JP4689312B2 - ミシン - Google Patents
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Description
一方、ソレノイドの出力と戻しバネの弾性力とを強化すると、大型のソレノイドが必要となり装置全体が大きくて高価になってしまうという問題があった。また、かかるミシンにあっては、厚手の生地のみならず縫い針や糸の貫通抵抗が低い通常の(薄手の)生地の縫製も行われるため、余分な力はストレスとなり装置の寿命が短縮するという問題があった。
このため、厚手の生地の縫製を行う場合であっても装置自体を大型化することなく、縫製終了時に確実に糸払いを実行することができるミシンの糸払い装置の開発が望まれていた。
前記制御手段は、糸切り動作後に上糸規制手段に対して上糸の繰り出しを規制する制御を行うとともに、前記布移動手段を駆動することで前記上糸に引き抜き力を付与する制御を行い、その後に前記糸払い手段を駆動する制御を行う機能を備え、
さらに、前記制御手段は、前記上糸の残り長さデータを記憶する記憶手段を備えているとともに、前記記憶手段に記載された前記上糸の残り長さと前記糸切り動作後の前記布移動手段による次の処理のための前記被縫製物の移動量とを比較して前記ワイパーによる糸払い動作の有無を自動的に選択する制御を行う機能を備えていることを特徴とするミシンである。
またさらに、請求項1に記載の発明によれば、制御手段に備わる記憶手段には上糸の残り長さすなわち、上糸切断時において切断された上糸の端部が生地の上面に抜けきるまでの長さが記憶される。また、制御手段は、上糸切断後の上述した上糸の残り長さと布移動手段の送り量とを比較し、ワイパーによる糸払い動作の有無を自動的に選択する制御を行う。したがって、上述した上糸の残り長さよりも上糸切断後における布送り量が大きい場合、既に上糸は生地の上側に抜けきっていることとなり、引き抜き力付与のためだけにワイパーを駆動する必要がない。また、上糸切断後の布送り量が上糸の残り長さよりも小さい場合は、ワイパーを駆動することにより選択的且つ確実に糸払い動作が行われる。これにより、コストを抑制しつつも糸払い不良を生じることがなく糸払い動作を実行することができる。
ここで、「次の処理」とは、例えば、縫製動作終了後、被縫製物を取り出すために布移動手段を取り出し可能な位置まで移動させたり、次の縫製の縫い始め位置に移動させたり、或いは縫製動作終了後に布移動手段を待機位置や原点位置に移動する等の処理のことをいい、設定により種々の処理動作を実行させることが可能である。
本実施形態においては、ミシンとして電子サイクルミシンを例に説明する。電子サイクルミシンは、縫製を行う被縫製物である布を保持して移動させる布移動手段を備えている。そして、布移動手段が縫い針に対して相対的に移動することにより、該布移動手段に保持される布に所定の縫製データ(縫い目パターン)に基づく縫い目を形成するミシンである。
ここで、後述する縫い針11が上下動を行う方向をZ軸方向(上下方向)とし、これと直交するミシンアーム部の長手方向をY軸方向(前後方向)とし、Z軸方向とY軸方向の両方に直交する方向をX軸方向(左右方向)と定義する。
図1は本実施形態たるミシンMの全体構成を示す斜視図である。
図1に示すように、電子サイクルミシンM(以下、ミシンM)は、ミシンテーブルTの上面に備えられるミシンフレーム2と、ミシンテーブルTの下部に備えられるとともにミシンフレーム2を操作するためのペダルPとを備えており、さらに縫い針11を上下に駆動する針駆動手段たる針駆動機構10と、縫い針11の上昇に伴う布の上昇を規制するとともに縫い針11を囲む枠状の中押さえ21を備える中押さえ駆動機構と、上糸の繰り出しを規制可能な上糸規制手段としての上糸調子装置50と、上糸を切断する糸切り手段60と、縫い針11の上下動の駆動源とは異なる駆動源を備えるとともに布を保持して任意に移動させる布移動手段としての布移動機構30と、縫い針11の上下動経路を横切るワイパー71を有する糸払い手段たる糸払い機構70と、ミシン各部の動作を設定入力可能な操作パネル80と、布移動手段30の動作制御を行う制御手段としての制御部100と、を備えて主要部が構成されている。
ミシンフレーム2は、外形が側面視にて略コ字状を呈している。このミシンフレーム2は、該ミシンフレーム2の上部をなし前後方向に延びるミシンアーム部2aと、ミシンフレーム2の下部をなし前後方向に延びるミシンベッド部2bと、ミシンアーム部2aとミシンベッド部2bとを連結する縦胴部2cとを備えている。
また、ミシンフレーム2内には動力伝達機構が設けられており、回動自在で前後方向に延びる図示しない上軸及び図示しない下軸を備えている。
下軸(図示省略)はミシンベッド部2bの内部に配されている。下軸の前端には、図示しない釜が設けられており、上軸とともに下軸が回動すると、縫い針11と釜(図示省略)との協働により縫い目が形成されるようになっている。
なお、ミシンモータ5、上軸(図示省略)、針棒12、縫い針11、下軸(図示省略)、釜(図示省略)等の接続構成は従来公知のものと同様であるため、ここでは詳述しない。
ミシンアーム部2aには、針駆動機構が内蔵されている。すなわち、上軸(図示省略)の他端(前端)にはミシンアーム部2aの先端の内部から下方側に突出される針棒12が具備されており、針棒12の下端には図2に示すように縫い針11が設けられている。そして、図示しない偏心カムやクランクロッド等を介して上軸の回転が往復の上下動に変換されて伝達され、針棒12がZ軸方向に上下動を行うことで、縫い針11が後述する布押さえ42に保持された布に対して針落ちを行うようになっている。
また、ミシンMには、針棒12の上下動と連動して上下動することで針落ち位置周辺の布を下方側に押圧し、縫い針11の上昇に伴う布の浮き上がりを防止する中押さえ21が設けられている。この中押さえ21は、上軸から駆動力を得て該中押さえ21に上下動を付与する中押さえ駆動機構により駆動される。
中押さえ21は、図2、図3に示すように、ミシンアーム部2aの先端部において縫い針11の近傍に配設されている。この中押さえ21は、先端(下端)部が略筒状に形成されており、該先端部を上下に貫通する貫通孔には縫い針11が挿通可能となっている。
また、中押さえ21は、縫い針11が行う上下動の範囲内において縫い針11のストロークよりも短いストロークで保持された布の近傍で上下動を行うとともに縫い針11と同じ周期で上下に駆動されるようになっている。すなわち、中押さえ21は、縫い針11が上死点に位置するときの該縫い針11の先端(下端)と、後述する布移動手段30に保持される生地の上面との範囲内において上下動を行うように構成されており、生地を貫通する縫い針11の先端が、下死点から生地の上面よりも上に上昇するまでは生地の表面を下方側に押さえつけることが可能となっている。
また、ミシンMは、縫い針11に連なる上糸の繰り出しを規制する上糸調子装置50を備えている。
上糸調子装置50はミシンアーム部2aに設けられている。この上糸調子装置50は、糸調子軸、可動皿と固定皿とからなる調子皿(糸調子器)、ベース板、糸調子軸ナット、座金、調子バネ、糸調子ソレノイド51(図4参照)を備えて主要部が構成されている。
この上糸調子装置50は、可動皿と固定皿との間に上糸を挟んだ状態で糸調子ソレノイド51の推力により糸調子軸を駆動し、糸調子軸とベース板により、可動皿と固定皿間の上糸を挟む力を連続的に変化させて糸張力を変更する、動的な糸調子(アクティブテンション)となっている。
また、ミシンMは、縫製動作終了時に上糸の切断を行う糸切り手段としての図示しない糸切り機構を備えている。
糸切り機構は、針板の下方に配設されており、固定刃(図示省略)と、固定刃に対して接離可能な可動刃(図示省略)と、可動刃を駆動する糸切りシリンダ(図示省略)とを備え、糸切りシリンダの電磁バルブ52(図4参照)を制御することで縫いの完了後に所定のタイミングで糸切りシリンダを駆動して固定刃と可動刃との間に挟むように上糸の切断を行うようになっている。
また、ミシンMは、布を保持して任意に移動させる布移動手段たる布移動機構30を備えている。
布移動機構30は、図1、図2に示すように、ミシンベッド部2b上に配設されるとともにミシンアーム部2aの下方側に延設された布送り台31を備えている。すなわち布送り台31は、その基端部がミシンベッド2b上に配設されるとともに、先端部がミシンアーム部2aとミシンベッド部2bの間に配置されており、該先端部がミシンアーム部2aの先端側に配設されている上述した縫い針11及び中押さえ21の近傍に迫り出した状態となって設けられている。布送り台31の基端部には布を載置するための布板41が連結されている。
布板41は、その後端部が上述した布送り台31の基端部の前方側の下端に連結されており、ミシンベッド部2bの上面に沿ってミシンベッド部2bの前方に亘って延設されている。布板41の先端部は四角い枠状に形成されており、この先端部の枠の内側に縫い針11が針落ちを行うようになっている。
布押さえ42は、布板41の上方に配設されており、その後端部は上述した布送り台31の前方に取り付けられている。該後端部は、一端が駆動手段としてのエアシリンダ43に連結されているリンク機構の他端によってZ軸方向に沿ってスライド昇降可能に支持されている。これにより、布押さえ42は、布板41に載置された布を押さえて保持することが可能となっている。すなわち、布押さえ42は、布を保持するとともに、後述する布移動機構のX軸パルスモータ32及びY軸パルスモータ33の駆動に伴い、保持した布を布押さえ42ごと前後左右方向(X−Y方向)に移動することが可能となっている。
そして、布押さえ42の移動と、縫い針11や釜(図示省略)の動作が連動することにより、布に所定の縫製データ(縫い目パターン)に基づく縫い目が形成されるようになっている。
X軸パルスモータ32及びY軸パルスモータ33は、それぞれ図示しないギヤ機構、駆動軸、タイミングベルト、ガイドレール等を介して布送り台31にX軸方向及びY軸方向に沿う駆動力を付与することが可能となっており、各パルスモータ32、33の駆動量及び駆動のタイミングは、後述する制御部100によって制御されるようになっている。すなわち、X軸パルスモータ32及びY軸パルスモータ33は、制御部100によって上述したミシンモータ5とは別々に駆動されることが可能となっており、X軸パルスモータ32及びY軸パルスモータ33を駆動源とする布移動機構30は、ミシンモータ5に連結された上軸を駆動源とする針駆動機構及び中押さえ駆動機構とは独立して駆動されることが可能となっている。
また、ミシンMは、縫製終了時に縫い針11の上下動経路を横切ることで、縫い針11と布との間に掛け渡された上糸を抜き払う糸払い手段としての糸払い機構70を備えている。
糸払い機構70は、ミシンアーム部2aの先端に配設されており、Y軸方向に沿う軸を中心に揺動されることで縫い針11の上下動経路を横切るワイパー71を備えている。
ワイパー71は、先端部が鉤型に形成されるとともにY軸方向にやや屈曲形成されており、その基端部は、該ワイパーの長手方向とほぼ直交するワイパー駆動軸72の一端(先端)に連結されている。ワイパー駆動軸72は、Y軸方向に沿って配設されており、その両端はワイパー軸受け(図示省略)及びワイパー台74の下端に挿通されて回動自在に支持されている。ワイパー台74は、Z軸方向に長手方向を有する略板状の部材であって、その上部においてミシンアーム部2aの先端に着脱自在に設けられた面部カバー2dの内側に取り付けられている。また、ワイパー台74の上部を挟んで面部カバー2dと反対側には、糸払い機構70の駆動源たる糸払いソレノイド75が設けられている。
また、糸払いソレノイド75がフリーになると、段ねじに設けられたバネ79の付勢力により、上述したリンク78等の連結部を介してワイパー71が揺動され、往路と同じ軌道で逆方向に向かって揺動し、その後、前述した縫い針11及び中押さえ21の上下動の妨げとならない位置に付勢された状態で待機するようになっている。
なお、ワイパー71は、その先端部が基端部よりも前方側すなわち縫い針11や中押さえ21側に曲成されており、揺動時にはその先端部が縫い針11の先端と、該縫い針11の先端よりも下方側に位置する中押さえ21の先端との間を通過するようになっており、縫い針11及び中押さえ21と干渉しないように構成されている。すなわち、ワイパー71は、待機位置から糸払い位置までの間を回動することで縫い針11の直下位置を通過して、縫い針11と生地との間に掛け渡された上糸に生地から引き抜く引っ張り力を付与して生地から払い出すようになっている。
ペダルPは、ミシンMを駆動し、針棒12(縫い針11)を上下動させたり、布押さえ42を動作させたりするための操作ペダルとして作動する。すなわちペダルPには、ペダルPが踏み込まれたその踏み込み操作位置を検出するための、例えば、可変抵抗等から構成されるセンサ(踏み込み量検出手段)が組み込まれており、センサからの出力信号がペダルPの操作信号として後述する制御部100に出力され、制御部100はその操作位置、操作信号に応じて、ミシンMを駆動し、動作させるように構成されている。
ミシンMは、作業者がミシンに対する各種設定操作や、各種データ等の入力操作を行うための入力手段としての操作パネル80を備えている(図1、図4参照)。この操作パネル80と制御部100とは、図示しない有線又は無線の回線により接続されており、ミシンMに着脱可能に備えられている。
操作パネル80は、ミシンの各種設定、各種データの入力の操作が可能な複数の操作キー群(図示省略)と、各種設定状態等を表示する表示部81と、を備えている。
図示しない操作キー群には、表示部81において表示されるカーソルやポインターや、布押さえ42を所望する方向に移動させるための方向入力キー(図示省略)や、表示部81においてカーソルやポインターで指し示して選択した項目を決定したことを入力するための決定キー(図示省略)や、数値や番号等を入力するためのテンキー(図示省略)等が備えられている。
なお、操作パネル80において各種キーを介して設定入力された縫製データなどの各種データは、後述する制御部100に出力され、後述するEEPROM104に記憶されるようになっている。
ミシンM(ミシンフレーム2)は、図4に示すように、ミシンモータ5、X軸パルスモータ32、Y軸パルスモータ33、X軸原点センサ32a、Y軸原点センサ33a、操作パネル80、ペダルP等に接続されるとともにこれら各部の動作を監視或いは制御する制御手段として制御部100を備えている。
制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、EEPROM104及びI/Oインターフェース105を備えて主要部が構成されている。CPU101には、バスを介して、ROM102、RAM103、EEPROM104及びI/Oインターフェース105が接続されている。
つまり、CPU101は、この縫製データを読み込むと、順番にコマンドを実行し、X軸パルスモータ32及びY軸パルスモータ33を駆動させて布を所定位置に移動させたり、X軸パルスモータ32及びY軸パルスモータ33を駆動させて布を所定位置に移動させて所定位置に縫い針11の針落ちを行わせたり、一連の運針が行われた後に縫い糸の切断を行ったりすることで、一つの縫製データに設定された一連の縫製を実行する動作制御を行うこととなる。
さらに、ミシンモータドライバ5aには、縫い針11が上昇したことを検知する縫い針上位置センサ5cが接続されている。これにより、縫い針11により縫い目が形成される際の縫い針数が、制御部100によりカウントされるようになっている。
X軸パルスモータ32及びY軸パルスモータ33は、縫製データ(縫い目パターン)に基づき、布押さえ42をXY方向に移動させる駆動手段であり、X軸原点センサ32a及びY軸原点センサ33aは、それぞれ駆動手段としてのX軸パルスモータ32及びY軸パルスモータ33の原点位置を検出するセンサであり、ミシンベッド部2b内に配置されている。
上記制御は、縫製前から予めワイパー選択機能の実行が選択設定され、これがRAM103に記憶されている場合に実行される。
即ち、制御部100は、上糸の残り長さデータをROM102に記憶している。上糸の残り長さとは、上糸切断後、布の下面から垂れ下がった上糸の長さであり、針板上面から糸切り機構の可動刃までの距離で決定される。従って、ROM102には各部の寸法から求められた上糸残り長さがデータとして記憶されている。
また、糸切り動作後の布移動手段による次の処理とは、予めRAM102に、糸切りの実行後に布板41及び布押さえ42を原点に復帰させる設定が行われている場合において、当該設定に従って原点への布板41等の移動を行う処理がこれに該当する。
さらに、予めRAM102に、糸切りの実行後に再び同じ縫製データによる繰り返しの縫製の実行や次の縫製データによる縫製の実行が設定されている場合において、当該設定に従って縫製データの最初の位置決めする位置への布板41等の移動を行う処理がこれに該当する。
さらに、予めRAM102に、糸切りの実行後に上糸に引き抜き力を付与するために布移動手段を駆動する抜脱付与制御の実行が設定されている場合において、当該設定に従って設定移動量だけ布板41等の移動を行う処理がこれに該当する。
そして、制御部100は、上記三つの処理の内のいずれかの実行が設定されていると、糸切り直前の最後の布板41等の位置から上記三つの内のいずれかの処理による移動量を算出する。そして、これにより算出された移動量とROM102に記憶された上糸の残り長さデータとを比較して、上糸残り長さの方が短いと判定した場合には、糸払いを実行するまでもなくいずれかの処理による移動によって上糸は布から抜き払われるので、ワイパー71による糸払い動作を実行しない処理を行う。
また、上糸残り長さの方が長いと判定した場合には、いずれかの処理による移動が行われても上糸は布から抜き切れないので、ワイパー71による糸払い動作を実行する処理を行う。
次に、本実施形態に係るミシンMの制御部100による糸払いの制御動作を、図5に示すフローチャートに基づき詳しく説明する。
まず、ミシンMの電源が投入されると、該ミシンMの各駆動部が待機状態となる。次に、CPU101は記憶手段であるEEPROM104から縫製データの読み出しを行う(ステップS1)。そして、読み出された縫製データに基づいて空送り又は縫いコマンドに従ってミシンモータ5,X軸パルスモータ32,Y軸パルスモータ33の動作を制御することで縫製動作が行われ、布に所定の縫い目が形成される(ステップS2)。そして、一連の縫製動作が終了すると、CPU101は、糸調子ソレノイド51を駆動することで上糸調子装置50を締結し、上糸の繰り出しを規制する制御を行う(ステップS3)。その後、糸切り機構のアクチュエータを駆動することにより、布の下方側において上糸の切断が行われる(ステップS4)。
ここで、ワイパー選択機能の実行が設定とされていない場合(ステップS5;No)、CPU101は糸払いソレノイド75を駆動することでワイパー71が揺動され、糸払いが行われる(ステップS6)。また、ワイパー選択機能の実行が設定されている場合には(ステップS5;Yes)、ワイパー71の駆動の実行の判断に要する次の布板41及び布押さえ42の移動のための移動量データ又は移動させるための設定が成されているかを判定する(ステップS7)。そして、移動のための移動量データ又は移動させるための設定のいずれもない場合には、ステップS6の処理に移行してワイパー駆動が実行される。
また、原点復帰動作を行う設定がされていないとき(ステップS8;No)には、CPU101は、同じ縫製データによる繰り返しの縫製の実行が設定されているか或いは新たな縫製データによる縫製に実行が設定されているかを判定する(ステップS9)。そして、いずれかの縫製の実行が設定されている場合には、その縫い始め位置(最初に布板41等を移動させる目的位置)への移動データを読み出してステップS10の処理に移行する。
また、いずれかの縫製の実行が設定されていない場合には、上糸に引き抜き力を付与するための布移動量の設定データを読み出してステップS10の処理に移行する。
また、除算値が1以上のとき(ステップS12;Yes)には、ワイパー71を駆動することなく、それぞれの目的位置に布板41等を移動させて(ステップS13)、処理を終了する。
また、ワイパー選択機能設定により、上糸切断後のワイパー駆動の実行の要否を自動的に判定することが出来るので、ミシン動作の作業効率を向上させることができる。
また、中押さえ21は、筒状すなわち縫い針を囲む枠状に形成される構成としたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、縫い針11を挟む二股状に形成されていてもよいし、縫い針11の一方側を押さえる構成であってもよい。すなわち中押さえ21は、上述した布移動機構によって移動される布に引かれる上糸により、縫い針11に対して当該布送り方向に沿う引っ張り力が作用されることを防止できる位置及び方向に設けられる構成であれば適用可能であり、各種縫製パターンにより、布送り方向が限定される場合は縫い針11に対してその送り方向側にこのような部材を設ける構成としてもよい。
2a ミシンアーム部
2b ミシンベッド部
2c 縦胴部
2d 面部カバー
5 ミシンモータ
5a ミシンモータドライバ
11 縫い針
12 針棒
21 中押さえ
30 布移動機構(布送り手段)
31 布送り台
41 布板
42 布押さえ
43 エアシリンダ
32 X軸パルスモータ
32a X軸原点センサ
33 Y軸パルスモータ
33a Y軸原点センサ
50 上糸調子装置
51 糸調子ソレノイド
70 糸払い機構
71 ワイパー
72 ワイパー駆動軸
72a 偏心部
74 ワイパー台
75 糸払いソレノイド
76 カバー
77 ワイパーリンク
78 リンク
79 バネ
80 操作パネル
81 表示部
100 制御部(制御手段)
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 EEPROM
105 I/Oインターフェース
M ミシン
P ペダル
T ミシンテーブル
Claims (2)
- 針を上下に駆動する針駆動手段と、
上糸の繰り出しを規制可能な上糸規制手段と、
前記針の上下動の駆動源とは異なる駆動源を備えるとともに被縫製物を保持して任意に移動させる布移動手段と、
前記上糸を切断する糸切り手段と、
前記布移動手段の動作制御を行う制御手段と、を備えるミシンにおいて、
前記針の上下動経路を横切るワイパーを有する糸払い手段を備え、
前記制御手段は、糸切り動作後に上糸規制手段に対して上糸の繰り出しを規制する制御を行うとともに、前記布移動手段を駆動することで前記上糸に引き抜き力を付与する制御を行い、その後に前記糸払い手段を駆動する制御を行う機能を備え、
さらに、前記制御手段は、前記上糸の残り長さデータを記憶する記憶手段を備えているとともに、前記記憶手段に記載された前記上糸の残り長さと前記糸切り動作後の前記布移動手段による次の処理のための前記被縫製物の移動量とを比較して前記ワイパーによる糸払い動作の有無を自動的に選択する制御を行う機能を備えていることを特徴とするミシン。 - 前記ワイパーを駆動する前の前記布移動手段による上糸に引き抜き力を付与する制御の実行の有無を選択可能としたことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
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