JP2019202331A - 異種材料の接合方法および異種材料の接合体 - Google Patents

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俊幸 田澤
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智史 只野
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Shota Araki
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Abstract

【課題】第1の基材と第2の基材を接合する場合において、線膨張係数差によって発生する熱応力の最大値を低減させることにある。【解決手段】金属から成る第1の基材1と、この第1の基材1と線膨張係数が相違する金属またはセラミックスから成る第2の基材2とを、傾斜機能層3を介して接合する異種材料の接合方法において、前記傾斜機能層3は、複数の貫通孔4を形成することによって一方の基材の線膨張係数と他方の基材の線膨張係数の間で厚さ方向に段階的に変化する線膨張係数を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、線膨張係数が相違する異種材料を、傾斜機能層を介して接合する異種材料の接合方法および異種材料の接合体に関する。
銅(Cu)は熱伝導率が398W/mKと高いことから、パワーエレクトロニクスのヒートシンクや発電プラントの熱交換器といった社会インフラ向けの機器への適用が検討、実用化されている。一方、近年ではこれらの機器に対して軽量化や材料費削減に対する要求が挙がっており、代替材としてアルミニウム(Al)を適用する検討も行われている。
しかし、当該機器には構造部材としての強度も設計上要求されるため、構造材のCuをすべてAlに変更することは現実的には困難である。このため、一部だけをAlに置き換えたマルチマテリアル化が有効であると考えられるが、必然的にCuとAlの異種材料接合部が生じるため、線膨張係数差によって発生する熱応力が機器の寿命および信頼性の低下に繋がると懸念されている。
特開2002−252317号公報 特開平04−72026号公報 特開2015−185688号公報 特開平04−308632号公報
「まてりあ」第36巻第1号第55頁〜第61頁(1997)
上述したような課題に対して、例えば半導体装置では、Cu/Alの界面にそれぞれの組成比が連続的または段階的に変化する傾斜機能材料を適用する技術が提案されている。しかしながら、これらの技術の中では組成傾斜機能材料を用いることのみを言及しており、その製造方法までは開示されていない。
一方、CuおよびAlの組成傾斜機能材料を製作する製造方法としてはホットプレスのような粉末焼結、フレームやプラズマを用いた溶射、熱間等方圧プレス(HIP)といった方法が挙げられるが、いずれも緻密で高強度な傾斜機能材料を得るためには600℃以上の高温環境で製造することが必要となる。しかし、CuとAlは548℃で共晶するため、界面に熱応力による破壊の起点となる反応層が生成するという大きな課題がある。
また近年ではコールドスプレーを用い、低温で傾斜機能材を製造する技術も提案されている。本技術を用いれば、ガス温度300℃程度とCuとAlの共晶点以下で組成傾斜機能材料を製造することは可能である。しかし、一般にコールドスプレーは施工条件に依って緻密度(気孔率)が大きく変化すると共に、施工装置に依っても適正な条件が大きく異なるためロバスト性が低く、所望の組成傾斜機能材料を製造することは困難であると考えられている。
本実施形態に係る異種材料の接合方法は、金属から成る第1の基材と、この第1の基材と線膨張係数が相違する金属またはセラミックスから成る第2の基材とを、傾斜機能材を介して接合する異種材料の接合方法において、前記傾斜機能材は、複数の貫通孔を形成することによって一方の基材の線膨張係数と他方の基材の線膨張係数の間で厚さ方向に段階的に変化する線膨張係数を有することを特徴とする。
また、本実施形態に係る異種材料の接合体は、金属から成る第1の基材と、この第1の基材と線膨張係数が相違する金属またはセラミックスから成る第2の基材とを、傾斜機能層を介して接合された異種材料の接合体において、前記傾斜機能層は、複数の貫通孔を形成することによって一方の基材の線膨張係数と他方の基材の線膨張係数の間で厚さ方向に段階的に変化する線膨張係数を有することを特徴とする。
本発明の実施形態は、第1の基材と第2の基材の線膨張係数差によって発生する熱応力が傾斜機能層に形成された貫通孔の変形に変換されるため、発生する熱応力の最大値を低減することができる。
(a)は本発明の実施例1における異種材料の接合部の概略縦断面図、(b)は本発明の実施例1における異種材料の接合部の他の実施例を示す概略縦断面図。 図1に示す異種材料の接合部における傾斜機能材料の製造方法を示す概略断面図。 (a)は本発明の実施例2における異種材料の接合部の概略縦断面図、(b)は本発明の実施例2における異種材料の接合部の他の実施例を示す概略縦断面図。 (a)は本発明の実施例3における異種材料の接合部の概略縦断面図、(b)は本発明の実施例3における異種材料の接合部の他の実施例を示す概略縦断面図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施例1)
以下、本発明の実施例1における異種材料の接合方法について図1および図2を参照して説明する。
図1(a)は本発明の実施例1における異種材料の接合部の概略縦断面図、図1(b)は本発明の実施例1における異種材料の接合部の他の実施例を示す概略縦断面図であり、図2は上記異種材料の接合部における傾斜機能材料の製造方法を示す概略断面図である。
図1(a)において実施例1は第1の基材であるAl(アルミニウム)層1と、第2の基材であるCu(銅)層2と、その中間に挿入されたAl製の傾斜機能層3とその傾斜機能層3の中に設けられた貫通孔4で構成される。なお、Cu層2にはCuを主成分とするCu合金を用いても構わず、またAl層1にはAlを主成分とするAl合金を用いても構わない。また、傾斜機能層3には例えば直径1mm、2mm、3mmの貫通孔4がCu/Al界面から板厚方向(A方向)に水平または平行に、直径が小さくなるよう配列された構造となっている。
この貫通孔4は、ドリルを用いてCu/Al界面から板厚方向(A方向)に水平または平行に穿孔したものである。このように構成された傾斜機能層3では、CuおよびAlの線膨張係数差によって発生する熱応力が貫通孔4の変形に変換されるため、発生する熱応力の最大値(ピーク応力)を低減することができる。
さらに、段階的に貫通孔4の大きさが変化しているため、貫通孔近傍にひずみが集中することが無いため、高い熱応力緩和効果を有した構造とすることができる。
なお、図1(b)に示す他の実施例のように貫通孔4の孔径を一定にして、その貫通孔4の数は厚さ方向Aにおいて前記第1の基材1から前記第2の基材2に向けて多く形成されている構成としてもよい。このように構成することによって、実施例1と同様な作用効果を得ることができ、さらに、同一の径の加工装置によって加工できるので、より加工性を向上させることができる。
そして、この図1に示した異種材料の接合部は図2に示すように傾斜機能層3を放電プラズマ焼結を用いて接合することによって製造する。なお、図2において図1と同一部分には同一符号を付してその構成の説明は省略する。
図2において、Alの板(第1の基材)1とCuの板(第2の基材)2の中間にAlの板に貫通孔4を設けた傾斜機能層3を挟み、さらに厚さ0.2mmの離型用カーボンシート5を1周巻きつけたカーボンピン6を傾斜機能層3の貫通孔4に挿入した構成としている。
これらを内側に離型用の0.2mmカーボンシートを貼ったカーボンパイプ7に挿入し、更に上下にカーボンシートとカーボンパンチ8を挿入する。
この一式のカーボンモールドを放電プラズマ焼結装置に設置し、圧縮荷重を10から40MPaの範囲内で、例えば20MPaを負荷した状態でカーボンパイプ7の温度が500℃となるように電流を印加し、保持時間を10から400秒の範囲内として例えば200秒保持する。尚、温度測定は熱電対を用い、カーボンパイプ7の高さ中央に設けた深さ5mmの溝に熱電対を差し込んで温度を測定した。
このような方法で接合し、接合後に傾斜機能層3に挿入したカーボンピン6を引き抜くとカーボンピン6が予め設けた貫通孔4の変形を抑制するため、図1に示すような断面円形状の貫通孔4を有した傾斜機能層3を得ることができる。
なお、傾斜機能層3に挿入するカーボンピン6には必ずしも離型材としてのカーボンシート5を用いる必要は無い。但し、離型材としてのカーボンシート5を使用しない場合は接合時にカーボンピン6が傾斜機能層3の貫通孔4と接合してしまうため、大気中400℃で熱処理し、カーボンピン6を炭酸ガスとして昇華させるプロセスが必要となる。こうするとAl層(第1の基材)1、Cu層(第2の基材)2および傾斜機能層3の表面が酸化するが、この酸化皮膜は機械的に研削することによって除去が可能である。
この傾斜機能層3は板を素材として用いているため、粉末から製造する溶射やコールドスプレーとは異なり、内部の気孔率は99%以上の緻密なものとなる。また、製造時の温度をCu/Alの共晶点(548℃)以下としているため、界面に破壊の起点となる反応層も生成していない。よって高い強度と熱応力緩和効果を有した異種材料の接合体を得ることが可能となる。
(実施例2)
以下に、本発明の実施例2における異種材料の接合方法および異種材料の接合体の構成を図2および図3(a)を参照して説明する。なお、図3において図1と同一部分には同一符号を付してその部分の構成の説明を省略する。
本実施例2は実施例1に記載した傾斜機能層3がCu製の傾斜機能層10に置き換わったものである。
この場合は、線膨張係数の関係から傾斜機能層10には例えば直径1mm、2mm、3mmの貫通孔4がCu/Al界面から板厚方向(B方向)に水平または平行に、直径が小さくなるよう配列された構造となっている。
なお、図3(b)に示す他の実施例に示すように傾斜機能層11に貫通孔4の孔径を一定にして、その貫通孔4の数は厚さ方向Bにおいて前記第1の基材1から前記第2の基材2に向けて少なく形成されている構成としてもよい。このように構成することによって、実施例2と同様な作用効果を得ることができ、さらに、同一の径の加工装置によって加工できるので、より加工性を向上させることができる。
このような構成の傾斜機能材料を図2に示すように実施例1と同様な手法で製造することにより、高い強度と熱応力緩和効果を有した異種材料の接合体を得ることが可能となる。
(実施例3)
以下に、本発明の実施例3における異種材料の接合方法および異種材料の接合体の構成を図2および図4(a)を参照して説明する。なお、図4において図1と同一部分には同一符号を付してその部分の構成の説明を省略する。
本実施例3は実施例1に記載した傾斜機能層3がAl層(第1の層)13とCu層(第2の層)14の2材料が接合された傾斜機能層12に置き換わったものである。
この場合は、線膨張係数の関係から傾斜機能層12には例えば直径1mm、3mmの貫通孔4がCu/Al界面から板厚方向(C方向)に向けて水平または平行に、直径が小さくなるよう配列された構造となっている。
なお、図4(b)に示す他の実施例に示すように傾斜機能層15に貫通孔4の孔径を一定にして、その貫通孔4の数はCu/Al界面から板厚方向(C方向)に少なく形成されている構成としてもよい。このように構成することによって、実施例3と同様な作用効果を得ることができ、さらに、同一の径の加工装置によって加工できるので、より加工性を向上させることができる。
このような構成の傾斜機能材料を図2に示すように実施例1と同様な手法で製造することにより、高い強度と熱応力緩和効果を有した異種材料の接合体を得ることが可能となる。
(実施例4)
以下に、本発明の実施例4について説明する。
この実施例4は基材としてZr(金属)層とSiC(セラミック)層と材料を変えて実施例1から3と同様の構成として放電プラズマ焼結を用いて焼結接合したものである。接合条件は温度700から900℃、接合時間60から7200秒、圧力40MPaとした。
この場合においても実施例1から3と同様の接合強度を得ることができ、また第1の基材と第2の基材の線膨張係数差によって発生する熱応力が傾斜機能層に形成された貫通孔の変形に変換されるため、発生する熱応力の最大値を低減することができた。
(実施例5)
以下に、本発明の実施例5について説明する。
この実施例5は基材としてステンレス鋼(SUS304)層とチタン合金(TiAlV)層と材料を変えて実施例1から3と同様の構成として放電プラズマ焼結を用いて焼結接合したものである。接合条件は温度700から1000℃、接合時間60から7200秒、圧力40MPaとした。
この場合においても実施例1から3と同様の接合強度を得ることができ、また第1の基材と第2の基材の線膨張係数差によって発生する熱応力が傾斜機能層に形成された貫通孔の変形に変換されるため、発生する熱応力の最大値を低減することができた。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1、13…Al層(第1の基材)
2、14…Cu層(第2の基材)
3、10、11、12、15…傾斜機能層
4…貫通孔
5…離型用カーボンシート
6…カーボンピン
7…カーボンパイプ
8…カーボンパンチ
13…Al層(第1の層)
14…Cu層(第2の層)

Claims (15)

  1. 金属から成る第1の基材と、この第1の基材と線膨張係数が相違する金属またはセラミックスから成る第2の基材とを、傾斜機能層を介して接合する異種材料の接合方法において、
    前記傾斜機能層は、複数の貫通孔を形成することによって一方の基材の線膨張係数と他方の基材の線膨張係数の間で厚さ方向に段階的に変化する線膨張係数を有することを特徴とする異種材料の接合方法。
  2. 前記傾斜機能層は、第1の基材と同一の材料でかつ円形の貫通孔が形成されて構成され、この貫通孔の直径は厚さ方向において前記第1の基材から前記第2の基材に向けて大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載の異種材料の接合方法。
  3. 前記傾斜機能層は、第1の基材と同一の材料でかつ同一直径の円形の貫通孔が形成されて構成され、この貫通孔の数は厚さ方向において前記第1の基材から前記第2の基材に向けて多く形成されていることを特徴とする請求項1記載の異種材料の接合方法。
  4. 前記傾斜機能層は、第1の基材と第2の基材の間の線膨張係数を有する材料でかつ円形の貫通孔が形成されて構成され、前記傾斜機能層との線膨張係数の差が大きい基材の方に前記貫通孔の直径は厚さ方向において大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載の異種材料の接合方法。
  5. 前記傾斜機能層は、第1の基材と第2の基材の間の線膨張係数を有する材料でかつ円形の貫通孔が同一直径で形成されて構成され、前記傾斜機能層との線膨張係数の差が大きい基材の方に前記貫通孔の数は厚さ方向において多く形成されていることを特徴とする請求項1記載の異種材料の接合方法。
  6. 前記傾斜機能層は、第1の基材に接合され第1の基材と同一の材料から成る第1の層と、第2の基材に接合され第2の基材と同一の材料から成る第2の層とが接合されかつ円形の貫通孔が形成されて構成され、この貫通孔の直径は厚さ方向において前記第1の層と第2の層の接合面から前記第1の基材および前記第2の基材に向けて小さく形成されていることを特徴とする請求項1記載の異種材料の接合方法。
  7. 前記傾斜機能層は、第1の基材に接合され第1の基材と同一の材料から成る第1の層と、第2の基材に接合され第2の基材と同一の材料から成る第2の層とが接合されかつ円形の貫通孔が同一直径で形成されて構成され、この貫通孔の数は厚さ方向において前記第1の層と第2の層の接合面から前記第1の基材および前記第2の基材に向けて少なく形成されていることを特徴とする請求項1記載の異種材料の接合方法。
  8. 前記傾斜機能層は、第1の基材と第2の基材との間で放電プラズマ焼結を用いて焼結接合されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項記載の異種材料の接合方法。
  9. 前記傾斜機能層は、形成された前記円形の貫通孔に、離型材としての離型用カーボンシートを巻きつけたカーボンピンを挿入させ、前記第1の基材および前記第2の基材と接合させた後に前記カーボンピンを除去することを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか1項記載の異種材料の接合方法。
  10. 前記第1および第2の基材は一方が銅または銅合金であり、他方はアルミニウムまたはアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の異種材料の接合方法。
  11. 前記第1および第2の基材は一方がジルコニウムであり、他方は炭化ケイ素であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の異種材料の接合方法。
  12. 前記第1および第2の基材は一方がステンレス鋼であり、他方はチタン合金であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の異種材料の接合方法。
  13. 前記傾斜機能層にあらかじめ機械加工によって設けた貫通孔に前記カーボンピンを直接挿入させ、接合後に大気中において熱処理し、カーボンピンを炭酸ガスとして昇華させて除去することを特徴とする請求項1から請求項8、請求項10から請求項12のいずれか1項記載の異種材料の接合方法。
  14. 第1の基材と第2の基材との間で放電プラズマ焼結を用いて焼結接合される焼結温度は、前記第1の基材と前記傾斜機能層または前記第2の基材と前記傾斜機能層の各々が共晶しない温度以下であることを特徴とする請求項8に記載の異種材料の接合方法。
  15. 金属から成る第1の基材と、この第1の基材と線膨張係数が相違する金属またはセラミックスから成る第2の基材とを、傾斜機能層を介して接合された異種材料の接合体において、
    前記傾斜機能層は、複数の貫通孔を形成することによって一方の基材の線膨張係数と他方の基材の線膨張係数の間で厚さ方向に段階的に変化する線膨張係数を有することを特徴とする異種材料の接合体。
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