JP2013179980A - ミシン - Google Patents

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Masafumi Kato
雅史 加藤
Toru Takemura
徹 竹村
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Abstract

【課題】縫製作業の効率を向上させることができるミシンを提供する。
【解決手段】ミシンはメインモータと布送りモータとを備える。メインモータは縫針を上下動する。メインモータは送り歯を上下方向に移動する。布送りモータは送り歯を前後方向に移動する。ミシンのCPUは布の布厚を取得する。CPUは布の布厚が閾値以下の場合、メインモータ及び布送りモータを駆動制御し、送り歯を薄物用軌跡802で駆動する。CPUは布の布厚が閾値より大きい場合、メインモータ及び布送りモータを駆動制御し、送り歯を厚物用軌跡902で駆動する。厚物用軌跡902は、薄物用軌跡802に比べて、送り歯の布を搬送する動作の開始タイミングが遅い。厚物用軌跡902は、薄物用軌跡802に比べて、送り歯の布を搬送する動作の終了タイミングが遅い。
【選択図】図13

Description

本発明は、送り歯の運動軌跡を変更可能なミシンに関する。
従来、布の厚さ、素材等に合わせて、送り歯の運動軌跡を変更可能なミシンがある。従来のミシンでは、作業者が、送り歯の駆動機構を調整する機構を設けることで、送り歯の運動軌跡を変更している。例えば、特許文献1に記載のミシンは、送り歯の駆動機構を調整する機構として、水平送り軸に対する調節体の偏心カムを備える。運動軌跡の変更は、作業者が手作業で偏心カムの位相を調節することで行う。作業者は、ドライバー等の工具を使用することなく偏心カムの位相の調節を行うことができる。
特開2000−42270号公報
しかしながら、特許文献1のミシンでは、送り歯の駆動機構を調整する機構である偏心カムを作業者が手作業で調整する必要がある。この為、送り歯の運動軌跡を変更する手間がかかると共に布の厚さ、素材の種類が変化する度に送り歯の運動軌跡を変更する必要があり、縫製作業を効率的に行えないという問題点があった。
本発明の目的は、縫製作業の効率を向上させることができるミシンを提供することである。
本発明に係るミシンは、布を水平方向に送る送り歯を支持する送り台と、前記送り台に上下方向の動作を付与する上下動作手段と、前記送り台に前記布を搬送する方向である搬送方向の動作を付与する動力機構とを備えるミシンにおいて、前記動力機構を動作させるモータと、前記モータを駆動制御して、前記上下動作手段による前記送り歯の上下方向の動作に応じて前記送り歯を前記搬送方向に動作させるモータ制御手段であって、前記送り歯の上下方向の動作に対する前記送り歯の前記搬送方向への動作の開始タイミング又は終了タイミングを少なくとも変更するモータ制御手段とを備えている。
この場合、モータ制御手段が送り歯の上下方向の動作に対する送り歯の搬送方向への動作の開始タイミング又は終了タイミングを少なくとも変更するので、送り歯の運動軌跡を変更することができる。よって、ミシンは、作業者が送り歯の駆動機構を調整する機構を手作業で調整することなく、送り歯の運動軌跡を変更することができる。よって、ミシンは、送り歯の運動軌跡の変更の時間を削減でき、縫製作業の効率を向上させることができる。
前記ミシンは、前記布の布厚が所定の閾値より大きいか否かを判断する布厚判断手段を備え、前記モータ制御手段は、前記布厚判断手段によって前記布厚が前記閾値より大きいと判断された場合、前記終了タイミングを、前記布厚が前記閾値より大きいと判断されなかった場合における前記終了タイミングより早くするよう前記モータを駆動制御してもよい。この場合、ミシンは、布厚が大きい場合に、終了タイミングを早くすることができる。この為、ミシンは、布が移動し終わる前に、縫針が布に刺さるのを防止でき、縫製品質の悪化を防止できる。また、布厚が閾値より大きい場合に自動で終了タイミングを早くできるので、ミシンは縫製動作を止める必要がない。よって、ミシンは縫製作業の効率を向上させることができる。
前記ミシンにおいて、前記モータ制御手段は、前記布厚判断手段によって前記布厚が前記閾値より大きいと判断された場合、前記開始タイミングを、前記布厚が前記閾値より大きいと判断されなかった場合における前記開始タイミングより遅くするよう前記モータを駆動制御してもよい。この場合、ミシンは、布厚が大きい場合に、開始タイミングを遅くすることができる。この為、ミシンは、上下動作手段によって送り歯が上方向に移動して、押え足と送り歯との間で布をしっかり挟んだ後に、布の搬送を開始することができる。この為、ミシンは、布厚が大きい場合でも、布に対して送り歯が滑ることがなく、確実に布を搬送することができる。よって、ミシンは縫製品質の悪化を防止できる。また、ミシンは、布厚が閾値より大きい場合に自動で開始タイミングを遅くできる。よって、作業者が送り歯の駆動機構を調整する機構を手動で調整する必要がない。故に、ミシンは縫製作業の効率を向上させることができる。
前記ミシンにおいて、前記モータ制御手段は、前記布厚判断手段によって前記布厚が前記閾値より大きいと判断された場合、前記送り歯の前記搬送方向の動作の速度を、前記布厚が前記閾値より大きいと判断されなかった場合における前記速度より速くするよう前記モータを駆動制御してもよい。この場合、ミシンは、縫製途中で布厚が変化した場合でも、速度を速くすることで、布厚の変化前後における布の搬送量を同一にすることができる。よって、ミシンは、布厚が変化した場合に、縫製の間隔(縫目の長さ)が変化することがなく、縫製品質を維持することができる。
前記ミシンにおいて、前記所定の閾値は複数設けられ、前記布厚判断手段は、其々の前記閾値について、前記布の布厚が前記閾値より大きいか否かを判断し、前記モータ制御手段は、前記布厚判断手段によって前記布厚が前記閾値より大きいと判断された場合、該閾値に応じて前記開始タイミング又は前記終了タイミングを変更するよう前記モータを駆動制御してもよい。この場合、ミシンは、布の布厚に合わせて段階的に送り歯の運動軌跡を変更することができる。よって、ミシンは、布厚に応じて適切に布を送ることができ、縫製品質の悪化を防止できる。
前記ミシンは、前記布の布厚に応じて状態を切替可能な切替手段を備え、前記モータ制御手段は、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられた場合に、前記送り歯の前記搬送方向の動作の終了タイミングを、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられていない場合における前記終了タイミングより早くするよう前記モータを駆動制御してもよい。この場合、布厚が大きくなった場合に、作業者が切替手段を布厚が大きいことを示す状態に切り替えれば、自動で終了タイミングが早くなる。この為、ミシンは、布が移動し終わる前に、縫針が布に突き刺さるのを防止し、縫製品質の悪化を防止できる。また、作業者が送り歯を駆動機構を調整する機構を手作業で調整する必要がない。よって、ミシンは縫製作業の効率を向上させることができる。
前記ミシンにおいて、前記モータ制御手段は、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられた場合に、前記送り歯の前記搬送方向の動作の開始タイミングを、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられていない場合における前記開始タイミングより遅くするよう前記モータを駆動制御してもよい。布厚が大きくなった場合に、作業者が切替手段を布厚が大きいことを示す状態に切り替えれば、自動で開始タイミングが遅くなる。この為、ミシンは、布厚が大きい場合でも、布に対して送り歯が滑ることがなく、確実に布を搬送することができる。よって、ミシンは縫製品質の悪化を防止できる。また、作業者が送り歯の駆動機構を調整する機構を手作業で調整する必要がない。よって、ミシンは縫製作業の効率を向上させることができる。
前記ミシンにおいて、前記モータ制御手段は、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられた場合に、前記送り歯の前記搬送方向の動作の速度を、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられていない場合における前記速度より速くするよう前記モータを駆動制御してもよい。この場合、ミシンは、縫製途中で布厚が変化した場合でも、切替手段の切り替え前後の布の搬送量を同一にすることができる。よって、ミシンは、布厚が変化した場合に、縫製の間隔(縫目の長さ)が変化することがなく、縫製品質を維持することができる。
前記ミシンは、前記布の布厚に応じた前記開始タイミング及び前記終了タイミングを算出する算出手段を備え、前記モータ制御手段は、前記算出手段で算出した前記開始タイミング又は前記終了タイミングで前記モータを駆動制御してもよい。この場合、ミシンは、布の布厚に応じて送り歯の運動軌跡を変更することができる。よって、ミシンは、布厚に応じて適切に布を送ることができ、縫製品質の悪化を防止できる。
ミシン1の斜視図。 布送り機構30の第一の状態を示す斜視図。 布送り機構30の第二の状態を示す斜視図。 布送り機構30の第三の状態を示す斜視図。 ミシン1のアーム部4の左端部の内部を示す図。 押え足17で布100を押えた状態の押え棒63の斜視図。 押え足17で布100を押えた状態の押え棒63の正面図。 押え足17が針板15に接触した状態の押え棒63の正面図。 ミシン1の電気的構成のブロック図。 薄物用軌跡データ80のデータ構成図。 厚物用軌跡データ90のデータ構成図。 図10の薄物用軌跡データ80と図11の厚物用軌跡データ90とにおける上軸角と布送り軸角との対応関係を示す図。 薄物用軌跡802及び厚物用軌跡902を示す図。 送り歯34が薄物用軌跡802で移動した場合の、終了タイミングにおける縫針8の位置を示す図。 送り歯34が厚物用軌跡902で移動した場合の、終了タイミングにおける縫針8の位置を示す図。 第一布送り処理のフローチャート。 運動軌跡95を示す図。 第二布送り処理のフローチャート。 第三布送り処理のフローチャート。 第四布送り処理のフローチャート。 運動軌跡96を示す図。 運動軌跡97を示す図。
以下、本発明の第一実施形態のミシン1について図面を参照して説明する。図1〜図8を参照しミシン1の構成について説明する。図1の紙面上側、下側、右側、左側、表側、背面側は夫々ミシン1の上側、下側、右側、左側、前側、後側である。
図1に示すように、ミシン1はベッド部2、脚柱部3、アーム部4を備える。ベッド部2はミシン1の土台である。ベッド部2はテーブル20の上面の凹部(図示略)に上方から装着する。脚柱部3はベッド部2の右端から鉛直上方に延びる。アーム部4は脚柱部3の上端から左方に延びる。アーム部4はベッド部2の上面に対向する。アーム部4は左端部下方に押え足17を装着する。押え足17は送り歯34(図2参照)に対向する。アーム部4は内部に針棒7を保持する。針棒7は下端に縫針8を装着する。針棒7と縫針8はメインモータ13の駆動に従って上下に往復移動する。アーム部4は左端部前方に天秤9を備える。天秤9は針棒7に連動して上下動する。アーム部4は上部に操作部10を備える。操作部10は前面に液晶パネル11を備える。作業者は液晶パネル11を見ながら操作部10を操作し各種指示をミシン1に入力する。
ミシン1はテーブル20の下面に制御装置25を備える。制御装置25はロッド21を介して踏み込み式のペダル22に接続する。作業者はペダル22をつま先側又は踵側に操作する。制御装置25はペダル22の操作方向及び操作量に応じてミシン1の動作を制御する。ミシン1はテーブル20の下方に膝操作レバー23を備える。作業者は膝操作レバー23を操作して押え棒63(図5参照)を上下動して、押え足17を上下動する。
脚柱部3は右側面上部にメインモータ13を備える。アーム部4は内部に主軸14を備える。主軸14は回転可能な状態でアーム部4内部を左右方向に延びる。主軸14の右端はメインモータ13に接続する。主軸14の左端は針棒上下動機構(図示略)に接続する。メインモータ13は主軸14を駆動して針棒7と天秤9を上下動する。
ベッド部2は上面左端に針板15を備える。針板15は略中央部に針穴18を有する(図2参照)。縫針8の下端は下降時に針穴18を通過する。針板15は針穴18の左方、後方、右方の夫々に送り歯穴19を備える(図2参照)。送り歯穴19は前後方向に長い長方形状である。ベッド部2は針板15の下方に釜機構(図示略)、布送り機構30(図2〜図4参照)を備える。布送り機構30は縫製の対象となる布を送る機構である。
図2を参照し布送り機構30の構成について説明する。図2の紙面上側、下側、右側、左側、左上側、右下側は夫々ミシン1の上側、下側、前側、後側、右側、左側である。図2に示すように、布送り機構30は送り台33、送り歯34、布送りモータ35、動力伝達機構40、中間作用腕38、上下動力機構47等を備える。
送り台33は針板15の下方に位置し且つ針板15に対して略平行である。送り台33は上面の中心近傍に3つの送り歯34を略水平に支持する。送り歯34の夫々は送り歯穴19の位置に対応する。送り歯34の夫々は前後方向に長い。送り歯34の前後方向の長さは送り歯穴19の長さより小さい。送り歯34は押え足17との間で布を挟む為の凹凸を上部に備える。送り歯34は、布を水平方向に移動する。
布送りモータ35は送り台33の右方に配置してある。布送りモータ35はステッピングモータである。布送りモータ35は送り台33を前後方向に移動する。布送りモータ35は左方に延びる駆動軸36を備えている。布送りモータ35は駆動軸36を回動する。
動力伝達機構40は、送り腕41、送り腕42、連結部65を備える。送り腕41の一端は布送りモータ35の駆動軸36の先端に直交して取り付けてある。送り腕41の他端は送り腕42の一端に回転可能に連結してある。送り腕42の他端は中間作用腕38の延設方向先端に回動可能に連結してある。送り腕41の他端と送り腕42の一端が連結する部分は連結部65である。送り腕42の他端と中間作用腕38の先端が連結する部分は連結部66である。中間作用腕38は連結部66と連結する部分の反対側の端部が水平送り軸28の右端側に取り付けてある。中間作用腕38は水平送り軸28の長手方向に直交し且つ後方側に延びる。水平送り軸28は布送りモータ35の左上方に回動可能に設けてある。水平送り軸28は左右方向に延びる。リンク部材50の下端は水平送り軸28の左端部に直交して取り付けてある。リンク部材50の上端は送り台33の前端部に回動可能に連結してある。
駆動軸36が回動範囲の一方向及び逆方向に回動することで、連結部65は前後方向に水平往復移動し、連結部66は上下方向に往復移動する。連結部66の移動によって中間作用腕38は水平送り軸28を中心に回動する。中間作用腕38の回動と連動して水平送り軸28は回動する。水平送り軸28の回動によって送り台33は前後方向に移動する。
送り台33の後端には上下動力機構47が設けてある。上下動力機構47は上下送り軸27、プーリ24、偏心部39、リンク部材51を備える。上下送り軸27は回転可能な状態で左右方向に延びる。上下送り軸27は水平送り軸28に対して平行に位置する。上下送り軸27は右端部にプーリ24を固定する。プーリ24はタイミングベルト(図示略)を介して主軸14に連結する。上下送り軸27はメインモータ13の駆動により主軸14と同期を保持した状態で回転する。偏心部39は上下送り軸27の左端に設けてある。偏心部39は上下送り軸27の軸心に対して偏心している。リンク部材51は送り台33の後端に回転可能に設けてある。リンク部材51は偏心部39を回転可能に保持する。偏心部39は上下送り軸27の回転によりリンク部材51を介して送り台33を上下動させる。
図2〜図4を参照し布送り機構30の送り台33への前後方向の動作の付与について説明する。布送り機構30は駆動軸36が回動範囲で一方向及び逆方向に回動することで下記の第一〜第三の状態を繰り返し、送り台33を前後方向に移動する。図2〜図4のW1〜W3の各々は、送り台33の近傍を示す。
図2に示す第一の状態では、動力伝達機構40は送り腕41と送り腕42が上下方向に一直線上に位置している。連結部66は最上部且つ連結部65の上方に位置している。中間作用腕38は略水平である。送り台33は最前方に位置する。送り歯34は送り歯穴19の最前方に位置する。布送り機構30は第一の状態である。本実施形態では、送り腕41と送り腕42が上下方向に一直線上になったときの連結部65の位置が中間位置である。
第一の状態から布送りモータ35が駆動すると、駆動軸36は左側面視時計回りに回動する。送り腕41は駆動軸36の回動に伴って時計回りに回動する。連結部65は中間位置から前方位置に移動する。送り腕41と送り腕42は連結部65を基点に前方に向かって略L字に屈曲する。送り腕42は連結部65を中心に左側面視反時計回りに回動する。送り腕42の回動によって連結部66は下方に移動する。連結部66は中間作用腕38の先端を下方に引き込む。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に反時計回りに回動して先端が斜め下方に傾斜する。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は反時計回りに回動する。リンク部材50は水平送り軸28に連動して反時計回りに回動する。送り台33は後方に移動する。駆動軸36が回動可能範囲の一端部まで回動すると送り歯34は送り歯穴19の最後方に位置する。布送り機構30は第二の状態(図3参照)となる。
布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転する。駆動軸36は左側面視反時計回りに回動する。送り腕41は駆動軸36の回動に伴って反時計回りに回動する。連結部65は前方位置から中間位置に移動する。送り腕41と送り腕42は上下方向に一直線上になる。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に時計回りに回動して略水平に戻る。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は時計回りに回動する。リンク部材50は水平送り軸28に連動して時計回りに回動する。送り台33は前方に移動する。送り歯34は送り歯穴19の最前方に位置する。布送り機構30は第一の状態(図2参照)に戻る。
駆動軸36は第一の状態から左側面視反時計回りに回動を続ける。送り腕41は駆動軸36の回動に伴って反時計回りに回動を続ける。図6に示すように、連結部65は中間位置から後方位置に移動する。送り腕41と送り腕42は連結部65を基点に第2の状態とは反対側である後方に向かって略L字に屈曲する。送り腕42は連結部65を中心に時計回りに回動する。送り腕42の回動によって連結部66は下方に移動する。連結部66は中間作用腕38の先端を下方に引き込む。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に反時計回りに回動して先端が斜め下方に傾斜する。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は反時計回りに回動する。リンク部材50は水平送り軸28に連動して反時計回りに回動する。送り台33は後方に移動する。駆動軸36が回動可能範囲の他端部まで回動すると送り歯34は送り歯穴19の最後方に位置する。布送り機構30は第三の状態(図4参照)となる。
布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転する。駆動軸36は時計回りに回動する。送り腕41は駆動軸36の回動に伴って時計回りに回動する。連結部65は後方位置から中間位置に移動する。送り腕41と送り腕42は上下方向に一直線上になる。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に時計回りに回動して略水平に戻る。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は時計回りに回動する。リンク部材50は水平送り軸28に連動して時計回りに回動する。送り台33は最前方に移動する。送り歯34は送り歯穴19の最前方に位置する。布送り機構30は第一の状態(図2参照)に戻る。布送り機構30は第一〜第三の状態を繰り返し、送り台33を前後方向に移動する。
布送り機構30が布を後方に向けて送る動作について説明する。布送り機構30は布送りモータ35の駆動による第一〜第三の状態の繰り返しと上述のメインモータ13の駆動による送り台33の上下動によって布を送る。布送り機構30が第一の状態の時(図2参照)、送り台33は偏心部39とリンク部材51により送り歯34が針板15上面と略一致する位置にある。
メインモータ13が駆動すると、送り台33は偏心部39とリンク部材51により上方に移動して送り歯34が針板15上面から上方に突出する。布送りモータ35は駆動軸36を左側面視時計回りに回動する。送り台33は動力伝達機構40により後方に移動する。故に、布送り機構30は布を後方に向けて送る。
メインモータ13が駆動を続けると、送り台33は偏心部39とリンク部材51により送り歯34が針板15上面と略一致する位置に戻る。布送り機構30は布送りモータ35の駆動軸36が回動範囲の一端部まで時計回りに回動して第二の状態(図3参照)になる。布送り機構30は布を送るのを止める。
第二の状態の後、送り台33は偏心部39とリンク部材51により下方に移動して送り歯34が針板15上面から下方に下がる。布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転して左側面視反時計回りに回動する。送り台33は動力伝達機構40により前方に移動する。送り歯34が針板15上面から下方に下がるので、布送り機構30は布を送らない。
メインモータ13が駆動を続けると、送り台33は偏心部39とリンク部材51により送り歯34が針板15上面と略一致する位置に戻る。布送りモータ35が駆動軸36を左側面視反時計回りに回動するので、布送り機構30は第一の状態に戻る(図2参照)。
第一の状態の後、送り台33は偏心部39とリンク部材51により再度上方に移動して送り歯34が針板15上面から上方に突出する。布送りモータ35は駆動軸36が反時計回りの回動を続ける。送り台33は動力伝達機構40により移動方向が前方から後方に切り替わる。布送り機構30は再度布を後方に向けて送る。
メインモータ13が駆動を続けると、送り台33は偏心部39とリンク部材51により送り歯34が針板15上面と略一致する位置に戻る。布送り機構30は布送りモータ35の駆動軸36が回動範囲の他端部まで反時計回りに回動して第三の状態(図4参照)になる。布送り機構30は布を送るのを止める。
第三の状態の後、送り台33は偏心部39とリンク部材51により下方に移動して送り歯34が針板15上面から下方に下がる。布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転して時計回りに回動する。送り台33は動力伝達機構40により前方に移動する。送り歯34が針板15上面から下方に下がるので、布送り機構30は布を送らない。
メインモータ13が駆動を続けると、送り台33は偏心部39とリンク部材51により送り歯34が針板15上面と略一致する位置に戻る。布送りモータ35が駆動軸36を時計回りに回動するので、布送り機構30は第一の状態に戻る。布送り機構30は上述の動作を繰り返し、布を後方に向けて送る。
図5〜図8を参照して、ベッド部2に載置した布の布厚を検出する機構について説明する。図5に示すように、アーム部4の左端部は、押え棒63、バネ71、糸調子機構(図示外)及び、押え足駆動機構(図示外)等を内部に備える。押え棒63は、アーム部4内を上下方向に延びる。押え棒63の下端は、アーム部4の下端から下方に突出する。押え棒63は、下端に押え足17を備える。図6〜図8に示すように、押え棒63は、上下方向の中央部に、押え棒抱き59を備える。押え棒63は、押え棒抱き59の上側にバネ71を備える。アーム部4の上端に設けた摘み部74は、バネ71の上端に当接する。バネ71は、押え棒抱き59を下方に付勢する。押え足駆動機構(図示外)は、膝操作レバー23(図1参照)に連結してある。作業者が膝操作レバー23を右方に押すと、前記押え足駆動機構が押え棒抱き59を上方に移動する。この為、押え足17が上昇する。作業者が膝操作レバー23を右方に押すのを止めると、バネ71が押え棒抱き59を下方に押圧する。この為、押え棒63が下降する。故に、押え足が下降する。押え足17は、ベッド部2の針板15上に載置された布を下方に押圧する(図7参照)。
押え棒抱き59の左端部は、左側に板面を有する板状部位591である。押え棒抱き59の板状部位591は、左面の下部に磁石592を備える。アーム部4は、板状部位591の左面に対向する電気基板72を備える。電気基板72は、アーム部4左端の取付板401(図5参照)に固定してある。電気基板72と板状部位591は互いに離間している。電気基板72は右面にホールセンサ73を実装している。ホールセンサ73は、駆動回路59、I/Oインターフェース(以下、I/Oという)48を介して、CPU44に接続する(図9参照)。駆動回路59(図9参照)は、ホールセンサ73を駆動する。駆動回路59は、ホールセンサ73による出力電圧を増幅等して、CPU44に入力する。
ホールセンサ73は、磁石592による磁界を検出する。押え足17及び押え棒63の上下位置(昇降位置)が変化すると、磁石592の上下位置(昇降位置)が変化する。磁石592の上下位置が変化すると、ホールセンサ73が検出する磁界が変化する。この為、ホールセンサ73による出力電圧が変化する。CPU44は、該出力電圧の変化に応じて、
押え棒63及び押え足17の上下位置を検出する。CPU44は、押え足17が針板15に当接する位置(図8参照)におけるホールセンサ73による出力電圧を、布厚検出用の基準値として設定している。CPU44は針板15と押え足17との間で布100を挟んだ状態(図7参照)のホールセンサ73による出力電圧と前記基準値とを比較して、押え足17の上下位置を検出する。これによって、CPU44は、押え足17と針板15との間の布100の布厚を検出する。
図9を参照しミシン1の電気的構成について説明する。ミシン1の制御装置25はCPU44を備える。CPU44はミシン1の制御を司る。CPU44はROM45、RAM46、EEPROM(登録商標)49、I/O48とバスを介して接続する。ROM45は後述する各種フローチャートの処理を実行する為のプログラム等を記憶する。RAM46はプログラムを実行する為に必要な各種値を一時的に記憶する。EEPROM49は後述する薄物用軌跡データ80、厚物用軌跡データ90等のデータ及び各種値を記憶する不揮発性の記憶装置である。
I/O48はペダル22、操作部10に接続する。CPU44はペダル22の操作方向及び操作量を取得する。CPU44は操作部10から作業者による操作指示を取得する。作業者は液晶パネル11を確認しながら操作部10を操作する。I/O48は駆動回路52、53、59に接続する。
駆動回路52は液晶パネル11を駆動する。駆動回路53は、CPU44から入力するトルク指令信号に応じてメインモータ13を駆動する。ミシン1はメインモータ13の回転角位相(以下、「上軸角」という。)及び回転速度を検出する為のメインエンコーダ57を備える。メインエンコーダ57はメインモータ13の上軸角及び回転速度の検出結果をI/O48を介してCPU44に出力する。
駆動回路54は、CPU44から入力する布送り駆動信号に応じて布送りモータ35を駆動する。CPU44は、布送りモータ35の駆動軸36の回転を制御し、送り歯34の運動軌跡を変更する。布送りモータ35はパルスモータである。布送りモータ35の布送り駆動信号はパルス信号である。ミシン1は布送りモータ35の回転角位相(以下、「布送り軸角」という。)及び回転速度を検出する為の布送りエンコーダ58を備える。布送りエンコーダ58は布送りモータ35の布送り軸角及び回転速度の検出結果をI/O48を介してCPU44に出力する。前述したように、駆動回路59は、ホールセンサ73を駆動する。駆動回路59は、ホールセンサ73による出力電圧を増幅等して、I/O48を介してCPU44に出力する。
図10、図12、及び図13を参照して、布厚の小さい布100(後述する閾値以下の布厚の布100)を縫製する為の薄物用軌跡データ80及び送り歯34の運動軌跡について説明する。EEPROM49は薄物用軌跡データ80を記憶する。図10に示すように、薄物用軌跡データ80は、メインモータ13の上軸角と布送りモータ35の布送り軸角とを対応付ける。図10に示す薄物用軌跡データ80の上軸角と布送り軸角との対応関係は、図12の対応関係801である。CPU44は、メインモータ13及び布送りモータ35を駆動制御し、上軸角と布送り軸角とが薄物用軌跡データ80に示す対応関係801になるように制御する。この場合、送り歯34は図13に示す薄物用軌跡802で駆動する。薄物用軌跡802の上下方向の移動は、CPU44がメインモータ13を駆動制御することで行う。薄物用軌跡802の前後方向の移動は、CPU44が布送りモータ35を駆動制御することで行う(後述する厚物用軌跡902も同様)。
図12に示すように、布送りモータ35の布送り軸角は、「−30°〜30°」の範囲である。即ち、駆動軸36の回動範囲は「−30°〜30°」である。布送り軸角が「0°」の時、第一の状態(図2)である。上軸角が「0°〜720°」に変化する間、布送り軸角は「−30°〜30°」の間で一往復する。即ち、メインモータ13の駆動軸(図示外)が2回転する間に、布送りモータ35の駆動軸36が一回往復回動する。この間、送り歯34は布100を2回搬送する。縫針8はメインモータ13が1回転すると1回の縫製を行う。尚、駆動軸36の回動範囲「−30°〜30°」の両端の角度は、布100の搬送量(図13の距離L)に比例して可変である。
対応関係801上の符号802A、802B、802C、802D(図12参照)における上軸角と布送り軸角との対応関係にある場合、送り歯34は薄物用軌跡802上の位置802A、802B、802C、802D(図13参照)にある。CPU44が、対応関係801の符号802Aから符号802Bに変化するようにメインモータ13及び布送りモータ35を制御すると、送り歯34は、針板15の下側を前側に向かって移動する(図13の矢印803)。送り歯34は針板15の下側に位置するので布100に接触しない。故に、送り歯34は布を送らない。
CPU44が対応関係801の符号802Bから符号802Cに変化するようにメインモータ13及び布送りモータ35を制御すると、送り歯34は、針板15の上側を後側に向かって移動する(図13の矢印804)。送り歯34は針板15の上側に位置するので針板15上の布100に接触する。故に、送り歯34は布を後方に送る。同様に、CPU44が、符号802Cから符号802Dに変化するようにメインモータ13及び布送りモータ35を制御すると、送り歯34は、矢印803の方向に移動する。CPU44が、符号802Dから符号802Aに変化するようにメインモータ13及び布送りモータ35を制御すると、送り歯34は矢印804の方向に移動し、布100を後方に送る。
図11〜図13を参照して、布厚の大きい布100(後述する閾値より大きい布厚の布100)を縫製する為の厚物用軌跡データ90及び送り歯34の運動軌跡について説明する。EEPROM49は厚物用軌跡データ90を記憶する。図11に示すように、厚物用軌跡データ90は、メインモータ13の上軸角と、布送りモータ35の布送り軸角とを対応付ける。図11に示す厚物用軌跡データ90の上軸角と布送り軸角との対応関係は、図12の対応関係901である。CPU44は、メインモータ13及び布送りモータ35を駆動制御し、上軸角と布送り軸角とが厚物用軌跡データ90に示す対応関係901になるように制御する。この場合、送り歯34は図13に示す厚物用軌跡902で駆動する。
図12に示すように、対応関係901上の符号902L、902Bの間、符号902C、902Eの間、符号902F、902Hの間、及び符号902I、902Kの間で、布送り軸角が変化しない。即ち、駆動軸36は停止する。対応関係901上の符号902A〜902L(図12参照)における上軸角と布送り軸角との対応関係にある場合、送り歯34は厚物用軌跡902上の位置902A〜902L(図13参照)にある。
CPU44が、対応関係901の符号902Aから符号902Bに変化するようにメインモータ13及び布送りモータ35を制御すると、送り歯34は針板15の下側を下方向に移動する。CPU44は布送りモータ35が停止した状態に制御するので、送り歯34は前後方向に移動しない。CPU44が、対応関係901の符号902Bから符号902Cに変化するようにメインモータ13及び布送りモータ35を制御すると、送り歯34は針板15の下側を前側に向かって移動する(図13の矢印903)。送り歯34は針板15の下側に位置するので布100に接触しない。故に、送り歯34は布を送らない。
CPU44が、対応関係901の符号902C、符号902D、符号902Eの順に変化するようにメインモータ13及び布送りモータ35を制御すると、送り歯34は針板15の下方から上側に向かって上方向に移動する。CPU44は布送りモータ35が停止した状態に制御するので、送り歯34は前後方向に移動しない。CPU44が、対応関係901の符号902Eから符号902Fに変化するようにメインモータ13及び布送りモータ35を制御すると、送り歯34は針板15の上側を後側に向かって移動する(図13の矢印904)。送り歯34は針板15の上側に位置するので針板15上の布100に接触する。故に、送り歯34は後方に布を送る。
CPU44が対応関係901の符号902Fから符号902Gに変化するようにメインモータ13及び布送りモータ35を制御すると、送り歯34は下方向に移動する。CPU44は布送りモータ35が停止した状態に制御するので、送り歯34は前後方向に移動しない。CPU44が符号902G、902H、902I、902J、902K、902L、902Aの順に変化するようにメインモータ13及び布送りモータ35を制御すると、送り歯34は、位置902A〜位置902Gに変化する場合と同じ運動軌跡で駆動する。
薄物用軌跡802では、送り歯34の布100を搬送する動作の開始タイミング(以下、単に「開始タイミング」という)は、送り歯34が位置802B、802Dにある時である。即ち、送り歯34の上下方向の位置が針板15と同じ位置にあるタイミングが開始タイミングである。厚物用軌跡902では、送り歯34の後方への動作の開始タイミングは、送り歯34が位置902E、902Kにある時である。故に、送り歯34の上下方向の位置が針板15より上側の位置にあるタイミングが、開始タイミングである。図12に示すように、送り歯34が位置902E、902Kにある時の上軸角は、送り歯34が位置802B、802Dにある時の上軸角よりも夫々大きい。つまり、厚物用軌跡902では、送り歯34の上下方向の動作に対する送り歯34の後方への動作の開始タイミングが、薄物用軌跡802に比べて遅い。
薄物用軌跡802では、送り歯34の布100を搬送する動作の終了タイミング(以下、単に「終了タイミング」という)は、送り歯34が位置802A、802Cにある時である。即ち、送り歯34の上下方向の位置が針板15と同じ位置にあるタイミングが終了タイミングである。厚物用軌跡902では、送り歯34の後方への動作の終了タイミングは、送り歯34が位置902F、902Lにある時である。故に、送り歯34の上下方向の位置が針板15より上側の位置にあるタイミングが、終了タイミングである。図12に示すように、送り歯34が位置902F、902Lにある時の上軸角は、送り歯34が位置802A、802Cにある時の上軸角よりも夫々小さい。つまり、厚物用軌跡902では、送り歯34の上下方向の動作に対する送り歯34の後方への動作の終了タイミングが、薄物用軌跡802に比べて早い。
送り歯34を上下方向に移動するメインモータ13の駆動軸の回転速度は、薄物用軌跡802と厚物用軌跡902とで同じである。この為、送り歯34が、薄物用軌跡802における位置802A、802Cと、位置802B、802Dとの間で移動する時間は、厚物用軌跡902における位置902A、902Gと、位置902D、902Jとの間で移動する時間と同じである。ここで、布100を搬送する距離Lは、薄物用軌跡802と厚物用軌跡902とで同じである。しかし、前述したように、厚物用軌跡902は、薄物用軌跡802に比べて開始タイミングが遅く、終了タイミングが早い。この為、厚物用軌跡902で駆動する送り歯34は、薄物用軌跡802の場合に比べて短い時間で距離L分移動する。故に、布100を距離L分移動させる送り歯34の動作の速度は、薄物用軌跡802の場合より厚物用軌跡902の方が速い。
図14及び図15を参照して、送り歯34が薄物用軌跡802で移動する場合と、厚物用軌跡902で移動する場合の、縫針8と布100の位置関係等について説明する。縫針8はメインモータ13の駆動に従って上下に往復移動する。縫針8は、送り歯34が布100を後方に送る時に、上方から下方に向かって下降する。図14に示す縫針8の先端8Aの位置は、送り歯34が薄物用軌跡802で移動した場合の終了タイミングにおける先端8Aの高さ位置である。布100が薄く、布100の上面が高さ位置100Aにある場合、送り歯34が布100の搬送を終了した時点で、縫針8は、布100に刺さっていない。故に、ミシン1は、正常に縫製をすることができる。
布100が厚く、布100の上面が高さ位置100Bにある場合、送り歯34が薄物用軌跡802で布100の搬送を終了した時点で、縫針8は、布100に刺さっている。即ち、送り歯34が布100の搬送を終了する前に、縫針8が布100に刺さる。この場合、縫製品質が悪化したり、縫針8が刺さった状態で布100が移動して縫針8が曲がり、針板15に接触して縫針8の折れが発生したりする可能性がある。この問題点を解決できるように、本実施形態は布100が厚い場合に、厚物用軌跡データ90を用いて布100を送る。
図15に示す縫針8の先端8Aの位置は、送り歯34が厚物用軌跡902で移動した場合の終了タイミングにおける先端8Aの高さ位置を示している。前述したように、厚物用軌跡902では、送り歯34の上下方向の動作に対する送り歯34の布100を搬送する動作の終了タイミングが、薄物用軌跡802に比べて早い。この為、厚物用軌跡902の終了タイミングでは、縫針8の先端8Aの位置は、薄物用軌跡802の終了タイミングにおける位置(図14参照)に比べ、高い位置にある。故に、布100が厚く、布100の上面が高さ位置100Bにある場合でも、縫針8は、布100に刺さっていない。つまり、布100の移動が終了する前に、縫針8が布100に刺さることを防止している。よって、ミシン1は、縫製品質の悪化を防止できる。ミシン1は、縫針8の曲がり、折れが発生することを防止できる。
図16を参照して、第一布送り処理について説明する。第一布送り処理は、布厚に応じて送り歯34の運動軌跡を変更する処理である。ミシン1の電源がオンすると、CPU44は第一布送り処理を開始する。CPU44は、押え足17の上下位置の閾値を設定する(S11)。即ち、布厚の閾値を設定する。この閾値は、予めEEPROM49に記憶されている閾値を用いてもよいし、作業者が閾値を指定するようにしてもよい。閾値は、例えば5mmである。
CPU44はメインエンコーダ57が出力する上軸角を取得する(S12)。CPU44は駆動回路59が出力するホールセンサ73の出力電圧から押え足17の高さを取得する(S13)。即ち、布100の布厚を取得する。CPU44は、S13で取得した布厚がS11で設定した閾値より大きいか否かを判断する(S14)。CPU44は、布厚が閾値より大きくない場合(S14:NO)、薄物用軌跡データ80(図10参照)から、S12で取得した上軸角に対応する布送り軸角を取得する(S15)。例えば、CPU44は、S12で取得した上軸角が「1°」であれば、布送り軸角「15.226°」を取得する。CPU44は、布送りモータ35を制御して、S15又はS16(後述)で取得した布送り軸角になるように、駆動軸36を回動する(S17)。
CPU44は、上軸角に変化があるか否かを判断する(S18)。CPU44は、メインエンコーダ57が出力する上軸角を監視することで、S18の判断を行う。CPU44は、上軸角が変化しない場合(S18:NO)、S18の処理を繰り返す。CPU44は、上軸角が変化した場合(S18;YES)、S12に戻る。
例えば、布厚が閾値以下の場合に作業者が縫製を継続すると、CPU44は、S12〜S15、S17、及びS18の処理を繰り返す。即ち、CPU44は、薄物用軌跡データ80(図10参照)に従って送り歯34を駆動する。この為、送り歯34は薄物用軌跡802(図13参照)で駆動する。
例えば、布厚が変化して閾値より大きくなる場合がある。この場合、CPU44は、布厚が閾値より大きいと判断し(S14:YES)、厚物用軌跡データ90(図11参照)から、S12で取得した上軸角に対応する布送り軸角を取得する(S16)。例えば、CPU44は、S12で取得した上軸角が「1°」であれば、布送り軸角「11.480°」を取得する。処理はS17に進む。
例えば、布厚が閾値より大きい場合に作業者が縫製を継続すると、CPU44はS12〜S14、S16〜S18を繰り返す。即ち、CPU44は、厚物用軌跡データ90(図11参照)に従って送り歯34を駆動する。この為、送り歯34は、厚物用軌跡902(図13参照)で駆動する。第一布送り処理はミシン1の電源がオフとなると終了する。
以上のように、CPU44は第一布送り処理を行う。本実施形態では、CPU44は、布厚が閾値より大きいと判断しなかった場合(S14:NO)、送り歯34を薄物用軌跡802(図13参照)で駆動する。CPU44は、布厚が閾値より大きいと判断した場合(S14:YES)、送り歯34を厚物用軌跡902(図13参照)で駆動する(S16、S17)。送り歯34が厚物用軌跡902で駆動する場合、薄物用軌跡802で駆動する場合に比べて、終了タイミングが早い。即ち、CPU44は、布厚が閾値より大きいと判断した場合(S14:YES)、終了タイミングを、布厚が閾値より大きいと判断しなかった場合の終了タイミングより早くするように布送りモータ35を駆動制御する。この為、ミシン1は、布厚が閾値より大きい場合に自動で終了タイミングを早くすることができる。よって、作業者がミシン1の縫製動作を止めて終了タイミングの調整を行う必要がない。故に、ミシン1は作業者の縫製作業の効率を向上することができる。
布100が厚い場合、布100が薄い場合に比べて、弾力が大きく、重さも重い。この為、送り歯34と押え足17との間で布100をしっかり挟まなければ、布100に対して送り歯34が滑り、布100を正常に搬送することができない。この為、縫製品質が悪化する可能性がある。
本実施形態では、送り歯34が厚物用軌跡902で駆動する場合、薄物用軌跡802で駆動する場合に比べて、開始タイミングが遅い。即ち、CPU44は、布厚が閾値より大きいと判断した場合(S14:YES)、開始タイミングを、布厚が閾値より大きいと判断しなかった場合における開始タイミングより遅くするように布送りモータ35を駆動制御する。この場合、送り歯34は、図13の位置902D、902Jから902E、902Kに移動した後で、矢印904の方向に移動する。即ち、針板15より上側に移動した後で、後方向に移動する。この為、送り歯34が上方向に移動して、送り歯34と押え足17との間で布100をしっかり挟んだ後に、布100の搬送を開始することができる。故に、布100の布厚が大きい場合でも、布100に対して送り歯34が滑ることがなく、確実に布100を搬送することができる。よって、ミシン1は、縫製品質の悪化を防止できる。また、ミシン1は布厚が閾値より大きい場合に自動で開始タイミングを遅くできる。よって、作業者が送り歯34の駆動機構を調整する機構を手動で調整する必要がない。故に、ミシン1は作業者の縫製作業の効率を向上することができる。
布100が厚い場合、布100が薄い場合に比べて、布100に刺さった縫針8が布100から抜けるタイミングが遅くなる。この場合、送り歯34が、縫針8が布100から抜ける前に布100を搬送すると、縫製品質が悪化したり、縫針8が刺さった状態で布100が移動して縫針8が曲がり、針板15に接触して縫針8の折れが発生したりする可能性がある。
本実施形態では、CPU44は、布100の布厚が閾値より大きい場合に、開始タイミングを遅くする。この為、CPU44は縫針8が確実に布100から抜けた後に布100を搬送する。よって、ミシン1は、縫製品質の悪化を防止できる。ミシン1は縫針8の曲がり、折れが発生することを防止できる。
送り歯34が厚物用軌跡902で駆動する場合、薄物用軌跡802で駆動する場合に比べて、送り歯34の移動の速度が速い。即ち、CPU44は、布厚が閾値より大きいと判断した場合(S15:YES)、送り歯34の後方向への移動の速度を、布厚が閾値より大きいと判断した場合における速度より早くするように布送りモータ35を駆動制御する。この場合、CPU44は送り歯34の移動速度を速くすることで、布厚の変化前後における布100の搬送量(図13の距離L)を同一にすることができる。よって、ミシン1は、布厚が変化した場合に、縫製の間隔(縫目の長さ)が変化することがなく、縫製品質を維持することができる。
本実施形態では、CPU44が布送りモータ35を駆動制御して、開始タイミング及び終了タイミング等を変更するように、送り歯34の運動軌跡を変更する。よって、作業者が送り歯34の駆動機構を調整する機構を手作業で調整することなく、送り歯34の運動軌跡を変更することができる。よって、ミシン1は、送り歯34の運動軌跡の変更の時間を削減でき、縫製作業の効率を向上することができる。
第一実施形態では、CPU44は、1つの閾値で、2種類の運動軌跡(薄物用軌跡802及び厚物用軌跡902)を切り替えていたが、これに限定されない。例えば、CPU44は、複数の閾値(2以上の閾値)で、運動軌跡を切り替えてもよい。以下、2つの閾値で運動軌跡を切り替える変形例である第二実施形態について説明する。第二実施形態では、送り歯34の運動軌跡として図17に示す運動軌跡95が追加してある。運動軌跡95は、厚物用軌跡902を使用する場合より布厚の大きい布100を搬送する場合に使用する。運動軌跡95の開始タイミングは厚物用軌跡902(図13参照)より遅い。運動軌跡95の終了タイミングは厚物用軌跡902より早い。運動軌跡95の布100を搬送する速度は厚物用軌跡902より速い。EEPROM49は、薄物用軌跡データ80及び厚物用軌跡データ90と同様に、運動軌跡95で送り歯34を駆動する為の運動軌跡のデータ(図示外。以下、「追加軌跡データ」という。)を記憶している。
図18を参照して、第二布送り処理について説明する。第二布送り処理は、2つの閾値で運動軌跡を切り替えて布100を搬送する処理である。以下の説明では、第一布送り処理(図16参照)と同様の処理は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
ミシン1の電源がオンすると、CPU44は第二布送り処理を開始する。CPU44は布厚についての2つの閾値(第一閾値及び第二閾値)を設定する(S21)。閾値の設定方法は第一布送り処理(図16参照)のS11と同じである。第二閾値は第一閾値より大きい。CPU44はS12とS13の処理を行う。CPU44は、S13で取得した布厚がS21で設定した第一閾値より大きいか否かを判断する(S22)。CPU44は、布厚が第一閾値より大きくない場合(S22:NO)、第一布送り処理と同様にS15、S17、S18の処理を行う。CPU44は送り歯34を薄物用軌跡802(図13参照)で駆動する。CPU44は、布厚が第一閾値より大きい場合(S22:YES)、S13で取得した布厚がS21で設定した第二閾値より大きいか否かを判断する(S23)。CPU44は、布厚が第二閾値より大きくない場合(S23:NO)、第一布送り処理と同様にS16〜S18の処理を行う。CPU44は送り歯34を厚物用軌跡902(図13参照)で駆動する。
CPU44は、布厚が第二閾値より大きい場合(S23:YES)、追加軌跡データ(図示外)から布送り軸角を取得する(S24)。CPU44は、布送りモータ35を制御して、S24で取得した布送り軸角になるように駆動軸36を回動する(S17)。CPU44は送り歯34を運動軌跡95(図17参照)で駆動する。第二布送り処理はミシン1の電源がオフとなると終了する。
以上のように、CPU44は第二布送り処理を実行する。本実施形態では、布100の布厚に合わせて段階的に送り歯34の運動軌跡を変更することができる。即ち、CPU44は、複数の閾値に応じて、開始タイミング及び終了タイミングを変更するように布送りモータ35を駆動制御することができる。よって、ミシン1は布厚に応じて適切に布100を送ることができ、縫製品質の悪化を防止できる。
第三実施形態について説明する。第一実施形態は、布100の布厚を検出して自動で送り歯34の運動軌跡を切り替えていた。第三実施形態では、作業者が薄物用軌跡802と厚物用軌跡902(図13参照)との間で運動軌跡を切り替える為の切替スイッチ(図示外)を切り替えることで、送り歯34の運動軌跡を切り替える。第三実施形態では、操作部10が切替スイッチ(図示外)を備えている。切替スイッチは、布100の布厚が大きいことを示す状態(以下、「厚物用設定」という。)と、布100の布厚が小さいことを示す状態(以下、「薄物用設定」という。)との間で切替可能である。作業者は、布100の布厚が大きくないと判断した場合、切替スイッチを薄物用設定に切り替える。作業者は、布100の布厚が大きいと判断した場合、切替スイッチを厚物用設定に切り替える。
図19を参照して、第三布送り処理について説明する。第三布送り処理は、作業者が切替スイッチで選択した運動軌跡で送り歯34を駆動して、布100を送る処理である。以下の説明では、第一布送り処理(図16参照)と同様の処理は、同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
ミシン1の電源がオンすると、CPU44は第三布送り処理を開始する。CPU44は上軸角を取得する(S12)。CPU44は、操作部10の切替スイッチが厚物用設定であるか否かを判断する(S31)。CPU44は、切替スイッチが厚物用設定でない場合(S31:NO)、薄物用設定であると判断する(S31:NO)。CPU44はS15、S17、S18の処理を行う。CPU44は、上軸角が変化した場合(S18:YES)、S12に戻り処理を繰り返す。即ち、切替スイッチが薄物用設定であれば、CPU44は、薄物用軌跡データ80(図10参照)を使用して、薄物用軌跡802(図13参照)で送り歯34を駆動する(S15及びS17)。
CPU44は、切替スイッチが厚物用設定である場合(S31:YES)、S16、S17、S18の処理を行う。即ち、切替スイッチが厚物用設定であれば、CPU44は、厚物用軌跡データ90(図11参照)を使用して、厚物用軌跡902(図13参照)で送り歯34を駆動する(S16)。第三布送り処理はミシン1の電源がオフとなると終了する。
以上のように、CPU44は第三布送り処理を行う。本実施形態では、布100の布厚が大きくなった場合に、作業者が切替スイッチを薄物用設定から厚物用設定に切り替える。これによって、送り歯34の運動軌跡が薄物用軌跡802から厚物用軌跡902(図13参照)に自動で切り替わる。この為、切替スイッチが薄物用設定の場合に比べ、送り歯34の終了タイミングが自動で早くなる。よって、第一実施形態と同様に、ミシン1は布100の移動が終了する前に縫針8が布100に刺さることを防止し、縫製品質の悪化を防止できる。ミシン1は、縫針8の曲がり、折れが発生することを防止できる。また、作業者がミシン1の縫製動作を止めて終了タイミングの調整を行う必要がない。故に、ミシン1は作業者の縫製作業の効率を向上することができる。
作業者が切替スイッチを薄物用設定から厚物用設定に切り替えれば、薄物用設定の場合に比べ、送り歯34の開始タイミングが自動で遅くなる。この為、第一実施形態と同様に、布厚が大きい場合でも、布100に対して送り歯34が滑ることがなく、確実に布100を搬送することができる。よって、縫製品質の悪化を防止できる。また、作業者が送り歯34の駆動機構を調整する機構を手動で調整する必要がない。故に、ミシン1は作業者の縫製作業の効率を向上することができる。
作業者が切替スイッチを薄物用設定から厚物用設定に切り替えれば、薄物用設定の場合に比べ、送り歯34の後方向(布100を送る方向)への速度より早くなる。この為、第一実施形態と同様に、布厚の変化前後における布100の搬送量(図13の距離L)を同一にすることができる。よって、布厚が変化した場合に、縫製の間隔(縫目の長さ)が変化することがなく、縫製品質を維持することができる。
上記第一〜第三実施形態では、CPU44は、運動軌跡のデータを切り替えることで、送り歯34の運動軌跡を変更していた。しかし、これに限定されない。例えば、CPU44は、布送り軸角を算出する数式を用いて、送り歯34の運動軌跡を変更してもよい。以下、この変形例である第四実施形態について説明する。
第四実施形態では、以下の式(1)〜(10)を用いて運動軌跡を変更する。式(1)〜(10)では、布送り軸角を「M」、上軸角を「N」、布100の布厚を「Z」で表している。ROM45は式(1)〜(10)を記憶する。
α=12*Z ・・・(1)
M=30×SIN(-60+(N-(-60+(α/2))×180/(180-α)+60)/2)° ・・・(2)
M=30 ・・・(3)
M=30×SIN(-120+(N-(-120+(α/2))×180/(180-α)+60)/2)° ・・・(4)
M=0 ・・・(5)
M=30×SIN(-300+(N-(-300+(α/2))×180/(180-α)+60)/2)° ・・・(6)
M=-30 ・・・(7)
M=30×SIN(-480+(N-(-480+(α/2))×180/(180-α)+60)/2)° ・・・(8)
M=0 ・・・(9)
M=30×SIN(-660+(N-(-660+(α/2))×180/(180-α)+60)/2)° ・・・(10)
ここで、上記式(2)〜(10)は、それぞれ、上軸角「N」が以下の使用範囲にある場合に使用する。
式(2)の使用範囲は、Nが0°〜(120−α/2)°にある時
式(3)の使用範囲は、Nが(120−α/2)°〜(120+α/2)°にある時
式(4)の使用範囲は、Nが(120+α/2)°〜(300−α/2)°にある時
式(5)の使用範囲は、Nが(300−α/2)°〜(300+α/2)°にある時
式(6)の使用範囲は、Nが(300+α/2)°〜(480−α/2)°にある時
式(7)の使用範囲は、Nが(480−α/2)°〜(480+α/2)°にある時
式(8)の使用範囲は、Nが(480+α/2)°〜(660−α/2)°にある時
式(9)の使用範囲は、Nが(660−α/2)°〜(660+α/2)°にある時
式(10)の使用範囲は、Nが(660+α/2)°〜720°にある時
尚、式(2)〜(4)、(6)、(8)、(10)中の「30」と式(7)中の「−30」は、布100の搬送量(図13の距離L)に比例して可変の値である。
式(1)より、αの値は布厚「Z」に関係している。式(2)〜(10)で算出する布送り軸角「M」は、αの値に応じて変化する。即ち、上軸角と布送り軸角との対応関係は、布厚に応じて変化する。ここで、αの値は、布送りモータ35が止まって待機する角度の範囲(上軸角の角度の幅)を示している。以下の説明では、αを「停滞角度」という。
例えば、CPU44が、布厚「Z」を5mmと検出した場合、CPU44は、式(1)より停滞角度α=60°と算出する。この状態で上軸角が0°〜720度の範囲で変化する場合、式(2)〜式(10)による上軸角と布送り軸角との対応関係は、対応関係901(図12参照)となる。この為、送り歯34は厚物用軌跡902(図13参照)と同じ運動軌跡で駆動する。布厚「Z」が5mmでは、停滞角度αが60°であるので、厚物用軌跡902における布送りモータ35が止まって待機する角度の範囲(例えば、図12の符号902Cから902E間など)は、60°である。
仮に、布厚「Z」が0mmであれば、式(1)より、停滞角度αの値は0°となる。即ち、布送りモータ35が止まって待機する角度の範囲はない。この状態で上軸角が0°〜720度の範囲で変化する場合、式(2)〜式(10)による上軸角と布送り軸角との対応関係は、対応関係801(図12参照)となる。この為、送り歯34は薄物用軌跡802(図13参照)と同じ運動軌跡で駆動する。このように、停滞角度αが大きくなるほど、布送りモータ35が止まって待機する角度の範囲(図13の902Cから902D間など)が大きくなる。換言すれば、布100の布厚が大きいほど、開始タイミングが遅くなり、終了タイミングが早くなる。
図20を参照して、第四布送り処理について説明する。第四布送り処理は、布送り軸角を算出する数式を用いて送り歯34の運動軌跡を変更して、布100を搬送する処理である。以下の説明では、第一布送り処理(図16参照)と同様の処理は同じ符号で示し、詳細の説明は省略する。
ミシン1の電源がオンすると、CPU44は第四布送り処理を開始する。CPU44は上軸角を取得し(S12)、布100の布厚を取得する(S13)。CPU44は、式(1)〜(10)をROM45から読み出し、S12で取得した上軸角を「N」に代入し、S13で取得した布100の布厚を「Z」に代入することで、布送り軸角「M」を算出する(S41)。CPU44は、布送りモータ35を制御して、S41で取得(算出)した布送り軸角になるように駆動軸36を回動する(S17)。例えば、布100の布厚が5mmであれば、送り歯34は、厚物用軌跡902(図13参照)と同じ運動軌跡で駆動する。布100の厚みが変化すれば、式(1)〜式(10)に従って、送り歯34の運動軌跡が変化する。よって、開始タイミング及び終了タイミングが変化する。処理はS18に進む。上軸角が変化した場合、処理はS12に戻る。第四布送り処理はミシン1の電源がオフとなると終了する。
以上のように、CPU44は本実施形態の処理を行う。本実施形態では、CPU44が、布送り軸角を算出して布送りモータ35を駆動制御し、送り歯34を駆動する。この過程で、CPU44は、開始タイミング及び終了タイミングを算出している。即ち、CPU44は、布100の布厚に応じて開始タイミング及び終了タイミングを算出している。そして、CPU44は、算出した開始タイミング及び終了タイミングで布送りモータ35を駆動制御する。このように、本実施形態では、CPU44は布100の布厚に応じて送り歯34の運動軌跡を変更することができる。よって、CPU44は布厚に応じて適切に布100を送ることができ、縫製品質の悪化を防止できる。
上記実施形態において、メインモータ13及び上下動力機構47が本発明の「上下動作手段」に相当する。動力伝達機構40が本発明の「動力機構」に相当する。布送りモータ35が本発明の「モータ」に相当する。S15、S16、S24、及びS17の処理を行うCPU44が本発明の「モータ制御手段」相当する。S14、S22、S23の処理を行うCPU44が本発明の「布厚判断手段」に相当に相当する。操作部10の切替スイッチが本発明の「切替手段」に相当する。
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第四実施形態では、布100の布厚を取得して布送り軸角を算出し、自動で送り歯34の運動軌跡を変更していた。しかし、これに限定されない。例えば、CPU44は、布送り軸角を算出する数式を切替スイッチ等で変更して、送り歯34の運動軌跡を変更してもよい。例えば、ROM45が、布厚「Z」が0mmの時の式(2)〜(10)の数式を、薄物用の計算式として記憶する。ROM45が、布厚「Z」が5mmの時の式(2)〜(10)の数式を、厚物用の計算式として記憶する。そして、例えば、第三実施形態におけるS15及びS16の処理を変更する。CPU44は、操作部10の切替スイッチが厚物用設定でない場合(S31:NO)、薄物用の計算式から布送り軸角を算出する(S15)。CPU44は、操作部10の切替スイッチが薄物用設定である場合(S31:YES)、厚物用の計算式から布送り軸角を算出する(S16)。CPU44は、算出した布送り軸角で送り歯34を駆動制御する。本変形例では、布100の布厚に応じて、送り歯34の運動軌跡を変更することができる。よって、ミシン1は、布厚に応じて適切に布100を送ることができ、縫製品質の悪化を防止できる。尚、数式の切り替えは、切替スイッチに連動しなくてもよい。例えば、第一、第二実施形態と同様に、CPU44は、布厚を取得して、取得した布厚に応じて数式を切り替えてもよい。
また、第三実施形態は、作業者は、操作部10の切替スイッチで送り歯34の運動軌跡を切り替えていたが、これに限定されない。例えば、作業者は、切替スイッチではなく、タッチパネル等を操作して運動軌跡を切り替えてもよい。
また、第一、第二、第四実施形態では、CPU44は布厚を検出する場合に、ホールセンサ73を用いていたが、これに限定されない。例えば、CPU44は、ホールセンサ73ではなく、押え棒63の高さ位置を検出するポテンショメータを用いて、布厚を検出してもよい。ポテンショメータは、押え棒63の上下動に応じて、その抵抗値が変化する。抵抗値の変化は電圧の変化としてCPU44に入力する。CPU44は、電圧の変化を検出して布100の布厚を検出する。
また、ミシン1は、ホールセンサ73ではなく、押え棒63の高さ位置が閾値以上に高くなる場合にOFFからONに切り替わるスイッチを備えてもよい。この場合、該スイッチは、例えば、押え棒63の押え棒抱き59が閾値より上昇した場合に、押え棒抱き59により押下される位置に配置する。又は、スイッチは、押え棒63の上下動に連動する機構により押下されるように構成する。CPU44は、スイッチのOFFとONとの切り替えに連動して送り歯34の運動軌跡を変更する。
図13に示す送り歯34の運動軌跡に対する針板15の上下の位置は、図13の場合に限定されない。例えば、針板15の上下の位置は、図13に示す場合よりやや上側にあってもよい。この場合は、布100の搬送量が薄物用軌跡802と厚物用軌跡902とで同じになるように、厚物用軌跡902における送り歯34の移動速度、開始タイミング、終了タイミング等を調整すればよい。
送り歯34の運動軌跡は、上述の実施形態の場合に限定されない。例えば、送り歯34の送りタイミングと終了タイミングとの一方を変更してもよい。送りタイミングのみを変更する場合、例えば、送り歯34が図21に示す運動軌跡96で駆動する。
送りタイミング又は終了タイミングを変更する場合に、送り歯34の前後方向への動作が停止していたが、これに限定されない。例えば、送り歯34は、停止するのではなく、低速で動いてもよい。送り歯34が送りタイミング及び終了タイミングの変更時に低速で動作する場合、例えば、送り歯34が図22に示す運動軌跡97で駆動する。運動軌跡97では、布の搬送開始時と(紙面右側)と搬送終了時(紙面左側)とが、やや丸みを帯びている。このように、送り歯34を上下方向に動作する為の構成と前後方向に動作する為の構成とが異なるので、CPU44は、様々な運動軌跡で送り歯34を駆動できる。
1 ミシン
10 操作部
13 メインモータ
17 押え足
34 送り歯
35 布送りモータ
36 駆動軸
40 動力伝達機構
44 CPU
47 上下動力機構
73 ホールセンサ
80 薄物用軌跡データ
90 厚物用軌跡データ
95、96、97 運動軌跡
100 布
802 薄物用軌跡
902 厚物用軌跡

Claims (9)

  1. 布を水平方向に送る送り歯を支持する送り台と、
    前記送り台に上下方向の動作を付与する上下動作手段と、
    前記送り台に前記布を搬送する方向である搬送方向の動作を付与する動力機構とを備えるミシンにおいて、
    前記動力機構を動作させるモータと、
    前記モータを駆動制御して、前記上下動作手段による前記送り歯の上下方向の動作に応じて前記送り歯を前記搬送方向に動作させるモータ制御手段であって、前記送り歯の上下方向の動作に対する前記送り歯の前記搬送方向への動作の開始タイミング又は終了タイミングを少なくとも変更するモータ制御手段と
    を備えたことを特徴とするミシン。
  2. 前記布の布厚が所定の閾値より大きいか否かを判断する布厚判断手段を備え、
    前記モータ制御手段は、前記布厚判断手段によって前記布厚が前記閾値より大きいと判断された場合、前記終了タイミングを、前記布厚が前記閾値より大きいと判断されなかった場合における前記終了タイミングより早くするよう前記モータを駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記モータ制御手段は、前記布厚判断手段によって前記布厚が前記閾値より大きいと判断された場合、前記開始タイミングを、前記布厚が前記閾値より大きいと判断されなかった場合における前記開始タイミングより遅くするよう前記モータを駆動制御することを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. 前記モータ制御手段は、前記布厚判断手段によって前記布厚が前記閾値より大きいと判断された場合、前記送り歯の前記搬送方向の動作の速度を、前記布厚が前記閾値より大きいと判断されなかった場合における前記速度より速くするよう前記モータを駆動制御することを特徴とする請求項2又は3に記載のミシン。
  5. 前記所定の閾値は複数設けられ、
    前記布厚判断手段は、其々の前記閾値について、前記布の布厚が前記閾値より大きいか否かを判断し、
    前記モータ制御手段は、前記布厚判断手段によって前記布厚が前記閾値より大きいと判断された場合、該閾値に応じて前記開始タイミング又は前記終了タイミングを変更するよう前記モータを駆動制御することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のミシン。
  6. 前記布の布厚に応じて状態を切替可能な切替手段を備え、
    前記モータ制御手段は、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられた場合に、前記送り歯の前記搬送方向の動作の終了タイミングを、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられていない場合における前記終了タイミングより早くするよう前記モータを駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  7. 前記モータ制御手段は、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられた場合に、前記送り歯の前記搬送方向の動作の開始タイミングを、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられていない場合における前記開始タイミングより遅くするよう前記モータを駆動制御することを特徴とする請求項6に記載のミシン。
  8. 前記モータ制御手段は、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられた場合に、前記送り歯の前記搬送方向の動作の速度を、前記切替手段が前記布厚が大きいことを示す状態に切り替えられていない場合における前記速度より速くするよう前記モータを駆動制御することを特徴とする請求項6又は7に記載のミシン。
  9. 前記布の布厚に応じた前記開始タイミング及び前記終了タイミングを算出する算出手段を備え、
    前記モータ制御手段は、前記算出手段で算出した前記開始タイミング又は前記終了タイミングで前記モータを駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
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