JP4084444B2 - 刺繍ミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の条件が成立するとミシンの機能が全部又は一部働かないように制限するミシンの制御方法及びミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工業用ミシンは、一般に、多数の加工布を同時かつ効率的に刺繍加工できるように、多頭式多針かつ高機能にされているため、価格が高いものが多い。このため、ミシンの導入コストを軽減するために、ミシンのディーラーと利用者との間でレンタル又はリース等の賃貸契約がされたり、ミシンの代金が分割で支払われたりすることも多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、利用者によっては、賃貸料金や分割の支払金を長期に渡って滞納するときがある。このとき、前記料金等の支払いがされるまで、ミシンを利用者の施設から撤収することにより、利用者がミシンを使用できなくすることもディーラーは考えることができる。しかし、工業用ミシンは、大型のものが多く、一旦設置されたものを撤収するためには手間と時間がかかるため、非常に困難である。また、仮に撤収したとすると、その後利用者がすぐに滞納金を支払っても、ミシンの設置には時間と手間がかかり、すぐに使用を再開できないため、場合によっては利用者に多大な損害を与えるおそれがある。
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決し、所定の条件が成立すると迅速かつ確実にミシンの機能が全部又は一部働かないように制限するとともに、適宜、該制限を迅速に解くことができ、刺繍加工中の加工布が無駄になって利用者に損害を与えることもない刺繍ミシンを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の刺繍ミシンは、刺繍ミシンの使用時間が所定の制限時間を超えたことを検出するタイマー手段と、該タイマー手段が前記制限時間を超えたことを検出した後は、前記刺繍ミシンの機能が全部又は一部働かないように制限する制限手段と、文字、記号等よりなる所定の延長コード又は所定の解除コードを選択的に入力する入力手段と、文字、記号、図形等の表示手段とを備え、前記制限時間の残存時間が所定時間になると、前記表示手段に警告を表示し、前記制限手段は、前記刺繍ミシンの刺繍加工中に前記タイマー手段が前記制限時間を超えたことを検出しても、該刺繍加工が完了するまでは刺繍加工が続行されるよう、前記制限をしないように構成され、所定の延長コードが前記入力手段によって入力されると、前記タイマー手段に設定された制限時間を延長し、一方、所定の解除コードが前記入力手段によって入力されると、前記制限手段は前記制限を解除することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の刺繍ミシンは、所定の使用期限が切れたことを検出する時計手段と、前記時計手段が期限切れを検出した後は、前記刺繍ミシンの機能が全部又は一部働かないように制限する制限手段と、文字、記号等よりなる所定の延長コード又は所定の解除コードを選択的に入力する入力手段と、文字、記号、図形等の表示手段とを備え、前記使用期限の残存期間が所定期間になると、前記表示手段に警告を表示し、前記制限手段は、前記刺繍ミシンの刺繍加工中に前記時計手段が期限切れを検出しても、該刺繍加工が完了するまでは刺繍加工が続行されるよう、前記制限をしないように構成され、所定の延長コードが前記入力手段によって入力されると、前記記憶手段に記憶された前記使用期限を延期し、一方、所定の解除コードが前記入力手段によって入力されると、前記制限手段は前記制限を解除することを特徴とする。
【0017】
前記ミシンは、所定の変換処理をすることによって任意に定められた基本コードを前記解除コード又は前記延長コードに変換する変換手段を備えていることが好ましい。
【0018】
前記ミシンは文字、記号、図形等の表示手段を備え、前記基本コード、前記解除コード又は前記延長コードが入力手段によって入力されると、該各コードに対応した確認コードを前記表示手段に表示することが好ましい。
【0019】
前記ミシンは、所定の変換処理をすることによって前記基本コードを前記確認コードに変換する変換手段を備えていることが好ましい。
【0020】
以上において、「ミシンの機能が全部又は一部働かないように制限する」とは、特に限定されないが、次の態様を例示できる。
(1)前記入力手段における前記延長コード又は前記解除コードの入力を除いたすべての機能が働かないように制限する態様。
(2)ミシンの主軸を駆動するモータが回転しないように制限する態様(ミシンの縫製加工を開始させるスイッチが働かないように制限する態様)。
(3)ミシンの針棒キャンセル機構を作動させて、針棒が駆動されないように制限する態様。
(4)一部の縫い方による縫製加工のみ可能なように制限する態様。
(5)縫製加工の速度を落とす態様。
(6)多頭ミシンにおいて、縫製加工可能なミシンヘッド数を制限する態様。
(7)多針ミシンにおいて、縫製加工可能な針数を制限する態様。
【0021】
前記警告としては、特に限定されないが、文字、図形又は記号を任意に組み合わせて構成することができる。また、表示とともに、又は、表示に代えて音声により警告するようにしてもよい。
【0022】
前記入力手段は、ミシンに設けられた操作パネル、操作スイッチ、リモートコントロールスイッチ等の入力手段に限られず、電話回線や通信ネットワークを介して接続された通信端末装置をも含む。
【0023】
前記変換処理は、変換前のコードから変換後のコードへ一義的に変換できるものであれば特に限定されず、例えば公知の暗号化技術を適用することもできる。また、前記コードは、特に限定されず、英数字、カタカナ、ひらがな、漢字、記号、ピクトグラフ(絵文字)等を任意に採用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1〜図17は本発明の第一実施形態に係る刺繍ミシンの制御方法及び刺繍ミシンを示しており、刺繍ミシン1は、図1に示すように、ミシンテーブル5上に間隔をおいて連設された多数の刺繍ヘッド2と、刺繍ヘッド2の下方において、ミシンテーブル5上に載置された刺繍枠6と、ミシンテーブル5の右側において刺繍ミシン1への動作指示等を入力するための操作パネル7と、ミシンテーブル5の下側に配され、刺繍ミシン1の刺繍加工の開始又は停止を指示する運転棒スイッチ8とを備えている。
【0025】
操作パネル7は、図2に示すようにその前面上側に設けられ操作内容等を表示する表示手段としての表示部11と、表示部11の下側に設けられ各種の操作・入力スイッチが配設された操作・入力手段としての操作部12と、操作部12の下側に設けられフロッピーディスク14との間で柄データ等を読み書きするフロッピーディスクドライブ13とを備えている。
【0026】
表示部11には、液晶ディスプレー又はCRT等の表示装置が使用され、表示部11は、刺繍ミシン1の動作状態や操作に関するガイドを表示するメッセージ表示領域15と、メッセージ表示領域15の下側に設けられ、アイコンによる操作メニューを表示する4つのアイコン表示領域16とより構成されている。
【0027】
操作部12は、各アイコン表示領域16の下に設けられ表示されたアイコンを選択する4つのアイコンキー17と、刺繍ミシン1の電源スイッチ18と、柄管理操作と運転操作とを切り替える画面切替キー19と、刺繍枠6を移動等する矢印キー20と、柄番号等の数値を入力するテンキー21とより構成されている。
【0028】
図3は、刺繍ミシン1の制御系の構成を示しており、該刺繍ミシン1の制御は操作パネル7内に格納されたコントローラ25が行なっている。コントローラ25は、CPU26(中央処理装置)を備え、該CPU26にはバス27を介して、多頭刺繍ミシン1の制御プログラムが格納されたROM28(読み出し専用メモリ)と、該制御プログラムの実行時に作業用に使用されるRAM29(読み書き可能メモリ)と、刺繍ミシン1の使用時間が所定の制限時間を超えたことを検出するタイマー手段としてのタイマー30とが接続されている。
【0029】
また、CPU26には、前述の操作パネル7と、前述のフロッピーディスクドライブ13と、刺繍枠駆動用のパルスモータ31を制御するためのドライバ32と、ミシン主軸駆動用のモータ33を制御するためのドライバ34と、該主軸の回転角度を検出するためのロータリーエンコーダ35と、刺繍開始を指示するための運転棒スイッチ8と等が各インターフェース37とバス27とを介して接続されている。
【0030】
次に、タイマー30が時間切れを検出した後に、刺繍ミシン1の機能が働かないように制限する制限手段(ROM28に記憶されているプログラム)について説明すると、該制限手段は、タイマー設定処理(ステップS50、図4)、タイムチェック処理(ステップS70、図11)、更新設定処理(ステップS80、図14)及び刺繍加工開始処理(ステップS90、図17)よりなっている。
【0031】
まず、図4はタイマー30等に所定の制限時間等を設定するタイマー設定処理(ステップS50)を示しており、本処理は図2に示す運転条件の設定メニューにおいて所定の特殊操作を行なうと実行される。この特殊操作としては、単一のキーを押すこと等の通常の操作でなければ特に限定されず、例えば、アイコンキー17aとアイコンキー17dとを同時に押す操作を挙げることができる。なお、以下において「表示」というときは、操作パネル7の表示部11に表示することを意味している。
【0032】
タイマー設定処理(ステップS50)では、まず、図5に示す初期メニューを表示する(ステップS51)。そして、いずれかのアイコンキー17が押されるまで操作待ちの状態になる(ステップS52〜S55)。いずれかのアイコンキー17が押されると、そのキーに応じて、次の(1)〜(4)のように処理される。
【0033】
(1)アイコンキー17aが押されると(ステップS52)、図6の画面を表示し、後述する延長コード、解除コード及び確認コードの基となる基本コードを入力させる(ステップS56)。この基本コードは任意に定めることができる。この基本コードの入力にはアイコンキー17a〜17cが用いられ、アイコンキー17a又は17bが押されるとカーソル40上の数字を1ずつそれぞれ増加又は減少させ、アイコンキー17cが押されるとカーソル40を右に移動させる。アイコンキー17dが押されると、初期メニューを表示し(ステップS51)、前記操作待ちの状態に戻る。
【0034】
(2)アイコンキー17bが押されると(ステップS53)、図7の画面を表示し、刺繍ミシン1の使用を許可する制限時間を入力させる(ステップS57)。この制限時間の入力にはアイコンキー17a〜17cが用いられ、アイコンキー17a又は17bが押されると制限時間を1時間ずつそれぞれ増加又は減少させ、アイコンキー17a又は17bとアイコンキー17cとが一度に押されると、増減する時間を1000時間単位にする。アイコンキー17dが押されると、初期メニューを表示し(ステップS51)、前記操作待ちの状態に戻る。
【0035】
(3)アイコンキー17cが押されると(ステップS54)、図8の画面を表示し、後述する警告画面(図13)において制限時間切れが近づいていることを示すための警告メッセージを入力させる(ステップS58)。この警告メッセージの入力には操作部12の矢印キー20及びアイコンキー17a〜17cが用いられ、矢印キー20が押されると、その方向に文字パネル41のカーソル40を移動させ、アイコンキー17aが押されると、文字パネル41のカーソル位置の文字を入力対象の編集ボックス42(左側に「>>」が表示されている)のカーソル40の前に挿入する。アイコンキー17bが押されると、編集ボックス内のカーソルの前の一文字を削除する。アイコンキー17cが押されると、入力の対象の編集ボックスを上側のものと下側のものとで切り替える。アイコンキー17dが押されると、初期メニューを表示し(ステップS51)、前記操作待ちの状態に戻る。
【0036】
(4)上記(1)〜(3)の設定が終了した状態で(図9)、アイコンキー17dが押されると(ステップS55)、図10の画面を表示し、設定内容を登録するかどうかを最終的に決定させる(ステップS59)。ここで、アイコンキー17aが押されると(ステップS60)、上記(1)〜(3)の設定内容をRAMに記憶するとともに(ステップS61)、所定の変換処理(後述)をすることによって基本コードを基本コードに対する確認コード(以下、基本確認コードという。)に変換し、該確認コードを表示し(ステップS62)、タイマー設定処理を終了する(ステップS63)。また、アイコンキー17cが押されると(ステップS60)、設定内容をすべて廃棄し、すぐにタイマー設定処理を終了する(ステップS63)。また、アイコンキー17dが押されると(ステップS60)、設定内容を保持したまま、初期メニューを表示し(ステップS51)、前記操作待ちの状態に戻る。
【0037】
次に、図11はタイマー30のタイムチェック処理(ステップS70)を示すフローチャートであり、本処理は一定周期ごとに実行されるようになっている。本処理(ステップS70)が開始されると、まず、刺繍ミシン1が刺繍加工中かどうかをチェックし(ステップS71)、刺繍加工中であればすぐに本処理を終了し(ステップS77)、刺繍加工中でなければタイマー30の残存時間を読み出し(ステップS72)、該残存時間を検索キーにして警告テーブルを検索する(ステップS73)。
【0038】
警告テーブルの各レコードには、図12に示すように警告を発するタイマー30の残存時間である警告残存時間43と、該時間に警告したかどうかを示す警告済フラグ44とが記憶されている。警告済フラグ44には、警告前は0が記憶され、警告すると1が記憶される。図12は、警告残存時間43が144時間になったときに警告され(警告済フラグ44が1)、警告残存時間43が72時間以下のときはまだ警告がされていない(警告済フラグ44が0)状態を示している。
【0039】
検索した結果、タイマー30の現在の残存時間よりも大きい警告残存時間43が記憶されたレコードが見つかり、該レコードの警告済フラグ44が0であれば(ステップS74)、制限時間切れが近付いていることを示す図13の警告画面を表示する(ステップS75)。この警告画面において、アイコンキー17dが押されると、前記検索されたレコードの警告済フラグ44を1にして本処理を終える(ステップS77)。また、前記検索されたレコードの警告済フラグ44が既に1になっていれば(ステップS74)、すぐに本処理を終了する(ステップS77)。
【0040】
次に、図14は更新設定処理(ステップS80)のフローチャートを示している。図15に示すように運転条件の設定メニューには、タイマー30が稼働していることを示すアイコンが、アイコンキー17dに対応するアイコン表示領域16に表示されている。このとき、アイコンキー17dが押されると、更新設定処理(ステップS80)が開始され、図16に示す更新メニューを表示する(ステップS81)。そして、前記基本コードを入力するときと同様にして延長コード又は解除コードが入力される。アイコンキー17dが押されると、入力されたコードが延長コード又は解除コードであるかをチェックする(ステップS82)。具体的には、基本コードに所定の変換処理(後述)をして得た延長コード及び解除コードのいずれかのコードと、入力されたコードとが一致するかどうかに応じて次の(1)〜(3)のように処理する。
【0041】
(1)入力されたコードが延長コードと一致すれば(ステップS82)、タイマー30の残存時間を延長した後(ステップS83)、所定の変換処理(後述)することにより、基本コードを延長コードに対する確認コード(以下、延長確認コードという。)に変換して該確認コードを表示し(ステップS84)、本処理を終える(ステップS87)。
【0042】
(2)入力されたコードが解除コードと一致すれば(ステップS82)、タイマー30を停止するとともに、警告テーブルのすべてのレコードの警告済フラグ44を0にし(ステップS85)、所定の変換処理(後述)をすることにより基本コードを解除コードに対する確認コード(以下、解除確認コードという。)に変換し、該確認コードを表示して(ステップS86)、本処理を終える(ステップS87)。
【0043】
(3)入力されたコードが延長コード又は解除コードに一致しなければ(ステップS82)、すぐに本処理を終える(ステップS87)。
【0044】
次に、図17は刺繍加工開始処理(ステップS90)のフローチャートを示しており、本処理は運転棒スイッチ8がONされると開始され、まず、タイマー30がタイムアップしているかどうかをチェックする(ステップS91)。タイムアップしていれば、図13に示す警告画面を表示し(ステップS93)、アイコンキー17dが押されると本処理を終え(ステップS94)、刺繍加工は開始しない。また、タイムアップしていなければ(ステップS91)、刺繍加工を開始して(ステップS92)、本処理を終える(ステップS94)。このように、刺繍ミシン1の使用時間が所定の制限時間を越えているという条件が成立すると、刺繍ミシン1の刺繍加工を開始できないように制限するようになっている。
【0045】
次に、基本コードを他のコードに変換する変換処理について説明すると、該変換処理としては、変換前のコードから変換後のコードへ一義的に変換できるものであれば特に限定されず、例えば公知の暗号化技術を用いることもできる。
【0046】
変換処理の一例としては、任意の一桁の数(以下、任意数という。)をコードの各桁に加算し、加算後の一の位の数を該各桁の数値として用いることが挙げられる。
【0047】
例えば、基本コードが「12345678」であるとすると、他のコードは次のようになる。基本確認コードの任意数を3にすると、該確認コードは「45678901」となる。延長コードの任意数を5にすると、延長コードは「67890123」となる。延長確認コードの任意数を6にすると、該確認コードは「78901234」となる。解除コードの任意数を7にすると、解除コードは「89012345」となる。解除確認コードの任意数を8にすると、該確認コードは「90123456」となる。
【0048】
なお、上記においてはすべてのコードを直接基本コードから変換したが、基本コードを基にして求められたコードから変換してもよく、例えば、延長コードを変換することによって、延長確認コードを求めてもよい。
【0049】
この変換処理は、ROM28に格納されてタイマー設定処理(ステップS50)及び更新設定処理(ステップS80)から呼び出されるもののほかに、キーボード等の入力装置とCRT等のディスプレー装置とを備えたコンピュータで実行可能な変換プログラムとしても作成されている。この変換プログラムは、入力装置から基本コード等を入力すると、基本コードを変換して、基本確認コード、延長コード、延長確認コード、解除コード及び解除確認コードをディスプレー装置に表示するようになっている。
【0050】
以上のように構成された刺繍ミシン1の実際の動作について順を追って説明する。ここでは、刺繍ミシン1はディーラーと利用者との間でリース又はレンタル契約がされて利用されるものであり、刺繍ミシン1の制限時間としては、次回のリース代金の支払い期限までの時間、又は、レンタル期限までの時間を設定する場合を例にとる。なお、前記変換プログラムは、ディーラーの管理責任者によって管理されており、刺繍ミシン1を利用者に納入・メンテナンスするディーラーのサービス担当者は該変換プログラムに一切アクセスできないものとする。換言すると、サービス担当者は、刺繍ミシン1の操作パネル7に表示されるまで、基本確認コード、延長コード、延長確認コード、解除コード又は解除確認コードを知ることができないものとする。
【0051】
まず、サービス担当者は、運転条件の設定メニューから特殊操作を行なって初期メニューを表示させ(ステップS50,S51)、基本コード、リース又はレンタル契約に基づいた制限時間、警告メッセージを入力し(ステップS52・S56,S53・S57,S54・S58)、登録すると(ステップS55,S59〜S61)、基本確認コードが表示される(ステップS62,S63)。サービス担当者が基本コードと基本確認コードとを管理責任者に伝えると、管理責任者は、変換プログラムを実行する。そして、該基本コードを入力して得た基本確認コードとサービス担当者が報告した基本確認コードとが一致することによりサービス担当者がタイマー30を設定したことを確認する。
【0052】
利用者が刺繍ミシン1により刺繍加工をすると、タイマー30の残存時間が使用時間に応じて減算される。そして、残存時間が240時間、144時間、72時間、24時間、0時間になると、それぞれ警告画面が表示される。これにより、刺繍ミシン1の使用を継続するためのリース又はレンタル料金を支払うように利用者は促される(ステップS70)。そして、残存時間が0時間になったときに刺繍加工中であれば、該刺繍加工が終わるまでは刺繍加工が続行されるが、該刺繍加工が終了した後は運転棒スイッチ8を操作しても刺繍加工が開始されなくなる(ステップS90,S91,S93,S94)。
【0053】
さて、利用者が刺繍ミシン1のリース又はレンタル料金の支払いを済ませ、サービス担当者に連絡すると、サービス担当者はその旨管理責任者に伝える。管理責任者は、変換プログラムを実行し、基本コードを入力して、解除コード及び延長コードを得る。利用者がリースの全支払いを完了したのであれば、管理責任者はサービス担当者に解除コードを伝え、リースの支払いが残っているときや、レンタル期間を延長するのであれば、延長コードを伝える。
【0054】
そして、サービス担当者は利用者のところへ出向き、運転条件の設定メニューからアイコンキー17dを押して、更新メニューを表示させる(ステップS80,S81)。
【0055】
ここで、解除コードを入力すると、タイマー30が解除され、解除確認コードが表示される(ステップS82,S85,S86,S87)。また、延長コードを入力すると、タイマー30の残存時間が延長され、延長確認コードが表示される(ステップS82,S83,S84,S87)。サービス担当者が表示された解除確認コード又は延長確認コードを管理責任者に伝えると、管理責任者は、該確認コードが、前記変換プログラムを用いて得た確認コードと、一致することを確認することにより、サービス担当者がタイマー30を解除又は延長したことを確認する。
【0056】
以上、リース又はレンタル等の賃貸契約の場合を例にとって説明したが、分割払いのように所定時期ごとに分割された代金の支払いが必要で、最終的に全代金が支払われると、刺繍ミシン1の所有権がディーラーから利用者に移るような場合に、前記所定時期ごとの支払いを利用者に促すために本発明を用いることもできる。
【0057】
このように構成された刺繍ミシン1の制御方法及び刺繍ミシン1によれば、刺繍ミシン1の使用時間が所定の制限時間を超えるという条件が成立すると、刺繍加工を開始することができなくなるようにして刺繍ミシン1の機能が働かないように制限する。このため、例えば刺繍ミシン1がリース又はレンタルされている場合に、刺繍ミシン1の利用者が刺繍ミシン1の使用を継続するためのリース又はレンタル料金を所定の時期までに支払わないときは、迅速に刺繍ミシン1の機能を制限することができ、従来のように刺繍ミシン1を撤去する必要がない。
【0058】
また、刺繍加工中に制限時間が切れても、刺繍加工中は刺繍ミシン1の機能が制限されないため、刺繍加工中の加工布が無駄になって利用者に損害を与えることはない。従って、刺繍ミシン1の機能を確実に制限することができる。
【0059】
また、制限時間の残存時間が所定時間になると、表示部11に警告を表示するため、利用者に制限時間が切れる前に、所定の措置(例えば、代金の支払い)をとることを促すことができる。
【0060】
また、所定の延長コード又は解除コードを操作パネル7によって入力すると、タイマー30に設定された制限時間をそれぞれ延長又は解除するため、不正に制限時間が操作されることを防止することができる。また、一旦制限時間が切れて刺繍ミシン1の機能が働かないように制限されても、所定の措置がとられると(リース又はレンタル料金が支払われると)、所定の延長コード又は解除コードを入力すれば迅速に制限を解くことができる。
【0061】
さらに、所定の変換処理をすることによって基本コードを他のコードに変換しているため、基本コードを変更すれば、これに応じて他のコードも変更される。従って、例えば、ある基本コードに対する他のコードが利用者に知られてしまったときは、基本コードを変更すればよく、セキュリティーを容易に維持・管理することができる。
【0062】
また、基本コード、解除コード又は延長コードが操作パネル7によって入力されると、該各コードに対応した確認コードを表示部11に表示するため、例えば、確認コードをサービス担当者に報告させることによって、該担当者が刺繍ミシン1に対して所定の操作を本当に行ったかどうかを、刺繍ミシン1の管理責任者は確認することができる。従って、サービス担当者と利用者とが共謀し、タイマー30を設定することなく刺繍ミシン1を利用すること等の不正を防止することができる。
【0063】
次に、第二実施形態に係る刺繍ミシンの制御方法及び刺繍ミシンについて説明すると、本実施形態では、使用期限が切れるという条件が成立すると、刺繍ミシンの機能が全部又は一部働かないように制限するという点においてのみ、第一実施形態と異なっている。
【0064】
本実施形態では、図18に示すように刺繍ミシン45のコントローラ46は、所定の使用期限が切れたことを検出する時計手段47と、時計手段47が期限切れを検出した後は、刺繍ミシン45の機能が全部又は一部働かないように制限する制限手段(ROM28に記憶されている)とを備えるように構成する。
【0065】
そして、例えば時計手段47に使用期限としてA年B月C日と設定したとすると、期限までの残存時間が所定の警告残存時間43になると操作パネルに警告が表示され、A年B月C日になっても所定の措置(例えば、代金の支払い)がとられないと刺繍ミシン45の機能が全部又は一部働かないように制限される。本実施形態によっても第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
なお、本発明は前記実施形態の構成に限定されず、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
【0067】
(1)入力手段として、電話回線や通信ネットワークを介して接続された通信端末装置を用いること。
【0068】
(2)変換処理として、公知の暗号化技術を適用すること。
(3)基本コード等のコードとして、数字のほか、英字、カタカナ、ひらがな、漢字、記号、ピクトグラフ(絵文字)等を任意に採用すること。
【0069】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1又はの発明に係る刺繍ミシンによれば、迅速に刺繍ミシンの機能を制限することができ、刺繍加工中の加工布が無駄になって利用者に損害を与えることもない。また、制限時間又は使用期限を延長するために必要な措置をとることをミシンの利用者に促すことができる。さらに、不正に制限時間又は使用期限が延長又は解除されることを防止できるとともに、適宜、制限を迅速に解くことができる。
【0073】
請求項3又は5の発明に係る刺繍ミシンによれば、ミシンの機能の制限に関するセキュリティーを容易に維持・管理することができる。
【0074】
請求項の発明に係る刺繍ミシンによれば、不正にミシンを利用することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第一実施形態に係る刺繍ミシンの正面図である。
【図2】同刺繍ミシンの操作パネルを示す正面図である。
【図3】同刺繍ミシンの制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】同刺繍ミシンのタイマー設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】同刺繍ミシンの入力前の初期メニュー画面を示す図である。
【図6】同刺繍ミシンの基本コード設定画面を示す図である。
【図7】同刺繍ミシンの制限時間設定画面を示す図である。
【図8】同刺繍ミシンの警告メッセージ設定画面を示す図である。
【図9】同刺繍ミシンの入力後の初期メニュー画面を示す図である。
【図10】同刺繍ミシンのタイマー設定確認画面を示す図である。
【図11】同刺繍ミシンのタイムチェック処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】同刺繍ミシンの警告テーブルを示す図である。
【図13】同刺繍ミシンの警告画面を示す図である。
【図14】同刺繍ミシンの更新設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】同刺繍ミシンの運転条件の設定メニュー画面を示す図である。
【図16】同刺繍ミシンの更新メニュー画面を示す図である。
【図17】同刺繍ミシンの刺繍加工開始処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】本発明を具体化した第二実施形態に係る刺繍ミシンの制御系の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 刺繍ミシン
7 操作パネル
8 運転棒スイッチ
11 表示部
12 操作部
17 アイコンキー
20 矢印キー
25 コントローラ
30 タイマー
43 警告残存時間
45 刺繍ミシン
46 コントローラ
47 時計手段
S50 タイマー設定処理
S70 タイムチェック処理
S80 更新設定処理
S90 刺繍加工開始処理

Claims (5)

  1. 刺繍ミシンの使用時間が所定の制限時間を超えたことを検出するタイマー手段と、
    該タイマー手段が前記制限時間を超えたことを検出した後は、前記刺繍ミシンの機能が全部又は一部働かないように制限する制限手段と、
    文字、記号等よりなる所定の延長コード又は所定の解除コードを選択的に入力する入力手段と、
    文字、記号、図形等の表示手段とを備え、
    前記制限時間の残存時間が所定時間になると、前記表示手段に警告を表示し、
    前記制限手段は、前記刺繍ミシンの刺繍加工中に前記タイマー手段が前記制限時間を超えたことを検出しても、該刺繍加工が完了するまでは刺繍加工が続行されるよう、前記制限をしないように構成され、
    所定の延長コードが前記入力手段によって入力されると、前記タイマー手段に設定された制限時間を延長し、一方、所定の解除コードが前記入力手段によって入力されると、前記制限手段は前記制限を解除する刺繍ミシン。
  2. 所定の使用期限が切れたことを検出する時計手段と、
    前記時計手段が期限切れを検出した後は、前記刺繍ミシンの機能が全部又は一部働かないように制限する制限手段と、
    文字、記号等よりなる所定の延長コード又は所定の解除コードを選択的に入力する入力手段と、
    文字、記号、図形等の表示手段とを備え、
    前記使用期限の残存期間が所定期間になると、前記表示手段に警告を表示し、
    前記制限手段は、前記刺繍ミシンの刺繍加工中に前記時計手段が期限切れを検出しても、該刺繍加工が完了するまでは刺繍加工が続行されるよう、前記制限をしないように構成され、
    所定の延長コードが前記入力手段によって入力されると、前記記憶手段に記憶された前記使用期限を延期し、一方、所定の解除コードが前記入力手段によって入力されると、前記制限手段は前記制限を解除する刺繍ミシン。
  3. 前記刺繍ミシンは、所定の変換処理をすることによって任意に定められた基本コードを前記解除コード又は前記延長コードに変換する変換手段を備えた請求項1又は2記載の刺繍ミシン。
  4. 記基本コード、前記解除コード又は前記延長コードが前記入力手段によって入力されると、該各コードに対応した確認コードを前記表示手段に表示する請求項1、2又は3記載の刺繍ミシン。
  5. 前記刺繍ミシンは、所定の変換処理をすることによって前記基本コードを前記確認コードに変換する変換手段を備えた請求項記載の刺繍ミシン。
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