JP5143704B2 - 低ヤング率β型チタン合金 - Google Patents

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Description

本発明は眼鏡フレーム等に用いる低ヤング率のチタン合金に関する。
チタンおよびチタン合金は、耐食性にすぐれ、軽くて強度が高い、すなわち比強度が高く、しかもアレルギーを引き起こさないなど生体に対する適合性が良好である。このような点から、従来の耐食用機械部品や航空機部品のような用途に加えて、肌に直接触れる装身具や人工骨、インプラントなど医療用具にもその用途が拡大されつつある。これらの特性に加え、ヤング率(のび弾性率)が低いという特徴があり、これを生かして特に眼鏡フレームに多く用いられている。
ヤング率が低ければ、たとえば、強度が同じで同じ断面形状を持っているとすると、同じ力が加わったときに、より大きくたわむことができる。したがって、顔の形状に沿って容易に変形し、そのときの接触面の加圧力が低下することになり、装着による圧迫感が大幅に軽減する。ヤング率が低いことは、バネ材において同じ変形に対して断面積を大きくできるので、へたりが低減される。また、ゴルフクラブヘッドのフェース部のように、たわみが大きい方が打球の飛距離が増すといった用途もある。
ヤング率は、鉄や鋼では205GPa前後であり、銅では130GPa程度、アルミニウムでは70GPa程度である。これに対しチタンの場合、純チタンやα合金では115GPa程度であるが、β合金では80GPa程度に低下する。
ヤング率をより一層低下させたチタン合金に関しては、β型合金を対象にいくつかの発明が提案されている。たとえば特許文献1に開示された発明は、NbおよびTaを合計で20〜60質量%含有するヤング率が50〜60GPa程度のチタン合金であるが、そのなかのTaは6〜20%である。しかし、Taは密度が16.6g/cm3でチタンの3.7倍もあり、含有量を増すと重量が増し、軽いというチタンの特徴が失われてくる。
特許文献2には、低ヤング率チタン合金として、Va族元素(V、NbおよびTa)を30〜60質量%含有するチタン合金の発明が開示されている。この場合、発明の効果を評価するのに「平均ヤング率」なる指標を用いているが、この指標は、引張試験の応力−ひずみ曲線において、0.2%耐力の1/2の応力が印加されたときの曲線の傾きであると定義している。一般に示されるヤング率は、比例限度内の変形範囲で計測する。これに対し、このように永久変形してしまう範囲までも含んで計測すると、同じ合金でも通常に測定されたヤング率より低い値になることが明らかである。したがって、この特許文献2の「平均ヤング率」の値は、一般のヤング率とは異なる計測方法にて求められた値であり、その値が低いことで判断しているのであれば、低ヤング率の合金が開発できたとは言い難い。
また、特許文献3には、低ヤング率のチタン合金の組成を決定する方法の提案がなされており、計算値としてヤング率が50GPaを下回る組成が推測されているが、実際に作製された合金としては、60GPa程度のものしか示されていない。
特開平10−219375号公報 特開2002−332531号公報 特開2003−90787号公報 特開2001−329325号公報
本発明の目的は、ヤング率が低く冷間加工が容易で軽量であり、眼鏡フレームなどに好適なチタン合金を提供することにある。
チタン合金は、強度が高いにもかかわらずヤング率が低いという特徴があり、この特徴を生かした用途として、眼鏡フレームがある。本発明者らはこの眼鏡フレームに適したよりヤング率の低い、冷間加工性にすぐれたチタン合金をえるため種々検討を行った。冷間加工性は、細いフレームに加工するために重要な特性である。
チタンにはα型合金、α+β型合金およびβ型合金があるが、前述のようにβ型合金がヤング率は最も低い。また、β型合金は一般的に強度が高く、しかも冷間加工性にすぐれている特徴がある。そこで、β型合金を主対象に、よりヤング率を低くできる組成を調査した。その結果、これまでに知られているように、とくにNbおよびTaを添加してβ合金にすると、ヤング率が低下することがわかった。しかしヤング率をより低下させるには、Taの比率を増す必要があるが、Taの増加は合金の密度を増加させ、めがねフレームのような用途では重量が増すので好ましくない。またTaは高価な合金元素であるので、添加量の増加は製品価格を高くしてしまう。
そこで、Taは使用せずに、よりヤング率を低下できる合金元素についてさらに調査をおこなったところ、Snの添加が有効であることがあきらかになってきた。Snは相変態にはほとんど影響せず、中性的元素として知られているが、Nb添加によるヤング率の低下をより一層大きくする効果がある。その上、冷間加工性を阻害することなく強度を上昇させる作用があり、しかもTaのように添加量を増すことによる密度の増加も少ない。
TiにNbおよびSnを含有させた合金として、特許文献4に形状記憶効果を有する合金の発明が開示されている。形状記憶効果を発現させるには、高温で溶体化後急冷してマルテンサイト変態させ、マルテンサイト相を生じさせなければならない。ところが、マルテンサイト相が生じるとヤング率が高くなるので、低ヤング率とするためには、高温で溶体化し急冷後にマルテンサイト相が生じない組成とし、熱的に十分安定したβ相の合金にしておく必要がある。
これらの調査の中で、このNbおよびSnの含有に加えて、さらにV、Mo、W、ZrおよびAlを1種または2種以上少量含有させると、ヤング率には影響を与えないが、引張強さを増す効果のあることもわかった。
上述のような組成の検討は、高温からの急冷によるβ相化処理の後、ヤング率は60GPaを下回ること、そして冷間加工性としては、切削により成形した板状試験片にて圧下率70%の冷間圧延をおこない、耳割れ発生が実質的にないことを評価基準とし、合金元素含有量の効果を判断した。
以上の検討結果に基づき、さらに限界条件を明らかにして本発明を完成させた。本発明の要旨は次のとおりである。
(1)
13〜28atom%のNbおよび0.1〜10atom%のSnを含有し、さらに、V、W、ZrおよびAlのうちのいずれか一種を0.1〜5atom%含有し、残部がTiおよび不純物からなることを特徴とする低ヤング率β型チタン合金。
本発明のチタン合金は、耐食性にすぐれ、比強度が高いチタンの特性を有しているだけでなく、ヤング率がとくに低く、その上重くないという特徴がある。このような特徴は眼鏡のフレームに用いれば好適であり、低ヤング率という特徴から、へたりのないバネあるいはゴルフクラブヘッドのフェース部などにも効果的に用いることが可能である。
本発明の低ヤング率β型チタン合金は、13〜28atom%のNbおよび0.1〜10atom%のSnを含有し、さらに、V、W、ZrおよびAlのうちのいずれか一種を0.1〜5atom%含有し、残部がTiおよび不純物からなる組成とする。また、本発明のチタン合金はβ相単相であることとするが、これはマルテンサイト相が現れたり、α相が残存したりするとヤング率が低下しなくなるためである。
Nbはチタンに含有させると、β相を安定させる作用があり、高温のβ相からの冷却により常温でもβ相単相である合金にすることができる。また、このβ相の安定化と共に、ヤング率をより大きく低下させる効果がある。
このNbの含有量は13〜28atom%とする。13atom%以上とするのは、13atom%未満の場合、安定してβ相が得られなくなり、α+β合金になったり、溶体化後の急冷でマルテンサイト変態し形状記憶効果を持つようになったりして、ヤング率が低下しなくなる。しかし多すぎる含有では、冷間加工性が低下したり、ヤング率が高くなったりするので、28atom%以下とするのがよい。より好ましいのは16〜28atom%である。
Snは、Nbと共に含有させることにより、ヤング率のより一層の低下をもたらすばかりでなく、冷間加工性を劣化させずに強度を向上させる効果がある。Snの含有量は0.1〜10atom%とするが、0.1atom%未満では添加による改良効果が現れない。しかし、過剰の含有はヤング率を上昇させ、冷間加工性を劣化させるので、多くても10atom%までとするのがよい。その効果が十分に発揮されるより好ましい含有量は、3〜10atom%である。
NbおよびSnの含有の他、それぞれが、0.1〜5atom%のV、Mo、W、ZrおよびAlを1種または2種以上含有させると、ヤング率に影響を及ぼすことなく強度を向上させる効果がある。しかし、その含有量が0.1atom%以下では、添加の効果は現れず、5atom%を超える含有は、ヤング率を高くしたり冷間加工性を劣化させたりする。
これらの合金の製造は、チタン合金にて通常用いられる非消耗電極式または消耗電極式の真空またはアルゴンアーク溶解法、電子ビーム溶解法、プラズマ溶解法等を用いておこなえばよい。得られた鋳塊は、熱間鍛造、熱間圧延、冷間圧延等の一般的に用いられる方法で、所要形状に成形加工する。加工後、ひずみ除去、溶体化あるいは均質化を目的に、β変態点以上に加熱し、放冷あるいは衝風や噴霧などにて急冷すれば安定したβ合金が得られる。
純度99.5質量%以上のスポンジチタンを原料とし、表1に示す組成に配合し1ヶ約200gの小形鋳片を溶製した。この厚さ12mmの鋳片を1100℃に加熱し、6mm厚さまで圧延率50%の熱間圧延を施し、1000℃1時間保持後放冷する溶体化熱処理をおこなった後、幅10mm、長さ60mmの板状試験片を採取し、共振法によりヤング率を測定した。また、熱処理後の板から機械加工により、厚さ5mm、幅100mmの板状試験片を採取し、70%の冷間圧延をおこなって圧延後の耳割れ発生から、冷間加工性を評価した。これらの結果を表1に合わせて示す。
Figure 0005143704
表1の結果からあきらかなように、Nbの含有量およびSnの含有量が本発明にて定める範囲にある場合は、いずれもヤング率が60GPaを下回っており、良好な冷間加工性を示していることがわかる。しかし、試番1のようにNbが低い場合は、β相でなくマルテンサイト相(α”)が現れており、ヤング率は高く冷間加工性もよくない。またNb含有量が高過ぎると試番24に見られるように、ヤング率が高くなっている。
Snを含有しない場合、試番9および10に見られるように、Nbを多く含有させてもヤング率は十分低下しない。しかし、試番5および8のようにSnの多すぎる含有は、ヤング率の低下には効果がなくなる。

Claims (1)

13〜28atom%のNbおよび0.1〜10atom%のSnを含有し、さらに、V、W、ZrおよびAlのうちのいずれか一種を0.1〜5atom%含有し、残部がTiおよび不純物からなることを特徴とする低ヤング率β型チタン合金。
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