JP3379370B2 - 冷間加工性に優れたα型チタン合金 - Google Patents
冷間加工性に優れたα型チタン合金Info
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- JP3379370B2 JP3379370B2 JP01636497A JP1636497A JP3379370B2 JP 3379370 B2 JP3379370 B2 JP 3379370B2 JP 01636497 A JP01636497 A JP 01636497A JP 1636497 A JP1636497 A JP 1636497A JP 3379370 B2 JP3379370 B2 JP 3379370B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラ、眼鏡、時
計、ゴルフクラブ、自転車等の民生用品材料や人工骨、
歯等の人体用材料として用いられるα型チタン合金に関
する。 【０００２】 【従来の技術】チタン合金は、軽量で耐食性に優れ、人
体に接触しても皮膚アレルギーを引き起こさないため
に、カメラ、眼鏡、時計、ゴルフクラブ、自転車等の民
生用品材料や人工骨、歯等の人体用材料として用いられ
ている。これらの民生用品材料や人体用材料として用い
られるチタン合金には、高い冷間加工性が求められる。
さらに眼鏡、時計などの分野では製品に表面光沢を付与
するために研磨性が求められる。しかし、一般にチタン
合金は研磨性に劣るため、成形後の研磨で製品に光沢を
与えるのには多大の工数が必要である。 【０００３】一方、チタン合金は組成によりα型、α＋
β型、β型に分類される。この内α型チタン合金は、５
００℃までのクリープ強度と溶接性に優れているが、β
型に比べて冷間加工性が劣る。しかし、α型チタン合金
は、β型チタン合金で生じる熱処理による不安定相の生
成などがなく、かつ溶解もβ型チタン合金よりも容易で
あるために、冷間加工性を向上させられれば、応用分野
の拡大が期待できる。 【０００４】冷間加工性を改善したα型チタン合金のひ
とつが特開昭６２−２２２０３６号公報に提案されてい
る。その合金は、Ｚｒを（Ｚｒ）＋（２５×酸素）≧６
でかつ（３×Ｚｒ）＋（２２０×酸素）≦６０を満たす
量含有し、Ｓｎを２重量％以上３重量％以下含み、さら
にＡｌ、Ｆｅ、Ｃｕ、Ｃｒ、Ｎｉの１種または２種以上
を合計で０．５重量％以下含有し、残部がＴｉおよび不
可避的不純物からなるチタン合金である。しかし、本発
明者らの調査によれば、そのＴｉ合金では、低融点金属
であるＳｎを２重量％以上３重量％以下と多量に含んで
いるので、インゴット中でＳｎが偏析し、低融点相が形
成される。すなわち、Ｓｎは固相への溶解度が低いの
で、液相側に濃縮し、インゴットの最終凝固部に偏析し
て低融点相を形成する。このＳｎの低融点相は、熱間加
工時の割れの原因となる。Ｔｉ合金は一般的に約９００
℃で熱間加工が施されるが、Ｓｎの融点は２３２℃であ
るので、Ｓｎの低融点相は液相化しており、熱間加工の
応力がかかると液相部分から割れが発生するのである。 【０００５】冷間加工性を改善したα型チタン合金の他
の例が特公平６−４６２６９号公報に提案してある。そ
の合金は、ＺｒをＺｒ≧１重量％、かつ（Ｚｒ）＋（２
５×酸素）≧５および（３×Ｚｒ）＋（２２０×酸素）
≦６６の条件を満たすように含有し、さらにＡｌ、Ｓ
ｎ、Ｆｅ、Ｃｕ、Ｃｒの１種または２種以上を合計で１
重量％以下含有し、残部がＴｉおよび不可避的不純物か
らなるチタン合金である。しかし、本公報に記載されて
いるＴｉ合金は、ＳｎとＦｅを合計で高々１重量％しか
含有していないので、結晶粒径が粗くなり、成形加工後
の研磨に多大な工数を要する問題点を有している。 【０００６】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、熱間
加工時に割れが生じることがなく、冷間加工性や研磨性
に優れていて、民生用品材料や人体用材料として用いら
れるのに好適なα型チタン合金を提供することである。 【０００７】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次のα
型チタン合金にある。 【０００８】『重量％で、Ｚｒ：５％以上１５％以下、
Ｓｎ：１％以上２％未満、Ｆｅ：０．１％以上２％を含
み、残部がＴｉおよび不可避的不純物からなるα型チタ
ン合金。』 本発明のα型チタン合金（以下、本発明合金ともい
う。）は、下記のように冷間加工性、研磨性および熱間
加工性に優れている。なお、化学組成の説明で用いる％
表示は、重量％を意味する。 【０００９】本発明合金では、Ｚｒ、ＳｎおよびＦｅを
含有させることによって冷間加工性を向上させている。
これらの元素を含む場合には、結晶粒径が著しく微細化
する。結晶粒径が微細化すれば、プレスやロール圧延等
の冷間加工時に割れが生じにくくなる。さらに成形加工
時のしわの発生が防止できる。 【００１０】また、本発明合金では、Ｚｒを５〜１５％
以下、Ｓｎを１％以上、Ｆｅを０．１％以上含有させる
ことによって研磨性を向上させている。このような化学
組成とすることにより、結晶粒径が著しく微細化するの
で研磨性が良好となる。 【００１１】さらに本発明合金では、低融点金属である
Ｓｎを２％以下に抑えることによって熱間加工性を確保
している。Ｓｎの含有量が低いのでＳｎが濃縮した低融
点相は生成しない。したがって、低融点相が引き起こす
熱間加工時の割れを防止することができる。 【００１２】 【発明の実施の形態】本発明合金をさらに具体的に説明
する。 【００１３】（１）本発明合金の化学組成 Ｚｒ：５％以上１５％以下 Ｚｒは、結晶粒を著しく微細化する元素であり、研磨性
と冷間加工性を改善する。この効果を得るためには、５
％以上含有させる必要がある。一方、Ｚｒの含有量が１
５％を超えると結晶粒を微細化する作用が飽和するばか
りか、延性の低下を招き、さらに合金の比重を高めると
ともに、原料費を上昇させる。したがって、Ｚｒの含有
量は、５％以上１５％以下とした。より望ましいＺｒの
含有量は、５％以上１２％以下である。 【００１４】Ｓｎ：１％以上２％未満 Ｓｎは、Ｚｒと同様に結晶粒を微細化し、冷間加工性と
研磨性を改善する元素である。この効果を得るために
は、１％以上含有させる必要がある。一方、Ｓｎの融点
は２３２℃で、ＴｉやＺｒのそれと比較して低い。した
がって、Ｓｎの含有量が多い場合は、Ｓｎが偏析し、低
融点の相がインゴット内に形成され、この低融点相を起
点として、熱間圧延や熱間鍛造等の熱間加工時に割れが
生じる。この熱間加工時の割れの問題は、Ｓｎの含有量
が２％以上の場合に顕著に生じる。したがって、Ｓｎの
含有量の上限を２％未満とした。 【００１５】Ｆｅ：０．１％以上２％以下 Ｆｅは、ＺｒやＳｎと同様に結晶粒を微細化し、冷間加
工性と研磨性を改善する元素である。この効果を得るた
めには、０．１％以上含有させる必要がある。一方、Ｆ
ｅ含有量が２％を超えるとインゴット内にＦｅの偏析が
発生し、インゴット全体にわたる均質性が保てなくな
る。また、Ｆｅの含有量が２％を超えると、ＴｉとＦｅ
の金属間化合物が形成され、材料の延性が低下する。し
たがって、含有量を０．１％以上２％以下とした。 【００１６】Ｚｒ、ＳｎおよびＦｅ以外の残部は、Ｔｉ
および不可避的不純物である。不可避的不純物として
は、例えばＯ（酸素）、Ｃ、Ｎ、Ｈ、Ｎｉ、Ｃｒがあ
る。不可避的不純物として許容される含有量は、Ｏは
０．１５％以下、Ｃは０．０２％以下、Ｎは０．０２％
以下、Ｈは０．０２５％以下、Ｎｉは０．０２％以下、
Ｃｒは０．０２％以下である。 【００１７】（２）本発明合金の製造方法 本発明合金は、例えば、所定の化学組成となるように、
所定の量の各金属元素をスポンジチタンで包み込んだ後
に圧縮してＴｉ電極に成形し、通常のアーク溶解法によ
りこのＴｉ電極を溶解して凝固させることによって製造
できる。 【００１８】本発明合金は、熱間鍛造、熱間圧延などの
熱間加工を施した後に、冷間鍛造、冷間圧延、プレス加
工等の冷間加工を施して、板、棒、パイプ等の製品形状
に成形することにより、カメラ、眼鏡、時計、ゴルフク
ラブ、自転車等の民生用品や人工骨、歯等の人体用材料
として使用できる。 【００１９】 【実施例】ボタンアーク溶解炉を使用して、溶解した溶
湯５００ｇを幅５０ｍｍ、厚さ２０ｍｍ、長さ１００ｍ
ｍのインゴットに鋳造した。表１に、本発明合金および
の本発明で規定する化学組成の範囲から外れる比較のた
めの合金（以下、比較合金という。）の化学組成を示
す。 【００２０】 【表１】 【００２１】さらに、本発明合金および比較合金のイン
ゴットを１０００℃に加熱した後、１ヒートの熱間圧延
を施して厚さ５ｍｍの厚板に成形した。その後、熱間圧
延によって発生した歪を除去するために、上記の厚板に
７００℃で３０分間の焼鈍を施した。その後、脱スケー
ルのために切削加工により厚さ４ｍｍの厚板に加工し
た。さらに厚板に冷間圧延を施して厚さ０．５ｍｍの薄
板に成形した。なお、冷間圧延中、板厚２．５ｍｍにな
った時点で、冷間加工組織を消滅させ、等軸組織を得る
ために、真空中において７００℃で３０分間保持する焼
鈍を施した。 【００２２】本発明合金および比較合金の熱間加工性、
冷間加工性および研磨性の評価は以下の調査により行っ
た。 【００２３】熱間加工性は、熱間圧延中に厚板に耳割れ
が生じるか否かによって評価し、耳割れが生じたものを
熱間加工性が不良とした。 【００２４】冷間加工性は、冷間加工中に発生する薄板
の耳割れの有無と引張試験による材料の伸びによって評
価した。冷間圧延中に薄板に耳割れが生じたものを冷間
加工性が不良とした。冷間加工で耳割れが生じなかった
厚さ０．５ｍｍの薄板を７００℃で３０分間、真空中で
焼鈍した後、平行部幅１２．５ｍｍ、標点間距離５０ｍ
ｍの引張試験片を採取し、ＡＳＴＭ−Ｅ８に準拠して室
温での引張試験を実施した。この引張試験において、伸
びが２５％を下回るもの、すなわち冷間加工での延性が
不足するものも冷間加工性が不良であると判断した。 【００２５】研磨性は、薄板の表面を研磨した後の光沢
度を測定することにより評価した。冷間加工後焼鈍を施
した薄板から２０ｍｍ角の試験片を採取し、１２００番
までペーパー研磨した後、バフにて３０秒間研磨し、７
５度の反射角で光沢度を測定し、表面光沢度が１００よ
り低いものを研磨性不良とした。 【００２６】これらの試験結果を表１に併せて示した。 【００２７】表１に示すとおり本発明合金は、熱間加工
中および冷間加工中に割れが生じることはなく、かつ常
温での延びに優れていた。また、研磨性も良好であっ
た。しかし、比較合金１は、Ｚｒの含有量が不足するた
めに結晶粒径が粗く、研磨性が不良であった。比較合金
７は、Ｚｒを多量に含むために延びが不十分であり、冷
間加工性に劣っていた。比較合金７のようにＺｒを多量
に含有する合金は経済的でない。比較合金８は、Ｓｎの
含有量が不足するために研磨性が不良であった。一方、
比較合金１２は、Ｓｎを多量に含有しているので熱間加
工時に割れが発生した。したがって、熱間圧延以降の加
工は行わなかった。比較合金１３は、Ｆｅの含有量が不
足しているために研磨性が不良であった。比較合金１９
は、Ｆｅを多量に含有しているので冷間圧延中に割れが
発生した。 【００２８】 【発明の効果】本発明のα型チタン合金は、熱間加工時
に割れが生じることがなく、冷間加工性や研磨性に優れ
ているので、複雑な加工を施して製造される民生用品材
料や人体用材料として好適である。
計、ゴルフクラブ、自転車等の民生用品材料や人工骨、
歯等の人体用材料として用いられるα型チタン合金に関
する。 【０００２】 【従来の技術】チタン合金は、軽量で耐食性に優れ、人
体に接触しても皮膚アレルギーを引き起こさないため
に、カメラ、眼鏡、時計、ゴルフクラブ、自転車等の民
生用品材料や人工骨、歯等の人体用材料として用いられ
ている。これらの民生用品材料や人体用材料として用い
られるチタン合金には、高い冷間加工性が求められる。
さらに眼鏡、時計などの分野では製品に表面光沢を付与
するために研磨性が求められる。しかし、一般にチタン
合金は研磨性に劣るため、成形後の研磨で製品に光沢を
与えるのには多大の工数が必要である。 【０００３】一方、チタン合金は組成によりα型、α＋
β型、β型に分類される。この内α型チタン合金は、５
００℃までのクリープ強度と溶接性に優れているが、β
型に比べて冷間加工性が劣る。しかし、α型チタン合金
は、β型チタン合金で生じる熱処理による不安定相の生
成などがなく、かつ溶解もβ型チタン合金よりも容易で
あるために、冷間加工性を向上させられれば、応用分野
の拡大が期待できる。 【０００４】冷間加工性を改善したα型チタン合金のひ
とつが特開昭６２−２２２０３６号公報に提案されてい
る。その合金は、Ｚｒを（Ｚｒ）＋（２５×酸素）≧６
でかつ（３×Ｚｒ）＋（２２０×酸素）≦６０を満たす
量含有し、Ｓｎを２重量％以上３重量％以下含み、さら
にＡｌ、Ｆｅ、Ｃｕ、Ｃｒ、Ｎｉの１種または２種以上
を合計で０．５重量％以下含有し、残部がＴｉおよび不
可避的不純物からなるチタン合金である。しかし、本発
明者らの調査によれば、そのＴｉ合金では、低融点金属
であるＳｎを２重量％以上３重量％以下と多量に含んで
いるので、インゴット中でＳｎが偏析し、低融点相が形
成される。すなわち、Ｓｎは固相への溶解度が低いの
で、液相側に濃縮し、インゴットの最終凝固部に偏析し
て低融点相を形成する。このＳｎの低融点相は、熱間加
工時の割れの原因となる。Ｔｉ合金は一般的に約９００
℃で熱間加工が施されるが、Ｓｎの融点は２３２℃であ
るので、Ｓｎの低融点相は液相化しており、熱間加工の
応力がかかると液相部分から割れが発生するのである。 【０００５】冷間加工性を改善したα型チタン合金の他
の例が特公平６−４６２６９号公報に提案してある。そ
の合金は、ＺｒをＺｒ≧１重量％、かつ（Ｚｒ）＋（２
５×酸素）≧５および（３×Ｚｒ）＋（２２０×酸素）
≦６６の条件を満たすように含有し、さらにＡｌ、Ｓ
ｎ、Ｆｅ、Ｃｕ、Ｃｒの１種または２種以上を合計で１
重量％以下含有し、残部がＴｉおよび不可避的不純物か
らなるチタン合金である。しかし、本公報に記載されて
いるＴｉ合金は、ＳｎとＦｅを合計で高々１重量％しか
含有していないので、結晶粒径が粗くなり、成形加工後
の研磨に多大な工数を要する問題点を有している。 【０００６】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、熱間
加工時に割れが生じることがなく、冷間加工性や研磨性
に優れていて、民生用品材料や人体用材料として用いら
れるのに好適なα型チタン合金を提供することである。 【０００７】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次のα
型チタン合金にある。 【０００８】『重量％で、Ｚｒ：５％以上１５％以下、
Ｓｎ：１％以上２％未満、Ｆｅ：０．１％以上２％を含
み、残部がＴｉおよび不可避的不純物からなるα型チタ
ン合金。』 本発明のα型チタン合金（以下、本発明合金ともい
う。）は、下記のように冷間加工性、研磨性および熱間
加工性に優れている。なお、化学組成の説明で用いる％
表示は、重量％を意味する。 【０００９】本発明合金では、Ｚｒ、ＳｎおよびＦｅを
含有させることによって冷間加工性を向上させている。
これらの元素を含む場合には、結晶粒径が著しく微細化
する。結晶粒径が微細化すれば、プレスやロール圧延等
の冷間加工時に割れが生じにくくなる。さらに成形加工
時のしわの発生が防止できる。 【００１０】また、本発明合金では、Ｚｒを５〜１５％
以下、Ｓｎを１％以上、Ｆｅを０．１％以上含有させる
ことによって研磨性を向上させている。このような化学
組成とすることにより、結晶粒径が著しく微細化するの
で研磨性が良好となる。 【００１１】さらに本発明合金では、低融点金属である
Ｓｎを２％以下に抑えることによって熱間加工性を確保
している。Ｓｎの含有量が低いのでＳｎが濃縮した低融
点相は生成しない。したがって、低融点相が引き起こす
熱間加工時の割れを防止することができる。 【００１２】 【発明の実施の形態】本発明合金をさらに具体的に説明
する。 【００１３】（１）本発明合金の化学組成 Ｚｒ：５％以上１５％以下 Ｚｒは、結晶粒を著しく微細化する元素であり、研磨性
と冷間加工性を改善する。この効果を得るためには、５
％以上含有させる必要がある。一方、Ｚｒの含有量が１
５％を超えると結晶粒を微細化する作用が飽和するばか
りか、延性の低下を招き、さらに合金の比重を高めると
ともに、原料費を上昇させる。したがって、Ｚｒの含有
量は、５％以上１５％以下とした。より望ましいＺｒの
含有量は、５％以上１２％以下である。 【００１４】Ｓｎ：１％以上２％未満 Ｓｎは、Ｚｒと同様に結晶粒を微細化し、冷間加工性と
研磨性を改善する元素である。この効果を得るために
は、１％以上含有させる必要がある。一方、Ｓｎの融点
は２３２℃で、ＴｉやＺｒのそれと比較して低い。した
がって、Ｓｎの含有量が多い場合は、Ｓｎが偏析し、低
融点の相がインゴット内に形成され、この低融点相を起
点として、熱間圧延や熱間鍛造等の熱間加工時に割れが
生じる。この熱間加工時の割れの問題は、Ｓｎの含有量
が２％以上の場合に顕著に生じる。したがって、Ｓｎの
含有量の上限を２％未満とした。 【００１５】Ｆｅ：０．１％以上２％以下 Ｆｅは、ＺｒやＳｎと同様に結晶粒を微細化し、冷間加
工性と研磨性を改善する元素である。この効果を得るた
めには、０．１％以上含有させる必要がある。一方、Ｆ
ｅ含有量が２％を超えるとインゴット内にＦｅの偏析が
発生し、インゴット全体にわたる均質性が保てなくな
る。また、Ｆｅの含有量が２％を超えると、ＴｉとＦｅ
の金属間化合物が形成され、材料の延性が低下する。し
たがって、含有量を０．１％以上２％以下とした。 【００１６】Ｚｒ、ＳｎおよびＦｅ以外の残部は、Ｔｉ
および不可避的不純物である。不可避的不純物として
は、例えばＯ（酸素）、Ｃ、Ｎ、Ｈ、Ｎｉ、Ｃｒがあ
る。不可避的不純物として許容される含有量は、Ｏは
０．１５％以下、Ｃは０．０２％以下、Ｎは０．０２％
以下、Ｈは０．０２５％以下、Ｎｉは０．０２％以下、
Ｃｒは０．０２％以下である。 【００１７】（２）本発明合金の製造方法 本発明合金は、例えば、所定の化学組成となるように、
所定の量の各金属元素をスポンジチタンで包み込んだ後
に圧縮してＴｉ電極に成形し、通常のアーク溶解法によ
りこのＴｉ電極を溶解して凝固させることによって製造
できる。 【００１８】本発明合金は、熱間鍛造、熱間圧延などの
熱間加工を施した後に、冷間鍛造、冷間圧延、プレス加
工等の冷間加工を施して、板、棒、パイプ等の製品形状
に成形することにより、カメラ、眼鏡、時計、ゴルフク
ラブ、自転車等の民生用品や人工骨、歯等の人体用材料
として使用できる。 【００１９】 【実施例】ボタンアーク溶解炉を使用して、溶解した溶
湯５００ｇを幅５０ｍｍ、厚さ２０ｍｍ、長さ１００ｍ
ｍのインゴットに鋳造した。表１に、本発明合金および
の本発明で規定する化学組成の範囲から外れる比較のた
めの合金（以下、比較合金という。）の化学組成を示
す。 【００２０】 【表１】 【００２１】さらに、本発明合金および比較合金のイン
ゴットを１０００℃に加熱した後、１ヒートの熱間圧延
を施して厚さ５ｍｍの厚板に成形した。その後、熱間圧
延によって発生した歪を除去するために、上記の厚板に
７００℃で３０分間の焼鈍を施した。その後、脱スケー
ルのために切削加工により厚さ４ｍｍの厚板に加工し
た。さらに厚板に冷間圧延を施して厚さ０．５ｍｍの薄
板に成形した。なお、冷間圧延中、板厚２．５ｍｍにな
った時点で、冷間加工組織を消滅させ、等軸組織を得る
ために、真空中において７００℃で３０分間保持する焼
鈍を施した。 【００２２】本発明合金および比較合金の熱間加工性、
冷間加工性および研磨性の評価は以下の調査により行っ
た。 【００２３】熱間加工性は、熱間圧延中に厚板に耳割れ
が生じるか否かによって評価し、耳割れが生じたものを
熱間加工性が不良とした。 【００２４】冷間加工性は、冷間加工中に発生する薄板
の耳割れの有無と引張試験による材料の伸びによって評
価した。冷間圧延中に薄板に耳割れが生じたものを冷間
加工性が不良とした。冷間加工で耳割れが生じなかった
厚さ０．５ｍｍの薄板を７００℃で３０分間、真空中で
焼鈍した後、平行部幅１２．５ｍｍ、標点間距離５０ｍ
ｍの引張試験片を採取し、ＡＳＴＭ−Ｅ８に準拠して室
温での引張試験を実施した。この引張試験において、伸
びが２５％を下回るもの、すなわち冷間加工での延性が
不足するものも冷間加工性が不良であると判断した。 【００２５】研磨性は、薄板の表面を研磨した後の光沢
度を測定することにより評価した。冷間加工後焼鈍を施
した薄板から２０ｍｍ角の試験片を採取し、１２００番
までペーパー研磨した後、バフにて３０秒間研磨し、７
５度の反射角で光沢度を測定し、表面光沢度が１００よ
り低いものを研磨性不良とした。 【００２６】これらの試験結果を表１に併せて示した。 【００２７】表１に示すとおり本発明合金は、熱間加工
中および冷間加工中に割れが生じることはなく、かつ常
温での延びに優れていた。また、研磨性も良好であっ
た。しかし、比較合金１は、Ｚｒの含有量が不足するた
めに結晶粒径が粗く、研磨性が不良であった。比較合金
７は、Ｚｒを多量に含むために延びが不十分であり、冷
間加工性に劣っていた。比較合金７のようにＺｒを多量
に含有する合金は経済的でない。比較合金８は、Ｓｎの
含有量が不足するために研磨性が不良であった。一方、
比較合金１２は、Ｓｎを多量に含有しているので熱間加
工時に割れが発生した。したがって、熱間圧延以降の加
工は行わなかった。比較合金１３は、Ｆｅの含有量が不
足しているために研磨性が不良であった。比較合金１９
は、Ｆｅを多量に含有しているので冷間圧延中に割れが
発生した。 【００２８】 【発明の効果】本発明のα型チタン合金は、熱間加工時
に割れが生じることがなく、冷間加工性や研磨性に優れ
ているので、複雑な加工を施して製造される民生用品材
料や人体用材料として好適である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】重量％で、Ｚｒ：５％以上１５％以下、Ｓ
ｎ：１％以上２％未満、Ｆｅ：０．１％以上２％以下を
含み、残部がＴｉおよび不可避的不純物からなることを
特徴とするα型チタン合金。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP01636497A JP3379370B2 (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | 冷間加工性に優れたα型チタン合金 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP01636497A JP3379370B2 (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | 冷間加工性に優れたα型チタン合金 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10212536A JPH10212536A (ja) | 1998-08-11 |
| JP3379370B2 true JP3379370B2 (ja) | 2003-02-24 |
Family
ID=11914281
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP01636497A Expired - Lifetime JP3379370B2 (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | 冷間加工性に優れたα型チタン合金 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3379370B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN115896498B (zh) * | 2022-11-22 | 2024-03-05 | 西安交通大学 | 一种高相变循环稳定性Ti-Ni-Cu形状记忆合金板材及其制备方法 |
-
1997
- 1997-01-30 JP JP01636497A patent/JP3379370B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH10212536A (ja) | 1998-08-11 |
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