JP2006187417A - ミシン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 縫製時に被縫製物を針板側に押さえる中押さえ29と、この中押さえに上下方向に沿った往復動作を付与する中押さえ駆動機構1と、中押さえを介して被縫製物の厚さ変化を検出する厚さ変化検出手段60を備え、中押さえ駆動機構は、中押さえの下降時に所定量を超える負荷を受けると中押さえの下降動作に替わり逃げ動作を行う逃げ部材11を備え、厚さ変化検出手段は、逃げ部材の逃げ動作から被縫製物の厚さ変化を検出する、という構成を採っている。
【選択図】図1
Description
また、上記従来のミシンにあっては、針板上の布の厚さの変化を検出するための厚さ検出手段を備えており、縫製時において検出を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
また、XY方向に移動する布地の上面に接触子を接触させて厚さ変化を検出する構成のため、移動中の布地からの摺動による振動等の外乱の影響を受けやすく、正確な検出が難しいという問題があった。
本発明は、構成の簡易化、さらには、検出の精度向上を図ることを目的とする。
なお、厚さ変化検出手段において「厚さ変化を検出する」とは、厚さの変化の発生のみを検出する場合も、厚さの変化量を検出する場合も含む意味である。
また、中押さえとは別個に接触子を被縫製物に接触させるスペースを確保する必要がなく、装置の小型化、簡易化が図られる。
さらに、中押さえを介して被縫製物の厚さ変化を検出するので、上方から被縫製物を押さえるように検出が行われ、摺動の影響を抑制できる。
上記構成では、中押さえは、通常は、中押さえ駆動機構により一定の高さの上死点及び下死点の間で上下動を行う。そして、厚さ変化検出手段により、被縫製物の厚さ変化が検出されると、中押さえ駆動機構による中押さえの下死点高さが調整される。
つまり、厚さ変化を生じる針数が書き加えられていない段階の縫製データにより少なくとも一回の縫製が行われ、それにより、厚さ変化を生じる針数が書き加えられた縫製データが取得され、それ以降、厚さ変化を生じる針数が書き加えられた縫製データに基づいて縫製が行われる。
上記「仮縫製」とは、被縫製物は位置決め手段にセットされるが、縫い針に縫い糸を通さない状態又は縫い針自体を針棒に装着しない状態で、縫い針の上下動駆動源と位置決め手段とを駆動させる作業をいうものとする。この場合、実際の縫いつけは行われない。
つまり、厚さ変化を生じる針数が書き加えられていない段階の縫製データに基づいて仮縫製を行い、それにより、厚さ変化を生じる針数が書き加えられた縫製データが取得され、実際の縫製において、厚さ変化を生じる針数が書き加えられた縫製データに基づいて縫製が行われる。
上記構成では、仮縫製作業時に、布厚変化を生じる針数が縫製データに加えられ、再び、仮縫製を行う。その結果、中押さえの下死点高さと被縫製物との相対的な高さについて適正か否かの判断を行うことができる。
上記構成では、厚さ変化検出手段により被縫製物の厚さ変化が検出されると、糸調子装置による糸張力が調整される。
また、中押さえを介して被縫製物の厚さ変化を検出するので、上方から被縫製物を押さえるように検出が行われ、従来のように被縫製物と接触子との摺動を生じないことから、ぶれなどを抑制し、より精度良く厚さ検出を行うことが可能となる。
さらに、逃げ部材を備えることで、中押さえの下降時に被縫製物を押圧することが抑制され、被縫製物の保護が図られると共に、中押さえの影響を抑制した状態でより精度良く被縫製物の厚さ変化を検出することが可能となる。
請求項5記載の発明は、仮縫製作業と共に縫製データに被縫製物の厚さ変化を生じる針数の検出結果を付加するので、実際の縫製作業は、被縫製物の厚さ変化を既知の状態で行うことができ、全ての被縫製物に対して縫い品質の向上を図ることが可能となる。
その結果、被縫製物の厚さ変化を生じる針数において、制御される中押さえの下死点高さを修正すると共にその修正を縫製データに書き加える制御手段をさらに加えることで、より的確な縫製が行われ、さらなる縫い品質の向上を図ることが可能となる。
(実施形態の全体構成)
図1は本実施形態たるミシン100の要部を面部側から見た左側面図、図2は図1に示す要部の一部の構成の分解斜視図、図3は図1に示す要部の残る一部の構成の分解斜視図である。
ミシン100は、縫い針を上下動させる図示しない上下動機構と、針板の下方で縫い針に挿通された縫い糸に下糸を絡げる釜機構と、針板上面の被縫製物たる布地を保持すると共に針板上面に沿った直交するX−Y軸方向に沿って布地を移動位置決めする位置決め手段としての布保持機構と、縫製時に中押さえ29を上下に往復移動させて被縫製物を針板側に押さえる中押さえ装置1と、中押さえ29を介して布地の厚さ変化を検出する厚さ変化検出手段としての中押さえセンサ60と、縫い針に供給される縫い糸の繰り出しに抵抗力を付与する糸調子装置65と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段70とを備えている。
なお、上述の上下動機構、釜機構、布保持機構、糸調子装置65は周知の構成なので詳細な説明は省略する。
中押さえ装置1は、中押さえ29と、中押さえ29に対して上下動駆動力を付与する中押さえ駆動機構と、中押さえの上下動における下死点高さを調整する高さ調整手段とを備えている。
以下、中押さえ装置1を詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、中押さえ装置1は、ミシンモータ81により回転駆動されて、先端に縫い針が設けられた針棒(図示略)を上下方向に駆動させる上軸2から中押さえ29の上下の往復動力を得ている。即ち、上軸2には偏心カム3が固定され、この偏心カム3には接続リンク4が連結されている。接続リンク4には揺動軸抱き5が連結され、揺動軸抱き5には揺動軸6の一端部が連結されている。
揺動軸6の他端部には中押さえ29の上下方向D1の移動量を調節する中押さえ調節腕7の基端部が固定されている。中押さえ調節腕7は揺動軸6を中心に往復揺動を行い、また、中押さえ調節腕7にはその揺動半径方向に沿って溝カム7aが形成されている。この溝カム7aは弧状の長孔になっており、この溝カム7aの所望の位置と第1リンク8の一端部とが調節ナット9と段ネジ10により回動自在に固定される。この固定位置は揺動軸6の軸芯線と交差する位置からこの交差位置より中押さえ調節腕7の一端側の所定位置の範囲までの間に形成され、この範囲内で所望に調節することができる。
位置決めリンク13は、その長手方向中央部近傍で段ネジ14によりミシン筐体としてのミシンフレーム15に回動自在に取り付けられ、段ネジ14の位置は、中押さえ29が下死点にあるときの段ネジ12の位置と一致する。
第4リンク22の他端部には、リンク中継板25が段ネジ26により連結されている。リンク中継板25には中押さえ棒抱き27が固定されており、中押さえ棒抱き27には上下方向に延びる中押さえ棒28が保持されている。中押さえ棒28の下端部には、縫製時に布地を針板に押さえ付ける中押さえ29が取り付けられている。中押さえ棒28の上端部にはコイルバネ30が設けられており、このコイルバネ30は、ボルト31及びナット32によりミシンフレーム15に保持され、中押さえ棒抱き27を下方に押圧している。
上記角駒33は、長孔34aの長手方向に沿って滑動し、第3リンク20と第4リンク22との連結部を長孔34aに沿って移動させるガイドの役割を果たしている。
さらに、可変軸39の他端部には、ベアリング40、かさ歯車41を介して駆動手段としてのステッピングモータ42が連結されている。すなわち、ステッピングモータ42の駆動が、可変軸39、偏心カム38、移動リンク36の順に伝達されて、移動リンク36が案内部材34を移動させる。
図4は中押さえ昇降カム45の周囲の構成をその中心線方向から見た動作説明図である。中押さえ昇降カム45は、図4に示すように、その支軸を中心として0〜180度の範囲では回動中心から外周面までの距離がほぼ同一の円弧状に形成され(以下、維持部45aという。)、180〜360度の範囲では、回動中心から外周面までの距離が、維持部45aにおける回動中心から外周面までの距離から時計回り方向に向かって徐々に大きく変化する形状(以下、変化部45bという。)とされている。
もう少し詳述すると、中押さえ昇降カム45の維持部45aがコロ47と接触する半周分の角度範囲でステッピングモータ42が駆動する場合には、可変軸39の先端に設けられた偏心カム38が移動リンク36を介して案内部材34を揺動させる。その結果、角駒33が図1における左右方向に移動し、更には、第3リンク20と第4リンク22とを直線状に並んだ状態から互いの連結部にて屈曲した状態に変化する。すると、第3リンク20と第4リンク22との連結長Lは屈曲量に応じて長さ変化を生じ、結果的に、中押さえ29の上下動の下死点高さが変更調節される。
なお、中押さえ昇降カム45の維持部45aがコロ47と接触する半周分の角度範囲内では、中押さえ上げ部材46は揺動を生じない。
一方、中押さえ昇降カム45の変化部45bがコロ47と接触する残りの半周分の角度範囲でステッピングモータ42が駆動する場合には、コロ47が徐々に下方に押し下げられ、中押さえ上げ部材46の先端部が中押さえ棒抱き27及び中押さえ棒28を介して中押さえ29を上方に移動させる。従って、中押さえ29を使用位置から退避位置まで引き上げることができる。なお、中押さえ29を退避位置から使用位置に戻す場合には、コロ47が中押さえ昇降カム45の変化部45bから維持部45aに移動するまでステッピングモータ42を駆動すればよい。これにより、中押さえ29の使用位置と退避位置の切り替えが行われる。
糸調子装置65は、通電される電流量に応じて推力を発生させる糸張力ソレノイド66と、糸張力ソレノイド66によりその隙間間隔を閉じられて上糸を挟むことで糸に張力を与える一対の糸調子皿とを備えている。
糸張力ソレノイド66は、駆動回路66aを介して動作制御手段70に接続されており、動作制御手段70が出力する制御信号に応じた電流値で駆動回路66aが糸張力ソレノイド66に通電を行うことで任意の推力を出力し、上糸に任意の張力を付与することが可能となっている。
前述した中押さえ装置1の第2リンク11にあっては、図1における左端部に対してコイルバネ16により上方への弾性力が付勢され、右端部は第3リンク20を介して中押さえ29に上下の移動力を伝達し、中間部は第1リンク8により上下の移動力が付与される。そして、第2リンク体11の左端部の上側に対して規制部材19が当接し、上方への移動を規制しているため、縫製時において、コイルバネ16による弾性力が第2リンク体11の左端部を規制部材19に当接する一定の位置に維持する限りは、第2リンク11は、左端部の段ネジ18を中心に揺動を行うのみである。
しかしながら、布地の厚さが通常よりも厚くなる等の事情により、中押さえ29に予定されたその下死点まで到達することができない場合には、第2リンク11の右端部が下降しないため、当該右端部を中心に揺動を始めて、左端部が下降移動することとなる。つまり、第2リンク11が中押さえ29の下降時に所定量を超える負荷を受けると中押さえ29の下降動作に替わり逃げ動作(左端部の下降移動)を行う逃げ部材として機能することとなる。
第一接点61は、第2リンク11等の部材を介して接地されている。また、第二接点62は通電回路60aから通電可能であり、第一接点61と第二接点62とが接触している状態ならば電流が流れ、離れると通電が切断される。
かかる第二接点62は、第2リンク11の左端部が規制部材19に当接した状態における第一接点61に対して上方から幾分弾性的な押圧力をもって当接するように配置されている。そして、布地の厚さが通常よりも厚くなることで図5に示すように、第2リンク11の左端部が所定距離だけ下降移動を生じると、第二接点62は第一接点61から離れるようになっている。
そして電源回路60aは動作制御手段80に接続されており、動作制御手段80では、電源回路60aが通電状態か非通電状態かにより、布地の厚さの増加の発生を検出することが可能となっている。
動作制御手段70について図6により説明する。図6はミシン10の制御系を示すブロック図である。まず、動作制御手段70の周囲の構成について説明する。
図6に示す操作パネル75は、所定の画像を表示する表示手段とその表示画面上に設けられたタッチ式のパネルとを備える入出力装置である。かかる表示画面には動作制御手段70から出力される種々の縫製情報や各種設定ボタン等が表示され、タッチ式のパネルは各種表示スイッチに対する入力操作を感知し、接触操作による入力指示位置の座標情報を動作制御手段70に出力する。動作制御手段70は、出力中の画像データに対応する表示エリアの所定の各位置における個別のデータを記憶しており、当該各位置と入力指示位置の位置座標とが一致する場合に、当該位置のデータを読み出し、当該データが選択されたことを認識することができる。
また、前述した中押さえセンサ60は電源回路60aを介して動作制御手段70に検出信号を出力する。
また、ミシンモータ81はサーボモータであり、駆動回路81aにより、動作制御手段70の制御信号に応じた回転量により、その駆動制御が行われる。また、その回転量は角度単位で制御することが可能であることから、動作制御手段70は、ミシンモータ81の現在の回転角度位置を認識することが可能である。
また、中押さえ装置1のステッピングモータ42は、駆動回路42aを介して動作制御手段70と接続されており、動作制御手段70の制御信号に応じた回転量により、その駆動制御が行われる。
また、前述したように、糸調子装置65の糸張力ソレノイド66は駆動回路66aを介して動作制御手段70と接続され、動作制御手段70からの制御信号により糸張力が制御されるようになっている。
また、上記RAM73には、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられており、縫製動作中のワークエリアとしても使用される。
即ち、縫製データには、縫製開始からの針数ごとの縫い針に対する布地の位置決めを行うためのX軸,Y軸モータ82,83の駆動量が縫製開始からの針数ごとに設定され、また、通常の縫製時の糸張力ソレノイド66の張力データが設定されている。
CPU71は、所定の処理プログラムを実行することで、縫製時において、上記縫製データに基づいて、針落ちごとに予めX軸,Y軸モータ82,83を縫製データに従って駆動し、各針落ちが設定された順番で設定された位置に行われるように制御を行う。これにより、CPU71は縫製制御手段としての制御を実行する。
この非縫製時厚さ取得モードの選択設定時には、CPU71は、所定の処理プログラムにより、EEPROM74中の縫製データに従って、布保持機構に対して、針数ごとに各位置への布移動を行う動作制御を実行すると共に、各針数ごとに中押さえセンサ60により布厚の変化を検出する。即ち、CPU71は、ミシンモータ81のエンコーダから針数を逐次カウントし、中押さえセンサ60の各接点61,62が切断された状態(布厚の増加の発生)が検出されると、そのときの針数を一時的にRAM73に記憶し、縫製終了時に、布厚増加を生じていた針数を布厚データとして縫製データに書き加える第二の変化針数検出制御手段としての処理を行う。
上記動作制御手段70の制御に基づくミシン100の縫製動作を図7〜図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
図7は前述した縫製時厚さ取得モードの選択設定時における初回の縫製実行時における動作制御手段70の処理を示すフローチャートである。
まず、ミシンモータ81の駆動により縫製が開始されると(ステップS1)、CPU71は中押さえセンサ60がoff状態(第一接点61と第二接点62とが離れている状態)か検知を行う(ステップS2)。
その結果、電源回路60aがon状態(第一接点61と第二接点62と接触している状態)を示していることが検出されたときには(ステップS2:NO)、ミシンモータ81のエンコーダにより針数をカウントする針数カウンタを参照して、縫製データに設定された一連の縫製を行う最終針数に到達したか否かを判定する(ステップS3)。
そして、最終針数に到達している場合には(ステップS3:YES)、既に後述するステップS4及びS8で中押さえ29を上昇させた針数又はもとの高さに戻した針数が記憶されている場合にはそれらの針数、そのときの上昇量、上昇を継続させた針数を縫製データに書き加える処理を実行して(ステップS13)、縫製が終了する。
また、最終針数に到達していないときには(ステップS3:NO)、ステップS2の処理に戻る。
そして、CPU71は、厚地の布地の縫製用に予め設定された糸張力となるように糸張力ソレノイド66の通電制御を実行する(ステップS5)。
さらに、CPU71は、予め設定された高さだけ中押さえ29の下死点が上昇するようにステッピングモータ42の駆動制御を行う(ステップS6)。
また、中押さえセンサ60がon状態のときには(ステップS7:NO)、中押さえ29の下死点の引き上げ量が足りていることを意味するので、布厚の増加からもとの布厚に戻った針数として、そのときの現在針数を一時的にRAM73に記憶する。
そして、ステップS8の処理に進み、予め設定された針数だけ中押さえ29の下死点を引き上げた状態で縫製を継続して行う(ステップS8)。
なお、このステップS8の処理では、設定回数に達しない場合に(ステップS8:NO)、ステップS8の処理を繰り返すだけとなっているが、ステップS3の処理と同様に、針数カウンタを参照して、最終針数に達している場合には縫製を終了し、到達していないときにはステップS8に戻る処理を行っても良い。
そして、CPU71は中押さえセンサ60がoff状態か検知を行い(ステップS11)、中押さえセンサ60のoff状態が検出されると(ステップS11:YES)、布地の厚い部分がまだ続いていることを意味するので、ステップS4からの処理を再び行う。
また、中押さえセンサ60のon状態が検出されると(ステップS11:NO)、布地の厚い部分は通過したことを意味するので、針数カウンタを参照して、縫製データに設定された一連の縫製を行う最終針数に到達したか否かを判定する(ステップS12)。そして、最終針数に到達している場合には(ステップS12:YES)、ステップS4及びS8で記憶された中押さえ29を上昇させた針数又はもとの高さに戻した針数、そのときの上昇量、上昇を継続させた針数を縫製データに書き加える処理を実行して(ステップS13)、縫製を終了する。
また、最終針数に到達していないときには(ステップS12:NO)、ステップS2の処理に戻って縫製を継続する。
まず、ミシンモータ81の駆動により縫製が開始されると(ステップS14)、ミシンモータ81のエンコーダにより針数をカウントする針数カウンタを参照して、縫製データ中の布厚データが示す布厚の増加を生じた針数又は増加からもとの布厚に戻った針数であるか否かを判定する(ステップS15)。
そして、いずれの針数でもないときには、縫製データに従って縫製を続け(ステップS15:NO)、いずれかの針数であるときには(ステップS15:YES)、ステップS16に移行する。
また、布厚の増加からもとの布厚に戻った針数である場合には(ステップS16:NO)、CPU71は、中押さえ29の下死点が上昇位置から元の高さに戻るようにステッピングモータ42の駆動制御を行うと共に糸張力を通常の値に戻し(ステップS19)、ステップS20の処理に移行する。
まず、ミシンモータ81の駆動が開始され、CPU71は中押さえセンサ60がoff状態か否かの検知を行う(ステップS31)。
その結果、電源回路60aがon状態を示していることが検出されたときには(ステップS31:NO)、針数カウンタを参照して、縫製データに設定された最終針数に到達したか否かを判定する(ステップS32)。そして、最終針数に到達している場合には(ステップS32:YES)、ミシンモータ81を停止させ、ステップS37に移行する。
また、針数カウンタが最終針数に到達していないときには(ステップS32:NO)、ステップS31の処理に戻る。
そして、CPU71は、針数カウンタを参照して、縫製データに設定された一連の縫製を行う最終針数に到達したか否かを判定する(ステップS35)。そして、最終針数に到達していないときには(ステップS35:NO)、ステップS31の処理に戻る。
また、最終針数に到達している場合には(ステップS35:YES)、ミシンモータ81を停止して(ステップS36)、ステップS34でRAM73に記憶された針数を布厚が増加を生じている針数を示す布厚データとしてEEPROM74中の縫製データに書き加える処理を実行する(ステップS37)。
また、確認動作を行うとの指示が操作パネル75から入力されると(ステップS38:YES)、ミシンモータ81が再起動を開始する(ステップS39)。これにより、縫製データに従って布保持機構及び中押さえ装置1も動作制御が行われる。
さらに、CPU71は、針数カウンタを参照して、ステップS34で記憶された布厚の増加を生じている針数であるか否かを判定する(ステップS40)。
そして、布厚の増加を生じている針数ではないときには、縫製データに従って布保持機構及び中押さえ装置1が動作を続け(ステップS40:NO)、布厚の増加を生じている針数であるときには(ステップS40:YES)、CPU71は、予め設定された高さだけ中押さえ29の下死点が上昇するようにステッピングモータ42の駆動制御を行い(ステップS41)、ミシンモータ81,布保持機構及び中押さえ装置1の駆動を停止させる(ステップS42)。
また、最終針数に到達している場合にはステップS45に進み(ステップS44:YES)、CPU71は、ステップS43で設定された修正上昇量をEEPROM74中の縫製データに書き加える処理を実行し、一連の処理が終了する。
なお、かかる図9に示す非縫製時厚さ取得モードより更新された縫製データについても、前述した図8のフローチャートに基づいて縫製が実行される。
上記ミシン100にあっては、中押さえ29を介して布地の厚さ変化を検出するので、厚さ検出のために独立した部材を設ける必要がなく部品点数を低減させると共に、部材数の低減により縫い針周囲の省スペース化を図ることができ、装置の小型化、簡易化による装置全体の生産性の向上を図ることが可能となる。
さらに、縫製時厚さ取得モード又は非縫製時厚さ取得モードにおいて、動作制御手段70により、縫製データに布地の厚さ変化を生じた針数のデータが書き加えられるので、データ取得後の縫製時において、いずれの針数の時に被縫製物に厚さ変化を生じるかが予め認識可能となり、厚さ変化に応じた糸調子装置65の糸張力や中押さえ装置1の下死点高さの調整制御を行うことができるため、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
特に、縫製時厚さ取得モードでは、実際の縫製作業と共に縫製データに布厚データを付加するので、作業効率の向上を図ることが可能となる。
一方、非縫製時厚さ取得モードでは、実際の縫製作業より前に縫製データに布厚データを付加するので、実際の縫製作業は、被縫製物の厚さ変化を既知の状態で行うことができ、全ての布地に対して縫い品質の向上を図ることが可能となる。
(実施形態の概略)
図10〜図13に基づいて第二の実施形態であるミシン100Aについて説明する。
図10に示すように、ミシン100Aは、第2リンク11の第一接点61における端部の上下動変化量を検出することが可能な中押さえセンサ60Aを新たに備え、これにより布厚変化を生じたときの厚さ変化量を求めて厚さ変化量をも考慮した動作制御を行う点が前述したミシン100と異なっている。
動作制御の処理内容以外の構成については、中押さえセンサ60Aのみがミシン100と異なるだけなので、ミシン100Aについて、ミシン100と同一の構成には同符号を付して、異なる点のみを説明することとする。
上記被検出部材63は、均一間隔で設けられた櫛歯が上下方向に沿って並ぶように第2リンク11の第一接点61側の端部に固定装備されている。
歯数センサ64は、被検出部材63の櫛歯の背後に配置されて発光する光源と、櫛歯に遮られる光源の光の明るさを検出する受光素子とを有しており、櫛歯の上下動により受光する光が明滅する回数から上下の移動量を検出することができるようになっている。
なお、歯数センサ64の検出信号は動作制御手段70に出力される。
また、歯数センサ64は光学式としたが、第2リンク11の第一接点61側の端部の上下移動量が求まるのであれば、いかなる方式の検出素子やセンサを使用しても良い、
また、CPU71が所定の処理プログラムに基づいて行う第一又は第二の変化針数検出制御手段としての処理を実行する場合において、縫製データに従ってミシン各部を駆動すると共に、布地の厚さ変化を生じた場合にその厚さ変化量までを検出し、その際の針数と関連づけて検出布厚を縫製データに書き加える点がミシン100と異なっている。
また、CPU71は、所定の処理プログラムに基づいて押さえ高さ制御手段としての処理を実行する場合において、中押さえセンサ60により各接点61,62の切断が検出され且つ歯数センサ64により布厚が検出されると、中押さえ装置1のステッピングモータ42に対して中押さえ29を検出布厚に応じた量だけ上昇させる動作制御を行う点がミシン100と異なっている。
これらの点をふまえて、ミシン100Aの動作制御手段70に基づく各動作について以下に説明する。
以下の各処理は全て動作制御手段70のCPU71がそれぞれの処理を実行するための制御プログラムに従って行うものである。
図11は縫製時厚さ取得モードの選択設定時における初回の縫製実行時における動作制御手段70の処理を示すフローチャートである。
まず、ミシンモータ81の駆動により縫製が開始されると(ステップS51)、CPU71は中押さえセンサ60Aの歯数センサ64が被検出部材63の上下移動を検出したか否かを判断する(ステップS52)。
なお、このステップS52と後述するステップS62の歯数センサ64が被検出部材63の上下移動を検出したか否かの判定は、ミシンモータ81の出力軸又は上軸の回転角度をエンコーダ等により検出し、中押さえ29が下死点又はその手前の位置となる角度において実行するように設定することが望ましい。
そして、CPU71は中押さえセンサ60Aの二つの接点61,62がoff状態か検知を行う(ステップS54)。off状態が検知されるまで検知を繰り返し、検知されると、その後、歯数センサ64の移動する歯数のカウント値から中押さえ29の上昇量即ち布厚を算出し、RAM73に記憶する(ステップS55)。
そして、CPU71は針数カウンタを参照し、現在針数を一時的にRAM73に記憶すると共に(ステップS56)、厚地の布地の縫製用に予め設定された糸張力となるように糸張力ソレノイド66の通電制御を実行する(ステップS57)。
さらに、CPU71は、ステップS55で求められた布厚による布厚変化量に応じた高さだけ中押さえ29の下死点が上昇するようにステッピングモータ42の駆動制御を行う(ステップS58)。
なお、このステップS59の処理では、設定回数に達しない場合に(ステップS59:NO)、ステップS59を繰り返すだけであるが、後述するステップS63の処理と同様に、針数カウンタを参照して、最終針数に達している場合には縫製を終了し、到達していないときにはステップS59に戻る処理を行っても良い。
そして、CPU71は、再び、中押さえセンサ60Aの歯数センサ64が被検出部材63の上下移動を検出したか否かを判断し(ステップS62)、被検出部材63の上下移動検出されると(ステップS62:YES)、布地の厚い部分がまだ続いていることを意味するので、ステップS53からの処理を再び行う。
また、中押さえセンサ60Aの歯数センサ64が被検出部材63の上下移動を検出しないときには(ステップS62:NO)、布地の厚い部分は通過したことを意味するので、針数カウンタを参照して、縫製データに設定された一連の縫製を行う最終針数に到達したか否かを判定する(ステップS63)。
そして、最終針数に到達している場合には(ステップS63:YES)、ステップS56で記憶された中押さえ29を上昇させた針数又はもとの高さに戻した針数、ステップS56で記憶された上昇量、上昇を継続させた針数を縫製データに書き加える処理を実行して(ステップS64)、縫製を終了する。
また、最終針数に到達していないときには(ステップS63:NO)、ステップS52の処理に戻って縫製を継続する。
まず、ミシンモータ81の駆動により縫製が開始されると(ステップS71)、ミシンモータ81のエンコーダにより針数をカウントする針数カウンタを参照して、縫製データ中の布厚データが示す布厚の増加を生じた針数又は増加からもとの布厚に戻った針数であるか否かを判定する(ステップS72)。
そして、いずれの針数でもないときには、縫製データに従って縫製を続け(ステップS72:NO)、いずれかの針数であるときには(ステップS72:YES)、ステップS73に移行する。
また、布厚の増加からもとの布厚に戻った針数である場合には(ステップS73:NO)、CPU71は、中押さえ29の下死点が上昇位置から元の高さに戻るようにステッピングモータ42の駆動制御を行うと共に糸張力を通常の値に戻し(ステップS76)、ステップS77の処理に移行する。
まず、ミシンモータ81の駆動が開始され、CPU71は中押さえセンサ60Aの歯数センサ64が被検出部材63の上下移動を検出したか否かを判断する(ステップS81)。
なお、このステップS81についても、歯数センサ64が被検出部材63の上下移動を検出したか否かの判定は、ミシンモータ81の出力軸又は上軸の回転角度をエンコーダ等により検出し、中押さえ29が下死点又はその手前の位置となる角度において実行するように設定することが望ましい。
そして、CPU71は中押さえセンサ60Aの二つの接点61,62がoff状態か検知を行う(ステップS83)。off状態が検知されるまで検知を繰り返し、検知されると、その後、歯数センサ64の移動する歯数のカウント値から中押さえ29の上昇量即ち布厚を算出し、RAM73に記憶する(ステップS84)。また、CPU71は針数カウンタを参照し、現在針数を一時的にRAM73に記憶する(ステップS85)。
また、最終針数に到達している場合には(ステップS86:YES)、ミシンモータ81を停止して(ステップS87)、ステップS84,S85でRAM73に記憶された布厚が増加を生じている針数及びその布厚を示す布厚データをとしてEEPROM74中の縫製データに書き加える処理を実行する(ステップS88)。
また、針数カウンタが最終針数に到達していないときには(ステップS90:NO)、ステップS81の処理に戻る。
また、確認動作を行うとの指示が操作パネル75から入力されると(ステップS91:YES)、ミシンモータ81が再起動を開始する(ステップS92)。これにより、縫製データに従って布保持機構及び中押さえ装置1も動作制御が行われる。
さらに、CPU71は、針数カウンタを参照して、ステップS85で記憶された布厚の増加を生じている針数であるか否かを判定する(ステップS93)。
そして、布厚の増加を生じている針数ではないときには、縫製データに従って布保持機構及び中押さえ装置1が動作を続け(ステップS93:NO)、布厚の増加を生じている針数であるときには(ステップS93:YES)、CPU71は、ステップS84で記憶された高さだけ中押さえ29の下死点が上昇するようにステッピングモータ42の駆動制御を行い(ステップS94)、ミシンモータ81,布保持機構及び中押さえ装置1の駆動を停止させる(ステップS95)。
さらに、修正値が入力されると、確定の指示入力が行われたか判定され(ステップS98)、確定されないとステップS97に戻り、修正値の入力待ちとなる。また、修正値が確定されると(ステップS98:YES)、ミシンモータ81,布保持機構及び中押さえ装置1の駆動が次の針数から再開され、ステップS93の処理に戻される。
また、最終針数に到達している場合にはステップS100に進み(ステップS99:YES)、CPU71は、ステップS97,S98で設定された修正上昇量をEEPROM74中の縫製データに書き加える処理を実行し、一連の処理が終了する。
なお、かかる図13に示す非縫製時厚さ取得モードより更新された縫製データについても、前述した図12のフローチャートに基づいて縫製が実行される。
上記ミシン100Aは、ミシン100と同様の効果を具備すると共に、被縫製物である布地の厚さ変化の発生だけではなく、その厚さの変化量まで検出することができるので、縫製時にあっては、検出した布厚に応じて中押さえ29の上下動の下死点高さ制御を行うことができ、中押さえによる布地への負担を抑制し、布地を保護しつつ、高い縫い品質を維持することが可能となる。
11 第2リンク(逃げ部材)
15 ミシンフレーム
29 中押さえ
60,60A 中押さえセンサ(厚さ変化検出手段、接点式スイッチ)
61 第一接点
62 第二接点
63 被検出部材
64 歯数センサ
65 糸調子装置
66 糸張力ソレノイド
70 動作制御手段
81 ミシンモータ
100,100A ミシン
Claims (7)
- 縫製時に被縫製物を針板側に押さえる中押さえと、
この中押さえに上下方向に沿った往復動作を付与する中押さえ駆動機構と、
前記中押さえを介して被縫製物の厚さ変化を検出する厚さ変化検出手段を備え、
前記中押さえ駆動機構は、前記中押さえの下降時に所定量を超える負荷を受けると前記中押さえの下降動作に替わり逃げ動作を行う逃げ部材を備え、
前記厚さ変化検出手段は、前記逃げ部材の逃げ動作から前記被縫製物の厚さ変化を検出することを特徴とする請求項1記載のミシン。 - 前記中押さえの上下動における下死点高さを調整する高さ調整手段と、
前記厚さ変化検出手段による被縫製物の厚さ変化検出時に、前記高さ調整手段が前記中押さえの下死点高さを調整する制御を行う押さえ高さ制御手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のミシン。 - 前記被縫製物と前記縫い針とを、前記針板上の平面の任意の位置に相対的に位置決めする位置決め手段と、
前記位置決め手段に対して、前記縫い針の上下動の針数ごとに位置決めすべき各位置を示す縫製データに従って、位置決めする制御を行う縫製制御手段と、
前記縫製制御手段による各位置への位置決めの際に、前記厚さ変化検出手段による被縫製物の厚さ変化を検出する制御を行うと共に、厚さ変化を生じた針数を前記縫製データに書き加える変化針数検出制御手段とを備えることを特徴とする請求項2記載のミシン。 - 前記変化針数検出制御手段は、前記縫製制御手段による縫製実行時に、厚さ変化を生じた針数を前記縫製データに書き加える処理を行うことを特徴とする請求項3記載のミシン。
- 前記変化針数検出制御手段は、前記縫製制御手段による仮縫製実行時に、厚さ変化を生じた針数を前記縫製データに書き加える処理を行うことを特徴とする請求項4記載のミシン。
- 前記厚さ変化を生じた針数を書き加える処理の後に、前記縫製データに従って、前記位置決め手段及び前記高さ調整手段の高さ確認動作を行わせる確認動作制御手段を備えることを特徴とする請求項5記載のミシン。
- 縫い針に供給される縫い糸の繰り出しに抵抗力を付与する糸調子装置と、
前記厚さ変化検出手段による被縫製物の厚さ変化検出時に、前記糸調子装置が付与する抵抗力を変化させる制御を行う糸張力制御手段とを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のミシン。
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