JP5036997B2 - タッチパネル用透明導電シート並びにその製造方法、及びタッチパネル - Google Patents
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Description
タッチパネルは、透明基材上に透明導電層が形成された一対の透明導電シートと、一対のタッチパネル用透明導電シートの間の一部に設けられた絶縁性スペーサとを備え、各透明導電シートの透明導電層同士が対向しているものである。このようなタッチパネルでは、指やタッチペン(スタイラス)などが表面側に設けた透明導電シートに触れた際に、透明導電シートの透明導電層同士が接触して導通する。このことを利用することにより、タッチパネルをデータ入力装置として機能させることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の透明導電シートでは、表面抵抗率が高く、上記要求特性を満たすことができなかった。そのため、特許文献1に記載の透明導電シートを用いたタッチパネルは、耐久性を確保しつつ、動作信頼性を高くすることが困難であった。
本発明は、1000Ω以下の表面抵抗率、80%以上の全光線透過率、5%以下のヘイズを有し、透明基材と透明導電層との密着性が優れたタッチパネル用透明導電シート及びその製造方法を提供することを目的とする。また、動作信頼性が高く、耐久性に優れたタッチパネルを提供することを目的とする。
透明導電層が、π共役系導電性高分子と、ポリアニオンと、下記(a−1)及び/又は(b)の重合性化合物とを含むことを特徴とする。
(a−1):グリシジル基と、アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種とを有する化合物。
(b):アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種と、ヒドロキシル基とを有する化合物。
本発明のタッチパネル用透明導電シートの製造方法は、透明基材上に、π共役系導電性高分子と、ポリアニオンと、下記(a−1)及び/又は(b)の重合性化合物とを含む導電性高分子塗料を塗布することを特徴とする。
(a−1):グリシジル基と、アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種とを有する化合物。
(b):アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種と、ヒドロキシル基とを有する化合物。
本発明のタッチパネルは、一対のタッチパネル用透明導電シートと、一対のタッチパネル用透明導電シートの間の一部に設けられた絶縁性スペーサとを備え、タッチパネル用透明導電シートの透明導電層同士が対向しているタッチパネルであって、
一対のタッチパネル用透明導電シートのいずれか1つが、請求項1に記載のタッチパネル用透明導電シートであることを特徴とする。
本発明のタッチパネル用透明導電シートの製造方法は、1000Ω以下の表面抵抗率、80%以上の全光線透過率、5%以下のヘイズを有し、透明基材と透明導電層との密着性に優れたタッチパネル用透明導電シートを簡便に製造できる。
本発明のタッチパネルは、動作信頼性が高く、耐久性に優れている。
本発明のタッチパネル用透明導電シート(以下、透明導電シートと略す。)の一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の透明導電シート10を示す。この透明導電シート10は、透明基材11と、透明導電層12とを有して構成されている。
透明基材11としては特に制限されないが、可撓性に優れる点で透明樹脂フィルムであることが好ましい。透明樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられ、目的に応じて適宜選択できるが、耐熱性、寸法安定性、透明性に優れる点からポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
透明導電層12は、π共役系導電性高分子と、ポリアニオンと、特定の重合性化合物とを含む層である。また、透明導電層12には、必要に応じて、他の樹脂成分、ドーパント、添加剤が含まれていてもよい。
以下、透明導電層12の各構成要素について説明する。
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば特に制限されず、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性、バインダ樹脂への相溶性を得ることができるが、導電性及びバインダ樹脂への分散性又は溶解性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
ポリアニオンとしては、例えば、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステルであって、アニオン基を有する構成単位のみからなるポリマー、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるポリマーが挙げられる。
ポリアルケニレンとは、主鎖に不飽和二重結合(ビニル基)が1個含まれる構成単位からなる高分子である。
ポリイミドとしては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等の酸無水物と、オキシジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等のジアミンとからのポリイミドを例示できる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等を例示できる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を例示できる。
ヒドロキシル基としては、ポリアニオンの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したヒドロキシル基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。ヒドロキシル基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
アミノ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したアミノ基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。アミノ基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
フェノール基としては、ポリアニオンの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したフェノール基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。フェノール基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
ポリアルケニレンの具体例としては、プロペニレン、1−メチルプロペニレン、1−ブチルプロペニレン、1−デシルプロペニレン、1−シアノプロペニレン、1−フェニルプロペニレン、1−ヒドロキシプロペニレン、1−ブテニレン、1−メチル−1−ブテニレン、1−エチル−1−ブテニレン、1−オクチル−1−ブテニレン、1−ペンタデシル−1−ブテニレン、2−メチル−1−ブテニレン、2−エチル−1−ブテニレン、2−ブチル−1−ブテニレン、2−ヘキシル−1−ブテニレン、2−オクチル−1−ブテニレン、2−デシル−1−ブテニレン、2−ドデシル−1−ブテニレン、2−フェニル−1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−メチル−2−ブテニレン、1−エチル−2−ブテニレン、1−オクチル−2−ブテニレン、1−ペンタデシル−2−ブテニレン、2−メチル−2−ブテニレン、2−エチル−2−ブテニレン、2−ブチル−2−ブテニレン、2−ヘキシル−2−ブテニレン、2−オクチル−2−ブテニレン、2−デシル−2−ブテニレン、2−ドデシル−2−ブテニレン、2−フェニル−2−ブテニレン、2−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、3−メチル−2−ブテニレン、3−エチル−2−ブテニレン、3−ブチル−2−ブテニレン、3−ヘキシル−2−ブテニレン、3−オクチル−2−ブテニレン、3−デシル−2−ブテニレン、3−ドデシル−2−ブテニレン、3−フェニル−2−ブテニレン、3−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−ブチル−2−ペンテニレン、4−ヘキシル−2−ペンテニレン、4−シアノ−2−ペンテニレン、3−メチル−2−ペンテニレン、4−エチル−2−ペンテニレン、3−フェニル−2−ペンテニレン、4−ヒドロキシ−2−ペンテニレン、ヘキセニレン等から選ばれる一種以上の構成単位を含む重合体を例示できる。
また、このアニオン基は、隣接して又は一定間隔をあけてポリアニオンの主鎖に配置されていることが好ましい。
重合性化合物は下記(a)及び/又は(b)である。
(a)グリシジル基を有する化合物(以下、化合物(a)という。)。
(b)アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種と、ヒドロキシル基とを有する化合物(以下、化合物(b)という。)。
化合物(a)及び/又は化合物(b)は混合するだけでもよいが、耐水性、耐熱性が向上することから、重合することが好ましい。
(a−1):グリシジル基と、アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種とを有する化合物(以下、化合物(a−1)という。)。
(a−2):グリシジル基を2つ以上有する化合物(以下、化合物(a−2)という。)。
(a−3):グリシジル基を1つ有する化合物であって、化合物(a−1)以外の化合物(以下、化合物(a−3)という。)。
グリシジル基とアリル基を有する化合物として、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、アリルフェノールグリシジルエーテル等が挙げられる。
グリシジル基とヒドロキシル基とを有する化合物として、1,4−ジヒドロキシメチルベンゼンジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
グリシジル基とヒドロキシル基とアリル基とを有する化合物として、3−アリル−1,4−ジヒドロキシメチルベンゼンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
なお、グリシジル基とヒドロキシル基とを有する化合物、グリシジル基とヒドロキシル基とアリル基とを有する化合物は化合物(b)でもある。
ヒドロキシル基とアクリル(メタクリル)基を有する化合物として、2−ヒドロキシエチルアクリレート(メタクリレート)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(メタクリレート)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(メタクリレート)、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、ジペンタエリストリトールモノヒドロキシペンタアクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシル基とアクリルアミド(メタクリルアミド)基を有する化合物として、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミドが挙げられる。
さらに、化合物(a−1)においては、ポリアニオンの残存アニオン基と、化合物(a−1)のグリシジル基とが結合した後、化合物(a−1)のアリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基同士が重合して複合体同士がさらに架橋する。
ラジカル重合法では、重合開始剤として、例えばアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、ジアシルペルオキシド類、ペルオキシエステル類、ヒドロペルオキシド類等の過酸化物などを用いて重合する。
光ラジカル重合法では、重合開始剤として、カルボニル化合物、イオウ化合物、有機過酸化物、アゾ化合物などを用いて重合する。具体的には、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート、1−フェニルー1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、テトラメチルチウラム、ジチオカーバメート、過酸化ベンゾイル、N−ラウリルピリジウムアジド、ポリメチルフェニルシランなどが挙げられる。
プラズマ重合では、プラズマを短時間照射し、プラズマの電子衝撃によるエネルギーを受けて、フラグメンテーションとリアレンジメントをしたのち、ラジカルの再結合により重合体を生成する。
透明導電層12の成膜性、膜強度を確保するために、他の樹脂成分を含有させてもよい。
他の樹脂成分としては、π共役系導電性高分子及びポリアニオンと相溶又は混合分散可能であれば特に制限されず、熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、アラミド樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、メラミン樹脂、フェノール系樹脂、ポリエーテル、アクリル系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
上記ポリアニオンはπ共役系導電性高分子のドーパントとして機能するが、ポリアニオン以外のドーパントを含有させてもよい。他のドーパントとしては、π共役系導電性高分子へのドープ・脱ドープにおいてπ共役系導電性高分子中の共役電子の酸化還元電位を変化させることができれば、ドナー性のものでもよいし、アクセプタ性のものでもよい。
さらに、ハロゲン化合物としては、例えば、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)、塩化ヨウ素(ICl)、臭化ヨウ素(IBr)、フッ化ヨウ素(IF)等が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、PF5、AsF5、SbF5、BF5、BCl5、BBr5、SO3等が挙げられる。
有機シアノ化合物としては、共役結合に二つ以上のシアノ基を含む化合物が使用できる。例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン等が挙げられる。
添加剤としてはπ共役系導電性高分子及びポリアニオンと混合しうるものであれば特に制限されず、例えば、界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、中和剤、酸化防止剤などを使用できる。
界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤;アミン塩、4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤;カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンレジン等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
中和剤としては、アンモニア、水酸化ナトリウム等のアルカリ化合物;1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類等の含窒素化合物等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類、ビタミン類等が挙げられる。
また、透明導電層12は、高分子から形成されたものであるから、透明性に優れ、80%以上の全光線透過率、5%以下のヘイズを確保でき、透明基材11と透明導電層12との密着性が優れている。
また、上記相互作用によって、分子密度が高まるため、熱安定性、成膜性、耐磨耗性が向上すると考えられる。
次に、本発明の透明導電シートの製造方法について説明する。
本発明の透明導電シートの製造方法では、まず、ポリアニオン合成工程にて、ポリアニオンを合成する。ポリアニオンの合成方法としては、例えば、ポリマーを酸などで処理してアニオン基を直接導入する方法、スルホン化剤によるスルホン酸化法、転移法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。これらの中でも、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が好ましい。
具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に酸化剤及び/又は重合触媒を溶解した溶液を添加し、反応させてポリアニオンを得る。得られたポリアニオンがアニオン酸塩である場合には、アニオン酸に変換することが好ましい。変換方法としては、イオン交換樹脂交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、中でも、作業が容易の点から限外ろ過法が好ましい。
その重合の際に使用される溶媒としては特に制限されず、前記モノマーを溶解又は分散しうる溶媒であり、酸化剤及び酸化触媒の酸化力を維持させることができるものであればよい。例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよいし、他の有機溶媒との混合物としてもよい。
その後、必要に応じて、重合反応を停止させるための反応停止剤を添加してもよい。また、重合反応終了後、過剰な酸化剤及び/又は酸化重合触媒、反応副生成物の除去及びイオン交換の工程を行ってもよい。
また、酸化剤や、化学酸化重合を行う際に用いる溶媒としては、アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用するものを用いることができる。
また、導電性高分子塗料には、上記他の樹脂成分を合成する前駆体化合物(モノマー)を添加しても構わない。他の樹脂成分を合成するモノマーを添加した場合には、塗膜形成の際に他の樹脂成分が形成する。
限外ろ過法では、多孔質材上に一定の口径で形成されている高分子膜(限外ろ過膜)を配置させ、溶液を循環させる。その際、限外ろ過膜を挟んで、循環溶液側と透過溶液側とに差圧が生じるため、循環溶液側の溶液の一部が透過溶液側に浸透して循環溶液側の圧力を緩和する。この現象によって循環溶液に含まれる限外ろ過膜口径より小さい粒子、溶解イオン等の一部を透過溶液側に移動させて除去する。この方法は希釈法であり、希釈回数を増やすことにより容易に不純物を取り除くことができる。
使用する限外ろ過膜は、除去する粒子径、イオン種によって適宜選択され、中でも、分画分子量1,000〜1,000,000のものが好ましい。
導電性高分子塗料の塗布方法としては、例えば、浸漬、コンマコート、スプレーコート、ロールコート、グラビア印刷などが挙げられる。
加熱処理としては、例えば、熱風加熱や赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。紫外線照射処理としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源から紫外線を照射する方法を採用できる。
また、透明導電層を、導電性高分子塗料の塗布により形成するから、全光線透過率を80%以上、ヘイズを5%以下にでき、透明基材11と透明導電層12との密着性を高くできる。
本発明のタッチパネルについて説明する。
図2に、本発明のタッチパネルの一実施形態例を示す。このタッチパネル1は、第1の透明導電シート10aと、第2の透明導電シート10bと、第1の透明導電シート10a及び第2の透明導電シート10bの間に設けられた絶縁性スペーサ20とを備え、各透明導電シート10a,10bの透明導電層12a,12b同士が対向しているものである。また、タッチパネル1の第2の透明導電シート10b側には画像が表示される。
上記タッチパネル1において、第1の透明導電シート10a、第2の透明導電シート10bとしては、上述した透明導電シート10が使用される。
絶縁性スペーサ20としては特に制限はなく、公知のものから適宜選択することができるが、透明性の点で、アクリル樹脂製ものが好ましい。
本発明のタッチパネルは、透明導電シートの透明導電層の導電性が高いため、第1の透明導電シート10aを押圧した際に、確実に第1の透明導電シート10aの透明導電層12aと第2透明導電シート10bの透明導電層12bとが導通するため、動作信頼性が高い。また、第1の透明導電シート10a及び第2の透明導電シート10bの透明性が高いため、画像の視認性に優れる。
さらに、第1の透明導電シート10a及び第2の透明導電シート10bの、透明基材11と透明導電層12a,12bとの密着性に優れているため、耐久性に優れる。
(製造例1)ポリスチレンスルホン酸の合成
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を2時間攪拌した。
これにより得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000mlと10000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の約10000ml溶液を除去し、残液に10000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約10000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
さらに、得られたろ液に約10000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約10000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
限外ろ過条件は下記の通りとした(他の例でも同様)。
限外ろ過膜の分画分子量:30K
クロスフロー式
供給液流量:3000ml/分
膜分圧:0.12Pa
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、上記ろ過処理が行われた処理液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた処理液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.5質量%の青色のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PSS−PEDOT)を得た。これをπ共役系導電性高分子溶液とした。
そして、得られたπ共役系導電性高分子溶液100gに3.7g(ポリアリルスルホン酸に対して5モル当量)のN−ヒドロキシエチルアクリルアミドを添加し、均一に分散させて導電性高分子塗料を得た。
その導電性高分子塗料を、透明基材であるPETフィルム(三菱ポリエステルフィルム株式会社製T680E100)上にバーコータ(No.16)により塗布し、120℃のオーブン中で5分間加熱乾燥させた。これにより、透明導電層を形成して透明導電シートを得た。
得られた透明導電シートを下記の評価法で評価した。その結果を表1に示す。
・表面抵抗率(導電性)
透明導電シートの表面抵抗率をローレスタ(三菱化学製)を用いて測定した。
・全光線透過率の評価
JIS K 7361−1に基づいて全光線透過率を測定した。
・ヘイズの評価
JIS K 7136に基づいてヘイズを測定した。
・耐水性評価
水を染み込ませた布(アドクリーンワイパーF1タイプ)にφ50mm、200gの荷重をかけながら、透明導電基材の表面を10往復拭いた後、目視で評価を行った。
・密着性の評価
碁盤目テープ法(JIS K 5600−5−6)に準じて密着性試験を行った。
具体的には、透明導電シートの表面にカッターにより1mm間隔で縦横各6本の切込みを入れた(計25個の正方形マス目を形成させた)。これに粘着テープを貼った後、剥離して、PETフィルム上に残ったマス目の数を計測した。
実施例1において得られたπ共役系導電性高分子溶液100gに、3.7gのN−ヒドロキシエチルアクリルアミドに加えて、重合開始剤であるイルガキュア 754(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を添加したこと以外は実施例1と同様にして透明導電シートを得て評価した。その結果を表1に示す。
実施例1において得られたπ共役系導電性高分子100gに、化合物(b)である4.5gのジエチレングリコールモノビニルエーテルを添加したこと以外は実施例1と同様にして透明導電シートを得て評価した。その結果を表1に示す。
実施例1において得られたπ共役系導電性高分子100gに、4.5gのジエチレングリコールモノビニルエーテルに加えて、イルガキュア 754を添加したこと以外は実施例3と同様にして透明導電シートを得て評価した。その結果を表1に示す。
PETフィルム上にITOからなる透明導電層が形成された透明導電シートを用いて、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
また、重合開始剤を含む導電性高分子塗料が塗布されて形成された透明導電層を有する実施例2及び4の透明導電シートは耐水性にも優れていた。
これに対し、透明導電層がITOからなる比較例1の透明導電シートは、ヘイズ値が高く、透明性に劣っていた。
実施例1の透明導電シートの2枚を備えたタッチパネルを作製した。具体的には、絶縁性スペーサを介して、透明導電層同士が対向するように透明導電シートを配置した。
そして、先端が半径3mmの半球状になっているシリコーンゴム又は先端が半径0.8mmの半球状になっているポリアセタールペンを押圧体として使用し、それら押圧体により透明導電シートを押圧した際の透明導電シート同士の接触抵抗を測定した。なお、前記シリコーンゴムは、人間の指に見立てたものであり、ポリアセタールペンはスタイラスに見立てたものである。その結果を表2に示す。
実施例1の透明導電シートを表面側に配置し、比較例1のITOを裏面側に配置してタッチパネルを作製した。そして、実施例5と同様にして接触抵抗値を測定した。その結果を表2に示す。
10 透明導電シート(タッチパネル用透明導電シート)
11 透明基材
12 透明導電層
20 絶縁性スペーサ
Claims (3)
- 透明基材と、該透明基材上に形成された透明導電層を有するタッチパネル用透明導電シートにおいて、
透明導電層が、π共役系導電性高分子と、ポリアニオンと、下記(a−1)及び/又は(b)の重合性化合物とを含むことを特徴とするタッチパネル用透明導電シート。
(a−1):グリシジル基と、アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種とを有する化合物。
(b):アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種と、ヒドロキシル基とを有する化合物。 - 透明基材上に、π共役系導電性高分子と、ポリアニオンと、下記(a−1)及び/又は(b)の重合性化合物とを含む導電性高分子塗料を塗布することを特徴とするタッチパネル用透明導電シートの製造方法。
(a−1):グリシジル基と、アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種とを有する化合物。
(b):アリル基、ビニルエーテル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種と、ヒドロキシル基とを有する化合物。 - 一対のタッチパネル用透明導電シートと、一対のタッチパネル用透明導電シートの間の一部に設けられた絶縁性スペーサとを備え、タッチパネル用透明導電シートの透明導電層同士が対向しているタッチパネルであって、
一対のタッチパネル用透明導電シートのいずれか1つが、請求項1に記載のタッチパネル用透明導電シートであることを特徴とするタッチパネル。
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