JPH06191953A - 窒化アルミニウム質焼結体 - Google Patents

窒化アルミニウム質焼結体

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JPH06191953A
JPH06191953A JP43A JP34750292A JPH06191953A JP H06191953 A JPH06191953 A JP H06191953A JP 43 A JP43 A JP 43A JP 34750292 A JP34750292 A JP 34750292A JP H06191953 A JPH06191953 A JP H06191953A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】窒化アルミニウムを主成分として、例えば、E
r、Ybを含み、さらにY、Dy、Ho、Tm、Luか
ら選ばれる少なくとも1種を含む3種以上の金属元素を
含む複合共融酸化物を0.1乃至20重量%の割合で含
有する焼結体であって、窒化アルミニウム結晶相の粒界
にYAG相またはYAP相を主体とする結晶相を含むこ
とを特徴とする。 【効果】焼結体の表面におけるシミの発生がなく、高熱
伝導性を有する焼結体を得ることができるとともに、助
剤成分を安価に入手することができるために、焼結体の
コストを低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒化アルミニウムを主
成分とする焼結体に関するもので、詳細には高熱伝導性
を有するとともに表面にシミなどがない均質でしかも、
安価に製造することのできる窒化アルミニウム質焼結体
に関する。
【0002】
【従来技術】従来から、窒化アルミニウム質焼結体は、
窒化珪素や炭化珪素と並び、高強度の非酸化物セラミッ
クスの1種として、構造用材料などへの応用が進められ
たが、窒化アルミニウムは上記特性に加え、高熱伝導性
を有することから放熱性材料としての応用も進められて
おり、例えば、半導体素子を搭載する基板や多層配線基
板、ヒートシンク材料などへ応用されている。
【0003】かかる窒化アルミニウム質焼結体は、一般
に焼結性を促進させるためにYなどの周期律表第3a族
元素や、Caなどのアルカリ土類元素の酸化物を添加
し、非酸化性雰囲気中で焼成することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】これまでの窒化アル
ミニウム質焼結体によれば、焼結助剤として添加される
周期律表第3a族元素酸化物などは通常、高純度の単一
元素酸化物からなるが、このような単一元素酸化物成分
からなる場合、焼成時の昇温過程において液相化が急激
に生じる傾向にある。このように液相化が急激に進行す
ると液相が凝集しし易くなるために粒界には例えば、R
4 Al2 9 (RE:希土類元素)の式で表されるよ
うなYAM相が生成される。
【0005】本出願人は、先に焼結体の粒界の結晶相と
焼結体表面のシミの発生との関係について研究したとこ
ろ、YAM相が生成するとシミの発生がより顕著になる
問題があることを知見しているが、上記の単一元素酸化
物系ではシミの発生を抑制するYAGやYAPなどの結
晶相の生成する最適温度領域が狭くなり、YAMの生成
を抑制できないのが現状であった。
【0006】また、周期律表第3a族元素酸化物は希土
類元素酸化物などに代表されるように非常に高価な材料
であり、このような高価な材料の添加により窒化アルミ
ニウム焼結体の製造コストを高め、かかる焼結体の普及
を阻害するなどの問題があった。
【0007】
【問題点を解決するための手段】そこで、本発明者は、
粒界にYAGまたはYAPの生成を促進させるとともに
焼結体のコストを低減することのできる組成系について
検討を加えた結果、窒化アルミニウムに添加する周期律
表第3a族元素酸化物として、特定の複数の金属元素を
主体とする複合共融酸化物を用いることにより、上記問
題を解決できることを知見し、本発明に到った。
【0008】即ち、本発明の窒化アルミニウム焼結体
は、窒化アルミニウムを主成分として、少なくとも3種
以上の周期律表第3a族元素を含む複合共融酸化物を
0.1乃至20重量%の割合で含有する焼結体であっ
て、窒化アルミニウム結晶相の粒界にYAG相またはY
AP相を主体とする結晶相を含み、実質的にYAM相が
存在しないことを特徴とするもので、特に、前記複合共
融酸化物として、Er、Ybを含み、さらにY、Dy、
Ho、Tm、Luから選ばれる少なくとも1種を含むこ
とを特徴とするものである。
【0009】以下、本発明を詳述する。本発明によれ
ば、窒化アルミニウムに添加される焼結助剤として少な
くとも3種以上の希土類元素を含む複合共融酸化物を用
いることが大きな特徴である。この複合共融酸化物は、
具体的にはEr、Ybを含み、さらにY、Dy、Ho、
Tm、Luから選ばれる少なくとも1種を含むことが望
ましい。この複合共融酸化物は、焼結体全量に対して
0.1乃至20重量%、特に2乃至15重量%の割合で
含有される。
【0010】また、窒化アルミニウム焼結体は窒化アル
ミニウム結晶相とその結晶相の粒界により形成される
が、本発明によれば、粒界に周期律表第3a族元素とア
ルミニウムのガーネット型結晶または周期律表第3a族
元素とアルミニウムのペロブスカイト型結晶相が主とし
て形成され、実質的にメリライト(YAM)相を含まな
いことを特徴とするものである。これによりシミのない
助剤成分が均一に分散された焼結体を得ることができ
る。なお、実質的に存在しないとは、X線回折測定にお
いて検出されないことを意味する。
【0011】さらに、本発明の窒化アルミニウム焼結体
は、窒化アルミニウムの結晶粒径は平均で4乃至10μ
mの範囲であることが高熱伝導化の点で望ましく、さら
に焼結体中に含有される総酸素量も熱伝導率を高める上
で2.5重量%以下であることが望ましい。
【0012】本発明の窒化アルミニウム焼結体を製造す
る方法としては、まず、窒化アルミニウム原料粉末に、
少なくとも3種以上の希土類元素を含む複合共融酸化物
粉末を0.1乃至20重量%の割合で添加するが、窒化
アルミニウム粉末として平均粒径が0.5乃至5μm、
不純物酸素量が0.5乃至2重量%、金属不純物量が
0.1重量%以下のもの好適に使用される。
【0013】また、複合共融酸化物粉末は、Er、Yb
を含み、さらにY、Dy、Ho、Tm、Luから選ばれ
る少なくとも1種を含むものであり、かかる複合共融酸
化物粉末は、高純度のY2 3 などの単一希土類酸化物
粉末を精製する前の中間体として安価に入手することが
できる。具体的な組成としては、Er2 3 を35乃至
50重量%、Yb2 3 を20乃至40重量%の割合で
それぞれ含み、残部がHo2 3 、Tm2 3 、Dy2
3 、Lu2 3 、Y2 3 などから構成される。
【0014】その他、焼結助剤としてはCaなどのアル
カリ土類元素の酸化物などを0.001乃至10重量%
の割合で添加することもできる。
【0015】上記各原料粉末を上記割合で秤量し、さら
に成形性を高めるために有機バインダーを適量添加し、
ボールミルなどにより十分に混合する。そして、この混
合物を所望の成形手段、例えば、金型プレス,冷間静水
圧プレス,押出し成形等により任意の形状に成形する。
【0016】その後、その成形体を1600乃至195
0℃の窒素などの非酸化性雰囲気中で焼成するが、かか
る焼成においては最終的にYAGまたはYAP相を粒界
に形成することが必要である。
【0017】かかる結晶相を形成させるためには、例え
ば、系中の全酸素量の周期律表第3a族元素の総量に対
する重量比(O/RE)が0.287乃至0.4の範囲
になるように制御することがよい。即ち、上記重量比が
0.287より小さいとYAM相の析出が多くなり、シ
ミの発生を促すためである。
【0018】
【作用】通常、窒化アルミニウムに対して焼結性を改善
するために添加される助剤として用いられるY2 3
どの周期律表第3a族元素酸化物は、高純度単一元素酸
化物から構成される場合、その液相生成温度は固有の値
を有する。そのため、単一の助剤成分を用いた場合には
焼成時の昇温過程でその成分の液相生成温度に到達する
と急激に液相が生成し、液相成分が凝集し易くなり、シ
ミなどを発生させてしまう。
【0019】これに対して、本発明に基づき、例えば、
Er、Ybを含み、さらにY、Dy、Ho、Tm、Lu
などからなるような少なくとも3種以上の周期律表第3
a族元素を含む複合共融酸化物を用いると、液相生成温
度が異なる複数の成分が存在するために、液相の生成が
昇温過程において徐々に生じるために、液相成分の均一
化が促進され、焼結体の表面におけるシミなどの発生が
防止される。
【0020】また、粒界の結晶相成分としてYAM相よ
りもYAG相またはYAP相を形成させるとさらにシミ
の発生が抑制される。
【0021】さらに、本発明における複合共融酸化物
は、例えば高純度のY2 3 などの単一希土類酸化物粉
末を精製する前の中間体として入手することができるこ
とから、単一成分の高純度品に比較して非常に安価に入
手することができ、これにより焼結体の製造コストを低
減することができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を次の例で説明する。 実施例 原料粉末として、平均粒径1.5μm、BET比表面積
2.7m2 /g、酸素量1.1重量%の窒化アルミニウ
ム原料Aと、平均粒径4.5μm、BET比表面積2.
2m2 /g、酸素量1.3重量%の窒化アルミニウム原
料Bの2種を準備した。また、助剤として表1に示す組
成からなる複合共融酸化物粉末を準備した。次に、上記
原料を用いて表2に示す割合で秤量混合し、かかる混合
物をポリポット中にて10時間ボールミル混合した。そ
の後、その混合物を80℃で10時間乾燥し、これにパ
ラフィンワックスを5重量%添加し、80メッシュの篩
いを通した。その粉末を1ton/cm2 の圧力で厚み
4mm、直径12mmの円板形状に成形した。これを5
50℃で脱バインダー処理した後、表2に示す条件で焼
成した。
【0023】得られた焼結体に対して、アルキメデス法
に基づき相対密度を測定し、またレーザーフラッシュ法
により厚み2mmの試料として熱伝導率を測定した。さ
らに、X線回折測定によりAlN以外の結晶相の同定、
焼結体の双眼顕微鏡および目視により焼結体表面のシミ
の発生を有無を調べた。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】表2によれば、本発明に基づき、複合共融
酸化物を用いた試料は、従来の単一元素酸化物粉末を用
いた試料No.5およびNo.10に比較してYAMの生成
を抑制しシミの発生を回避することができるが、酸素量
などとの関係から複合共融酸化物を用いてもYAMが生
成された試料No.4では、焼結体にシミの発生が認めら
れた。
【0027】なお、本発明の試料のその他の特性とし
て、熱膨張係数(40〜400℃)4.8〜4.9×1
-6/℃、体積固有抵抗1013Ω−cm以上、誘電率
8.5〜8.7、抗折強度(JISR1601規格によ
る3点曲げ強度)35kg/mm2 以上が達成された。
【0028】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明によれば、
窒化アルミニウムに対する助剤成分として、複数の金属
元素を含む周期律表第3a族元素の複合共融酸化物を用
いるとともに特定の結晶相を析出させることにより、焼
結体の表面におけるシミの発生がなく、高熱伝導性を有
する焼結体を得ることができる。さらに、助剤成分を安
価に入手することができるために、焼結体のコストを低
減することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化アルミニウムを主成分として、少なく
    とも3種以上の周期律表第3a族元素を含む複合共融酸
    化物を0.1乃至20重量%の割合で含有する焼結体で
    あって、窒化アルミニウム結晶相の粒界にYAG相また
    はYAP相を主体とする結晶相を含み、実質的にYAM
    相が存在しないことを特徴とする窒化アルミニウム質焼
    結体。
  2. 【請求項2】前記複合共融酸化物は、Er、Ybを含
    み、さらにY、Dy、Ho、Tm、Luから選ばれる少
    なくとも1種を含む請求項1記載の窒化アルミニウム質
    焼結体。
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