JP2010275606A - チタン合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来と比較して、高比強度化を図ることが可能なチタン合金を提供する。
【解決手段】質量%で、Al:7.1〜9.0%、Fe:0.1〜2.0%、Cr:0.01〜2.0%、および、Sn:0.01〜2.0%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物よりなるチタン合金とする。当該チタン合金は、質量%で、V:0.01〜2.0%、O:0.05〜0.15%、NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素0.1〜2.0%、B:0.01〜0.3%、Si:0.01〜0.3%をさらに含有していても良い。
【選択図】なし
【解決手段】質量%で、Al:7.1〜9.0%、Fe:0.1〜2.0%、Cr:0.01〜2.0%、および、Sn:0.01〜2.0%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物よりなるチタン合金とする。当該チタン合金は、質量%で、V:0.01〜2.0%、O:0.05〜0.15%、NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素0.1〜2.0%、B:0.01〜0.3%、Si:0.01〜0.3%をさらに含有していても良い。
【選択図】なし
Description
本発明は、チタン合金に関するものである。
チタン合金は、鋼と比較して、軽くて強く、耐食性に優れた材料である。そのため、古くから航空、軍事、宇宙、海洋探査等の分野で使用されてきた。最近では、人工骨等の生体材料、眼鏡フレーム等の装身具、ゴルフクラブ等のスポーツ用品などにも使用分野が広がりつつある。
近年、例えば、ゴルフクラブヘッド用途では、クラブ性能の向上を図る観点から、これまでにも増して高比強度を有するチタン合金が求められている。このように、チタン合金の高比強度化がこれまで以上に求められている。
代表的なチタン合金としては、例えば、Ti−6Al−4V合金が知られている。また、特許文献1には、Ti−6Al−4V合金と同等以上の機械的性質を有するチタン合金として、質量%で、Al:5.5〜7.0%、Fe:0.5〜4.0%、O:0.5%以下、残部Tiおよび不可避的不純物からなるα+β型のチタン合金が開示されている。
また、他にも、特許文献2には、Ti−6Al−4V合金と同等以上の高比強度を有するチタン合金として、質量%で、Al:7.1〜10%、Fe:0.1〜3.0%、C:0.5%以下、O:0.05〜0.5%、N:0.5%以下を含み、残部Tiおよび不可避的不純物からなるα+β型のチタン合金が開示されている。
しかしながら、従来のチタン合金は、未だ改善の余地があった。
すなわち、特許文献1のチタン合金は、Al添加量が低いため、高比強度化の効果が十分でないものと推定される。一方、特許文献2のチタン合金も、その実施例を見ると比強度は220(平均値)程度であり、さらなる高比強度化が望まれる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来と比較して、高比強度化を図ることが可能なチタン合金を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るチタン合金は、質量%で、Al:7.1〜9.0%、Fe:0.1〜2.0%、Cr:0.01〜2.0%、および、Sn:0.01〜2.0%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物よりなることを要旨とする。ここで、上記チタン合金は、質量%で、V:0.01〜2.0%をさらに含有していても良い。また、上記チタン合金は、質量%で、O:0.05〜0.15%をさらに含有していても良い。また、上記チタン合金は、NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を、質量%で、0.1〜2.0%さらに含有していても良い。また、上記チタン合金は、質量%で、B:0.01〜0.3%をさらに含有していても良い。また、上記チタン合金は、質量%で、Si:0.01〜0.3%をさらに含有していても良い。
本発明に係るゴルフクラブヘッドは、上記チタン合金を用いていることを要旨とする。
本発明に係るチタン合金は、低比重化に寄与するAl、β相安定化に寄与するFe、Cr、α相およびβ相の強化に寄与するSnを特定割合で含有している。そのため、従来に比べ、高比強度化を図ることができる。したがって、広く使用されているTi−6Al−4V合金等の代替材料として有用である。
本発明に係るゴルフクラブヘッドは、従来に比べ高比強度を有するチタン合金を用いている。そのため、クラブ性能を向上させることができる。
以下に、本発明の一実施形態について詳細に説明する。本発明に係るチタン合金は、以下の構成元素を含有し、残部が実質的にTiおよび不可避的不純物よりなる。含まれる構成元素の種類、含有率および限定理由などは、以下の通りである。なお、含有率の単位は、質量%である。
・Al:7.1〜9.0%
Alは、合金のα相に固溶してα相を強化する元素である。また、Alは、Tiより軽量であるため、高比強度化の効果を得やすい。高比強度化の効果を十分に得る等の観点から、Al含有率の下限を7.1%以上とする。Al含有率の下限は、好ましくは、7.3%以上、より好ましくは、7.5%以上であると良い。一方、Al含有率が過剰になると、金属間化合物Ti3Alが析出し、合金が脆化する傾向が見られる。そのため、Al含有率の上限を9.0%以下とする。Al含有率の上限は、好ましくは、8.8%以下、より好ましくは、8.5%以下であると良い。
Alは、合金のα相に固溶してα相を強化する元素である。また、Alは、Tiより軽量であるため、高比強度化の効果を得やすい。高比強度化の効果を十分に得る等の観点から、Al含有率の下限を7.1%以上とする。Al含有率の下限は、好ましくは、7.3%以上、より好ましくは、7.5%以上であると良い。一方、Al含有率が過剰になると、金属間化合物Ti3Alが析出し、合金が脆化する傾向が見られる。そのため、Al含有率の上限を9.0%以下とする。Al含有率の上限は、好ましくは、8.8%以下、より好ましくは、8.5%以下であると良い。
・Fe:0.1〜2.0%
Feは、β相を安定化し、合金強度を高めることが可能な元素である。その効果を得るため、Fe含有率の下限を0.1%以上とする。Fe含有率の下限は、好ましくは、0.3%以上、より好ましくは、0.5%以上であると良い。一方、Fe含有率の増加により強度は上昇するが硬度も増す。そのため、強度と硬さのバランスを図る等の観点から、Fe含有率の上限を2.0%以下とする。Fe含有率の上限は、製造時におけるFeの偏析を抑制しやすくなる等の観点から、好ましくは、1.8%以下、より好ましくは、1.5%以下であると良い。
Feは、β相を安定化し、合金強度を高めることが可能な元素である。その効果を得るため、Fe含有率の下限を0.1%以上とする。Fe含有率の下限は、好ましくは、0.3%以上、より好ましくは、0.5%以上であると良い。一方、Fe含有率の増加により強度は上昇するが硬度も増す。そのため、強度と硬さのバランスを図る等の観点から、Fe含有率の上限を2.0%以下とする。Fe含有率の上限は、製造時におけるFeの偏析を抑制しやすくなる等の観点から、好ましくは、1.8%以下、より好ましくは、1.5%以下であると良い。
・Cr:0.01〜2.0%
Crは、Feとともにβ相の安定化のために添加する元素である。その効果を得るため、Cr含有率の下限を0.01%以上とする。Cr含有率の下限は、好ましくは、0.02%以上、より好ましくは、0.03%以上であると良い。一方、Cr含有率が過剰になると、重量が重くなり、高比重化を図り難くなる。そのため、Cr含有率の上限を2.0%以下とする。Cr含有率の上限は、好ましくは、1.8%以下、より好ましくは、1.5%以下であると良い。
Crは、Feとともにβ相の安定化のために添加する元素である。その効果を得るため、Cr含有率の下限を0.01%以上とする。Cr含有率の下限は、好ましくは、0.02%以上、より好ましくは、0.03%以上であると良い。一方、Cr含有率が過剰になると、重量が重くなり、高比重化を図り難くなる。そのため、Cr含有率の上限を2.0%以下とする。Cr含有率の上限は、好ましくは、1.8%以下、より好ましくは、1.5%以下であると良い。
・Sn:0.01〜2.0%
Snは、α相およびβ相の両方を強化することが可能な元素である。その効果を得るため、Sn含有率の下限を0.01%以上とする。Sn含有率の下限は、好ましくは、0.02%以上、より好ましくは、0.03%以上であると良い。一方、Sn含有率が過剰になると、重量が重くなり、高比重化を図り難くなる。そのため、Sn含有率の上限を2.0%以下とする。Sn含有率の上限は、好ましくは、1.8%以下、より好ましくは、1.5%以下であると良い。
Snは、α相およびβ相の両方を強化することが可能な元素である。その効果を得るため、Sn含有率の下限を0.01%以上とする。Sn含有率の下限は、好ましくは、0.02%以上、より好ましくは、0.03%以上であると良い。一方、Sn含有率が過剰になると、重量が重くなり、高比重化を図り難くなる。そのため、Sn含有率の上限を2.0%以下とする。Sn含有率の上限は、好ましくは、1.8%以下、より好ましくは、1.5%以下であると良い。
本発明に係るチタン合金は、上述した必須構成元素に加えて、さらに、以下の元素を任意に含有しても良い。
・V:0.01〜2.0%
Vは、Feとともにβ相の安定化のために添加する元素である。また、Vは、Ti−6Al−4V等のスクラップやステンレス鋼スクラップ等を原料に用いた場合に混入し得る。β相安定化、原料コスト削減等の観点から、V含有率の下限は0.01%以上とすると良い。V含有率の下限は、好ましくは、0.02%以上、より好ましくは、0.03%以上であると良い。一方、V含有率が過剰になると、重量が重くなり、高比重化を図り難くなる。そのため、V含有率の上限は2.0%以下とすると良い。V含有率の上限は、好ましくは、1.8%以下、より好ましくは、1.5%以下であると良い。
Vは、Feとともにβ相の安定化のために添加する元素である。また、Vは、Ti−6Al−4V等のスクラップやステンレス鋼スクラップ等を原料に用いた場合に混入し得る。β相安定化、原料コスト削減等の観点から、V含有率の下限は0.01%以上とすると良い。V含有率の下限は、好ましくは、0.02%以上、より好ましくは、0.03%以上であると良い。一方、V含有率が過剰になると、重量が重くなり、高比重化を図り難くなる。そのため、V含有率の上限は2.0%以下とすると良い。V含有率の上限は、好ましくは、1.8%以下、より好ましくは、1.5%以下であると良い。
・O:0.05〜0.15%
Oは、α相を強化することが可能な元素である。その効果を得るため、O含有率の下限は0.05%以上とすると良い。O含有率の下限は、好ましくは、0.06%以上、より好ましくは、0.07%以上であると良い。一方、O含有率が過剰になると、強度が過度に上昇する傾向が見られる。そのため、O含有率は低めに誘導するのが好ましく、O含有率の上限は0.15%以下とすると良い。O含有率の上限は、好ましくは、0.14%以下、より好ましくは、0.13%以下であると良い。
Oは、α相を強化することが可能な元素である。その効果を得るため、O含有率の下限は0.05%以上とすると良い。O含有率の下限は、好ましくは、0.06%以上、より好ましくは、0.07%以上であると良い。一方、O含有率が過剰になると、強度が過度に上昇する傾向が見られる。そのため、O含有率は低めに誘導するのが好ましく、O含有率の上限は0.15%以下とすると良い。O含有率の上限は、好ましくは、0.14%以下、より好ましくは、0.13%以下であると良い。
・NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を、質量%で、0.1〜2.0%
Ni、Moは、β相の安定化に寄与する元素である。また、Ni、Moは、チタン合金スクラップやステンレス鋼スクラップ等を原料に用いた場合に混入し得る。β相安定化、原料コスト削減等の観点から、NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含有率(いずれか一方の元素単独の場合はその元素の質量%、両方の元素の場合は両元素の合計の質量%、以下省略)の下限は、0.1%以上とすると良い。NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含有率の下限は、好ましくは、0.2%以上、より好ましくは、0.3%以上であると良い。
Ni、Moは、β相の安定化に寄与する元素である。また、Ni、Moは、チタン合金スクラップやステンレス鋼スクラップ等を原料に用いた場合に混入し得る。β相安定化、原料コスト削減等の観点から、NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含有率(いずれか一方の元素単独の場合はその元素の質量%、両方の元素の場合は両元素の合計の質量%、以下省略)の下限は、0.1%以上とすると良い。NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含有率の下限は、好ましくは、0.2%以上、より好ましくは、0.3%以上であると良い。
一方、NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素が過剰になると、重量が重くなり、高比重化を図り難くなる。そのため、NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含有率の上限は、2.0%以下とすると良い。NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含有率の上限は、好ましくは、1.8%以下、より好ましくは、1.5%以下であると良い。
・B:0.01〜0.3%
Bは、TiBを形成し、結晶粒の粗大化を抑制する効果がある元素である。その効果を得るため、B含有率の下限は0.01%以上にすると良い。B含有率の下限は、好ましくは、0.02%以上、より好ましくは、0.03%以上であると良い。一方、B含有率が過剰になると、TiBが粗大化したり、粒界に形成されるため延性が低下する傾向が見られる。そのため、B含有率の上限は、0.3%以下とすると良い。B含有率の上限は、好ましくは、0.25%以下、より好ましくは、0.2%以下であると良い。
Bは、TiBを形成し、結晶粒の粗大化を抑制する効果がある元素である。その効果を得るため、B含有率の下限は0.01%以上にすると良い。B含有率の下限は、好ましくは、0.02%以上、より好ましくは、0.03%以上であると良い。一方、B含有率が過剰になると、TiBが粗大化したり、粒界に形成されるため延性が低下する傾向が見られる。そのため、B含有率の上限は、0.3%以下とすると良い。B含有率の上限は、好ましくは、0.25%以下、より好ましくは、0.2%以下であると良い。
・Si:0.01〜0.3%
Siは、Ti5Si3を形成し、結晶粒の粗大化を抑制する効果がある元素である。その効果を得るため、Si含有率の下限は0.01%以上にすると良い。Si含有率の下限は、好ましくは、0.02%以上、より好ましくは、0.03%以上であると良い。一方、Si含有率が過剰になると、Ti5Si3が粗大化したり、粒界に形成されるため延性が低下する傾向が見られる。そのため、Si含有率の上限は、0.3%以下とすると良い。Si含有率の上限は、好ましくは、0.25%以下、より好ましくは、0.2%以下であると良い。
Siは、Ti5Si3を形成し、結晶粒の粗大化を抑制する効果がある元素である。その効果を得るため、Si含有率の下限は0.01%以上にすると良い。Si含有率の下限は、好ましくは、0.02%以上、より好ましくは、0.03%以上であると良い。一方、Si含有率が過剰になると、Ti5Si3が粗大化したり、粒界に形成されるため延性が低下する傾向が見られる。そのため、Si含有率の上限は、0.3%以下とすると良い。Si含有率の上限は、好ましくは、0.25%以下、より好ましくは、0.2%以下であると良い。
次に、本発明に係るチタン合金の製造方法の一例について説明する。
本発明に係るチタン合金を得るには、先ず、上述した化学組成となるように各原料を秤量し、例えば、プラズマスカル炉や真空アーク溶解炉などの種々の溶解炉を用いて、チタン合金インゴットを溶製する。この際、上述した化学組成に応じて、スポンジチタン、Fe、チタン合金スクラップ、Feスクラップ、ステンレス鋼スクラップ等を原料の一部として1または2以上使用しても良い。このような材料を原料の一部として用いた場合には、低廉に高比強度化を図ることが可能になる。
本発明に係るチタン合金を得るには、先ず、上述した化学組成となるように各原料を秤量し、例えば、プラズマスカル炉や真空アーク溶解炉などの種々の溶解炉を用いて、チタン合金インゴットを溶製する。この際、上述した化学組成に応じて、スポンジチタン、Fe、チタン合金スクラップ、Feスクラップ、ステンレス鋼スクラップ等を原料の一部として1または2以上使用しても良い。このような材料を原料の一部として用いた場合には、低廉に高比強度化を図ることが可能になる。
とりわけ、原料の一部として、質量%でFe:0.1〜2.0%を含有するスポンジチタンを用いた場合には、スポンジチタン中にFeが分散しているため、Fe偏析の少ないチタン合金を得ることができる。
次いで、得られたチタン合金インゴットを、必要に応じて、熱間鍛造、熱間圧延するなどすれば、所望の形状の本発明に係るチタン合金を得ることができる。
また、得られたチタン合金インゴットに対して、必要に応じて、焼鈍処理、溶体化処理、時効処理などの熱処理を施しても良い。また、必要に応じて、冷間あるいは温間での加工も可能である。
本発明に係るチタン合金の用途は、特に限定されるものではない。本発明に係るチタン合金の用途としては、例えば、ゴルフクラブヘッド、人工骨や人工歯根等の生体材料、医療器具、MRI等の医療装置部材、ファスナー部材、産業用部材などを好適な用途して例示することができる。
本発明に係るチタン合金は、とりわけ、より一層の高比強度化が望まれているゴルフクラブヘッドに好適に用いることができる。具体的には、ゴルフクラブヘッドのフェース部や本体部等に適用することができる。
本発明に係るチタン合金を用いて、チタン合金部品を製造する場合、βトランザス以上であって、かつ、好ましくは1200℃以下、より好ましくは、1150℃以下の温度範囲内にて熱間鍛造や熱間圧延等の熱間成形を行うことが好ましい。塑性変形させやすいからである。
また、さらに仕上げ鍛造や仕上げ圧延等を施す場合には、好ましくは600℃以上、より好ましくは、650℃以上であって、かつ、βトランザス以下の温度範囲内にて行うことが好ましい。比較的高めのAl含有率であっても、割れ等が生じ難く、良好な仕上げが可能となるからである。
また、上記にて得られたチタン合金部品は、加工により生じた歪を除去する等のため、焼鈍処理を施すことが好ましい。焼鈍処理温度は、好ましくは、600〜900℃、より好ましくは、650〜850℃であると良い。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
初めに、後述する表1に示す化学組成(単位は質量%)となるように、プラズマスカル炉を用いて、質量約6kg、直径100mmの各チタン合金インゴットを溶製した。なお、Ti源、Fe源には、Feを0.58%を含有する二級品スポンジチタンを用いた。次いで、得られた各チタン合金インゴットを1150℃に加熱して直径40mmの丸棒まで熱間鍛造を行い、さらに950℃に加熱して熱間鍛造を行い直径20mmの丸棒とした。次いで、得られた各丸棒を750℃で2時間保持した後、空冷することにより、焼鈍処理を施し、実施例、比較例に係る試験材とした。
初めに、後述する表1に示す化学組成(単位は質量%)となるように、プラズマスカル炉を用いて、質量約6kg、直径100mmの各チタン合金インゴットを溶製した。なお、Ti源、Fe源には、Feを0.58%を含有する二級品スポンジチタンを用いた。次いで、得られた各チタン合金インゴットを1150℃に加熱して直径40mmの丸棒まで熱間鍛造を行い、さらに950℃に加熱して熱間鍛造を行い直径20mmの丸棒とした。次いで、得られた各丸棒を750℃で2時間保持した後、空冷することにより、焼鈍処理を施し、実施例、比較例に係る試験材とした。
(引張強さ)
上記各試験材から、機械加工によってASTM E8に規定される3号引張試験片(直径6.35mm、標点距離25mm)を作製した。次いで、上記各引張試験片を用いて引張試験を行い、引張強さを測定した。なお、引張試験装置には、インストロン型引張試験機を使用した。また、クロスヘッド速度は、5×10−5m/sとした。
上記各試験材から、機械加工によってASTM E8に規定される3号引張試験片(直径6.35mm、標点距離25mm)を作製した。次いで、上記各引張試験片を用いて引張試験を行い、引張強さを測定した。なお、引張試験装置には、インストロン型引張試験機を使用した。また、クロスヘッド速度は、5×10−5m/sとした。
(比強度)
比強度は、比重をアルキメデス法にて測定することにより算出した。表1に、実施例、比較例に係るチタン合金の化学組成および評価結果を示す。
比強度は、比重をアルキメデス法にて測定することにより算出した。表1に、実施例、比較例に係るチタン合金の化学組成および評価結果を示す。
表1によれば、以下のことが分かる。すなわち、比較例1、2に係るチタン合金は、Al含有率が本発明で規定される下限を下回っている。そのため、比強度が低い。
比較例3、4に係るチタン合金は、Al含有率が本発明で規定される上限を上回っている。また、比較例4に係るチタン合金は、Fe含有率も本発明で規定される上限を上回っている。そのため、製造性が悪く、評価ができなかった。
比較例5に係るチタン合金は、広く使用されているTi−6Al−4V合金である。この合金は、比強度が低いことが分かる。
これらに対して、実施例に係るチタン合金は、何れも本発明で規定される条件を満たしている。そのため、従来のTi−6Al−4V合金等と比較して、良好な製造性を有しつつ、高比強度化を図ることが可能なことが確認できた。
以上、本発明に係るチタン合金について説明したが、本発明は、上記実施形態、実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能なものである。
Claims (7)
- 質量%で、
Al:7.1〜9.0%、
Fe:0.1〜2.0%、
Cr:0.01〜2.0%、および、
Sn:0.01〜2.0%を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物よりなるチタン合金。 - 質量%で、
V :0.01〜2.0%をさらに含有する請求項1に記載のチタン合金。 - 質量%で、
O :0.05〜0.15%をさらに含有する請求項1または2に記載のチタン合金。 - NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を、質量%で、0.1〜2.0%さらに含有する請求項1から3のいずれか1項に記載のチタン合金。
- 質量%で、
B :0.01〜0.3%をさらに含有する請求項1から4のいずれか1項に記載のチタン合金。 - 質量%で、
Si:0.01〜0.3%をさらに含有する請求項1から5のいずれか1項に記載のチタン合金。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載のチタン合金を用いたゴルフクラブヘッド。
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- 2009-05-29 JP JP2009130740A patent/JP2010275606A/ja active Pending
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