以下、本発明の実施形態を図面を参照し説明する。以下説明は図中に矢印で示す上下、左右、前後を使用する。図1、図2を参照しミシン1の構成を説明する。ミシン1はベッド部3、脚柱部4、アーム部5を備える。ベッド部3はテーブルのテーブル開口に装着する。ベッド部3は平面状であり、左右方向に延びる。脚柱部4はベッド部3右端から上方に延びる。アーム部5は脚柱部4上端から左方に延び、ベッド部3上面と対向する。ベッド部3は上面左方側に針板15を備える。針板15は左側部に針穴16を有する。針板15は針穴16左方、後方、右方、前方の夫々に送り歯穴26を備える。ベッド部3は内部に主モータ13(図4参照)、送り機構30、糸切り機構、回転釜を備える。主モータ13の駆動軸は下軸プーリ24に連結する。送り機構30の構成は後述する。回転釜は下糸を巻いたボビンを収容する。回転釜、糸切り機構の構成は周知なので説明を省略する。
ミシン1はテーブル下方に制御装置31(図4参照)を備える。制御装置31は踏み込み式のペダル22(図4参照)に接続する。ペダル22は、針板15上に配置した布62(図12参照)の縫製指示を行う。使用者はペダル22をつま先側又は踵側に操作する。制御装置31はペダル22の操作方向と操作量に応じてミシン1の動作を制御する。脚柱部4は前面に操作部10を備える。操作部10は表示部11、操作ボタン19を備える。作業者は表示部11を見ながら操作ボタン19を操作する。
脚柱部4は右側面にプーリカバー9を取り付ける。プーリカバー9は上下方向に延びる。プーリカバー9は前面下部に開口部6を備える。ミシン1の電源スイッチは開口部6内側に配置する。上軸はアーム部5内部を左右方向に延びる。上軸は右端部に上軸プーリを固定する。上軸は上軸プーリを介してプーリ14左端を固定する。上軸プーリはタイミングベルトを介して下軸プーリ24と連結する。タイミングベルトは脚柱部4内部に設け、環状の帯体である。
アーム部5は左端部に頭部12を備える。頭部12はアーム部5左端部から下方に延びる。頭部12下端は針板15と対向する。頭部12は内部に天秤機構を備える。天秤機構の構成は周知なので説明を省略する。頭部12は針棒7を上下動可能に支持する。上下動機構は、アーム部5左端部内部で上軸左端に連結する。針棒7はアーム部5左端部内部で上下動機構と連結する。針棒7は下端に縫針8を装着する。上軸が回転することで上下動機構は針棒7と縫針8を上下動する。上糸は縫針8下端に挿通する。縫針8は下降時に針穴16を通過する。主モータ13は上軸プーリを介して上軸を回転する。針棒7と縫針8は主モータ13の駆動で上下動する。回転釜は、針棒7と協働し、縫針8が保持する上糸にボビンケースから引出した下糸を絡める。天秤機構は、下糸に絡んだ上糸を針板15上に引き上げ、布62に縫目を形成する。
アーム部5左端部は押え棒18、付勢バネ、押え足駆動機構等を内部に備える。押え棒18はアーム部5内を上下方向に延び、その下端はアーム部5の頭部12下端から下方に突出する。押え棒18は下端に押え足17を装着する。押え足17は送り歯穴26に対向する。押え棒18は上下方向中央部に押え棒抱きを備える。押え棒18は押え棒抱き上側に付勢バネを備える。付勢バネは押え棒抱きを下方に付勢する。押え足駆動機構が押え棒抱きを上方向に移動すると、押え足17は上方向に移動する。押え足駆動機構が押え棒抱きを上方向に移動するのを止めると、付勢バネが押え棒抱きを下方に付勢し、押え足17は下降する。押え足17は針板15上の布62を下方に押圧する。
図2を参照し送り機構30を説明する。送り機構30は送り台33、上下送り機構35、送り歯34、水平送り機構25を備える。送り台33は針板15と略平行に針板15下方に配置する。送り歯34は送り台33上面の中心近傍に固定する。送り歯34は送り歯穴26の位置に対応する。送り歯34は前後方向に長く、その長さは送り歯穴26の長さよりも短い。送り歯34は押え足17との間で布62(図12参照)を挟む為の凹凸を上部に備える。
上下送り機構35は上下送り軸27、偏心部51、リンク部材39を備える。上下送り軸27はベッド部3に回動可能に支持し、上軸に対して平行に左右方向に延びる。上下送り軸27右端部は下軸プーリ24と連結する。上下送り軸27は主モータ13の駆動で回転する。故に上下送り軸27と上軸は互いに同期して回転する。偏心部51は上下送り軸27左端に設ける。偏心部51は上下送り軸27の軸心に対して偏心する。リンク部材39は送り台33後端に回転可能に設ける。リンク部材39は偏心部51を回転可能に保持する。上下送り軸27が回転することで、偏心部51はリンク部材39を介して送り台33を上下動する。ミシン1では針棒7と縫針8が上下に一往復する間に送り歯34と送り台33は上下に一往復する。即ちミシン1では縫針8の上下動と送り歯34の上下動は機械的に同期する。
水平送り機構25は、布送りモータ23、リンク機構部40、水平送り軸28、リンク部材50等を備える。布送りモータ23はベッド部3内部且つ送り台33右方に配置する。布送りモータ23はパルスモータであり、駆動軸36を所定角度の範囲で回動できる。布送りモータ23は送り台33を前後方向に移動する。
リンク機構部40は中間作用腕38、第一腕部41、第二腕部42を備える。第一腕部41一端は駆動軸36先端に取り付ける。第一腕部41は駆動軸36と直交する。第一腕部41他端は第二腕部42一端に回動可能に連結する。第二腕部42他端は中間作用腕38後端に回動可能に連結する。中間作用腕38前端は水平送り軸28右端側に固定する。水平送り軸28は左右方向に延び、布送りモータ23左上方でベッド部3に回動可能に支持する。駆動軸36が往復回動すると第一腕部41と第二腕部42の連結部は前後方向に移動する。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に上下方向に揺動する。
水平送り軸28は中間作用腕38の揺動に伴って所定角度の範囲内で回動する。リンク部材50下端は水平送り軸28左端に直交して固定する。リンク部材50上端は送り台33前端に回動可能に連結する。水平送り軸28が所定角度の範囲内で回動すると、送り台33はリンク部材50を介して前後方向に往復移動する。送り台33が上昇すると、送り歯34は送り歯穴26から針板15上方に突出し押え足17との間に布62を挟む。送り歯34が針板15上方に位置する間、縫針8は布62に刺さらない。ミシン1は縫製の実行中、主モータ13の駆動軸と布送りモータ23の駆動軸36の回転角位相を監視し、主モータ13と布送りモータ23を同期をとりながら駆動する。送り歯34の上端が針板15上方に位置する間に布送りモータ23が駆動すると、布62は前後方向に移動する。送り台33が下降すると、送り歯34の上端は針板15の下方に位置する。故に送り歯34が前後方向に移動しても布62は移動しない。縫針8は送り歯34が針板15下方に位置する間に布62に縫い目を形成する。
ミシン1は、送り条件を変更可能である。送り条件は、布送りモータ23の駆動モード、送り歯34の前後方向における揺動中心、送り歯34の動作軌跡、送りピッチを含む。送りピッチは、送り歯穴26から突出する送り歯34の前後方向の変位量であり、縫針8が上下方向に一往復する間に布62が前後方向に移動する移動量である。
ミシン1は布送りモータ23の駆動軸36の回動範囲を変更することで、布送りモータ23の駆動モードを、第一駆動モード又は第二駆動モードに設定できる。ミシン1が第一駆動モードに設定すると、布送りモータ23は特定回動位置を中間位置として駆動軸36を往復回動する。特定回動位置は、第一腕部41と第二腕部42の連結部、第二腕部42と中間作用腕38の連結部、駆動軸36の中心位置が同一直線上となる時の、駆動軸36の回動位置である。図2では特定回動位置にある駆動軸36を図示する。駆動軸36が特定回動位置にある時、送り歯34は可動範囲前端にある。送り歯34の可動範囲は、駆動軸36の最大回動範囲における送り歯34の揺動範囲である。可動範囲前端にある送り歯34は、送り歯穴26前端に位置する。第一駆動モードでは、駆動軸36が回動範囲の一端又は他端に位置する時、送り歯34は揺動範囲後端にある。送り歯34の揺動範囲は、送り歯34の可動範囲内の領域であり、送り条件に依り変化する。第一駆動モードでは、布送りモータ23が駆動軸36を一往復回動すると、送り歯34は前後方向に二往復揺動する。布送りモータ23は、主モータ13の駆動軸が二回転する間に、駆動軸36を一往復回動する。
ミシン1が第二駆動モードに設定すると、布送りモータ23は変則回動位置(図13参照)を中間位置として、特定回動位置よりも左側面視反時計回り側で駆動軸36を往復回動する。変則回動位置は、特定回動位置よりも左側面視反時計回り側に変位した位置である。駆動軸36が変則回動位置にある時、送り歯34は揺動範囲の前後方向中心にある。第二駆動モードでは、駆動軸36の回動範囲の一端と他端の間において特定回動位置を含まない。即ち第二駆動モードでは、駆動軸36が回動範囲の一端に位置する時に送り歯34は揺動範囲前端に位置し、駆動軸36が回動範囲の他端に位置する時に送り歯34は揺動範囲後端に位置する。第二駆動モードでは、布送りモータ23が駆動軸36を一往復回動すると、送り歯34は前後方向に一往復する。布送りモータ23は、主モータ13の駆動軸が一回転する間に、駆動軸36を一往復回動する。以下、送り歯34の揺動範囲の前後中心を、送り歯34の揺動中心と称す。
ミシン1は、主モータ13の駆動軸に対する布送りモータ23の駆動軸36の回転角位相を調整することで、変則回動位置を調整できる。故にミシン1は、送り歯34の揺動中心を前後方向に調整できる。
ミシン1は駆動軸36の回動幅を調整することで、送り歯34の前後方向の移動量を調整し、送りピッチを変更できる。第一駆動モードでは、送り歯34の揺動範囲前端は、送り歯34の可動範囲前端と一致し、不変である。故に第一駆動モードでの送りピッチの変更は、送り歯34の揺動範囲後端の変更である。第二駆動モードでの送りピッチの変更は、送り歯34の揺動範囲の前端と後端の変更である。第二駆動モードでは、送り歯34の可動範囲の前端と後端が、互いに近接する方向又は互いに離間する方向に変位することで、ミシン1は送りピッチを変更する。
図3を参照し、送り歯穴26から出没する送り歯34が描く軌跡である動作軌跡101、401を説明する。図3では針板15上面のみを二点鎖線で図示する。布送りモータ23は、主モータ13の駆動軸の回転に対する、駆動軸36の往復回動の開始時機と終了時機を変更可能である。即ちミシン1は、送り歯34の上下動に対する、送り歯34の搬送動作開始時機と搬送動作終了時機を変更できる。搬送動作開始時機は送り歯34の搬送方向への動作の開始時機である。搬送動作終了時機は送り歯34の搬送方向への動作の終了時機である。本実施形態では、搬送方向は前方から後方に向かう方向である。搬送方向は水平方向と平行である。故にミシン1は、往復揺動する送り歯34が描く軌跡を動作軌跡101、401に変更できる。作業者はミシン1が縫製する布62の厚さに応じて、動作軌跡101、401の何れかを選択する。動作軌跡101は、ミシン1が通常の厚さの布62を縫製する時に選択対象となる軌跡である。動作軌跡401は、ミシン1が通常よりも厚い布62を縫製する時に選択対象となる軌跡である。
動作軌跡101を説明する。位置101A〜101Dは夫々動作軌跡101上の特定の点を示す。位置101A、101Cは送り歯34上端が針板15と同じ高さの位置である。位置101Aは位置101C後方にある。位置101B、101Dは夫々、搬送方向略中央で送り歯34上端が針板15の上側と下側になる位置である。送り歯34が位置101Aから位置101Bを経由して位置101Cへ変位する時、主モータ13と布送りモータ23は同期して駆動する。送り歯34上端は針板15の下側を前方に向かって移動する(図3の矢印103)。送り歯34上端は針板15の下側に位置するので、送り歯34は布62を搬送しない。送り歯34が位置101Cから位置101Dを経由して位置101Aに変位する時、主モータ13と布送りモータ23は同期して駆動する。送り歯34上端は、針板15の上側を後方に向かって移動する(図3の矢印104)。送り歯34上端は針板15の上側に位置するので、送り歯34は布62を後方に搬送する。
動作軌跡101では、送り歯34が布62を搬送する動作の開始時機は、送り歯34上端が位置101Cの時である。送り歯34が布62を搬送する動作の終了時機は、送り歯34上端が位置101Aの時である。即ち送り歯34上端が針板15と同じ高さにある時機は、送り歯34の搬送動作開始時機又は搬送動作終了時機である。
動作軌跡401を説明する。位置401A〜401Fは夫々動作軌跡401上の特定の点を示す。位置401A、401Dは送り歯34上端が針板15と同じ高さの位置である。位置401Aは位置401D後方にある。位置401Bは位置401A下方にあり、位置401Fは位置401A上方にある。位置401A、401B、401Fは上下方向に沿って略直線状に並ぶ。位置401Cは位置401D下方にあり、位置401Eは位置401Dの上方にある。位置401C、401D、401Eは上下方向に沿って略直線状に並ぶ。送り歯34上端が位置401Aから位置401Bに変位する時、主モータ13は駆動し、布送りモータ23は駆動しない。送り歯34上端は針板15の下側に下降する。送り歯34上端が位置401Bから位置401Cに変位する時、主モータ13と布送りモータ23は同期して駆動する。送り歯34は布62と接触せず針板15の下側を前方に向かって移動する(図3の矢印403)。送り歯34が位置401Cから位置401Dを経由して位置401Eに変位する時、主モータ13は駆動し、布送りモータ23は駆動しない。送り歯34上端は針板15の下側から上側に上昇する。送り歯34は布62を後方へ搬送しない。送り歯34上端が位置401Eから位置401Fに変位する時、主モータ13と布送りモータ23は同期して駆動する。送り歯34は後方へ移動し(図6の矢印404)、布62を後方へ搬送する。送り歯34上端が位置401Fから位置401Aに変位する時、主モータ13は駆動し、布送りモータ23は駆動しない。送り歯34は針板15と同じ高さに下降する。
動作軌跡401では、送り歯34が布62を搬送する動作の開始時機は、送り歯34上端が位置401Eの時である。即ち送り歯34が布62を搬送する動作の開始時機は、送り歯34が送り歯穴26から上方に突出した後である。故に動作軌跡401では、送り歯34が送り歯穴26から突出する時機に対する送り歯34の搬送動作開始時機は、動作軌跡101に比べて遅い。動作軌跡401では、送り歯34が布62を搬送する動作の終了時機は、送り歯34上端が位置401Fの時である。即ち送り歯34が布62を搬送する動作の終了時機は、送り歯34上端が針板15の上方から下方に下降する前である。故に動作軌跡401では、送り歯34上端が針板15の上方から下方に下降する時機に対する送り歯34の搬送動作終了時機は、動作軌跡101に比べて早い。
図4を参照しミシン1の電気的構成を説明する。ミシン1の制御装置31はCPU44を備える。CPU44はミシン1の動作を制御し、ROM45、RAM46、記憶装置49、I/Oインターフェース(以下、I/Oという)48と接続する。ROM45は後述の駆動モード設定処理(図6参照)、送り歯移動処理(図7参照)、縫製処理(図11参照)等、各種処理を実行する為のプログラム等を記憶する。RAM46はプログラムを実行する為に必要な各種値を一時的に記憶する。記憶装置49は不揮発性記憶装置であり、後述の布送りデータ等を記憶する。
I/O48はペダル22、操作ボタン19に接続する。CPU44はペダル22の操作方向と操作量を取得する。CPU44は、作業者が操作ボタン19の操作で入力した指示を取得する。I/O48は駆動回路52〜54、66に接続する。駆動回路52は表示部11を駆動する。CPU44は駆動回路52を制御して表示部11に各種情報を表示する。CPU44は駆動回路53にトルク信号を入力する。駆動回路53はトルク指令信号に応じて主モータ13を駆動する。ミシン1は主エンコーダ57を備える。主エンコーダ57は主モータ13の駆動軸の回転角位相と回転速度を検出し、検出結果をI/O48を介してCPU44に出力する。CPU44は駆動回路54に布送り駆動信号を入力する。駆動回路54は布送り駆動信号に応じて布送りモータ23を駆動する。布送りモータ23はパルスモータである。布送り駆動信号はパルス信号である。ミシン1は布送りエンコーダ58を備える。布送りエンコーダ58は布送りモータ23の駆動軸36の回転角位相と回転速度を検出し、検出結果をI/O48を介してCPU44に出力する。
駆動回路66は押え上げソレノイド67を駆動する。押え上げソレノイド67は押え足駆動機構と接続する。CPU44は押え上げソレノイド67のプランジャを制御し、押え足駆動機構を駆動して押え棒抱きと押え足17を上下方向に移動する。
図5を参照し、記憶装置49が記憶する布送りデータを説明する。記憶装置49は、動作軌跡101、401の夫々に対応して、布送りデータを記憶する。布送りデータは、送り歯34の送り条件に応じて布送り軸角を取得する為の基準となるデータである。以下、動作軌跡101に対応する布送りデータである第一布送りデータ501を説明する。第一布送りデータ501は上軸角と布送り軸角を対応付ける。上軸角は主モータ13の駆動軸の回転角位相である。布送り軸角は布送りモータ23の駆動軸36の回転角位相である。図5では、布送り軸角をθ0、θ1、θ2、・・・、θ359、θ360と示す。実際の布送り軸角は20°〜50°等の所定角度の範囲内の角度である。布送り軸角は、送り歯34が動作軌跡101を描く時の送り条件によって変化する。後述の如く、ミシン1は、送り歯34の送り条件に応じて、布送り軸角を第一布送りデータ501に基づいて算出し取得する。
記憶装置49は、動作軌跡401に対応する第二布送りデータを記憶する。第二布送りデータは、第一布送りデータ501と同様のデータ構成であるので、詳細な説明は省略する。
図6を参照し駆動モード設定処理を説明する。駆動モード設定処理では、ミシン1は、布送りモータ23の駆動モードを、第一駆動モード又は第二駆動モードに設定する。作業者が操作ボタン19を操作しながら電源スイッチを操作し、ミシン1の電源をオンすると、CPU44はROM45から駆動モード設定処理を実行するプログラムを読出し、処理を開始する。
CPU44は、第二駆動モードの選択があったか否か判断する(S1)。作業者は、操作ボタン19を操作して第一駆動モード又は第二駆動モードを選択する指示を入力する。作業者が第一駆動モードを選択する指示を入力すると、CPU44は第二駆動モードの選択がなかったと判断し(S1:NO)、記憶装置49に「Flag=0」を記憶する。CPU44は駆動モード設定処理を終了する。CPU44はミシン1の電源をオフする。
作業者が第二駆動モードを選択する指示を入力すると、CPU44は第二駆動モードの選択があったと判断し(S1:YES)、記憶装置49に「Flag=1」を記憶する。CPU44は駆動モード設定処理を終了する。
図7〜図10を参照し、送り歯移動処理を説明する。送り歯移動処理では、作業者が設定する送り条件に応じて、ミシン1は送り歯34を初期送り位置に移動する。初期送り位置は、送り歯34の揺動動作の開始位置であり、作業者が設定する送り条件によって変化する。送り歯34が初期送り位置にある時、布送りモータ23の駆動軸36は初期布送り軸角(本発明の初期回動位置に相当)にある。作業者が電源スイッチを操作しミシン1の電源をオンすると、CPU44はROM45から送り歯移動処理を実行するプログラムを読出し、処理を開始する。
図7に示す如く、CPU44は、駆動軸36を特定回動位置に回動する(S11)。CPU44は、布送りエンコーダ58の出力結果を監視しながら布送りモータ23を駆動制御し、駆動軸36を特定回動位置に回動する。送り歯34は可動範囲前端に移動する。
CPU44は、送り歯34の動作軌跡「K」を取得する(S11)。例えば図8に示す如く、CPU44は表示部11に、動作軌跡101、401を表示する。作業者は、表示部11を見ながら操作ボタン19を操作し、所望の動作軌跡を選択する指示を入力する。CPU44は作業者が選択した動作軌跡「K」を取得する(S11)。
図7に示す如く、CPU44は、送りピッチ「P」を取得する(S13)。例えば図9に示す如く、CPU44は表示部11に、送りピッチを表示する。作業者は、表示部11を見ながら操作ボタン19を操作し、所望の送りピッチを入力し、送りピッチの設定の確定指示を入力する。CPU44は作業者が設定した送りピッチ「P」を取得する(S13)。図7に示す如く、CPU44は、主エンコーダ57の出力結果を取得することで、上軸角「Pos1」を取得する(S14)。
CPU44は、記憶装置49を参照し、「Flag=1」であるか否か判断する(S15)。作業者が駆動モード設定処理で第一駆動モードを設定した時、CPU44は、「Flag=1」でないと判断し(S15:NO)、送り歯34の揺動中心「C」を「c1」に決定する(S16)。第一駆動モードでは、送り歯34の揺動範囲前端は、送り歯34の可動範囲前端と一致し、不変である。即ち、「c1」は、送り歯34の揺動中心「C」を、送り歯34の可動範囲前端を基準として、送りピッチ「P」の半分の移動量分後方に変位した位置である。
CPU44は、動作軌跡「K」、送りピッチ「P」、上軸角「Pos1」、送り歯34の揺動中心「C」に基づき、初期送り位置を取得する(S17)。CPU44は、動作軌跡「K」に対応する布送りデータを、記憶装置49を参照し取得する。CPU44は、ROM45が記憶する所定の算出式に、動作軌跡「K」に対応する布送りデータの布送り軸角、送りピッチ「P」、送り歯34の揺動中心「C」を代入する。故にCPU44は、作業者が設定した送り条件(動作軌跡「K」、送りピッチ「P」、上軸角「Pos1」、送り歯34の揺動中心「C」)に対応する布送りデータである特定布送りデータを取得する。CPU44は、特定布送りデータの布送り軸角のうち、上軸角「Pos1」に対応する布送り軸角である初期布送り軸角を取得する。CPU44は初期布送り軸角を取得することで、送り歯34の初期送り位置を取得する(S17)。
CPU44は、送り歯34を初期送り位置に移動する(S18)。CPU44は、布送りエンコーダ58の出力結果を監視しながら布送りモータ23を駆動し、駆動軸36を初期布送り軸角に回動する。送り歯34は初期送り位置に移動する(S18)。即ち、送り歯34は、作業者が設定した送り条件に対応する動作軌跡上に移動する。CPU44は送り歯移動処理を終了する。CPU44はミシン1の電源をON状態に維持する。
一方、作業者が駆動モード設定処理で第二駆動モードを設定すると、CPU44は「Flag=1」であると判断する(S15:YES)。CPU44は、送り歯34の揺動中心を変更する指示があったか否か判断する(S19)。作業者は操作ボタン19を操作し、送り歯34の揺動中心の位置を変更するか否かの選択を入力する。
作業者が送り歯34の揺動中心を変更しない選択を入力すると、CPU44は、送り歯34の揺動中心を変更しない指示があったと判断し(S19:NO)、送り歯34の揺動中心「C」を「c2」に決定する(S20)。送り歯34が「c2」に位置する時、送り歯34の前後中心と、送り歯穴26の前後中心は一致する。CPU44はS17、S18を実行する。
作業者が送り歯34の揺動中心を変更する選択を入力すると、CPU44は、送り歯34の揺動中心を変更する指示があったと判断する(S19:YES)。CPU44は、送り歯34の揺動中心を取得する(S21)。例えば図10に示す如く、CPU44は、作業者が入力する送り歯34の揺動中心の位置を表示する。本例では、表示部11は、送り歯穴26の前後中心を基準とした前後位置を表示する。作業者は、表示部11を見ながら送り歯34の所望の揺動中心を入力し、揺動中心の設定の確定指示を入力する。作業者が正の値を入力した場合、送り歯34の揺動中心は前方に変更する。作業者が負の値を入力した場合、送り歯34の揺動中心は後方に変更する。CPU44は作業者が設定した送り歯34の揺動中心を取得する(S21)。図7に示す如く、CPU44は、送り歯34の揺動中心「C」を、S21で取得した揺動中心である「c3」に決定する(S22)。CPU44はS17、S18を実行する。
図11〜図15を参照し、縫製処理を説明する。縫製処理では、作業者が送り歯移動処理で設定した送り条件で、ミシン1は布62を搬送して縫製する。CPU44は、送り歯移動処理の実行後、縫製処理を実行する。
CPU44はペダル22の操作があるか否か判断する(S31)。作業者がペダル22を踏み込まない時、CPU44はペダル22の操作がないと判断し(S31:NO)、待機状態となる。作業者がペダル22を踏み込むと、CPU44はペダル22の操作があると判断し(S31:YES)、主モータ13を駆動制御する(S32)。CPU44は、主エンコーダ57の出力結果を取得することで、上軸角「Pos2」を取得する(S33)。
CPU44は、S12で取得した動作軌跡「K」、S13で取得した送りピッチ「P」、S33で取得した上軸角「Pos2」、S16、S20、S22の何れかで取得した送り歯34の揺動中心「C」に基づき、布送り軸角を取得する(S34)。例えばCPU44は、S17で取得した特定布送りデータを参照し、上軸角「Pos2」に対応する布送り軸角を取得する(S34)。CPU44は、布送りエンコーダ58の出力結果を監視し、駆動軸36をS34で取得した布送り軸角となる回動位置まで回動する(S35)。CPU44は、処理をS31に戻す。
ペダル22の操作がある間(S31:YES)、CPU44は、S32〜S35を実行し、主モータ13と布送りモータ23を同期駆動する。即ちCPU44は、上下送り機構35による送り歯34の上下動に応じて、布送りモータ23を駆動制御する。送り歯34は作業者が設定した送り条件で往復揺動する。
例えば作業者は、第一駆動モードを選択し(S1:NO)、動作軌跡401を選択し(S12)、送りピッチ3mmを設定する(S13)。CPU44は、送り歯穴26の前端から1.5mm(3mmの半分に相当)後方にある位置を、送り歯34の揺動中心「c1」に決定する(S16)。CPU44は、作業者が設定した送り条件に対応する動作軌跡401上に、送り歯34を移動する(S17、S18)。CPU44は、主モータ13の駆動に同期して、布送りモータ23の駆動軸36を特定回動位置を中間位置として往復回動する(S31〜S35)。図12に示す如く、送り歯34は、送り歯穴26の前端を通過し、送りピッチが3mmとなり、且つ動作軌跡401を描くように往復揺動する(S31〜S35)。送り歯穴26から突出する送り歯34は布62を後方に搬送する。図12では、送りピッチ3mmで送り歯34が描く動作軌跡401を、実線で図示する。図12では、二つの揺動中心「c1」のうち左側にある方が、送り歯34が実線で示す動作軌跡401を描く時の揺動中心である。作業者がミシン1の電源をオフすると、CPU44は縫製処理を終了する。
動作軌跡401では、送り歯34が送り歯穴26から突出する時機に対する送り歯34の搬送動作開始時機は、動作軌跡101に比べて遅い。送り歯34が針板15の下方から位置401E(図3参照)に上昇する間、天秤機構は上糸を引き上げる。天秤機構が上糸を十分に引き上げた後、送り歯34は布62を後方へ搬送する。故にミシン1は布62に対する糸締りを良好にできる。
送り歯34が後方への移動を開始する時機は、針板15よりも上方にある位置401Eに送り歯34が上昇した後である。位置401Eに上昇した送り歯34は、押え足17との間で布62を強固に挟んだ後、位置401Fに向けて移動し布62を搬送する。送り歯34は布62に対して滑らない。故にミシン1は布62を確実に搬送できる。
動作軌跡401では、送り歯34上端が針板15の上方から下方に下降する時機に対する送り歯34の搬送動作終了時機は、動作軌跡101に比べて早い。故に布62の移動が終了する前に、縫針8は布62に刺さらない。ミシン1は縫針8の曲がり、折れを抑制できる。故にミシン1は縫製品質の悪化を防止できる。
作業者は、第一駆動モードで動作軌跡401を描く送り歯34の送りピッチを変更する時、ミシン1の電源をオフし、再度電源をオンにする。CPU44は送り歯移動処理を開始する。作業者は、送り歯移動処理で、動作軌跡401を選択し(S12)、送りピッチ2mmを設定する(S13)。作業者が、送りピッチ3mmに代えて2mmを設定することで、CPU44は送りピッチの変更内容を取得する(S13)。
CPU44は、送り歯34が送り歯穴26の前端を通過し、送りピッチ2mmで動作軌跡401を描くように、主モータ13と布送りモータ23を同期駆動する(S31〜S35)。送りピッチが3mmから2mmに変わるので、送り歯穴26から突出する時の送り歯34の揺動範囲後端は前方に1mm変位する。図12では、送りピッチ2mmで送り歯34が描く動作軌跡401を、二点鎖線で図示する。
送り歯34が第二駆動モードで揺動する場合を説明する。例えば作業者が第二駆動モードを選択し(S1:YES)、動作軌跡101を選択し(S12)、送りピッチ3mmを設定し(S13)、送り歯34の揺動中心を変更しない選択を入力する(S19:NO)。CPU44は、送り歯穴26の前後中心を、送り歯34の揺動中心に決定する(S20)。CPU44は、作業者が設定した送り条件に対応する動作軌跡101上に、送り歯34を移動する(S17、S18)。
図11、図13、図14に示す如く、CPU44は、主モータ13の駆動に同期して、布送りモータ23の駆動軸36を、変則回動位置を中間位置として角度θで往復回動する(S31〜S35)。送り歯34は、揺動中心「c2」を中間位置として送りピッチ3mmで動作軌跡101を描くように、往復揺動する(S31〜S35)。送り歯穴26から突出する送り歯34は布62を後方に搬送する。尚、図14では、送りピッチ3mmで送り歯34が描く動作軌跡101を実線で図示する。
作業者は、第二駆動モードで動作軌跡101を描く送り歯34の送りピッチを変更する時、ミシン1の電源をオフし、再度電源をオンにする。作業者は、送り歯移動処理で、動作軌跡101を選択し(S12)、送りピッチ2mmを設定し(S13)、送り歯34の揺動中心を変更しない選択を入力する(S19:NO)。作業者が、送りピッチとして3mmに代えて2mmを設定することで、CPU44は送りピッチの変更内容を取得する(S13)。
CPU44は、変則回動位置を中間位置として駆動軸36を角度θで往復回動する(S31〜S35)。駆動軸36の変則回動位置は送りピッチ3mmの時と同じであり、駆動軸36の回動幅に相当する角度θ(図13参照)は送りピッチ3mmの時よりも小さくなる。送り歯34は、揺動中心「c2」を中間位置として送りピッチ2mmで動作軌跡101を描くように、往復揺動する(S31〜S35)。送りピッチが3mmである時と比べ、送り歯穴26から突出する時の送り歯34の揺動範囲前端は後方に0.5mm変位し、揺動範囲後端は前方に0.5mm変位する。尚、図14では、送りピッチ2mmで送り歯34が描く動作軌跡101を二点鎖線で図示する。図14では、送り歯34が二点鎖線で示す動作軌跡101を描く時の揺動中心は、送り歯34が実線で示す動作軌跡101を描く時の揺動中心と同じ「c2」である。
図7、図13、図15を参照し、送り歯34が送り歯穴26の後側で、動作軌跡101を描く場合を説明する。例えば作業者が第二駆動モードを選択し(S1:YES)、動作軌跡101を選択し(S12)、送りピッチ3mmを設定し(S13)、送り歯34の揺動中心を変更する選択を入力する(S19:YES)。作業者は、送り歯34の揺動中心「c3」を、送り歯穴26の前後中心から後方に2mm変位した位置に設定する(S21、S22)。CPU44は、作業者が設定した送り条件に対応する動作軌跡101上に、送り歯34を移動する(S17、S18)。尚、図15では、送り歯34が揺動中心「c3」を中心に描く動作軌跡101を実線で図示し、送り歯34が揺動中心「c2」を中心に描く動作軌跡101を二点鎖線で図示する。
CPU44は、変則回動位置を中間位置として駆動軸36を角度θで往復回動する(S31〜S35)。本例では変則回動位置は、送り歯34の揺動中心が「c2」である時と比べて、左側面視反時計回り側に変位する。送り歯34は、揺動中心「c3」を中間位置として送りピッチ3mmで動作軌跡101を描くように、往復揺動する(S31〜S33)。例えば、布62のうち他の部位よりも厚い部位(以下、厚布部と称す)が押え足17の下方に進入する時、送り歯穴26の後側にある送り歯34は、布62のうち厚布部よりも後部を押え足17との間で挟む。故に厚布部が押え足17の下方に進入する時でも、押え足17は上昇しにくい。押え足17と布62の間に隙間が生じにくいので、送り歯34は布62に対して滑りにくい。故にミシン1は押え足17と送り歯34の間に厚布部を受け入れる時でも、布62を確実に搬送できる。
以上の如く、CPU44が、主モータ13と布送りモータ23を駆動制御することで、送り歯34は往復揺動する。作業者の操作ボタン19を介した選択に応じて、CPU44は、布送りモータ23の駆動モードを第一駆動モード又は第二駆動モードに切替える(S1〜S3)。布送りモータ23の駆動モードが切替わると駆動軸36の回動範囲が変わるので、送り歯34の揺動範囲は変わる。布送りモータ23が第二駆動モードで駆動する時、駆動軸36は、特定回動位置を通過せず、変則回動位置を中間位置として往復回動する。駆動軸36が特定回動位置の時、送り歯34は可動範囲前端にあり、送り歯穴26前端に位置する。故に駆動軸36が特定回動位置を通過しない時、揺動する送り歯34は、送り歯穴26前端よりも後方で往復揺動する。故に往復揺動する送り歯34と送り歯穴26の間にある隙間は大きくなりにくい。故にミシン1は、送り歯34の揺動範囲を変更する時でも、送り歯穴26に布62を進入しにくくできる。
作業者は、送り歯34の揺動範囲を変更する時、駆動軸36をリンク機構部40から一旦取り外し、上軸角と布送り軸角の位相関係を変更する必要がない。故にミシン1は送り歯34の揺動範囲を容易に変更できる。また、作業者が駆動軸36をリンク機構部40から取り外すことがないので、ミシン1は上軸角と布送り軸角の位相関係がずれない。故にミシン1は、送り歯34の揺動範囲を変更しても、送り歯34と針板15の接触を抑制できる。
作業者が第二駆動モードでの送り歯34の揺動中心を変更しない選択を入力した時(S19:NO)、CPU44は送り歯34の揺動中心「C」を「c2」に決定する(S20)。送り歯34が「c2」に位置する時、送り歯34の前後中心と、送り歯穴26の前後中心は一致する。送り歯34が、「c2」を揺動中心として往復揺動する時、送り歯34と送り歯穴26の間に生じる隙間は、大きくなりにくい。故にミシン1は、送り歯34で送る布62の送り歯穴26への進入を抑制できる。
作業者は、駆動軸36の回動範囲の変則回動位置を変更することで、第二駆動モードでの送り歯34の揺動中心を前後に変更可能である(S19〜S22)。布送りモータ23が第二駆動モードで駆動する時、送り歯34の揺動は多様化する。故にミシン1は、布62の厚さ、種類、縫製工程に応じた布送りを実行し易い。
CPU44は、縫製処理を実行する前に、駆動軸36を初期布送り軸角に回動し、送り歯34を初期送り位置に移動する(S18)。初期送り位置にある送り歯34は、作業者が設定する送り条件に対応する動作軌跡上にある。CPU44は、駆動軸36が初期布送り軸角にある状態から、主モータ13と布送りモータ23を駆動制御する。故にミシン1は布送りモータ23の駆動モードを切替える時でも、縫製対象物がずれることなく、正確に縫製を開始できる。
作業者が動作軌跡101、401の何れかを選択すると、CPU44は、作業者が選択した動作軌跡「K」を取得する(S12)。送り歯34が動作軌跡401を描く時、動作軌跡101を描く時と比べて、送り歯34の上下動に対する送り歯34の搬送動作開始時機は遅く、送り歯34の上下動に対する送り歯34の搬送動作終了時機は早い。送り歯34が動作軌跡401を描く時、ミシン1は、布62に対する糸締りを良好にし、送り歯34の布62に対する滑りを抑制し、縫針8の曲り、折れ等を抑制できる。故に、ミシン1は、送り歯34の動作軌跡を動作軌跡101、401の何れかに切替えることで、布62の厚さに応じた布送り動作を実行し易い。
作業者は、操作ボタン19を操作し、動作軌跡101、401の何れかを選択して入力可能である。ミシン1は、予め定めていない動作軌跡のパターンを受付けない。故にミシン1は、送り歯34の動作軌跡を変更する利便性を向上できる。
CPU44は、作業者の操作ボタン19の操作に応じて、送り歯34の送りピッチを変更可能である(S13、S31〜S35)。故にミシン1は、布62に形成する縫い目の長さを調整できる。
以上説明にて、駆動軸36は本発明の出力軸の一例である。中間作用腕38は本発明の第三腕部の一例である。リンク部材50は本発明の第一接続部材の一例である。リンク部材39は本発明の第二接続部材の一例である。上下送り機構35は本発明の上下動作機構の一例である。送り歯穴26は本発明の開口部の一例である。操作ボタン19は本発明の入力手段の一例である。
S31〜S35を実行するCPU44は本発明の制御手段の一例である。S1〜S3を実行するCPU44は本発明の切替手段の一例である。S16、S20、S22を実行するCPU44は本発明の設定手段の一例である。S18を実行するCPU44は本発明の位置制御手段の一例である。S12を実行するCPU44は本発明の時機取得手段の一例である。S13を実行するCPU44は本発明の送りピッチ取得手段の一例である。S1〜S3の処理は本発明の切替工程の一例である。
本発明は上記実施形態に限定しない。第二駆動モードの駆動軸36の変則回動位置は、特定回動位置よりも左側面視時計回り側であってもよい。第二駆動モードの駆動軸36の回動範囲は、特定回動位置よりも左側面視時計回り側となる。
送り歯34の揺動中心は設定可能でなくてもよい。例えばミシン1は、作業者が設定する布送りモータ23の駆動モードに応じて、送り歯34の揺動中心「C」を自動的に決定してもよい。
ミシン1は、動作軌跡101、401以外の動作軌跡を受付けてもよい。例えばミシン1は、前側部の形状が動作軌跡101と一致し、且つ後側部の形状が動作軌跡401と一致する動作軌跡を受付け可能であってもよい。該軌跡では、送り歯34の上下動に対する送り歯34の搬送動作開始時機は、動作軌跡101と同じである一方、送り歯34の上下動に対する送り歯34の搬送動作終了時機は、動作軌跡101と比べて早い。例えばミシン1は、前側部の形状が動作軌跡401と一致し、且つ後側部の形状が動作軌跡101と一致する動作軌跡を受付け可能であってもよい。該軌跡では、送り歯34の上下動に対する送り歯34の搬送動作開始時機は、動作軌跡101と比べて遅い一方、送り歯34の上下動に対する送り歯34の搬送動作終了時機は、動作軌跡101と同じである。
ミシン1は、送り歯34の動作軌跡の選択を受付け可能でなくてもよい。例えばミシン1は、作業者が設定する布送りモータ23の駆動モードに応じて、自動的に送り歯34の動作軌跡を決定してもよい。