JP2008024561A - セラミックス−金属接合部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミックス層にクラック等の欠陥が発生せず、接合強度が良好で耐久性および信頼性に優れたセラミックス−金属接合部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】セラミックス体2aと金属体3aとの間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層4aを介してセラミックス体2aと金属体3aとを一体に接合したセラミックス−金属接合部品1aであり、上記セラミックス体2aと金属体3aとの接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層4aの厚さが、上記接合領域の中央部から接合外周縁に向かって厚く形成されていることを特徴とするセラミックス−金属接合部品1aである。
【選択図】 図2
【解決手段】セラミックス体2aと金属体3aとの間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層4aを介してセラミックス体2aと金属体3aとを一体に接合したセラミックス−金属接合部品1aであり、上記セラミックス体2aと金属体3aとの接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層4aの厚さが、上記接合領域の中央部から接合外周縁に向かって厚く形成されていることを特徴とするセラミックス−金属接合部品1aである。
【選択図】 図2
Description
本発明はセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス金属接合部品およびその製造方法に係り、特に熱応力緩和のための中間層を改良してセラミックス体にクラック等の欠陥を発生せず、接合強度が良好で耐久性および信頼性に優れたセラミックス−金属接合部品およびその製造方法に関する。
一般に、セラミックスは、特に高温における強度、耐食性、耐摩耗性等の機械的性質、熱伝導、遮熱等の熱的特性、および各種の電気・電子的特性、光学的特性に優れた特徴を有するために、広い技術分野で適用がなされてきている。しかしながら、上記の優れた特徴を有する一方で、セラミックスは一般に脆性が高く難加工性の材料であるため、さらに多くの技術分野で利用するためには障害も多く解決しなければならない課題がある。
従来からセラミックス同士を接合した複合部品、あるいはセラミックスと金属を始めとした他の材料との接合部品は、セラミックスの脆性等の弱点を他の材料によって補う有効な手段の一つであるため、古くから精力的に研究開発が継続されてきている。
大阪大学産業科学研究所・菅沼の解説報文(セラミックス材料学(平成12年2月2日発行))を参照すると、従来から広く実施されてきたセラミックスを対象とする接合技術を大別すると、ろう付け法、固相接合法、溶接法、溶湯接合法、に分類される。この他に、最も簡便な接合方法である機械的接合法としては、ボルト締めや冷やし嵌め、鋳ぐるみなどがある。実際に、構造用セラミックスとして実用化されている接合部品の多くが、この方法によって接合されている。また、上記機械的接合方法は、一つの有効な接合方法として実用化されており、具体的にはターボチャージャー・ローターに適用した接合部品から実証されるように、適切な設計の支援を受ければ500℃の運転温度までの耐熱強度および信頼性は十分に保障されている。
しかしながら、これらの従来の接合方法では一般に接合部に高度な気密性を実現することは困難であるとされている。さらに、簡単な接合方法の一つとして接着剤を用いる方法も採用されている。また、レーザーや電子ビームを用いた溶融接合では熱的には安定な接合組織が形成されるが、溶融層における粒成長や残留気泡、残留熱応力などの問題があり、必ずしも高い接合性や耐久性が得られない問題がある。さらに、摩擦圧接法では、軟質な金属とセラミックスとの接合に限定されるため、接合部品の適用分野が狭い範囲に限定されてしまう問題点が指摘されている。また、固相接合法およびろう付け法に関しては、従来から最も盛んに研究開発が継続的に実施されている。
さらに、前記の解説報文によれば、接合体(接合部品)の接合界面近傍に発生する熱応力の悪影響を軽減するために、セラミックス体と金属体との間に介装する中間層について、様々な構造が考案されており、それらの代表的なものは、軟質金属中間層、軟質金属・低熱膨張硬質金属積層中間層、傾斜組成制御中間層、縦割れ構造中間層であると総括されている。これらの中間層構造の中で、高強度接合に成功した例は、軟質金属中間層、軟質金属・低膨張硬質金属積層中間層等であるが、前者の中間層を有する接合部品は、熱疲労を繰り返して受ける高温材料には不適である一方、後者の中間層を有する接合部品は、接合面積が比較的小さな部品に用途が限定されるなどの欠点があり、まだまだ改良の余地があると結論付けられている。
上記中間層の具体的な構造については、従来から以下のような特許文献に各種提案されている。すなわち、セラミックス体と金属体とを接合した後に、中間層近傍に圧痕を形成することにより、接合強度の向上を図る手法が提案されている。これは、接合部に生じた残留応力を圧子の押込み操作により開放を図り、接合強度向上を達成するものと理解される(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
また、接合部に生じる応力を緩和できる中間層として好適な軟質金属の材質が種々提案されている(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。さらに、接合部に生じる応力を緩和できる中間層の好適な厚さが種々提案されており、また軟質金属の材質を規定すると共に、過度に中間層が薄い場合には接合性の改善効果が限定されることが記載されている(例えば、特許文献5および特許文献6参照)。
さらに、金属体からセラミックス体にかけて厚さ方向に組成を傾斜させた中間層を設け、セラミックス体と金属体との中間的な特性を有する層を挟み込むことによりマッチングを狙い、この傾斜組成によって接合部の応力緩和を実現する構造も開示されている(例えば、特許文献7参照)。また、接合界面近傍に空間を形成することにより、中間層の変形能を増大させて応力緩和を実現する構造も開示されている(例えば、特許文献8参照)。さらに、上記変形能を効果的に発現させるための中間層の好適な硬さについても規定されている(例えば、特許文献9参照)。
特開2000−178083号公報
特開2000−178080号公報
特開平11−195854号公報
特開平10−5992号公報
特開平9−30870号公報
特開平7−25674号公報
特開平8−213512号公報
特開平7−277847号公報
特開平7−247177号公報
しかしながら、上記従来の接合技術に基づくセラミックス金属接合部品においては、セラミックスと金属との接合可能サイズは未だに小さく、比較的に小型の接合部品に限定される傾向があり、大型の構造部品としては実用化が困難であった。またセラミックスと金属との接合強度についても比較的低い値に留まっているために、構造強度に難点が有り、信頼性および耐久性に問題があるために、その用途が、比較的に重要度が低い部位に限定されているのが現状である。
本発明は上記従来技術に起因する問題点を解決するためになされたものであり、特にセラミックス層にクラック等の欠陥が発生せず、接合強度が良好で耐久性および信頼性に優れたセラミックス−金属接合部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らはセラミックス体と金属体との接合部品において熱膨張差によって両部材間に発生する残留応力を効果的に抑制できる軟質材料から成る中間層の構造を種々検討した。その結果、特に中間層の変形能が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなるような分布を形成した時に、上記の残留応力の発生が効果的に抑制され、クラック等の発生が無く、比較的高強度で信頼性が高い接合部品が初めて得られるという知見が得られた。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明に係るセラミックス−金属接合部品は、セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層の厚さが、上記接合領域の中央部から接合外周縁に向かって厚く形成されていることを特徴とする。
上記セラミックス体は、特に限定されるものではなく、例えば窒化けい素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)などの窒化物系セラミックス、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)などの酸化物系セラミックス、炭化けい素(SiC)、炭化チタン(TiC)等の炭化物系セラミックス、またはほう化ランタン等のほう化物等の非酸化物系セラミックスが好適に使用できる。
上記金属体についても同様に特に限定されるものではなく、例えばFe,Ni,Co,Ti,Mo.W,Nb,Ta,Zr,Cu,Alのような金属単体またはこれらの合金が使用される。
上記中間層を構成する軟質金属としては、特に限定されるものではないが、接合する金属体より低い硬度およびヤング率を有する金属が使用される。具体的には、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、およびそれらを主成分とした合金のいずれかを使用することが好ましい。
上記構成を有するセラミックス−金属接合部品によれば、軟質金属から成る中間層の厚さが、上記接合領域の中央部から接合外周縁に向かって厚く形成されているために、中間層の変形能が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなるような分布となり、セラミックス体と金属体との接合部で熱膨張差による残留応力が特に大きくなる接合外周縁において、上記の残留応力の発生が効果的に抑制され、クラック等の発生が無く高強度で信頼性が高い接合部品が得られる。
なお、上記のような構造を有する中間層を形成する接合領域を、セラミックス体と金属体との接合領域全体とすれば残留応力の抑制効果は大きくなるが、特に残留応力の影響が大きくなる接合外周縁領域、すなわち接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域を含むように設定すればよい。
また、本発明に係るセラミックス−金属接合部品は、セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層が気孔を含み、その気孔率が接合領域の中央部から外周縁に向かって高くなる分布を有することを特徴とする。
上記構成を有するセラミックス−金属接合部品によれば、軟質金属から成る中間層の気孔率が、上記接合領域の中央部から接合外周縁に向かって高くなるように形成されているために、中間層の変形能が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなるような分布となり、セラミックス体と金属体との接合部で熱膨張差による残留応力が特に大きくなる接合外周縁において、上記の残留応力の発生が効果的に抑制され、クラック等の発生が無く高強度で信頼性が高い接合部品が得られる。
さらに、本発明に係るセラミックス−金属接合部品は、セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層が気孔を含み、その気孔径が接合領域の中央部から外周縁に向かって大きくなる分布を有することを特徴とする。
上記構成を有するセラミックス−金属接合部品によれば、軟質金属から成る中間層に含まれる気孔の径が、上記接合領域の中央部から接合外周縁に向かって大きく形成されているために、中間層の変形能が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなるような分布となり、セラミックス体と金属体との接合部で熱膨張差による残留応力が特に大きくなる接合外周縁において、上記の残留応力の発生が効果的に抑制され、クラック等の発生が無く高強度で信頼性が高い接合部品が得られる。
また、本発明に係るセラミックス−金属接合部品は、セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層は上記軟質材料より低いヤング率を有する第2材料から成る分散相を含み、その分散相の濃度が接合領域の中央部から外周縁に向かって高くなる濃度分布を有することを特徴とする。
すなわち、中間層がマトリックス材料相(M1)中に第2材料相(M2)を分散した複合材料から成り、両相のヤング率EがEM1>EM2の関係にある場合、第2相分散相の濃度分布が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなっている。
上記構成を有するセラミックス−金属接合部品によれば、中間層が上記軟質材料より低いヤング率を有する第2材料から成る分散相を含み、その分散相の濃度が接合領域の中央部から外周縁に向かって高くなる濃度分布を有するために、中間層の変形能が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなるような分布となり、セラミックス体と金属体との接合部で熱膨張差による残留応力が特に大きくなる接合外周縁において、上記の残留応力の発生が効果的に抑制され、クラック等の発生が無く高強度で信頼性が高い接合部品が得られる。
さらに、本発明に係るセラミックス−金属接合部品は、セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層は上記軟質材料より高いヤング率を有する第2材料から成る分散相を含み、その分散相の濃度が接合領域の中央部から外周縁に向かって低くなる濃度分布を有することを特徴とする。
すなわち、中間層がマトリックス材料相(M1)中に第2材料相(M2)を分散した複合材料から成り、両相のヤング率EがEM1<EM2の関係である場合には、第2相分散相の濃度分布が部品接合面の中央部から外周に向けて低くなっている中間層を用いても良い。
上記構成を有するセラミックス−金属接合部品によれば、中間層が上記軟質材料より高いヤング率を有する第2材料から成る分散相を含み、その分散相の濃度が接合領域の中央部から外周縁に向かって低くなる濃度分布を有するために、中間層の変形能が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなるような分布となり、セラミックス体と金属体との接合部で熱膨張差による残留応力が特に大きくなる接合外周縁において、上記の残留応力の発生が効果的に抑制され、クラック等の発生が無く高強度で信頼性が高い接合部品が得られる。
また、本発明に係るセラミックス−金属接合部品は、セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層は接合領域に開口する複数の溝が形成されており、この各溝の幅が接合領域の中央部から外周縁に向かって順次大きくなるように形成されていることを特徴とする。
上記構成を有するセラミックス−金属接合部品によれば、中間層には接合領域に開口する複数の溝が形成されており、この各溝の幅が接合領域の中央部から外周縁に向かって順次大きくなるように形成されているために、中間層の変形能が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなるような分布となり、セラミックス体と金属体との接合部で熱膨張差による残留応力が特に大きくなる接合外周縁において、上記の残留応力の発生が効果的に抑制され、クラック等の発生が無く高強度で信頼性が高い接合部品が得られる。
さらに、本発明に係るセラミックス−金属接合部品は、セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層は接合領域に開口する複数の溝が形成されており、これらの隣接する溝の間隔が接合領域の中央部から外周縁に向かって順次小さくなるように形成されていることを特徴とする。
上記構成を有するセラミックス−金属接合部品によれば、中間層には接合領域に開口する複数の溝が形成されており、これらの隣接する溝の間隔が接合領域の中央部から外周縁に向かって順次小さくなるように形成されているために、中間層の変形能が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなるような分布となり、セラミックス体と金属体との接合部で熱膨張差による残留応力が特に大きくなる接合外周縁において、上記の残留応力の発生が効果的に抑制され、クラック等の発生が無く高強度で信頼性が高い接合部品が得られる。
また、本発明に係るセラミックス−金属接合部品は、セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層を構成する結晶の粒径が接合領域の中央部から外周縁に向かって順次大きくなる分布を有することを特徴とする。
上記構成を有するセラミックス−金属接合部品によれば、中間層を構成する結晶の粒径が接合領域の中央部から外周縁に向かって順次大きくなる分布を有するように形成されているために、中間層の変形能が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなるような分布となり、セラミックス体と金属体との接合部で熱膨張差による残留応力が特に大きくなる接合外周縁において、上記の残留応力の発生が効果的に抑制され、クラック等の発生が無く高強度で信頼性が高い接合部品が得られる。
上記のように、中間層の厚さ、気孔率、気孔径、分散相の濃度分布、溝の幅または間隔、結晶粒径などを調整することにより、接合領域の中央部から外周縁に向かって変形能が大きくなる各種中間層は1層のみ設けても十分に残留応力の抑制効果が得られるが、上記各種構造を有する中間層のうち少なくとも2種の中間層を組み合わせて形成することにより、より接合性および耐久性が優れたセラミックス−金属接合部品が得られる。
さらに本発明に係るセラミックス−金属接合部品の製造方法は、接合するセラミックス体および金属体より硬度が低い軟質材料から成り、変形能が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなるような分布を有する中間層を形成する工程と、この中間層を介して上記セラミックス体と金属体とを一体に接合する工程とを備え、上記セラミックス体と金属体とを一体に接合する方法が、ろう付け法、拡散・圧着法、焼結法のいずれかであることを特徴とする。
ここで上記ろう付け法は、例えばAg−Cu−Ti等の組成を有するろう材を接合面に塗布した後に、750〜900℃の温度に加熱してセラミックス体、中間層、金属体を一体に接合する方法である。また、拡散・圧着法は、例えばセラミックス体、中間層、金属体の接合面間にAl−Siから成るろう材箔を挟み込んだ状態で圧着し、ろう材の融点以下の温度で加圧して接合する方法である。焼結法は、セラミックス体、中間層または金属体の粉末状の原料の成形体を所定の温度で焼成して一体化する方法である。
また、上記セラミックス−金属接合部品の製造方法において、厚さが5mm以下の金属材を接合した後に、それよりも低い接合温度でバルク金属材を多段階に接合することにより金属体を形成することが好ましい。
ここで、上記金属材の厚さが5mmを超えるように過大になると、熱による変形が起こりにくくなり応力の緩和作用が減少してしまう。そして、複数のバルク金属材を多段に接合して所定厚さの金属体を形成することにより、隣接する金属材間の応力の影響を緩和することができる。また、金属材を接合した時に使用したろう材よりも低い融点を有するろう材を選択するなどして、バルク金属材の接合温度を金属材の接合温度より低くすることにより、接合部材に与える熱影響を回避することが可能になる。上記のように金属材とバルク金属材とを多段階で接合することによって、各部材間に熱膨張差により生じる応力を低減できる接合構造が得られる。
上記のように製造したセラミックス−金属接合部品を、化学プラント、エネルギープラント、環境保全プラントにおいて使用される耐高温部品、耐食性部品、熱交換器部品に適用した場合には、耐久性が優れるために特に有効である。なお、本発明に係るセラミックス−金属接合部品の適用範囲は多岐に渡り、上記の適用範囲に限定されるものではない。
本発明に係るセラミックス−金属接合部品およびその製造方法によれば、中間層の厚さ、気孔率、気孔径、分散相の濃度分布、溝の幅または間隔、結晶粒径などを調整することにより、接合領域の中央部から外周縁に向かって変形能が大きくなる中間層が形成されているために、セラミックス体と金属体との接合部で熱膨張差による残留応力が特に大きくなる接合外周縁において、上記の残留応力の発生が効果的に抑制され、クラック等の発生が無く高強度で信頼性が高い接合部品が得られる。
次に本発明の実施の形態について、以下の実施例および添付図面を参照して、より具体的に説明する。図1は本発明の一実施例に係るセラミックス−金属接合部品の外形構造を示す斜視図であり、図2はその接合部品の断面図である。図3は他の実施例に係る接合部品の断面図であり、図4はその他の実施例に係る接合部品の断面図である。
図1に示すように、本実施例に係るセラミックス−金属接合部品1は、セラミックス体2と金属体3とを、中間層4を介して一体に接合した構造を有する。具体的には、各中間層の構成に応じて以下の実施例に示すように調製される。
[実施例1]
セラミックス体としての縦500mm×横500mm×厚さ20mmのイットリア−アルミナ焼結助剤系の窒化けい素焼結体と、それと同一寸法を有する金属体としてのステンレス鋼鈑(SUS304板)とを準備し、下記要領で両部材を、縦500mm×横500mmの接合面でろう付け接合を行った。
セラミックス体としての縦500mm×横500mm×厚さ20mmのイットリア−アルミナ焼結助剤系の窒化けい素焼結体と、それと同一寸法を有する金属体としてのステンレス鋼鈑(SUS304板)とを準備し、下記要領で両部材を、縦500mm×横500mmの接合面でろう付け接合を行った。
ろう材にはAg−Cu−Ti箔(縦496mm×横496mm×厚さ0.2mm)を用いる一方、図2に示すように、中間層4aは銅(Cu)板とした。中間層4aを構成する銅板としては、縦500mm×横500mm×厚さ1mmのものを準備し、セラミックス体2aと接合する面は平坦のままとする一方、金属体3aと接合する面は中央部の厚みが0.5mmで外周端が1.0mmとなるようになだらかに加工した。合せて、接合する金属体3aの接合面も中央部が外周縁よりも0.5mmだけ膨らむように加工し、また中間層4aの凹みと隙間無く密着するように加工した。
上記の各部材について、窒化けい素焼結体から成るセラミックス体2aを最下部に配置して、窒化けい素/ろう材/中間層/ろう材/ステンレス鋼鈑の順に積上げ積層体とした。この積層体を平坦なカーボン板上に載置し、真空加熱炉中に水平にセットし、加熱接合することにより、実施例1に係るセラミックス−金属接合部品1aを調製した。接合の条件は、真空中、加熱温度1200℃、保持時間10minとした。
上記のように調製した実施例1に係るセラミックス−金属接合部品1aによれば、中間層の厚さ分布が調整され、接合領域の中央部から外周縁に向かって変形能が大きくなる中間層が形成されているために、セラミックス体2におけるクラック等の発生や接合界面での金属体3aの剥離等の欠陥が全く発生せず、耐久性が優れた窒化けい素/SUS接合部品が得られた。
[実施例2]
セラミックス体としての、縦500mm×横500mm×厚さ20mmのボロン−カーボン焼結助剤系の炭化けい素焼結体と、それと同一寸法を有する金属体としてのSUS304板とを準備し、両者を縦500mm×横500mmの接合面でろう付け接合した。すなわち、セラミックス体の材質を炭化けい素とした点以外は実施例1と同様の構成および接合条件でセラミックス体と金属体とを、銅製の中間層を介して一体に加熱接合することにより、実施例2に係るセラミックス−金属接合部品を調製した。
セラミックス体としての、縦500mm×横500mm×厚さ20mmのボロン−カーボン焼結助剤系の炭化けい素焼結体と、それと同一寸法を有する金属体としてのSUS304板とを準備し、両者を縦500mm×横500mmの接合面でろう付け接合した。すなわち、セラミックス体の材質を炭化けい素とした点以外は実施例1と同様の構成および接合条件でセラミックス体と金属体とを、銅製の中間層を介して一体に加熱接合することにより、実施例2に係るセラミックス−金属接合部品を調製した。
上記のように調製した実施例2に係るセラミックス−金属接合部品1aにおいても、セラミックス体におけるクラック等の発生や接合界面での金属体の剥離等の欠陥が全く発生せず、耐久性が優れた炭化けい素/SUS接合部品が得られた。
[実施例3]
図3に示すように、中間層4bとして、内部に気孔5を多数形成した縦500mm×横500mm×厚さ1mmの銅製焼結金属を準備した。また、この中間層4bは、図3に示すように中央部から外部に向かって焼結合金を作成する際に、その銅粒子原料の粒径を傾斜させて、中央部で気孔率が約10%であり、平均気孔径が約120μmである一方、外周縁部で気孔率が約60%であり、平均気孔径が約700μmとなるようにし、その間は段階的にその中間の気孔率となるように調整して製造した。この中間層4bを用いた点以外は実施例2と同様の構成および接合条件でセラミックス体2bと金属体3bとを、銅製の中間層4bを介して一体に加熱接合することにより、実施例3に係るセラミックス−金属接合部品1bを調製した。
図3に示すように、中間層4bとして、内部に気孔5を多数形成した縦500mm×横500mm×厚さ1mmの銅製焼結金属を準備した。また、この中間層4bは、図3に示すように中央部から外部に向かって焼結合金を作成する際に、その銅粒子原料の粒径を傾斜させて、中央部で気孔率が約10%であり、平均気孔径が約120μmである一方、外周縁部で気孔率が約60%であり、平均気孔径が約700μmとなるようにし、その間は段階的にその中間の気孔率となるように調整して製造した。この中間層4bを用いた点以外は実施例2と同様の構成および接合条件でセラミックス体2bと金属体3bとを、銅製の中間層4bを介して一体に加熱接合することにより、実施例3に係るセラミックス−金属接合部品1bを調製した。
上記のように調製した実施例3に係るセラミックス−金属接合部品1bにおいても、中間層の気孔率および気孔径が調整され、接合領域の中央部から外周縁に向かって変形能が大きくなる中間層が形成されているために、セラミックス体2bにおけるクラック等の発生や接合界面での金属体3bの剥離等の欠陥が全く発生せず、耐久性が優れた炭化けい素/SUS接合部品が得られた。
[実施例4]
中間層として、縦500mm×横500mm×厚さ1mmのアルミナ粒子分散銅を用意した。また、この中間層は中央部から外周縁部に向かってアルミナ粒子の分散量を傾斜させ、中央部ではアルミナ粒子分散相の容積割合が約20vol%である一方、外周縁部ではアルミナ粒子分散相の容積割合が約1vol%とし、その中間は段階的にアルミナ粒子の濃度が傾斜するように作製した。分散したアルミナ粒子の平均粒径は約0.6μmである。この中間層を用いた点以外は、実施例1と同様の構成および接合条件でセラミックス体と金属体とを、アルミナ粒子分散銅製の中間層を介して一体に加熱接合することにより、実施例4に係るセラミックス−金属接合部品を調製した。
中間層として、縦500mm×横500mm×厚さ1mmのアルミナ粒子分散銅を用意した。また、この中間層は中央部から外周縁部に向かってアルミナ粒子の分散量を傾斜させ、中央部ではアルミナ粒子分散相の容積割合が約20vol%である一方、外周縁部ではアルミナ粒子分散相の容積割合が約1vol%とし、その中間は段階的にアルミナ粒子の濃度が傾斜するように作製した。分散したアルミナ粒子の平均粒径は約0.6μmである。この中間層を用いた点以外は、実施例1と同様の構成および接合条件でセラミックス体と金属体とを、アルミナ粒子分散銅製の中間層を介して一体に加熱接合することにより、実施例4に係るセラミックス−金属接合部品を調製した。
上記のように調製した実施例4に係るセラミックス−金属接合部品においても、中間層における分散相の濃度分布が調整され、接合領域の中央部から外周縁に向かって変形能が大きくなる中間層が形成されているために、セラミックス体におけるクラック等の発生や接合界面での金属体の剥離等の欠陥が全く発生せず、耐久性が優れた窒化けい素/SUS接合部品が得られた。
[実施例5]
中間層として、縦500mm×横500mm×厚さ1mmの銅板を用意した。また、図4に示すようにこの中間層4cのセラミックス体2c側の表面には、中央部から外周縁部に向かって複数の正方形状の溝6、6を同心的に形成した。各溝の幅は1mmであり、深さは0.5mmとした。また、中央部における溝6,6間のピッチP1は、7mmとする一方、外周縁部における溝6,6間のピッチP2は、0.3mmとし、その間は段階的に溝の間隔が傾斜するように作製した。この中間層4cを用いた点以外は、実施例1と同様の構成および接合条件でセラミックス体と金属体とを、上記溝6を形成した中間層4cを介して一体に加熱接合することにより、実施例5に係るセラミックス−金属接合部品を調製した。
中間層として、縦500mm×横500mm×厚さ1mmの銅板を用意した。また、図4に示すようにこの中間層4cのセラミックス体2c側の表面には、中央部から外周縁部に向かって複数の正方形状の溝6、6を同心的に形成した。各溝の幅は1mmであり、深さは0.5mmとした。また、中央部における溝6,6間のピッチP1は、7mmとする一方、外周縁部における溝6,6間のピッチP2は、0.3mmとし、その間は段階的に溝の間隔が傾斜するように作製した。この中間層4cを用いた点以外は、実施例1と同様の構成および接合条件でセラミックス体と金属体とを、上記溝6を形成した中間層4cを介して一体に加熱接合することにより、実施例5に係るセラミックス−金属接合部品を調製した。
上記のように調製した実施例5に係るセラミックス−金属接合部品においても、中間層の溝6,6の間隔が調整され、接合領域の中央部から外周縁に向かって変形能が大きくなる中間層が形成されているために、クラック等の発生や接合界面での剥離、等の欠陥が無い、良好な窒化けい素/SUS接合部品が得られた。
[実施例6]
中間層として、縦500mm×横500mm×厚さ1mmの銅の焼結金属を準備した。また、この中間層は中央部から外部に向かって焼結合金を作成する際にその原料銅粒子の粒径を傾斜させ、中央部における気孔率が約10%であり、平均気孔径が約120μmとする一方、外周縁部における気孔率が約60%であり平均気孔径が約700μmとし、その中間は段階的にその中間の気孔率となるように調整して形成した。さらに、セラミックス体と接合する面は平坦のままとする一方、金属体と接合する面は、中央部の厚さが0.5mmである一方、外周縁部が1.0mmとなるようになだらかに加工した。合せて、接合する金属体の表面も中央部が外周縁部よりも0.5mm膨らみ、中間層の凹みと隙間無く重なるように加工した。この中間層および金属体を用いる点以外は実施例1と同様の構成および接合条件でセラミックス体と金属体とを、上記中間層を介して一体に加熱接合することにより、実施例6に係るセラミックス−金属接合部品を調製した。
中間層として、縦500mm×横500mm×厚さ1mmの銅の焼結金属を準備した。また、この中間層は中央部から外部に向かって焼結合金を作成する際にその原料銅粒子の粒径を傾斜させ、中央部における気孔率が約10%であり、平均気孔径が約120μmとする一方、外周縁部における気孔率が約60%であり平均気孔径が約700μmとし、その中間は段階的にその中間の気孔率となるように調整して形成した。さらに、セラミックス体と接合する面は平坦のままとする一方、金属体と接合する面は、中央部の厚さが0.5mmである一方、外周縁部が1.0mmとなるようになだらかに加工した。合せて、接合する金属体の表面も中央部が外周縁部よりも0.5mm膨らみ、中間層の凹みと隙間無く重なるように加工した。この中間層および金属体を用いる点以外は実施例1と同様の構成および接合条件でセラミックス体と金属体とを、上記中間層を介して一体に加熱接合することにより、実施例6に係るセラミックス−金属接合部品を調製した。
上記のように調製した実施例6に係るセラミックス−金属接合部品においても、中間層の気孔率および気孔径が調整され、接合領域の中央部から外周縁に向かって変形能が大きくなる中間層が形成されているために、クラック等の発生や接合界面での剥離、等の欠陥が無い、良好な窒化けい素/SUS接合部品が得られた。
[実施例7]
中間層として、日本工業規格のJIS A1050に規定するアルミニウム材から成り、縦500mm×横500mm×厚さ1mmのアルミニウム板を用意した。また、ろう材として、重量%でAl−1.8%Si−10.8%Cu−60%Znなる組成を有する合金箔(縦496mm×横496mm×厚さ0.2mm)を用意した。上記アルミニウムから成る中間層のセラミックス体と接合する表面部は平坦のままとする一方、図2に示すように金属体と接合する面は中央部の厚さを0.5mmとする一方で、外周端の厚さが1.0mmとなるようになだらかに加工した。合せて、接合する金属体(SUS304板)の表面も中央部が外周縁よりも0.5mm膨らみ、中間層の凹みと隙間無く重なるように加工した。
中間層として、日本工業規格のJIS A1050に規定するアルミニウム材から成り、縦500mm×横500mm×厚さ1mmのアルミニウム板を用意した。また、ろう材として、重量%でAl−1.8%Si−10.8%Cu−60%Znなる組成を有する合金箔(縦496mm×横496mm×厚さ0.2mm)を用意した。上記アルミニウムから成る中間層のセラミックス体と接合する表面部は平坦のままとする一方、図2に示すように金属体と接合する面は中央部の厚さを0.5mmとする一方で、外周端の厚さが1.0mmとなるようになだらかに加工した。合せて、接合する金属体(SUS304板)の表面も中央部が外周縁よりも0.5mm膨らみ、中間層の凹みと隙間無く重なるように加工した。
上記の各部材について、窒化けい素を最下部に配置し、窒化けい素/ろう材/中間層/ろう材/SUS板の順に積層した。この積層体を平坦なカーボン板上に載置し、真空加熱炉の中に水平にセットし、加熱接合することにより、実施例7に係るセラミックス−金属接合部品を調製した。接合の条件は、真空中、加熱温度500℃、保持時間60minとした。
上記のように調製した実施例7に係るセラミックス−金属接合部品によれば、中間層の厚さが調整され、接合領域の中央部から外周縁に向かって変形能が大きくなる中間層が形成されているために、クラック等の発生や接合界面での剥離、等の欠陥が無い、良好な窒化ケイ素/SUS接合部品が得られた。
[実施例8]
接合する金属体としてのSUS304板の寸法を、縦500mm×横500mm×厚さ2mmとした点以外は、実施例1と同様に処理した結果、割れの発生が無く耐久性が良好な窒化けい素/ろう材/中間層/ろう材/SUS板の接合部品を得た。さらに、縦500mm×横500mm×厚さ6mmおよび縦500mm×横500mm×厚さ12mmの各寸法を有するSUS304板を上記接合部品の金属表面に、6mm厚、12mm厚の順番で順次接合した。これらの板材の接合時には、重量%でAl−1.8%Si−10.8%Cu−60%Znなる組成を有する合金箔(縦496mm×横496mm×厚さ0.2mm)をろう材として使用し、その接合条件は、真空中、加熱温度500℃、保持時間60minとした。
接合する金属体としてのSUS304板の寸法を、縦500mm×横500mm×厚さ2mmとした点以外は、実施例1と同様に処理した結果、割れの発生が無く耐久性が良好な窒化けい素/ろう材/中間層/ろう材/SUS板の接合部品を得た。さらに、縦500mm×横500mm×厚さ6mmおよび縦500mm×横500mm×厚さ12mmの各寸法を有するSUS304板を上記接合部品の金属表面に、6mm厚、12mm厚の順番で順次接合した。これらの板材の接合時には、重量%でAl−1.8%Si−10.8%Cu−60%Znなる組成を有する合金箔(縦496mm×横496mm×厚さ0.2mm)をろう材として使用し、その接合条件は、真空中、加熱温度500℃、保持時間60minとした。
上記のように調製した実施例8に係るセラミックス−金属接合部品においても、中間層の厚さが調整され、接合領域の中央部から外周縁に向かって変形能が大きくなる中間層が形成されているために、金属の厚さを増加させても、クラック等の発生や接合界面での剥離等の欠陥が発生することが無く、耐久性が良好な窒化けい素/SUS接合部品が得られた。
[比較例1]
前記実施例1および実施例3〜6と比較する例として、中間層として縦500mm×横500mm×厚さ1mmの寸法を有する均質銅の平板を準備し、この平板を介して窒化けい素セラミックス体と金属体(SUS304)とを実施例1と同様の条件で接合して、比較例1に係る接合体を調製した。
前記実施例1および実施例3〜6と比較する例として、中間層として縦500mm×横500mm×厚さ1mmの寸法を有する均質銅の平板を準備し、この平板を介して窒化けい素セラミックス体と金属体(SUS304)とを実施例1と同様の条件で接合して、比較例1に係る接合体を調製した。
しかしながら、上記比較例1に係る窒化けい素/SUS接合部品においては、窒化けい素の外周端部および接合界面近傍から窒化けい素体にクラックが発生し、金属体が完全に剥離破断していた。
[比較例2]
実施例2と比較する例として、中間層として縦500mm×横500mm×厚さ1mmの寸法を有する均質銅の平板を用意し、以下この中間層を介して実施例2と同様の条件でセラミックス体と金属体(SUS304)とを接合し、比較例2に係る接合体を調製した。
実施例2と比較する例として、中間層として縦500mm×横500mm×厚さ1mmの寸法を有する均質銅の平板を用意し、以下この中間層を介して実施例2と同様の条件でセラミックス体と金属体(SUS304)とを接合し、比較例2に係る接合体を調製した。
しかしながら、このように調製した上記比較例2に係る炭化けい素/SUS接合部品においては、炭化けい素の外周縁および接合界面近傍からクラックが発生し、完全に剥離破断していた。
[比較例3]
実施例7と比較する例として、中間層として縦500mm×横500mm×厚さ1mmの寸法を有するアルミニウムの平板を用意し、以下この中間層を介して実施例7と同様の条件でセラミックス体と金属体(SUS304)とを接合し、比較例3に係る接合体を調製した。
実施例7と比較する例として、中間層として縦500mm×横500mm×厚さ1mmの寸法を有するアルミニウムの平板を用意し、以下この中間層を介して実施例7と同様の条件でセラミックス体と金属体(SUS304)とを接合し、比較例3に係る接合体を調製した。
しかしながら、このように調製した上記比較例3に係る窒化けい素/SUS接合部品においては、大きな破断に至るようなクラックの発生は生じなかったものの、窒化けい素の外周縁および接合界面近傍界面において平行方向に微細なクラックが観察され、応力緩和作用が不十分であることが判明した。
[比較例4]
実施例8と比較する例として、中間層として縦500mm×横500mm×厚さ1mmの寸法を有する均質銅の平板を用意し、接合するSUS304板の寸法を、縦500mm×横500mm×厚さ2mmとした点以外は、実施例1と同様に処理し、窒化けい素/ろう材/中間層/ろう材/SUS304板の接合体を得た。さらに、実施例8と同様に、縦500mm×横500mm×厚さ6mmおよび縦500mm×横500mm×厚さ12mmの寸法を有する2枚のSUS304板を上記接合体の金属体表面に、6mm厚、12mm厚の順番で順次接合して比較例3に係る接合体を調製した。
実施例8と比較する例として、中間層として縦500mm×横500mm×厚さ1mmの寸法を有する均質銅の平板を用意し、接合するSUS304板の寸法を、縦500mm×横500mm×厚さ2mmとした点以外は、実施例1と同様に処理し、窒化けい素/ろう材/中間層/ろう材/SUS304板の接合体を得た。さらに、実施例8と同様に、縦500mm×横500mm×厚さ6mmおよび縦500mm×横500mm×厚さ12mmの寸法を有する2枚のSUS304板を上記接合体の金属体表面に、6mm厚、12mm厚の順番で順次接合して比較例3に係る接合体を調製した。
しかしながら、このように調製した上記比較例4に係る窒化けい素/SUS接合部品においては、大きな破断に至るようなクラックの発生は生じなかったものの、窒化けい素の外周縁および接合界面近傍に界面に平行方向に微細なクラックが観察され、応力緩和作用が不十分であることが判明した。
以上の実施例および比較例から明らかなように、各実施例に係るセラミックス−金属接合部品およびその製造方法によれば、中間層の厚さ、気孔率、気孔径、分散相の濃度分布、溝の間隔などを調整することにより、接合領域の中央部から外周縁に向かって変形能が大きくなる中間層が形成されているために、セラミックス体と金属体との接合部で熱膨張差による残留応力が特に大きくなる接合外周縁において、上記の残留応力の発生が効果的に抑制され、クラック等の発生が無く高強度で信頼性が高い接合部品が得られることが実証された。
1,1a,1b,1c 接合部品
2,2a,2b,2c セラミックス体
3,3a,3b,3c 金属体
4,4a,4b,4c 中間層
5 気孔
6 溝
2,2a,2b,2c セラミックス体
3,3a,3b,3c 金属体
4,4a,4b,4c 中間層
5 気孔
6 溝
Claims (13)
- セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層の厚さが、上記接合領域の中央部から接合外周縁に向かって厚く形成されていることを特徴とするセラミックス−金属接合部品。
- セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層が気孔を含み、その気孔率が接合領域の中央部から外周縁に向かって高くなる分布を有することを特徴とするセラミックス−金属接合部品。
- セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層が気孔を含み、その気孔径が接合領域の中央部から外周縁に向かって大きくなる分布を有することを特徴とするセラミックス−金属接合部品。
- セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層は上記軟質材料より低いヤング率を有する第2材料から成る分散相を含み、その分散相の濃度が接合領域の中央部から外周縁に向かって高くなる濃度分布を有することを特徴とするセラミックス−金属接合部品。
- セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層は上記軟質材料より高いヤング率を有する第2材料から成る分散相を含み、その分散相の濃度が接合領域の中央部から外周縁に向かって低くなる濃度分布を有することを特徴とするセラミックス−金属接合部品。
- セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層は接合領域に開口する複数の溝が形成されており、この各溝の幅が接合領域の中央部から外周縁に向かって順次大きくなるように形成されていることを特徴とするセラミックス−金属接合部品。
- セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層は接合領域に開口する複数の溝が形成されており、これらの隣接する溝の間隔が接合領域の中央部から外周縁に向かって順次小さくなるように形成されていることを特徴とするセラミックス−金属接合部品。
- セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品であり、上記セラミックス体と金属体との接合領域のうち、接合外周縁から内側に3mm以内の領域を少なくとも含む接合領域において、上記中間層を構成する結晶の粒径が接合領域の中央部から外周縁に向かって順次大きくなる分布を有することを特徴とするセラミックス−金属接合部品。
- セラミックス体と金属体との間に熱膨張差による残留応力の発生を抑制するための軟質材料から成る中間層を介してセラミックス体と金属体とを一体に接合したセラミックス−金属接合部品において、上記請求項1〜8にそれぞれ記載の中間層のうち少なくとも2種の中間層が組合わせて形成されていることを特徴とするセラミックス−金属接合部品。
- 前記中間層を構成する軟質材料は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、およびそれらを主成分とした合金のいずれかであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のセラミックス−金属接合部品。
- 接合するセラミックス体および金属体より硬度が低い軟質材料から成り、変形能が部品接合面の中央部から外周に向けて高くなるような分布を有する中間層を形成する工程と、この中間層を介して上記セラミックス体と金属体とを一体に接合する工程とを備え、上記セラミックス体と金属体とを一体に接合する方法が、ろう付け法、拡散・圧着法、焼結法のいずれかであることを特徴とするセラミックス−金属接合部品の製造方法。
- 厚さが5mm以下の金属材を接合した後に、それよりも低い接合温度でバルク金属材を多段階に接合することにより金属体を形成することを特徴とする請求項11記載のセラミックス−金属接合部品の製造方法。
- 前記セラミックス−金属接合部品が、化学プラント、エネルギープラント、環境保全プラントにおいて使用される耐高温部品、耐食性部品、熱交換器部品であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のセラミックス−金属接合部品。
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