JP2006102399A - ミシン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】縫い糸を切断するための切断機構40と、布押さえ21を昇降させる布押さえ機構20と、これら両機構を駆動する単一のパルスモータ13とを備えるミシン10において、少なくとも切断機構による縫い糸の切断の際のパルスモータの回転速度が規定された複数の回転速度パターンデータ93cを記憶するROM93と、コントローラ98により入力された糸調子機構80を駆動するソレノイド81の駆動電圧に対応する縫い糸の太さに基づいて、少なくとも縫い糸が切断される駆動トルクを発生する回転速度パターンデータをROMから選択する回転速度パターン選択手段(例えば、CPU91)と、選択された回転速度パターンデータに基づいて、パルスモータの回転駆動を制御する駆動制御手段(例えば、CPU91)とを備える。
【選択図】図6
Description
このようなミシンにあっては、より具体的には、縫製終了後に、駆動モータの回転駆動に基づいて、切断機構による縫い糸の切断動作及び布押さえ機構による布押さえの上昇動作を行うようになっている。このため、駆動モータの回転速度を速くすることがミシンのサイクルタイムの短縮化の観点から重要となっている。
なお、上記のような問題の解決にあたり、高出力の駆動モータの使用が考えられるが、その場合、駆動モータの大型化やコストアップを招いてしまうといった問題があり、現実的ではない。
縫い糸を切断するための切断機構と、布押さえを昇降させる布押さえ機構と、これら両機構を駆動する単一の駆動モータとを備えるミシンにおいて、
前記駆動モータは、その駆動トルクが回転速度に応じて規定され、
少なくとも前記切断機構による前記縫い糸の切断の際の前記駆動モータの回転速度が規定された回転速度パターンを複数記憶する回転速度パターン記憶手段と、
前記縫い糸の前記切断機構による切断に関連する縫い糸切断関連情報を入力する切断関連情報入力手段と、
前記切断関連情報入力手段により入力された前記縫い糸切断関連情報に基づいて、少なくとも前記縫い糸が切断される駆動トルクを発生する回転速度パターンを前記回転速度パターン記憶手段から選択する回転速度パターン選択手段と、
前記回転速度パターン選択手段により選択された前記回転速度パターンに基づいて、前記駆動モータの回転駆動を制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴としている。
前記縫い糸に所定の張力を付与する糸調子機構と、
前記糸調子機構を駆動する糸調子駆動手段と、を備え、
前記切断関連情報入力手段は、前記縫い糸の太さに応じて変動される前記糸調子駆動手段の駆動電圧を入力する駆動電圧入力手段を備え、
前記回転速度パターン選択手段は、さらに、前記駆動電圧入力手段により入力された前記駆動電圧に対応する前記縫い糸の太さに基づいて、前記回転速度パターンを前記回転速度パターン記憶手段から選択することを特徴としている。
前記切断関連情報入力手段は、前記縫い糸の太さを入力するための糸太さ情報入力手段を備え、
前記回転速度パターン選択手段は、さらに、前記糸太さ情報入力手段により入力された前記縫い糸の太さに基づいて、前記回転速度パターンを前記回転速度パターン記憶手段から選択することを特徴としている。
縫い糸を切断するための切断機構と、布押さえを昇降させる布押さえ機構と、これら両機構を駆動する単一の駆動モータとを備えるミシンにおいて、
前記駆動モータは、その駆動トルクが回転速度に応じて規定され、
少なくとも前記切断機構により切断される前記縫い糸の太さと当該縫い糸の切断の際の前記駆動モータの回転速度とが対応付けられて規定された回転速度パターンを複数記憶する回転速度パターン記憶手段と、
複数の縫製パターンとこれら縫製パターンの縫製に用いられる縫い糸の太さとをそれぞれ対応付けて記憶する縫製パターン記憶手段と、
前記縫製パターンを指示する縫製パターン指示手段と、
前記縫製パターン指示手段により指示された前記縫製パターンに対応する前記縫い糸の太さを前記縫製パターン記憶手段から取得する糸太さ情報取得手段と、
前記糸太さ情報取得手段により取得された前記縫い糸の太さに対応する前記回転速度パターンを前記回転速度パターン記憶手段から選択する回転速度パターン選択手段と、
前記回転速度パターン選択手段により選択された前記回転速度パターンに基づいて、前記駆動モータの回転駆動を制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴としている。
以下、図1〜図10に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施形態たるミシン10の主要な構成のみを図示した斜視図であり、図2はミシン10の主要な構成のみを図示した図1と異なる方向から見た斜視図である。
ミシン10は、各構成を保持し或いは格納する図示しないミシン機枠を備えており、かかるミシン機枠はミシン10の全体において下部に位置するベッド部と、ミシンベッド部の長手方向の一端部において上方に立設された縦胴部と、縦胴部の上端部からベッド部と同方向に延設されたアーム部とを備えている。以下の説明において、ミシン10を水平面に置いた状態で、水平且つベッド部の長手方向に平行となる方向をY軸方向とし、水平且つY軸方向に直交する方向をX軸方向とし、X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。
また、ミシン10は、縫い針を保持して上下動を行わせる上下動機構、針板の下方において縫い針に挿通された上糸に下糸を絡げる釜機構、布押さえ機構20を介して布押さえ21を針板11上面に沿って移動させて針落ち位置を任意に行わせる布移動機構等のように縫製に必要となる各種の機構を備えているが、これらは周知のものなので図示及びその説明は省略する。
布押さえ機構20は、その基端部を布移動機構に保持されると共にその先端部側をX−Y平面に沿った任意の位置に位置決めされる支持フレーム22と、布押さえ21の下側に位置して布押さえ21との間で布地を保持する下板23と、布押さえ21の一端部に立設された押さえ保持部材24と、支持フレーム22の先端部に設けられると共に保持部材24を介して布押さえ21を昇降可能に支持するガイド枠25と、支持フレーム22に揺動可能に支持されると共に揺動により一端部で押さえ保持部材24に対して昇降の移動力を付与する一対の揺動棹26と、ミシン機枠により上下動可能に支持された押圧板27と、支持フレーム22の上部で揺動可能に支持されると共に一端部が押圧板27の下面と接する揺動部材28と、揺動部材28の他端部と各揺動棹26の他端部とを上下について同方向に連動させる第一及び第二のリンク体29,30とを備えている。
これに対応して下板23も布押さえ21と程同一大の長方形状の枠部を有し、布押さえ21と同様に大きく開口されている。さらに、下板23は、その長辺の中間に相当する部位から短辺と平行に伸びる延設部を有し、当該延設部の先端部で布移動機構に保持されている。そして、支持フレーム22の先端部と共に、長方形状の枠部側がX−Y平面に沿った任意の位置に位置決めされるようになっている。
ガイド枠25は、支持フレーム22の先端部に固定装備されており、押さえ保持部材24の他端部をスライド可能に支持するガイド溝を備えている。かかるガイド溝がZ軸方向(上下方向)に沿うようにガイド枠25は支持フレーム22に装備されている。これにより、支持フレーム22に対して布押さえ21は昇降動作を行うことが可能となっている。
また、支持軸27aは、その上端部がメタル軸受け12から上方に突出しており、当該支持軸27aの上端部には、その半径方向両側にピン27bが設けられている。各ピン27bは、動力伝達機構40に係合して下方への押圧力の入力を受けるためのものである。
一方、揺動部材28の他端部は二つのリンク体29,30を介して各揺動棹26の他端部(布押さえ21とは逆側の端部)に連結されている。各揺動棹26はねじりコイルバネによりその他端部が下方に付勢されているため、二つのリンク体29,30を介して揺動部材28の他端部も下方に付勢される。これにより、揺動部材28の一端部はねじりコイルバネの弾性をもって上方に向かって付勢されることとなり、その結果、押圧板27は常に上方に押し上げられた状態を維持することとなる。
なお、上述した第一のリンク体29は支持フレーム22により揺動可能に支持されており、第二のリンク体30は第一のリンク体29の揺動端部と揺動部材28の他端部と連結している。また、第一のリンク体29の揺動端部は、引っ張りバネ31により揺動棹26の他端部と圧接するように連結されている。かかる引っ張りバネ31は前述したねじりコイルバネよりも強力であり、当該ねじりコイルバネに抗して第一のリンク体29の揺動端部が上方に揺動する場合、揺動棹26の他端部も上方に引っ張り上げることが可能となっている。
また、動力伝達機構50により、押圧板27の支持軸27aが下方に押圧されると、揺動部材28の一端部が下降して他端部は上昇し、各リンク部材29,30を介して揺動棹26の他端部も上方に引き上げる。これにより、布押さえ21は下方に押圧され、布押さえ21と下板23との間で布地が保持された状態となる。
切断機構40はミシンベッド部内において、針板11の下側に配置されている。図3は針板11の下側から切断機構40を見た斜視図である。図3において符号12は針板11に穿設された針穴を示している。
切断機構40は、針穴12の近傍に刃先を向けて針板11の下面に固定装備された固定メス41と、回動動作を行うことで上糸及び下糸を固定メス41と挟んで切断する動メス42と、動力伝達機構50により往復の揺動力を付与される揺動リンク体43と、当該揺動リンク体43と共に揺動可能に針板11の下面側に支持装備された調整リンク体44と、動メス42と調整リンク体44とを連結する連結リンク体45とを備えている。
縫製終了直後には、上糸は、その供給源から縫い針を通り、さらに、針板11の針穴12を通って釜機構と係合し、折り返して再び針穴12を通って布地に縫い付けられている。また、下糸は、釜の内側の下糸供給源たるボビンから繰り出されて、針板11の下方で折り返している上糸に絡げられて針穴12を通って布地に縫い付けられている。つまり、針穴12のすぐ真下にあっては、縫い針から釜に到る上糸と、釜から布地に到る上糸と、釜から布地に到る下糸の三本が存在した状態となる。
かかる状態で、縫製が終わった布地をミシン10から除去するためには、下糸と一方の上糸のみを切断する必要がある。特に上糸については、残り長さを確保するために、釜から布地に到る上糸のみを切断する必要がある。
つまり、動メス42は、針穴12のすぐ真下における三本の糸のうちの所定の二本を選り分けて切断する必要がある。一方、三本の糸は釜の配置により、針穴12のすぐ真下位置において、その並び順が常に一定となる。このため、往復回動の往路となる前進回動Tfにおいて、その尖状部42aが切断を行わない上糸のみを回動中心の内側に巻き取るように選り分ける、いわゆる糸さばき動作を行い(図8及び図9参照)、復路となる後退回動Tbにおいて残る二本を尖状部42bにより捕捉して巻き取ると共に固定メス41の刃先に運び、切断を行うようになっている。
揺動リンク体43の他端部には段ネジ47を中心とする円弧方向に沿った長穴43aが形成され、当該長穴43aに止めネジ48が挿入されて従動リンク体44と揺動リンク体43とが連結されている。
揺動リンク体43は動力伝達棹54に連結されているため、当該動力伝達棹54の前進又は後退のストロークに応じて一定の角度範囲でのみ揺動を行うが、従動リンク体44は止めネジ48と長穴43aとにより揺動リンク体43に対して角度調節可能であるため、用度を行う角度範囲は変化しないが、回動の開始位置及び終了位置を調節することができる。これにより、動メス42の切断時の回動の開始位置及び終了位置(実際は往復回動を行うので厳密には折り返し位置)を調節することができ、これに伴って、動メス42の針穴12の通過タイミング即ち切断のタイミングを調節することが可能となっている。
動力伝達機構50は、図1及び図2に示すように、パルスモータ13により同時に回転駆動される第一及び第二の回転カム51,52と、第一の回転カム51に従ってパルスモータ13の出力軸13aの周囲を周回移動する第一のコロ部材53と、切断機構40に切断を行うための動力伝達を行う動力伝達棹54と、第一のコロ部材53を一端部で支持すると共に他端部を動力伝達棹54に連結された第一の梃子部材55と、第二の回転カム52に従ってパルスモータ13の出力軸13aの周囲を周回移動する第二のコロ部材56と、一端部で第二のコロ部材56を支持して当該第二のコロ部材56の周回移動に応じて揺動を行う第二の梃子部材57と、止めネジ58により連結されて第二の梃子部材57と共に揺動を行う従動リンク体59と、布押さえ機構20のピン27bを揺動動作により押下する一対のアーム部材60,61と、従動リンク体59の揺動端部とアーム部材60とを連結する長尺状の動力伝達板62とを備えている。
第一の梃子部材55は、ミシン縦胴部内において、その長手方向がおおむねZ軸方向に沿った状態で、その長手方向中間位置においてミシン機枠に揺動可能に軸支されている。この第一の梃子部材55はX軸方向に沿った軸により軸支されており、一端部に位置する第一のコロ部材53は周回運動によりほぼY軸方向に沿って移動を行う。これにより、第一のコロ部材53の移動に応じて第一の梃子部材55が揺動を行い、その他端部に連結された動力伝達棹54にほぼY軸方向に沿った進退移動力を付与する。
なお、第一の梃子部材55には、第一のコロ部材53を第一の回転カム51に対してその回転中心側に常時圧接させる引っ張りバネ63が設けられている。
なお、動力伝達棹54の近傍には、当該動力伝達棹54が前進位置にあるか後退位置にあるかを検出するセンサ64が設けられている。
また、各アーム部材60,61の揺動端部は、支軸66を中心とする円の半径方向であってY軸方向に沿って延設され、前述した布押さえ機構20の押圧板27を上下動させる各ピン27bの上方に位置している。つまり、各アーム部材60,61の揺動端部が揺動により下降すると各ピン27bに当接し、押圧板27を下降させることで布押さえ21により布地の押さえを行わせるようになっている。
第二の梃子部材57は、略L字状に形成され、その屈曲部において支軸65によりミシン機枠に揺動可能に軸支されている。この第二の梃子部材57はX軸方向に沿った軸により軸支されており、一端部に位置する第二のコロ部材56が周回運動によりほぼZ軸方向に沿って移動を行うと、その他端部がおおむねY軸方向に沿って移動を行うように屈曲されている。
また、図4において、横軸はパルスモータ13の回転角度量を示し、図4にはその一周分が図示されており、切断動作の開始直前の角度から図示している。
かかる第一の回転カム51は、円周に沿った区間では、第一の梃子部材55の揺動を行わせず、窪んだ区間(以下、凹状区間という)でのみ揺動を行わせる。
この第一の回転カム51の凹状区間は、円周区間から緩やかに変化を行い、徐々にパルスモータ13の出力軸13aに近づき、当該凹状区間の丁度中間で最も出力軸13aに近くなる。そして、そこを通過すると出力軸13aから離れて、徐々に円周区間に戻るようになっている。
さらに、第一のコロ部材53が凹状区間の底部を通過すると、円周区間に到達するまで、第一の梃子部材55は動力伝達棹54を後退移動させ、同時に切断機構40の動メス42を後退回動Trさせる。これにより、動メス42は針穴12から垂れた他方の上糸と下糸とを捕捉し、固定メス41まで運んで切断する。
この第二の回転カム52は、第一の回転カム51と同じパルスモータ13の出力軸13a上に装備され、第一の回転カム51と同時回転を行うことで、切断動作と布押さえ動作との連動を図っている。
具体的には、図4に示すように、第一の回転カム51により切断機構40が糸さばき動作と糸切断動作を行った後に布押さえ21が上昇するように第二の回転カム52はその外周形状が設定されている。つまり、第二の回転カム52は、出力軸13aを中心とする半径が大小の二区間から構成され、半径が大なる区間から小なる区間への境界区間が連動する第一の回転カム51の凹状区間のすぐ後(回転方向下流側)に設けられ、半径が小なる区間がパルスモータ13のほぼ半周分続き、その後、境界区間を経て半径が大なる区間に移行する形状となっている。
さらに、第一の回転カム51により切断動作が完了すると速やかに、第二のコロ部材56が半径が大なる区間から小なる区間への境界区間を通過し、第二の梃子部材57及び揺動リンク体59が揺動して動力伝達板62を前進方向fに移動させる。従って、各アーム部材60,61が上方に回動してピン27bの押下を解除し、布押さえ機構20が布押さえ21を上昇させ、布押さえ状態を解除する。
次に、糸調子機構80について図5を参照して説明する。ここで、図5は、糸調子機構80を示す斜視図である。
糸調子機構80は、ミシン機枠に固定されるものであり、具体的には、図5に示すように、当該糸調子機構80の駆動源となるソレノイド(糸調子駆動手段)81と、このソレノイド81のマグネットに接続されたプランジャ81aの進退に伴ってY軸方向に移動するロッド82と、ロッド82のY軸方向に対する移動に伴って可動皿部831を固定皿部832に対してX軸方向に移動させて、これら固定皿部832及び可動皿部831により挟持される縫い糸に対する押圧力を変動させる糸調子皿部83とを備えて構成されている。
一方、ロッド82の糸調子皿部83側の端部は、平面視略L字型の皿部側リンク822の一端部に接続されている。
固定皿部832及び可動皿部831は、各々の対向する面側に縫い糸を挟持するための固定皿832a及び可動皿831aが設けられている。
先ず、ミシン10の電源がOFF状態にあっては、ねじりコイルバネからの付勢力によって、ソレノイド側リンク821がZ軸方向に沿った軸を中心にして所定方向(例えば、反時計回り)に回動することにより、ロッド82をY軸方向に沿って糸調子皿部83側に押し出す。すると、皿部側リンク822がZ軸方向に沿った軸を中心にして所定方向(例えば、反時計回り)に回動させられることにより、可動皿部831がX軸方向に沿って固定皿部832から離れるように移動する。この結果、固定皿部832及び可動皿部831の固定皿832aと可動皿831aの間の隙間が大きくなり、当該隙間に支持される縫い糸に対して付与される張力を減少させる。
一方、ミシン10の電源がONされ、制御部90の制御下にてソレノイド81が駆動すると、ソレノイド側リンク821をZ軸方向に沿った軸を中心にして所定方向と反対方向(例えば、時計回り)に回動させて、これにより、ロッド82をY軸方向に沿ってソレノイド81側に引き込む。すると、皿部側リンク822がZ軸方向に沿った軸を中心にして所定方向と反対方向(例えば、時計回り)に回動させられることにより、可動皿部831がX軸方向に沿って固定皿部832に近づくように移動する。この結果、固定皿832aと可動皿831aの間の隙間が小さくなり、当該隙間に支持される縫い糸に対して付与される張力を増加させる。
次に、制御部90について図6を参照して説明する。ここで、図6は、ミシンの要部構成を示すブロック図である。
図6に示すように、制御部90は、CPU(Central Processing Unit)91、RAM(Random Access Memory)92、ROM(Read Only Memory)93、インターフェイス(I/F)94、ミシンモータ駆動回路95、パルスモータ駆動回路96、ソレノイド駆動回路97等から構成されている。
RAM92は、例えば、揮発性の半導体メモリから構成されており、CPU91による作業領域とROM93から読み出されたミシンで実行可能な各種のプログラムや制御データ等を一時的に格納する記憶領域とを備えている。
より具体的には、CPU91による回転速度パターン選択プログラム93aの実行に基づいて、例えば、コントローラ98を介して出荷時に設定された所定の電圧より大きな駆動電圧が指示入力された場合、即ち、縫製に出荷(通常)時よりも太い縫い糸が用いられる場合には、通常時よりも駆動トルクが大きくなるように、切断機構40による縫い糸の切断の際のパルスモータ13の回転速度を減速させる回転速度パターンデータ93cを選択する一方で、所定の電圧より小さな駆動電圧が指示入力された場合、即ち、縫製に通常時よりも細い縫い糸が用いられる場合には、通常時よりも駆動トルクが小さくなるように、切断機構40による縫い糸の切断の際のパルスモータ13の回転速度を増速させる回転速度パターンデータ93cを選択するようになっている。
即ち、コントローラ98は、駆動電圧入力手段として、ソレノイド81(糸調子駆動手段)の駆動電圧を入力するようになっている。つまり、コントローラ98は、縫い糸の切断機構40による切断に関連する当該縫い糸の太さ(縫い糸切断関連情報)を入力する切断関連情報入力手段を構成している。
以下に、CPU91の制御下におけるパルスモータ13の回転駆動制御について図7〜図9を参照して説明する。
ここで、図7は、縫製後における動メス42による切断動作及び布押さえ21の上昇動作を実行する際のパルスモータ13の回転駆動制御に係る動作の一例を示すフローチャートである。また、図8及び図9は、パルスモータ13の回転駆動制御に係るパルスモータ13の回転速度と回転角度との対応関係を示す図である。
このパルスモータ13の回転駆動にあっては、ミシン10は、その出荷状態において、例えば、所定の回転速度パターン(図8参照)でパルスモータ13を回転させるように設定されている。即ち、図7に示すように、先ず、CPU91は、ROM93から読み出した制御プログラムに従って、動メス42による糸さばき動作及び切断動作並びに布押さえ21の上昇動作を所定の回転速度で行うように、パルスモータ13の回転駆動を制御する(ステップS1)。
具体的には、例えば、図8に示すように、CPU91は、パルスモータ駆動回路96を制御して、パルスモータ13の回転を略一定の加速度で加速させて、動メス42による糸さばきに係る糸さばき区間を所定のほぼ等しい速度a・Iでパルスモータ13を回転させ
る。その後、パルスモータ駆動回路96は、パルスモータ13の回転速度を低下させて、当該パルスモータ13の回転を停止させた後、パルスモータ13の回転を略一定の加速度で加速させて、布押さえ21の押え上げ動作に係る押え上げ区間を所定のほぼ等しい速度a・IIでパルスモータ13を回転させる。ここで、パルスモータ13の加速期間において
、当該パルスモータ13の回転速度が所定の速度aとなる所定の回転角度A(糸切位相)で、即ち、当該回転速度に対応する所定の駆動トルクで動メス42を揺動させて上糸の切断を行うようになっている。
より具体的には、例えば、縫製に用いられる上糸が出荷時よりも太い縫い糸に変更された場合には、CPU91は、糸切り位相で通常時よりも駆動トルクが大きくなるように、即ち、糸切位相において、通常時よりも大きな駆動トルクを発生させるモータ回転速度で上糸の切断を行うような回転速度パターンデータ93cを選択する。即ち、図9に示すように、糸さばき区間後のパルスモータ13の加速期間において、糸切位相(回転角度A)のわずかに手前でパルスモータ13の加速を停止して、当該パルスモータ13を所定のほぼ等しい速度bで回転させる。ここで、モータ回転速度bは、通常の糸切位相におけるモータ回転速度aよりも低速となっており、これにより、パルスモータ13は、回転速度が低くなるほど駆動トルクが大きくなるように規定されていることから、上糸変更後の糸切位相における駆動トルクを大きくすることができる。
以上のように、本実施形態のミシン10によれば、ROM93に、切断機構40による縫い糸の切断の際のパルスモータ13の回転速度が規定された複数の回転速度パターンデータ93cが記憶され、コントローラ98を介して入力された縫い糸の切断機構40による切断に関連する縫い糸切断関連情報に基づいて、CPU91によって、少なくとも縫い糸が切断される駆動トルクを発生するパルスモータ13の回転速度パターンデータ93cをROM93から選択することができる。即ち、糸調子機構80に備わる縫い糸の太さに応じて変動されるソレノイド81の所定の駆動電圧に対応する縫い糸の太さに基づいて、CPU91により、糸切位相にて少なくとも縫い糸が切断される駆動トルクを発生する回転速度パターンデータ93cをROM93から選択することができる。
これにより、縫製に用いられる縫い糸に応じて、その縫い糸を少なくとも切断することができる駆動トルクを縫い糸の切断の際に発生するような回転速度でパルスモータ13の回転駆動を行うことができることとなる。即ち、縫い糸の切断の際のパルスモータ13の回転速度の適正化を図ることができるので、結果として、ミシン10のサイクルタイムが不必要に長くなることを防止して、当該サイクルタイムの短縮化を適正に図ることができる。
上記実施形態では、糸調子機構80を駆動させるソレノイド81の駆動電圧のコントローラ98を介した入力に基づいて、パルスモータ13の回転速度パターンの選択を行うように構成したが、変形例1のミシンにあっては、コントローラ98(糸太さ情報入力手段)を介して縫い糸の太さを入力するようになっている。そして、CPU91は、入力された縫い糸の太さに基づいて、ROM93から回転速度パターン選択プログラム93aを読み出して、当該回転速度パターン選択プログラム93aの実行に従って、入力された太さの縫い糸を切断する駆動トルクを糸切位相Aで発生する回転速度パターンをROM93から選択するようになっている。
次に、変形例2のミシンについて、図10を参照して説明する。ここで、図10は、変形例2のミシンの要部構成を示すブロック図である。
糸太さ情報取得プログラム193aは、CPU91に、糸太さ情報取得手段として、縫製パターン指示手段としてのコントローラ98により指示された縫製パターンに対応する縫い糸の太さを、縫製パターンデータ193cを参照することで取得させる処理に係る機能を実現させるためのプログラムである。
回転速度パターン選択プログラム193bは、CPU91に、回転速度パターン選択手段として、糸太さ情報取得プログラム193aの実行に従って取得された縫い糸の太さに対応する回転速度パターンデータ193dをROM193から選択させる処理に係る機能を実現させるためのプログラムである。
このように、変形例2のミシンによれば、縫製パターンとその縫製パターンの縫製に用いられる縫い糸の太さとが対応付けられており、縫製パターンの指示に基づいて、当該縫製パターンの縫製に用いられる縫い糸に応じて、その縫い糸を少なくとも切断することができる駆動トルクを縫い糸の切断の際に発生するような回転速度でパルスモータ13の回転駆動を行うことができることとなる。即ち、縫い糸の切断の際のパルスモータ13の回転速度の適正化を図ることができるので、結果として、ミシンのサイクルタイムが不必要に長くなることを防止して、当該サイクルタイムの短縮化を適正に図ることができる。
例えば、上記実施形態では、縫い糸の太さが変更された場合に、パルスモータ13の回転速度パターンを新たに選択(変更)するような構成としたが、これに限られるものではなく、例えば、縫い糸の表面の抵抗度、即ち、動メス42により切断される際の滑り難さに基づいて、回転速度パターンを選択しても良い。即ち、動メス42による切断を適正に行うために、滑り易い縫い糸にあっては、糸切位相Aにおけるパルスモータ13の回転速度を減速させる一方で、滑り難い縫い糸にあっては、糸切位相Aにおけるパルスモータ13の回転速度を増速させても動メスによる縫い糸の切断をより適正なものとすることができる。
なお、回転速度パターンとして図8及び図9に例示したものは一例であり、これらに限られるものではない。
さらに、駆動モータとして、パルスモータ13を例示したが、これに限られるものではなく、少なくとも駆動トルクが回転速度に応じて規定された駆動モータであれば如何なるものであっても良い。
13 パルスモータ(駆動モータ)
20 布押さえ機構
21 布押さえ
40 切断機構
80 糸調子機構
81 ソレノイド(糸調子駆動手段)
91 CPU(回転速度パターン選択手段、駆動制御手段、糸太さ情報取得手段)
93、193 ROM(回転速度パターン記憶手段、縫製パターン記憶手段)
93c、193d 回転速度パターンデータ
98 コントローラ(切断関連情報入力手段、駆動電圧入力手段、糸太さ情報入力手段、縫製パターン指示手段)
Claims (4)
- 縫い糸を切断するための切断機構と、布押さえを昇降させる布押さえ機構と、これら両機構を駆動する単一の駆動モータとを備えるミシンにおいて、
前記駆動モータは、その駆動トルクが回転速度に応じて規定され、
少なくとも前記切断機構による前記縫い糸の切断の際の前記駆動モータの回転速度が規定された回転速度パターンを複数記憶する回転速度パターン記憶手段と、
前記縫い糸の前記切断機構による切断に関連する縫い糸切断関連情報を入力する切断関連情報入力手段と、
前記切断関連情報入力手段により入力された前記縫い糸切断関連情報に基づいて、少なくとも前記縫い糸が切断される駆動トルクを発生する回転速度パターンを前記回転速度パターン記憶手段から選択する回転速度パターン選択手段と、
前記回転速度パターン選択手段により選択された前記回転速度パターンに基づいて、前記駆動モータの回転駆動を制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴とするミシン。 - 前記縫い糸に所定の張力を付与する糸調子機構と、
前記糸調子機構を駆動する糸調子駆動手段と、を備え、
前記切断関連情報入力手段は、前記縫い糸の太さに応じて変動される前記糸調子駆動手段の駆動電圧を入力する駆動電圧入力手段を備え、
前記回転速度パターン選択手段は、さらに、前記駆動電圧入力手段により入力された前記駆動電圧に対応する前記縫い糸の太さに基づいて、前記回転速度パターンを前記回転速度パターン記憶手段から選択することを特徴とする請求項1に記載のミシン。 - 前記切断関連情報入力手段は、前記縫い糸の太さを入力するための糸太さ情報入力手段を備え、
前記回転速度パターン選択手段は、さらに、前記糸太さ情報入力手段により入力された前記縫い糸の太さに基づいて、前記回転速度パターンを前記回転速度パターン記憶手段から選択することを特徴とする請求項1に記載のミシン。 - 縫い糸を切断するための切断機構と、布押さえを昇降させる布押さえ機構と、これら両機構を駆動する単一の駆動モータとを備えるミシンにおいて、
前記駆動モータは、その駆動トルクが回転速度に応じて規定され、
少なくとも前記切断機構により切断される前記縫い糸の太さと当該縫い糸の切断の際の前記駆動モータの回転速度とが対応付けられて規定された回転速度パターンを複数記憶する回転速度パターン記憶手段と、
複数の縫製パターンとこれら縫製パターンの縫製に用いられる縫い糸の太さとをそれぞれ対応付けて記憶する縫製パターン記憶手段と、
前記縫製パターンを指示する縫製パターン指示手段と、
前記縫製パターン指示手段により指示された前記縫製パターンに対応する前記縫い糸の太さを前記縫製パターン記憶手段から取得する糸太さ情報取得手段と、
前記糸太さ情報取得手段により取得された前記縫い糸の太さに対応する前記回転速度パターンを前記回転速度パターン記憶手段から選択する回転速度パターン選択手段と、
前記回転速度パターン選択手段により選択された前記回転速度パターンに基づいて、前記駆動モータの回転駆動を制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴とするミシン。
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