JPH1012397A - 加速器用タイル接合体 - Google Patents

加速器用タイル接合体

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JPH1012397A
JPH1012397A JP23694496A JP23694496A JPH1012397A JP H1012397 A JPH1012397 A JP H1012397A JP 23694496 A JP23694496 A JP 23694496A JP 23694496 A JP23694496 A JP 23694496A JP H1012397 A JPH1012397 A JP H1012397A
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JP
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tile
sintered body
metal plate
sic sintered
accelerator
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JP23694496A
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English (en)
Inventor
Takayuki Naba
隆之 那波
Kiyokazu Sato
潔和 佐藤
Osamu Takeda
修 竹田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ベーキング処理などの加熱処理を施した後にお
いても高い接合強度を有し、耐熱サイクル性に優れた信
頼性が高い加速器用タイル接合体を提供する。 【解決手段】CuまたはNiから成る厚さが0.2mm以
上の緩衝材4aをSiC焼結体製タイル2と金属板3と
の間に介装し、Ti,Zr,Hf,V,NbおよびTa
から選択された少なくとも1種の活性金属を0.5〜
4.0重量%含有する銀−銅系ろう材層5aを介して上
記SiC焼結体製タイル2と緩衝材4aと金属板3とを
一体に接合するとともに、SiC焼結体製タイル2と接
合する側と反対側の金属板3の表面に、緩衝材4bおよ
び銀−銅系ろう材層5aを介してSiC焼結体製補強タ
イル6を一体に接合して成ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭化けい素(Si
C)焼結体製タイルと金属板とを一体に接合した加速器
用タイル接合体に係り、特に加熱処理後においても高い
接合強度と密着性(封着性)を有し、しかも耐熱サイク
ル性に優れた信頼性の高い加速器用タイル接合体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】金属材と比較して優れた耐食性,耐摩耗
性を有するセラミックス材と、セラミックス材よりも構
造強度,靭性が優れた金属材とを一体に接合し、両者の
特性を兼備したセラミックス金属接合体が広い分野で実
用化されている。
【0003】特に炭化けい素(SiC)セラミックス
は、高熱伝導性を有し、かつ高強度である特徴を利用し
た構造部材として普及するとともに、その誘電体である
特徴を生かして、ビーム加速器のダミーロード等におけ
る高周波(電磁波)吸収体としての利用価値が大きいこ
とも明らかになっている。すなわち、種々の周波数成分
から成るビームを、SiCセラミックス製タイルを貼設
したダクトを通過させることにより、不要な高周波成分
(寄生モード)がSiCセラミックスに吸収されて除去
されるため、ビームがより高純度化され、ビーム特性が
改善されることが知られている。SiCセラミックスを
このような用途で使用する場合、加速器へ組込むための
金属材との高い接合強度が必要不可欠となる。すなわ
ち、高周波吸収体としてのSiCセラミックス製タイル
と金属板とを一体にしたタイル接合体においては、運転
条件に耐える信頼性の高い接合状態を維持することが必
須の要件となっている。
【0004】従来からセラミックス材と金属材とを一体
に接合形成する方法として、高融点金属法(メタライズ
法),直接接合法,活性金属法などが採用されている。
高融点金属法は、MoやWなどの高融点金属を、例え
ば、アルミナ(Al2 3 )などの酸化物系セラミック
ス材表面にMo−Mn法により焼き付け(メタライズ)
た後に、銀(Ag)ろう材を使用して金属材を一体に接
合する方法であり、直接接合法は、金属材成分と酸素と
の共晶液相を接合剤とし、ろう材などを使用せずに直接
金属材をセラミックス材表面に加熱接合する方法であ
り、活性金属法はTiなどの活性金属を含有するろう材
を介して金属材と非酸化物系セラミックス材とを一体に
接合する方法である。特に高強度で良好な封着性,信頼
性を必要とする接合体を得るためには、上記接合法のう
ち、活性金属法が一般に使用されている。
【0005】図3は従来の加速器用タイル接合体の構造
例を示す断面図であり、この加速器用タイル接合体1
は、ステンレス鋼(SUS)などから成る金属板3の一
方の表面に銅板などの緩衝材4を介して炭化けい素(S
iC)焼結体製タイル2を配置して構成される。また上
記金属板3と緩衝材4とSiC焼結体製タイル2とはそ
れぞれ銀−銅系ろう材層5を介して一体に接合されてい
る。
【0006】上記加速器用タイル接合体1を構成するS
iC焼結体製タイル2は、他のセラミックス製タイルや
金属製タイルと比較して高い熱伝導率を有する。すなわ
ち、SiC焼結体は、100℃においてアルミナ(Al
2 3 )焼結体やステンレス鋼の約2倍の熱伝導率を有
し、約400℃においても、ステンレス鋼と同等の熱伝
導率を有する。
【0007】さらに、SiC焼結体はアルミナ(Al2
3 )や窒化けい素(Si3 4 )と比較して約3倍の
誘電率を有し、またSiC焼結体の誘電力率はAl2
3 やSi3 4 と比較して約100倍の値を有するた
め、高温度条件下で使用される加速器における高周波電
力の吸収体として優れている。
【0008】上記加速器用タイル接合体には、構造強度
の基本となる高い接合強度が求められる一方、運転条件
下で繰り返して作用する熱サイクルに充分耐える構造を
保持するため、冷熱サイクル試験(TCT)において、
タイル材と金属板との線膨張係数差に起因するクラック
の発生を抑制する必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術において、SiC焼結体製タイルをTiなどの活性金
属を含有するろう材により金属板と一体に接合して成る
加速器用タイル接合体では、SiCの破壊靭性値が低い
こと、またTi5 Si3 などの脆弱な反応相が接合界面
に生成され易いため、十分な接合強度が得られない上
に、接合後の冷却過程において、SiC焼結体製タイル
にクラックが発生し易く、高い信頼性を有する接合体が
得られないという問題点があった。
【0010】特に厚さが5mm以上の大型のSiC焼結体
製タイルと金属板とを接合して大型の加速器用タイル接
合体を調製した場合には、均一に接合することが困難で
あり、またSiC焼結体製タイルと金属板との熱膨張係
数差によるバイメタル効果が顕著になり変形や接合後の
残留応力がかなり大きくなり、最悪の場合には、その残
留応力だけでSiC焼結体製タイルが破壊されてしまう
という問題点があった。
【0011】また、一旦は高い接合強度で接合された場
合においても、その後に行なう熱処理工程において接合
強度が大幅に低下してしまうという問題点もあった。例
えば加速器等の高周波吸収体として高真空中で使用され
る加速器用タイル接合体においては、高真空中に接合体
のガス成分が放出されることを防止するため、使用前に
接合体を温度150〜200℃で24時間程度ベーキン
グ処理することがなされている。しかしながら、接合体
にベーキング処理を施した後における接合強度が、初期
強度に比較して大幅に劣化するという問題点もあった。
【0012】さらに、活性金属を含有するろう材を使用
する活性金属法において、ろう材中に含有される活性金
属量や形成するろう材層の厚さについては充分な検討が
なされていないため、充分な接合強度が得られないとい
う問題点もあった。
【0013】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、ベーキング処理などの加熱処理を施し
た後においても高い接合強度を有し、耐熱サイクル性に
優れた信頼性が高い加速器用タイル接合体を提供するこ
とを目的とする。
【0014】また、大型に形成した場合においても残留
応力の影響が少なく、クラックの発生が少なく、かつ良
好な密着性(封着性)と高信頼性とを有する加速器用タ
イル接合体を提供することを他の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願第1の発明に係る加速器用タイル接合体は、C
uまたはNiから成る厚さが0.2mm以上の緩衝材をSi
C 焼結体製タイルと金属板との間に介装し、Ti,Z
r,Hf,V,NbおよびTaから選択された少なくと
も1種の活性金属を0.5〜4.0重量%含有する銀−
銅系ろう材層を介して上記SiC焼結体製タイルと緩衝
材と金属板とを一体に接合するとともに、SiC焼結体
製タイルと接合する側と反対側の金属板の表面に、緩衝
材および銀−銅系ろう材層を介してSiC焼結体製補強
タイルを一体に接合して成ることを特徴とする。
【0016】また、本願第2の発明に係る加速器用タイ
ル接合体は、0.2%耐力が200MPa以下である金
属板の表面に、Ti,Zr,Hf,V,NbおよびTa
から選択された少なくとも1種の活性金属を0.5〜
4.0重量%含有する銀−銅系ろう材層を介してSiC
焼結体製タイルを一体に接合して成ることを特徴とす
る。さらに、SiC焼結体製タイルと接合する側と反対
側の金属板の表面に、前記銀−銅系ろう材層を介してS
iC焼結体製補強タイルを一体に接合するとよい。
【0017】また、上記銀−銅系ろう材層の厚さは5〜
40μmの範囲とすることが好ましい。
【0018】さらに上記発明において、銀−銅系ろう材
層が、さらにIn,ZnおよびSnから選択された少な
くとも1種の成分を5〜20重量%含有するように構成
するとよい。また、銀−銅系ろう材層が、さらにカーボ
ン(C)を0.1〜10重量%含有するように構成する
とよい。またSiC焼結体が常圧焼結法または雰囲気加
圧焼結法によって形成されたことを特徴とする。
【0019】本発明において使用される金属板はSiC
焼結体製タイルおよび補強タイルを保持固定するための
構造材であり、ステンレス(SUS)鋼板,コバール合
金板,ニッケル板,銅板などの各種金属板が使用され
る。特に0.2%耐力が200MPa以下であるよう
な、例えば銅板やニッケル板などの軟質金属板を用いる
ことにより、金属板自体に応力緩和機能をもたせること
が可能となり、CuやNiから成る緩衝材を用いること
なく、SiC焼結体製タイルに生じる残留応力を低減す
る作用が発揮される。そのため金属板やSiC焼結体製
タイルの厚さが5mm以上となるような大型の加速器用タ
イル接合体を形成した場合においても残留応力を小さく
することが可能になり、耐久性および信頼性に優れた加
速器用タイル接合体が得られる。
【0020】上記金属板およびSiC焼結体製タイルの
形状は、特に限定されず、正方形や長方形状の板状に形
成してもよいが、リング状に形成してもよい。特にリン
グ状の金属板表面に、同じくリング状のSiC焼結体製
タイルを一体に接合して形成したタイル接合体を、円筒
内の軸方向に多数連設することにより、加速器用ダクト
が形成される。
【0021】本発明において銀−銅系ろう材層を形成す
るためのろう材としては、重量%でCuを15〜35
%,Ti,Zr,Hf,V,NbおよびTaから選択さ
れる少なくとも1種の活性金属を0.5〜4.0%,残
部が実質的にAgから成る組成物の箔体またはペースト
が使用される。ペーストとしては上記組成物を有機溶媒
中に分散して調製したものが使用される。
【0022】上記ろう材組成物において、Ag−Cu成
分は、SiC焼結体製タイルとTiなどの活性金属との
接合層の形成を促進する成分として有効であり、Tiな
どの活性金属を拡散させ強固なタイル接合体を形成する
のに寄与する。上記Ag−Cu成分比は、共晶組成物
(72重量%Ag−28%Cu)を生成し易い組成比に
設定して液相の生成量を低減してもよいが、他の組成範
囲でも構わない。
【0023】上記ろう材中に含有されるTiなどの活性
金属はSiC焼結体製タイルに対するろう材の濡れ性を
改善するための成分であり、それらの配合量は組成物全
体に対して0.5〜4.0重量%に設定される。活性金
属の含有量が0.5重量%未満の場合には、濡れ性の改
善効果が得られない一方、含有量が多いほどSiCと濡
れ易くなる作用を有するが、含有量が4.0重量%を超
える過量となると、接合界面にTi5 Si3 などの脆弱
な反応相が生成され易くなり、接合強度の低下とともに
接合体全体としての構造強度の低下を招く。活性金属の
含有量は0.5〜2.5重量%の範囲がより好ましい。
【0024】上記ろう材中にはIn,ZnおよびSnか
ら選択された少なくとも1種の成分を5〜20重量%の
割合で添加してもよい。In,Zn,Snはろう材によ
る接合温度を低下させ、接合後における残留応力を低下
するために有効である。添加含有量が5重量%未満で
は、上記接合温度の低減効果が少ない。一方、20重量
%を超えると、ろう材組成の変化が大きくなり、信頼性
を高めるに十分な接合強度が得られない。
【0025】また上記ろう材中に、さらにカーボン
(C)を0.1〜10重量%の割合で含有させるとよ
い。すなわち、カーボン(C)粉末は接合部の残留応力
を低減し、タイル接合体の耐熱サイクル性の向上に寄与
する成分である。すなわち、カーボン粉末の線膨張係数
は約4×10-6/Kであり、このカーボン粉末をろう材
組成物中に含有させることにより、ろう材層自体の線膨
張係数がSiC焼結体の線膨張係数に近くなる。そのた
め金属板とSiC焼結体タイルとの接合操作後における
接合体の残留応力の低減が図られ、接合体の耐熱サイク
ル性を向上させることができる。
【0026】このカーボン添加による残留応力低減効果
は、特に金属板やSiC焼結体タイルの厚さが5mm以上
であるような大型のタイル接合体を形成する場合に顕著
になる。
【0027】また、ろう材層中にカーボン(C)を添加
すると、TiとC成分とが反応してTiCなどの強固な
反応層が形成され易くなる一方、Ti5 Si3 などの脆
弱な反応層が生成されにくくなり、SiC焼結体製タイ
ルの強度が低下せず、タイル接合体の構造強度を増加さ
せる効果がある。
【0028】上記カーボン粉末の含有量が0.1重量%
未満の場合には、上記残留応力の緩和による耐熱サイク
ル性の改善効果が不十分である。一方、カーボン粉末の
含有量が10重量%を超えると、ろう材組成物をペース
ト化することが困難となり、例えばスクリーン印刷法に
よってろう材層を形成することが困難になる。また、ろ
う材層を形成できた場合でもタイル接合体の接合強度が
低下してしまう。したがってカーボン粉末の含有量は
0.1〜10重量%の範囲とされるが、0.1〜5.0
重量%の範囲が好ましく、さらに、0.5〜1.5重量
%の範囲がより好ましい。
【0029】なお、上記カーボン粉末としては、平均粒
径が10μm以下のC粉末を使用するとよい。平均粒径
が10μmを超えるような粗大なカーボン粉末を使用す
るとろう材組成物ペーストを均一に調製することが困難
であり、またペーストをスクリーン印刷することが困難
になる。カーボン粉末の平均粒径は5μm以下がさらに
好ましい。
【0030】銀−銅系ろう材層の厚さはタイル接合体の
接合強度に大きな影響を及ぼすものであり、本発明では
5〜40μmの範囲に設定される。ろう材層の厚さが5
μm未満の場合には、密着性が損われ、接合強度が充分
に得られず、またSiC焼結体製タイルと金属板との密
着性が低下し、タイル接合体全体としての熱抵抗が増大
し、放熱性が低下してしまう。一方、ろう材層の厚さが
40μmを超えると、脆弱な反応相が生成され易くなる
とともにSiC焼結体製タイルに生じる応力が大きくな
るため、いずれにしろ充分な接合強度が得られない。接
合時に用いるろう材としては、箔状またはペースト状の
ろう材のいずれも使用できる。ペースト状のろう材を使
用する場合、ろう材層の塗布厚さは15〜35μmの範
囲がより好ましい。
【0031】またSiC焼結体は前記の通り強度は大き
い反面、破壊靭性値が小さいため、僅かな残留応力によ
ってクラックを生じ易い。そこでSiC焼結体製タイル
に生じる残留応力を緩和するためには、軟質金属で形成
した緩衝材を、SiC焼結体製タイルと金属板との間に
介装するとよい。緩衝材は、接合する金属材より降伏応
力が小さい軟質金属で構成するとよい。具体的には銅
(Cu)またはニッケル(Ni)で厚さ0.2mm以上の
ものを使用する。緩衝材の厚さが0.2mm未満の場合で
は応力の緩衝効果は少なく、厚さが0.2〜0.8mm程
度のものが好ましい。
【0032】SiC焼結体製タイルと金属板とを接合し
て加速器用タイル接合体を形成する場合において、Si
C焼結体製タイルと接合する側と反対側の金属板の表面
に、上記緩衝材およびろう材層を介してSiC焼結体製
補強タイル(SiCバックアップタイル)を接合すると
よい。
【0033】上記SiC焼結体製補強タイルを金属板の
反対側に一体に接合することにより、従来のバイメタル
効果によるタイル接合体の変形や残留応力による割れを
解消することができる。すなわち金属板の一方の表面の
みにSiC焼結体製タイルを接合した従来構造の加速器
用タイル接合体においては、SiC焼結体製タイルと金
属板との線膨張係数差によるバイメタル効果が大きくな
るため、タイル接合後における残留応力がかなり大きな
値に達し、最悪の場合にはこの残留応力によってSiC
焼結体製タイルが破壊される場合が多かった。
【0034】しかるに、本願発明のように金属板の反対
側にもSiC焼結体製補強タイルを接合することによ
り、接合後における残留応力がかなり低減される結果、
クラックなどの発生が少なく、信頼性の高い加速器用タ
イル接合体が得られる。この信頼性の改善効果は、加速
器用タイル接合体の構成材の寸法が大きいほど顕著であ
り、大型化が進展する加速器の構成部品として極めて有
用である。
【0035】本発明に係る加速器用タイル接合体は、例
えば以下のような手順で製造される。すなわち、反応焼
結法以外の常圧焼結法等によって調製されたSiC焼結
体製タイルおよび補強タイルと金属板との接合面に、T
iなどの活性金属を0.5〜4.0重量%含有する箔状
またはペースト状のAg−Cu系ろう材組成物を配置
し、さらに緩衝材を配置した状態で金属板を押圧し、1
-4Torr以下の真空状態にした加熱炉中で、温度800
〜830℃で10〜15分保持して一体に接合して製造
される。
【0036】上記製法において、接合温度が800℃未
満と低い場合にはろう材が充分に溶融しないため、Si
C焼結体製タイルおよび補強タイルと金属板との密着性
が低下してしまう。一方、接合温度が830℃を超える
と接合面に脆弱な反応相が生成され易く、いずれにして
も接合強度が低下してしまう。
【0037】ここで、ろう材中にIn,ZnおよびSn
から選択された少なくとも1種の成分が5〜20重量%
含有される場合には、ろう材の溶融温度が下がる結果、
700〜800℃の低温度範囲で接合を行うことができ
る。また接合温度を低くすることができるため、接合後
におけるタイル接合体の残留応力を低減する上で極めて
有効である。
【0038】本発明に係る加速器用タイル接合体は、常
圧焼結法等により焼成されたSiC焼結体製タイルと金
属板との間に前記緩衝材および銀−銅系ろう材層を配置
形成して圧着する一方、金属板の反対側の面に、上記緩
衝材およびろう材層を介してSiC焼結体製補強タイル
(バックアップタイル)を圧着し、同様に加熱炉内にて
加熱処理して製造される。なお、上記銀−銅系ろう材を
用いてSiC焼結体製タイルおよび補強タイルの接合面
をメタライズ処理後、BAg−8などの銀ろう材を使用
して金属板と接合してもよい。
【0039】なお反応焼結法で形成されたSiC焼結体
では、遊離けい素(free Si)が多量に存在し、接合が
困難となるため、本発明で使用するSiC焼結体は、S
iC原料粉末を常圧焼結法,雰囲気加圧焼結法,熱間静
水圧加圧焼結法(HIP法)によって焼結したものに限
定される。
【0040】上記構成に係る加速器用タイル接合体によ
れば、適正量の活性金属を含有する適正厚さのろう材層
を介してSiC焼結体製タイルと金属板とが接合されて
いるため、SiC焼結体製タイルと金属板との接合面で
充分な接合強度が得られ、またベーキング処理などの熱
処理を実施した後においても、接合強度が熱処理前の初
期接合強度と比較して劣化することが少なく、優れた耐
熱サイクル特性を発揮し、信頼性が高い加速器用タイル
接合体が得られる。
【0041】またSiC焼結体製タイルと金属板との間
に、CuやNiから成る緩衝材を介装することにより、
SiC焼結体製タイルに発生した残留応力を緩和するこ
とが可能となり、クラックの発生が少ない加速器用タイ
ル接合体が得られる。
【0042】さらにSiC焼結体製タイルと接合する側
と反対側の金属板の表面に、上記緩衝材およびろう材層
を介してSiC焼結体製補強タイル(SiCバックアッ
プタイル)を接合することにより、接合後における残留
応力がかなり低減される結果、クラックなどの発生が少
なく、信頼性の高い加速器用タイル接合体が得られる。
この信頼性の改善効果は、加速器用タイル接合体の構成
材の寸法が大きいほど顕著であり、大型化が進展する加
速器の構成部品として極めて有用である。
【0043】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について以
下の実施例および添付図面を参照して説明する。
【0044】実施例1〜3 表1に示すような組成を有するAg−Cu系ろう材を用
意するとともに、常圧焼結法によって製造した縦100
mm×横30mm×厚さ5mmのSiC焼結体製タイルと、こ
のタイルと同一寸法を有するSiC焼結体製補強タイル
と、縦110mm×横50mm×厚さ1mmのSUS304製
金属板とを用意した。そして、図1に示すように、SU
S304製金属板3の上面に、Cuから成る所定厚さの
緩衝材4aを介在させて上記SiC焼結体製タイル2を
配置した。
【0045】一方、上記タイル2と接合する側と反対側
のSUS304製金属板3の下面に、表1に示す所定厚
さの緩衝材4bを介して、上記タイル2と同寸法のSi
C焼結体製補強タイル(バックアップタイル)6を配置
した。そして上記各部材の接合面に厚さ20μmのAg
−Cu系ろう材層5aを形成して相互に圧着した。次に
この圧着体を1×10-4Torr以下の高真空雰囲気に調整
した加熱炉内に収容し、表1に示す接合温度に加熱して
10分間保持することにより、各部材を相互に接合せし
めて、実施例1〜3に係る加速器用タイル接合体1aを
調整した。
【0046】比較例1〜3 一方、実施例1〜3において、タイル2側の緩衝材4a
およびSiC焼結体製補強タイル(バックアップタイ
ル)8側の緩衝材4bを配設しない点以外は実施例1〜
3と同一条件で処理することにより、それぞれ対応する
比較例1〜3に係る加速器用タイル接合体を調製した。
【0047】こうして調製した実施例1〜3および比較
例1〜3の加速器用タイル接合体について、SiC焼結
体製タイルにおけるクラックの発生の有無を調査すると
ともに、各加速器用タイル接合体について超音波探傷装
置を使用して接合面の剥離の有無を調査し、各接合面に
おける部材の密着性の良否を評価した。調査結果を下記
表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1に示す結果から明らかなように、接合
部に所定厚さの緩衝材4a,4bを介装して形成した各
実施例の加速器用タイル接合体においては接合部に発生
する応力が緩衝材4a,4bによって緩和されるため、
タイル部にクラックを発生させることなく接合でき、し
かも接合界面の剥れもなく、良好な密着性が得られた。
【0050】一方、緩衝材4a,4bを介装しない比較
例1〜3においては、接合後にクラックが発生し、破壊
されたものが多く、またクラックを発生させずに接合が
できた場合(比較例2)においても、接合界面の周辺部
に剥れが発生するものが多く、十分な密着性が得られて
いないことが判明した。
【0051】実施例4〜11 表2に示すような組成を有するAg−Cu系ろう材を用
意するとともに、常圧焼結法によって製造した縦100
mm×横30mm×厚さ5mmのSiC焼結体製タイルと、こ
のタイルと同一寸法を有するSiC焼結体製補強タイル
と、縦110mm×横50mm×厚さ1mmのCuまたはNi
製金属板とを用意した。そして、図2に示すように、C
uまたはNi製金属板3aの上面に、表2に示す各Ag
−Cu系ろう材層5b(厚さ20μm)を介在させて上
記SiC焼結体製タイル2を配置した。
【0052】一方、上記タイル2と接合する側と反対側
の金属板3aの下面に、表2に示す組成のAg−Cu系
ろう材層5b(厚さ20μm)を介して、上記タイル2
と同寸法のSiC焼結体製補強タイル(バックアップタ
イル)6を配置し圧着した。次にこの圧着体を1×10
-4Torr以下の高真空雰囲気に調整した加熱炉内に収容
し、表2に示す接合温度に加熱して10分間保持するこ
とにより、各部材を相互に接合せしめて、実施例4〜1
1に係る加速器用タイル接合体1bをそれぞれ調整し
た。
【0053】比較例4〜7 一方、表2に示すように、CuまたはNi金属板に代え
てSUS304板(比較例4〜5)、42アロイ板(比
較例6),コバール合金板(比較例7)を使用した点以
外は実施例4〜7と同一条件で処理することにより、そ
れぞれ対応する比較例4〜7に係る加速器用タイル接合
体を調製した。
【0054】こうして調製した実施例4〜11および比
較例4〜7の加速器用タイル接合体について、SiC焼
結体製タイルにおけるクラックの発生の有無を調査する
とともに、各加速器用タイル接合体について超音波探傷
装置を使用して接合面の剥離の有無を調査し、各接合面
における部材の密着性の良否を評価した。調査結果を下
記表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】表2に示す結果から明らかなように、金属
板3aとして0.2%耐力が70,100MPaのCu
板またはNi板を使用して形成した各実施例の加速器用
タイル接合体においては接合部に発生する応力が金属板
3aによって緩和されるため、タイル部2,6にクラッ
クを発生させることなく接合でき、しかも接合界面の剥
れもなく、良好な密着性が得られた。
【0057】一方、金属板として0.2%耐力が230
〜290MPaと過大なSUS304板や42アロイ板
やコバール合金板を使用した比較例4〜7においては、
接合後にクラックが発生し、SiCタイル部が多数の小
片状になるまで破壊されたものが多く、十分な耐久性が
得られていないことが判明した。
【0058】また、ろう材層中にカーボン粉末を含有さ
せていない実施例4〜7に係るタイル接合体と、カーボ
ン粉末を含有させた実施例8〜11に係るタイル接合体
とについて、−40℃から+125℃の温度範囲におい
て加熱と冷却とを繰り返す冷熱サイクル試験を実施し
た。その結果、カーボン粉末を含有させた実施例8〜1
1のタイル接合体の方が実施例4〜7の場合と比較し
て、割れが発生するまでの冷熱サイクル数が25〜30
%増加し、より優れた耐久性を有することが判明した。
【0059】このように本実施例によれば、SiC焼結
体製タイルや金属板の寸法が大きい場合であっても、ク
ラックを発生させることなく、しかも部材間の密着性が
良好であり、信頼性が高い加速器用タイル接合体を得る
ことが可能になった。
【0060】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る加速器用
タイル接合体によれば、適正量の活性金属を含有する適
正厚さのろう材層を介してSiC焼結体製タイルと金属
板とが接合されているため、SiC焼結体製タイルと金
属板との接合面で充分な接合強度が得られ、またベーキ
ング処理などの熱処理を実施した後においても、接合強
度が熱処理前の初期接合強度と比較して劣化することが
少なく、優れた耐熱サイクル特性を発揮し、信頼性が高
い加速器用タイル接合体が得られる。
【0061】またSiC焼結体製タイルと金属板との間
に、CuやNiから成る緩衝材を介装することにより、
SiC焼結体製タイルに発生した残留応力を緩和するこ
とが可能となり、クラックの発生が少ない加速器用タイ
ル接合体が得られる。
【0062】さらにSiC焼結体製タイルと接合する側
と反対側の金属板の表面に、上記緩衝材およびろう材層
を介してSiC焼結体製補強タイル(SiCバックアッ
プタイル)を接合することにより、接合後における残留
応力がかなり低減される結果、クラックなどの発生が少
なく、信頼性の高い加速器用タイル接合体が得られる。
この信頼性の改善効果は、加速器用タイル接合体の構成
材の寸法が大きいほど顕著であり、大型化が進展する加
速器の構成部品として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る加速器用タイル接合体の一実施例
を示す断面図。
【図2】本発明に係る加速器用タイル接合体の他の実施
例を示す断面図。
【図3】従来の加速器用タイル接合体の構造例を示す断
面図。
【符号の説明】 1,1a,1b 加速器用タイル接合体(SiC/金属
接合体) 2 SiC焼結体製タイル 3,3a 金属板 4,4a,4b 緩衝材(Cu板) 5,5a,5b 銀−銅系ろう材層 6 SiC焼結体製補強タイル(バックアップタイル)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuまたはNiから成る厚さが0.2mm
    以上の緩衝材をSiC焼結体製タイルと金属板との間に介
    装し、Ti,Zr,Hf,V,NbおよびTaから選択
    された少なくとも1種の活性金属を0.5〜4.0重量
    %含有する銀−銅系ろう材層を介して上記SiC焼結体
    製タイルと緩衝材と金属板とを一体に接合するととも
    に、SiC焼結体製タイルと接合する側と反対側の金属
    板の表面に、緩衝材および銀−銅系ろう材層を介してS
    iC焼結体製補強タイルを一体に接合して成ることを特
    徴とする加速器用タイル接合体。
  2. 【請求項2】 0.2%耐力が200MPa以下である
    金属板の表面に、Ti,Zr,Hf,V,NbおよびT
    aから選択された少なくとも1種の活性金属を0.5〜
    4.0重量%含有する銀−銅系ろう材層を介してSiC
    焼結体製タイルを一体に接合して成ることを特徴とする
    加速器用タイル接合体。
  3. 【請求項3】 SiC焼結体製タイルと接合する側と反
    対側の金属板の表面に、前記銀−銅系ろう材層を介して
    SiC焼結体製補強タイルを一体に接合したことを特徴
    とする請求項2記載の加速器用タイル接合体。
  4. 【請求項4】 金属板の厚さが5mm以上であることを特
    徴とする請求項1または2記載の加速器用タイル接合
    体。
  5. 【請求項5】 SiC焼結体製タイルまたはSiC焼結
    体製補強タイルの厚さが5mm以上であることを特徴とす
    る請求項1または2記載の加速器用タイル接合体。
  6. 【請求項6】 銀−銅系ろう材層の厚さが5〜40μm
    であることを特徴とする請求項1または2記載の加速器
    用タイル接合体。
  7. 【請求項7】 銀−銅系ろう材層は、さらにIn,Zn
    およびSnから選択された少なくとも1種の成分を5〜
    20重量%含有することを特徴とする請求項1または2
    記載の加速器用タイル接合体。
  8. 【請求項8】 銀−銅系ろう材層は、さらにカーボン
    (C)を0.1〜10重量%含有することを特徴とする
    請求項1または2記載の加速器用タイル接合体。
  9. 【請求項9】 SiC焼結体が常圧焼結法または雰囲気
    加圧焼結法によって形成されたことを特徴とする請求項
    1または2記載の加速器用タイル接合体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011135110A (ja) * 2011-04-05 2011-07-07 Nissan Motor Co Ltd 接合構造
JP2015076358A (ja) * 2013-10-11 2015-04-20 三菱重工業株式会社 高周波加速空洞の製造方法、高周波加速空洞、端板の製造方法、および端板

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