本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1〜図4を参照しミシン1の構成を説明する。以下の説明では、図1の紙面上側、下側、右側、左側、表側、背面側が夫々ミシン1の上側、下側、右側、左側、前側、後側である。図1に示すように、ミシン1はベッド部2、脚柱部3、アーム部4を備える。ベッド部2はミシン1の土台である。ベッド部2はテーブル20の上面の凹部(図示略)に上方から装着する。脚柱部3はベッド部2の右端から鉛直上方に延びる。アーム部4は脚柱部3の上端から左方に延びる。アーム部4はベッド部2の上面に対向する。
アーム部4は左端部下方に押え足17を装着する。押え足17は送り歯34(図2参照)に対向する。アーム部4は内部に針棒7を保持する。針棒7は下端に縫針8を装着する。針棒7と縫針8はメインモータ13の駆動に従って上下に往復移動する。アーム部4は左端部前方に天秤9を備える。天秤9は針棒7に連動して上下動する。アーム部4は上部に操作部10を備える。操作部10は前面に液晶パネル11を備える。液晶パネル11は表面(前面)に透明なタッチパネル12を備える。作業者は液晶パネル11を見ながらタッチパネル12を指又は専用のスタイラスペンを用いて押圧操作し各種指示をミシン1に入力する。
ミシン1はテーブル20の下面に制御装置25を備える。制御装置25はロッド21を介して踏み込み式のペダル22に接続する。作業者はペダル22をつま先側又は踵側に操作する。制御装置25はペダル22の操作方向及び操作量に応じてミシン1の動作を制御する。
脚柱部3は右側面上部にメインモータ13を備える。アーム部4は内部に主軸14を備える。主軸14は回転可能な状態でアーム部4内部を左右方向に延びる。主軸14の右端はメインモータ13に接続する。主軸14の左端は針棒上下動機構(図示略)に接続する。メインモータ13は主軸14を駆動して針棒7と天秤9を上下動する。
ベッド部2は上面左端に針板15を備える。針板15は略中央部に針穴18を有する(図2参照)。縫針8の下端は下降時に針穴18を通過する。針板15は針穴18の左方、後方、右方、前方の夫々に送り歯穴19を備える(図2参照)。送り歯穴19は前後方向に長い長方形状である。ベッド部2は針板15の下方に釜機構(図示略)、布送り機構30(図2〜図4参照)を備える。布送り機構30は縫製の対象となる布を送る機構である。
図2を参照し布送り機構30の構成を説明する。以下の説明では、図2の紙面上側、下側、右側、左側、左上側、右下側が夫々ミシン1の上側、下側、前側、後側、右側、左側である。図2に示すように、布送り機構30は送り台33、送り歯34、布送りモータ35、動力伝達機構40、中間作用腕38、上下動力機構47等を備える。
送り台33は針板15の下方に位置し且つ針板15に対して略平行である。送り台33は上面の中心近傍に4つの送り歯34を略水平に支持する。送り歯34の夫々は送り歯穴19の位置に対応する。送り歯34の夫々は前後方向に長い。送り歯34の前後方向の長さは送り歯穴19の長さより小さい。送り歯34は押え足17との間で布を挟む為の凹凸を上部に備える。送り歯34は、布を水平方向に移動する。
布送りモータ35は送り台33の右方に配置する。布送りモータ35はステッピングモータである。布送りモータ35は送り台33を前後方向に移動する。布送りモータ35は左方に延びる駆動軸36を備えている。布送りモータ35は駆動軸36を回動する。
動力伝達機構40は、送り腕41、送り腕42、連結部65を備える。送り腕41の一端は駆動軸36の先端に直交して取り付ける。送り腕41の他端は送り腕42の一端に回転可能に連結する。送り腕41の他端と送り腕42の一端が連結する部分は連結部65である。送り腕42の他端は中間作用腕38の後端に回動可能に連結する。送り腕42の他端と中間作用腕38の後端が連結する部分は連結部66である。
中間作用腕38の前端部は水平送り軸28の右端側に固定する。中間作用腕38は水平送り軸28の長手方向に直交し且つ後方側に延びる。水平送り軸28は布送りモータ35の左上方に設け、ベッド部2に回動可能に支持する。水平送り軸28は左右方向に延びる。リンク部材50の下端は水平送り軸28の左端部に直交して固定する。リンク部材50の上端は送り台33の前端部に回動可能に連結する。
駆動軸36が可動範囲を一方向及び逆方向に回動することで、連結部65は前後方向に往復移動し、且つ連結部66は上下方向に往復移動する。連結部66の移動によって中間作用腕38は水平送り軸28を中心に回動する。中間作用腕38の回動と連動して水平送り軸28は回動する。水平送り軸28の回動によってリンク部材50が前後方向に移動し、送り台33は前後方向に移動する。
上下動力機構47は送り台33の後端に設ける。上下動力機構47は上下送り軸27、プーリ24、偏心部39、リンク部材51を備える。上下送り軸27は回転可能な状態でベッド部2に支持し、左右方向に延びる。上下送り軸27は水平送り軸28に対して平行に位置する。上下送り軸27は右端部にプーリ24を固定する。プーリ24はタイミングベルト(図示略)を介して主軸14に連結する。上下送り軸27はメインモータ13の駆動により主軸14と同期を保持した状態で回転する。偏心部39は上下送り軸27の左端に設けてある。偏心部39は上下送り軸27の軸心に対して偏心する。リンク部材51は送り台33の後端に回転可能に設ける。リンク部材51は偏心部39を回転可能に保持する。偏心部39は上下送り軸27と共に回転し、リンク部材51を介して送り台33を上下動する。
図2〜図4を参照し送り台33の動作態様を説明する。駆動軸36が可動範囲を一方向及び逆方向に回動することにより、布送り機構30は下記の第一〜第三の状態を繰り返す。布送り機構30が第一〜第三の状態を繰り返すことにより、送り台33は前後方向に移動する。図2〜図4のW1〜W3の各々は、送り台33の近傍を示す。
図2に示す第一の状態では、動力伝達機構40の送り腕41と送り腕42が上下方向の一直線上に位置する。連結部66は連結部66の可動範囲の最上部に位置する。連結部66は連結部65の上方に位置する。中間作用腕38は略水平である。送り台33は送り台33の可動範囲の最前方に位置する。送り歯34は送り歯穴19の最前方に位置する。本実施形態では、送り腕41と送り腕42が上下方向の一直線上にあるときの連結部65の位置が中間位置である。
第一の状態の布送り機構30において布送りモータ35が駆動すると、駆動軸36は左側面視時計回りに回動する。駆動軸36の回動に伴って送り腕41は時計回りに回動する。連結部65は中間位置から前方位置に移動する。送り腕41と送り腕42は連結部65を基点に前方に向かって略L字に屈曲する。送り腕42は連結部65を中心に左側面視反時計回りに回動する。送り腕42の回動によって連結部66は下方に移動する。連結部66は中間作用腕38の後端を下方に引き込む。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に反時計回りに回動する。中間作用腕38の後端が斜め下方に傾斜する。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は反時計回りに回動する。水平送り軸28に連動してリンク部材50は反時計回りに回動する。送り台33は後方に移動する。駆動軸36が可動範囲の一端部まで回動すると送り歯34は送り歯穴19の最後方に位置する。布送り機構30は第二の状態(図3参照)となる。
第二の状態において布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転する。駆動軸36は左側面視反時計回りに回動する。駆動軸36の回動に伴って送り腕41は反時計回りに回動する。連結部65は前方位置から中間位置に移動する。送り腕41と送り腕42は上下方向に一直線上になる。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に時計回りに回動する。中間作用腕38は略水平に戻る。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は時計回りに回動する。水平送り軸28に連動してリンク部材50は時計回りに回動する。送り台33は前方に移動する。送り歯34は送り歯穴19の最前方に位置する。布送り機構30は第一の状態(図2参照)に戻る。
更に駆動軸36は左側面視反時計回りに回動を続ける。駆動軸36の回動に伴って送り腕41は反時計回りに回動を続ける。図4に示すように、連結部65は中間位置から後方位置に移動する。送り腕41と送り腕42は連結部65を基点に第二の状態とは反対側である後方に向かって略L字に屈曲する。送り腕42は連結部65を中心に時計回りに回動する。送り腕42の回動によって連結部66は下方に移動する。連結部66は中間作用腕38の後端を下方に引き込む。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に反時計回りに回動する。中間作用腕38の後端は斜め下方に傾斜する。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は反時計回りに回動する。水平送り軸28に連動してリンク部材50は反時計回りに回動する。送り台33は後方に移動する。駆動軸36が可動範囲の他端部まで回動すると送り歯34は送り歯穴19の最後方に位置する。布送り機構30は第三の状態(図4参照)となる。
布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転する。駆動軸36は時計回りに回動する。駆動軸36の回動に伴って送り腕41は時計回りに回動する。連結部65は後方位置から中間位置に移動する。送り腕41と送り腕42は上下方向の一直線上になる。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に時計回りに回動する。中間作用腕38は略水平に戻る。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は時計回りに回動する。水平送り軸28に連動してリンク部材50は時計回りに回動する。送り台33は最前方に移動する。送り歯34は送り歯穴19の最前方に位置する。布送り機構30は第一の状態(図2参照)に戻る。布送り機構30は第一〜第三の状態を繰り返し、送り台33を前後方向に移動する。
布送り機構30が布を後方に向けて送る動作を説明する。布送りモータ35の駆動による第一〜第三の状態の繰り返しと上述のメインモータ13の駆動による送り台33の上下動によって、布送り機構30は布を送る。布送り機構30が第一の状態の時(図2参照)、送り台33は送り歯34が針板15上面と略一致する位置にある。
メインモータ13が駆動すると、偏心部39とリンク部材51は送り台33を上方に移動する。送り歯34は針板15上面から上方に突出する。布送りモータ35は駆動軸36を左側面視時計回りに回動する。動力伝達機構40は送り台33を後方に移動する。故に、布送り機構30は布を後方に向けて送る。メインモータ13が駆動を続けると、偏心部39とリンク部材51は送り台33を下方に移動する。送り歯34は針板15上面と略一致する位置に戻る。布送りモータ35は駆動軸36を可動範囲の一端部まで時計回りに回動する。布送り機構30は第二の状態(図3参照)になる。布送り機構30は布送りを止める。
次いで偏心部39とリンク部材51は送り台33を下方に移動する。送り歯34は針板15上面から下方に下がる。布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転する。駆動軸36は左側面視反時計回りに回動する。動力伝達機構40は送り台33を前方に移動する。送り歯34が針板15上面よりも下方に位置するので、布送り機構30は布を送らない。メインモータ13が駆動を続けると、送り歯34は針板15上面と略一致する位置に戻る。布送りモータ35が駆動軸36を左側面視反時計回りに回動するので、布送り機構30は第一の状態に戻る(図2参照)。
次いで偏心部39とリンク部材51は送り台33を再度上方に移動する。送り歯34は針板15上面から上方に突出する。布送りモータ35は駆動軸36の反時計回りの回動を続ける。動力伝達機構40は送り台33の移動方向を前方から後方に切り替える。布送り機構30は再度布を後方に向けて送る。メインモータ13が駆動を続けると、送り歯34は針板15上面と略一致する位置に戻る。布送りモータ35は駆動軸36を可動範囲の他端部まで反時計回りに回動する。布送り機構30は第三の状態(図4参照)になる。布送り機構30は布送りを止める。
次いで偏心部39とリンク部材51は送り台33を更に下方に移動する。送り歯34は針板15上面から下方に下がる。布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転する。駆動軸36は時計回りに回動する。動力伝達機構40は送り台33を前方に移動する。送り歯34が針板15上面よりも下方に位置するので、布送り機構30は布を送らない。メインモータ13が駆動を続けると、送り歯34が針板15上面と略一致する位置に戻る。布送りモータ35が駆動軸36を時計回りに回動するので、布送り機構30は第一の状態に戻る。
布送り機構30は上述の動作を繰り返し、布を後方に向けて送る。布送りモータ35の駆動軸36の回動量が小さくなると、布を移送する量(以下、布送り量)が小さくなる。駆動軸36の回動量が大きくなると、布送り量が大きくなる。故にCPU44(図5参照)は駆動軸36の回動量を変更するだけで、布送り量を調整できる。
図5を参照しミシン1の電気的構成を説明する。ミシン1の制御装置25はCPU44を備える。CPU44はミシン1の制御を司る。CPU44はROM45、RAM46、EEPROM(登録商標)49、I/Oインターフェース(以下I/Oという)48とバスを介して接続する。ROM45はミシン1の動作を制御する為の制御プログラム等を記憶する。RAM46はプログラムを実行する為に必要な各種値を一時的に記憶する。EEPROM49は各種値を記憶する不揮発性の記憶装置である。EEPROM49は、後述の補助機能テーブル60(図6参照)、共通補助テーブル70(図7参照)、縫製プログラム80(図8参照)、及びプログラム補助テーブル90(図9参照)を記憶する。
I/O48はペダル22、タッチパネル12に接続する。CPU44はペダル22の操作方向及び操作量を取得する。CPU44はタッチパネル12から作業者による操作指示を取得する。I/O48は駆動回路52〜54に接続する。駆動回路52は液晶パネル11を駆動する。駆動回路53は、CPU44から入力するトルク指令信号に応じてメインモータ13を駆動する。ミシン1はメインモータ13の回転角位相及び回転速度を検出する為のメインエンコーダ57を備える。メインエンコーダ57はメインモータ13の回転角位相及び回転速度の検出結果をI/O48に出力する。駆動回路54は、CPU44から入力する布送り駆動信号に応じて布送りモータ35を駆動する。
CPU44は、布送りモータ35の駆動軸36の回転を制御し、布送り量を調整する。布送りモータ35はパルスモータである。布送りモータ35の布送り駆動信号はパルス信号である。ミシン1は布送りモータ35の駆動軸36の回転角位相及び回転速度を検出する為の布送りエンコーダ58を備える。布送りエンコーダ58は布送りモータ35の回転角位相及び回転速度の検出結果をI/O48に出力する。
図6を参照し縫製プログラム80を説明する。縫製プログラム80は、ミシン1が布に縫製を行う動作(以下、縫製動作)の内容及び手順を定める。縫製プログラム80に基づく縫製動作は、複数ステップの縫製動作を含む。複数のステップの縫製動作は、縫製データとして夫々定める。縫製プログラム80は、複数の縫製データを含む。各縫製データは、ステップ番号、針数、回転数、ピッチ等を含む。EEPROM49は、複数の縫製プログラム80を記憶する。
ステップ番号は、各ステップの縫製動作の実行順序を定める。針数は、各ステップの縫製動作における針棒7の往復移動の回数を定める。針数は、各ステップの縫製動作における針落ち回数を示す。針数の一単位は、針棒7の往復移動の一往復分である。回転数は、メインモータ13の駆動軸の単位時間(例えば、1分)毎の回転数を定める。回転数は、各ステップの縫製動作における縫製速度を示す。ピッチは、各ステップの縫製動作における布送り量の目標値を、針棒7の往復移動の一往復単位で定める。ピッチは、針棒7の往復移動の一往復分によって形成する縫い目の長さの目標値を示す。縫い目長さは、送り歯34の前後方向の移動距離に対応する。
CPU44は縫製プログラム80に基づいて針棒7及び布送り機構30を制御することにより、縫製動作を実行できる。このときCPU44は、縫製プログラム80が含む複数の縫製データをステップ番号順に実行して、各縫製データに基づく縫製動作を順次実行する。各ステップの縫製動作では、針数、回転数、ピッチ等の縫製データに基づいて縫製動作を実行する。本実施形態では、EEPROM49は複数の縫製プログラム80を記憶する。CPU44は実行する縫製プログラム80に応じて、異なるパターンの縫製動作を実行できる。
図7を参照し補助機能テーブル60を説明する。補助機能テーブル60は、縫製動作に関する複数の補助機能について、各補助機能の設定可能項目及び機能分類を定める。ミシン1は、縫製プログラム80に基づく主要な縫製動作に加えて、補助機能が定める付随的な縫製動作を実行できる。設定可能項目は、対応する補助機能に設定可能な具体的な実行内容を示す。複数の補助機能は、例えばスロースタート、糸払い、自動糸切り、AUTO、針止め位置、糸切り禁止、補正縫い等を含む。
スロースタートは、縫製プログラム80に基づく縫製動作の開始から数針分の布送り速度を通常よりも遅くする補助機能である。スロースタートの設定可能項目は、「OFF」又は「ON」である。「ON」は対応する補助機能を実行することを示す。「OFF」は対応する補助機能を実行しないことを示す。糸払いは、縫製プログラム80に基づく縫製動作時に糸切りを行った場合、糸払い部材(図示外)によって上糸を上方に払うことで、上糸を布から引き出す補助機能である。糸払いの設定可能項目は「OFF」又は「ON」である。「ON」は対応する補助機能を実行することを示す。
自動糸切りは、縫製プログラム80に基づく縫製動作の終了時に糸切りを実行する補助機能である。自動糸切りの設定可能項目は「OFF」又は「ON」である。AUTOは、縫製プログラム80に基づいてプログラム縫いを実行する補助機能である。プログラム縫いは、作業者がペダル22の一回操作すると、ミシン1が縫製プログラム80に基づく縫製動作を開始し、且つ縫製動作が完了した時点で縫製動作を自動終了する縫製モードである。AUTOの設定可能項目は「OFF」又は「ON」である。
針止め位置は、縫製プログラム80に基づく縫製動作の終了時に縫針8を停止する位置を定める補助機能である。針止め位置の設定可能項目は「針上」又は「針下」である。「針上」は、縫製動作の終了時に縫針8が布よりも上方に移動して停止することを示す。設定項目が「針下」は、縫製動作の終了時に縫針8が布に刺さった状態で停止することを示す。糸切り禁止は、縫製プログラム80に基づく縫製動作時に糸切りを禁止する補助機能である。糸切り禁止の設定可能項目は「OFF」又は「ON」である。補正縫いは、作業者による補正縫いスイッチ(図示外)の操作に応じて、縫製プログラム80に基づく縫製動作を一針ずつ実行する補助機能である。補正縫いの設定可能項目は「OFF」又は「ON」である。
機能分類は、対応する補助機能が共通補助機能及びプログラム補助機能の何れであるかを示す。共通補助機能は、EEPROM49が記憶する複数の縫製プログラム80の全てに対して適用する補助機能である。プログラム補助機能は、EEPROM49が記憶する複数の縫製プログラム80に対して個別に適用する補助機能である。図7に示す例では、スロースタート、糸払い、針止め位置、糸切り禁止、及び補正縫いは、共通補助機能である。自動糸切り及びAUTOは、プログラム補助機能である。
図8を参照し共通補助テーブル70を説明する。共通補助テーブル70は、補助機能テーブル60が定める共通補助機能の設定項目を定める。設定項目は、補助機能テーブル60が定める設定可能項目のうち、ミシン1の縫製動作時に実行する補助機能の実行内容を定める。図8に例示する共通補助テーブル70は、図7に示す補助機能テーブル60が定める共通補助機能であるスロースタート、糸払い、針止め位置、糸切り禁止、及び補正縫の各設定項目を定める。
図9を参照しプログラム補助テーブル90を説明する。EEPROM49は、複数の縫製プログラム80に各々対応する複数のプログラム補助テーブル90を記憶する。各プログラム補助テーブル90は、対応する縫製プログラム80毎に、補助機能テーブル60が定めるプログラム補助機能の設定項目を定める。図9に例示するプログラム補助テーブル90は、図6に例示する縫製プログラム80「P1」について、図7に示す補助機能テーブル60が定めるプログラム補助機能である自動糸切り及びAUTOの各設定項目を定める。
本実施形態では、縫製プログラム80及びプログラム補助テーブル90は互いに独立したデータである場合を例示している。これに代えて、縫製プログラム80及びプログラム補助テーブル90は一体のデータでもよい。例えば縫製プログラム80は、対応するプログラム補助テーブル90が定めるプログラム補助機能の設定項目を含んでもよい。
図10を参照しミシン1のメイン処理を説明する。ミシン1の電源をONした場合、CPU44はROM45が記憶する制御プログラムを実行することでメイン処理を開始する。図10に示すように、CPU44はホーム画面200(図11参照)を液晶パネル11に表示する(S1)。ホーム画面200は、作業者がミシン1及び縫製動作に関する各種の設定及び指示をタッチパネル12を介して入力可能な画面である。ホーム画面200は、後述のように縫製処理の指示が可能な画面であり、図10では縫製プログラム80「P1」の縫製が可能である。CPU44はホーム画面200で分類設定の指示があるか否かを判断する(S3)。分類設定の指示がある場合(S3:YES)、CPU44は後述の分類設定処理を実行する(S5)。
分類設定の指示がない場合(S3:NO)又はS5の実行後、CPU44はホーム画面200で共通補助設定の指示があるか否かを判断する(S7)。共通補助設定の指示がある場合(S7:YES)、CPU44は後述の共通補助設定処理を実行する(S9)。共通補助設定の指示がない場合(S7:NO)又はS9の実行後、CPU44はホーム画面200でプログラム操作の指示があるか否かを判断する(S11)。プログラム操作の指示がある場合(S11:YES)、CPU44は後述のプログラム操作処理を実行する(S13)。
プログラム操作の指示がない場合(S11:NO)又はS13の実行後、CPU44はホーム画面200でプログラム変更の指示があるか否かを判断する(S15)。プログラム変更の指示がある場合(S15:YES)、CPU44はプログラムを変更する(S17)。プログラムの変更は、ホーム画面200に表示する縫製プログラム80を、作業者が変更する処理である。具体的に、作業者はホーム画面200に表示する三角形の矢印ボタン201、202をタッチパネル12を介して操作する。図11の例では、作業者が右側の矢印ボタン202を操作すると、ホーム画面200に表示する縫製プログラム80は「P2」になる。
プログラム変更の指示の指示がない場合(S15:NO)又はS17の実行後、CPU44はホーム画面200で縫製実行の指示があるか否かを判断する(S19)。縫製実行の指示がある場合(S19:YES)、CPU44は後述の縫製処理を実行する(S21)。縫製実行の指示がない場合(S19:NO)又はS21の実行後、CPU44は処理をS1に戻す。メイン処理はミシン1の電源がOFFになると終了する。
図12を参照し分類設定処理を説明する。分類設定処理は、図10のS3で分類設定の指示があった場合に実行する。図12に示すように、CPU44は分類設定画面210(図13参照)を液晶パネル11に表示する(S31)。分類設定画面210は、補助機能テーブル60が定める補助機能を一覧表示し、且つ作業者がタッチパネル12を介して操作することで補助機能の機能分類を自由に変更可能な画面である。図13に示すように、分類設定画面210は、補助機能表示欄211、分類選択ボタン212、終了ボタン213を含む。補助機能表示欄211は、機能分類を変更可能な補助機能を表示する領域である。分類選択ボタン212は、補助機能表示欄211に表示する補助機能の夫々に対し、作業者がタッチパネル12を介して機能分類を変更するボタンである。終了ボタン213は、作業者がタッチパネル12を介して設定終了を指示する場合に操作するボタンである。
CPU44は、分類設定画面210で補助機能の機能分類を変更する作業者の操作があるか否かを判断する(S33)。機能分類の変更がある場合(S33:YES)、CPU44は分類設定画面210で受け付けた作業者の操作に基づいて、補助機能テーブル60を更新する(S35)。CPU44は、S33で判断した機能分類の変更がプログラム補助機能から共通補助機能への変更であるか否かを判断する(S37)。プログラム補助機能から共通補助機能への変更である場合(S37:YES)、CPU44は機能分類を変更した補助機能を共通補助テーブル70に追加する(S39)。CPU44は共通補助テーブル70に追加した補助機能の設定項目として初期項目を設定する(S41)。初期項目は、補助機能テーブル60が定める設定可能項目のうち、予め補助機能毎に定めているデフォルトの設定可能項目であり、EEPROM49に記憶する。CPU44はEEPROM49が記憶する全てのプログラム補助テーブル90から機能分類を変更した補助機能を削除する(S43)。
S33で判断した機能分類の変更が共通補助機能からプログラム補助機能への変更である場合(S37:NO)、CPU44は機能分類を変更した補助機能をプログラム補助テーブル90に追加する(S45)。CPU44はプログラム補助テーブル90に追加した補助機能の設定項目として既存項目を設定する(S47)。既存項目は、機能分類を変更した補助機能について、共通補助テーブル70が定めている設定項目である。CPU44は、S45及びS47の処理を、EEPROM49が記憶する全てのプログラム補助テーブル90に実行する。CPU44は共通補助テーブル70から機能分類を変更した補助機能を削除する(S49)。
S43又はS49の実行後、CPU44は分類設定画面210で設定終了の指示があるか否かを判断する(S51)。設定終了の指示は、作業者が終了ボタン213を操作することで指示できる。設定終了の指示がない場合(S51:NO)、CPU44はホームキー150(図14参照)の押下があるか否かを判断する(S53)。図14に示すように、ホームキー150は、操作部10が有するボタンの一つであり、且つ作業者がホーム画面200への復帰を指示する為のボタンである。ホームキー150の押下がない場合(S53:NO)、CPU44は処理をS31に戻す。設定終了の指示がある場合(S51:YES)、又はホームキー150の押下がある場合(S53:YES)、CPU44は処理をS1に戻す。
例えば、作業者は分類設定画面210で自動糸切りを選択し、選択した自動糸切りを分類選択ボタン212を操作してプログラム補助機能から共通補助機能に変更する(S31、S33:YES)。この場合、CPU44は図7に示す補助機能テーブル60において、自動糸切りの機能分類をプログラム補助機能から共通補助機能に更新する(S35)。CPU44は図8に示す共通補助テーブル70に自動糸切りを追加する(S37:YES、S39)。CPU44は自動糸切りの設定項目として、自動糸切りの初期項目である「OFF」を共通補助テーブル70に設定する(S41)。CPU44は図9に示すプログラム補助テーブル90を含む全てのプログラム補助テーブル90から、自動糸切りを削除する(S43)。
例えば、作業者は分類設定画面210でスロースタートを選択し、選択したスロースタートを分類選択ボタン212を操作して共通補助機能からプログラム補助機能に変更する(S31、S33:YES)。この場合、CPU44は図7に示す補助機能テーブル60において、スロースタートの機能分類を共通補助機能からプログラム補助機能に更新する(S35)。CPU44は図9に示すプログラム補助テーブル90を含む全てのプログラム補助テーブル90にスロースタートを追加する(S37:NO、S45)。CPU44はスロースタートの設定項目として、図8に示す共通補助テーブル70が定めている既存項目である「OFF」を、全てのプログラム補助テーブル90に設定する(S47)。CPU44は共通補助テーブル70からスロースタートを削除する(S49)。
図15を参照し共通補助設定処理を説明する。共通補助設定処理は、図10のS7で共通補助設定の指示があった場合に実行する。図15に示すように、CPU44は共通補助設定画面220(図16参照)を液晶パネル11に表示する(S61)。共通補助設定画面220は、共通補助テーブル70が定める共通補助機能を一覧表示し、且つ作業者がタッチパネル12を介して操作することで共通補助機能の設定項目を自由に設定可能な画面である。図16に示すように、共通補助設定画面220は、共通補助表示欄221、設定選択ボタン222、終了ボタン223を含む。共通補助表示欄221は、共通補助機能を表示する領域である。設定選択ボタン222は、共通補助表示欄221に表示する共通補助機能の夫々に対し、作業者がタッチパネル12を介して設定項目を選択するボタンである。図16では、共通補助設定画面220は設定選択ボタン222で設定している項目を夫々白抜きで表示する。終了ボタン223は、作業者がタッチパネル12を介して設定終了を指示する場合に操作するボタンである。
CPU44は、共通補助設定画面220で共通補助機能の設定項目を変更する作業者の操作があるか否かを判断する(S63)。設定項目の変更がある場合(S63:YES)、CPU44は共通補助設定画面220で受け付けた作業者の操作に基づいて、共通補助テーブル70を更新する(S65)。CPU44は共通補助設定画面220で設定終了の指示があるか否かを判断する(S67)。設定終了の指示は、作業者が終了ボタン223を操作することで指示できる。設定終了の指示がない場合(S67:NO)、CPU44はホームキー150(図14参照)の押下があるか否かを判断する(S69)。ホームキー150の押下がない場合(S69:NO)、CPU44は処理をS61に戻す。設定終了の指示がある場合(S67:YES)、又はホームキー150の押下がある場合(S69:YES)、CPU44は処理をS1に戻す。
例えば、作業者は共通補助設定画面220でスロースタートを選択し、設定選択ボタン222を操作して設定項目を「OFF」から「ON」に変更する(S61、S63:YES)。この場合、CPU44は図8に示す共通補助テーブル70において、スロースタートの設定項目を「ON」に更新する(S65)。故に作業者は共通補助機能の設定項目を、縫製プログラム80毎に変更せずに変更できる。
図17を参照しプログラム操作処理を説明する。プログラム操作処理は、図10のS11でプログラム操作の指示があった場合に実行する。図17に示すように、CPU44はプログラム一覧画面230(図18参照)を液晶パネル11に表示する(S71)。プログラム一覧画面230は、EEPROM49が記憶する縫製プログラム80を一覧表示し、且つ作業者がタッチパネル12を介して操作することで縫製プログラム80を自由に選択可能な画面である。図18に示すように、プログラム一覧画面230は、プログラム選択ボタン231を含む。プログラム選択ボタン231は、作業者がタッチパネル12を介して縫製プログラム80「P1」〜「P5」を選択するボタンである。
CPU44はプログラム一覧画面230で縫製プログラム80の選択があるか否かを判断する(S73)。縫製プログラム80の選択がある場合(S73:YES)、CPU44はプログラム操作画面235(図19参照)を液晶パネル11に表示する(S75)。プログラム操作画面235は、プログラム一覧画面230で選択した縫製プログラム80に、作業者がタッチパネル12を介して操作することで各種操作を行う為の画面である。
図19に示すように、プログラム操作画面235は、プログラム編集ボタン2351、プログラム補助設定ボタン2352、終了ボタン2355を含む。プログラム編集ボタン2351は、作業者がタッチパネル12を介して縫製プログラム80の編集を実行する場合に選択するボタンである。プログラム補助設定ボタン2352は、作業者がタッチパネル12を介して縫製プログラム80に対応するプログラム補助機能の設定を実行する場合に選択するボタンである。終了ボタン2355は、作業者がタッチパネル12を介して縫製プログラム80の各種操作を終了する場合に選択するボタンである。
CPU44はプログラム操作画面235でプログラム編集の指示があるか否かを判断する(S77)。作業者はプログラム編集を指示する場合、プログラム編集ボタン2351を操作する。プログラム編集の指示がある場合(S77:YES)、CPU44はプログラム操作画面235で縫製プログラム80を編集する作業者の操作を受け付ける(S79)。例えば作業者はプログラム一覧画面230で選択した縫製プログラム80について、縫製データの数量、ステップ番号、針数、回転数、ピッチ等を自由に編集する。CPU44は、S79で受け付けた編集操作に基づいて、EEPROM49が記憶する縫製プログラム80を更新する。その後、CPU44は処理をS75に戻す。
プログラム編集の指示がない場合(S77:NO)、CPU44はプログラム操作画面235でプログラム補助設定の指示があるか否かを判断する(S81)。作業者はプログラム補助設定を指示する場合、プログラム補助設定ボタン2352を操作する。プログラム補助設定の指示がある場合(S81:YES)、CPU44はプログラム補助設定画面240(図20参照)を液晶パネル11に表示する(S83)。プログラム補助設定画面240は、プログラム補助テーブル90が定めるプログラム補助機能を一覧表示し、且つ作業者がタッチパネル12を介して操作することでプログラム補助機能の設定項目を自由に設定可能な画面である。具体的にCPU44は、プログラム一覧画面230で選択した縫製プログラム80に対応するプログラム補助テーブル90を、EEPROM49から読み出す。CPU44は読み出したプログラム補助テーブル90に基づいてプログラム補助設定画面240を表示する。
図20に示すように、プログラム補助設定画面240は、プログラム補助表示欄241、設定選択ボタン242、終了ボタン243を含む。プログラム補助表示欄241は、プログラム補助機能を表示する領域である。設定選択ボタン242は、プログラム補助表示欄241に表示するプログラム補助機能の夫々に対し、作業者がタッチパネル12を介して設定項目を選択するボタンである。図20では、プログラム補助設定画面240は設定選択ボタン242で設定している項目を夫々白抜きで表示する。終了ボタン243は、作業者がタッチパネル12を介して設定終了を指示する場合に操作するボタンである。
CPU44は、プログラム補助設定画面240でプログラム補助機能の設定項目を変更する作業者の操作があるか否かを判断する(S85)。設定項目の変更がある場合(S85:YES)、CPU44はプログラム補助設定画面240で受け付けた作業者の操作に基づいて、プログラム補助テーブル90を更新する(S87)。設定項目の変更がない場合(S85:NO)又はS87の実行後、CPU44はプログラム補助設定画面240で設定終了の指示があるか否かを判断する(S89)。設定終了の指示は、作業者が終了ボタン243を操作することで指示できる。設定終了の指示がない場合(S89:NO)、CPU44は処理をS83に戻す。設定終了の指示がある場合(S89:YES)、CPU44は処理をS75に戻す。
プログラム補助設定の指示がない場合(S81:NO)、CPU44はプログラム操作画面235で操作終了の指示があるか否かを判断する(S91)。操作終了の指示は、作業者が終了ボタン2355を操作することで指示できる。操作終了の指示がない場合(S91:NO)、CPU44は処理をS75に戻す。操作終了の指示がある場合(S91:YES)、CPU44は処理をS71に戻す。縫製プログラム80の選択がない場合(S73:NO)、CPU44はホームキー150(図14参照)の押下があるか否かを判断する(S93)。ホームキー150の押下がない場合(S93:NO)、CPU44は処理をS71に戻す。ホームキー150の押下がある場合(S93:YES)、CPU44は処理をS1に戻す。
例えば、作業者はプログラム一覧画面230で縫製プログラム80「P1」を選択し、プログラム操作画面235でプログラム補助設定ボタン2352を操作し、プログラム補助設定を指示する(S71、S73:YES、S75、S77:NO、S81:YES)。作業者はプログラム補助設定画面240で自動糸切りを選択し、設定選択ボタン242を操作して設定項目を「OFF」から「ON」に変更する(S83、S85:YES)。この場合、CPU44は図9に示すプログラム補助テーブル90において、自動糸切りの設定項目を「ON」に更新する(S87)。故に作業者はプログラム補助機能の設定項目を、所望の縫製プログラム80のみ変更できる。
図21を参照し縫製処理を説明する。縫製処理は、図10のS19で縫製実行の指示があった場合に、ホーム画面200に表示中の縫製プログラム80(以下、実行対象の縫製プログラム80)に基づいて実行する。一例として、本実施形態の縫製処理では、ミシン1がプログラム縫いを実行する場合を説明する。縫製実行の指示は、作業者がペダル22を操作することで指示する。縫製処理はペダル22がONであるとCPU44が判断した場合に開始する。
図21に示すように、CPU44は共通補助テーブル70が定める全ての共通補助機能の設定項目を読み出す(S105)。CPU44は、EEPROM49が記憶する複数のプログラム補助テーブル90のうち、実行対象の縫製プログラム80に対応するプログラム補助テーブル90が定めるプログラム補助機能の設定項目を読み出す(S107)。本実施形態では、S105又はS107で読み出す補助機能のうち、AUTOの設定項目は「ON」であるため、以下の処理でプログラム縫いを実行する。
CPU44は実行対象の縫製プログラム80から、実行対象の縫製データを一ステップ分読み出す(S111)。CPU44は読み出した縫製データに従って一針分の縫製を実行する(S113)。具体的に、CPU44は縫製データが定める回転数に従って、メインモータ13の駆動軸を回転する。CPU44は縫製データが定めるピッチに従って、布送りモータ35を駆動する。
S113の実行後、CPU44は一ステップ分の縫製動作が終了したか否かを判断する(S115)。具体的にCPU44は、読み出した縫製データ中の針数と同じだけS113を実行した場合、一ステップ分の縫製動作が終了したと判断する(S115:YES)。一方、一ステップ分の縫製動作が終了していない場合(S115:NO)、CPU44は処理をS113に戻し、引き続き一針分の縫製を実行する。
一ステップ分の縫製動作が終了した場合(S115:YES)、CPU44は次ステップがあるか否かを判断する(S117)。具体的にCPU44は、実行対象の縫製プログラム80が含む全ての縫製データをS111で読み出している場合、次ステップがないと判断する(S117:NO)。この場合、実行対象の縫製プログラム80に基づく縫製動作が完了しているため、CPU44は処理をメイン処理(図10参照)に戻す。次ステップがある場合(S117:YES)、CPU44は処理をS111に戻す。CPU44は、次ステップの縫製データを読み出して、上記と同様に縫製動作を継続する(S111〜S115)。
本実施形態では、CPU44はS113の実行時に、S105で読み出した共通補助機能の設定項目と、S107で読み出したプログラム補助機能の設定項目とを実行する。例えばCPU44は、図8に示す共通補助テーブル70及び図9に示すプログラム補助テーブル90に基づいて、次のような付随的な縫製動作を実行する。CPU44はAUTO「ON」に従い、上述のプログラム縫いを実行する。自動糸切り「ON」、糸払い「ON」、及び針止め位置「針上」に従い、CPU44は縫製動作の終了時に縫針8を布の上方に停止して糸切り及び糸払いを実行する。作業者が補正縫いスイッチを操作した場合、CPU44は補正縫い「ON」に従い補正縫いを実行する。CPU44はスロースタート「OFF」に従い、スロースタートを実行しない。CPU44は糸切り禁止「OFF」に従い、糸切りを許可する。
作業者が補助機能の設定項目を誤って設定した場合、共通補助テーブル70が定める共通補助機能の設定項目と、プログラム補助テーブル90が定めるプログラム補助機能の設定項目とが、縫製動作時に両立困難になるおそれがある。例えば、図8に示す共通補助テーブル70の糸切り禁止の設定項目が「ON」の場合、図9に示すプログラム補助テーブル90の自動糸切りの設定項目が「ON」であると、CPU44は縫製動作時に何れか一方しか実行できない。本実施形態では、CPU44はS113の実行時に、共通補助テーブル70が定める共通補助機能の設定項目及びプログラム補助テーブル90が定めるプログラム補助機能の設定項目の何れか一方しか実行できない場合、プログラム補助機能の設定項目を優先して実行する。故に作業者が補助機能の設定項目を誤って設定した場合でも、ミシン1は縫製動作を適切に実行できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の補助機能のそれぞれが共通補助機能及びプログラム補助機能の何れであるかを、補助機能テーブル60が定める。共通補助テーブル70は、補助機能テーブル60が定める共通補助機能の設定項目を定める。プログラム補助テーブル90は、複数の縫製プログラム80毎に、補助機能テーブル60が定めるプログラム補助機能の設定項目を定める。実行対象の縫製プログラム80に基づいて縫製動作を実行する場合、CPU44は共通補助機能及びプログラム補助機能の各設定内容を実行する(S113)。これにより、ミシン1は全ての縫製プログラム80に適用する補助機能の実行内容と、個別の縫製プログラム80に適用する補助機能の実行内容とを、作業者が別々に設定できる。故に作業者は、縫製動作の内容及び手順を定めた複数の縫製プログラム80に対して、必要な機能を正確且つ容易に設定できる。
CPU44は、共通補助テーブル70が定める共通補助機能の設定項目を変更可能である(S61〜S65)。CPU44は、EEPROM49が記憶する複数の縫製プログラム80毎に、プログラム補助テーブル90が定めるプログラム補助機能の設定項目を変更可能である(S83〜S87)。故に、ミシン1は全ての縫製プログラム80に適用する補助機能の実行内容と、個別の縫製プログラム80に適用する補助機能の実行内容とを、作業者が容易且つ正確に変更できる。
CPU44は、補助機能テーブル60において、複数の補助機能の各々が共通補助機能及びプログラム補助機能の何れであるかを変更できる(S31〜S35)。故に、ミシン1は各補助機能を全ての縫製プログラム80に適用するか、あるいは個別の縫製プログラム80に適用するかを、作業者が容易且つ正確に分類できる。
CPU44は、補助機能が共通補助機能からプログラム補助機能に変更すると、変更した補助機能の設定項目(既存項目)をそのまま個別の縫製プログラム80に適用する(S45〜S49)。故に、作業者が補助機能を共通補助機能からプログラム補助機能に変更した場合に、変更した補助機能の実行内容を縫製プログラム80毎に設定し直す必要がない。
CPU44は、補助機能がプログラム補助機能から共通補助機能に変更すると、変更した補助機能について予め定めた設定項目(初期項目)を全ての縫製プログラム80に適用する(S39〜S43)。故に、作業者が補助機能をプログラム補助機能から共通補助機能に変更した場合に、変更した補助機能の実行内容を設定し直す必要がない。
CPU44は、共通補助機能の設定項目及びプログラム補助機能の設定項目の何れか一方しか実行できない場合、プログラム補助機能の設定項目を優先して縫製動作に適用する(S113)。故に、共通補助機能の実行内容とプログラム補助機能の実行内容とが両立困難である場合、ミシン1はプログラム補助機能の実行内容を共通補助機能の実行内容よりも優先的に実行することで、縫製動作の動作不良を抑制できる。
上記実施形態において、縫製プログラム80が本発明の「プログラム」に相当する。縫製プログラム80を記憶するEEPROM49が本発明の「プログラム記憶手段」に相当する。共通補助機能が本発明の「第一機能」に相当する。プログラム補助機能が本発明の「第二機能」に相当する。補助機能テーブル60が本発明の「機能テーブル」に相当する。補助機能テーブル60を記憶するEEPROM49が本発明の「テーブル記憶手段」に相当する。共通補助テーブル70を記憶するEEPROM49が本発明の「第一機能記憶手段」に相当する。プログラム補助テーブル90を記憶するEEPROM49が本発明の「第二機能記憶手段」に相当する。S113を実行するCPU44が本発明の「縫製制御手段」に相当する。S61〜S65を実行するCPU44が本発明の「第一機能変更手段」に相当する。S83〜S87を実行するCPU44が本発明の「第二機能変更手段」に相当する。S31〜S35を実行するCPU44が本発明の「分類変更手段」に相当する。S45〜S49を実行するCPU44が本発明の「第一設定変更手段」に相当する。S39〜S43を実行するCPU44が本発明の「第二設定変更手段」に相当する。S113の処理が本発明の「縫製制御工程」に相当する。
尚、本発明は上記の実施形態に限定するものではなく、種々の変更が可能である。メイン処理(図10参照)の一部又は全部は、ミシン1以外の装置で実行してもよい。例えば、ミシン1と接続可能なパーソナルコンピュータ(以下、PCという。)のCPUが、メイン処理(図10参照)の一部又は全部を実行してもよい。この場合、補助機能テーブル60、共通補助テーブル70、縫製プログラム80、及びプログラム補助テーブル90の少なくとも一つは、PCの記憶装置に記憶してもよい。
操作部10は前面に液晶パネル11を備え、液晶パネル11は表面(前面)に透明なタッチパネル12を備えたが、タッチパネル12は備えなくてもよい。該場合、ホーム画面200、分類設定画面210、共通補助設定画面220、プログラム一覧画面230、プログラム操作画面235、プログラム補助設定画面240が含む各種ボタンは、操作部10に設ければよい。