段の層を形成することにより、作製する。
【0020】こうして準備された原料を用いて、本実施
例の焼結体を製造するに当たり、まず、任意形状のモー
ルド中に、最表面層14に使用するサイアロン原料粉末
の上に、界面層13に使用するサイアロン原料粉末を、
Al量の多い順に積層する。その後、基体12を形成す
る窒化ケイ素粉末を積層し、コールドプレスにより予備
成形体を作製する。得られた予備成形体をホットプレス
焼結して、本実施例の焼結体11が得られる。以下に、
本実施例を具体的に説明する。
【0021】本実施例の窒化ケイ素系セラミックス焼結
体の原料として、アルミナ粉末および窒化ケイ素粉末を
使用した。基体には、窒化ケイ素粉末を用い、焼結助剤
として、5重量%のイットリアおよび2重量%のアルミ
ナを、ボールミルを用いて混合した。最表面層には、ア
ルミナ粉末と窒化ケイ素粉末とを、上述と同様に混合し
たサイアロン原料粉末を使用した。この原料粉末におけ
るAl含有率、すなわち、焼結後のサイアロンにおける
Al固溶率(Al/(Al+Si))は、16.7%と
なるようにした。この原料粉末を、サイアロン原料粉末
aとする。界面層には、アルミナ粉末の割合を変えて窒
化ケイ素粉末に混合して得られた4種類のサイアロン原
料粉末を使用した。これらの原料粉末は、窒化ケイ素粉
末およびアルミナ粉末を、同様にボールミルを用いて混
合した後、乾燥して調製した。各サイアロン原料粉末に
おけるAl含有率は、それぞれ13.3、10.0、
6.7および3.3モル%となるようにし、それぞれサ
イアロン原料粉末b、c、dおよびeとした。
【0022】サイアロン原料粉末a〜eおよび窒化ケイ
素粉末を用いて、焼結体を作製した。サイアロン原料粉
末a〜eは、この順番に層状に重ねた。なお、界面層に
おける各層の厚さは均一にし、表面層の厚さは、後述す
る加工後に焼結体全体の5%となるように調整した。そ
の上に基体となる窒化ケイ素粉末を積層し、コールドプ
レス成形した。その後、カーボンモールド中でホットプ
レス焼結して焼結体試料とした。焼結条件は、焼結温度
1800℃、プレス圧力400kg/cm2 、焼結温度
保持時間は60分である。また、雰囲気は1気圧窒素と
した。得られた焼結体試料を、厚さ方向に最表面層、界
面層および基体を有するように、4mm×3mm×40
mmの試験片に加工し、試料11とした。
【0023】試料11と同様のサイアロン原料粉末a〜
eおよび窒化ケイ素粉末を用いて、表面層の厚さの割合
を変えた試料を作製した。試料11と同様に、表面層の
厚さの割合が、焼結体全体の9%、13%および15%
となるようにサイアロン原料粉末a〜eを順番に積層し
た。界面層における各層の厚さは、試料11と同様に均
一にした。さらに、窒化ケイ素粉末を重ねて、同様に焼
結体を作製した。得られた焼結体を同様に加工し、それ
ぞれ試料12、13および14とした。
【0024】試料11における界面層に使用したサイア
ロン原料粉末中のAl含有率を変えて、界面層内のAl
固溶率をより連続的に変化させた試料を作製した。ま
ず、上述のサイアロン原料粉末cの代わりに、Al含有
率を11.7%および8.3%とした2種類の原料粉末
を調製し、サイアロン原料粉末dの代わりにAl含有率
を5.0%とした原料粉末を調製した。さらに、Al含
有率を15.0%とした原料粉末を調製し、界面層に使
用するサイアロン原料粉末を6種類にした。上述と同様
にサイアロン原料粉末を、Al含有率の多い順に積層
し、表面層の厚さの割合を、焼結体全体の9%および1
3%となるように調整した。その後、窒化ケイ素粉末を
積層して焼結体を作製した。得られた焼結体を同様に加
工し、それぞれ試料15および16とした。
【0025】比較例として、表面層の厚さが15%を越
えた試料および、界面層を有しない試料を作製した。試
料11と同様のサイアロン原料粉末および窒化ケイ素粉
末を使用し、表面層の厚さが、焼結体全体の19%とな
るようにした焼結体を作製した。また、試料15と同様
のサイアロン原料粉末および窒化ケイ素粉末を使用し、
表面層の厚さが焼結体全体の23%となるようにした焼
結体を作製した。さらに、最表面層に使用したサイアロ
ン原料粉末aのみを使用し、表面層の厚さを焼結体全体
の9%となるようにした焼結体を作製した。得られた焼
結体を同様に加工し、それぞれ試料17、18および1
9とした。
【0026】以上の試料について、JISに基づく3点
曲げ試験を行ない、室温における強度を求めた。強度測
定の際は、サイアロン層側に引張り応力がかかるように
試料をセットして行なった。得られた測定結果を、各試
料の界面層の組成および表面層厚さとともに表1に示
す。
【0027】
【表1】
【0028】表1から、界面層を有しない試料19と、
試料19における最表面層の厚さと同じ厚さの表面層を
有する試料12とを比較すると、試料19は、試料12
の50%程度の強度しか得られない。さらに、試料19
よりも表面層の厚さの割合が大きい試料13および14
と比較しても、試料19の強度は著しく小さい。これに
より、サイアロン中のAl固溶率を徐々に変化させた界
面層が、焼結体の強度を向上させるために必要であるこ
とがわかる。
【0029】また、試料11〜14および試料17を比
較すると、表面層の厚さの割合を大きくするにつれて、
強度は著しく低下することがわかる。表面層の割合が大
きいということは、サイアロンの割合が多いということ
を意味している。この結果、表面層のサイアロンは、材
料の耐酸化性を向上させることができる範囲内で、でき
る限り少なくすることが好ましいことがわかる。
【0030】試料16と試料11との比較から、界面層
内のサイアロン中のAl固溶率を、より連続的に変化さ
せることによって、前述のサイアロンの影響が小さくな
ることがわかる。試料16および試料11の表面層の厚
さは、それぞれ焼結体全体の13%および5%である。
試料16においては、界面層内のサイアロン中のAl固
溶率の変化を、より連続的にしたことにより、試料11
と同程度の強度が得られた。しかしながら、試料18の
結果に示すように、この効果も、表面層の厚さが焼結体
全体の15%を越えると現れない。
【0031】さらに、試料13、16および19を用い
て、最表面層および界面層内のサイアロン粒子中のAl
固溶率をエネルギー分散型X線分析(EDS)で分析し
た。透過型電子顕微鏡(TEM)用試料は、各試料表面
からと内部へ向けて、数種類作製した。試料表面から内
部へ向けてそれぞれの点で20〜30個のサイアロン粒
子についてSiとAlのピーク強度の比からAl固溶率
を求め、平均値を算出した。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】上述の結果から、試料13および16にお
いては、いずれも表面から内部へ向けて、界面層内にお
けるサイアロン粒子中のAl固溶率は、次第に減少して
いることがわかる。試料16においては、サイアロン粒
子中のAl固溶率は、試料13の場合よりも、より連続
的に減少している構造である。一方、試料19において
は、サイアロン層と基体との接合界面において、若干A
lが固溶しているが、最表面のサイアロン層と基体の窒
化ケイ素層とを単に接合させた構造であることがわか
る。
【0034】以上詳述したように、本実施例の結果か
ら、窒化ケイ素からなる基体の最表面層をサイアロンと
したセラミックス焼結体であって、前記表面層と前記基
体との間の界面層において、前記最表面層側から前記基
体の窒化ケイ素に向かって、サイアロン内のAl固溶率
を連続的または不連続的に減少させること、さらに前記
最表面層と前記界面層との合計の厚さを焼結体全体の1
5%以下にすることにより、耐酸化性を備えたセラミッ
クス焼結体を提供することができる。次に、本実施例に
おけるセラミックス焼結体を酸化雰囲気にさらし、耐酸
化性を調べた。まず、試料として、前述の焼結体11の
最表面層に対向する基体の表面に、界面層を介さずに最
表面層を有する焼結体を作製した。
【0035】なお、窒化ケイ素からなる基体の全ての表
面に、界面層を介してサイアロン最表面層を有する焼結
体を作製することが、最も好ましいが、耐酸化性を検証
するには、一表面のみで十分であると考えられるため、
このような構造とした。また、最表面層に使用したサイ
アロン原料粉末のみからなるサイアロン焼結体を、比較
のために作製した。
【0036】得られた焼結体を試料として、1500℃
の大気中で1000時間の耐酸化性試験を行なった。そ
の結果、本実施例の窒化ケイ素セラミックス焼結体およ
びサイアロンのみの焼結体の酸化増量は、それぞれ、
0.55mg/cm2 および0.52mg/cm2 であった。こ
れにより、本実施例の窒化ケイ素系セラミックス焼結体
は、サイアロンセラミックス焼結体と同等の耐酸化性を
有することが明らかである。 (実施例2)図2に本発明のセラミックス焼結体の第2
の実施例の断面図を示す。本実施例のサイアロン系セラ
ミックス焼結体21は、基体22と最表面をなす保護体
層24とが、界面層23を介して一体化されたものであ
る。基体22はサイアロンからなり、焼結体の強度、靭
性等を保つ機能を有している。
【0037】保護体層24は、実質的にアルミナのみか
らなる。この保護体層24は、耐酸化性および耐食性に
優れたアルミナで形成されているので、基体22が酸化
または腐食雰囲気に直接さられるのを防止する。
【0038】さて、界面層23は、サイアロンをマトリ
ックスとし、その中にアルミナを分散させた構造であ
る。界面層23内のアルミナ含有率は、保護体層24側
から基体22側へ向けて徐々に減少している。すなわ
ち、界面層23内のアルミナの含有率は、保護体層24
との界面における実質的に100%から、基体22との
界面におけるアルミナ含有率に至るまで、漸減してい
る。このアルミナ含有率の変化は、連続的であっても不
連続的(すなわち、段階的)であってもよい。この界面
層内のサイアロンにおけるAl固溶率もまた、保護体層
24側から基体22側へ向けて徐々に減少している。こ
のAl固溶率の変化は、連続的であっても不連続的(す
なわち、段階的)であってもよい。
【0039】保護体層24と界面層23とを含めた表面
層25の厚さは、焼結体21全体の厚さの15%以下と
することが好ましい。アルミナ本来の高い耐酸化性等の
効果を十分に発揮させるため、ある程度の厚さが必要で
あるが、15%を越えると、アルミナの影響が大きくな
り、焼結体の強度および靭性が低下するためである。本
実施例の焼結体21は、アルミナ粉末および複数の窒化
ケイ素/アルミナ混合粉末モールド中に積層した後、成
形、焼結して作製することができる。
【0040】基体22の原料としては、実施例1の焼結
体11における最表面層14に使用したサイアロン原料
粉末を使用する。この原料粉末は、実施例1の場合と同
様にして、窒化ケイ素粉末とアルミナ粉末とを、ボール
ミルを用いて混合して調製する。
【0041】界面層23の原料としては、Al含有率の
異なる数種のサイアロン原料粉末に、アルミナ粉末の含
有率を段階的に変化させて混合し、調製した複数の混合
粉末を使用する。使用するサイアロン原料粉末は、アル
ミナ粉末の含有率を変化させて窒化ケイ素粉末に、ボー
ルミルを用いて混合して調製する。この際、得られるサ
イアロン原料粉末の組成は、焼結後に上記式(2)に示
すβサイアロンとなるようにする。また、複数のサイア
ロン原料粉末におけるAl含有率は、基体に使用するサ
イアロンにおけるAl含有率に至るまで、任意に変化さ
せる。混合の際は、上述と同様にボールミルを用い、A
l含有率の高いサイアロン原料粉末ほど、混合粉末中の
アルミナ含有率が高くなるように、数種の混合粉末を調
製する。また、界面層は、前記の混合粉末を、アルミナ
含有率の高いものから順に積層して、組成の異なる数段
の層を形成することにより、作製する。
【0042】こうして準備された原料を用いて、本実施
例の焼結体を製造するに当たり、まず、任意形状のモー
ルド中にアルミナ粉末を準備し、その上に、界面層23
を形成する混合粉末を、アルミナ含有率の大きい順に積
層する。その後、基体22を形成するサイアロン原料粉
末を積層し、コールドプレスにより予備成形体を作製す
る。得られた予備成形体をホットプレス焼結して、本実
施例の焼結体21が得られる。以下に、本実施例を具体
的に説明する。
【0043】本実施例のサイアロン系セラミックス焼結
体の原料として、アルミナ粉末および窒化ケイ素粉末を
使用した。最表面をなす保護体層24には、100%の
アルミナ粉末を用い、界面層23には、Al含有率の異
なるサイアロン原料粉末に、アルミナ粉末の割合を変え
て混合して得られた4種類の混合粉末を用いた。これら
の混合粉末は、窒化ケイ素粉末およびアルミナ粉末を、
ボールミルを用いて混合した後、乾燥して調製した。各
混合粉末におけるサイアロン中のAl含有率(Al/
(Al+Si))は、70、50、30および20モル
%となるようにし、それぞれの混合粉末におけるアルミ
ナ含有率(Al2 3 /(Al2 3 +サイアロン))
は、80、60、40および20重量%となるように作
製した。得られた混合粉末を、それぞれ混合粉末21、
22、23および24とした。
【0044】基体22に使用するサイアロン原料粉末
は、実施例1で使用したサイアロン原料粉末aであり、
実施例1と同様に、窒化ケイ素粉末とアルミナ粉末とを
ボールミルを用いて混合することにより作製した。
【0045】アルミナ粉末、および混合粉末21、2
2、23、24およびサイアロン原料粉末aを用いて、
焼結体を作製した。アルミナ粉末の上に、混合粉末21
〜24を、順番に層状に重ねた。なお、界面層における
各層の厚さは均一にし、保護体層と界面層とを含む表面
層の厚さは、後述する加工後に焼結体全体の5%となる
ように調整した。その上にサイアロン原料粉末aを積層
し、コールドプレス成形した。その後、カーボンモール
ド中でホットプレス焼結して焼結体試料とした。焼結条
件は、焼結温度1775℃、プレス圧力400kg/c
2 、焼結温度保持時間は60分である。また、雰囲気
は1気圧窒素とした。得られた焼結体試料を、厚さ方向
にアルミナ層、界面層および基体を有するように、4m
m×3mm×40mmの試験片に加工し、試料21とし
た。
【0046】試料21に使用した混合粉末22、23お
よび24に含まれる各サイアロン原料粉末におけるAl
含有率を、それぞれ60、40および30モル%とし
た。混合粉末21に含まれるサイアロンにおけるAl含
有率、および混合粉末21〜24におけるアルミナ含有
率は、それぞれ試料21の場合と同様にして、界面層に
使用する混合粉末を作製した。また、アルミナ粉末およ
びサイアロン原料粉末aは、試料21におけるものと同
様の粉末を使用し、表面層の厚さの割合を変えた試料を
作製した。試料21の場合と同様にアルミナ粉末の上
に、表面層の厚さの割合が焼結体全体の9%となるよう
に混合粉末21〜24を積層した。この際、アルミナ層
および界面層における各層の厚さは、試料21と同様に
して調整した。さらに、サイアロン原料粉末aを重ね
て、同様に焼結体を作製した。得られた焼結体を同様に
加工し、試料22とした。
【0047】試料21と同様のアルミナ粉末、混合粉末
21〜24およびサイアロン原料粉末aを使用し、表面
層の厚さを変化させた試料を作製した。試料21と同様
にアルミナ粉末の上に、表面層の厚さの割合が焼結体全
体の15%となるように混合粉末21〜24を積層し
た。この際、アルミナ層および界面層における各層の厚
さは、試料21と同様にして調整した。さらに、サイア
ロン原料粉末aを重ねて、同様に焼結体を作製した。得
られた焼結体を同様に加工し、試料23とした。
【0048】試料21に使用した混合粉末21、22、
23および24におけるアルミナ含有率を、それぞれ9
0、70、50および30重量%とした。各混合粉末に
含まれるサイアロン原料粉末におけるAl含有率は、試
料21と同様にして、表面層の厚さの割合を変えた試料
を作製した。また、アルミナ粉末およびサイアロン原料
粉末aも、試料21と同様のものを使用した。試料21
と同様にアルミナ粉末の上に、表面層の厚さの割合が焼
結体全体の9%となるように混合粉末21〜24を積層
した。この際、アルミナ層および界面層における各層の
厚さは、試料21と同様にして調整した。さらに、サイ
アロン原料粉末aを重ねて、同様に焼結体を作製した。
得られた焼結体を同様に加工し、試料24とした。
【0049】比較例として、界面層を有しない試料およ
び、界面層における各層のサイアロン粉末中のAl含有
率が一定である試料を作製した。試料21と同様のアル
ミナ粉末およびサイアロン原料粉末aを使用し、焼結体
全体の15%の厚さとなるように準備したアルミナ粉末
の上に、サイアロン原料粉末aを積層して焼結体を作製
した。また、試料21における混合粉末21〜24に含
まれるサイアロン原料粉末中のAl含有率を、いずれ
も、サイアロン原料粉末aと同一にする以外は、同様の
アルミナ粉末およびサイアロン原料粉末aを使用して、
試料21と同様に焼結体を作製した。表面層の厚さの割
合は、焼結体全体の15%となるようにした。この際、
アルミナ層および界面層における各層の厚さは、試料2
1と同様にして調整した。さらに、サイアロン原料粉末
aを重ねて、同様に焼結体を作製した。得られた焼結体
を同様に加工し、それぞれ試料25および26とした。
【0050】以上の試料について、JISに基づく3点
曲げ試験を行ない、室温における強度を求めた。強度測
定の際は、サイアロン層側に引張り応力がかかるように
試料をセットして行なった。得られた測定結果を、各試
料の界面層の組成および表面層厚さとともに表3に示
す。
【0051】
【表3】
【0052】表3から、界面層を有しない試料25と、
試料25における保護体層の厚さと同じ厚さの表面層を
有する試料23とを比較すると、試料25の強度は著し
く小さい。これにより、アルミナ含有率および、混合粉
末中のサイアロン原料粉末におけるAl含有率を徐々に
変化させた界面層が、強度を向上させるために必要であ
ることがわかる。また、界面層におけるサイアロン原料
粉末中のAl含有率およびアルミナ含有率が同一のま
ま、表面層の厚さの割合を大きくすると、強度が低下す
ること、アルミナ含有率は、直線的に変化させないほう
が強度が大きいことが示される。
【0053】また、試料23および試料25について、
試料表面から内部へ向けてEPMA(Electro
Probe Micro Analysis)により、
Alの分布(Al/(Al+Si))を調べた。結果を
図3に示す。
【0054】図3において、縦軸は任意単位(a.
u.)を示す。図3より、試料23は、保護体のアルミ
ナ層から内部のサイアロン層へ向けて、界面層部分でA
lの量が次第に減少していることがわかる。一方試料2
5は、界面層を有さず、アルミナ層とサイアロン層と
を、単に接合させた構造となっていることがわかる。上
述した、試料23と試料25との強度の違いは、この構
造の違いによるものである。
【0055】さらに、試料23および試料26を用い
て、実施例1と同様に、サイアロン粒子中のAl固溶率
をエネルギー分散型X線分析(EDS)で分析した。分
析結果を表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】上述の結果から、試料23においては、表
面から内部へ向けて、界面層部分でのAlの量が次第に
減っており、またサイアロン中のAl固溶率も次第に減
少していること、また試料26においては、界面層内の
サイアロン中のAl固溶率は、ほぼ一定であることがわ
かる。
【0058】以上詳述したように、本実施例の結果か
ら、サイアロンセラミックス焼結体の表面層をアルミナ
とし、界面層において、保護体層のアルミナ側から内部
のサイアロンに向かって、アルミナ含有率を連続的また
は不連続的に減少させること、およびこの界面層に存在
するサイアロンにおけるAl固溶率をアルミナ側から内
部のサイアロンに向かって、連続的または不連続的に減
少させることにより、引張りの残留応力を緩和すること
ができる。さらに、基体のサイアロン以外を含む表面層
の厚さを焼結体全体の15%以下にすることにより、保
護体層をアルミナにすることによる強度の低下が緩和さ
れることになる。本実施例では、基体としてβサイアロ
ンを用いているが、αサイアロンを用いた場合にも全く
同様の効果を得ることができる。 (実施例3)図4に本発明のセラミックス焼結体の第3
の実施例の断面図を示す。
【0059】本実施例のサイアロン系セラミックス焼結
体31は、基体32と多層構造の保護体37とが界面層
33を介して一体化された構造を有する。保護体37
は、最表面層36と界面層33上に形成されたバッファ
ー層34とが、界面の中間層35を介して一体化された
構造である。基体32は全体がサイアロンで形成され、
焼結体の強度、靭性等を保つ機能を有している。
【0060】最表面層36は、実質的にアルミナのみか
らなる。この最表面層は、耐酸化性および耐食性に優れ
たアルミナで形成されているので、基体32が酸化また
は腐食雰囲気に直接さらされるのを防止する。
【0061】バッファー層34は、基体32のサイアロ
ンと最表面層36のアルミナとの中間の物理的性質を有
するムライトからなる。このバッファー層34は、機械
的性質に連続性を持たせる働きを有しており、焼結体の
強度低下を防止することができる。
【0062】さて、基体32とバッファー層34との間
にある界面層33は、サイアロンをマトリックスとし、
その中にムライトを分散させた構造である。界面層33
内のムライト含有率は、バッファー層34側から基体3
2側へ向けて徐々に減少している。すなわち、界面層3
3内のムライト含有率は、バッファー層34との界面に
おける、実質的に100%から、基体32との界面にお
けるムライト含有率に至るまで、漸減している。このム
ライト含有率の変化は、連続的であっても不連続的(す
なわち、段階的)であってもよい。さらに、この界面層
33におけるサイアロン内のAl固溶率もまた、バッフ
ァー層34側から基体32側へ向けて徐々に減少してい
る。Al固溶率の変化は、連続的であっても不連続的
(すなわち、段階的)であってもよい。
【0063】保護体37の界面中間層35は、ムライト
をマトリックスとし、その中にアルミナを分散させた構
造である。界面中間層35内のアルミナ含有率は、最表
面層36側からバッファー層34側へ向けて徐々に減少
している。すなわち、界面中間層35内のアルミナ含有
率は、最表面層36との界面における、実質的に100
%から、バッファー層34との界面における、バッファ
ー層34中のアルミナ含有率に至るまで、漸減してい
る。このアルミナ含有率の変化は、連続的であっても不
連続的(すなわち、段階的)であってもよい。
【0064】最表面層36、界面中間層35、バッファ
ー層34および界面層33を含む表面層38の厚さは、
焼結体31全体の厚さの15%以下とすることが好まし
い。アルミナ本来の高い耐酸化性等の効果を十分に発揮
させるため、ある程度の厚さが必要であるが、15%を
越えると、アルミナの影響が大きくなり、焼結体の強度
および靭性が低下するためである。
【0065】本実施例の焼結体31は、アルミナ粉末、
複数のムライト/アルミナ混合粉末、ムライト粉末、複
数のサイアロン原料/ムライト混合粉末、およびサイア
ロン原料粉末をモールド中に積層した後、成形、焼結し
て作製することができる。
【0066】基体32の原料としては、実施例1の焼結
体11における最表面層14に使用したサイアロン原料
粉末を使用する。この原料粉末は、実施例1の場合と同
様にして、窒化ケイ素粉末とアルミナ粉末とを、ボール
ミルを用いて混合して調製する。
【0067】界面層33の原料としては、Al含有率の
異なる数種のサイアロン原料粉末に、ムライト粉末の含
有率を段階的に変化させて混合し、調製した複数の混合
粉末を使用する。使用するサイアロン原料粉末は、実施
例2の場合と同様にして、Al含有率を変化させて調製
する。混合の際は、上述と同様にボールミルを用い、A
l含有率の高いサイアロン原料粉末ほど、混合粉末中の
ムライト含有率が高くなるように、数種の混合粉末を調
製する。また、界面層33は、前記の混合粉末を、ムラ
イト含有率の大きいものから順に積層して、組成の異な
る数段の層を形成することにより、作製する。バッファ
ー層34の原料としては、ムライト粉末を使用する。
【0068】保護体37の界面中間層35の原料として
は、アルミナ粉末の含有率を段階的に変化させてムライ
ト粉末に混合し、調製した数種の混合粉末を使用する。
混合の際は、上述と同様にボールミルを用いる。また、
界面中間層35は、前記の混合粉末を、アルミナ含有率
の大きいものから順に積層して、組成の異なる数段の層
を形成することにより、作製する。
【0069】こうして準備された原料を用いて、本実施
例の焼結体を製造するに当たり、まず、任意形状のモー
ルド中にアルミナ粉末を準備し、その上に、保護体37
の界面中間層35を形成する混合粉末をアルミナ含有率
の大きいものから順に積層する。さらに、バッファー層
34を形成するムライト粉末、界面層33を形成する混
合粉末をムライト含有率の大きいものから順に積層す
る。その後、サイアロン原料粉末の順で積層し、コール
ドプレスにより予備成形体を作製する。得られた予備成
形体をホットプレス焼結して、本実施例の焼結体31が
得られる。以下に、本実施例を具体的に説明する。
【0070】本実施例のサイアロン系セラミックス焼結
体の原料として、アルミナ粉末、ムライト粉末および窒
化ケイ素粉末を使用した。最表面層36には、100%
のアルミナ粉末を用い、保護体37の界面中間層35に
は、アルミナ粉末の割合を変えてムライト粉末に混合し
て得られた3種類の混合粉末を用いた。これらの混合粉
末は、ムライト粉末およびアルミナ粉末を、ボールミル
を用いて混合した後、乾燥して調製した。各混合粉末に
おけるアルミナ含有率(Al2 3 /(Al23 +ム
ライト))は、75、50、および25重量%とし、そ
れぞれ混合粉末31、32、および33とした。バッフ
ァー層34には、100%のムライト粉末を使用した。
【0071】また、界面層33には、Al含有率の異な
るサイアロン原料粉末に、ムライト粉末の割合を変えて
混合して得られた4種類の混合粉末を用いた。これらの
混合粉末は、アルミナ粉末、窒化ケイ素粉末およびムラ
イト粉末を、ボールミルを用いて混合した後、乾燥して
調製した。各混合粉末におけるサイアロン中のAl含有
率(Al/(Al+Si))は、70、50、30およ
び20モル%となるようにした。また、それぞれの混合
粉末におけるムライト含有率(ムライト/(ムライト+
Al2 3 +サイアロン))は、80、60、40およ
び20重量%とし、それぞれ混合粉末34、35、36
および37とした。
【0072】基体32に使用するサイアロン原料粉末
は、実施例1で使用したサイアロン原料粉末aであり、
実施例1と同様に、窒化ケイ素粉末とアルミナ粉末とを
ボールミルを用いて混合することにより作製した。
【0073】アルミナ粉末、ムライト粉末、サイアロン
原料粉末a、および混合粉末31〜37を用いて、焼結
体を作製した。アルミナ粉末の上に混合粉末31〜33
を、この順番に層状に重ねた。さらに、ムライト粉末、
混合粉末34〜37を順番に層状に重ねた。なお、界面
層における各層の厚さは均一にした。最表面層36、保
護体37の界面層35、バッファー層34および界面層
33を含む表面層38の厚さは、後述する加工後に焼結
体全体の9%となるように調整した。その上にサイアロ
ン原料粉末aを積層し、コールドプレス成形した。その
後、カーボンモールド中でホットプレス焼結して焼結体
試料とした。焼結条件は、焼結温度1800℃、プレス
圧力400kg/cm2 、焼結温度保持時間60分であ
る。また、雰囲気は1気圧窒素とした。得られた焼結体
試料を、厚さ方向にアルミナ層、バッファー層および基
体を有するように、4mm×3mm×40mmの試験片
に加工し、試料31とした。
【0074】試料31に使用した混合粉末35、36お
よび37に含まれる各サイアロン原料粉末におけるAl
含有率を、それぞれ60、40および30モル%とし
た。前記の各混合粉末におけるムライト含有率は、試料
31の場合と同様にして、界面層33に使用する混合粉
末を調製した。また、アルミナ粉末、混合粉末31〜3
3、ムライト粉末およびサイアロン原料粉末aは、試料
31におけるものと同様の粉末を使用し、表面層の厚さ
の割合を変えた試料を作製した。試料31の場合と同様
にアルミナ粉末の上に、表面層の厚さの割合が焼結体全
体の13%となるように混合粉末31〜33、ムライト
粉末および混合粉末34〜37を同様に積層した。表面
層および界面層における各層の厚さは、試料31と同様
に調整した。さらに、サイアロン原料粉末aを重ねて、
同様に焼結体を作製した。得られた焼結体を同様に加工
し、試料32とした。
【0075】試料31と同様の各粉末および混合粉末を
使用し、表面層の厚さの割合を変えた試料を作製した。
試料31と同様にアルミナ粉末の上に、表面層の厚さの
割合が焼結体全体の15%となるように、混合粉末31
〜33、ムライト粉末、混合粉末34〜37を積層し
た。表面層および界面層における各層の厚さは、試料3
1と同様に均一にした。さらに、サイアロン原料粉末a
を重ねて、同様に焼結体を作製した。得られた焼結体を
同様に加工し、試料33とした。
【0076】比較例として、アルミナ粉末、ムライト粉
末およびサイアロン原料粉末aのみを順番に積層し、界
面層を有しない試料を同様に作製した。試験片に加工後
の表面層の厚さの割合は、焼結体全体の15%となるよ
うにした。また、バッファー層と基体との間にのみ界面
層を有する試料を作製した。この試料においては、試料
31における混合粉末34〜37におけるAl含有率
を、サイアロン原料粉末aと同様とした。それ以外は、
試料31と同様の各粉末を用いて試料を作製した。試験
片に加工後の表面層の厚さの割合は、焼結体全体の15
%となるようにした。得られた焼結体を同様に加工し、
それぞれ試料34および35とした。
【0077】以上の試料について、実施例1と同様に、
JISに基づく3点曲げ試験を行ない、室温における強
度を求めた。強度測定の際は、アルミナ層側に引張り応
力がかかるように試料をセットして行なった。得られた
測定結果を、各試料の界面層の組成および表面層厚さと
ともに表5に示す。
【0078】
【表5】
【0079】表5から、界面層を有しない試料34と、
試料34の表面層の厚さと同じ厚さの表面層を有する試
料33とを比較すると、試料34の強度は著しく小さ
い。これにより、アルミナ含有率、ムライト含有率およ
びサイアロン中のAl固溶率を徐々に変化させた界面層
が、強度を向上させるために必要であることがわかる。
また、試料31〜33を比較すると、表面層の厚さの割
合は小さい方が、強度が大きいことが示される。
【0080】また、試料33および試料34について、
実施例1と同様に、試料表面から内部へ向けてEPMA
により、Alの分布(Al/(Al+Si))を調べ
た。その結果を図5に示す。
【0081】図5において、縦軸は任意単位(a.
u.)を示す。図5より、試料33は、最表面のアルミ
ナ層とバッファー層との間の界面層およびバッファー層
と基体との間の界面層において、Alの量が次第に減少
していることがわかる。一方試料34は、界面層を有さ
ず、アルミナ層、ムライト層およびサイアロン層を、単
に接合させた構造となっていることがわかる。上述した
試料33と試料34との強度の違いは、この構造の違い
によるものである。
【0082】さらに、試料33および試料35を用い
て、実施例1と同様に、サイアロン粒子中のAl固溶率
をエネルギー分散型X線分析(EDS)で分析した。分
析結果を表6に示す。
【0083】
【表6】
【0084】上述の結果から、試料33においては、表
面から内部へ向けて、界面層部分でAlの量が次第に減
っており、また、サイアロン中のAl固溶率も次第に減
少していること、また試料35においては、界面層内の
サイアロン中のAl固溶率は、ほぼ一定であることがわ
かる。
【0085】以上述べた結果から、サイアロンを基体と
し、前記基体の表面に、アルミナからなる最表面層と、
ムライトからなるバッファー層とを含む保護体が存在す
るセラミックス焼結体であって、アルミナ最表面層とム
ライトからなるバッファー層との間の界面中間層におい
て、アルミナ層側からムライト層へ向かって、連続的ま
たは不連続的にアルミナ含有率を減少させること、およ
びムライト層とサイアロンとの界面層において、ムライ
ト層側からサイアロンへ向って、ムライト含有量を連続
的または不連続的に減少させること、さらに、この界面
層に存在するサイアロン内のAl固溶率を、ムライト層
側から内部のサイアロンへ向って連続的または不連続的
に減少させることによって、引張りの残留応力を緩和す
ることができる。さらに、基体のサイアロン以外を含む
表面層の厚さを、焼結体全体の15%以下とすることに
より、最表面層をアルミナとすることによる強度の低下
が緩和されることになる。 (実施例4)図6に本発明のセラミックス焼結体の第4
の実施例の断面図を示す。
【0086】本実施例の窒化ケイ素系セラミックス焼結
体41は、多層構造の基体42と最表面をなす保護体4
4とが、界面層43を介して一体化されたものである。
基体42は、支持体42aと最上層42bとが、界面中
間層42cを介して接合している構造となっている。基
体42における支持体42aは、窒化ケイ素からなり、
焼結体の強度、靭性等を保つ機能を有している。
【0087】基体42の最上層42bは、支持体42a
の窒化ケイ素と最表面保護体層44に使用するアルミナ
との中間の物理的性質を有する材料のなかでも、窒化ケ
イ素に近い性質を有するサイアロンからなる。この基体
最上層42bは、機械的性質に連続性を持たせる働きを
有しており、焼結体の強度低下を防止することができ
る。
【0088】支持体42aと基体最上層42bとの間に
存在する基体界面中間層42cは、基体最上層42b側
から支持体42a側へ向けて、Al固溶率を徐々に減少
させたサイアロンからなる。すなわち、基体界面中間層
42cにおけるサイアロン中のAl固溶率は、基体最上
層42bとの界面における、基体最上層42b中のAl
固溶率から、支持体42aとの界面における、実質的に
0%に至るまで、漸減している。このAl固溶率の変化
は、連続的であっても不連続的(すなわち、段階的)で
あってもよい。
【0089】最表面保護体層44は、実質的にアルミナ
のみからなる。この最表面層44は、耐酸化性および耐
食性に優れたアルミナで形成されているので、基体42
が酸化または腐食雰囲気に直接さらされるのを防止す
る。
【0090】さて、基体42と最表面層44との間に存
在する界面層43は、実施例2の焼結体21における界
面層23と同様に、サイアロンをマトリックスとし、そ
の中にアルミナを分散させた構造である。界面層43内
のアルミナ含有率、および界面層43内のサイアロンに
おけるAl固溶率もまた、実施例2の場合と同様に漸減
している。
【0091】最表面層44、界面層43、基体最上層4
2bおよび基体界面中間層42cを含む、支持体42a
以外の表面層45の厚さは、焼結体41全体の厚さの1
5%以下とすることが好ましい。アルミナ本来の高い耐
酸化性等の効果を十分に発揮させるため、ある程度の厚
さが必要であるが、15%を越えると、アルミナの影響
が大きくなり、焼結体の強度および靭性が低下するため
である。
【0092】本実施例の焼結体41は、アルミナ粉末、
複数のサイアロン原料/アルミナ混合粉末、複数のサイ
アロン原料粉末および窒化ケイ素粉末をモールド中に積
層した後、成形、焼結して作製することができる。
【0093】支持体42aの原料となる窒化ケイ素粉末
には、実施例1の焼結体11における基体13の場合と
同様に、焼結助剤としてイットリアおよびアルミナを、
ボールミルで混合する。
【0094】基体最上層42bの原料としては、実施例
1の焼結体11における最表面層14に使用したサイア
ロン原料粉末を使用する。この原料粉末は、実施例1の
場合と同様に、窒化ケイ素粉末とアルミナ粉末とを、ボ
ールミルを用いて混合して調製する。また、基体界面中
間層42cの原料としては、実施例1の焼結体11にお
ける界面層13に使用した複数のサイアロン原料粉末を
使用する。
【0095】界面層43の原料としては、実施例2の焼
結体21における界面層23の場合と同様のサイアロン
原料/アルミナ混合粉末を使用する。使用するサイアロ
ン原料粉末の調製方法、混合粉末の混合割合および混合
方法も、実施例2の場合と同様である。この界面層は、
得られた混合粉末を、同様にアルミナ含有率の大きいも
のから順に積層して、作製する。
【0096】こうして準備された原料を用いて、本実施
例の焼結体を製造するに当たり、まず、任意形状のモー
ルド中にアルミナ粉末を準備し、その上に、界面層43
を形成する混合粉末を、アルミナ含有率の大きい順に積
層する。さらに、基体最上層42bおよび基体界面中間
層42cを形成するサイアロン原料粉末をAl含有率の
大きい順に積層する。その後、窒化ケイ素粉末を積層
し、コールドプレスにより予備成形体を作製する。得ら
れた予備成形体をホットプレス焼結して、本実施例の焼
結体41が得られる。以下に、本実施例を具体的に説明
する。
【0097】本実施例の窒化ケイ素系セラミックス焼結
体の原料として、アルミナ粉末および窒化ケイ素粉末を
使用した。最表面層には、100%のアルミナ粉末を用
い、界面層43には、実施例2の焼結体21における界
面層23の場合と同様に、Al含有率の異なるサイアロ
ン原料粉末に、アルミナ粉末の割合を変えて、混合して
得られた3種類の混合粉末を用いた。これらの混合粉末
は、窒化ケイ素粉末およびアルミナ粉末を、ボールミル
を用いて混合した後、乾燥して調製した。各サイアロン
原料粉末中のAl含有率(Al/(Al+Si))は、
それぞれ、70、50および30モル%となるように
し、それぞれの混合粉末におけるアルミナ含有率(Al
2 3 /(Al2 3 +サイアロン))は、75、5
0、および25重量%となるようにした。得られた混合
粉末を、それぞれ、混合粉末41、42、および43と
した。
【0098】基体最上層42bに使用するサイアロン原
料粉末は、実施例1で使用したサイアロン原料粉末aで
あり、実施例1と同様に、窒化ケイ素粉末とアルミナ粉
末とをボールミルを用いて混合することにより作製し
た。基体界面中間層42cに使用するサイアロン原料粉
末として、実施例1で使用したサイアロン原料粉末b、
c、dおよびeを使用した。
【0099】支持体42aに使用する窒化ケイ素粉末に
は、実施例1の場合と同様に、焼結助剤として5重量%
のイットリアおよび2重量%のアルミナを、ボールミル
を用いて混合した。
【0100】アルミナ粉末、混合粉末41〜43、サイ
アロン原料粉末a〜e、および窒化ケイ素粉末を用い
て、実施例1と同様に焼結体を作製した。アルミナ層の
上に、混合粉末41〜43をこの順番に層状に重ねた。
さらに、サイアロン粉末a〜eを順番に層状に重ねた。
なお、界面層における各層の厚さは均一にした。表面層
45の厚さは、後述する加工後に焼結体全体の9%とな
るように調整した。その上に支持体となる窒化ケイ素粉
末を積層し、コールドプレス成形した。その後、カーボ
ンモールド中でホットプレス焼結して焼結体試料とし
た。焼結条件は、焼結温度1800℃、プレス圧力40
0kg/cm2 、焼結温度保持時間は60分である。ま
た、雰囲気は1気圧窒素とした。得られた焼結体試料
を、実施例1と同様に加工し、試料41とした。
【0101】試料41と同様の原料粉末、混合粉末およ
びサイアロン原料粉末を使用し、表面層の厚さの割合を
変えた試料を作製した。試料41と同様にアルミナ粉末
の上に、表面層の厚さの割合が焼結体全体の13%およ
び15%となるように混合粉末41〜43、サイアロン
原料粉末a〜eを同様に積層した。表面層および界面層
における各層の厚さは、試料41と同様に調整した。さ
らに、窒化ケイ素粉末を重ねて、同様に焼結体を作製し
た。得られた焼結体を同様に加工し、試料42および試
料43とした。
【0102】試料41に使用した混合粉末41、42お
よび43におけるアルミナ含有率を、それぞれ80、6
0および40重量%とした。さらに、Al含有率が20
モル%であるサイアロン原料粉末とアルミナ粉末とを混
合し、アルミナ含有率が20重量%の混合粉末44を作
製した。得られた混合粉末41〜44を界面層43に使
用した。また、サイアロン原料粉末c、dにおけるAl
含有率を、それぞれ11および6モル%とした。実施例
1と同様の原料粉末、混合粉末41〜44およびサイア
ロン粉末a、c〜eを用いて、表面層の厚さの割合を変
えた試料を作製した。サイアロン粉末aおよびeは、試
料41と同様のものを使用した。試料41と同様にアル
ミナ粉末の上に、表面層の厚さの割合が焼結体全体の1
5%となるように混合粉末41〜44、サイアロン原料
粉末aおよびc〜eを積層した。表面層および界面層に
おける各層の厚さは、試料41と同様に調整した。さら
に、窒化ケイ素粉末を重ねて、同様に焼結体を作製し
た。得られた焼結体を同様に加工し、試料44とした。
【0103】比較例として、界面層を有しない試料を作
製した。試料41と同様のアルミナ粉末、サイアロン原
料粉末aおよび窒化ケイ素粉末を使用し、試験片に加工
後の表面層の厚さの割合が、焼結体全体の15%となる
ように調整した試料を作製した。また、基体と最表面層
との間のみに界面層を有する試料を作製した。この試料
においては、混合粉末41〜43に使用する各サイアロ
ン原料粉末におけるAl含有率は、いずれもサイアロン
原料粉末aと同一にした。前記混合粉末におけるアルミ
ナ含有率は、それぞれ、試料41の場合と同様にし、試
料41と同様のアルミナ粉末、サイアロン原料粉末aお
よび窒化ケイ素粉末を用いて試料を作製した。試験片に
加工後の表面層の厚さの割合は、焼結体全体の15%と
なるようにした。得られた焼結体を同様に加工し、それ
ぞれ、試料45および46とした。
【0104】以上の試料について、実施例1と同様に、
JISに基づく3点曲げ試験を行ない、室温における強
度を求めた。強度測定の際は、アルミナ側に引張り応力
がかかるように試料をセットして行なった。得られた測
定結果を、各試料の界面層の組成および表面層厚さとと
もに表7に示す。
【0105】
【表7】
【0106】表7から、界面層を有しない試料45と、
試料45の最表面層の厚さと同じ厚さの表面層を有する
試料43とを比較すると、試料45の強度は、試料43
の約半分程度である。これにより、アルミナ含有率およ
びAl固溶率を徐々に変化させた界面層が、強度を向上
させるために必要であることがわかる。また、試料41
〜43の結果から、表面層の厚さの割合は小さい方が、
強度が大きいことが示される。
【0107】また、試料43および試料45について、
実施例1と同様に、試料表面から内部へ向けてEPMA
により、Alの分布(Al/(Al+Si))を調べ
た。その結果を図7に示す。
【0108】図7において、縦軸は任意単位(a.
u.)を示す。図7より、試料43は、最表面のアルミ
ナ層と基体最上層との間の界面層、および基体最上層と
支持体との間の基体界面中間層において、Alの量が次
第に減少していることがわかる。一方試料45は、界面
層を有さず、アルミナ層、サイアロン層および窒化ケイ
素層を、単に接合させた構造となっていることがわか
る。上述した試料43と試料45との強度の違いは、こ
の構造の違いによるものである。
【0109】さらに、試料43および試料46を用い
て、実施例1と同様に、サイアロン粒子中のAlの固溶
率をエネルギー分散型X線分析(EDS)で分析した。
分析結果を表8に示す。
【0110】
【表8】
【0111】上述の結果から、試料43においては、表
面から内部へ向けて、界面層部分でAlの量が次第に減
っており、また、サイアロン中のAl固溶率も次第に減
少していること、また試料46においては、界面層内の
サイアロン中のAl固溶率は、ほぼ一定であることがわ
かる。
【0112】以上の結果から、表面にサイアロンを有す
る窒化ケイ素を基体とし、この基体の表面にアルミナか
らなる最表面層を有するセラミックス焼結体であって、
アルミナ最表面層とサイアロンとの間の界面層におい
て、アルミナ層から内部のサイアロンへ向かって、アル
ミナ含有率を連続的または不連続的に減少させ、この界
面層に存在するサイアロン内のAl固溶率を、アルミナ
側からサイアロン層へ向って連続的または不連続的に減
少させること、さらにサイアロン層と窒化ケイ素との間
の界面中間層において、サイアロン層側から内部の窒化
ケイ素へ向かって、連続的または不連続的にAl固溶率
を減少させることによって、引張りの残留応力を緩和さ
せることができる。さらに、窒化ケイ素以外の全ての層
を含む、表面層の厚さを、焼結体全体の15%以下にす
ることにより、最表面層をアルミナとすることによる強
度の低下が緩和されることになる。 (実施例5)図8に本発明のセラミックス焼結体の第5
の実施例の断面図を示す。
【0113】本実施例の窒化ケイ素系セラミックス焼結
体51は、多層構造の基体52と、多層構造の保護体5
7とが、界面層53を介して一体化された構造を有す
る。基体52は、支持体52aと基体最上層52bと
が、界面中間層52cを介して一体化されたものであ
る。保護体57は、最表面層56と界面層53上に形成
されたバッファー層54とが、界面中間層55を介して
一体化されたものである。支持体52aは、窒化ケイ素
からなり、焼結体の強度、靭性等を保つ機能を有してい
る。
【0114】基体最上層52bは、実施例4の焼結体4
1における基体最上層42bと同様に、サイアロンから
なる。この基体最上層52bは、実施例4の場合と同様
に、機械的性質に連続性を持たせる働きを有しており、
焼結体の強度低下を防止することができる。
【0115】支持体52aと基体最上層52bとの間に
存在する界面中間層52cは、実施例1の焼結体11に
おける界面層13と同様に、基体最上層52b側から支
持体52a側へ向けて、Al固溶率を徐々に減少させた
サイアロンからなる。界面中間層52c内のAl固溶率
も、同様に、基体最上層52bとの界面における、基体
最上層52b中のAl固溶率から、支持体52aとの界
面における、実質的に0%に至るまで、漸減している。
このAl固溶率の変化は、連続的であっても不連続的
(すなわち、段階的)であってもよい。
【0116】最表面層56は、実質的にアルミナのみか
らなる。この最表面層56は、耐酸化性および耐食性に
優れたアルミナで形成されているので、基体52が酸化
または腐食雰囲気に直接さらされるのを防止する。
【0117】バッファー層54は、実施例3の焼結体3
1におけるバッファー層34と同様にムライトからな
る。このバッファー層54は、機械的性質に連続性を持
たせる働きを有しており、焼結体の強度低下を防止する
ことができる。
【0118】基体52とバッファー層54との間に存在
する界面層53は、実施例3の焼結体31における界面
層33と同様に、サイアロンをマトリックスとし、その
中にムライトを分散させた構造である。界面層53内の
ムライト含有率、および界面層53内のサイアロンにお
けるAl固溶率もまた、実施例3の場合と同様に漸減し
ている。
【0119】さて、バッファー層54と最表面層56と
の間に存在する界面中間層55は、実施例3の焼結体3
1における界面中間層35と同様に、ムライトをマトリ
ックスとし、その中にアルミナを分散させた構造であ
る。界面中間層55内のアルミナ含有率もまた、実施例
3の場合と同様に漸減している。
【0120】最表面層56、界面中間層55、バッファ
ー層54、界面層53、基体最上層52bおよび界面中
間層52cを含む、支持体52a以外の表面層58の厚
さは、焼結体51全体の厚さの15%以下とすることが
好ましい。アルミナ本来の高い耐酸化性等の効果を十分
に発揮させるため、ある程度の厚さが必要であるが、1
5%を越えると、アルミナの影響が大きくなり、焼結体
の強度および靭性が低下するためである。
【0121】本実施例の焼結体51は、アルミナ粉末、
複数のムライト/アルミナ混合粉末、ムライト粉末、複
数のサイアロン原料/ムライト粉末、複数のサイアロン
粉末および窒化ケイ素粉末をモールド中に積層した後、
成形、焼結して作製することができる。
【0122】支持体52aの原料となる窒化ケイ素粉末
には、実施例1の焼結体11における基体13の場合と
同様に、焼結助剤としてのイットリアおよびアルミナ
を、ボールミルで混合する。
【0123】基体最上層52bの原料としては、実施例
1の焼結体11における最表面層14に使用したサイア
ロン原料粉末を使用する。この原料粉末は、実施例1の
場合と同様に、窒化ケイ素粉末とアルミナ粉末とを、ボ
ールミルを用いて混合して調製する。また、界面中間層
52cの原料としては、実施例1の焼結体11における
界面層13に使用した複数のサイアロン原料粉末を使用
する。
【0124】界面層53の原料としては、実施例3の焼
結体31における界面層33の場合と同様に、Al含有
率の異なるサイアロン原料粉末に、ムライト粉末の割合
を段階的に変化させて混合し、調製した複数の混合粉末
を使用する。サイアロン原料粉末の作製および、混合粉
末の混合割合および混合方法も、実施例3の場合と同様
である。この界面層は、得られた混合粉末を、前述と同
様に積層して、作製する。バッファー層54の原料とし
ては、実施例3の焼結体31におけるバッファー層34
に使用したムライト粉末を使用する。
【0125】保護体57の界面中間層55の原料として
は、実施例3の焼結体31における界面中間層35の場
合と同様に、アルミナ粉末の含有率を段階的に変化させ
てムライト粉末に混合し、調製した数種の混合粉末を使
用する。混合の際は、上述と同様にボールミルを用い
る。また、界面中間層55は、前記の混合粉末を、同様
に積層して作製する。
【0126】こうして準備された各原料粉末を用いて、
本実施例の焼結体を製造するに当たり、まず、任意形状
のモールド中にアルミナ粉末を準備し、その上に、界面
中間層55を形成する混合粉末をアルミナ含有率の大き
いものから順に積層する。次に、ムライト粉末、界面層
53を形成する混合粉末を、ムライト含有率の大きい順
に積層する。さらに、基体最上層52bおよび界面中間
層52cを形成するサイアロン原料粉末を、Al含有率
の大きい順に積層する。その後、窒化ケイ素を積層し、
コールドプレスにより予備成形体を作製する。得られた
予備成形体をホットプレス焼結して、本実施例の焼結体
51が得られる。以下に、本実施例を具体的に説明す
る。
【0127】本実施例の窒化ケイ素系セラミックス焼結
体の原料として、アルミナ粉末、ムライト粉末および窒
化ケイ素粉末を使用した。最表面層56には、100%
のアルミナ粉末を用い、保護体57の界面中間層55に
は、アルミナ粉末の割合を変えてムライト粉末に混合し
て得られた3種類の混合粉末を用いた。これらの混合粉
末は、実施例3の場合と同様に、ムライト粉末およびア
ルミナ粉末を、ボールミルを用いて混合した後、乾燥し
て調製した。各混合粉末におけるアルミナ含有率(Al
2 3 /(Al2 3 +ムライト))は、75、50、
および25重量%とし、それぞれ混合粉末51、52、
および53とした。バッファー層54には、実施例3の
場合と同様のムライト粉末を使用した。
【0128】界面層53には、実施例3の焼結体31に
おける界面層33の場合と同様に、Al含有率の異なる
サイアロン原料粉末に、ムライト粉末の割合を変えて混
合して得られた4種類の混合粉末を用いた。これらの混
合粉末は、実施例3の場合と同様に、窒化ケイ素粉末、
アルミナ粉末およびムライト粉末を、ボールミルを用い
て混合した後、乾燥して調製した。各混合粉末における
サイアロン中のAl含有率(Al/(Al+Si))
は、70、50、30および20モル%となるようにし
た。また、それぞれの混合粉末におけるムライト含有率
(ムライト/(ムライト+Al2 3 +サイアロン))
は、80、60、40および20重量%とし、それぞれ
混合粉末54、55、56および57とした。
【0129】基体最上層52bに使用するサイアロン原
料粉末は、実施例1で使用したサイアロン原料粉末aで
あり、実施例1と同様に、窒化ケイ素粉末とアルミナ粉
末とをボールミルを用いて混合することにより作製し
た。基体52の界面層52cに使用するサイアロン原料
粉末として、実施例1で使用したサイアロン原料粉末
b、c、dおよびeを使用した。
【0130】支持体52aに使用する窒化ケイ素粉末に
は、実施例1の場合と同様に、焼結助剤として5重量%
のイットリアおよび2重量%のアルミナを、ボールミル
を用いて混合した。
【0131】アルミナ粉末、混合粉末51〜57、ムラ
イト粉末、サイアロン原料粉末a〜e、および窒化ケイ
素粉末を用いて、実施例1と同様に焼結体を作製した。
アルミナ層の上に、混合粉末51〜53、ムライト粉末
および混合粉末54〜57を、この順番に層状に重ね
た。さらに、サイアロン原料粉末a〜eを順番に層状に
重ねた。なお、界面層における各層の厚さは均一にし
た。表面層58の厚さは、後述する加工後に焼結体全体
の9%となるように調整した。その上に支持体となる窒
化ケイ素を積層し、コールドプレス成形した。その後、
カーボンモールド中でホットプレス焼結して焼結体試料
とした。焼結条件は、焼結温度1800℃、プレス圧力
400kg/cm2 、焼結温度保持時間は60分であ
る。また、雰囲気は、1気圧窒素とした。得られた焼結
体試料を、実施例1と同様に加工し、試料51とした。
【0132】試料51に使用した混合粉末55〜57に
含まれる各サイアロン原料粉末におけるAl含有率を、
それぞれ60、40および30モル%とした。各混合粉
末におけるムライト含有率は、試料51の場合と同様に
した。さらに、サイアロン原料粉末b、cおよびdにお
けるAl含有率を、それぞれ15、12および5モル%
とした。その他の粉末は、試料51と同様のものを使用
して、表面層の厚さの割合を変えた試料を作製した。試
料51と同様にアルミナ粉末の上に、表面層の厚さの割
合が焼結体全体の13%となるように混合粉末51〜5
3、ムライト粉末、混合粉末54〜57およびサイアロ
ン原料粉末a〜eを同様に積層した。表面層および界面
層における各層の厚さは、試料51と同様に調整した。
さらに、窒化ケイ素粉末を重ねて、同様に焼結体を作製
した後、同様に加工し、試料52とした。
【0133】試料51と同様の各粉末を使用し、表面層
の厚さの割合を変えた試料を作製した。表面層の厚さが
焼結体全体の15%となるように、試料51の場合と同
様に各粉末を積層した。さらに、同様の手順で焼結体を
作製した後、同様に加工し、試料53とした。
【0134】比較例として、試料51と同様のアルミナ
粉末、ムライト粉末、サイアロン原料粉末を使用し、界
面層を有しない試料を作製した。試験片に加工後の表面
層の厚さの割合は、焼結体全体の15%となるように調
製した。また、バッファー層と基体との間にのみ、界面
層を有する試料を作製した。この試料においては、試料
51に使用した混合粉末54〜57に含まれるサイアロ
ン原料粉末におけるAl含有率を、いずれもサイアロン
原料粉末aと同一にした。前記混合粉末におけるムライ
ト含有率は、試料51と同様にした。また、アルミナ粉
末、ムライト粉末、サイアロン原料粉末aも、試料51
と同様の各粉末を用いて試料を作製した。試験片に加工
後の表面層の厚さの割合は、焼結体全体の15%となる
ようにした。得られた焼結体を同様に加工し、それぞれ
試料54および55とした。
【0135】以上の試料について、実施例1と同様に、
JISに基づく3点曲げ試験を行ない、室温における強
度を求めた。強度測定の際は、アルミナ側に引張り応力
がかかるように試料をセットして行なった。得られた測
定結果を、各試料の界面層の組成および表面層厚さとと
もに表9に示す。
【0136】
【表9】
【0137】表9から、界面層を有しない試料55と、
試料55の表面層の厚さと同じ厚さの表面層を有する試
料53とを比較すると、試料55の強度は著しく小さ
い。これにより、アルミナ含有率およびAl固溶率を徐
々に変化させたサイアロンを含む界面層が、強度を向上
させるために必要であることがわかる。また、表面層の
厚さの割合は小さい方が、強度が大きいことが示され
る。
【0138】また、試料53および試料54について、
実施例1と同様に、試料表面から内部へ向けてEPMA
により、Alの分布(Al/(Al+Si))を調べ
た。その結果を図9に示す。
【0139】図9において、縦軸は任意単位(a.
u.)を示す。図9より、試料53は、最表面のアルミ
ナ層とバッファー層との間の界面中間層およびバッファ
ー層と支持体との間の界面層、基体最上層および界面中
間層において、Alの量が次第に減少していることがわ
かる。一方試料54は、界面層を有さず、アルミナ層、
ムライト層、サイアロン層および窒化ケイ素層を、単に
接合させた構造となっていることがわかる。上述した試
料53と試料55との強度の違いは、この構造の違いに
よるものである。
【0140】さらに、試料53および試料55を用い
て、実施例1と同様に、サイアロン粒子中のAlの固溶
率をエネルギー分散型X線分析(EDS)で分析した。
分析結果を表10に示す。
【0141】
【表10】
【0142】上述の結果から、焼結体53においては、
表面から内部へ向けて、各界面層部分で、Alの量が次
第に減っており、また、サイアロン中のAl固溶率も次
第に減少していることがわかる。また、試料55におい
ては、基体最上層と支持体との間の界面中間層におい
て、若干Alが固溶しているが、界面中間層内のAl固
溶率はほぼ一定であることがわかる。
【0143】以上述べた結果から、表面にサイアロンを
有する窒化ケイ素を基体とし、この表面に、アルミナか
らなる最表面層とムライトからなるバッファー層とを含
む保護体を有するセラミックス焼結体であって、アルミ
ナ最表面層とムライト層との間の界面中間層において、
アルミナ層からムライト層へ向かって、連続的または不
連続的にアルミナ含有率を減少させること、ムライトと
サイアロンとの間の界面層においてムライト層からサイ
アロン層へ向かって、連続的または不連続的にムライト
含有率を減少させ、さらにこの界面層に存在するサイア
ロン内のAl固溶率を連続的または不連続的に減少させ
ること、また、サイアロンと窒化ケイ素との間の界面中
間層において、Al固溶率を連続的または不連続的に減
少させることによって、引張りの残留応力を緩和するこ
とができる。さらに、窒化ケイ素以外の全ての層を含
む、表面層の厚さを、焼結体全体の15%以下にするこ
とにより、最表面層をアルミナとすることによる強度の
低下を緩和することができる。
【0144】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の態
様により、強度特性および破壊靭性の低下を緩和し、か
つサイアロンと同等の耐酸化性および耐食性を有する、
高温用構造材料に適したセラミックス焼結体を提供する
ことができる。
【0145】また、表面にサイアロンを有する基体の最
表面をアルミナとした、本発明の他の態様により、さら
に高温においても使用が可能な、セラミックス焼結体を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の窒化ケイ素系セラミックス焼結体の
断面構造を示す図。
【図2】実施例2のサイアロン系セラミックス焼結体の
断面構造を示す図。
【図3】実施例2のサイアロン系セラミックス焼結体の
深さ方向におけるAlの濃度変化を示す図。
【図4】実施例3のサイアロン系セラミックス焼結体の
断面構造を示す図。
【図5】実施例3のサイアロン系セラミックス焼結体の
深さ方向におけるAlの濃度変化を示す図。
【図6】実施例4の窒化ケイ素系セラミックス焼結体の
断面構造を示す図。
【図7】実施例4の窒化ケイ素系セラミックス焼結体の
深さ方向におけるAlの濃度変化を示す図。
【図8】実施例5の窒化ケイ素系セラミックス焼結体の
断面構造を示す図。
【図9】実施例5の窒化ケイ素系セラミックス焼結体の
深さ方向におけるAlの濃度変化を示す図。
【符号の説明】
11…窒化ケイ素系セラミックス焼結体,12…基体,
13…界面層 14…最表面層,15…表面層,21…サイアロン系セ
ラミックス焼結体 22…基体,23…界面層,24…最表面層,25…表
面層 31…サイアロン系セラミックス焼結体,32…基体,
33…界面層 34…バッファー層,35…界面中間層,36…最表面
層,37…保護体層 38…表面層,41…窒化ケイ素系セラミックス焼結
体,42…基体 42a…支持体,42b…基体最上層,42c…界面中
間層,43…界面層 44…最表面層,45…表面層,51…窒化ケイ素系セ
ラミックス焼結体 52…基体,52a…支持体,52b…基体最上層,5
2c…界面中間層 53…界面層,54…バッファー層,55…界面中間
層,56…最表面層 57…保護体層,58…表面層。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ケイ素からなる基体と、サイアロン
    からなる最表面層とが、Al固溶率に傾斜を有するサイ
    アロンからなる界面層を介して一体化されたセラミック
    ス焼結体であって、該界面層に存在するサイアロンにお
    けるAl固溶率が、最表面層におけるサイアロン中のA
    l固溶率から、実質的に窒化ケイ素になるように、該最
    表面層側から該基体に向かって漸減しており、かつ該最
    表面層と該界面層との合計の厚さが、焼結体全体の15
    %以下であることを特徴とするセラミックス焼結体。
  2. 【請求項2】 少なくとも表面層がサイアロンで形成さ
    れた基体と、少なくとも表面層がアルミナで形成された
    保護体とが、サイアロンおよびアルミナを含む材料で形
    成された界面層を介して一体化されたセラミックス焼結
    体であって、該界面層において、アルミナの量が、該保
    護体側から該基体に向かって漸減しており、かつ、該界
    面層に含まれるサイアロンにおけるAl固溶率が、最終
    的に該基体表面層におけるAl固溶率まで、該保護体側
    から該基体に向かって漸減していることを特徴とするセ
    ラミックス焼結体。
  3. 【請求項3】 基体がサイアロンからなり、保護体がア
    ルミナからなり、かつ該基体を除いた全ての層の合計の
    厚さが、焼結体全体の15%以下である、請求項2に記
    載のセラミックス焼結体。
  4. 【請求項4】 基体がサイアロンからなり、保護体が、
    ムライトからなるバッファー層を有し、アルミナ最表面
    層と該バッファー層との間に、ムライトおよびアルミナ
    を含む材料で形成された界面中間層を有し、該界面中間
    層において、アルミナ含有率が、該最表面層側から該バ
    ッファー層側に向かって漸減しており、かつ該サイアロ
    ンからなる基体を除いた全ての層の合計の厚さが、焼結
    体全体の15%以下である、請求項2に記載のセラミッ
    クス焼結体。
  5. 【請求項5】 基体が、サイアロン表面層を支持する窒
    化ケイ素からなる支持体を有し、該サイアロン表面層と
    該支持体との間に、Al固溶率に傾斜を有するサイアロ
    ンからなる界面中間層を有し、該界面中間層に存在する
    サイアロンにおけるAl固溶率が、該サイアロン表面層
    におけるAl固溶率から、実質的に窒化ケイ素になるよ
    うに、該サイアロン表面層側から該支持体に向かって漸
    減しており、保護体がアルミナからなり、かつ、窒化ケ
    イ素からなる支持体を除いた全ての層の合計の厚さが、
    焼結体全体の15%以下である、請求項2に記載のセラ
    ミックス焼結体。
  6. 【請求項6】 基体が、サイアロン表面層を支持する窒
    化ケイ素からなる支持体を有し、該サイアロン表面層と
    該支持体との間に、Al固溶率に傾斜を有するサイアロ
    ンからなる界面中間層を有し、該基体の界面中間層に存
    在するサイアロンにおけるAl固溶率が、該サイアロン
    表面層におけるAl固溶率から、実質的に窒化ケイ素に
    なるように、該サイアロン表面層側から該支持体に向か
    って漸減しており、保護体が、ムライトからなるバッフ
    ァー層を有し、アルミナ最表面層と該バッファー層との
    間に、ムライトおよびアルミナを含む材料で形成された
    界面中間層を有し、該保護体の界面中間層において、ア
    ルミナ含有率が、該最表面層側から該バッファー層側に
    向かって漸減しており、かつ、窒化ケイ素からなる支持
    体を除いた全ての層の合計の厚さが、焼結体全体の15
    %以下である、請求項2に記載のセラミックス焼結体。
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