JP2006249302A - 帯電防止塗料、帯電防止性ハードコート層および光学フィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の帯電防止塗料は、π共役系導電性高分子と可溶化高分子と相間移動触媒とハードコート成分と有機溶媒とを含有する。本発明の帯電防止性ハードコート層は、上述した帯電防止塗料が塗布されて形成されたものである。本発明の光学フィルタ1は、上述した帯電防止性ハードコート層20を有する。
【選択図】 図1
Description
光学フィルタや光情報記録媒体用のハードコート層としては、π共役系導電性高分子およびハードコート成分を含む帯電防止塗料が塗布されて形成された塗膜を用いることがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、π共役系導電性高分子とハードコート成分との相溶性が確保され、帯電防止性および透明性を兼備した塗膜を形成できる帯電防止塗料を提供することを目的とする。また、硬度が高い上に、帯電防止性および透明性を兼備したハードコート層を提供することを目的とする。さらには、硬度が高い上に、帯電防止性および透明性を兼備したハードコート層を備えた光学フィルタを提供することを目的とする。
本発明の帯電防止性ハードコート層は、上述した帯電防止塗料が塗布されて形成されたことを特徴とする。
本発明の光学フィルタは、上述した帯電防止性ハードコート層を有することを特徴とする。
また、本発明のハードコート層は、硬度が高い上に、帯電防止性および透明性を兼備している。
さらに、本発明の光学フィルタは、硬度が高い上に、帯電防止性および透明性を兼備したハードコート層を備えている。
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性およびハードコート成分との相溶性を得ることができるが、導電性およびハードコート成分との相溶性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
また、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)のようなアルキル置換化合物は溶媒溶解性や、ハードコート成分に対する相溶性および分散性が向上することからより好ましい。また、アルキル置換化合物のアルキル基の中では、導電性の低下を防ぐことから、メチル基が好ましい。
前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、N−メチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
可溶化高分子とは、π共役系導電性高分子を可溶化する高分子であり、可溶化高分子としては、アニオン基及び/又は電子吸引基を有する高分子が挙げられる。
アニオン基を有する高分子(以下、ポリアニオンという。)は、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
これらの中でも、不飽和結合とπ共役系導電性高分子との相互作用があること、置換若しくは未置換のブタジエンを出発物質として合成しやすいことから、置換若しくは未置換のブテニレンが好ましい。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等が挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
アルキル基は、極性溶媒又は非極性溶媒への溶解性及び分散性、樹脂への相溶性及び分散性等を高くすることができ、ヒドロキシ基は、他の水素原子等との水素結合を形成しやすくでき、有機溶媒への溶解性、樹脂への相溶性、分散性、接着性を高くすることができる。また、シアノ基及びヒドロキシフェニル基は、極性樹脂への相溶性、溶解性を高くすることができ、しかも、耐熱性も高くすることができる。
上記置換基の中では、アルキル基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基が好ましい。
前記ヒドロキシ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したヒドロキシ基又は他の官能基を介在して結合したヒドロキシ基が挙げられる。他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。ヒドロキシ基はこれらの官能基の末端又は中に置換されている。これらの中では樹脂への相溶及び有機溶剤への溶解性から、主鎖に結合した炭素数1〜6のアルキル基の末端に結合したヒドロキシ基がより好ましい。
前記アミノ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したアミノ基又は他の官能基を介在して結合したアミノ基が挙げられる。他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。アミノ基はこれらの官能基の末端又は中に置換されている。
前記フェノール基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したフェノール基又は他の官能基を介在して結合したフェノール基が挙げられる。他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。フェノール基はこれらの官能基の末端又は中に置換されている。
前記エステル基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したアルキル系エステル基、芳香族系エステル基、他の官能基を介在してなるアルキル系エステル基又は芳香族系エステル基が挙げられる。
シアノ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したシアノ基、ポリアニオンの主鎖に結合した炭素数1〜7のアルキル基の末端に結合したシアノ基、ポリアニオンの主鎖に結合した炭素数2〜7のアルケニル基の末端に結合したシアノ基等を挙げることができる。
これらのうち、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、π共役系導電性高分子の熱分解を緩和することができる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/又は重合触媒の存在下で、酸化重合又はラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/又は重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤、溶媒は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
得られたポリマーがポリアニオン塩である場合には、ポリアニオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
具体的には、ビニルスルホン酸及びその塩類、アリルスルホン酸及びその塩類、メタリルスルホン酸及びその塩類、スチレンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩類、アリルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩類、α−メチルスチレンスルホン酸及びその塩類、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸及びその塩類、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩類、シクロブテン−3−スルホン酸及びその塩類、イソプレンスルホン酸及びその塩類、1,3−ブタジエン−1−スルホン酸及びその塩類、1−メチル−1,3−ブタジエン−2−スルホン酸及びその塩類、1−メチル−1,3−ブタジエン−4−スルホン酸及びその塩類、アクリル酸エチルスルホン酸(CH2CH-COO-(CH2)2-SO3H)及びその塩類、アクリル酸プロピルスルホン酸(CH2CH-COO-(CH2)3-SO3H)及びその塩類、アクリル酸−t−ブチルスルホン酸(CH2CH-COO-C(CH3)2CH2-SO3H)及びその塩類、アクリル酸−n−ブチルスルホン酸(CH2CH-COO-(CH2)4-SO3H)及びその塩類、アリル酸エチルスルホン酸(CH2CHCH2-COO-(CH2)2-SO3H)及びその塩類、アリル酸−t−ブチルスルホン酸(CH2CHCH2-COO-C(CH3)2CH2-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸エチルスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-(CH2)2-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸プロピルスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-(CH2)3-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸−n−ブチルスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-(CH2)4-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸−t−ブチルスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-C(CH3)2CH2-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸フェニレンスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-C6H4-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸ナフタレンスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-C10H8-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸エチルスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-(CH2)2-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸プロピルスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-(CH2)3-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸−t−ブチルスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-C(CH3)2CH2-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸−n−ブチルスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-(CH2)4-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸フェニレンスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-C6H4-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸ナフタレンスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-C10H8-SO3H)及びその塩類、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。また、これらを2種以上含む共重合体であってもよい。
これらアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合することで溶媒溶解性およびハードコート成分との相溶性をコントロールすることができる。
電子吸引基を有する高分子は、電子吸引基として、例えば、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボニル基、アセチル基から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を構成単位とした高分子が挙げられる。これらの中でも、シアノ基は極性が高く、π共役系導電性高分子をより可溶化できることから好ましい。また、ハードコート成分との相溶性、分散性をより高くできることから好ましい。
電子吸引性基を有する高分子の具体例としては、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂や、水酸基あるいはアミノ基含有樹脂をシアノエチル化した樹脂(例えば、シアノエチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、アルキル化ポリビニルピロリドン、ニトロセルロースなどが挙げられる。
相間移動触媒としては、分子内にカチオンを有する化合物、分子内にカチオンおよびアニオンを有する化合物などが挙げられる。具体的には、アンモニウム誘導体類、イミニウム類、ジアゾニウム類、非環式窒素骨格のカチオン類、含窒素環式骨格のカチオン類、含窒素共鳴安定化カチオン類、有機ホスホニウム塩類等が挙げられる。
より具体的には、メチルトリヘキシルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド、メチルトリデシルアンモニウムクロライド、メチルトリドデシルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ジデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロマイド、テトラヘキシルアンモニウムブロマイド、テトラオクチルアンモニウムブロマイド、テトラデシルアンモニウムブロマイド、テトラドデシルアンモニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラオクチルホスホニウムブロマイド、2−トリメチルシリルエチル−トリフェニルホスホニウムクロライド、1−ドデシル−2−エチル−3−エチルイミダゾリウムクロライド、1−テトラデシル−2−エチル−3−エチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキサデシル−2−エチル−3−エチルイミダゾリウムクロライド、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1−テトラデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキサデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1−オクタデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、メチルピリジニウムクロライド、エチルピリジニウムクロライド、プロピルピリジニウムクロライド、ブチルピリジニウムクロライド、ヘキシルピリジニウムクロライド、オクチルピリジニウムクロライド、デシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキサドデシルピリジニウムクロライドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ハードコート成分は、熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド;ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂;エポキシ樹脂;オキセタン樹脂;キシレン樹脂;アラミド樹脂;ポリイミドシリコーン;ポリウレタン;ポリウレア;メラミン樹脂;フェノール樹脂;ポリエーテル;アクリル樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
これらハードコート成分は、有機溶剤に溶解されていてもよいし、スルホ基やカルボキシ基などの官能基が付与されて水溶液化されていてもよいし、乳化など水に分散されていてもよい。
また、ハードコート成分には、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶媒、粘度調整剤等を加えて使用することができる。
ここで、熱エネルギーにより硬化する液状重合体としては、反応型重合体及び自己架橋型重合体が挙げられる。
反応型重合体は、置換基を有する単量体が重合した重合体であり、置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、酸無水物、オキセタン系、グリシジル基、アミノ基などが挙げられる。具体的な単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多官能アルコール、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、ピメリン酸、アスコルビン酸、フタル酸、アセチルサルチル酸、アジピン酸、イソフタル酸、安息香酸、m−トルイル酸等のカルボン酸化合物、無水マレイン酸、無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸、ジクロル無水マレイン酸、テトラクロル無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ピメリット酸等の酸無水物、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、アジドメチルメチルオキセタン等のオキセタン化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジル−p−アミノフェノールグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(すなわち、2,2−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン)等のグリシジルエーテル化合物、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N,N−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N−ジグリシジル−5,5−ジアルキルヒダントイン等のグリシジルアミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、DHP30−トリ(2−エチルヘクソエート)、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素、モノエチルアミン、メタンジアミン、キシレンジアミン、エチルメチルイミダゾール等のアミン化合物、1分子中に2個以上のオキシラン環を含む化合物のうち、ビスフェノールAのエピクロロヒドリンによるグリシジル化合物、あるいはその類似物が挙げられる。
光エネルギーによって硬化する液状重合体を構成する単量体単位としては、例えば、ビスフェノールA・エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等のアクリレート類、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アルキルメタクリレート、アリルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリレート類、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、高級アルコールグリシジルエーデル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−ビニルホルムアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、アクリロイルピペリジン、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアクリル(メタクリル)アミド類、2−クロロエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル等のビニルエーテル類、酪酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類の単官能モノマー並びに多官能モノマーが挙げられる。
また、カチオン重合開始剤としては、アリールジアゾニウム塩類、ジアリールハロニウム塩類、トリフェニルスルホニウム塩類、シラノール/アルミニウムキレート、α−スルホニルオキシケトン類等が挙げられる。
帯電防止塗料に含まれる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等が挙げられる。これら溶媒は1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
上記溶媒の中でも、乾燥速度が速くなることから、水以外であって、水より沸点の低い有機溶媒が好ましい。
帯電防止塗料において、ポリアニオンはπ共役系導電性高分子のドーパントとして機能するが、帯電防止塗料にはポリアニオン以外のドーパント(以下、他のドーパントという。)が含まれていてもよい。
他のドーパントとしては、π共役系導電性高分子を酸化還元させることができればドナー性のものであってもよく、アクセプタ性のものであってもよい。
ドナー性ドーパントとしては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等の4級アミン化合物等が挙げられる。
アクセプタ性ドーパントとしては、例えば、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、有機シアノ化合物、有機金属化合物、フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレン等を使用できる。
さらに、ハロゲン化合物としては、例えば、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)、塩化ヨウ素(ICl)、臭化ヨウ素(IBr)、フッ化ヨウ素(IF)等が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、PF5、AsF5、SbF5、BF5、BCl5、BBr5、SO3等が挙げられる。
有機シアノ化合物としては、共役結合に二つ以上のシアノ基を含む化合物が使用できる。例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、ジクロロジシアノベンゾキノン(DDQ)、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン等が挙げられる。
スルホ基を一つ含むものとして、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、1−テトラデカンスルホン酸、1−ペンタデカンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、コリスチンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキチルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、5−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アセトアミド−3−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−クロロナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン重縮合物、アントラキノンスルホン酸、ピレンスルホン酸等が挙げられる。また、これらの金属塩も使用できる。
帯電防止塗料の製造方法としては、例えば、液−液抽出法を採ることができる。液−液抽出法による帯電防止塗料の製造方法の一例では、まず、π共役系導電性高分子と可溶化高分子との複合体の水溶液に有機溶媒を添加し、続いて、相間移動触媒を添加し、攪拌または振とうする。その後、しばらく静置して、水層と有機溶媒層とに分離させ、水層を除去して、溶媒が有機溶媒の溶液を得る。そして、その溶液にハードコート成分を添加して帯電防止塗料を得る。
また、帯電防止塗料は他の方法でも製造できる。帯電防止塗料の他の製造方法の一例では、まず、π共役系導電性高分子と可溶化高分子との複合体の水溶液に相間移動触媒を添加して、π共役系導電性高分子と可溶化高分子と相間移動触媒との混合物を沈殿させ、これを捕集する。次いで、その混合物を有機溶媒に溶解させるとともに、ハードコート成分を添加して帯電防止塗料を得る。
また、帯電防止塗料に含まれるπ共役系導電性高分子は、油溶性の特殊なモノマーの重合体ではないため、導電性が高く、帯電防止性に優れる上に、帯電防止塗料中のπ共役系導電性高分子含有量を少なくできるので、透明性に優れる。
また、帯電防止塗料は、ハードコート成分を含むため、その塗膜の耐傷性や表面硬度を高くでき、具体的には、帯電防止塗料から形成されたハードコート層の鉛筆硬度(JIS K 5400)をHB以上にできる。
本発明の帯電防止性ハードコート層は、上述した帯電防止塗料が塗布されて形成されたものである。帯電防止塗料の塗布方法としては、例えば、浸漬、コンマコート、スプレーコート、ロールコート、グラビア印刷などが挙げられる。
塗布後、加熱により溶媒を除去し、又は熱や光によって帯電防止塗料を硬化すればよい。加熱する場合の加熱方法としては、例えば、熱風加熱や赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。また、光硬化により塗膜を形成する場合の光照射方法としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源から紫外線を照射する方法を採用できる。
帯電防止性ハードコート層を光学用途、特に、後述する光学フィルタに用いる場合には、透明性ができるだけ高いことが好ましい。具体的には、全光線透過率(JIS Z 8701)が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、96%以上であることが特に好ましい。また、ヘイズ(JIS K 6714)が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
さらに、表面硬度(JIS S 6006に準じた鉛筆硬度)がHB以上であることが好ましい。
帯電防止性ハードコート層の表面抵抗値は、光学特性との兼ね合いによって適宜調節されることが好ましい。通常、1×103Ω〜1×1012Ω程度であれば、帯電防止用途に適用できる。
帯電防止性ハードコート層の光透過率、ヘイズ、表面抵抗値、表面硬度は、塗膜厚さにより調節できる。
次に、本発明の光学フィルタの一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の光学フィルタを示す。この光学フィルタ1は、フィルム基材10と、フィルム基材10上に形成された帯電防止性ハードコート層20と、帯電防止性ハードコート層20上に形成された反射防止層30とを有して構成されている。
この光学フィルタ1をディスプレイ装置の表示面に貼り付ける際には、光学フィルタ1のフィルム基材10側の表面に透明な接着剤層を設け、その接着剤層を介して貼り付ける。
また、フィルム基材10はその表面にスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理が施されていることが好ましい。このような処理が表面に施されていれば、帯電防止性ハードコート層20に対する密着性をより高めることができる。
さらに、フィルム基材10の表面は、帯電防止性ハードコート層20を設ける前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化されていてもよい。
反射防止層30は、乾式法、湿式法のいずれかによって形成できる。乾式法としては、例えば、電子ビーム蒸着法、誘電加熱式蒸着法、抵抗加熱蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法のような物理気相堆積法やプラズマCVD法が挙げられる。乾式法で反射防止層30を形成する場合には、反射防止層30の成分として、例えば、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化スズなどの無機化合物を用いることができる。
また、湿式法としては、例えば、コンマコート、スプレーコート、ロールコート、グラビア印刷等の公知の手法により硬化性化合物を含む塗料を塗布し、これを硬化する方法が挙げられる。湿式法で反射防止層30を形成する場合には、硬化性化合物として、例えば、含フッ素有機化合物、含フッ素有機ケイ素化合物、含フッ素無機化合物などの含フッ素化合物を用いることができる。
防汚層としては、反射防止層30の反射防止機能を阻害せず、高い撥水性と撥油性を発揮し、汚染の付着を防止できるものであれば特に制限されず、有機化合物からなる層であってもよいし、無機化合物からなる層であってもよい。例えば、パーフルオロシラン基又はフルオロシクロアルキル基を有する有機ケイ素化合物や、フッ素有機化合物を含む層が挙げられる。
防汚層の形成方法は、その種類に応じて適宜選択でき、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法のような物理気相堆積法又は化学気相堆積法、プラズマ重合法のような真空プロセス、マイクログラビア法、スクリーンコート法、ディップコート法などを採用できる。
このような光学フィルタ1は、液晶画面やプラズマディスプレイ両面の反射防止フィルム、赤外吸収フィルム、電磁波吸収フィルム等に好適に用いられる。
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形物を得た。
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.5質量%の青色のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PSS−PEDOT)の水溶液を得た。
製造例2のPSS−PEDOT水溶液200mlにアセトン200mlおよびトルエン200mlを添加した混合液に、自社にて合成した1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド(相間移動触媒)3.2gを加えて激しく振とうした。その後、静置して、上層の有機溶媒層と下層の水層とに分離し、水層を分離除去し、ナノマイザー処理して、PSS−PEDOTのトルエン溶液を得た。
また、根上工業株式会社製アートレジンUN−3320HSを160g、共栄社化学株式会社製ライトアクリレートPE−3Aを20g、2−ヒドロキシエチルアクリレート30gを秤量後、混合攪拌してアクリル樹脂組成物(ハードコート成分)を得た。
そして、PSS−PEDOTのトルエン溶液30gとアクリル樹脂組成物40gとメチルエチルケトン20gとイソプロパノール10gとを混合し、ナノマイザー処理して、帯電防止塗料を得た。
ITOパウダ15g、ジメチルホルムアミド(DMF)60g、エタノール75g、及びジルコニアビーズ200gを混合し、ボールミルを用いて約1〜24時間攪拌し、その後、得られたITOコロイド液のpHを2〜8の範囲に調整した。このITOコロイド液を、メタノール、エタノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1−メトキシ2−プロパノールの混合溶剤で、ITO濃度が1.0〜1.5質量%になるように希釈してITOコロイドコーティング溶液を調製した。
得られたITOコロイドコーティング溶液をフィルム基材のハードコート層上に300rpmの速さでスピンコートしてITO層を形成した。次いで、このITO層の上にシリカコーティング溶液を300rpmの速さでスピンコートし、100℃30分間加熱してフィルム基材/ハードコート層/ITO層/シリカ層を有する積層体を得た。
この積層体の評価結果を表1に示す。
一方の面に粘着層とカバーフィルムとが積層されたPETフィルム(フィルム基材)の他方の面をコロナ処理した。次いで、そのPETフィルムのコロナ処理した面に実施例1の帯電防止塗料をコンマコーターにより塗布した。乾燥後、高圧水銀灯の露光により硬化して帯電防止性ハードコート層を形成した。次いで、帯電防止性ハードコート層上に、内部に微細な空孔を有する中空シリカのエタノール分散液(触媒化成工業株式会社製、固形分濃度15.6質量%)80gにエタノール42.0gを加えた溶液を塗布した。その後、乾燥し、100℃1時間熱処理して、厚さ90μmの反射防止層を形成して光学フィルタを得た。
[可視光透過率・ヘイズ・表面抵抗測定]可視光透過率は94.3%、ヘイズは0.4%、表面抵抗値は4×108Ωであった。
[鉛筆硬度試験]JIS S 6006に規定された試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400に従い、1Kgの荷重の際に傷がまったく認められない硬度を測定したところ、鉛筆硬度はHであった。
[密着性試験]碁盤目テープ法(JIS K 5400)に準じて密着性試験を行った。
具体的には、光学フィルムの反射防止層側の表面にカッターにより1mm間隔で縦横各11本の切込みを入れた(計100個の正方形マス目を形成させた)。これに粘着テープを貼った後、剥離して、PETフィルム上に残ったマス目の数をカウントした。その結果、この光学フィルムでは、100個のマス目が全て残っていた(100/100)。
すなわち、この光学フィルタは、ハードコート層が充分な硬度を有し、透明性、帯電防止性、基材との密着性に優れたものであった。
20 帯電防止性ハードコート層
Claims (3)
- π共役系導電性高分子と可溶化高分子と相間移動触媒とハードコート成分と有機溶媒とを含有することを特徴とする帯電防止塗料。
- 請求項1に記載の帯電防止塗料が塗布されて形成されたことを特徴とする帯電防止性ハードコート層。
- 請求項2に記載の帯電防止性ハードコート層を有することを特徴とする光学フィルタ。
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