JP3353618B2 - 高強度チタン合金 - Google Patents

高強度チタン合金

Info

Publication number
JP3353618B2
JP3353618B2 JP23335196A JP23335196A JP3353618B2 JP 3353618 B2 JP3353618 B2 JP 3353618B2 JP 23335196 A JP23335196 A JP 23335196A JP 23335196 A JP23335196 A JP 23335196A JP 3353618 B2 JP3353618 B2 JP 3353618B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
workability
oxidation
titanium alloy
alloy
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP23335196A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1081928A (ja
Inventor
篤彦 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP23335196A priority Critical patent/JP3353618B2/ja
Publication of JPH1081928A publication Critical patent/JPH1081928A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3353618B2 publication Critical patent/JP3353618B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラ、時計、自
転車などの部品、ゴルフクラブ、眼鏡フレーム、あるい
は航空機、産業機械の部品などに用いられる加工性にす
ぐれた高強度のチタン合金に関する。
【0002】
【従来の技術】高強度のチタン合金は、これまで航空
機、ロケットなどの分野に主として使用されてきた。し
かし、軽量でかつ高強度という特徴からゴルフクラブの
ヘッドおよびシャフト、時計や釣り具の部品、眼鏡のフ
レームなど民生用にも広く使われるようになっている。
ことに腕時計や眼鏡のフレームは直接肌に触れることが
多いので、ニッケルなど他の金属のように皮膚アレルギ
ーを引き起こさない点からも多用されるようになった。
この強度が高く軽量で耐食性にすぐれる特徴をさらに活
かすため、高強度で加工性が良好であるという要求は民
生用においても増加しつつある。たとえば、ゴルフのド
ライバーヘッドは鋳造法または鍛造法で製造され、肉厚
の薄い部分の形状の成形のためには自由度が大きい鍛造
法が好まれるが、その場合は高度の冷間加工性が必要で
ある。また、眼鏡フレームにおいてもデザインが多彩に
なるにつれ、強度と共に加工性への要求が強くなってい
る。
【0003】チタン合金は、その常温における金属組織
を構成する相の結晶構造からα(稠密六方晶: hcp)
型、β(体心立方晶: bcc)型、およびα+β型に大別
される。工業用純チタンやAlなどを少量添加した合金
はα型であり、高強度合金として航空機などに使用され
てよく知られているTi− 6Al− 4V合金はα+β型
である。β型合金はα+β型合金よりさらにβ相を安定
させる元素を増加した合金で、高強度でありながら加工
性にすぐれている特徴がある。
【0004】強度が高く加工性が良好であるβ型合金
の、民生用として使用されているものとしてはTi−15
V− 3Al− 3Cr− 3Sn、Ti−22V− 4Alまた
はTi−20V− 4Al− 1Snなどがある。最近では特
開平6-240390号公報および特開平6-240390号公報にゴル
フドライバーヘッド用として、V:10〜25%で、Al:
2〜 5%、Cr: 2〜 5%またはSn: 2〜 5%のうち
の1種以上を含むチタン合金と、その熱処理方法の発明
が開示されている。
【0005】このようなβ型合金は、通常、高温に加熱
して溶体化し急冷する溶体化処理の後、種々の加工をお
こなって所定の形状に成形し、その後時効処理により微
細なα相を析出させ強化する。したがって、溶体化処理
後の冷間加工性がすぐれている必要があるが、現状のβ
型合金の冷間加工性は、厳しい加工に対し必ずしも十分
であるとはいえない。
【0006】また、Tiの高温で現れるβ相を常温にま
で安定化させるために、多量のVを含有させているが、
このVの存在は熱間加工や熱処理のための高温加熱にお
ける耐酸化性を著しく損なわせる。すなわち、高温での
酸化により、極めて厚い酸化膜が形成され、その上、こ
れが表面に局所的に残留することによって製品の表面状
態を著しく悪くする。酸化の進行は製品の歩留りを低下
させ、酸化による表面状態の劣化は製品表面の研磨など
に多大の工数を必要とし、いずれも製造コストの増大を
招く。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上に
述べたような高強度で加工性のすぐれたβ型チタン合金
に関し、熱間での加工や処理の際の酸化を大幅に低減さ
せ、さらに冷間加工性をより一層向上させたチタン合金
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、強度が高
く加工性のよいβ型チタン合金において、高温における
耐酸化性が改善された、より一層加工性の良好な合金を
得るための方法に関し種々調査をおこなった。まず、V
と同様β相の安定化に効果のあるMoの含有を検討した
が、β相の安定化にはVと同じ量かそれ以上の添加が必
要であり、しかも、Moは高温での酸化をVと大差なく
悪化させる傾向を示した。そこで、Vを多く含むβ型合
金においてその改良を進めることとした。
【0009】耐酸化性向上対策の検討に先立って、まず
溶体化処理後の加工性の向上に関し添加元素による影響
を調べた結果、Zrの添加が有効であることを見いだし
た。ZrはTiに全率固溶し強度を向上させる。溶体化
処理後の加工性がよくなる理由は必ずしも明らかではな
いが、結晶粒が微細化しており、それによって加工性あ
るいは変形能が向上したものと思われる。さらに同様な
加工性向上効果はFeの添加によっても得られ、Zrの
場合と同様、結晶粒が微細化されることもわかった。Z
rは高価でありZrの一部をFeで置き換えるような使
い方をすれば、Feの添加は有効に活用できる。細粒化
する理由は、溶体化のための加熱時に固溶したZrまた
はFeが粒界移動を拘束し、粒成長を阻止するためと考
えられる。
【0010】次に、上記のZrやFeを含有するVによ
りβ型とした合金の、高温加熱時の酸化を抑止する方法
を検討した結果、AlとCrの添加が効果的であること
がわかった。Tiの高温酸化で形成される表面スケール
は、酸素の侵入を阻止する効果は大きくない。合金中に
Vが多量に含まれると、酸化して蒸気圧の高いVの酸化
物を作り、これが離脱してスケールを気孔率の高い疎な
構造とし酸素の侵入を助長する。これが高温での酸化を
増進させる理由である。Moの場合も、酸化Moの蒸気
圧が高いため、Vと同様これが酸化被膜から離脱して被
膜に隙間をつくり、酸化が甚だしくなる。
【0011】Alは、Ti合金においては高強度化を目
的に添加され、α+β型合金やβ型合金では、溶体化処
理後の時効の際、微細なα相の析出を促進するとされて
いる。しかし、酸化すると緻密なAl2 3 を形成し、
これが酸化被膜の酸素侵入阻止機能を高める効果があ
る。また、Crは酸化被膜の密着性を向上させ、それに
よって耐酸化性が向上する。このように、多量のV添加
により生ずる表面酸化被膜の緻密性の低下を、AlとC
rの添加の効果によって補うことにより、高温での耐酸
化性が向上するのである。さらにZrの含有は、Alと
同様緻密な酸化物を形成するので、それによる相乗効果
もあると推定された。
【0012】以上のような各添加元素の効果を見いだ
し、さらに各元素それぞれの効果を発揮する含有量の限
界を明らかにして本発明を完成させた。すなわち本発明
の要旨は、質量%で、V:15〜22%、Al:2〜5%、C
r:0.1〜5%、Zr:0.1〜10%、およびFe:0.1〜5
を含み、残部はTiおよび不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする高温での耐酸化性および冷間加工性のす
ぐれたチタン合金である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下の化学成分の含有量はすべて
質量%であるが、まずVの含有量を15〜22%とする。V
の添加はβ相を安定化させるためであるが、15%未満で
は十分なβ相が安定して得られず、目的とする冷間加工
性が得られないことがある。他方22%を超えるようにな
ると、冷間加工性の向上は飽和するばかりでなく、高温
での酸化が著しくなって種々対策をとっても対処できな
くなるおそれがある。
【0014】Alはα相の安定化元素であり、時効後の
微細なα相の析出による高強度化に不可欠である。ま
た、耐酸化性の面からは、少なすぎるとその改善効果が
不十分となる。本発明の場合、耐酸化性改善のため少な
くとも 2%以上含有させる。ただし多く含有させすぎる
と、溶体化処理後においてもα相が多く現れ冷間加工性
が劣化するので 5%までとする。すなわちAlの適正な
含有範囲は 2〜 5%である。
【0015】Crはβ相の安定化元素でもあるが、表面
酸化被膜の密着性を向上させる。その含有量の範囲は、
0.1%未満では密着性向上効果が不十分であり 5%を超
えて含有させても効果が飽和するので、 0.1〜 5%とす
る。このCr添加をより効果的に発揮させるのに望まし
いのは、 2〜5%の含有である。
【0016】Zrは加工性向上の目的で添加する。また
強度を高める効果もある。含有量が0.1%以下では、加
工性向上の理由と考えられる結晶粒の微細化が十分得ら
れない。また10%を超えて含有させても効果が飽和する
ばかりでなく、高価な材料なので無用なコストアップを
招く。したがって、Zrの含有範囲を 0.1〜10%に限定
する。ただし、加工性向上と強度向上とのバランスから
望ましい含有量は 2〜8%である。
【0017】Feは、Zrと同様結晶粒を微細化し、加
工性を向上させる効果があるので、含有させる。Fe
添加することによって高価なZrの添加量を低減するこ
とができる。少量では効果が現れないので含有量は0.1
%以上とする。ただし、偏析しやすい元素であり、5%
を超えると鋳塊中心部など最終凝固部の濃度が著しく高
くなって、部位による特性変動が大きくなりすぎるの
で、含有量を多くても 5%までとする。望ましい含有量
は 0.1〜3%である。
【0018】その他の不可避的不純物は少ないほどよい
が、とくに溶解中などに混入しやすい元素は加工性や溶
接性に悪影響をおよぼすので、たとえば、酸素: 0.3%
以下、窒素: 0.2%以下、水素:0.03%以下、および炭
素:0.02%以下などとするのが望ましい。
【0019】
【実施例】表1に示す化学組成のチタン合金を、アルゴ
ン雰囲気中プラズマアークにて銅製鋳型を用い溶製し
た。鋳片寸法は厚さ25mm、幅60mm、長さ 150mmであっ
た。鋳片を1100℃に加熱し鍛造して厚さ10mmとし、次に
900℃に加熱して熱間圧延をおこない、 5mm厚の板に仕
上げた。圧延板はアルゴン中 850℃、30min 均熱後水冷
の溶体化処理をおこない、ショットブラストにより表面
のスケールを除去した。
【0020】
【表1】
【0021】この 5mm厚の板から幅50mm、長さ 100mmの
板片を切り取り、加工性の試験をおこなった。加工性は
ワークロール径 450mmの2段圧延機を使用し、潤滑は鉱
物油として冷間圧延をおこない、 0.3mmまで圧延して耳
割れの発生の有無で評価した。耐酸化性の評価は、溶体
化処理後の板片から厚さ 3mm、幅30mm、長さ50mmの試験
片を採取して表面を研磨し、大気中にて1000℃、 1h加
熱して酸化させ、酸化前後の重量を測定して酸化増量を
求めた。
【0022】表1に試験結果も併記する。酸化増量は少
ないほど良好であり、冷間圧延の割れは発生しないのが
よい。試験番号 1または 2は、従来使用されているTi
−15V− 3Al− 3Cr− 3Sn、またはTi−20V−
4Al− 1Snに相当する組成の材料であり、前者は耐
酸化性はよいが冷間加工性が不足し、後者は冷間加工性
はよいが耐酸化性に問題があった。これらに対し、本発
明で定める化学組成範囲の合金は、いずれも酸化増量が
試験番号 2の合金より小さく、上記の冷間圧延をおこな
っても割れの発生が認められなかった。
【0023】
【発明の効果】本発明のチタン合金は、加熱時の耐酸化
性にすぐれた冷間加工性の良好なβ型合金であり、たと
えばゴルフクラブのヘッドや眼鏡フレームなど民生用部
品の製造の合理化、あるいはそのデザインの多様化など
に寄与するところが大である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、V:15〜22%、Al:2〜5%、
    Cr:0.1〜5%、Zr:0.1〜10%、およびFe:0.1〜
    5%を含み、残部はTiおよび不可避的不純物からなる
    ことを特徴とする高温での耐酸化性および冷間加工性の
    すぐれたチタン合金。
JP23335196A 1996-09-03 1996-09-03 高強度チタン合金 Expired - Fee Related JP3353618B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23335196A JP3353618B2 (ja) 1996-09-03 1996-09-03 高強度チタン合金

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23335196A JP3353618B2 (ja) 1996-09-03 1996-09-03 高強度チタン合金

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1081928A JPH1081928A (ja) 1998-03-31
JP3353618B2 true JP3353618B2 (ja) 2002-12-03

Family

ID=16953793

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23335196A Expired - Fee Related JP3353618B2 (ja) 1996-09-03 1996-09-03 高強度チタン合金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3353618B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11269585A (ja) 1998-03-23 1999-10-05 Horikawa Inc Ti−V−Al系超弾性合金とその製造方法
JP4548008B2 (ja) * 2004-06-15 2010-09-22 大同特殊鋼株式会社 β型Ti−Zr系合金及びその製造方法、β型Ti−Zr系合金部材
SG119249A1 (en) * 2004-08-05 2006-02-28 Agency Science Tech & Res An alloying system
JP2017201296A (ja) * 2016-05-02 2017-11-09 セイコーエプソン株式会社 電子時計

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1081928A (ja) 1998-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1533391A1 (en) &bgr;-TYPE TITANIUM ALLOY AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
US20070131314A1 (en) Titanium alloys and method for manufacturing titanium alloy materials
JPS5924179B2 (ja) 冷間圧延された延性、高強度鋼ストリツプとその製法
JP2536673B2 (ja) 冷間加工用チタン合金材の熱処理方法
TW202223116A (zh) 沃斯田鐵系不鏽鋼帶的製造方法
JPH07118818A (ja) 難加工性Co合金の低透磁率化方法
JP3824944B2 (ja) 耐応力腐食割れ性および耐脱亜鉛性に優れた銅合金およびその製造方法
JP3353618B2 (ja) 高強度チタン合金
JP4581425B2 (ja) β型チタン合金およびβ型チタン合金製の部品
JP4371201B2 (ja) β型チタン合金およびその製造方法
JP4304425B2 (ja) 冷間圧延チタン合金板および冷間圧延チタン合金板の製造方法
JP2006200008A (ja) β型チタン合金およびβ型チタン合金製の部品
TWI701343B (zh) 鈦合金板及高爾夫球桿頭
JP3573344B2 (ja) 高清浄マルエージング鋼の製造方法
JPH0585630B2 (ja)
JP2936899B2 (ja) 非酸化性の酸に対する耐食性及び加工性に優れたチタン合金
JP3418907B2 (ja) 耐酸化性と冷間加工性に優れたチタン合金
JP4632239B2 (ja) 冷間加工用βチタン合金材
JP2022024243A (ja) β型チタン合金
JP2000345290A (ja) 銅および銅合金用熱間圧延ロール
JP2001329324A (ja) チタン合金
JPS62214163A (ja) 耐応力腐食性アルミニウム−マグネシウム合金軟質材の製造方法
JP3379370B2 (ja) 冷間加工性に優れたα型チタン合金
JPS59118861A (ja) 快削鋼の製造方法
JPS635464B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080927

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees