JPH0930870A - セラミックス金属接合体および加速器用ダクト - Google Patents

セラミックス金属接合体および加速器用ダクト

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JPH0930870A
JPH0930870A JP18584395A JP18584395A JPH0930870A JP H0930870 A JPH0930870 A JP H0930870A JP 18584395 A JP18584395 A JP 18584395A JP 18584395 A JP18584395 A JP 18584395A JP H0930870 A JPH0930870 A JP H0930870A
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JP
Japan
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metal
sintered body
duct
sic sintered
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JP18584395A
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English (en)
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Takayuki Naba
隆之 那波
Kiyokazu Sato
潔和 佐藤
Takashi Miura
俊 三浦
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ベーキング処理などの加熱処理を施した後にお
いても高い接合強度を有し、耐熱サイクル性に優れた信
頼性が高いセラミックス金属接合体および加速器用ダク
トを提供する。 【解決手段】CuまたはNiから成る厚さが0.2mm以
上の緩衝材4をSiC焼結体2と金属材3との間に介装
し、Ti,Zr,Hf,V,NbおよびTaから選択さ
れた少なくとも1種の活性金属を0.3〜10.0重量
%含有する銀−銅系ろう材層5を介して上記SiC焼結
体2と緩衝材4と金属材3とを一体に接合して成り、上
記銀−銅系ろう材層5の厚さが10〜40μmであるこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭化けい素(Si
C)焼結体と金属材とを一体に接合したセラミックス金
属接合体と、その接合体を使用した加速器用ダクトに係
り、特に加熱処理後においても高い接合強度と密着性
(封着性)を有し、しかも耐熱サイクル性に優れた信頼
性の高いセラミックス金属接合体および加速器用ダクト
に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材と比較して優れた耐食性,耐摩耗
性を有するセラミックス材と、セラミックス材よりも構
造強度,靭性が優れた金属材とを一体に接合し、両者の
特性を兼備したセラミックス金属接合体が広い分野で実
用化されている。
【0003】特に炭化けい素(SiC)セラミックス
は、高強度である特徴を利用した構造部材として普及す
るとともに、その誘電体である特徴を生かして、ビーム
加速器等における高周波吸収体としての利用価値が大き
いことも明らかになっている。すなわち、種々の周波数
成分から成るビームを、SiCセラミックスで形成した
ダクトを通過させることにより、不要な高周波成分(寄
生モード)がSiCセラミックスに吸収されて除去され
るため、ビームがより高純度化され、ビーム特性が改善
されることが知られている。SiCセラミックスをこの
ような用途で使用する場合、加速器へ組込むため金属材
との接合が必要不可欠となる。その場合、高周波吸収体
としてのSiCセラミックスと金属材とを一体にした接
合体においては、運転条件に耐える信頼性の高い接合状
態を維持することが必須の要件となっている。
【0004】従来からセラミックス材と金属材とを一体
に接合形成する方法として、高融点金属法(メタライズ
法),直接接合法,活性金属法などが採用されている。
高融点金属法は、MoやWなどの高融点金属をセラミッ
クス材表面に焼き付ける方法であり、直接接合法は、金
属材成分と酸素との共晶液相を接合剤とし、ろう材など
を使用せずに直接金属材をセラミックス材表面に加熱接
合する方法であり、活性金属法はTiなどの活性金属を
含有するろう材を介して金属材と非酸化物系セラミック
ス材とを一体に接合する方法である。特に高強度で良好
な封着性,信頼性を必要とする接合体を得るためには、
上記接合法のうち、活性金属法が一般に使用されてい
る。
【0005】上記セラミックス金属接合体には、構造強
度の基本となる高い接合強度が求められる一方、運転条
件下で繰り返して作用する熱サイクルに充分耐える構造
を保持するため、冷熱サイクル試験(TCT)におい
て、セラミックス材と金属材との線膨張係数差に起因す
るクラックの発生を抑制する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術において、SiCセラミックス材をTiなどの活性金
属を含有するろう材により金属材と一体に接合して成る
セラミックス金属接合体では、SiCの破壊靭性値が低
いこと、またTi5 Si3 などの脆弱な反応相が接合界
面に生成され易いため、十分な接合強度が得られない上
に、接合後の冷却過程において、SiCセラミックス材
にクラックが発生し易く、高い信頼性を有する接合体が
得られないという問題点があった。
【0007】特に大径のダクト状SiCセラミックス材
と金属フランジとを接合して大型の加速器用ダクトを調
製しても、金属フランジの寸法が大きいため、SiCセ
ラミックス材と金属フランジとの熱膨張係数差により接
合後の残留応力がかなり大きくなり、最悪の場合には、
その残留応力だけでSiCセラミックス材が破壊されて
しまうという問題点があった。
【0008】また、一旦は高い接合強度で接合された場
合においても、その後に行なう熱処理工程において接合
強度が大幅に低下してしまうという問題点もあった。例
えば加速器等の高周波吸収体として高真空中で使用され
るSiC金属接合体(加速器用ダクト)においては、高
真空中に接合体のガス成分が放出されることを防止する
ため、使用前に接合体を温度150〜200℃で24時
間程度ベーキング処理することがなされている。しかし
ながら、接合体にベーキング処理を施した後における接
合強度が、初期強度に比較して大幅に劣化するという問
題点もあった。
【0009】さらに、活性金属を含有するろう材を使用
する活性金属法において、ろう材中に含有される活性金
属量や形成するろう材層の厚さについては充分な検討が
なされていないため、充分な接合強度が得られないとい
う問題点もあった。
【0010】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、ベーキング処理などの加熱処理を施し
た後においても高い接合強度を有し、耐熱サイクル性に
優れた信頼性が高いセラミックス金属接合体を提供する
ことを目的とする。
【0011】また上記セラミックス金属接合体の接合構
造を応用し、大型に形成した場合においても残留応力の
影響が少なく、クラックの発生が少ない高信頼性を有す
る加速器用ダクトを提供することを他の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願第1の発明に係るセラミックス金属接合体は、
CuまたはNiから成る厚さが0.2mm以上の緩衝材を
SiC焼結体と金属材との間に介装し、Ti,Zr,H
f,V,NbおよびTaから選択された少なくとも1種
の活性金属を0.3〜10.0重量%含有する銀−銅系
ろう材層を介して上記SiC焼結体と緩衝材と金属材と
を一体に接合して成り、上記銀−銅系ろう材層の厚さが
10〜40μmであることを特徴とする。
【0013】また本願の第2の発明に係る加速器用ダク
トは、CuまたはNiから成る厚さが0.2mm以上の緩
衝材をSiC焼結体製ダクトと金属フランジとの間に介
装し、Ti,Zr,Hf,V,NbおよびTaから選択
された少なくとも1種の活性金属を0.3〜10.0重
量%含有する銀−銅系ろう材層を介してSiC焼結体製
ダクトと緩衝材と金属フランジとを一体に接合するとと
もに、SiC焼結体製ダクトと接合する側と反対側の金
属フランジの端面に、緩衝材および銀−銅系ろう材層を
介してSiC焼結体製補強材を一体に接合して成り、上
記銀−銅系ろう材層の厚さが10〜40μmであること
を特徴とする。
【0014】さらに上記第1および第2の発明におい
て、銀−銅系ろう材層が、さらにIn,ZnおよびSn
から選択された少なくとも1種の成分を5〜20重量%
含有するように構成するとよい。またSiC焼結体が常
圧焼結法または雰囲気加圧焼結法によって形成されたこ
とを特徴とする。
【0015】本発明において銀−銅系ろう材層を形成す
るためのろう材としては、重量%でCuを15〜35
%,Ti,Zr,Hf,V,NbおよびTaから選択さ
れる少なくとも1種の活性金属を0.3〜10.0%,
残部が実質的にAgから成る組成物の箔体またはペース
トが使用される。ペーストとしては上記組成物を有機溶
媒中に分散して調製したものが使用される。
【0016】上記ろう材組成物において、Ag−Cu成
分は、SiC焼結体とTiなどの活性金属との接合層の
形成を促進する成分として有効であり、Tiなどの活性
金属を拡散させ強固な接合体を形成するのに寄与する。
上記Ag−Cu成分比は、共晶組成物(72重量%Ag
−28%Cu)を生成し易い組成比に設定して液相の生
成量を低減してもよいが、他の組成範囲でも構わない。
【0017】上記ろう材中に含有される活性金属はSi
C焼結体に対するろう材の濡れ性を改善するための成分
であり、それらの配合量は組成物全体に対して0.3〜
10.0重量%に設定される。活性金属の含有量が0.
3重量%未満の場合には、濡れ性の改善効果が得られな
い一方、含有量が多いほどSiCと濡れ易くなる作用を
有するが、含有量が10.0重量%を超える過量となる
と、接合界面にTi5 Si3 などの脆弱な反応相が生成
され易くなり、接合強度の低下とともに接合体全体とし
ての構造強度の低下を招く。
【0018】上記ろう材中にはIn,ZnおよびSnか
ら選択された少なくとも1種の成分を5〜20重量%の
割合で添加してもよい。In,Zn,Snはろう材によ
る接合温度を低下させ、接合後における残留応力を低下
するために有効である。添加含有量が5重量%未満で
は、上記接合温度の低減効果が少ない。一方、20重量
%を超えると、ろう材組成の変化が大きくなり、信頼性
を高めるに十分な接合強度が得られない。
【0019】銀−銅系ろう材層の厚さは接合体の接合強
度に大きな影響を及ぼすものであり、本発明では10〜
40μmの範囲に設定される。ろう材層の厚さが10μ
m未満の場合には、接合強度が充分に得られず、またS
iC焼結体と金属材との密着性が低下し、接合体全体と
しての熱抵抗が増大し、放熱性が低下してしまう。一
方、ろう材層の厚さが40μmを超えると、脆弱な反応
相が生成され易くなるとともにSiC焼結体に生じる応
力が大きくなるため、いずれにしろ充分な接合強度が得
られない。
【0020】またSiC焼結体は前記の通り強度は大き
い反面、破壊靭性値が小さいため、僅かな残留応力によ
ってクラックを生じ易い。そこでSiC焼結体に生じる
残留応力を緩和するためには、軟質金属で形成した緩衝
材を、SiC焼結体と金属材との間に介装するとよい。
緩衝材は、接合する金属材より降伏応力が小さい軟質金
属で構成するとよい。具体的には銅(Cu)またはニッ
ケル(Ni)で厚さ0.2mm以上のものを使用する。緩
衝材の厚さが0.2mm未満の場合では応力の緩衝効果は
少なく、厚さが0.2〜0.8mm程度のものが好まし
い。
【0021】さらにSiC焼結体製ダクトと金属フラン
ジとを接合して加速器用ダクトを形成する場合におい
て、SiC焼結体製ダクトと接合する側と反対側の金属
フランジの端面に、上記緩衝材およびろう材層を介して
SiC焼結体製補強材(SiCバックアップリング)を
接合することにより、接合後における残留応力がかなり
低減される結果、クラックなどの発生が少なく、信頼性
の高い加速器用ダクトが得られる。この信頼性の改善効
果は、加速器用ダクトの構成材の寸法が大きいほど顕著
であり、大型化が進展する加速器の構成部品として極め
て有用である。
【0022】本発明に係るセラミックス金属接合体は、
例えば以下のような手順で製造される。すなわち、反応
焼結法以外の常圧焼結法等によって調製されたSiC焼
結体と金属材との接合面に、Tiなどの活性金属を0.
3〜10.0重量%含有する箔状またはペースト状のA
g−Cu系ろう材組成物を配置し、さらに緩衝材を配置
した状態で金属材を押圧し、10-4Torr以下の真空状態
にした加熱炉中で、温度800〜830℃で10〜15
分保持して一体に接合して製造される。
【0023】上記製法において、接合温度が800℃未
満と低い場合にはろう材が充分に溶融しないため、Si
C焼結体と金属材との密着性が低下してしまう。一方、
接合温度が830℃を超えると接合面に脆弱な反応相が
生成され易く、いずれにしても接合強度が低下してしま
う。
【0024】ここでろう材中にIn,ZnおよびSnか
ら選択された少なくとも1種の成分が5〜20重量%含
有される場合には、ろう材の溶融温度が下がる結果、7
00〜800℃の低温度範囲で接合を行うことができ
る。
【0025】本発明に係る加速器用ダクトは、常圧焼結
法等により焼成されたSiC焼結体製ダクトと金属フラ
ンジとの間に前記緩衝材および銀−銅系ろう材層を配置
形成して圧着する一方、金属フランジの反対側の面に、
緩衝材およびろう材層を介してSiC焼結体製補強材
(バックアップリング)を圧着し、同様に加熱炉内にて
加熱処理して製造される。なお、上記銀−銅系ろう材を
用いてSiC焼結体製ダクトの接合面をメタライズ処理
後、BAg−8などの銀ろう材を使用して金属フランジ
と接合してもよい。
【0026】反応焼結法で形成されたSiC焼結体で
は、遊離けい素(free Si)が多量に存在し、接合が困
難となるため、本発明で使用するSiC焼結体は、Si
C原料粉末を常圧焼結法,雰囲気加圧焼結法,熱間静水
圧加圧焼結法(HIP法)によって焼結したものに限定
される。
【0027】上記構成に係るセラミックス金属接合体お
よび加速器用ダクトによれば、適正量の活性金属を含有
する適正厚さのろう材層を介してSiC焼結体と金属材
とが接合されているため、SiC焼結体と金属材との接
合面で充分な接合強度が得られ、またベーキング処理な
どの熱処理を実施した後においても、接合強度が熱処理
前の初期接合強度と比較して劣化することが少なく、優
れた耐熱サイクル特性を発揮し、信頼性が高いセラミッ
クス金属接合体が得られる。
【0028】またSiC焼結体と金属材との間に、Cu
やNiから成る緩衝材を介装することにより、SiC焼
結体に発生した残留応力を緩和することが可能となり、
クラックの発生が少ないセラミックス金属接合体が得ら
れる。
【0029】さらにSiC焼結体製ダクトと金属フラン
ジとを接合して加速器用ダクトを形成する場合におい
て、SiC焼結体製ダクトと接合する側と反対側の金属
フランジの端面に、上記緩衝材およびろう材層を介して
SiC焼結体製補強材(SiCバックアップリング)を
接合することにより、接合後における残留応力がかなり
低減される結果、クラックなどの発生が少なく、信頼性
の高い加速器用ダクトが得られる。この信頼性の改善効
果は、加速器用ダクトの構成材の寸法が大きいほど顕著
であり、大型化が進展する加速器の構成部品として極め
て有用である。
【0030】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について以
下の実施例および添付図面を参照して説明する。
【0031】実施例1〜7 常圧焼結法によって製造した12mm×12mm×20mmの
SiC焼結体と、SiC焼結体と同一寸法を有するコバ
ール金属材(組成:53重量%Fe−28%Ni−18
%Co合金)とを用意した。さらに表1に示すような組
成を有する箔状またはペースト状のAg−Cu系ろう材
層をSiC焼結体の接合面(10mm角の端面)および緩
衝材表面に配置または塗布し、SiC焼結体とコバール
金属材との間に緩衝材を介装し、さらに形成したAg−
Cu系ろう材層を介して各部材を圧着した。この状態で
圧着体を加熱炉に収容し、1×10-4Torr以下の高真空
中で温度830℃に加熱し10分間保持することにより
一体に接合し、図1に示すような実施例1〜7に係るセ
ラミックス金属接合体を製造した。
【0032】図1に示すように各実施例に係るセラミッ
クス金属接合体1は、SiC焼結体2と金属材(コバー
ル合金材)3との間に、CuやNiで形成した緩衝材4
を介装し、緩衝材4の両面にAg−Cu系ろう材層5を
配して一体に形成されている。
【0033】比較例1〜6 一方、比較例として、厚さが9μmと薄い箔状のろう材
層を形成した点以外は、実施例2と同一条件で各部材を
一体に接合して比較例1に係るセラミックス金属接合体
を調製した。
【0034】また、厚さが50μmと過大な箔状のろう
材層を形成した点以外は、実施例2と同一条件で各部材
を一体に接合して比較例2に係るセラミックス金属接合
体を調製した。
【0035】さらに、厚さが0.1mmと薄いCu製の緩
衝材を使用した点以外は、実施例2と同一条件で各部材
を一体に接合して比較例3に係るセラミックス金属接合
体を調製した。
【0036】また、Ti含有量を11重量%と過大に設
定してろう材層を形成した点以外は、実施例4と同一条
件で各部材を一体に接合して比較例4に係るセラミック
ス金属接合体を調製した。
【0037】さらに接合時の加熱温度を850℃と高め
に設定した以外は実施例4と同一条件で各部材を一体に
接合して比較例5に係るセラミック金属接合体を調製し
た。
【0038】また常圧焼結法によって調製したSiC焼
結体に代えて、反応焼結法によって調製したSiC焼結
体を用いた点以外は実施例4と同一条件で各部材を処理
して比較例6に係るセラミックス金属接合体を調製し
た。
【0039】
【表1】
【0040】上記のように調製した実施例および比較例
に係る各セラミックス金属接合体から、接合面を中心に
有する縦3mm×横4mm×長さ40mmの曲げ試験片を4本
ずつ切り出し、各試験片について、4点曲げ試験法に準
じて接合強度を測定した。
【0041】さらに上記各曲げ試験片を、大気中で温度
150℃で24時間ベーキング処理し、べーキング処理
後における接合強度を同様に測定し、各接合体の耐熱サ
イクル特性を評価した。また母材焼結体強度からの低下
率およびベーキング処理前後における接合強度の低下率
を、それぞれ下記(1),(2)式から算出した。上記
測定結果および算出結果を下記表2に示す。
【0042】
【数1】 ここで、450MPaはSiC焼結体の母材強度であ
る。
【0043】
【数2】
【0044】
【表2】
【0045】上記表2に示す結果から明らかなように、
ろう材層に含有される活性金属量およびろう材層の厚さ
を適正に設定して製造された各実施例に係るセラミック
ス金属接合体においては、接合強度が高く、かつベーキ
ング処理後における接合強度の低下も少なく、優れた耐
熱サイクル特性を有することが判明した。
【0046】また各実施例に係る接合体の接合強度のS
iC母材強度(450MPa)からの低下率は約70%
程度である。この低下率は、例えば880MPaの母材
強度を有するSi3 4 焼結体を使用したSi3 4
S45C接合体における接合強度(280MPa)のS
3 4 母材強度からの低下率とほぼ同等である。さら
に各実施例においては、ベーキング処理後における接合
強度の低下率も小さいことから、十分に信頼性が高いこ
とが確認できた。
【0047】これに対して、ろう材層の厚さが、過小ま
たは過大である比較例1〜2に係る接合体では、ベーキ
ング処理後における接合強度の低下が顕著であり、耐熱
サイクル特性が悪い。
【0048】またろう材層中のTi含有量を過大にした
比較例4の接合体においては、ろう材層の厚さは適正で
あっても、接合強度が小さく、またベーキング処理後に
おける接合強度の低下も顕著であり、構造強度および耐
熱サイクル特性が共に低下することが判明した。
【0049】さらに接合温度を高めに設定した比較例5
の接合体では、接合部に脆弱な反応相が形成されるた
め、熱処理後の強度低下が大きいことが判明した。また
反応焼結SiCを使用した比較例6においては、焼結体
表面の遊離SiCの影響により、接合が困難であった。
【0050】本実施例によれば、十分な接合強度を有
し、またベーキング処理などの加熱操作を実施した後に
おいても、接合強度の低下が少ない、いわゆる耐熱サイ
クル特性に優れた信頼性の高いSiC/金属接合体が得
られた。
【0051】実施例8 本発明に係るセラミックス金属接合体の応用製品とし
て、図2に示すようなビーム加速器用ダクト6を調製し
た。このビーム加速器用ダクト6は、円筒状のSiC焼
結体2aの両端面に厚さ0.3mmのCu製緩衝材4aお
よび厚さ20μmのAg−Cu系ろう材層5を配置し、
さらにコバール合金製フランジ7を圧着し、この圧着体
を10-4Torrの高真空に調整した加熱炉内で温度830
℃で10分間加熱し、各部材を一体に接合して形成され
ている。
【0052】上記ビーム加速器用ダクト6は、比較例1
〜5に示す接合条件で製造されたものと比較して高い接
合強度を有し、しかも熱サイクルが負荷される環境下で
使用した後においても、接合強度の低下が少なく、優れ
た耐久性を有することが実証された。したがって本実施
例のビーム加速器用ダクトは、サイクロトロンやレーザ
装置など、電子ビームを加速する装置の構成機器として
極めて有用である。
【0053】以上の実施例においては、活性金属とし
て、TiまたはZrを使用したセラミックス金属接合体
の例を示しているが、Hf,V,Nb,Taを使用した
場合においても、接合強度が向上し、耐熱サイクル特性
が優れた接合体が得られている。
【0054】実施例9〜11 表3に示すような組成を有するAg−Cu系ろう材を用
意するとともに、図3に示すように、常圧焼結法で形成
した外径160mm×内径140mm×長さ150mmのSi
C焼結体製ダクト2aの両端面に、Cuから成る所定厚
さの緩衝材4aを介在させ、肉厚0.5mm×高さ25mm
のコバール合金製フランジ7を配置した。一方、上記ダ
クト2aと接合する側と反対側のコバール合金製フラン
ジ7の端面に、表3に示す所定厚さの緩衝材4bを介し
て、常圧焼結法で形成した外径160mm×内径144mm
×厚さ5mmのSiC焼結体製補強材(バックアップリン
グ)8を配置した。そして上記各部材の接合面に厚さ2
0μmのAg−Cu系ろう材層5を形成して相互に圧着
した。次にこの圧着体を1×10-4Torr以下の高真空雰
囲気に調整した加熱炉内に収容し、表1に示す接合温度
に加熱して10分間保持することにより、各部材を相互
に接合せしめて、実施例9〜11に係るビーム加速器用
ダクト6aを調整した。
【0055】比較例7〜9 一方、実施例9〜11において、SiC焼結体製補強材
(バックアップリング)8側の緩衝材4bを配設しない
点以外は実施例9〜11と同一条件で処理することによ
り、それぞれ対応する比較例7〜9に係るビーム加速器
用ダクトを調製した。
【0056】こうして調製した実施例9〜11および比
較例7〜9の加速器用ダクトについて、SiC焼結体製
ダクトにおけるクラックの発生の有無を調査するととも
に、各加速器用ダクト内に圧力1kg/cm2 のHeガスを
充填し、接合面からのHeガスのリークの有無を調査す
るHeリーク試験を実施し、各接合面における部材の密
着性の良否を評価した。調査結果を下記表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】表3に示す結果から明らかなように、接合
部に所定厚さの緩衝材4a,4bを介装して形成した各
実施例の加速器用ダクトにおいては接合部に発生する応
力が緩衝材4a,4bによって緩和されるため、ダクト
部にクラックを発生させることなく接合でき、しかも接
合界面からのリークもなく、良好な密着性が得られた。
【0059】一方、緩衝材4bを介装しない比較例7〜
9においては、接合後にクラックが発生し、破壊された
ものが多く、またクラックを発生させずに接合ができた
場合においても、接合界面からリークが発生するものが
多く、十分な密着性が得られていないことが判明した。
【0060】このように本実施例によれば、SiC焼結
体製ダクトや金属フランジの寸法が大きい場合であって
も、クラックを発生させることなく、しかも部材間の密
着性が良好であり、信頼性が高いセラミックス金属接合
体を得ることが可能になった。
【0061】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係るセラミッ
クス金属接合体および加速器用ダクトによれば、適正量
の活性金属を含有する適正厚さのろう材層を介してSi
C焼結体と金属材とが接合されているため、SiC焼結
体と金属材との接合面で充分な接合強度が得られ、また
ベーキング処理などの熱処理を実施した後においても、
接合強度が熱処理前の初期接合強度と比較して劣化する
ことが少なく、優れた耐熱サイクル特性を発揮し、信頼
性が高いセラミックス金属接合体が得られる。
【0062】またSiC焼結体と金属材との間に、Cu
やNiから成る緩衝材を介装することにより、SiC焼
結体に発生した残留応力を緩和することが可能となり、
クラックの発生が少ないセラミックス金属接合体が得ら
れる。
【0063】さらにSiC焼結体製ダクトと金属フラン
ジとを接合して加速器用ダクトを形成する場合におい
て、SiC焼結体製ダクトと接合する側と反対側の金属
フランジの端面に、上記緩衝材およびろう材層を介して
SiC焼結体製補強材(SiCバックアップリング)を
接合することにより、接合後における残留応力がかなり
低減される結果、クラックなどの発生が少なく、信頼性
の高い加速器用ダクトが得られる。この信頼性の改善効
果は、加速器用ダクトの構成材の寸法が大きいほど顕著
であり、大型化が進展する加速器の構成部品として極め
て有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセラミックス金属接合体の一実施
例を示す断面図。
【図2】本発明に係るセラミックス金属接合体を応用し
たビーム加速器用ダクトの部分断面図。
【図3】本発明に係る加速器用ダクトの他の実施例を示
す部分断面図。
【符号の説明】
1 セラミックス金属接合体(SiC/金属接合体) 2,2a SiC焼結体 3 金属材(コバール合金材) 4,4a,4b 緩衝材(Cu板,Ni板) 5 銀−銅系ろう材層 6,6a ビーム加速器用ダクト 7 コバール合金製フランジ 8 SiC焼結体製補強材(バックアップリング)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuまたはNiから成る厚さが0.2mm
    以上の緩衝材をSiC焼結体と金属材との間に介装し、T
    i,Zr,Hf,V,NbおよびTaから選択された少
    なくとも1種の活性金属を0.3〜10.0重量%含有
    する銀−銅系ろう材層を介して上記SiC焼結体と緩衝
    材と金属材とを一体に接合して成り、上記銀−銅系ろう
    材層の厚さが10〜40μmであることを特徴とするセ
    ラミックス金属接合体。
  2. 【請求項2】 銀−銅系ろう材層は、さらにIn,Zn
    およびSnから選択された少なくとも1種の成分を5〜
    20重量%含有することを特徴とする請求項1記載のセ
    ラミックス金属接合体。
  3. 【請求項3】 SiC焼結体が常圧焼結法または雰囲気
    加圧焼結法によって形成されたことを特徴とする請求項
    1記載のセラミックス金属接合体。
  4. 【請求項4】 CuまたはNiから成る厚さが0.2mm
    以上の緩衝材をSiC焼結体製ダクトと金属フランジとの
    間に介装し、Ti,Zr,Hf,V,NbおよびTaか
    ら選択された少なくとも1種の活性金属を0.3〜1
    0.0重量%含有する銀−銅系ろう材層を介して上記S
    iC焼結体製ダクトと緩衝材と金属フランジとを一体に
    接合するとともに、SiC焼結体製ダクトと接合する側
    と反対側の金属フランジの端面に、緩衝材および銀−銅
    系ろう材層を介してSiC焼結体製補強材を一体に接合
    して成り、上記銀−銅系ろう材層の厚さが10〜40μ
    mであることを特徴とする加速器用ダクト。
  5. 【請求項5】 銀−銅系ろう材層は、さらにIn,Zn
    およびSnから選択された少なくとも1種の成分を5〜
    20重量%含有することを特徴とする請求項4記載の加
    速器用ダクト。
  6. 【請求項6】 SiC焼結体が常圧焼結法または雰囲気
    加圧焼結法によって形成されたことを特徴とする請求項
    4記載の加速器用ダクト。
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