JP7253904B2 - ミシン - Google Patents

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Description

本発明は、中押さえを備えるミシンに関するものである。
一定の弾性力を持って針板上で被縫製物を上から押さえる布押さえに替えて、縫い針を遊挿可能な中押さえを備えているミシンがある。
中押さえは、被縫製物を押さえ付け過ぎないように針板に届かない高さで支持され、縫い針よりも小さいストロークで上下動を行い、被縫製物のばたつきを押さえて、上昇する縫い針を被縫製物から円滑に引き抜くことができるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006-109922号公報
上述のような中押さえを備えるミシンにおいては、中押さえの上下動動作を行う中押さえ上下動機構や中押さえの上下動の動作範囲全体の高さを調節する中押さえ高さ調節機構等が設けられ、ミシンの装置構成や制御系が複雑となり、部品点数の増加も生じるため、機械構成の簡易化が望まれていた。
本発明は、機械構成の簡易化を図ることをその目的とする。
請求項1記載の発明は、ミシンにおいて、
縫い針を上下動させる針上下動機構と、
中押さえを上下動させる中押さえ上下動機構と、
前記中押さえの上下動の動作範囲全体の高さを調節する中押さえ高さ調節機構とを備えるミシンにおいて、
縫製開始時の第一針目の針落ちにおいて前記縫い針が針板の針穴に突入を開始する前に、前記中押さえが前記針板上に被縫製物を押さえ付ける高さまで下降して上糸の縫い開始端部を保持し、
前記第一針目の針落ち後の縫い針がその上死点に達するまでは前記中押さえによる押さえ付け状態を維持するように前記中押さえ高さ調節機構を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のミシンにおいて、
被縫製物を保持枠で保持して移動させる移動機構を備え、
前記制御装置は、第二針目の針落ち位置への前記保持枠の移動開始までに前記中押さえによる押さえ付け状態を解除するように前記中押さえ高さ調節機構を制御することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のミシンにおいて、
縫い糸を切断する糸切り装置を備え、
前記制御装置が、前記糸切り装置の動メスが切断を実行するまでに、前記中押さえが針板上に被縫製物を押さえ付ける高さまで下降し、少なくとも前記糸切り装置が縫い糸の切断を完了するまでの間は前記中押さえによる押さえ付け状態を維持するように前記中押さえ高さ調節機構を制御することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3に記載のミシンにおいて、
前記制御装置は、
前記糸切り装置の動メスが切断動作を開始する直前の針落ちを行う縫い針が下死点から上昇を開始する前に前記中押さえが針板上に被縫製物を押さえ付ける高さまで下降するように前記中押さえ高さ調節機構を制御することを特徴とする。
本発明は、中押さえが縫い糸の縫い開始端部の保持を行うので、従来、ミシンに搭載されていた、糸掴み機構を不要とすることができ、装置構成の簡略化、制御系の簡略化を実現することが可能となる。また、これに伴い、ミシンの部品点数の低減とこれに伴い製造コストの低減、装置の小型化等も実現可能となる。
また、他の本発明は、中押さえが縫い糸の残端の短縮化を図るので、従来、ミシンに搭載されていた、残端処理機構を不要とすることができ、装置構成の簡略化、制御系の簡略化を実現することが可能となる。また、これに伴い、ミシンの部品点数の低減とこれに伴う製造コストの低減、装置の小型化等も実現可能となる。
本発明に係るミシンを示す斜視図である。 ミシンの保持枠や中押さえの近傍を示す拡大斜視図である。 ミシンアーム部内の中押さえ装置の正面図である。 ミシンアーム部内の中押さえ装置の正面図であって、図3よりも中押さえを高く調節した状態を示す。 中押さえ装置の一部の構成を示す分解斜視図である。 中押さえ装置の他の一部の構成を示す分解斜視図である。 糸切り装置の底面図である。 ミシンの制御系を示すブロック図である。 縫製開始時の中押さえ高さ制御における針落ち位置周辺の一部を切り欠いた正面図である。 糸切り実行時の中押さえ高さ制御における針落ち位置周辺の一部を切り欠いた正面図であって、図10(A)は中押さえ下降前の状態を示し、図10(B)は中押さえ下降後の状態を示す。 図11(A)は図10(A)における部分拡大図、図11(B)は図10(B)における部分拡大図である。 縫製時の全体的な動作制御を示すフローチャートである。
[発明の実施形態の概要]
以下、図面を参照して、本発明に係るミシンの実施の形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態では、ミシンとして電子サイクルミシンを例に説明する。
図1はミシン100の斜視図、図2は縫い針周辺の拡大斜視図である。
電子サイクルミシンは、複数枚重ねられた被縫製物を保持する保持枠を有し、その保持枠が縫い針に対し相対的に移動しながら縫製を行うことにより、保持枠に保持された複数の被縫製物に所定の縫製データに基づく縫い目を形成するミシンである。
ここで、後述する縫い針108が上下動を行う方向をZ軸方向(上下方向)とし、これと直交する所定の方向をX軸方向(左右方向)とし、Z軸方向とX軸方向の両方に直交する方向をY軸方向(前後方向)と定義する。
電子サイクルミシン100(以下、ミシン100という)は、図1に示すように、ミシンテーブルTの上面に備えられるミシン本体101と、ミシンテーブルTの下部に備えられ、ミシン本体101を操作するためのペダルRと、ユーザによる入力操作を行うための可搬型の操作パネル300等を備えている。
[ミシンフレーム及び主軸]
図1、図2に示すように、ミシン本体101は、外形が側面視にて略コ字状を呈するミシンフレーム102を備えている。このミシンフレーム102は、ミシン本体101の上部をなし、Y軸方向に延びるミシンアーム部102aと、ミシン本体101の下部をなし、Y軸方向に延びるミシンベッド部102bと、ミシンアーム部102aとミシンベッド部102bとを連結する立胴部102cとを有している。
このミシン本体101は、ミシンフレーム102内に動力伝達機構が配置され、回動自在でY軸方向に延びる主軸及び下軸(いずれも図示略)を有している。主軸はミシンアーム部102aの内部において回転可能に支持され、下軸(図示省略)はミシンベッド部102bの内部において回転可能に支持されている。
主軸は、ミシンモーター2a(図7参照)に接続され、このミシンモーター2aにより回転力が付与される。また、下軸(図示省略)は、タイミングベルト及びプーリ(図示省略)を介して主軸と連結されており、主軸が回転すると、主軸の動力がタイミングベルト及びプーリを介して下軸側へ伝達し、下軸が主軸の二倍速で回転するようになっている。
下軸(図示省略)の前端には、釜装置(図示省略)が設けられている。主軸とともに下軸が回転すると、縫い針108と釜装置の外釜(図示省略)との協働により縫い目が形成される。
釜装置は、下軸の前端部に固定装備された外釜と、外釜の内側でボビンを擁する内釜と、を備えている。釜装置の構成は周知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
[針上下動機構]
ミシンアーム部102aの前端部には、縫い針108を下端部に保持した針棒108aが上下動可能に支持されている。ミシンアーム部102aの前端部内側において、主軸の前端に固定装備された針棒クランクと、針棒108aに固定装備された針棒抱きと、針棒クランクと針棒抱きと連結するクランクロッドとが設けられている。
針棒クランクは、主軸と共に回転を行う。クランクロッドは、その一端部がY軸回りに回転可能に針棒クランクの回転円周上に連結され、他端部がY軸回りに針棒抱きに連結されている。従って、主軸がミシンモーター2aによって回転すると、クランクロッドの一端部が周回運動を行い、他端部には周回運動のZ軸方向成分となる上下動のみが伝わって、針棒108aに上下動を付与することができる。
即ち、上記ミシンモーター2a、主軸、針棒クランク、針棒抱き、クランクロッド、針棒108aは、縫い針108を上下動させる針上下動機構を構成している。
なお、針上下動機構は、周知の構成と同様のものなので、各構成についてはいずれも図示を省略している。
[移動機構]
図1、図2に示すように、ミシンベッド部102b上には、針板110が配設されており、この針板110の上側に布保持部としての保持枠111が配置されている。
保持枠111は、ミシンアーム部102aの下側に配置された取付部材113に取り付けられており、その取付部材113にはミシンベッド部102b内に配置された図示しないベルト機構を介してX軸モーター76a及びY軸モーター77aが連結されている(図7参照)。
保持枠111は、被縫製物を挟持し、X軸モーター76a及びY軸モーター77aの駆動に伴い、保持した被縫製物を前後左右方向に移動させる。そして、保持枠111の移動と針落ちの動作が連動することにより、所定の縫製データに記録された複数の針落ち位置に基づく縫い目が被縫製物に形成される。
上記保持枠111は、布押さえと下板とから構成されている。
また、取付部材113は、保持枠111の布押さえを昇降可能に支持しており、ミシンアーム部102a内に配置された布押さえモーター79aの駆動により、布押さえに昇降動作を付与する。布押さえは、下降移動により、下板との間で被縫製物を挟持して保持するようになっている。
そして、これら保持枠111、取付部材113、ベルト機構、X軸モーター76a、Y軸モーター77a及び布押さえモーター79a等が、被縫製物をX軸方向及びY軸方向に沿って任意に移動位置決めする移動機構として機能する。
[ペダル]
ペダルRは、ミシン100を駆動させ、針棒108a及び縫い針108を上下動させたり、保持枠111を動作させたりするための入力操作が行われる。
ペダルRには、ペダルRが踏み込まれたその踏み込み操作位置を検出するためのセンサーが組み込まれており、センサーからの出力信号がペダルRの操作信号として後述する制御装置120に入力される。
制御装置120は、その操作位置に応じた操作信号によって、ミシン100の駆動、その他の各動作を実行する制御を行う。
[操作パネル]
また、ミシン100には、ユーザによる操作入力を行うための操作パネル300が設けられており、操作パネル300に入力された各種データや操作信号は、後述する制御装置120に入力される。
なお、操作パネル300は、液晶表示パネルからなる表示部300bと当該表示部300bの表示画面上に設けられたタッチセンサー300cとを備えて構成されており、液晶表示パネルに表示される各種操作キー等をタッチ操作することにより、タッチパネルがタッチ操作された位置を検出し、検出した位置に応じた操作信号を後述する制御装置120に出力するようになっている。
[中押さえ装置]
図3及び図4はミシンアーム部102a内の中押さえ装置1の正面図、図5は中押さえ装置1の一部の構成を示す分解斜視図、図6は中押さえ装置1の残る一部の構成を示す分解斜視図である。
中押さえ装置1は、ミシンアーム部102aの前端部において、縫い針108の上下動による被縫製物の浮き上がりを防止するために、針棒108aの上下動と連動して上下動し、縫い針108の周囲の被縫製物の上方へのばたつきを押さえる中押さえ29を有している。なお、中押さえ装置1の本体はミシンアーム部102aの内部に配設され、中押さえ29は、ミシンアーム部102aの前端部の下方に配置されている。そして、中押さえ29は、円形枠を有し、縫い針108がその内側に遊挿されている。
中押さえ装置1は、図3~図6に示すように、中押さえ29と、主軸の回転により上下動する縫い針108に同期的に中押さえ29を上下動させる中押さえ上下動機構M1と、中押さえ29の下降動作阻害時に中押さえ上下動機構M1に対する過剰負荷回避用の逃げ動作を可能とする過剰負荷回避機構M2と、中押さえ29を退避位置に上昇させる中押さえ退避機構M3と、ミシンモーター2aによる中押さえ29の上下動の動作範囲全体の高さを調節する中押さえ高さ調節機構M4と、を備えている。
[中押さえ装置:中押さえ上下動機構]
中押さえ上下動機構M1は、針上下動機構の主軸の回転から中押さえ29の上下動の動力を得ている。
即ち、中押さえ上下動機構M1は、主軸に設けられた偏心カムと、当該偏心カムを一端部で回転可能に保持するコンロッドと、往復回動を行うY軸方向に沿った揺動軸6と、揺動軸6からZ軸方向に向かって延出された揺動アームとからなる往復動作機構を備えている。
上記コンロッドの他端部は、揺動アームの回動端部に対してY軸回りに回動可能に連結されている。これにより、主軸が全回転を行うと、偏心カムによってコンロッドの一端部がY軸回りに周回動作を行い、他端部はX軸方向に沿って往動する。そして、揺動アームの回動端部にもX軸方向に沿った往動が伝わり、当該揺動アームを軸支する揺動軸6は主軸の回転と同じ周期で往復回動を行う。
なお、偏心カムを用いた往復動作機構は、周知の機構なので、揺動軸6を除いた各構成については図示を省略している。
さらに、揺動軸6の他端部には、図6に示すように、中押さえ29の上下方向D1の移動量を調節する中押さえ調節腕7の基端部が固定されている。中押さえ調節腕7にはカム溝7aが形成されている。このカム溝7aは弧状の長孔になっており、このカム溝7aの所望の位置で第1リンク8の上端部が調節ナット9と段ねじ10によりY軸回りに軸支されている。第1リンク8の上端部の固定位置は揺動軸6の中心に対して接離移動調節可能であり、中心からの距離に応じて第1リンク8に付与する往復動作量、即ち、中押さえ29の上下動作量を増減調節することができる。
第1リンク8の下端部は、図6に示すように、第2リンク11の長手方向略中間部に段ねじ12よりY軸回りに回動自在に連結されている。ここで、調節ナット9が係合するカム溝7aは、中押さえ29が上下往復運動の下死点にあるときに、段ねじ12の軸心を中心とした円弧の一部となるように形成されている。つまり、カム溝7aにおける第1リンク8の位置調節を行うことで、中押さえ29の下死点位置を不動状態のままストローク調節を行うことができる。
そして、第2リンク11の左端部は、後述する位置決めリンク13に対して段ネジ18によりY軸回りに軸支されている。
また、第2リンク11の右端部は、図6に示すように、第3リンク20の上端部に段ねじ21によりY軸回りに回動自在に連結されている。第3リンク20の下端部には、第4リンク22の上端部が段ねじ23によりY軸回りに回動自在に連結されている。
第4リンク22の下端部には、リンク中継板25が段ねじ26によりY軸回りに連結されている。リンク中継板25には中押さえ棒抱き27が固定されており、中押さえ棒抱き27にはZ軸方向に延びる中押さえ棒28が保持されている。中押さえ棒28の下端部には、縫製時に被縫製物の上昇を抑える中押さえ29が取り付けられている。
そして、中押さえ棒28の上側には、ボルト31、ナット32及びばね支軸301に支持された押圧バネ30が設けられ、当該押圧バネ30により、中押さえ棒28及び中押さえ29が常時下方に押圧されている。
そして、本実施形態では、往復動作機構、揺動軸6、中押さえ調節腕7、第1リンク8、第2リンク11、第3リンク20、第4リンク22、中押さえ棒抱き27、中押さえ棒28、押圧バネ30、ボルト31、ナット32及び段ねじ37等により、中押さえ上下動機構M1が構成されている。
[中押さえ装置:中押さえ高さ調節機構]
この中押さえ高さ調節機構M4は、中押さえ29の下死点の高さを調節することにより、ミシンモーター2aによる中押さえ29の上下動の動作範囲全体の高さを調節する。
前述した段ねじ23は、角駒33及び案内部材34と共に第3リンク20と第4リンク22とを連結している。すなわち、第4リンク22の前側には案内部材34が設けられ、角駒33は案内部材34の長手方向に沿って滑動可能に支持されている。
案内部材34は、長手方向が概ねZ軸方向に沿った状態で、その上端部34tが段ねじ35によりミシン筐体(ミシンフレーム102)にY軸回りに回動自在に支持されている。従って、案内部材34は、その下端部が左右に揺動し、その長手方向を左右に傾けることができる。
案内部材34の下端部近傍には、その長手方向に沿って長尺な長孔34aが形成されている。この長孔34aは、内側に角駒33がスライド可能に嵌めこまれている。このため、案内部材34は、角駒33を介して、第3リンク20と第4リンク22の連結部を長孔34aに沿って移動可能としている。
また、図6に示すように、案内部材34には、当該案内部材34をそのX軸方向に揺動させる移動リンク36の右端部が、段ねじ37により長孔34aの上部近傍にY軸回りに回動自在に連結されている。移動リンク36の左端部には偏心カム38が連結されており、この偏心カム38は可変軸39の前端部に固定支持されている。
可変軸39は、Y軸方向に沿って配置され、図5に示すように、ベアリング40によってY軸回りに回転可能に支持されている。また、可変軸39の途中部分にはかさ歯車41、後端部には従動歯車391が固定装備されている。
一方、可変軸39の後方には、出力軸を前方に向けた中押さえモーター42が配置されており、その出力軸は主動歯車421が固定装備されている。この主動歯車421は、可変軸39の従動歯車391に噛合しており、中押さえモーター42の駆動により、可変軸39を回転させることができる。
つまり、中押さえモーター42の駆動が、可変軸39、偏心カム38、移動リンク36の順に伝達され、移動リンク36が案内部材34を回動させるようになっている。
中押さえモーター42は、正逆方向に回転駆動させることができ、その回動量及び駆動のタイミングが制御装置120により制御可能となっている。
また、中押さえモーター42には、その出力軸の軸角度を検出するエンコーダー81が併設されている。このエンコーダー81は、いわゆる、アブソリュート型であり、出力軸の軸角度の絶対的な位置を検出可能とし、原点センサーを必要としない。なお、エンコーダー81として、インクリメンタル型を使用して、原点センサー及びパルスカウンタを有する構成としてもよい。
そして、中押さえモーター42、主動歯車421、従動歯車391、可変軸39、偏心カム38、移動リンク36、案内部材34及び角駒33等が、ミシンモーター2aによる中押さえ29の上下動の動作範囲全体の高さを上下方向に推移させる中押さえ高さ調節機構M4として機能する。
[中押さえ装置:過剰負荷回避機構]
前述した位置決めリンク13は、図6に示すように、その中央部近傍で段ねじ14によりミシン筐体としてのミシンフレーム102にY軸回りに回動自在に取り付けられている。そして、Y軸方向から見た段ねじ14の位置は、中押さえ29が下死点にあるときの段ねじ12の位置と一致して同心となっている。
位置決めリンク13の右端部にはばね掛け13aが形成されており、当該ばね掛け13aには引っ張りばね16の上端部が連結され、引っ張りばね16の下端部は、ミシンフレーム102に固定されているばね掛15に連結されている。従って、位置決めリンク13の右端部は下方に常に張力を受けている。
そして、位置決めリンク13はその後面側に一体的にストッパ17が重ねて装備されており、当該ストッパ17の左端部の上方には規制部材19が当接している。このため、位置決めリンク13は、右端部に付与された引っ張りばね16からの下方の張力によって、その左端部がストッパ17を介して規制部材19に圧接した状態となり、段ねじ14を中心とする時計方向の回動が規制された状態にある。
これにより、中押さえ29の高さを低く調節し過ぎた場合や被縫製物の厚さが厚かったために、中押さえ29の下降時に被縫製物に圧接した場合に、第2リンク11を支持する位置決めリンク13の右端部が引っ張りばね16に抗して持ち上げられ、第1リンク8から第2リンク11に付される下方の押圧力を逃がすことができる。
つまり、引っ張りばね16、ばね掛け15、ストッパ17、位置決めリンク13、規制部材19等が、中押さえ29の下降動作阻害時に中押さえ上下動機構M1に対する過剰負荷回避用の逃げ動作を可能とする過剰負荷回避機構M2として機能する。
[中押さえ装置:中押さえ退避機構]
図5に示すように、前述した可変軸39に設けられたかさ歯車41には、かさ歯車43が歯合されており、中押さえモーター42の駆動を可変軸39の軸方向と直交する方向D4を中心とする回転方向に出力することができるようになっている。かさ歯車43の右方にはベアリング44、中押さえ昇降カム45等がX軸方向に沿った同軸上に連結されている。
中押さえ昇降カム45は、外周カムである。中押さえ昇降カム45の外周は、軸回り180°の範囲は外径が一定であり(以下、維持部という)、残りの一部の角度範囲は外径が漸増する形状(以下、変化部という)となっている。
この中押さえ昇降カム45は、中押さえ29を縫製終了後の退避位置に上昇させる中押さえ上げ部材46の一端部46aを上下に昇降させるものであり、当該中押さえ昇降カム45の外周には、中押さえ上げ部材46を回動させるZ軸方向に沿った梃子部材461の上端部に設けられた円筒状のコロ47が摺接する。
梃子部材461は、Z軸方向の中間部において、ピン462によって軸支され、X軸回りに回動可能となっている。
そして、梃子部材461の下端部は、Y軸方向に沿った伝達リンク463の後端部にX軸回りに回動可能に連結されている。
また、梃子部材461の下端部近傍には、前方に張力を付与する引っ張りばね464の後端部が連結されており、これによって、梃子部材461の上端部のコロ47が中押さえ昇降カム45の外周に圧接させられている。
中押さえ上げ部材46はX軸方向から見て略L字状を呈しており、屈曲部においてピン48によって軸支され、X軸回りに回動可能となっている。
リンク中継板25(図6参照)を下から係止して中押さえ29を上昇させる中押さえ上げ部材46の一端部46aは、屈曲部から前方に延出されている。また、屈曲部から上方に延出された中押さえ上げ部材46の他端部46bは、伝達リンク463の前端部にX軸回りに回動可能に連結されている。
上記構成により、中押さえモーター42が駆動すると、中押さえ昇降カム45が回動し、中押さえ昇降カム45の維持部にコロ47が摺接しているときに、中押さえ高さ調節機構M4において中押さえ29の上下動の動作範囲全体の高さを上下方向に推移させる。そして、中押さえ昇降カム45の変化部にコロ47が摺接しているときに、梃子部材461の下端部が引っ張りばね464に抗して後方に回動し、伝達リンク463を介して中押さえ上げ部材46に時計方向の回動を付勢し、その一端部46aにより中押さえ29を上方の退避位置まで引き上げる。
つまり、かさ歯車41,43、中押さえ昇降カム45、コロ47、梃子部材461、伝達リンク463、引っ張りばね464及び中押さえ上げ部材46等により、中押さえ退避機構M3が構成されている。
[縫製時における中押さえの動作]
次に、上記構成を有する中押さえ装置1の中押さえ上下動機構M1の動作について説明する。
ミシンモーター2aの駆動により主軸が回転すると、往復動作機構により、揺動軸6は往復回動を行う。これにより、中押さえ調節腕7が上下に揺動し、第1リンク8を介して、第2リンク11の右端部は第3リンク20と第4リンク22の直列方向D2に揺動し、第3リンク20及び第4リンク22は、その直列方向(上下方向)D2に揺動する。これに伴い、中押さえ棒28は上下方向D1に沿って上下方向に移動するため、中押さえ29は縫い針108の上下動に同期して上下方向に往動する。
[中押さえ装置による中押さえの高さの調節動作]
次に、上記構成を有する中押さえ装置1の中押さえ高さ調節機構M4による中押さえ29の高さの調節動作について説明する。
中押さえモーター42の駆動は、主動歯車421及び従動歯車391を介して可変軸39に伝達され、可変軸39及び偏心カム38が回動し、案内部材34は、概ねX軸方向に沿って揺動する。これにより、角駒33を介して第3リンク20と第4リンク22は、連結部において屈曲角度が変化して中押さえ29の高さが変動する。このとき、角駒33は、案内部材34の長孔34aに沿って上下動を行うので、中押さえ29は上下動を行いつつ、中押さえ29の上下動の動作範囲全体の高さが変動する。従って、中押さえ高さ調節機構M4により、中押さえ29の上下動における下死点の高さを調節することができる。即ち、中押さえ29の上下動の動作範囲全体の高さを調節することができる。
[糸切り装置]
図7に糸切り装置90の底面図を示す。
この糸切り装置90は、Z軸回りに回動を行う動メス91と、動メス91と協働して縫い糸としての上糸及び下糸を切断する固定メス92と、動メス91の回動動作の駆動源となるアクチュエーターとしての糸切りモーター96(図8参照)と、糸切りモーター96から動メス91に往復回動を伝達する複数のリンク体93~95とを備えている。
動メス91は、前進と後退による往復回動により上糸及び下糸の縫い終わり端部の切断を行う。
即ち、動メス91は、非使用時にはポジションP1に待機しており、ポジションP1からポジションP2まで往路の回動を行った後に、ポジションP2からポジションP1まで復路の回動を行って、上糸及び下糸の縫い終わり端部の切断を行う。
なお、縫製の終了時における最終針の針落ち後には、針板110の針穴112から上糸と下糸とが垂下した状態となっている。このとき、上糸は、外釜の剣先によってループ状に引き出されることから、針穴112の下では、上糸の縫い針108側の部分と布地側の部分とが垂下した状態となる。
糸切り装置90は、上糸の縫い針108側の部分と布地側の部分の内の布地側の部分のみと下糸とを切断する必要があるので、動メス91の往復の往路の回動時には、上糸の縫い針108側の部分(非切断部分)と、上糸の布地側の部分(切断部分)及び下糸とに選り分ける糸捌き作業を行い、往復の復路の回動時に上糸の布地側の部分及び下糸を切断する。
このため、動メス91は、往路回動方向下流側(後側)の側縁部に、上糸の縫い針側となる部分と布地側となる部分及び下糸とに選り分ける糸捌き部911を備え、復路回動方向下流側(前側)の側縁部に、上糸の布地側の部分及び下糸とを捕捉して固定メス92まで運ぶ凹状の捕捉部913を備えている。
さらに、糸捌き部911と捕捉部913との間には、貫通孔914が形成され、当該貫通孔914の後側内縁部に刃部912が形成されている。
上記糸捌き部911は後方に向かって尖鋭な形状に形成されており、動メス91の往路回動時に針穴112の真下を通過する位置に形成されている。この糸捌き部911の先端部が、針穴112から垂下する上糸の縫い針108側の部分と被縫製物側の部分と下糸の内、上糸の縫い針108側の部分を半径方向内側に、上糸の被縫製物側の部分と下糸とを半径方向に外側に選り分ける。
糸捌き部911によって半径方向に外側に選り分けられた上糸の被縫製物側の部分と下糸とは、動メス91の外縁部を辿って捕捉部913まで回り込み、当該捕捉部913に捕捉される。
そして、動メス91の復路回動時において、捕捉部913が固定メスの刃先921を通過すると、動メス91の上面と固定メス92の下面との間に上糸の布地側の部分と下糸とが挟まれた状態となる。
そして、動メス91がさらに回動を続けると、動メス91の上面と固定メス92の下面とに挟まれた上糸の布地側の部分と下糸とが押し込まれるようにして貫通孔914に入り込み、刃部912と固定メス92の刃先とがすれ違う際に、上糸の布地側の部分と下糸とが切断される。
[ワイパー装置]
ミシンアーム部102aの前端部近傍には、縫い終わりの糸切断後の縫い針108側の上糸端部を被縫製物の下側から上側に引き出すワイパー機構を備えている。
ワイパー機構は周知の構成のため、図示は省略するが、上停止位置における縫い針108の下端部と中押さえ29との間で水平方向に上糸を払うワイパー部材と、ワイパー部材が上糸を払うための回動動作を付与する駆動源としてのワイパーソレノイド82(図8参照)とを備えている。
[ミシンの制御系:制御装置]
図8はミシン100の制御系を示すブロック図である。
ミシン100は、上述した各部の動作を制御するための動作制御手段としての制御装置120を備えている。そして、制御装置120は、各種の制御プログラム70aが格納されたプログラムメモリ70と、縫製データ71a及び各種の設定情報(図示略)を記憶した記憶手段としてのデータメモリ71と、プログラムメモリ70内の各プログラム70aを実行するCPU73とを備えている。
また、CPU73は、インターフェイス300aを介して操作パネル300に接続されている。かかる操作パネル300は、各種画面や入力ボタンを表示する表示部300bと表示部300bの表面に設けられその接触位置を検知するタッチセンサー300cとを有しており、各種情報の入出力手段として機能する。操作パネル300で用いられる入力ボタンや入力スイッチはいずれも、表示部300bで表示され、タッチセンサー300cで入力が検知されることで押下式のボタンやスイッチと同等に機能するものである。
また、操作パネル300は、縫製データ71aの設定パラメータを任意に設定する機能や複数ある縫製データ71aの中から所望のデータを選択する機能も有している。
また、CPU73は、インターフェイス75を介して、ミシンモーター2aを駆動するミシンモーター駆動回路75bに接続され、ミシンモーター2aの回転を制御する。なお、ミシンモーター2aはエンコーダー2bを備えている。
なお、ミシンモーター2aには、例えば、サーボモーターを適用することができる。
また、CPU73は、インターフェイス76及びインターフェイス77を介して、移動機構のX軸モーター76a及びY軸モーター77aをそれぞれ駆動するX軸モーター駆動回路76b及びY軸モーター駆動回路77bが接続され、保持枠111のX軸方向及びY軸方向の動作を制御する。
また、CPU73は、インターフェイス78を介して、ミシンモーター2aによる中押さえ29の上下動の下死点高さ位置を調節する中押さえモーター42を駆動する中押さえモーター駆動回路78bが接続され、中押さえ装置1の動作を制御する。なお、前述したように、中押さえモーター42の出力軸にはモーター軸角度検出手段としてのエンコーダー81が設けられている。
また、CPU73は、インターフェイス79を介して、布押さえ(図示省略)を上下に移動する布押さえモーター79aを駆動する布押さえモーター駆動回路79bが接続され、布押さえの動作を制御する。
また、CPU73は、インターフェイス96cを介して、糸切りモーター96を駆動する糸切りモーター駆動回路96bが接続され、糸切り装置90の動作を制御する。
なお、X軸モーター76a及びY軸モーター77a、中押さえモーター42、布押さえモーター79a、糸切りモーター96には、例えば、ステッピングモーターを適用することができる。
また、CPU73は、インターフェイス82cを介して、ワイパー部材を回動させるワイパーソレノイド82を駆動するソレノイド駆動回路82bが接続され、ワイパー部材による糸払い動作を制御する。
[データメモリ]
データメモリ71には、縫製データ71aが格納されている。この縫製データ71aは、一連の縫製パターンに従って縫製を行うためのデータである。
即ち、縫製データ71aは、縫製パターンに沿った複数の針落ち位置の位置座標データ、中押さえの高さの設定値、糸切り等のコマンドなどが実行順に記録されている。
また、データメモリ71には、中押さえモーター42の軸角度と中押さえ29の下死点高さとの対応関係を示すテーブルデータ等も記憶されている。中押さえ29の高さ制御の際には、CPU73は、中押さえの下死点高さの設定値から上記テーブルデータを参照し、中押さえモーター42の軸角度を決定して制御を行う。
[縫製開始時の中押さえ高さ制御]
ミシン100の制御装置120のCPU73は、プログラムメモリ70内の制御プログラム70aに基づいて、縫製開始時の中押さえ高さ制御を実行する。
この縫製開始時の中押さえ高さ制御では、CPU73が、縫製開始時の第一針目の針落ちにおいて縫い針108が針穴112に突入を開始する前に、中押さえ29が針板110上に被縫製物を押さえ付ける高さまで下降し、少なくとも針穴112から縫い針108が抜けるまでは中押さえ29による押さえ付け状態を維持するように中押さえ高さ調節機構M4の中押さえモーター42を制御する。
即ち、図9に示すように、当初、中押さえ29の内側を通って縫い針108から垂下された上糸Uの端部が、中押さえ29の下降により被縫製物Cの上面と中押さえ29の底部との間に挟持される。
これにより、縫製開始時において、縫い針108の上下動や釜の引き込み、天秤の引き上げ等によって生じる張力によって、上糸Uの端部が被縫製物Cにおける第一針目の針落ち位置から抜け落ちてしまうことを抑制する。
上記縫製開始時の中押さえ高さ制御において、「第一針目の針落ちにおいて縫い針108が針穴112に突入を開始する前に」とは、縫製時の第一針目の縫い針108の先端部が針穴112に突入を開始する前に中押さえ29が上糸Uの押さえ付けを開始することを意味する。
例えば、移動機構の保持枠111による第一針目の針落ち位置への移動が完了してから縫い針108の先端部が針穴112に突入を開始するまでの間であれば、中押さえ29による押さえ付けをいつ開始しても良い。
上記縫製開始時の中押さえ高さ制御において、「少なくとも針穴112から縫い針108が抜けるまでの間」とは、第一針目の下死点を通過して上昇する縫い針108の先端部が針穴112から抜けきるタイミングまでは上記押さえつけを継続することを意味する。
上糸Uの端部は、縫い針108の上昇、釜の引き込み、天秤の引き上げ等種々の要因で張力を受けるので、縫い針108の上昇が停止する上死点到達まで中押さえ29による押さえ付けを継続することが望ましい。
但し、移動機構を備えるミシン100の場合には、第二針目の針落ち位置への保持枠111の移動を開始する前に上記押さえ付けを解除することがより望ましい。
上記縫製開始時の中押さえ制御において、「中押さえ29による押さえ付け状態」とは、中押さえ29の底部が針板110上の被縫製物の上面と同一高さ又は上面よりも低い状態とすることを意味する。
但し、被縫製物の厚さが不明である場合には、中押さえ29の底部が針板110の上面高さと一致又はそれよりも低い状態とすることが望ましい。
また、上記押さえ付けの開始から解除までの間は、ミシンモーター2aが駆動しているので、中押さえ上下動機構M1により、中押さえ29には上下動動作が付与されている。従って、中押さえ上下動機構M1の中押さえ調節腕7が中押さえ29を最も上方に引き上げた状態(中押さえ29の上死点)でも、中押さえ29の底部が針板110の上面高さ又は被縫製物の上面高さに届く高さまで中押さえ29を十分に下降させておくことが望ましい。
特に、中押さえ上下動機構M1の中押さえ調節腕7は、カム溝7aにより第1リンク8の上端部の連結位置を調節可能であり、中押さえ調節腕7の回動中心から最も遠方に第1リンク8の上端部を連結した場合に、中押さえ29は最も上死点位置が高くなる。従って、これを考慮して、中押さえ29の上死点位置が最も高くなる場合でも、中押さえ29の底部が針板110の上面高さ又は被縫製物の上面高さに届く高さまで中押さえ29を十分に下降させておくことがより望ましい。
そして、中押さえ29により押さえ付け状態を解除する際には、縫製データ71aに定められた中押さえの高さの設定値となるように中押さえモーター42を制御する。
なお、ミシン100は、前述したように、縫い終わりの縫い糸切断後に、縫い針108と中押さえ29との間でワイパー部材によって上糸Uの糸払いを行って、上糸Uの切断後の縫い針108側の端部を被縫製物Cの上側に引き出すワイパー機構を備えている。
上述した縫製開始時の中押さえ高さ制御を実行して縫製を行う場合には、その前の縫製の縫い終わりの縫い糸切断後には、ワイパー機構による糸払い動作を行わないように規制することが望ましい。
即ち、ワイパー機構は、縫い針108の下端部と中押さえ29との間で糸払いを行うので、上糸Uの縫い開始端部が中押さえ29の内側から引き出され、次回の縫製開始の際に、縫製開始時の中押さえ高さ制御を実行しても、中押さえ29が上糸Uの縫い開始端部を押さえ付けることができなくなってしまうからである。
但し、ワイパー機構による糸払いを行う際に、予め、中押さえ29を上昇により退避させて、ワイパー部材が中押さえ29の下側で糸払い動作を行うように制御するのであれば、上糸Uの縫い開始端部が中押さえ29の内側を通った状態を維持することができるので、ワイパー機構による糸払いを行ってもよい。
[糸切り実行時の中押さえ高さ制御]
ミシン100の制御装置120のCPU73は、プログラムメモリ70内の制御プログラム70aに基づいて、糸切り実行時の中押さえ高さ制御を実行する。
この糸切り実行時の中押さえ高さ制御では、CPU73が、糸切り装置90の動メス91が切断を実行するまでに、中押さえ29が針板110上に被縫製物Cを押さえ付ける高さまで下降し、少なくとも糸切り装置90が縫い糸の切断を完了するまでの間は中押さえ29による押さえ付け状態を維持するように中押さえ高さ調節機構M4の中押さえモーター42を制御する。
例えば、図10(A)及び図11(A)に示すように、縫製中の中押さえ29の下死点高さが、その底部が被縫製物Cの上面より高い位置となるように設定されている場合には、縫い針108の上昇により、被縫製物Cの下面と針板110の上面との間には隙間Sが発生する。この状態で糸切りを実行すると、被縫製物Cには、隙間Sの長さ分だけ余分な縫い糸の残端が発生する。
そこで、予め、被縫製物Cを中押さえ29により針板110に押さえ付けておくことにより、図10(B)及び図11(B)に示すように、隙間Sのない状態で糸切りを実行することを可能とした。
これにより、図11(B)に示すように、糸切り実行時の中押さえ高さ制御を実行した被縫製物Cにおける縫い糸の残端の長さl2を、糸切り実行時の中押さえ高さ制御を実行しない場合の被縫製物Cにおける縫い糸の残端の長さl1よりも、隙間S分短くすることを可能とした。
上記糸切り実行時の中押さえ高さ制御において、「動メス91が切断を実行するまでに」とは、動メス91が固定メス92との協働により上糸及び下糸が切断される瞬間までに中押さえ29が被縫製物の押さえ付けを開始することを意味する。より早い段階で中押さえ29が上糸Uの押さえ付けを開始しても良いことは言うまでもない。
具体的には、糸切り装置90の動メス91が切断動作を開始する直前の針落ち(最終針の針落ち)を行う縫い針108が下死点から上昇を開始する前に、中押さえ29が針板110上に被縫製物Cを押さえ付けることがより望ましい。
上記糸切り実行時の中押さえ高さ制御において、「少なくとも糸切り装置90が縫い糸の切断を完了するまでの間」とは、動メス91が固定メス92との協働により上糸及び下糸が切断により分離する瞬間までは上記押さえつけを継続することを意味する。
上記糸切り実行時の中押さえ制御において、「中押さえ29による押さえ付け状態」とは、前述した縫製開始時の中押さえ制御における「中押さえ29による押さえ付け状態」と同一である。
[縫製時の全体的な動作制御]
ミシン100の制御装置120のCPU73は、プログラムメモリ70内の制御プログラム70aに基づいて、一連の縫製動作制御を実行する。この一連の縫製動作制御を図12のフローチャートに基づいて説明する。
まず、保持枠111に被縫製物Cがセットされた状態で、縫製開始の指示が入力されると、制御装置120のCPU73は、縫製データ71aの第一針目の針落ち位置を読み込んで、X軸モーター76a及びY軸モーター77aの駆動により保持枠111を第一針目の針落ち位置に位置決めする(ステップS1)。また、CPU73は、ミシンモーター2aの駆動を開始する(ステップS3)。
そして、CPU73は、縫製開始時の中押さえ高さ制御を実行し、中押さえモーター42を駆動させて、中押さえ29を被縫製物の押さえ付け位置まで下降させる(ステップS5)。
そして、縫い針108は被縫製物を介して針穴112に突入し、下死点を通過して釜による上糸Uが捕捉され、下糸との結節が形成される。
そして、縫い針108の上昇する過程で、CPU73は、主軸角度が中押さえ29の押さえ付けを解除する軸角度か否かをエンコーダー2bの出力から監視する(ステップS7)。
これにより、中押さえ29の押さえ付けを解除する軸角度が検出されると、CPU73は、縫製データ71aに設定された縫製中の中押さえ高さとなるように中押さえモーター42を駆動させる(ステップS9)。
その後、CPU73は、縫製データ71aから第二針目以降の針落ち位置を読み込んで、主軸が移動機構による被縫製物の移動を行う規定の軸角度に到達したか否かを判定する(ステップS11)。到達していない場合には、そのまま到達を監視し、到達した場合には、X軸モーター76a及びY軸モーター77aの駆動により保持枠111を第二針目の針落ち位置に位置決めする(ステップS13)。
そして、縫製データ71aに定める次の動作が糸切りか否かを判定し(ステップS15)、糸切りではない場合には、ステップS11に処理を戻して、次の針落ち位置への被縫製物の移動動作を実行する。
一方、ステップS15で、次の動作が糸切りであると判定した場合には、CPU73は、糸切り実行時の中押さえ高さ制御を実行し、縫い針108が下死点となる主軸の軸角度で中押さえモーター42を駆動させて、中押さえ29を被縫製物の押さえ付け位置まで下降させる(ステップS17)。
そして、CPU73は、糸切りを実行する規定の主軸の軸角度で糸切りモーター96を駆動させて、動メス91の往復回動により縫い糸の切断を実行する(ステップS19)。
これに続いて、CPU73は、中押さえ29が上昇する方向に中押さえモーター42を駆動し、そのまま中押さえ退避機構M3が作動するまで駆動を継続して、中押さえ29を退避位置まで引き上げる(ステップS21)。
そして、CPU73は、ミシンモーター2aを停止させて、一連の縫製動作制御を終了する。
なお、この縫製動作制御では、縫製開始時の中押さえ高さ制御を実行しているので、ワイパー機構による糸払い動作は実行されない。但し、中押さえ29をワイパーの通過する高さよりも上方まで引き上げた状態であれば、ワイパー機構による糸払い動作を実行しても良い。
[実施形態の効果]
以上のように、ミシン100では、制御装置120のCPU73が、縫製開始時の中押さえ高さ制御を実行するので、上糸Uの縫い開始端部が中押さえ29により保持され、被縫製物Cにおける第一針目の針落ち位置から抜け落ちることを抑制することが可能となる。
そして、中押さえ装置1が上記上糸Uの縫い開始端部の保持を行うので、従来、ミシンに搭載されていた、糸掴み機構を不要とすることができ、装置構成の簡略化、制御系の簡略化を実現することが可能となる。また、これに伴い、ミシンの部品点数の低減とこれに伴い製造コストの低減、装置の小型化等も実現可能となる。
また、制御装置120のCPU73が、縫製開始時の中押さえ高さ制御において、第一針目の針落ち後の縫い針108がその上死点に達するまでは中押さえによる押さえ付け状態を維持するように中押さえモーターを制御する場合には、以下の効果がある。
即ち、第一針目の縫い針108が上死点まで戻ってくると、上糸Uの縫い開始端部に抜け落ちの原因となる張力を付与する縫い針108の上昇動作、釜による上糸のループ形成、天秤による引き上げ等の影響は概ね終わっているので、被縫製物Cにおける第一針目の針落ち位置から抜け落ちることをより効果的に抑制することが可能となる。
また、制御装置120のCPU73が、第二針目の針落ち位置への保持枠111の移動開始までに中押さえ29による押さえ付け状態を解除するように中押さえモーター42を制御する場合には、中押さえ29による被縫製物及び上糸Uの縫い開始端部の保持動作が移動機構による保持枠111の移動動作に干渉することを回避することができ、それぞれの動作を円滑かつ良好に行うことが可能となる。
また、ミシン100では、制御装置120のCPU73が、糸切り実行時の中押さえ高さ制御を実行するので、糸切りの際に、被縫製物Cと針板110との間に隙間が生じることが抑制され、糸切り後の縫い糸の残端を短くすることが可能となる。
そして、中押さえ装置1が縫い糸の残端の短縮化を図るので、従来、ミシンに搭載されていた、残端処理機構を不要とすることができ、装置構成の簡略化、制御系の簡略化を実現することが可能となる。また、これに伴い、ミシンの部品点数の低減とこれに伴い製造コストの低減、装置の小型化等も実現可能となる。
また、制御装置120のCPU73が、糸切り装置90の動メス91が切断動作を開始する直前の針落ち(最終針の針落ち)を行う縫い針108が下死点から上昇を開始する前に中押さえ29が針板110上に被縫製物Cを押さえ付ける高さまで下降するように中押さえモーター42を制御する場合には、以下の効果がある。
即ち、縫い針108が上昇を開始する前に被縫製物Cを中押さえ29により上から押さえることができ、針板110上の被縫製物Cが縫い針108に引っ張られて上昇して一時的にでも隙間を生じることを抑止できる。つまり、一時的に被縫製物が隙間を生じてから中押さえ29が下降すると、縫い糸を針板と被縫製物Cとの間で挟み込むおそれがあるが、これを抑制することができるので、より効果的に糸切り後の縫い糸の残端を短くすることが可能となる。
[その他]
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、ミシンを構成する各機構の細部構成及び各機構の細部動作に関しても、本発明の主旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、縫製開始時の中押さえ高さ制御と糸切り実行時の中押さえ高さ制御とを、いわゆる電子サイクル縫いミシンに適用した場合を例示したが、昇降動作を行う中押さえを備え、移動機構を有さない他のミシンにもこれらの制御を適用可能である。
また、中押えがミシンモーターとは分離して別駆動源を持ち、糸押え、布押えを分割して行うことも出来る。
1 中押さえ装置
2a ミシンモーター
70a 制御プログラム
71 データメモリ
71a 縫製データ
73 CPU
90 糸切り装置
91 動メス
92 固定メス
96 糸切りモーター
100 ミシン
108 縫い針
110 針板
111 保持枠
112 針穴
120 制御装置
C 被縫製物
M1 中押さえ上下動機構
M4 中押さえ高さ調節機構
S 隙間
U 上糸(縫い糸)

Claims (4)

  1. 縫い針を上下動させる針上下動機構と、
    中押さえを上下動させる中押さえ上下動機構と、
    前記中押さえの上下動の動作範囲全体の高さを調節する中押さえ高さ調節機構とを備えるミシンにおいて、
    縫製開始時の第一針目の針落ちにおいて前記縫い針が針板の針穴に突入を開始する前に、前記中押さえが前記針板上に被縫製物を押さえ付ける高さまで下降して上糸の縫い開始端部を保持し、
    前記第一針目の針落ち後の縫い針がその上死点に達するまでは前記中押さえによる押さえ付け状態を維持するように前記中押さえ高さ調節機構を制御する制御装置を備えることを特徴とするミシン。
  2. 被縫製物を保持枠で保持して移動させる移動機構を備え、
    前記制御装置は、第二針目の針落ち位置への前記保持枠の移動開始までに前記中押さえによる押さえ付け状態を解除するように前記中押さえ高さ調節機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 縫い糸を切断する糸切り装置を備え、
    前記制御装置が、前記糸切り装置の動メスが切断を実行するまでに、前記中押さえが針板上に被縫製物を押さえ付ける高さまで下降し、少なくとも前記糸切り装置が縫い糸の切断を完了するまでの間は前記中押さえによる押さえ付け状態を維持するように前記中押さえ高さ調節機構を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
  4. 前記制御装置は、
    前記糸切り装置の動メスが切断動作を開始する直前の針落ちを行う縫い針が下死点から上昇を開始する前に前記中押さえが針板上に被縫製物を押さえ付ける高さまで下降するように前記中押さえ高さ調節機構を制御することを特徴とする請求項3に記載のミシン。
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