JP4920904B2 - ミシン - Google Patents
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Description
ところで、ミシンのパターン形成縫いにおいて、縫製物の布厚は必ずしも均一ではない上に、複数枚の縫製物を重ねた際には縫製物表面に段差が生じるため、中押さえの縫製動作中における最下端位置を調整する必要がある。
しかし、このミシンに搭載された中押さえ装置は、中押さえの高さ調整ダイヤルが手動操作であるため、縫製中の縫製物の布厚変化に対してリアルタイムに対応できない。このため、上記ダイヤル操作をパルスモータ駆動とし、さらに中押さえの上昇/下降動作をソレノイド、或は、エアーシリンダにより駆動可能とすることで、縫製動作中であっても縫製パターンに応じて中押さえの最下端高さ位置を調整可能としたミシンが開発されている(例えば、特許文献2参照)。
縫針を縫製物から抜く際に縫製物を針板に向けて押さえつける中押さえと、
軸回りに回転することにより、前記中押さえを前記縫針の上下動方向に沿って上下動させる主軸と、
前記主軸を駆動させる主軸駆動装置と、
軸回りに回転することにより、前記中押さえが下死点に到達したときの針板からの高さを調節する調節軸と、
前記調節軸を駆動させる調節軸駆動装置と、
前記縫針の上下動方向に対して直交する方向に前記縫製物を搬送させる搬送装置と、
前記搬送装置による前記縫製物の搬送量、当該搬送量に基づいて設定された前記主軸駆動装置による第1主軸スピード、前記調節軸駆動装置による前記中押さえの下死点高さの変化量、当該下死点高さの変化量に基づいて設定された前記主軸駆動装置による第2主軸スピードを有する縫製データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された縫製データに基づいて前記主軸駆動装置、前記調節軸駆動装置及び前記搬送装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記縫製物の搬送量に基づいて設定された前記第1主軸スピードと、前記中押さえの下死点高さの変化量に基づいて設定された前記第2主軸スピードを比較し、前記第1主軸スピードと前記第2主軸スピードのうち、遅い方の主軸スピードで前記主軸を回転させるように前記主軸駆動装置を制御することを特徴としている。
前記主軸駆動装置による第3主軸スピードが入力される操作装置を備え、
前記制御装置は、前記縫製物の搬送量に基づいて設定された前記第1主軸スピードと、前記中押さえの下死点高さの変化量に基づいて設定された前記第2主軸スピードと、前記操作装置により入力された第3主軸スピードとを比較し、前記第1主軸スピードと前記第2スピードと前記第3主軸スピードのうち、最も遅い主軸スピードで主軸を回転させるように前記主軸駆動装置を制御することを特徴としている。
本発明の実施の形態を図1〜図17に基づいて説明する。
本実施形態において、ミシンとして電子サイクルミシンを例に説明する。電子サイクルミシンは、縫製を行う縫製物である布を保持する布保持部としての保持枠を有し、その保持枠が縫針に対し相対的に移動することにより、保持枠に保持される布に所定の縫製データ(縫い目パターン)に基づく縫い目を形成するミシンである。
ここで、後述する縫針108が上下動を行う方向をZ軸方向(上下方向)とし、これと直交する一の方向をX軸方向(左右方向)とし、Z軸方向とX軸方向の両方に直交する方向をY軸方向(前後方向)と定義する。
図1に示すように、ミシン本体101は、外形が側面視にて略コ字状を呈するミシンフレーム102を備えている。このミシンフレーム102は、ミシン本体101の上部をなし前後方向に延びるミシンアーム部102aと、ミシン本体101の下部をなし前後方向に延びるミシンベッド部102bと、ミシンアーム部102aとミシンベッド部102bとを連結する縦胴部102cとを有している。
このミシン本体101は、ミシンフレーム102内に動力伝達機構が配され、回動自在で前後方向に延びる主軸2(図4参照)及び図示しない下軸を有している。主軸2はミシンアーム部102aの内部に配され、下軸(図示省略)はミシンベッド部102bの内部に配されている。
主軸2の前端には、主軸2の回動によりZ軸方向に上下動する針棒108aが接続されており、その針棒108aの下端には、図2に示されるように、縫針108が備えられている。
なお、主軸モータ2a,主軸2,針棒108a,縫針108,下軸(図示省略)、釜(図示省略)等の接続構成は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
図3に示すように、ミシンアーム部102aの内部には、縫製物としての布のばたつきを押さえる中押さえ装置1が配設されているとともに、図1及び図2に示すようにミシンベッド部102b上には、針板110が配設されている。ここで、中押さえ装置1には、縫針108の上下動による布の浮き上がりを防止するために、針棒108aの上下動と連動して上下動し、縫針108の周囲の布を針板に向けて押さえつける中押さえ29が設けられている。
また、針板110の上方には、後述する保持枠111と、縫針108とが配置されている。この縫針108は、中押さえ29の先端に形成された貫通孔を貫通するように配置されている。
また、保持枠111は、布押さえ(図示省略)と下板(図示省略)とからなっており、取付部材113はミシンアーム102a内に配置された布押さえモータ79bの駆動により上下駆動が可能であり、布押さえ下降時に下板との間で布を挟持し保持するようになっている。
位置決めリンク13は、その中央部近傍で段ねじ14によりミシン筐体としてのミシンフレーム102に回動自在に取り付けられ、段ねじ14の位置は、中押さえ29が下死点にあるときの段ねじ12の位置と一致する。
第4リンク22の他端部には、リンク中継板25が段ねじ26により連結されている。リンク中継板25には中押さえ棒抱き27が固定されており、中押さえ棒抱き27には上下方向に延びる中押さえ棒28が保持されている。中押さえ棒28の下端部には、縫製時に布地を針板に押さえ付ける中押さえ29が取り付けられている。中押さえ棒28の上端部にはコイルばね30が設けられており、ボルト31及びナット32により中押さえ棒抱き27に取り付けられている。
角駒33は、段ねじ23と、第3リンク20と第4リンク22の連結部P3との隙間をうめるスペーサの役割を果たしており、各リンクのがたつきを防ぎ、各部材を円滑に駆動させる。
中押さえ昇降カム45は、図6〜図8に示すように、回動中心を通る中心線を境に一方は、回動中心から外周面までの距離がほぼ同一の円弧状に形成され(以下、維持部45aという。)、他方は、回動中心から外周面までの距離が、維持部45aにおける回動中心から外周面までの距離よりも大きく、かつ、滑らかに変化する形状(以下、変化部45bという。)とされている。
主軸モータ2aを駆動させて、主軸2や偏心カム3を回動させると、接続リンク4の先端は主軸2の軸線に略直交する方向(第3リンク20と第4リンク22の直列方向D2に対して横切る方向D3)に揺動し、接続リンク4に連結された揺動軸抱き5も同方向に揺動する。揺動軸抱き5が揺動することにより、揺動軸6も揺動するため、第1リンク8の一端部が揺動支点となって第1リンク8の他端部が揺動軸6の軸線に略直交する方向(第3リンク20と第4リンク22の直列方向D2に対して横切る方向D3)に揺動する。第1リンク8の他端部の揺動に伴い、第2リンク11の他端部は第3リンク20と第4リンク22の直列方向D2に揺動し、第2リンク11の他端部に連結された第3リンク20及び第4リンク22は、その直列方向(上下方向)D2に揺動する。第3リンク20及び第4リンク22の揺動に伴い、第4リンク22に連結された中押さえ棒28は上下方向D1に沿って下方に移動するため、中押さえ29も上下方向に移動する。つまり、主軸2が軸方向に回動することによって、中押さえ29が縫針108の上下動方向に沿って上下動するようになっている。
後述する制御装置1000のCPU73が制御プログラムを実行することにより、中押さえモータ42は、後述するEEPROM72に記憶された縫製パターンデータや中押さえ高さデータに基づいて駆動を始める。
中押さえモータ42の駆動は、かさ歯車41,ベアリング40を介して調節軸39に伝達され、調節軸39は回動を始める。調節軸39の回動により、偏心カム38も回動し、移動リンク36は、調節軸39の軸線に略直交する方向(第3リンク20と第4リンク22の直列方向D2に対して横切る方向D3)に揺動する。移動リンク36の揺動により、案内部材34は第3リンク20と第4リンク22の直列方向D2に対して横切る方向D3に揺動する。
また、ミシン100(ミシン本体101)は、図1、図10に示すように、作業者がミシンに対する各種設定操作や、各種データ等の入力操作を行うための操作パネル(操作装置)74aを有している。この操作パネル74aとミシン本体101とは、図示しない有線又は無線の回線により接続されている。
操作パネル74aは、ミシンの各種設定、各種データの入力の操作が可能な複数の操作キー群と、各種設定状態等を表示するデータ表示部74d等を備えている。
図10に示すように、操作パネル74aには、データ表示部74d,準備キー74e,リセットキー74f,+/前進キー74g,−/後退キー74h,パターンナンバーキー74i、X拡大縮小率キー74j、Y拡大縮小率キー74k、スピードキー74l、中押さえ高さキー74m,中押さえ振幅補正キー74n,プログラムキー(「Pr1」,「Pr2」,「Pr3」,「Pr4」)74o,及びミシンや各キーの動作状態等を示すLED90,91等が設けられている。
準備キー74eは、+/前進キー74gや−/後退キー74hなどにより変更されたデータや数値を確定する操作などを行うためのキーである。
リセットキー74fは、+/前進キー74gや−/後退キー74hなどにより変更されたデータや数値をリセットする操作などを行うためのキーである。
+/前進キー74g、−/後退キー74hは、各種データ番号やデータ数値の変更(順送り;+、逆送り;−)を行う操作のためのキーである。
パターンナンバーキー74iは、例えば、予め設定されて記憶されている縫製パターンデータによる縫製を行う際に、所望する縫製パターンデータを選択するため、その縫製パターンデータに対応する縫製パターンデータを呼び出したり、その縫製パターンNo.を表示したりするためのキーである。なお、縫製パターンデータについては後述する。
スピードキー74lは、縫製時の主軸スピードの設定入力及び表示を行うためのキーである。
中押さえ高さキー74mは、縫製時の中押さえ装置1の中押さえ29の高さの設定入力及び表示を行うためのキーである。
中押さえ振幅補正キー74nは、縫製時の中押さえ装置1の中押さえ29の高さ方向の揺動幅の増減補正の設定入力及び表示を行うためのキーである。
プログラムキー(「Pr1」,「Pr2」,「Pr3」,「Pr4」)74oは、縫製パターンデータ、拡大縮小率、主軸スピード、中押さえ高さ等が組み合わされた、カスタマイズな縫製を行うためのデータ(プログラムパターンデータ)を選択するためのキーである。
なお、操作パネル74aにおいて各種キーを介して設定入力された縫製データ、プログラムパターンデータなどの各種データは、後述する制御装置1000に出力され、後述するEEPROM72に記憶される。
ここで、縫製パターンについて説明する。
縫製パターンは、縫製を行う際の運針パターンであって、その運針パターンを実行するために、保持枠111を移動させる際のX方向移動量、Y方向移動量のデータ(針落ち位置を示す縫い目データ)が複数組み合わされてなる縫製パターンデータで表されるものである。実際の縫製パターンデータと、運針パターンの一例を、図11,図12に示す。原点位置(0,0)から図11に示すパターンNo.1の縫製パターンデータに従い運針が行われると、図12に示す運針が行われ、縫い目が形成される。
そして、「空送り」においては針棒108a(縫針108)は動作せず、保持枠111のみが移動し、「縫い」においては保持枠111とともに針棒108a(縫針108)が動作し、縫い目を形成するようになっている。
また、「糸切り」は糸切り装置(図示省略)、「終了」はミシン100の動作に対するコマンドであるとともに、その動作に対する数値設定は不要となるので、数値データは設定されない(図11では(0)と表記)。
また、「中押さえ高さ」、「中押さえ振幅補正量」は、それぞれ中押さえ装置1の動作に対するコマンドであるとともに、その動作に対する数値データを含むものである。
即ち、「中押さえ高さ」の設定値によって、主軸モータ2aの回転角度で規定される縫針108の下死点の位相(180°)における中押さえ29の高さ、即ち、中押さえモータ42の回転角度位置が決定される。
また、「中押さえ振幅補正量」の設定値によって、縫針108の上死点から下死点の間における中押さえモータ42の回転駆動量及びその逆となる下死点から上死点の間における中押さえモータ42の回転駆動量が決定される。
なお、図11,12のX移動量、Y移動量、中押さえ移動量、中押さえ振幅補正量の数値データにおける表記は10倍表記であり、例えば、「15」は、「1.5mm」を示している。
次いで、プログラムパターンについて説明する。
プログラムパターンデータは、図13に示すように、縫製を行う任意の縫製パターンデータが選択され、当該縫製パターン中の各「空送り」、「縫い」コマンドのX移動量、Y移動量を増減させるX拡大縮小率とY拡大縮小率が数値設定され、縫製時の主軸モータ2aの回転速度である主軸スピード、縫製中の基準となる中押さえ29の下死点高さ(ただし、縫製パターンに中押さえ高さが設定されている場合には縫製パターンを優先する)が数値設定され、縫製中の基準となる中押さえ29の上下動振幅の補正量(ただし、縫製パターンに中押さえ振幅の補正量が設定されている場合には縫製パターンを優先する)が数値設定されている。
ここで、主軸スピードは操作パネル74aのスピードキー741から入力された値(第3主軸スピード)だけでなく、X移動量及びY移動量から算出された布の搬送量に基づく値(第1主軸スピード)や、中押さえ29の下死点高さの変化量に基づく値(第2主軸スピード)から設定される。
搬送量=√(X移動量2+Y移動量2)
ミシン100は、図14に示すように、上述した各部、各部材の動作を制御するための制御装置1000を備えている。
制御装置1000は、図14に示すように、ROM70,RAM71,EEPROM72及びCPU73を備えている。
RAM71には、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられており、縫製動作中やデータ処理中のワークエリアとして使用され、ROM70やEEPROM72から読み出したプログラムやデータ等を一時的に記憶するものである。
特に、EEPROM72は、本発明に係る記憶部であり、操作パネル74aを介して入力された、複数の縫い目データが組み合わされてなる縫製パターンデータ(例えば、図11のパターンNo.1の縫製パターンデータ等)やプログラムパターンが記憶されるようになっている。
また、EEPROM72は、X拡大縮小率やY拡大縮小率のデータ、主軸スピードデータ、中押さえ高さデータ、中押さえ振幅補正量データ等を記憶している。なお、縫製パターンデータは、中押さえ振幅補正量データを含まないものであっても含むものであってもよい。
また、EEPROM72は、それら縫製パターンデータ、X拡大縮小率やY拡大縮小率のデータ、主軸スピードデータ、中押さえ高さデータ、中押さえ振幅補正量データ等が組み合わされた縫製データとしてのプログラムパターンデータ(例えば、図13のプログラムパターンデータ「Pr1」,「Pr2」,「Pr3」,「Pr4」)等を記憶している。
また、CPU73は、インターフェース74を介して布押さえスイッチ74b及びスタートスイッチ74cと接続されており、布押さえスイッチ74b及びスタートスイッチ74cから指示信号が入力された場合に、前述の縫製パターンデータ等に基づき、ミシン100の各部に縫製を行わせる処理を行う。
なお、主軸モータ2aには、例えば、サーボモータを適用することができる。
また、CPU73は、インターフェース78を介して、主軸モータ2aによる上下動とは別に中押さえ29の高さ位置を調節する中押さえモータ42を駆動する中押さえモータ駆動回路78bが接続され、中押さえ装置1の動作を制御する。
ここで、制御装置1000のCPU73は、主軸スピードを決定する際には、第1主軸スピード、第2主軸スピード及び第3主軸スピードのうち、最も遅い主軸スピードを選択するようになっている。
また、CPU73は、インターフェース79を介して、布押さえ(図示省略)を上下に移動する布押さえモータ79aを駆動する布押さえモータ駆動回路79bが接続され、布押さえの動作を制御する。
なお、X軸モータ76a及びY軸モータ77a、中押さえモータ42、布押さえモータ79aには、例えば、パルスモータを適用することができる。
また、CPU73は、インターフェース80を介して、中押さえ装置1の中押さえ29の原点位置を検出するための中押さえ原点センサ80cに接続され、中押さえ装置1の中押さえ29が正規の配置に位置しているか否かを示す信号が入力されて、該信号に基づく制御を行う。
また、CPU73は、インターフェース80を介して、布押さえ(図示省略)の原点位置を検出するための布押さえ原点センサ80dに接続され、布押さえが原点位置に戻っているか否かを示す信号が入力されて、該信号に基づく制御を行う。
次に、本発明に係るミシン100の各種の設定入力作業を含む全体的な動作について、図15、図16に示すフローチャートに基づき説明する。
そして、制御装置1000が、プログラムキー74oが押下された信号を検出しない場合(ステップS101;No)、或いはステップS102におけるプログラムパターンの設定後に、ステップS103に移行する。
そして、制御装置1000が、パターンナンバーキー74i,X拡大縮小率キー74j,Y拡大縮小率キー74k,スピードキー74l,中押さえ高さキー74mが押下された信号を検出しない場合(ステップS103;No)、或いはステップS104における動作後に、ステップS105に移行する。
そして、制御装置1000が、+/前進キー74g,−/後退キー74hが押下された信号を検出しない場合(ステップS105;No)、或いはステップS106における設定の更新後に、ステップS107に移行する。
制御装置1000が、中押さえ高さのデータが変更されていると判断すると(ステップS108;Yes)、制御装置1000は、変更された新たな中押さえ高さのデータをEEPROM72に書き込む(ステップS109)。一方、制御装置1000が、中押さえ高さのデータが変更されていないと判断した場合(ステップS108;No)、或いはステップS109におけるデータの書き込み後に、ステップS110に移行する。
制御装置1000が、中押さえ振幅補正量データが変更されていると判断すると(ステップS110;Yes)、制御装置1000は、変更された新たな中押さえ振幅補正量データをEEPROM72に書き込む(ステップS111)。一方、制御装置1000が、
中押さえ振幅補正量データが変更されていないと判断した場合(ステップS110;No)、或いはステップS111におけるデータの書き込み後に、ステップS112に移行する。
更に、制御装置1000は、中押さえモータ42を駆動し、中押さえを中押さえ原点センサ80cの検出位置まで移動させる原点検索を行う(ステップS121)。なお、中押さえの原点位置は、中押さえ上昇位置である。
更に、制御装置1000は、X軸モータ76a,Y軸モータ77aを駆動し、保持枠111をX軸原点センサ80a,Y軸原点センサ80bの検出位置まで移動させる原点検索を行った後、選択された縫製パターンデータの縫い始め位置まで保持枠111を移動させる(ステップS122)。
そして、制御装置1000は、布押さえモータ79aを駆動し、布押さえ(図示省略)を上昇させる(ステップS123)。
制御装置1000が、布押さえSW74bが押下された信号を検出しない場合(ステップS124;No)、ステップS124へ戻る。一方、制御装置1000が、布押さえSW74bが押下された信号を検出した場合(ステップS124;Yes)、布押さえモータ79aを駆動し、布押さえ(図示省略)を下降させる(ステップS125)。
また、制御装置1000は、布押さえSW74bが押下されたか否かを判断する(ステップS126)。
制御装置1000が、布押さえSW74bが押下された信号を検出した場合(ステップS126;Yes)、布押さえモータ79aを駆動し、布押さえ(図示省略)を上昇させて(ステップS127)、ステップS124へ戻る。一方、制御装置1000が、布押さえSW74bが押下された信号を検出しない場合(ステップS126;No)、ステップS128へ進む。
制御装置1000が、スタートSW74cが押下された信号を検出しない場合(ステップS128;No)、ステップS126へ戻る。一方、制御装置1000が、スタートSW74cが押下された信号を検出した場合(ステップS128;Yes)、縫製動作処理を行い(ステップS129)、その処理終了後にステップS130に移行する。
更に、制御装置1000は、布押さえモータ79aを駆動し、布押さえ(図示省略)を上昇させ(ステップS131)、ステップS124へ戻り、縫製動作が繰り返される。
次に、上記のフローチャートの縫製動作時に行われる主軸スピードの設定処理について図17を参照にして説明する。図17は、主軸スピード設定処理のフローチャートである。
先ず、制御装置1000は、現在の針落ち位置から3針目までの1針毎の搬送量を読み込んで、その各搬送量により3針分の第1主軸スピードを指定する。制御装置1000は、これら1〜3針目までの第1主軸スピードのそれぞれをSD1,SD2,SD3としてRAM71に記憶させる。また、制御装置1000は、3針内の縫製データに主軸スピードの設定値がある場合には、当該値をSD4としてRAM71に記憶させる(ステップS140)。
ステップS149では、制御装置1000は最終的にSD0に代入された値を主軸スピードとして変更し、主軸スピード設定処理を終了させる。
そして、自動的に最適な主軸スピードが設定されるのであれば、主軸スピードと中押さえ29の動作とを特に意識することもないので、プログラムパターンデータの作成を簡素化することができる。
また、中押さえ29の下死点位置の高さ調整を行う場合であってもミシン100を停止させる必要がないので縫製効率を高めることができる。
また、XY機構ではなく、一軸駆動や円弧駆動等のような駆動機構であってもよい。
また、上記実施形態では、主軸スピードを決定する際に、それぞれ3針分の第1主軸スピード及び第2主軸スピードを用いることで、急激な主軸スピードの変化を防止しているが、これは3針分に限られるものではなく、複数針分の第1主軸スピード、第2主軸スピードを用いるようにすれば急激な主軸スピードの変化を防止することができる。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
2 主軸
2a 主軸モータ(主軸駆動装置)
29 中押さえ
34 案内部材
39 調節軸
42 中押さえモータ(調節軸駆動装置)
70 ROM
71 RAM
72 EEPROM(記憶部)
73 CPU
76a X軸モータ(搬送装置)
77a Y軸モータ(搬送装置)
100 電子サイクルミシン(ミシン)
108 縫針
111 保持枠(搬送装置)
113 取付部材(搬送装置)
1000 制御装置
Claims (2)
- 縫針を縫製物から抜く際に縫製物を針板に向けて押さえつける中押さえと、
軸回りに回転することにより、前記中押さえを前記縫針の上下動方向に沿って上下動させる主軸と、
前記主軸を駆動させる主軸駆動装置と、
軸回りに回転することにより、前記中押さえが下死点に到達したときの針板からの高さを調節する調節軸と、
前記調節軸を駆動させる調節軸駆動装置と、
前記縫針の上下動方向に対して直交する方向に前記縫製物を搬送させる搬送装置と、
前記搬送装置による前記縫製物の搬送量、当該搬送量に基づいて設定された前記主軸駆動装置による第1主軸スピード、前記調節軸駆動装置による前記中押さえの下死点高さの変化量、当該下死点高さの変化量に基づいて設定された前記主軸駆動装置による第2主軸スピードを有する縫製データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された縫製データに基づいて前記主軸駆動装置、前記調節軸駆動装置及び前記搬送装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記縫製物の搬送量に基づいて設定された前記第1主軸スピードと、前記中押さえの下死点高さの変化量に基づいて設定された前記第2主軸スピードを比較し、前記第1主軸スピードと前記第2主軸スピードのうち、遅い方の主軸スピードで前記主軸を回転させるように前記主軸駆動装置を制御することを特徴とするミシン。 - 請求項1記載のミシンにおいて、
前記主軸駆動装置による第3主軸スピードが入力される操作装置を備え、
前記制御装置は、前記縫製物の搬送量に基づいて設定された前記第1主軸スピードと、前記中押さえの下死点高さの変化量に基づいて設定された前記第2主軸スピードと、前記操作装置により入力された第3主軸スピードとを比較し、前記第1主軸スピードと前記第2スピードと前記第3主軸スピードのうち、最も遅い主軸スピードで主軸を回転させるように前記主軸駆動装置を制御することを特徴とするミシン。
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