以下、本発明の実施形態を図面を参照し説明する。図1の右斜め下方、左斜め上方、右斜め上方、左斜め下方、上方、下方は、夫々、ミシン1の右方、左方、後方、前方、上方、下方である。
図1、図2を参照しミシン1の構成を説明する。ミシン1はベッド部3、脚柱部4、アーム部5を備える。ベッド部3はテーブル(図示略)のテーブル開口(図示略)に装着する。ベッド部3は左右方向に延びる。ベッド部3の上面は平面状である。脚柱部4はベッド部3の右端から上方に延びる。アーム部5は脚柱部4の上端から左方に延び、ベッド部3上面と対向する。
ベッド部3は上面左方側に針板15を備える。針板15は左側部に針穴2を有する。針板15は針穴2の左方、後方、右方、前方の夫々に送り歯穴21を備える。ベッド部3は内部に主モータ13(図5参照)、送り機構50、糸切り機構(図示略)、回転釜(図示略)を備える。主モータ13の駆動軸(図示略)は下軸プーリ36に連結する。送り機構50の構成は後述する。糸切り機構の構成は周知なので説明を省略する。回転釜は下糸を巻いたボビンを収容する。回転釜の構成は周知なので説明を省略する。
ミシン1はテーブル下方に制御装置30(図5参照)を備える。制御装置30はロッド(図示略)を介して踏み込み式のペダル22(図5参照)に接続する。ペダル22は布100に縫製を行う指示を行う。使用者はペダル22をつま先側又は踵側に操作する。制御装置30はペダル22の操作方向と操作量に応じてミシン1の動作を制御する。
脚柱部4は前面に操作部10、表示部11を備える。透明なタッチパッド16は、表示部11前面に設ける。作業者は表示部11を見ながらタッチパッド16を操作し、表示部11が表示する各種キーの選択等、各種の指示の入力を行う(以下、該操作をパネル操作という)。脚柱部4は右側面にプーリカバー9を取り付ける。プーリカバー9は上下方向に延びる。プーリカバー9は前面下部に開口部6を備える。開口部6はミシン1の電源スイッチ(図示略)を内側に配置する。
アーム部5は、内部に上軸(図示略)を有する。上軸は左右方向に延びる。上軸は右端部に上軸プーリ(図示略)を介してプーリ軸(図示略)と連結する。プーリ軸はプーリ14に固定する。上軸プーリは上軸の右端部に固定する。上軸プーリは脚柱部4内部に設けた環状の帯体であるタイミングベルト(図示略)を介して下軸プーリ36と連結する。アーム部5の左端部内部には、上軸と連結する上下機構(図示略)を設ける。
アーム部5は左端部に頭部12を備える。頭部12はアーム部5の左端部から下方に延びる。頭部12の下端部は針板15と対向する。頭部12は針棒7を上下動可能に支持する。針棒7はアーム部5の内部で上下動機構と連結する。針棒7は下端に縫針8を装着する。上軸が回転することで上下動機構は針棒7と縫針8を上下に往復移動する。縫針8の下端は上糸を挿通し、下降時に針穴2を通過する。主モータ13は下軸プーリ、タイミングベルト、上軸プーリを介して上軸を回転する。針棒7と縫針8は主モータ13の駆動により上下に往復移動する。縫針8が上下動することにより、回転釜と協働して布100(図4参照)に縫目を形成する。
頭部12は下端部に押え棒18を支持する。押え棒18は、針棒7よりも後方に位置する。押え棒18は上下方向に延びる。押え棒18の下端部は押え足17を支持する。押え足17は後述の送り歯34(図2参照)に対向する。押え棒18はアーム部5の内部に設けた押え足駆動機構(図示略)の駆動で上下動する。頭部12の右側面は後述の無段階スイッチ支持機構70を取り付ける。
図2を参照し送り機構50について説明する。送り機構50は送り台33、上下送り機構35、送り歯34、水平送り機構25を備える。送り台33は針板15と略平行に針板15下方に配置する。送り歯34は送り台33上面の中心近傍に固定する。送り歯34は送り歯穴21の位置に対応する。送り歯34は前後方向に長い。送り歯34の前後方向の長さは送り歯穴21の長さより短い。送り歯34は押え足17との間で布100(図4参照)を挟む為の凹凸を上部に備える。
上下送り機構35は上下送り軸37、偏心部38、リンク部材39を備える。上下送り軸37はベッド部3に回動可能に支持してあり、上軸(図示略)に対して平行に左右方向に延びる。上下送り軸37右端部は下軸プーリ36と連結する。上下送り軸37は主モータ13の駆動により回転する。故に、上下送り軸37と上軸は同期して回転する。
偏心部38は上下送り軸37の左端に設ける。偏心部38は上下送り軸37の軸心に対して偏心している。リンク部材39は送り台33の後端に回転可能に設ける。リンク部材39は偏心部38を回転可能に保持する。偏心部38は上下送り軸37の回転によりリンク部材39を介して送り台33を上下動する。ミシン1では針棒7と縫針8が上下に一往復する間に送り歯34と送り台33は上下に一往復する。即ち、ミシン1では縫針8の上下動と送り歯34の上下動は機械的に同期する。
水平送り機構25は、布送りモータ23、リンク機構部40、水平送り軸28、リンク部材31等を備える。布送りモータ23はベッド部3の内部であって、送り台33の右方に配置してある。布送りモータ23はパルスモータであり、駆動軸24を所定角度の範囲で回動することができる。布送りモータ23は送り台33を前後方向に移動する。
リンク機構部40は中間作用腕29、第一腕部26、第二腕部27を備える。第一腕部26の一端は布送りモータ23の駆動軸24の先端に取り付ける。第一腕部26は駆動軸24と直交する。第一腕部26の他端は第二腕部27の一端に連結部32を介して回動可能に連結する。第二腕部27の他端は中間作用腕29の後端に回動可能に連結する。中間作用腕29前端は水平送り軸28の右端側に固定する。
水平送り軸28は布送りモータ23の左上方でベッド部3に回動可能に支持する。水平送り軸28は左右方向に延びる。駆動軸24が往復回動すると連結部32は第一腕部26により前後方向に移動する。中間作用腕29は水平送り軸28を取り付けた側を中心に上下方向に揺動する。水平送り軸28は中間作用腕29の揺動に伴って所定角度の範囲内で回動する。
リンク部材31の下端は水平送り軸28の左端部に直交して固定する。リンク部材31の上端は送り台33の後端に回動可能に連結する。水平送り軸28が所定角度の範囲内で回動すると、送り台33はリンク部材31を介して前後方向に往復移動する。
送り台33が上昇すると、送り歯34は送り歯穴21から針板15の上方に突出し押え足17との間に布100を挟む。送り歯34が針板15の上方に位置している間、縫針8は布100に刺さらない。縫製の実行中、ミシン1は主モータ13の駆動軸と布送りモータ23の駆動軸24の回転角位相を監視する。ミシン1は主モータ13と布送りモータ23の同期をとり、送り歯34が針板15上方に位置している間に布送りモータ23を駆動する。故に、布100は縫針8が刺さっていない状態で前後方向に移動する。送り台33が下降すると、送り歯34は針板15の下方に位置する。送り歯34が針板15の下方に位置すれば、送り歯34が前後方向に移動しても布100は移動しない。縫針8は送り歯34が針板15の下方に位置している間に布100に縫い目を形成する。以上のように、ミシン1は送り機構50の水平方向の駆動と縫針8の駆動を別のモータで実行する。
ミシン1は主モータ13の駆動軸に対する布送りモータ23の駆動軸24の回転角位相を調整することで、送り歯34の針板15上方に位置している間における移動方向を前方又は後方に変更できる。ミシン1は布送りモータ23の駆動軸24の回動範囲を調整することで、送り台33と送り歯34の前後方向の移動量を調整できる。故に、ミシン1は、縫針8(図1参照)が上下方向に1往復する間に、布100が前後方向に移動するピッチ(送り量)を調整できる。ミシン1は主モータ13の駆動軸に対する布送りモータ23の駆動軸24の回転角位相を調整し、布送りモータ23の駆動軸24の回動開始と回動停止のタイミングを変更することで、送り台33と送り歯34が移動する軌跡を変更できる。
図3を参照し無段階スイッチ支持機構70について説明する。無段階スイッチ支持機構70はカバー80、電気基板64、ホールセンサ65、磁石85、出力部150、無段階スイッチ71を備える。出力部150はカバー80の内部に配置する。無段階スイッチ71は、操作量に応じてミシン1を動作可能な無段階のスイッチである。無段階とは、無段階スイッチ71が移動する範囲において、各種のミシン設定(後述)に基づく動作を実行する位置に、引っ掛かりがないことをいう。無段階スイッチ71は前後方向に往復移動可能である。
カバー80は左方に開口する箱状である。カバー80は頭部12(図1参照)下部の右側面を部分的に覆う。電気基板64はカバー80右側面の内側に配置する。ホールセンサ65及び駆動回路60(図5参照)は電気基板64上に実装する。ホールセンサ65はカバー80の内側の上後部に位置する。
無段階スイッチ71は、操作部72、挿通部73、支持部74を備える。無段階スイッチ71は、前後方向に延び、前壁部801の前方から、前壁部801の切欠部81を通過してカバー80の内部にまで達する。無段階スイッチ71は前後方向に移動可能である。操作部72は前壁部801の前方に位置し、無段階スイッチ71前端部を形成する。操作部72は正面視で略円形、且つ前後方向の幅を有する板状部材である。挿通部73は操作部72の後端部から後方に延びる略棒状である。挿通部73は切欠部81を通過してカバー80の内部まで延びる。
挿通部73はカバー80の内部に位置する部分の上端部から右方に延びる突起部78を備える。突起部78はカバー80の内部の挿通部73上方に設けたバネ75の一端部と接続する。バネ75の他端部はカバー80内側を上下方向に延びる内壁部802と接続する。バネ75は挿通部73の突起部78を介して無段階スイッチ71を常に前方に付勢する。作業者は無段階スイッチ71を操作する場合、操作部72をバネ75の付勢力に抗して後方に押し込む。作業者が無段階スイッチ71を操作しない状態では、無段階スイッチ71はバネ75の付勢力により突起部78が前壁部801の内側面に当接する位置にある。
支持部74は後方と右方に開口を有する略箱状であり、挿通部73の後端部から後方に延びる。支持部74は内側面に磁石85を取り付ける。無段階スイッチ71の操作量(最も前側にある位置から後方への移動量)に応じて、磁石85の前後方向の位置は変化する。ホールセンサ65が検出する磁石85の磁界は、磁石85の前後方向の位置の変化に伴い変化する。故にホールセンサ65が出力する電圧の電圧値は変化する。CPU44は、ホールセンサ65に接続する駆動回路60(図5参照)が出力する電圧の電圧値Vに応じて無段階スイッチ71の操作量を検出する。使用者が無段階スイッチ71を前後方向に移動すると、CPU44(図5参照)は無段階スイッチ71の操作量に応じてミシン1の種々の設定を切り替える。
出力部150はカバー80の内側の上後部に設ける。出力部150は電気基板64と導線601に電気的に接続する。導線601は制御装置30(図5参照)と電気的に接続する。
図4を参照し針板15上に配置した布100の布厚を検出する機構を説明する。アーム部5左端部は押え棒18、バネ69、押え足駆動機構(図示略)等を内部に備える。押え棒18はアーム部5内を上下方向に延び、下端がアーム部5の頭部12下端から下方に突出する。押え棒18は下端に押え足17を装着する。押え棒18は上下方向の中央部に押え棒抱き59を備える。押え棒18は押え棒抱き59上側にバネ69を備える。摘み部79はアーム部5上端に設け且つバネ69上端に当接する。バネ69は押え棒抱き59を下方に付勢する。膝操作レバー(図示略)の操作又はCPU44(図5参照)の指示によって、押え足駆動機構は押え棒抱き59を上方向に移動し、押え足17を上方向に移動する。膝操作レバーの操作又はCPU44の指示によって押え足駆動機構が押え棒抱き59を上方向に移動するのを止めると、バネ69が押え棒抱き59を下方に押圧するので、押え足17は下降する。押え足17は針板15上に配置した布100を下方に押圧する。押え足駆動機構は押え上げソレノイド67(図5参照)に接続する。押え上げソレノイド67はCPU44の指示によって押え足駆動機構を駆動し、押え棒抱き59と押え足17を上下方向に移動する。
押え棒抱き59は左側面に板状部位591を備える。板状部位591は左面下部に磁石592を備える。アーム部5は板状部位591左面に対向する電気基板76を備える。電気基板76はアーム部5左端の取付板(図示略)に固定する。電気基板76と板状部位591は互いに離間する。電気基板76は右面にホールセンサ77を実装する。ホールセンサ77は駆動回路56を介してCPU44に接続する(図5参照)。
ホールセンサ77は磁石592の磁界を検出する。磁石592の上下位置(昇降位置)は押え足17と押え棒18の上下位置(昇降位置)の変化に伴い変化する。ホールセンサ77が検出する磁界は磁石592の上下位置の変化に伴い変化する。故にホールセンサ77が出力する電圧の電圧値は変化する。CPU44はホールセンサ77が出力する電圧の電圧値に応じて押え足17の上下位置を検出する。CPU44は押え足17の上下位置に基づき、押え足17と針板15の間の布100の布厚を検出する。
図4を参照し布100の一例を説明する。布100は、薄物部101、厚物部102、及び段差部103を備えている。薄物部101は、1枚の布の部分である。厚物部102は、2枚の布が重なった部分であり、薄物部101よりも布厚が厚い。段差部103は、薄物部101の上面と、厚物部102の上面とを接続する段差であり、上側の布の後端面である。本実施形態では、薄物部101の布厚は2mmとし、厚物部102の布厚は4mmとする。
図5を参照しミシン1の電気的構成を説明する。ミシン1の制御装置30はCPU44を備える。CPU44はミシン1の制御を司る。CPU44はROM45、RAM46、記憶装置49、I/Oインターフェース(以下、I/Oという)48と接続する。ROM45は後述するメイン処理(図6参照)等、各種処理を実行する為のプログラム等を記憶する。RAM46はプログラムを実行する為に必要な各種値を一時的に記憶する。記憶装置49は不揮発性記憶装置であり、後述する第一対応データ95(図11参照)、第二対応データ96(図14参照)、各種値などを記憶する。
I/O48はペダル22、操作部10に接続する。CPU44はペダル22の操作方向と操作量を取得する。CPU44は操作部10とペダル22から作業者が入力した指示を取得する。I/O48は駆動回路52〜56,60,66に接続する。駆動回路52は表示部11を駆動する。駆動回路55はタッチパッド16を駆動する。作業者は表示部11を確認しながら操作部10又はタッチパッド16を操作し、ミシン1に指示を入力する。
駆動回路53はCPU44が入力するトルク指令信号に応じて主モータ13を駆動する。ミシン1は主モータ13の駆動軸(図示略)の回転角位相(以下、上軸角と称す)と回転速度を検出する為の主エンコーダ57を備える。主エンコーダ57は主モータ13の上軸角と回転速度の検出結果をI/O48を介してCPU44に出力する。
駆動回路54はCPU44が入力する布送り駆動信号に応じて布送りモータ23を駆動する。CPU44は布送りモータ23の駆動軸24の回転を制御し、送り歯34を駆動する。布送りモータ23はパルスモータである。布送りモータ23の布送り駆動信号はパルス信号である。ミシン1は布送りモータ23の駆動軸24の回転角位相(以下、布送り軸角と称す)と回転速度を検出する為の布送りエンコーダ58を備える。布送りエンコーダ58は布送りモータ23の布送り軸角と回転速度の検出結果をI/O48を介してCPU44に出力する。駆動回路56はホールセンサ77を駆動する。駆動回路56はホールセンサ77が出力する電圧を増幅等し、I/O48を介してCPU44に出力する。駆動回路60はホールセンサ65を駆動する。駆動回路60はホールセンサ65が出力する電圧を増幅等し、I/O48を介してCPU44に出力する。駆動回路66は押え上げソレノイド67を駆動する。CPU44は押え上げソレノイド67のプランジャ(図示略)を制御し、押え足駆動機構を駆動して押え棒抱き59と押え足17を上下方向に移動する。
図9を参照しメータ151と段階表示部161について説明する。CPU44は、無段階スイッチ71の操作量を表示するメータ151を表示部11に表示する。CPU44はメータ115に表示する無段階スイッチ71の操作量を、操作量に応じて変化させて表示するように制御する。CPU44はメータ151の下側に、段階表示部161を表示する。本実施形態では一例として、CPU44は、段階表示部161を1〜4の4段階に区切るとする。
メータ151は、左右方向に長い枠部152と操作量表示部153を備えている。操作量表示部153は、枠部152の左端から右方向に黒色で塗りつぶした範囲であり、塗りつぶした範囲の右端154の位置が、無段階スイッチ71の操作量に応じて左右方向に変化する。
作業者が無段階スイッチ71を操作しない状態では、無段階スイッチ71は最前方に位置し、駆動回路60が出力する電圧の電圧値VがV1となる。作業者が無段階スイッチ71を後方向に操作すると、駆動回路60が出力する電圧の電圧値Vは、V1から、V2、V3、V4を介してV5まで変化する。該場合、操作量表示部153の右端154の位置は、枠部152の左端から右端に向けて連続的に変化する。段階表示部161の左右の端と各段階の区切りの位置は、電圧値V1〜V5の値に対応している。例えば、駆動回路60が出力する電圧の電圧値VがV3とV4の間である場合、図9に示す如く、操作量表示部153の右端154は、段階表示部161の3段階目の上側に位置する。作業者は、無段階スイッチ71を3段階目まで操作したことを容易に認識できる。
図6を参照しメイン処理を説明する。ミシン処理は、設定モード、確認モード、布100の縫製等を実行する処理である。ミシン1の電源がオンすると、CPU44はROM45からメイン処理のプログラムを読み出し、RAM46に展開してメイン処理を開始する。CPU44は、設定モードキー、割当選択キー、確認モードキーを表示部11に表示する(S11)。CPU44は、タッチパッド16の出力に基づき、設定モードキーのパネル操作を検出したか否かを判断する(S12)。設定モードキーのパネル操作を検出した場合(S12:YES)、CPU44は設定モード処理を実行する(S13)。
図7を参照し設定モード処理を説明する。設定モード処理は設定モードを実行する処理である。設定モードは、ミシンの動作に関する設定であるミシン設定に基づく動作を実行する無段階スイッチ71の操作量を設定するモードである。ミシン設定は、ピッチと、ピッチ以外のミシンの機能であるミシン機能を含む。ミシン機能の具体例については後述する。
CPU44は、設定選択画面(図示略)と終了キーを表示部11に表示する(S31)。設定選択画面は、ピッチ設定キー、停止時ミシン機能設定キー、縫製時ミシン機能設定キーを含む。CPU44はタッチパッド16の出力に基づき、ピッチ設定キー、停止時ミシン機能設定キー、縫製時ミシン機能設定キーの何れかのパネル操作を検出したか否かを判断する(S32)。ピッチ設定キー、停止時ミシン機能設定キー、縫製時ミシン機能設定キーの何れかのパネル操作を検出していない場合(S32:NO)、CPU44はタッチパッド16の出力に基づき、終了キーのパネル操作を検出したか否かを判断する(S33)。終了キーのパネル操作を検出していない場合(S33:NO)、CPU44は処理をS31に戻す。
ピッチ設定キー、停止時ミシン機能設定キー、縫製時ミシン機能設定キーの何れかのパネル操作を検出した場合(S32:YES)、CPU44はS32の処理において検出したパネル操作がピッチ設定キーであるか否かを判断する(S34)。ピッチ設定キーのパネル操作を検出していない場合(S34:NO)、CPU44はS32の処理において検出したパネル操作が停止時ミシン機能設定キーであるか否かを判断する(S35)。停止時ミシン機能設定キーのパネル操作を検出した場合(S35:YES)、CPU44はミシン機能設定画面110、決定キー113、終了キー114を表示部11に表示する(S36)。該時、CPU44はミシン機能設定画面110の停止時機能設定画面110A(図9参照)を表示する。停止時ミシン機能設定キーのパネル操作を検出していない場合(S35:NO)、CPU44はミシン機能設定画面110、決定キー113、終了キー114を表示部11に表示する(S41)。該時、CPU44はミシン機能設定画面110の縫製時機能設定画面110B(図10参照)を表示する。
図9及び図10を参照しミシン機能設定画面110を説明する。ミシン機能設定画面110は停止時機能設定画面110A(図9参照)と、縫製時機能設定画面110B(図10参照)との間で切り替え可能である。ミシン機能設定画面110は、複数の機能キー112、メータ151、段階表示部161を備えている。CPU44は停止時機能設定画面110Aを表示する時、切替キー111に「停止時」と表示し(図9参照)、縫製時機能設定画面110Bを表示する時、切替キー111に「縫製時」と表示する(図10参照)。
以下の説明において、無段階スイッチ71のON状態とは、CPU44がミシン機能を実行する操作量に無段階スイッチ71が達している状態である。無段階スイッチ71のOFF状態とは、CPU44がミシン機能を実行する操作量に無段階スイッチ71が達していない状態である。図9に示す如く、停止時機能設定画面110Aの時の機能キー112は、縫製を停止している時に実行可能な種々のミシン機能を表示したキーである。一針補正縫いは、無段階スイッチ71がON状態になると、主モータ13と布送りモータ23を駆動して一針分だけ縫製を行う機能である。糸切りは、無段階スイッチ71がON状態になると、糸切り機構を駆動して糸を切断する機能である。押え上げ(オルタネイト)は、無段階スイッチ71がON状態になる度に押え上げソレノイド67を制御して押え棒18と押え足17の上昇と下降を交互に実行する機能である。押え上げ(モメンタリ)は、無段階スイッチ71がON状態になっている間だけ、押え上げソレノイド67を制御して押え棒18と押え足17を上昇する機能である。下糸カウンタリセットは、無段階スイッチ71がON状態になると、上述のボビンに巻いた下糸の残量をカウントするカウンタ(図示略)をリセットする機能である。カウンタの構成は周知なので説明を省略する。半針補正は無段階スイッチ71がON状態になる度に、針棒7の上昇と下降とを交互に実行する機能である。即ち、半針補正は、一針補正縫いの半分の動作を実行する機能である。逆転補正は、無段階スイッチ71がON状態になると、主モータ13と布送りモータ23を駆動して前方に布100を搬送して一針だけ縫製を行う機能である。OFFは、無段階スイッチ71がON状態になっても、実行するミシン機能を割り当てない状態である。
図10に示す如く、縫製時機能設定画面110Bの時の機能キー112は、縫製を行っている時に実行可能なミシン機能を表示したキーである。段差部軌跡(オルタネイト)は無段階スイッチ71がON状態になる度に、段差部軌跡機能のONとOFFを交互に切り替える機能である。図4に示す如く、布100の縫製時に、押え足17が段差部103を乗り越えて薄物部101から厚物部102に移動すると、ホールセンサ77を介して検出する布100の布厚が所定の閾値以上となる。段差部軌跡機能は、布厚が所定の閾値より小さい時に、薄物用の運動軌跡で送り歯34を駆動し、布厚が所定の閾値以上となった場合に、厚物用の運動軌跡で送り歯34を駆動する機能である。厚物用の運動軌跡は、薄物用の運動軌跡に比べて、布送りモータ23の駆動軸24の回動開始の時期が遅い。故に、送り歯34の水平方向への動作を開始する時の送り歯34の上下方向の位置は、薄物用の運動軌跡に比べて厚物用の運動軌跡の方が高くなる。故に、厚物部102を送り歯34と押え足17の間で強く挟んで水平方向に搬送でき、送り歯34が布100に対して滑る可能性を低減できる。
段差部軌跡(モメンタリ)は無段階スイッチ71がON状態になっている間だけ、段差部軌跡機能をONにする機能である。逆転縫製は、無段階スイッチ71がON状態になると、主モータ13と布送りモータ23を駆動して前方に布100を搬送して縫製を行う機能である。糸切りとOFFは停止時機能設定画面110Aの場合と同じである。
決定キー113は、機能キー112で選択した機能について、無段階スイッチ71がON状態となる操作量を決定するキーである。終了キー114はミシン機能設定画面110を使用するミシン機能の設定を終了するキーである。
設定モード処理の説明に戻る。図7に示す如く、S36で停止時機能設定画面110A、決定キー113、終了キー114を表示部11に表示した後、CPU44は駆動回路60が出力する無段階スイッチ71の操作量に応じた電圧の電圧値Vを検出する(S37)。該場合、作業者は無段階スイッチ71を所望の操作量となるように操作する。CPU44はタッチパッド16の出力に基づき、終了キー114のパネル操作を検出したか否かを判断する(S38)。終了キー114のパネル操作を検出していない場合(S38:NO)、CPU44はタッチパッド16の出力に基づき、決定キー113のパネル操作を検出したか否かを判断する(S39)。決定キー113のパネル操作を検出していない場合(S39:NO)、CPU44は処理をS36に戻す。決定キー113のパネル操作を検出した場合(S39:YES)、CPU44はミシン機能とS37の処理で検出した電圧値Vを対応付けた第一対応データ95(図11参照)を作成し、記憶装置49に記憶する(S40)。CPU44は処理をS36に戻す。
例えば、CPU44は一針補正縫いの機能キー112のパネル操作を検出すると、図9に示す如く、一針補正縫いの機能キー112を白黒反転して表示する(S36)。作業者が無段階スイッチ71の操作し(S37)、無段階スイッチ71の操作量が変化すると、CPU44はメータ151に表示する無段階スイッチ71の操作量を、操作量に応じて変化させて表示する(S36)。操作量は、操作量表示部153の右端154の位置で認識できる。作業者は、操作量表示部153の右端154の位置を確認しながら、一針補正縫いを実行する操作量を決定し、決定キー113をパネル操作する。例えば、無段階スイッチ71の操作量が、段階表示部161における2段階目から3段階目に入ったら一針補正縫いを実行させるとする。該場合、図9に示す如く、作業者は段階表示部161における3段階目の上側に、操作量表示部153の右端154が位置するように無段階スイッチ71を操作し、決定キー113をパネル操作する。CPU44は決定キー113のパネル操作を検出したと判断する(S39:YES)。該場合、図11に示す如く、CPU44は3段階目の以上の電圧値VであるV3≦V≦V5の範囲の電圧値と、ミシン機能である一針補正縫いとを対応付けて、記憶装置49に記憶する(S40)。
同様の操作により、作業者が他のミシン機能の夫々を実行する操作量を決定すると、CPU44は、第一対応データ95(図11参照)に示す如く、夫々のミシン機能と電圧値とを対応付けて、記憶装置49に記憶する(S37〜S40)。終了キー114のパネル操作を検出した場合(S38:YES)、CPU44は処理をS31に戻す。
上述の如く停止時ミシン機能設定キーのパネル操作を検出していない場合(S35:NO)、CPU44はミシン機能設定画面110、決定キー113、終了キー114を表示部11に表示する(S41)。S41の処理で縫製時機能設定画面110B、決定キー113、終了キー114を表示部11に表示した後、CPU44は駆動回路60が出力する無段階スイッチ71の操作量に応じた電圧の電圧値Vを検出する(S42)。該場合、作業者は無段階スイッチ71を所望の操作量となるように操作する。CPU44はタッチパッド16の出力に基づき、終了キー114のパネル操作を検出したか否かを判断する(S43)。終了キー114のパネル操作を検出していない場合(S43:NO)、CPU44はタッチパッド16の出力に基づき、決定キー113のパネル操作を検出したか否かを判断する(S44)。決定キー113のパネル操作を検出していない場合(S44:NO)、CPU44は処理をS41に戻す。決定キー113のパネル操作を検出した場合(S44:YES)、CPU44はミシン機能とS42の処理で検出した電圧値Vを対応付けた第一対応データ95(図11参照)を作成し、記憶装置49に記憶する(S45)。CPU44は処理をS41に戻す。
例えば、CPU44は逆転縫製の機能キー112のパネル操作を検出すると、図10に示す如く、逆転縫製の機能キー112を白黒反転して表示する(S41)。作業者が無段階スイッチ71の操作し(S42)、無段階スイッチ71の操作量が変化すると、CPU44はメータ115に表示する無段階スイッチ71の操作量を、操作量に応じて変化させて表示する(S41)。操作量は、操作量表示部153の右端154の位置で認識できる。作業者は、操作量表示部153の右端154の位置を確認しながら、逆転縫製を実行する操作量を決定し、決定キー113をパネル操作する。例えば、無段階スイッチ71の操作量が、段階表示部161における3段階目から4段階目に入ったら逆転縫製を実行させるとする。該場合、図10に示す如く、作業者は段階表示部161における4段階目の上側に、操作量表示部153の右端154が位置するように無段階スイッチ71を操作し、決定キー113をパネル操作する。CPU44は決定キー113のパネル操作を検出したと判断する(S44:YES)。該場合、図11に示す如く、CPU44は3段階目の以上の電圧値VであるV4≦V≦V5の範囲の電圧値と、ミシン機能である逆転縫製とを対応付けて、記憶装置49に記憶する(S45)。
同様の操作により、作業者が他のミシン機能の夫々を実行する操作量を決定すると、CPU44は、第一対応データ95(図11参照)に示す如く、夫々のミシン機能と電圧値とを対応付けて、記憶装置49に記憶する(S41〜S45)。終了キー114のパネル操作を検出した場合(S43:YES)、CPU44は処理をS31に戻す。
S34の処理でピッチ設定キーのパネル操作を検出した場合(S34:YES)、図8に示す如く、CPU44はピッチ設定画面120(図12参照)、決定キー121、終了キー122を表示部11に表示する(S46)。図12を参照しピッチ設定画面120を説明する。ピッチ設定画面120は、Y軸をピッチの変化量[%]、X軸を無段階スイッチ71の操作量とするグラフである。記憶装置49は、基準となるピッチ(以下、基準ピッチと称す)を記憶している。本実施形態では、基準ピッチは、後方向に布100を搬送する場合の2mmのピッチである。基準ピッチは、ピッチの変化量100%である。故に、ピッチの変化量200%は、4mmである。ピッチの変化量がマイナスとなる値は、前方向に布100を搬送することを表す。例えば、ピッチの変化量−100%は、布100を前方向に2mmのピッチで搬送することを表す。無段階スイッチの操作量1〜4は、段階表示部161の1〜4段階の範囲の夫々の操作量に対応している。作業者はピッチ設定画面120をパネル操作し、所望の操作量に、所望のピッチ変化量を設定することができる。
設定モード処理(図7参照)の説明に戻る。CPU44はタッチパッド16の出力に基づき、終了キー122のパネル操作を検出したか否かを判断する(S47)。終了キー122のパネル操作を検出していない場合(S47:NO)、CPU44はタッチパッド16の出力の基づき、ピッチを指定するパネル操作を検出したか否かを判断する(S48)。ピッチを指定するパネル操作とは、ピッチ設定画面120(図12参照)のグラフのうち、無段階スイッチ操作量の1〜4を示すY方向線129A,129B,129C,129D上を指定する操作である。ピッチを指定するパネル操作を検出していない場合(S48:NO)、CPU44は決定キー121のパネル操作を検出したか否かを判断する(S49)。決定キー121のパネル操作を検出していない場合(S50:NO)、CPU44は処理をS47に戻す。
ピッチを指定するパネル操作を検出した場合(S48:YES)、パネル操作を検出した位置(Y方向線129A,129B,129C,129D上)に星印を表示し、星印を結ぶ線を表示する(S50)。CPU44は処理をS47に戻す。CPU44は決定キー121のパネル操作を検出した場合(S49:YES)、ピッチと電圧値Vとを対応付けた第二対応データ96(図14参照)を作成し、記憶装置49に記憶する(S51)。CPU44は処理をS47に戻す。
図13に示す如く、例えば、作業者が無段階スイッチ71の操作量が1、ピッチの変化量が100%の位置をパネル操作すると、CPU44はピッチを指定するパネル操作を検出し(S48:YES)、星印123Aを表示する(S50)。次に作業者が無段階スイッチ71の操作量が4、ピッチの変化量が40%の位置をパネル操作すると、CPU44は星印123Bを表示し、星印123Aと星印123Bとを結ぶ線124Aを表示する(S50)。作業者は、Y方向線129A,129B,129C,129Dと線124Aとの交点を確認し、無段階スイッチ71の操作量と、ピッチの変化量との対応を確認する。
作業者が決定キー121をパネル操作すると、CPU44は決定キー121のパネル操作を検出し(S49:YES)、図14に示す如く、第二対応データ96におけるピッチ設定1を作成する(S51)。図13に示す如く、Y方向線129A,129B,129C,129Dと線124Aの交点におけるピッチの変化量は、夫々、100%、80%、60%、40%である。故に、CPU44は無段階スイッチ71の操作量の1〜4段階における駆動回路60が出力する電圧の電圧値Vと、ピッチを対応付け、図14のピッチ設定1を作成する。CPU44は処理をS47に戻す。
同様に、作業者が無段階スイッチ71の操作量が1、ピッチの変化量が100%の位置と、無段階スイッチ71の操作量が4、ピッチの変化量が−100%の位置をパネル操作したとする。該場合、CPU44は星印123A,123Cと、星印123A,123C同士を結ぶ線(図示略)を表示する(S50)。さらに、作業者が無段階スイッチ71の操作量が2、ピッチの変化量が−40%の位置をパネル操作すると、CPU44は、星印123Dを表示し、星印123A,123Dを結ぶ線124Bと、星印123D,123Cを結ぶ線124Cを表示する(S50)。CPU44は星印123A,123Cを結ぶ線を消去する(S50)。Y方向線129A,129B,129C,129Dと線124B,124Cの交点におけるピッチの変化量は、夫々、100%、−40%、−70%、−100%である。作業者が決定キー121をパネル操作すると、CPU44は第二対応データ96(図14参照)におけるピッチ設定2を作成し、記憶装置49に記憶する(S51)。図14に示すピッチ設定1、ピッチ設定2のように、記憶装置49は複数のピッチ設定を記憶できる。
図7に示す如く、CPU44は終了キー122のパネル操作を検出した場合(S47:YES)、処理をS31(図7参照)に戻す。CPU44は、S31の処理で表示した終了キーのパネル操作を検出した場合(S33:YES)、処理をメイン処理(図6参照)のS11に戻す。
図6に示す如く、設定モードキーのパネル操作を検出していない場合(S12:NO)、CPU44は、タッチパッド16の出力に基づき、割当選択キーのパネル操作を検出したか否かを判断する(S14)。割当選択キーのパネル操作を検出した場合(S14:YES)、CPU44は割当選択画面を表示部11に表示する(S15)。割当選択画面は、無段階スイッチ71に割り当てる機能を選択する画面である。割当選択画面は、第一対応データ95と第二対応データ96に登録してあるミシン設定(ミシン機能とピッチ設定)を選択するキーを含む。故に、CPU44は、図11に示すミシン機能(一針補正縫い、糸切り等)と、図14に示すピッチ設定1、ピッチ設定2の夫々を選択するキーを表示する。
CPU44は、タッチパッド16の出力に基づき、S15で表示したキーの何れかのパネル操作を検出したか否かを判断する(S16)。パネル操作を検出していない場合(S16:NO)、CPU44はS16を繰り返す。キーの何れかのパネル操作を検出した場合(S16:YES)、CPU44は検出したキーに対応するミシン設定(ミシン機能とピッチ設定)を無段階スイッチ71の操作で実行可能な状態に設定する(S17)。即ち、CPU44は無段階スイッチ71にミシン設定を割り当てる。作業者は、無段階スイッチ71を操作することによって、選択したミシン設定をミシン1に実行させることできる。CPU44は処理をS14に戻す。
割当選択キーのパネル操作を検出していない場合(S14:NO)、CPU44は確認モードキーのパネル操作を検出したか否かを判断する(S18)。確認モードキーのパネル操作を検出した場合(S18:YES)、CPU44は確認モード処理を実行する(S19)。
図15を参照し確認モード処理を説明する。確認モードは、ミシン設定が切り替わる操作量を作業者が確認するためのモードである。確認モード処理では、CPU44は、ミシン設定が切り替わる操作量を作業者に報知する。CPU44は選択画面130(図16参照)を表示する(S61)。図16に示す如く、選択画面130は、縫製中キー131と停止中キー132を含む。縫製中キー131は、縫製作業中に実行可能なミシン設定を実行する無段階スイッチ71の操作量とそのミシン設定を確認する場合に、作業者がパネル操作を行うキーである。停止中キー132は、縫製停止中に実行可能なミシン設定を実行する無段階スイッチ71の操作量とそのミシン設定を確認する場合に、作業者がパネル操作を行うキーである。
図15に示す如く、CPU44はタッチパッド16の出力に基づき、縫製中キー131又は停止中キー132のパネル操作を検出したか否かを判断する(S62)。縫製中キー131又は停止中キー132のパネル操作を検出していない場合(S62:NO)、CPU44はS62を繰り返す。縫製中キー131又は停止中キー132のパネル操作を検出した場合(S62:YES)、CPU44は検出したパネル操作が縫製中キー131であるか否かを判断する(S63)。縫製中キー131のパネル操作を検出した場合(S63:YES)、S17(図6参照)において無段階スイッチ71の操作でピッチ設定を実行可能な状態に設定したか否かを判断する(S64)。無段階スイッチ71の操作でピッチ設定を実行可能な状態である場合(S64:YES)、CPU44は駆動回路60が出力する無段階スイッチ71の操作量に応じた電圧の電圧値Vを検出する(S65)。
CPU44は、S65の処理で検出した電圧値Vと、第二対応データ96(図14参照)に基づき、第一確認画面140(図17参照)と、終了キー143を表示部11に表示する(S66)。CPU44は、終了キー143のパネル操作を検出したか否かを判断する(S67)。終了キー143のパネル操作を検出していない場合(S67:NO)、CPU44は処理をS65に戻し、S65〜S67を繰り返す。
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図17に示す如く、第一確認画面140は、メータ151、段階表示部161、ピッチ表示141を含む。図17は、S17(図6参照)でピッチ設定1(図14参照)を実行可能な状態に設定し、S65の処理で検出した電圧値VがV1≦V<V2である場合の第一確認画面140の例である。S65の処理で検出した電圧値VがV1≦V<V2であるので、CPU44は右端154が段階表示部161の1段階目の上に位置するように、操作量表示部153を表示する(S66)。CPU44は第二対応データ96(図14参照)におけるピッチ設定1を参照し、V1≦V<V2に対応するピッチである100%を特定する。CPU44は、特定したピッチである100%に基づき、ピッチ表示141を表示する(S66)。ピッチ表示141は、縫い目を表現した複数の直線142を表示し、直線142の相対的な長さでピッチを示す。CPU44は、特定したピッチ100%に基づき、直線の長さがL1のピッチ表示141を表示部11に表示する(S66)。
作業者が無段階スイッチ71を更に後方に押すと、即ち、操作量が大きくなると、CPU44が表示する操作量表示部153の右端154は右方向に移動する(S66)。CPU44は、S65の処理で検出した電圧値Vが電圧値V2以上となると、第二対応データ96に基づいて、直線142の長さをL1の80%の長さにし、ピッチ表示141を表示する(S66)。CPU44は、S65の処理で検出した電圧値Vが、電圧値V3以上となると、第二対応データ96に基づいて、直線142の長さをL1の60%の長さにし、ピッチ表示141を表示する(S66)。
図18に示す如く、CPU44は、S65の処理で検出した電圧値Vが、電圧値V4以上となると、第二対応データ96に基づいて、直線142の長さをL1の40%の長さL2にし、ピッチ表示141を表示する(S66)。以上のように、CPU44は、ピッチ表示141を表示することで、ピッチが切り替わる無段階スイッチ71の操作量を作業者に報知している。作業者は、無段階スイッチ71を操作しながら、ピッチ表示141を確認することで、ピッチが切り替わる無段階スイッチ71の操作量を容易に確認することができる。故に作業者の利便性が向上する。
図15に示す如く、CPU44は終了キー143のパネル操作を検出した場合(S67:YES)、処理をメイン処理(図6参照)のS11に戻す。
S64の処理で、無段階スイッチ71の操作でピッチ設定を実行可能な状態に設定していない場合(S64:NO)、CPU44は駆動回路60が出力する無段階スイッチ71の操作量に応じた電圧の電圧値Vを検出する(S68)。
CPU44は、S68の処理で検出した電圧値Vと、第一対応データ95(図11参照)に基づき、第二確認画面170(図19参照)と終了キー173を表示部11に表示する(S69)。CPU44はタッチパッド16の出力に基づき、終了キー173のパネル操作を検出したか否かを判断する(S70)。終了キー173のパネル操作を検出していない場合(S70:NO)、CPU44は処理をS68に戻し、S68〜S70を繰り返す。
図19に示す如く、第二確認画面170は、メータ151、段階表示部161、表示キー171を含む。表示キー171は、縫製を行っている時に無段階スイッチ71の操作で実行可能なミシン設定を表示するためのキーである。図19に示す如く、CPU44は、第一対応データ95(図11参照)のミシン機能の中から、縫製を行っている時に実行可能な機能である段差部軌跡(オルタネイト)、段差部軌跡(モメンタリ)、逆転縫製、糸切り、OFFの夫々の表示キー171を表示する(S69)。
図19に示す如く、例えば、S17(図6参照)で逆転縫製を実行可能な状態に設定すると、CPU44は逆転縫製の表示キー171を白黒反転して表示する(S69)。CPU44はS68の処理で検出した電圧値VがV2≦V<V3である場合、右端154が段階表示部161の2段階目の上に位置するように、操作量表示部153を表示する(S69)。CPU44は、第一対応データ95を参照し、逆転縫製を実行する操作量に対応する電圧値V3≦V≦V5を特定する。CPU44は、S68の処理で検出した電圧が、V3≦V≦V5の範囲ではないので、操作量表示部153内にOFFと表示する(S69)。
作業者が無段階スイッチ71を更に後方に操作し、CPU44がS68の処理で検出する電圧値Vが、V3≦V<V4になると、図20に示す如く、CPU44は、右端154が段階表示部161の3段階目の上に位置するように、操作量表示部153を表示する。CPU44は、S68の処理で検出した電圧値Vが、V3≦V≦V5の範囲であるので、操作量表示部153内にONと表示する(S69)。以上のように、CPU44は、操作量表示部153のON、OFFを表示することで、逆転縫製を実行するON状態に切り替わる無段階スイッチ71の操作量を作業者に報知している。作業者は、無段階スイッチ71を操作しながら、操作量表示部153のON、OFFの表示を確認することで、逆転縫製を実行する無段階スイッチ71の操作量を容易に確認することができる。故に作業者の利便性が向上する。
終了キー173のパネル操作を検出した場合(S70:YES)、CPU44は処理をメイン処理(図6参照)のS11に戻す。
S62の処理で作業者が停止中キー132をパネル操作した場合、CPU44は縫製中キー131のパネル操作を検出していないと判断する(S63:NO)。CPU44は駆動回路60が出力する無段階スイッチ71の操作量に応じた電圧の電圧値Vを検出する(S71)。
CPU44はS71の処理で検出した電圧値Vと、第一対応データ95(図11参照)に基づき、第三確認画面180(図21参照)と終了キー183を表示部11に表示する(S72)。CPU44は、タッチパッド16の出力に基づき、終了キー183のパネル操作を検出したか否かを判断する(S73)。終了キー183のパネル操作を検出していない場合(S73:NO)、CPU44は処理をS71に戻し、S71〜S73を繰り返す。
図21に示す如く、第三確認画面180は、メータ151、段階表示部161、表示キー181を含む。表示キー181は、縫製を行っていない時に無段階スイッチ71の操作で実行可能なミシン設定を表示するためのキーである。図21に示す如く、CPU44は、一針補正縫い、糸切り、押え上げ(オルタネイト)、押え上げ(モメンタリ)、下糸カウンタリセット、半針補正、逆転補正、OFFの夫々の表示キー181を表示する(S72)。
CPU44はS68、S69と同様に、作業者が表示キー181で選択したミシン設定について、操作量表示部153のON、OFFを表示し、ミシン設定を実行する状態に切り替わる無段階スイッチ71の操作量を作業者に報知する(S71、S72)。作業者は、無段階スイッチ71を操作しながら、操作量表示部153のON、OFFの表示を確認することで、各ミシン設定を実行する無段階スイッチ71の操作量を容易に確認することができる。故に作業者の利便性が向上する。
終了キー183のパネル操作を検出した場合(S73:YES)、CPU44は処理をメイン処理(図6参照)のS11に戻す。図6に示すように、確認モードキーのパネル操作を検出していない場合(S18:NO)、CPU44はペダル22の操作による縫製の指示を検出したか否かを判断する(S20)。作業者がペダル22を踏むと、CPU44は縫製の指示を検出し(S20:YES)、主モータ13と布送りモータ23を駆動し、縫製動作を実行する(S21)。
CPU44は無段階スイッチ71の操作量に応じて駆動回路60が出力する電圧の電圧値Vを検出する(S22)。CPU44はS22の処理で検出した電圧値Vに基づいてミシン設定を切り替えるか否かを判断する(S23)。ミシン設定を切り替えるとは、S17(図6参照)の処理で実行可能な状態に設定したミシン機能のOFF状態とON状態の切り替えをいう。ミシン設定を切り替える場合(S23:YES)、CPU44はミシン設定を切り替え、ミシン機能を実行する(S24)。CPU44は後述するS25を実行する。
ミシン設定を切り替えない場合(S23:NO)、CPU44はペダル22の操作の停止による縫製動作の停止の指示を検出したか否かを判断する(S25)。縫製動作の停止の指示を検出していない場合(S25:NO)、CPU44は処理をS21に戻し、縫製動作を継続する。縫製動作の停止の指示を検出した場合(S22:YES)、CPU44は処理をS11に戻す。即ち、CPU44は縫製動作を停止する。
縫製の指示を検出していない場合(S20:NO)、CPU44は無段階スイッチ71の操作量に応じて駆動回路60が出力する電圧の電圧値Vを検出する(S26)。CPU44はS26の処理で検出した電圧値Vに基づいてミシン設定を切り替えるか否かを判断する(S27)。ミシン設定を切り替えない場合(S27:NO)、CPU44は処理をS11に戻す。ミシン設定を切り替える場合(S27:YES)、CPU44はミシン設定を切り替え、ミシン機能を実行する(S28)。CPU44は処理をS11に戻す。
例えば、S17の処理で実行可能な状態に設定したミシン設定が、一針補正縫いであるとする。該場合、S27において、CPU44は第一対応データ95(図11参照)を参照する。例えば、S26の処理で検出した電圧値Vが、V1≦V<V3の値から、V3≦V≦V5の値に変化した場合、一針補正縫いがOFF状態からON状態に切り替わる電圧間で変化したので、CPU44はミシン設定を切り替えると判断する(S27:YES)。該場合、CPU44は主モータ13と布送りモータ23を駆動し、一針だけ縫製を行う(S28)。即ち、作業者は無段階スイッチ71を操作して一針補正縫いを実行することができる。
尚、メイン処理はミシン1の電源がオフになると終了する。
以上のようにCPU44はメイン処理を実行する。従来では、無段階の操作部の操作によって実行可能に設定されるミシン設定の数が複数あるので、作業者は夫々のミシン設定が切り替わる無段階の操作部の操作量を把握し難く、操作し難かった。また、普段ミシンを使用している作業者とは別の作業者がミシンを使用する場合、ミシン設定が切り替わる無段階の操作部の操作量が分からないので、無段階の操作部を操作し難かった。本実施形態では、CPU44は、操作量表示部153のON、OFFの表示の切り替え(図19、図20参照)、及び、ピッチ表示141(図17、図18参照)の切り替えを行い、作業者にミシン設定が切り替わる無段階スイッチ71の操作量を報知する(S66、S69、S72)。故に、作業者はミシン設定が切り替わる無段階スイッチ71の操作量を容易に確認することができる。故に作業者の利便性が向上する。
CPU44は、検出した駆動回路60の電圧値Vに基づき、メータ151を表示部11に表示することで、無段階スイッチ71の操作量を表示する(S66、S69、S72)。故に作業者は、現在の無段階スイッチ71の操作量を確認しつつ、ミシン設定が切り替わる無段階スイッチ71の操作量を把握することができる。故に作業者の利便性が向上する。
CPU44はタッチパッド16を介して入力される作業者の指示に基づいて、ミシン設定と電圧値とを対応付けて第一対応データ95と第二対応データ96を作成し、記憶装置49に記憶する(図7のS40、S51)。故に作業者は所望のミシン設定を、所望の操作量に対応した電圧値に設定することができる。故に作業者の利便性が向上する。
CPU44は、タッチパッド16を介して入力される作業者の指示に基づいて、ピッチと電圧値とを対応付けて第二対応データ96を作成し、記憶装置49に記憶する(図7のS51)。故に、作業者は、無段階スイッチ71の操作量に応じてピッチが変更されるように設定できる。故に作業者の利便性が向上する。
本実施形態では、CPU44はペダル22による縫製の指示がない時に(S20:NO)、確認モードを実行する(S19)。確認モードでは、ピッチ表示141(図17、図18参照)を表示するとともに、CPU44は検出した駆動回路60の電圧値Vに基づき、メータ151を表示部11に表示する。換言すれば、CPU44は確認モードを実行することで、ペダル22による縫製の指示がない時に、検出した駆動回路60の電圧値と、該電圧値に対応するミシン設定であるピッチを確認可能に表示している。確認モードで電圧値とミシン設定を確認できるので、作業者の利便性が向上する。
無段階スイッチ71は、アーム部5の頭部12にあるので、縫製作業を行う作業者の手元に近い。故に作業者が操作し易く、作業者の利便性が向上する。
上記実施形態において、無段階スイッチ71は本発明の無段階操作部の一例である。ホールセンサ65と駆動回路60は本発明の出力部の一例である。記憶装置49は本発明の記憶部の一例である。図15のS65、S68、S71の処理を行うCPU44は、本発明の電圧検出手段の一例である。S66、S69、S72において操作量表示部153のON、OFFの表示の切り替え、及び、ピッチ表示141の切り替えを行うCPU41は本発明の切替報知手段の一例である。メータ151を表示する表示部11は本発明の表示画面の一例である。S66、S69、S72においてメータ151を表示する処理を行うCPU44は本発明の表示制御手段の一例である。送り機構50は本発明の搬送機構の一例である。図6のS21の処理を行うCPU44は本発明の縫製制御手段の一例である。ペダル22は本発明の縫製指示手段の一例である。ペダル22による縫製の指示がない時に、確認モードを実行してS66の処理を行うCPU44は本発明の確認手段の一例である。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、本実施形態では、CPU44は、操作量表示部153のON、OFFの表示の切り替え(図19、図20参照)とピッチ表示141の切り替え(図17、図18参照)を行い、作業者にミシン設定が切り替わる無段階スイッチ71の操作量を報知する(S66、S69、S72)。しかし、CPU44は他の方法で作業者にミシン設定が切り替わる無段階スイッチ71の操作量を報知してもよい。例えば、ミシン1にLight Emitting Diode(LED)等の発光部を設け、CPU44は、ミシン設定が切り替わる無段階スイッチ71の操作量に達した場合に、発光部を発光又は点滅することで、作業者に報知してもよい。
CPU44は縫製動作を実行していない時に、作業者にミシン設定が切り替わる無段階スイッチ71の操作量を報知する(S66、S69、S72)。しかし、CPU44は、S21の処理で縫製動作の実行中に作業者が無段階スイッチ71を操作した場合に作業者にミシン設定が切り替わる無段階スイッチ71の操作量を報知してもよい。
本実施形態では、作業者が無段階スイッチ71を操作すると、CPU44は段階表示部161に示す1〜4段階の何れかにおいてミシン設定を切り替える。しかし、作業者が無段階スイッチ71を操作すると、CPU44は2段階、3段階、5段階以上でミシン設定を切り替えてもよい。また、段階で区切るのではなく、CPU44は、作業者がS39(図7参照)、S49(図8参照)において決定キー113、121を操作した時の無段階スイッチ71の操作量に対応する駆動回路60の電圧値Vで、ミシン設定を切り替えてもよい。
本実施形態では、CPU44は、検出した駆動回路60の電圧値Vに基づき、メータ151を表示部11に表示することで、無段階スイッチ71の操作量を表示する(S66、S69、S72)。しかし、他の方法で無段階スイッチ71の操作量を表示してもよい。例えば、電圧値に対応する数値を表示部11に表示することで、無段階スイッチ71の操作量を表示してもよい。また、無段階スイッチ71の操作量を表示しなくてもよい。
無段階スイッチ71は、前後方向に移動するスイッチであったが、例えば、回転式のスイッチであってもよい。ホールセンサ65ではなく、可変抵抗を用いて、無段階スイッチ71の操作量に応じて変化する電圧を出力してもよい。無段階スイッチ71は、アーム部5の頭部12にあるが、頭部12以外の位置にあってもよい。本実施形態では、CPU44が設定モード処理を実行することで、作業者が所望のミシン設定を、所望の操作量に対応付けることができる。しかし、CPU44は設定モード処理を実行せず、無段階スイッチ71の操作量に応じた電圧値と、ミシン設定とを予め対応付けてもよい。即ち、作業者が所望のミシン設定を、所望の操作量に対応付けることができなくてもよい。