JP2006239786A - 保持パッド - Google Patents

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Abstract

【課題】軟質プラスチックシートと基材との剥離強度を確保可能で被研磨物を平坦に保持することができるキャリアレスタイプの保持パッドを提供する。
【解決手段】バックパッド1は、ポリウレタンシート2及びポリウレタンシート2を支持する支持材7を有している。ポリウレタンシート2の内部には、発泡3が形成されている。ポリウレタンシート2は、被研磨物に接触可能な保持面Pの裏面側が、ポリウレタンシート2の厚さが一様となり、かつ、発泡3が開口するようにバフ処理されている。バフ処理により発泡3が開口して開口5が形成されている。ポリウレタンシート2の裏面側及び支持材7の支持面側は、ホットメルト6を介して貼り合わされている。ホットメルト6を熱溶融させることで、ホットメルト6が開口5に侵入し、ポリウレタンシート2と支持材7との間隔が一定となる。
【選択図】図1

Description

本発明は保持パッドに係り、特に、内部に発泡が形成され一面側が被研磨物に接触可能な軟質プラスチックシートと、軟質プラスチックシートの他面側に支持面が対向するように配置され支持面の背面側が被研磨物を保持するための定盤に固着される基材とを備え、被研磨物を保持するときに該被研磨物の横ずれを防止するキャリアが不要なキャリアレスタイプの保持パッドに関する。
従来、フラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス基板、カラーフィルタ、インジウム錫酸化物(ITO)成膜済基板等の材料(被研磨物)では、高精度な平坦性が要求されるため、研磨布を使用した研磨加工が行われている。通常、これらの被研磨物の研磨加工には、被研磨物を片面ずつ研磨加工する片面研磨機が使用されている。この片面研磨機では、表面が平坦な加圧定盤に被研磨物の一面側を保持させ、表面が平坦な回転定盤に貼付した研磨布に被研磨物の他面側(加工表面)を当接させて研磨液を供給しながら研磨加工が行われている。
一般に、片面研磨機を使用した研磨加工では、被研磨物が金属製の加圧定盤と直接接触して生じる被研磨物のスクラッチ(キズ)等を回避するため、加圧定盤に軟質クロス等の保持パッドが固着されている。被研磨物及び加圧定盤間に保持パッドを介在させることで、スクラッチ等を回避することはできるが、保持パッドの被研磨物保持性が不十分なときは、研磨加工中に被研磨物の横ずれが生じて被研磨物を平坦に保持することができなくなる。被研磨物の横ずれを防止するため、保持パッドの表面には被研磨物を挿入可能な開口が形成されたキャリア(型枠)等が貼付されており、キャリアの開口に被研磨物を挿入して研磨加工が行われている。キャリアを使用した場合には、研磨加工後に被研磨物がキャリアから取り外されるが、被研磨物、特にガラス基板が大型化しており、キャリアからの取り外し作業が難しくなっている。このため、キャリアを使用しないタイプ、すなわちキャリアレスタイプの保持パッドが使用されるようになっている。このような保持パッドでは、被研磨物の横ずれや脱落を防止するため、被研磨物保持性の向上が必要である。
通常、保持パッドには軟質プラスチックシートが使用されている。軟質プラスチックシートは、軟質プラスチック(樹脂)を水混和性の有機溶媒に溶解させた樹脂溶液をシート状の成膜基材に塗布後、水系凝固液中で樹脂を凝固再生させること(湿式成膜法)で製造されている。製造された軟質プラスチックシートは、表面に、緻密な発泡が厚さ数μm程度に亘って形成されたスキン層を有している。緻密な発泡が形成されたスキン層の表面が平坦であり被研磨物との接触性に優れるため、被研磨物の保持が可能となる。
ところが、湿式成膜法では、樹脂溶液が粘性を有するため、成膜基材への塗布時に厚さバラツキが生じると共に、凝固再生時の有機溶媒と水系凝固液との置換により厚さバラツキが生じやすい。このため、軟質プラスチックシート自体の表面の平坦性が損なわれる(大きく波打った表面となる)。厚さバラツキが生じた軟質プラスチックシートを使用した保持パッドに被研磨物を保持させて研磨加工を行うと、保持パッドの厚さの大きな部分で被研磨物にかかる圧力が大きくなるため、当該部分の加工表面が大きく研磨され(保持パッドの厚さバラツキが被研磨物に転写され)て平坦性が損なわれる。また、軟質プラスチックシートに厚さバラツキがあると、軟質プラスチックシートと被研磨物との接触面積が小さくなり被研磨物保持性が低下する上に、被研磨物を平坦に保持することができなくなる。軟質プラスチックシートの厚さバラツキを低減するため、軟質プラスチックシートの製造後にその表面にバフ処理(表面サンディング)が施されている。例えば、軟質プラスチックシートの表面側をバフ処理して表面粗さを50μm以下とする技術が開示されている(特許文献1参照)。
また、一般に、軟質プラスチックシートは柔軟性を有しているため、片面研磨機への装着や運搬等の取り扱いの観点から、軟質プラスチックシートのスキン層の背面側にはポリエステルフィルム等の基材の一面側が貼り合わされている。この基材と軟質プラスチックシートとの貼り合わせには、通常、感圧型粘着剤が使用されている。基材の他面側を片面研磨機の加圧定盤に固着することから、ポリエステルフィルム等の基材の両面に感圧型粘着剤が塗布された両面テープを使用する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この技術では、両面テープの片面側が軟質プラスチックシートと貼り合わされ、もう一方の面側が加圧定盤に固着される。感圧型粘着剤を使用しているため、保持パッドを加圧定盤側へ押圧することで装着することができる。
特許第3187769号公報 特開平8−267668号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、軟質プラスチックシートの厚さバラツキがスキン層の厚さより大きいことから、厚さバラツキを解消するほど表面側をバフ処理するとスキン層が消失して発泡が開口するため、被研磨物と軟質プラスチックシートとの接触面積が減少して被研磨物保持性が低下する。このため、研磨加工中に被研磨物の横ずれや脱落が生じて被研磨物を平坦に保持できなくなる上に、研磨加工を長期間継続することができなくなる。特許文献2の技術では、研磨加工時に供給される研磨液等が発泡を通じて浸潤するため、軟質プラスチックシートと基材との剥離強度が低下して軟質プラスチックシートが剥離することがある。軟質プラスチックシートが剥離すると、被研磨物を平坦に保持することができないため、研磨加工で加工表面の平坦性が損なわれる。更に、被研磨物の上面(加工表面の背面)を保持するときは、軟質プラスチックシートの剥離に伴い被研磨物が脱落することがあるため、研磨加工を継続することができなくなる。また、感圧型粘着剤では、流動性が不十分なことから偏在することがあるため、保持パッド全体の厚さにバラツキが生じることとなる。これらを解決するためには、保持パッドの製造時に、スキン層の平坦性を残しつつ軟質プラスチックシートの厚さバラツキを減少させ、軟質プラスチックシートと基材とを確実に接着しておくことが重要である。
本発明は上記事案に鑑み、軟質プラスチックシートと基材との剥離強度を確保可能で被研磨物を平坦に保持することができるキャリアレスタイプの保持パッドを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、内部に発泡が形成され一面側が被研磨物に接触可能な軟質プラスチックシートと、前記軟質プラスチックシートの他面側に支持面が対向するように配置され前記支持面の背面側が被研磨物を保持するための定盤に固着される基材とを備え、被研磨物を保持するときに該被研磨物の横ずれを防止するキャリアが不要なキャリアレスタイプの保持パッドにおいて、前記軟質プラスチックシートの他面側は、該軟質プラスチックシートの厚さが一様となり、かつ、前記発泡が開口するようにバフ処理されており、前記軟質プラスチックシートの他面側と前記基材の支持面側とが熱溶融性の接着剤を介して貼り合わされていることを特徴とする。
本発明では、内部に発泡が形成された軟質プラスチックシートの他面側が該軟質プラスチックシートの厚さが一様となるようにバフ処理されているため、軟質プラスチックシートを略均一な厚さとすることができ、厚さが略均一な軟質プラスチックシートの他面側と基材の支持面側とが熱溶融性の接着剤を介して貼り合わされているため、接着剤を熱溶融させることで、軟質プラスチックシートの他面側と基材の支持面側とがほぼ一定の間隔で貼り合わされて保持パッド全体を略均一な厚さとすることができるので、被研磨物を平坦に保持することができると共に、軟質プラスチックシートの他面側が発泡が開口するようにバフ処理されているため、熱溶融した接着剤が開口した発泡に侵入して軟質プラスチックシートの他面側と接着剤との接触面積を増大させることから、被研磨物に対する研磨加工時に研磨液が浸潤しても剥離強度が維持されるので、保持パッドを長期間使用することができる。
この場合において、接着剤の溶融温度を基材より低くすれば、基材を変形させることなく接着剤が熱溶融するため、基材の平坦性を維持して保持パッド全体をより均一化することができる。このような接着剤を少なくともアクリル系、ニトリル系、ニトリルゴム系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系の熱可塑性接着剤から選択される1種としてもよい。また、軟質プラスチックシート及び基材の浸水させた状態での剥離強度を0.57kg/10mm以上とすれば、研磨加工時に研磨液が浸潤しても軟質プラスチックシートの剥離を確実に防止することができる。更に、基材は、少なくとも可撓性フィルム、不織布及び織布から選択される1種を材質としてもよい。また、基材の支持面の背面側に、定盤に固着するための粘着材層を更に備えてもよい。
本発明によれば、内部に発泡が形成された軟質プラスチックシートの他面側が該軟質プラスチックシートの厚さが一様となるようにバフ処理されているため、軟質プラスチックシートを略均一な厚さとすることができ、厚さが略均一な軟質プラスチックシートの他面側と基材の支持面側とが熱溶融性の接着剤を介して貼り合わされているため、接着剤を熱溶融させることで、保持パッド全体を略均一な厚さとすることができるので、被研磨物の平坦に保持することができると共に、軟質プラスチックシートの他面側が発泡が開口するようにバフ処理されているため、熱溶融した接着剤が開口した発泡に侵入して軟質プラスチックシートの他面側と接着剤との接触面積を増大させることから、被研磨物に対する研磨加工時に研磨液が浸潤しても剥離強度が維持されるので、保持パッドを長期間使用することができる、という効果を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るキャリアレスタイプの保持パッドの実施の形態について説明する。
(バックパッド)
図1に示すように、保持パッド(一般にバックパッドと称されるため、以下、バックパッドという。)1は、100%モジュラス(2倍長に引っ張る時の張力)が20MPa以下のポリウレタン樹脂で形成された軟質プラスチックシートとしてのポリウレタンシート2を有している。ポリウレタンシート2は、被研磨物に接触可能な保持面Pの裏面(下面)側が、ポリウレタンシート2の厚さ(図1の縦方向の長さ)が一様となり、かつ、内部に形成されている発泡3が開口するようにバフ処理されている(詳細後述)。このため、ポリウレタンシート2は、略平坦な保持面Pを有している。
ポリウレタンシート2は、保持面P側に、図示を省略した緻密な発泡が形成されたスキン層4を有している。スキン層4の下側(ポリウレタンシート2の内部)には、ポリウレタンシート2の厚さ方向に沿って丸みを帯びた断面略三角状の発泡3が形成されている。発泡3の空間体積は、保持面P側の大きさが、保持面Pの裏面側より小さく形成されている。発泡3同士の間のポリウレタン樹脂中には、スキン層4に形成された発泡より大きく発泡3より小さな空間体積を有する図示しない発泡が形成されている。発泡3及び図示しない発泡は、不図示の連通孔で立体網目状につながっている。保持面Pの裏面側がバフ処理されているため、発泡3及び図示しない発泡の一部が裏面側の表面で開口して開口5が形成されている。
また、バックパッド1は、保持面Pの裏面側(バフ処理された面側)に、ポリウレタンシート2を支持する支持材(基材)7を有している。ポリウレタンシート2の裏面と支持材7の一面(以下、支持面という。)とが対向している。支持材7には、少なくともポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルム等の可撓性フィルム、不織布又は織布から選択される1種が使用されている。ポリウレタンシート2の裏面側及び支持材7の支持面側は、熱溶融性の接着剤(感熱型接着剤)としてのホットメルト6を介して貼り合わされている。ホットメルト6には、溶融温度が支持材7より低く、少なくともアクリル系、ニトリル系、ニトリルゴム系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系の熱可塑性接着剤から選択される一種が使用されている。ホットメルト6は、熱溶融させることで、ポリウレタンシート2の開口5に侵入しており、ポリウレタンシート2の裏面側と支持材7の支持面側とがほぼ一定の間隔で貼り合わされている。貼り合わされたポリウレタンシート2及び支持材7は、浸水させた状態で0.57kg/10mm以上の剥離強度を有している。支持材7の他面側、すなわち、支持面の背面(下面)側には、研磨機にバックパッド1を固着するための感圧型粘着剤層8が配されている。感圧型粘着材層8の表面(最下面側)は剥離紙9で覆われている。
(バックパッドの製造)
バックパッド1は、図2に示す各工程を経て製造される。まず、準備工程では、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒のN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)及び添加剤を混合してポリウレタン樹脂を溶解させる。ポリウレタン樹脂には、100%モジュラスが20MPa以下のポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から選択して用い、例えば、ポリウレタン樹脂が30%となるようにDMFに溶解させる。添加剤としては、発泡3の大きさや量(個数)を制御するカーボンブラック等の顔料、発泡を促進させる親水性活性剤及びポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。得られた溶液を濾過することで凝集塊等を除去した後、真空下で脱泡してポリウレタン樹脂溶液を得る。
塗布工程、凝固再生工程及び洗浄・乾燥工程では、準備工程で得られたポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、水系凝固液に浸漬することでポリウレタン樹脂を凝固再生させ、洗浄後乾燥させてポリウレタンシートを得る。塗布工程、凝固再生工程及び洗浄・乾燥工程は、図3に示す成膜装置で連続して実行される。
図3に示すように、成膜装置60は、成膜基材の不織布や織布を前処理するための水又はDMF水溶液(DMFと水との混合液)等の前処理液15が満たされた前処理槽10、ポリウレタン樹脂を凝固再生させるための、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液25が満たされた凝固槽20、凝固再生後のポリウレタン樹脂を洗浄するための水等の洗浄液35が満たされた洗浄槽30及びポリウレタン樹脂を乾燥させるためのシリンダ乾燥機50を連続して備えている。
前処理槽10の上流側には、成膜基材43を供給する基材供給ローラ41が配置されている。前処理槽10には、成膜基材43の搬送方向と同じ長手方向の略中央部の内側下部に一対のガイドローラ対13が配置されている。前処理槽10の上方で、基材供給ローラ41側にはガイドローラ11、12が配設されており、凝固槽20側には前処理した成膜基材43に含まれる過剰な前処理液15を除去するマングルローラ18が配置されている。マングルローラ18の下流側には、成膜基材43にポリウレタン樹脂溶液45を略均一に塗布するナイフコータ46が配置されている。ナイフコータ46の下流側で凝固槽20の上方にはガイドローラ21が配置されている。
凝固槽20には、洗浄槽30側の内側下部にガイドローラ23が配置されている。凝固槽20の上方で洗浄槽30側には凝固再生後のポリウレタン樹脂を脱水処理するマングルローラ28が配置されている。マングルローラ28の下流側で洗浄槽30の上方にはガイドローラ31が配置されている。洗浄槽30には、成膜基材43の搬送方向と同じ長手方向で上部に4本、下部に5本のガイドローラ33が上下交互となるように配設されている。洗浄槽30の上方でシリンダ乾燥機50側には、洗浄後のポリウレタン樹脂を脱水処理するマングルローラ38が配置されている。シリンダ乾燥機50には、内部に熱源を有する4本のシリンダが上下4段に配設されている。シリンダ乾燥機50の下流側には、乾燥後のポリウレタン樹脂を(成膜基材43と共に)巻き取る巻取ローラ42が配置されている。なお、マングルローラ18、28、38、シリンダ乾燥機50及び巻取ローラ42は、図示を省略した回転駆動モータに接続されており、これらの回転駆動力により成膜基材43が基材供給ローラ41から巻取ローラ42まで搬送される。
成膜基材43に不織布又は織布を用いる場合は、成膜基材43が基材供給ローラ41から引き出され、ガイドローラ11、12を介して前処理液15中に連続的に導入される。前処理液15中で一対のガイドローラ13間に成膜基材43を通過させて前処理(目止め)を行うことにより、ポリウレタン樹脂溶液45を塗布するときに、成膜基材43内部へのポリウレタン樹脂溶液45の浸透が抑制される。成膜基材43は、前処理液15から引き上げられた後、マングルローラ18で加圧されて余分な前処理液15が絞り落とされる。前処理後の成膜基材43は、凝固槽20方向に搬送される。なお、成膜基材43としてPET製等の可撓性フィルムを用いる場合は、前処理が不要のため、ガイドローラ12から直接マングルローラ18に送り込むようにするか、又は、前処理槽10に前処理液15を入れないようにしてもよい。以下、本例では、成膜基材43をPET製フィルムとして説明する。
図2に示すように、塗布工程では、準備工程で調製したポリウレタン樹脂溶液45が常温下でナイフコータ46により成膜基材43に略均一に塗布される。このとき、ナイフコータ46と成膜基材43の上面との間隙(クリアランス)を調整することで、ポリウレタン樹脂溶液45の塗布厚さ(塗布量)を調整する。
凝固再生工程では、ナイフコータ46でポリウレタン樹脂溶液45が塗布された成膜基材43が、ガイドローラ21からガイドローラ23へ向けて凝固液25中に導入される。凝固液25中では、まず、塗布されたポリウレタン樹脂溶液45の表面に厚さ数μmに亘りスキン層4を構成する緻密な発泡が形成される。その後、ポリウレタン樹脂溶液45中のDMFと凝固液25との置換の進行によりポリウレタン樹脂が成膜基材43の片面に凝固再生する。このポリウレタン樹脂の凝固再生は、ポリウレタン樹脂溶液45が塗布された成膜基材43が凝固液25中に進入してからガイドローラ23に到る間に完了する。DMFがポリウレタン樹脂溶液45から脱溶媒するときに、ポリウレタン樹脂中に発泡3が形成される。このとき、PET製フィルムの成膜基材43が水を浸透させないため、ポリウレタン樹脂溶液45の表面側で脱溶媒が生じて成膜基材43側が表面側より大きな発泡3が形成される。凝固再生したポリウレタン樹脂は、凝固液25から引き上げられ、マングルローラ28で余分な凝固液25が絞り落とされた後、ガイドローラ31を介して洗浄槽30に搬送され洗浄液35中に導入される。
洗浄・乾燥工程では、洗浄液35中に導入されたポリウレタン樹脂をガイドローラ33に上下交互に通過させることによりポリウレタン樹脂が洗浄される。洗浄後、ポリウレタン樹脂は洗浄液35から引き上げられ、マングルローラ38で余分な洗浄液35が絞り落とされる。その後、ポリウレタン樹脂を、シリンダ乾燥機50の4本のシリンダ間を交互(図3の矢印方向)に、シリンダの周面に沿って通過させることで乾燥させる。乾燥後のポリウレタン樹脂は、成膜基材43と共に巻取ローラ42に巻き取られる。
裏面バフ処理工程では、乾燥後のポリウレタンシートの保持面Pの裏面側にバフ処理が施される。図4(A)に示すように、巻取ローラ42に巻き取られたポリウレタンシート2は成膜基材43のPET製フィルム上に形成されている。成膜時にはポリウレタンシート2の厚さにバラツキが生じるため、保持面Pには凹凸が形成されている。成膜基材43を剥離した後、図4(B)に示すように、保持面Pの表面に、表面が平坦な圧接ローラ65の表面を圧接することで、保持面Pが平坦となり、保持面Pの裏面Q側に凹凸が出現する。裏面Q側に出現した凹凸がバフ処理で除去される。本例では、連続的に製造されたポリウレタンシート2が帯状のため、保持面Pに圧接ローラ65を圧接しながら、裏面Q側を連続的にバフ処理する。これにより、図4(C)に示すように、裏面Q側がバフ処理されて平坦な裏面Qが形成されたポリウレタンシート2は、厚さのバラツキが解消され発泡3が開口して開口5が形成される。なお、図4(C)では説明をわかりやすくするために保持面P及び裏面Qを平坦に示しているが、ポリウレタンシート2の単体では両面共にポリウレタンシート2の厚さが一様となる凹凸を呈しており、支持材7をホットメルト6を介して貼り合わせることで表面が平坦となる。
図2に示すように、ラミネート加工工程では、バフ処理されたポリウレタンシート2の裏面Q側にPET製フィルムの支持材7を貼り合わせる。ポリウレタンシート2及び支持材7の貼り合わせには、溶融温度が支持材7より低い熱溶融性の接着剤のホットメルト6を使用する。ホットメルト6を支持材7側から加熱しながら、ポリウレタンシート2及び支持材7を表面が平坦な治具を用いて加圧処理する。このとき、加熱する温度をホットメルト6の溶融温度以上に設定する。これにより、ホットメルト6が溶融してポリウレタンシート2の開口5に侵入し、ポリウレタンシート2の裏面側と支持材7の支持面側とがほぼ一定の間隔となる。ホットメルト6を選定することで、ポリウレタンシート2及び支持材7の剥離強度が、浸水させた状態で0.57kg/10mm以上となるように設定される。使用可能なホットメルト6としては、例えば、アクリル系、ニトリル系、ニトリルゴム系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系の熱可塑性接着剤を挙げることができる。貼り合わせ時の加熱でポリウレタンシート2が変形する可能性があることを考慮すれば、接着(溶融)温度がポリウレタンシート2の融点より低い、例えば、80〜120°Cの範囲にあるものが好ましい。支持材7の支持面の背面側にアクリル系粘着剤等の感圧型粘着剤層8を配し、感圧型粘着剤層8の表面を剥離紙9で覆う。裁断工程で円形等の所望の形状に裁断した後、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行いバックパッド1を完成させる。
被研磨物の研磨加工を行うときは、片面研磨機の加圧定盤にバックパッド1を装着し、バックパッド1に被研磨物を保持させる。図5に示すように、片面研磨機70は、上側に被研磨物を押圧する加圧定盤71、下側に回転可能な回転定盤72を有している。加圧定盤71の下面及び回転定盤72の上面は、いずれも平坦に形成されている。加圧定盤71の下面にはバックパッド1が貼付されており、回転定盤72の上面には被研磨物を研磨するための研磨布75が貼付されている。加圧定盤71にバックパッド1を貼付するときは、剥離紙9を取り除いて感圧型粘着剤層8を露出させた後、露出した感圧型粘着剤層8を加圧定盤の下面に接触させ押圧する。バックパッド1の保持面Pに適量の水を含ませて被研磨物78を押し付けることで、被研磨物78が水の表面張力及びポリウレタンシート2のポリウレタン樹脂の粘着性でバックパッド1に保持される。研磨加工時には、被研磨物78及び研磨布75間に研磨粒子を含む研磨液を供給すると共に、加圧定盤71で被研磨物78に圧力をかけながら回転定盤72を回転させることで、被研磨物78の下面(加工表面)が研磨加工される。
(作用)
次に、本実施形態のバックパッド1の作用等について説明する。
本実施形態のバックパッド1では、ポリウレタンシート2は、湿式成膜後、保持面Pの裏面Q側がバフ処理されている。バフ処理では、保持面Pに圧接ローラ65を圧接することで裏面Q側に出現する凹凸が除去されて略平坦な裏面Qが形成される。このため、スキン層4を減少させることなくポリウレタンシート2の厚さ精度を向上(成膜時に生じた厚さのバラツキを減少)させることができる。また、スキン層4側をバフ処理していないことから、発泡3がスキン層4側で開口しないため、バックパッド1と被研磨物78との接触面積を増大させることができる。従って、バックパッド1を片面研磨機70の平坦な加圧定盤71に貼付することで、保持面P、すなわちスキン層4の表面が平坦な面となり、被研磨物78を平坦に確実に保持することができる。また、バックパッド1が被研磨物保持性に優れるため、キャリア(型枠)を使用することなく大型の被研磨物、特に、大型のFPD用ガラス基板等でも確実に保持することができる。
また、本実施形態のバックパッド1では、ポリウレタンシート2のバフ処理された裏面Q側に支持材7の支持面がホットメルト6を介して貼り合わされている。ポリウレタンシート2と支持材7とを貼り合わせるときは、ホットメルト6の溶融温度以上の温度で加熱しながら、表面が平坦な治具で加圧処理が行われる。このため、ホットメルト6が溶融して裏面Q側に開口している開口5に侵入するので、ホットメルト6とポリウレタンシート2の裏面Q側との接触面積が増大することから、ポリウレタンシート2及び支持材7の剥離強度を浸水させた状態で0.57kg/10mm以上に維持することができる。これにより、研磨加工時に研磨液が発泡3を通じてホットメルト6に浸潤しても、ポリウレタンシート2が支持材7から剥離することが防止されるので、バックパッド1を長期間使用することができる。
更に、溶融させたホットメルト6を介してポリウレタンシート2と支持材7とが平坦な治具で加圧処理が行われるため、ポリウレタンシート2の裏面Qと支持材7の支持面とを一定の間隔で貼り合わせることができる。このため、バックパッド1の全体の厚さが均一化されるので、被研磨物78を略平坦に保持することができる。従って、研磨加工時には、略平坦に保持された被研磨物78の加工表面が研磨加工されるので、加工表面の平坦性を向上させることができる。
また更に、本実施形態のバックパッド1では、溶融温度が支持材7より低いホットメルト6が使用されており、ポリウレタンシート2に支持材7をホットメルト6を介して貼り合わせるときは、支持材7側から加熱される。このため、加熱で支持材7に変形や歪みが生じないので、バックパッド1全体の厚さバラツキを減少させることができる。また、ポリウレタンシート2の保持面P側を直接加熱することがないので、保持面Pに熱履歴を受けさせず被研磨物保持性の低下を防止することができる。
更にまた、本実施形態のバックパッド1では、支持材7の支持面の背面側に感圧型粘着剤層8を有している。バックパッド1を研磨機に装着するときは、支持材7と加圧定盤71とが感圧型粘着剤層8を介して貼り合わされる。支持材7にPET製フィルムが使用されているため、支持材7が研磨液を浸透させないことから、研磨液が感圧型粘着剤層8に浸潤することがなく、支持材7の剥離が防止され支持材7及び加圧定盤71間が確実に固定される。従って、略平坦に保持した被研磨物78の脱落を抑制することができる。
また、本実施形態のバックパッド1では、ポリウレタンシート2が100%モジュラスで20MPa以下のポリウレタン樹脂で形成されている。このため、ポリウレタンシート2の表面が被研磨物の形状に合うように密着して粘着性を発揮するので、加圧定盤71に貼付したバックパッド1に被研磨物78を押し付けたときの被研磨物保持性を向上させることができる。
更に、本実施形態のバックパッド1では、ポリウレタンシート2の厚さが略均一で、支持材7の変形等が生じることなく、バックパッド全体の厚さが均一化されているため、研磨加工時にバックパッド1に被研磨物78を略平坦に保持することができ、加圧定盤71で略均等に被研磨物78を押圧することができる。このため、被研磨物78の加工表面が回転定盤72に貼付された研磨布75で略均等に研磨されるので、加工表面の平坦性を向上させることができる。
従来バックパッドの製造に用いられる湿式成膜法では、粘性を有するポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に塗布するときに搬送速度のバラツキや塗布装置の振れ等が生じるため、塗布されたポリウレタン樹脂溶液の厚さにバラツキが生じる。この状態で凝固液に浸漬されてポリウレタン樹脂が凝固再生されるため、得られるポリウレタンシートに厚さのバラツキが残される。また、凝固液中では凝固再生の初期に形成される表面のスキン層を通して脱溶媒が進行するが、均一なスキン層が形成されない場合には、脱溶媒が不均一となり厚さのバラツキが増大する。厚さバラツキが生じたポリウレタンシートを使用したバックパッドでは、研磨加工時に被研磨物を平坦に保持することができず、厚さの大きな部分で被研磨物にかかる圧力が大きくなるため、当該部分の加工表面が大きく研磨されて平坦性が損なわれる。このような厚さバラツキを減少させるためにバックパッドの表面がバフ処理されるが、スキン層の厚さがポリウレタンシートの厚さバラツキより小さいことから、厚さバラツキを解消する程バフ処理すると被研磨物の保持に有効なスキン層が消失して発泡が開口するため、スキン層表面と被研磨物との接触面積が減少して被研磨物保持性が低下する。
また、図6(A)に示すように、従来のバックパッド81では、研磨面Pの裏面側をバフ処理していないポリウレタンシート2及び支持材7が、感圧型粘着剤層8で貼り合わされている。発泡3が裏面側で開口していないため、ポリウレタンシート2の裏面側と感圧型粘着材層8との接触面積が不十分となり、剥離強度が低下する。ポリウレタンシート2の研磨面Pの裏面側がバフ処理されていないため、ポリウレタンシート2の厚み斑が大きく、バックパッド81の厚さにバラツキが生じる。また、図6(B)に示すように、研磨面Pの裏面側をバフ処理したバックパッド82の場合でも、ポリウレタンシート2と支持材7とを感圧型粘着材層8で貼り合わせると、開口5に侵入する粘着剤量が少なくなる。このため、研磨加工時に、研磨液が発泡3を通じて感圧型粘着剤層8に浸潤すると、ポリウレタンシート2の剥離が生じるので、被研磨物が脱落して研磨加工を継続することができなくなる。本実施形態は、これらの問題を解決することができるバックパッドである。
なお、本実施形態のバックパッド1では、裏面バフ処理工程で保持面Pに圧接ローラ65を圧接させながら裏面Q側を連続的にバフ処理する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、バフ処理前のポリウレタンシート2を所望の大きさに裁断した後、保持面Pに、平坦な表面を有する平板を圧接して裏面Q側をバフ処理してもよい。
また、本実施形態のバックパッド1では、支持材7にPET製フィルムを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、不織布や織布等を使用してもよい。このとき、不織布や織布等が研磨液等に浸潤することを考慮すれば、加圧定盤71に貼り合わせるための感圧型粘着剤層8に代えて熱溶融性の接着剤を用いることが好ましい。このようにすれば、熱溶融性の接着剤が不織布や織布等を構成する繊維の間隙に浸入するため、加圧定盤71にバックパッド1を確実に固定することができる。更に、本実施形態のバックパッド1では、ホットメルト6、支持材7、感圧型粘着剤層8及び剥離紙9をそれぞれ個別に例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基材となるPET製フィルムの両面にそれぞれホットメルト6、感圧型粘着剤層8を有する両面テープを使用することも可能である。この場合は、両面テープの基材が支持材7の機能を果たす。
更に、本実施形態では、成膜基材43にPET製フィルムを使用する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、不織布や織布を使用してもよい。この場合には、ポリウレタン樹脂の凝固再生後に成膜基材43を剥離することが難しいため、成膜基材43のポリウレタン樹脂が再生された面の反対面側をバフ処理すればよい。
また更に、本実施形態では、ポリウレタンシート2の材質として100%モジュラスが20MPa以下のポリウレタン樹脂を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリエステル樹脂等を用いてもよく、樹脂の100%モジュラスを20MPa以下とすれば、湿式成膜した樹脂シートが被研磨物の形状に合うように密着するので、被研磨物の保持性の向上を図ることができる。また、ポリウレタン樹脂を用いれば、湿式成膜法で容易にスキン層4を形成することができる。更に、本実施形態では、ポリウレタン樹脂を30%となるようにDMFに溶解する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ポリウレタン樹脂溶液45の粘性やポリウレタンシート2の厚さ等により適宜変更してもよい。
更にまた、本実施形態では、ポリウレタン樹脂溶液45の塗布にナイフコータ46を例示したが、例えば、リバースコータ、ロールコータ等を用いてもよく、基材43に略均一な厚さに塗布可能であれば特に制限されるものではない。また、本実施形態では、ポリウレタン樹脂の乾燥にシリンダ乾燥機50を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、熱風乾燥機等を用いてもよい。
また、本実施形態では、得られたポリウレタンシート2は、バフ機等で保持面Pの裏面がバフ処理されるが、バフ処理量はポリウレタンシート2の厚さの範囲R(詳細後述)の2倍以上の厚みをバフ処理することが望ましい。バフ処理ではサンドペーパーやダイヤモンドバフロール等の種々のものが使用されるが、均一な処理(研削除去)ができるものであればいずれも使用することができる。このとき、バフ番手(砥粒の粗さを示す番号)を高くする程、細かな砥粒で研削でき均一なバフ処理ができる。更に、バフ処理を、1回目で低いバフ番手(粗い砥粒)で研削をし、2回目で1回目より高いバフ番手のもので研削量を小さくしてバフ仕上げ処理することで、厚み精度を更に上げることもできる。
以下、本実施形態に従い製造したバックパッド1の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例のバックパッドについても併記する。
(実施例1)
実施例1では、ポリウレタン樹脂として、100%モジュラスが10MPaのポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。このポリウレタン樹脂のDMF溶液100部に対して、粘度調整用のDMFの45部、顔料のカーボンブラックを30%含むDMF分散液の40部、疎水性活性剤の2部を混合してポリウレタン樹脂溶液45を調製した。ポリウレタン樹脂溶液45を塗布する際に塗布装置のクリアランスを1mmに設定した。洗浄工程での洗浄効果を高めるために凝固再生後の洗浄を温水で行った。得られたポリウレタンシート2の厚さバラツキは、標準偏差σ(詳細後述)が0.0136mmであった。下表1に示すように、ポリウレタンシート2のバフ処理量を0.25mmとしてバフ番手♯180のサンドペーパーを用いてバフ処理し実施例1のバックパッド1を製造した。ホットメルト6には、接着温度が80〜100°Cのニトリル系熱可塑性接着剤を使用した。なお、ポリウレタンシート2の単位面積あたりの重量から換算するとポリウレタン樹脂溶液45の塗布量は、916g/m(固形換算208g/m)である。
Figure 2006239786
(実施例2)
表1に示すように、実施例2では、バフ処理量を0.33mmとする以外は実施例1と同様にして実施例2のバックパッド1を製造した。
(比較例1)
表1に示すように、比較例1では、バフ処理を行わず、ポリウレタンシート及び支持材の接着に感圧型粘着剤を用いる以外は実施例1と同様にして比較例1のバックパッドを製造した。すなわち、比較例1は従来のバックパッドである(図6(A)参照)。
(比較例2)
表1に示すように、比較例2では、ポリウレタンシート及び支持材の貼り合わせに感圧型粘着剤を用いる以外は実施例1と同様にして比較例2のバックパッドを製造した(図6(B)参照)。
(評価)
次に、各実施例及び比較例のバックパッド1について、バフ処理後のポリウレタンシート2の厚さ、ポリウレタンシート2及び支持材7間の剥離強度を測定した。厚さの測定は、ダイヤルゲージ(最小目盛り0.01mm)を使用し加重100g/cmをかけて測定した。縦1m×横1mのポリウレタンシート2を縦横10cmピッチで最小目盛りの10分の1(0.001mm)まで読み取り、厚さの平均値、標準偏差σ、及び、最大厚さと最小厚さとの差を範囲Rとして求めた。また、厚さの平均値に対する範囲Rの百分率をバラツキ率として求めた。剥離強度は、日本工業規格(JIS K 6772、「ビニルレザークロス」)に準拠して測定した。すなわち、ポリウレタンシート2及び支持材7を貼り合わせた試験片を作製し、試験片の一端のポリウレタンシート2及び支持材7をそれぞれ引張試験機の把持部に把持させて一定スピードで反対方向(試験片を一端から引き剥がす方向)に引っ張ることで測定した。引張スピードは、200mm/min.に設定した。また、バックパッド1を深さ約100cmの水槽(常温)の内底部に浸漬して48時間及び10日間放置後の剥離強度を同様に測定した。厚さ、バラツキ率及び剥離強度の測定結果を下表2に示した。なお、表2において、剥離強度の欄に示す不等号は、不等号のあとに示した各数値でフィルム破壊が生じたことを示している。
Figure 2006239786
表2に示すように、バフ処理していない比較例1のポリウレタンシートでは、厚さの範囲Rが0.057mm、バラツキ率が4.3%を示している。このため、比較例1のポリウレタンシートをバックパッドに使用してもガラス基板等を平坦に保持することができず、厚さバラツキが大きいため、厚いところでは研磨が進み被研磨物にバックパッドの厚さバラツキが転写されるので、研磨加工後の被研磨物の高度な平坦性を期待することはできない。また、剥離強度が0.3kg/10mm程度のため、研磨加工中に研磨液等が浸潤すると、ポリウレタンシートと支持材とが剥離して被研磨物が脱落するおそれがある。また、バフ処理したポリウレタンシート2と支持材7とを感圧型粘着剤で貼り合わせた比較例2のバックパッドでは、ポリウレタンシート2の厚さバラツキは低減するものの、剥離強度は0.36〜0.38kg/10mmに過ぎない。これに対して、保持面Pの裏面Q側をバフ処理した実施例1及び実施例2のポリウレタンシート2では、厚さの範囲Rがいずれも比較例1のポリウレタンシートより小さい数値を示し、バラツキ率が2.6%以下を示している。剥離強度についても実施例1、実施例2のポリウレタンシート2では、初期で0.70kg/10mm以上、水槽に浸漬後でも0.57kg/10mm以上の優れた結果を示しており、比較例1、比較例2の感圧型粘着剤での剥離強度に対して1.5倍以上の数値を示している。このことから、裏面Q側をバフ処理することで、ポリウレタンシート2の厚さ精度を向上させることができ、ポリウレタンシート2及び支持材7を熱溶融性のホットメルト6で貼り合わせることで、バックパッド1全体の厚さを均一化することができると共に、研磨液が浸潤しても剥離強度を確保することができることが判明した。従って、ポリウレタンシート2を使用したバックパッド1では、ガラス基板等の被研磨物を略平坦に確実に保持することができ、長期間に亘りバックパッド1を使用することができる。
本発明は、軟質プラスチックシートと基材との剥離強度を確保可能で被研磨物を平坦に保持することができるキャリアレスタイプの保持パッドを提供するため、保持パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
本発明を適用した実施形態のバックパッドを示す断面図である。 バックパッドの製造工程を示す工程図である。 バックパッドのポリウレタンシートの製造に用いる成膜装置の概略構成を示す正面図である。 裏面バフ処理工程でのポリウレタンシートの変化を示す断面図であり、(A)は成膜基材に形成されたポリウレタンシート、(B)は圧接ローラに保持面を圧接したときのポリウレタンシート、(C)は裏面バフ処理後のポリウレタンシートをそれぞれ示す。 バックパッドを装着した片面研磨機の被研磨物を保持させた部分を示す断面図である。 ポリウレタンシート及び支持材を感圧型粘着剤で貼り合わせた従来のバックパッドを示す断面図であり、(A)は裏面バフ処理しないポリウレタンシートを用いたバックパッド、(B)は裏面バフ処理したポリウレタンシートを用いたバックパッドをそれぞれ示す。
符号の説明
P 保持面
Q 裏面
1 バックパッド(保持パッド)
2 ポリウレタンシート(軟質プラスチックシート)
3 発泡
5 開口
6 ホットメルト(接着剤)
7 PETフィルム(基材)
8 感圧型粘着剤層

Claims (6)

  1. 内部に発泡が形成され一面側が被研磨物に接触可能な軟質プラスチックシートと、前記軟質プラスチックシートの他面側に支持面が対向するように配置され前記支持面の背面側が被研磨物を保持するための定盤に固着される基材とを備え、被研磨物を保持するときに該被研磨物の横ずれを防止するキャリアが不要なキャリアレスタイプの保持パッドにおいて、前記軟質プラスチックシートの他面側は、該軟質プラスチックシートの厚さが一様となり、かつ、前記発泡が開口するようにバフ処理されており、前記軟質プラスチックシートの他面側と前記基材の支持面側とが熱溶融性の接着剤を介して貼り合わされていることを特徴とする保持パッド。
  2. 前記接着剤は、溶融温度が前記基材より低いことを特徴とする請求項1に記載の保持パッド。
  3. 前記接着剤は、少なくともアクリル系、ニトリル系、ニトリルゴム系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系の熱可塑性接着剤から選択される1種であることを特徴とする請求項2に記載の保持パッド。
  4. 前記軟質プラスチックシート及び前記基材は、浸水させた状態での剥離強度が0.57kg/10mm以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の保持パッド。
  5. 前記基材は、少なくとも可撓性フィルム、不織布及び織布から選択される1種を材質とすることを特徴とする請求項1に記載の保持パッド。
  6. 前記基材の支持面の背面側に、定盤に固着するための粘着材層を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の保持パッド。
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