JP2009050364A - ミシンの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】確実に糸払い動作を行うことにより、上糸の切断端縁を確実に針板の下方から中押さえの上方に位置させることができ、これにより、縫製物の製造作業の効率を向上させることが可能なミシンの制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ミシン主軸3の正回転駆動によって針棒8および天秤9を上下動させるとともに、中押さえ22を針棒8の上下動に同期して上下動させながら縫製動作を行い、縫製終了時に、針棒8を上死点から下死点に下降する途中位置に停止させた状態において、上糸6を針板21の下方において切断した後、中押さえ22を下死点に位置させるとともに、天秤9と縫い針5との間における上糸6の搬送経路に設けられた糸押さえ手段15によって上糸6を移動しないように押さえてからミシン主軸3の逆回転駆動によって針棒8を上昇させて上死点に位置させた状態において、糸払い手段25により糸払い動作を行う。
【選択図】 図3
【解決手段】ミシン主軸3の正回転駆動によって針棒8および天秤9を上下動させるとともに、中押さえ22を針棒8の上下動に同期して上下動させながら縫製動作を行い、縫製終了時に、針棒8を上死点から下死点に下降する途中位置に停止させた状態において、上糸6を針板21の下方において切断した後、中押さえ22を下死点に位置させるとともに、天秤9と縫い針5との間における上糸6の搬送経路に設けられた糸押さえ手段15によって上糸6を移動しないように押さえてからミシン主軸3の逆回転駆動によって針棒8を上昇させて上死点に位置させた状態において、糸払い手段25により糸払い動作を行う。
【選択図】 図3
Description
本発明はミシンの制御方法に係り、特に、上糸を針板の下方において切断した後、上糸の切断端縁を針板の下方から上方に位置させるために、縫い針の先端部と針板との間を横切る糸払い手段を備えたミシンの制御方法に関する。
従来より、縫製動作の終了時に、上糸を針板の下方において切断するミシンが用いられている。このようなミシンにおいては、上糸は、切断された後、針棒の下端部に装着された縫い針の針孔から、針板の上面に載置された縫製物を貫通した状態で、縫い針の針孔と針板の下方との間に掛け渡された状態となっている。
そこで、従来のミシンには、この上糸を縫製物から抜き払うために、縫い針の先端部と縫製物との間を横切ることにより上糸の切断端縁を針板の下方から縫製物の上方に移動させる糸払い手段が設けられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、従来より、縫い針の上昇にともなう縫製物の浮き上がりを防止するため、針棒の上下動と同期して上下動することにより、縫い針の針落ち位置の周辺部分の縫製物を針板側に押圧する中押さえを備えたミシンが用いられている。このような中押さえを備えたミシンは、針板の下方において切断された上糸を縫製物から抜き払う際、上糸の切断端縁が中押さえと縫製物との間に位置してしまうことがあった。このように上糸の切断端縁が中押さえと縫製物との間に位置してしまうと、次の縫製動作を開始するにあたり、上糸が挿通された縫い針を縫製物を介して針板の下方に下降させたときに、上糸の切断端縁が中押さえと被縫製物との間において挟まれて、上糸の切断端縁を針板の下方に巻き込みきれないことがあった。そして、このように上糸の切断端縁を針板の下方に巻き込みきれないと、上糸の切断端縁が縫製物の上方に残ってしまい、この結果、この縫製物の上方に残ってしまった上糸を切断したり、縫製物の下方に巻き込むという作業を行わなければならず、縫製物の製造作業の効率が低下してしまうことがあった。
このため、このような中押さえを備えたミシンにおいては、前記糸払い手段を縫い針の先端部と中押さえとの間に横切らせることにより、縫製物から上糸を抜き払い、上糸の切断端縁を中押さえの上方に位置させるようになっている。
しかし、前述のような中押さえおよび糸払い手段を備えたミシンによれば、縫製物の厚みが厚い場合には、縫い針の先端部と中押さえの間隙寸法が狭くなってしまうので、糸払い手段を縫い針の先端部と中押さえとの間に横切らせることができず、糸払い動作をすることができない場合があった。また、例えば、前述のミシンにおいて、縫製動作の終了時に、天秤の上死点であって針棒が上死点から下死点に下降する途中位置である上停止位置に針棒が停止した状態または停止直前において、上糸を針板の下方において切断するような場合には、針棒は、上停止位置、すなわち上死点から下死点に下降する途中位置で停止しているので、中押さえと縫い針の先端部との間隙寸法が短くなってしまうこととなる。この結果、糸払い手段を中押さえと縫い針の先端部との間に横切らせることができず、糸払い動作をすることができない場合があった。
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、確実に糸払い動作を行うことにより、上糸の切断端縁を確実に針板の下方から中押さえの上方に位置させることができ、これにより、縫製物の製造作業の効率を向上させることが可能なミシンの制御方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るミシンの制御方法の特徴は、針棒を上下動させるとともに、針板の上面に載置された縫製物を押さえる中押さえを前記針棒の上下動に同期して上下動させながら縫製動作を行い、縫製終了時に、前記針棒の下端部に装着された縫い針の針孔から前記縫製物を貫通して前記針板の下方に位置する上糸を、前記針板の下方において切断した後、前記縫い針の先端部と前記中押さえとの間に糸払い手段を横切らせる糸払い動作を行うことにより、前記上糸の切断端縁を前記針板の下方から前記中押さえの上方に位置させるミシンの制御方法において、前記針棒の上下動の停止後において前記糸払い動作を行う前に、前記中押さえを下死点に位置させるとともに、前記針棒を上昇させる点にある。
この請求項1に記載の発明によれば、糸払い動作の前に、針棒を上昇させるとともに、中押さえを下死点にまで下降させるので、縫い針の先端部と中押さえとの間隙寸法を広げることができ、縫い針の先端部と中押さえとの間に糸払い手段を確実に横切らせることができる。
また、請求項2に記載の発明に係るミシンの制御方法の特徴は、請求項1に記載の発明において、前記針棒を上昇させて上死点に位置させた状態において、前記糸払い動作を行う点にある。
この請求項2に記載の発明によれば、針棒を上昇させて上死点に位置させた状態によって糸払い動作を行うことにより、針棒の先端と中押さえとの間隙寸法を最大限に広げることができる。これにより、縫い針と中押さえとの間に糸払い手段を確実横切らせて、糸払い動作を行うことができる。
さらに、請求項3に記載の発明に係るミシンの制御方法の特徴は、請求項1または請求項2に記載の発明において、ミシン主軸の正回転駆動によって前記針棒とともに天秤を上下動させながら縫製動作を行い、縫製終了時に、前記針棒を上死点から下死点に下降する途中位置に停止させた状態または停止直前において、前記上糸を前記針板の下方において切断する前記ミシンの制御方法において、前記針棒の停止状態において前記糸払い動作を行う前に、前記中押さえを下死点に位置させるとともに、前記天秤と前記縫い針との間における前記上糸の搬送経路に設けられた糸押さえ手段によって前記上糸を移動しないように押さえた後、前記ミシン主軸の逆回転駆動によって前記針棒を上昇させる点にある。
この請求項3に記載の発明によれば、縫い針の先端部と中押さえとの間隙寸法を広げるためにミシン主軸を逆回転駆動させて針棒を上昇させることにより、天秤が下降してしまっても、針棒を上昇させる前に糸押さえ手段によって上糸における縫い針と天秤との間の部分を押さえることにより、上糸が糸押さえ手段と縫製物との間において弛んでしまうのを防止することができる。これにより、余分な上糸が縫い針の針孔より先に供給されて針孔より先の上糸が長くなってしまうことを防止することができるので、上糸の糸払い動作が終了した後、次の縫製動作を開始するにあたり、上糸が挿通された縫い針を縫製物を介して針板の下方に下降させた際、上糸の切断端縁を針板の下方に確実に巻き込むことができる。この結果、上糸の切断端縁が縫製物の上方に残ってしまうのを防止することができるので、縫製物の上方に残ってしまった上糸を切断したり、下方に抜き払うという操作者の作業を省略することができ、縫製物の製造作業の効率を向上させることができる。また、糸押さえ手段と縫製物との間における上糸の所定の張力を維持することができるので、縫製物が厚い場合であっても、上糸を縫製物から確実に抜き払うことができる。
以上述べたように、本発明に係るミシンの制御方法によれば、縫い針の先端部と中押さえとの間に糸払い手段を確実に横切らせる糸払い動作を行うことができ、これにより、厚い縫製物であっても上糸を縫製物から確実に抜き払い、上糸の切断端縁を中押さえの上方に位置させることができる。この結果、次の縫製動作を開始するにあたり、上糸が挿通された縫い針を縫製物を介して針板の下方に下降させた際、上糸の切断端縁を針板の下方に確実に巻き込むことができるので、縫製物の上方に残ってしまった上糸を切断したり、下方に抜き払うという操作者の作業を省略することができ、縫製物の製造作業の効率を向上させることができる。
以下、本発明に係るミシンの制御方法の一実施形態を図1から図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るミシンの制御方法に用いられるミシンの一部を示す斜視図、図2は、図1のミシンを示す構成図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係るミシンの制御方法に用いられるミシン1は、主軸モータ2の駆動により回転するミシン主軸3を有しており、ミシン主軸3には、図示しないクランクが連結され、このクランクには、図示しないクランクロッドおよび針棒抱きを介して針棒8が連結されている。針棒8の下端部には縫い針5が装着されており、縫い針5の先端部には、上糸6を挿通する針孔7が形成されている。
また、ミシン主軸3には、前記クランクを介して天秤9が連結されており、天秤9における上糸6が挿通される針孔10が形成された先端部と反対側の基端部は、ミシン1のアーム部12に固着された天秤支持軸(図示せず)に回動可能に支持されている。
そして、ミシン1は、主軸モータ2の駆動によってミシン主軸3が所定の方向に正回転駆動することにより、クランクおよびクランクロッドを介して針棒8が上下動するようになっているとともに、クランクおよびクランクロッドを介して天秤9を天秤支持軸を軸として揺動させることにより、天秤9の先端部が上下動するようになっている。
このミシン1において、上糸6は、図示しない糸供給源から所定の糸搬送経路を通過して天秤9の針孔10に挿通された後、アーム部12に設けられたガイド13に案内されながら縫い針5の針孔7に挿通されている。
アーム部12における上糸6の糸搬送経路の途中であって天秤9と縫い針5との間には、搬送される上糸6を押さえることにより上糸6の移動を規制する糸押さえ手段15が設けられている。糸押さえ手段15は、ミシン1のアーム部12に固着された固定板16と、固定板16に対向して配置されている糸押さえ板17と、糸押さえ板17を固定板16に対して接離する方向に移動させる糸押さえアクチュエータ18とを有しており、上糸6は糸押さえ板17と固定板16との間を通過するように案内されている。糸押さえアクチュエータ18は、本体部18aと、本体部18aから突出して前後動する作動子18bとを有し、本体部18aはアーム部12に固定して設けられ、作動子18bは糸押さえ板17に固定して設けられている。
そして、ミシン1は、糸押さえアクチュエータ18の所定の正方向の駆動によって作動子18bを本体部18aの内部方向に引き込むように後退移動させることにより、糸押さえ板17が固定板16に当接する方向に移動するようになっており、当接した糸押さえ板17と固定板16とによって上糸6を挟持して上糸6の移動を規制するようになっている。また、ミシン1は、糸押さえアクチュエータ18の逆方向の駆動によって作動子18bを本体部18aから突出する方向に前進移動させることにより、糸押さえ板17が固定板16から離間する方向に移動するようになっており、これにより上糸6を解放するようになっている。
アーム部12の下端部には、縫い針5の針孔7からベッド部20における針板21の上面に載置された図示しない縫製物を貫通して針板21の下方に掛け渡された上糸6の切断端縁を、針板21の下方から中押さえ22の上方に位置させるための糸払い手段25が設けられている。糸払い手段25は、先端部が鈎型に形成されたワイパー26を有しており、ワイパー26は、連結軸(図示せず)を介して糸払いソレノイド27に連結されている。そして、ミシン1は、縫製終了時に糸払いソレノイド27の駆動によってワイパー26を揺動して縫い針5の先端と中押さえ22との間に横切らせることにより、上糸6の切断端縁を針板21の下方から中押さえ22の上方に位置させるようになっている。
また、アーム部の先端における縫い針の先端部近傍には、縫い針の上昇にともない縫製物が針板から浮き上がってしまうのを防止するため、針棒の上下動に同期して上下動することにより、針落ち位置の周辺部分の縫製物を針板側に押圧する中押さえ22が設けられている。
中押さえ22の先端部は、ミシン1のベッド部20であって縫い針5の先端部に対向する位置に設けられた針板21と縫い針5の先端との間隙に位置し、上下方向に貫通する貫通孔22aを有する略円筒状に形成されており、縫い針5は、針棒8とともに上下動する際に中押さえ22の貫通孔22aに挿通されるようになっている。中押さえ22は、中押さえアクチュエータ23に連結され、中押さえアクチュエータ23の駆動によって、縫製物の上面において、縫い針5の上下動のストローク幅よりも短いストローク幅により、縫い針5の上下動と同一の周期により同期して上下動するようになっている。ここで、中押さえ22は、縫い針5が上死点に位置するときの縫い針5の先端部と、針板21の上面に配置される縫製物の上面との間において上下動を行い、縫い針5の下死点から該縫い針5の先端が縫製物の上面に上昇するまでの間、縫製物の上面において縫製物を針板21の方向に押圧するようになっている。
また、中押さえ22は、中押さえアクチュエータ23の駆動量を調整することにより、縫製物の厚みに対応して上下動のストローク幅を調整することができるようになっている。
針板21における縫い針5の先端部に対向する位置には、縫い針5の先端部を針板21の下方に位置させるための貫通孔29が形成されている。針板21の下方には、針板21の下方に延出した上糸6を切断する切断手段30が設けられており、切断手段30は、連動して回動可能な一対のメスを有し、両メスのうち一方の第1メスは、電磁弁31に接続されたメス用シリンダ32に連結され、メス用シリンダ32の駆動により第1メスの切断刃が他方の第2メスの切断刃に合致するように回動するようになっている。そして、ミシン1は、縫製終了時に針板21の下方に位置する上糸6を両メスの切断刃によって挟むことにより、上糸6を切断するようになっている。
また、ミシン1は、各部の動作を制御する制御手段35を有している。制御手段35は、ミシン1の縫製全体を制御するCPU36、縫製プログラム等を格納したROM37、および作業領域を提供するRAM38等を有し、主軸モータ2や糸押さえアクチュエータ18、中押さえアクチュエータ23、糸払いソレノイド27、電磁弁31、その他のミシン1の各部の動作の駆動源となるアクチュエータ42やセンサ等に接続されている。そして、制御手段35は、ROM37等に記録されている縫製プログラムから、例えば、縫製に必要な種々の縫製データを演算し、その演算結果に基づいて、主軸モータ2や糸押さえアクチュエータ18、中押さえアクチュエータ23、糸払いソレノイド27、電磁弁31、その他の各種アクチュエータ42等を動作させて縫製を行うようになっている。
さらに、制御手段35には、電力の供給を開始および終了するための起動スイッチ39、縫製を行うための操作ペダル40、縫製動作の各種設定の入力を行う入力部および各種設定を表示する表示部を備えた操作パネル41等が接続されている。
次に、本実施形態の作用について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、制御手段35は、操作ペダル40から縫製開始の指示を入力すると、操作パネル41における設定に基づき、ROM37等に記録された縫製プログラムにしたがってミシン主軸3の正回転駆動を開始し(ST1)、これにより、針棒8および上下動させながら縫製動作を行う(ST2)。
そして、縫製を終了する際、制御手段35は、天秤9の上死点であって針棒8が上死点から下死点に下降する途中位置である上停止位置において天秤9および針棒8が停止するように、ミシン主軸3の回転駆動を停止した後(ST3)、両メスによって針板21の下方に位置する上糸6を切断する(ST4)。
続いて、制御手段35は、糸押さえアクチュエータ18を正方向に駆動することにより作動子18bを後退移動させて糸押さえ板17を固定板16の方向に移動させる。そして、固定板16と糸押さえ板17とによって上糸6を挟持して、この上糸6を押さえる(ST5)。これにより、糸押さえ手段15と縫製物との間の上糸6が弛むことなく、所定の張力が付与されることとなる。さらに、制御手段35は、ミシン主軸3を逆回転駆動するか否かを判断し(ST6)、ミシン主軸3を逆回転駆動すると判断した場合(ST6においてYes)、主軸モータ2に逆回転駆動の指示を出力して、針棒8が上死点に位置するようにミシン主軸3を逆回転駆動させる(ST7)。
次に、ミシン主軸3を逆回転駆動させた後(ST7)、または、ミシン主軸3を逆回転駆動しないと判断した場合(ST6においてNo)、制御手段35は、糸払い動作を行うか否かを判断する(ST8)。このとき、制御手段35は、糸払い動作を行うと判断した場合(ST8においてYes)、中押さえアクチュエータ23を駆動させることにより、中押さえ22を下死点に位置させる(ST9)。続いて、糸払いソレノイド27を駆動させ、ワイパー26を縫い針5の先端と縫製物との間に横切らせて糸払い動作を行うことにより、上糸6の切断端縁を針板21の下方から中押さえ22の上方に位置させて、上糸6を縫製物から抜き払った後(ST10)、中押さえアクチュエータ23を駆動させて、中押さえ22を上死点まで上昇させる(ST11)。
さらに、制御手段35は、上糸6を変更するか否かを判断し(ST12)、例えば、操作者が操作パネル41等において上糸6を変更する操作を選択することにより、上糸6を変更すると判断すると(ST12においてYes)、糸押さえアクチュエータ18を逆方向に駆動させて作動子18bを前進移動させることにより、糸押さえ板17を固定板16から離間する方向に移動させて上糸6に対する押圧力を解除する(ST13)。そして、操作者により上糸6が変更され、縫製物が入れ替えられる等した後に、制御手段35は操作ペダル40から再度縫製開始の指示を入力すると、ミシン主軸3を正回転駆動を開始(ST1)して縫製動作を行う(ST2)。
一方、上糸6を変更しないと判断した場合には(ST12においてNo)、糸押さえ手段15により上糸6を押さえたままの状態とする。その後、例えば、操作者により縫製物が入れ替えられる等した後に、制御手段35は、操作ペダル40から再度縫製開始の指示を入力すると、ミシン主軸3を正回転駆動して縫製動作を開始する(ST14)。そして、制御手段35は、天秤9が上死点に位置したとき、糸押さえ板17を固定板16から離間する方向に移動させて上糸6に対する押圧力を解除し(ST15)、縫製動作を続行する(ST2)。
このように、本実施形態によれば、糸払い動作の前に、針棒8を上昇させるとともに、中押さえ22を下死点にまで下降させるので、縫い針5の先端部と中押さえ22との間隙寸法を広げることができる。
したがって、縫い針5の先端部と中押さえ22との間にワイパー26を確実に横切らせる糸払い動作を行うことができ、これにより、厚い縫製物であっても上糸6を縫製物から確実に抜き払い、上糸6の切断端縁を中押さえ22の上方に位置させることができる。この結果、次の縫製動作を開始するにあたり、上糸6が挿通された縫い針5を縫製物を介して針板21の下方に下降させた際、上糸6の切断端縁を針板21の下方に確実に巻き込むことができるので、縫製物の上方に残ってしまった上糸を切断したり、下方に抜き払うという操作者の作業を省略することができ、縫製物の製造作業の効率を向上させることができる。
また、ミシン主軸3を逆回転駆動させることにより針棒8を上昇させ、上死点に位置させた状態によって糸払い動作を行うことにより、針棒8の先端と中押さえ22との間隙寸法を最大限に広げることができる。これにより、縫い針5と縫製物との間にワイパー26を確実に横切らせて糸払い動作を行うことができる。
さらに、縫い針5の先端と中押さえ22との間隙寸法を広げるためにミシン主軸3を逆回転駆動させて針棒8を上昇させることにより、天秤9が下降してしまっても、針棒8を上昇させる前に糸押さえ手段15によって上糸6における縫い針5と天秤9との間の部分を押さえることにより、上糸6が糸押さえ手段15と縫製物との間において弛んでしまうのを防止することができる。これにより、余分な上糸6が縫い針5の針孔7より先に供給されて針孔7より先の上糸6が長くなってしまうことを防止することができるので、上糸6の糸払い動作が終了した後、次の縫製動作を開始するにあたり、上糸6が挿通された縫い針5を縫製物を介して針板21の下方に下降させた際、上糸6の切断端縁を針板21の下方に確実に巻き込むことができる。この結果、上糸6の切断端縁が縫製物の上方に残ってしまうのを防止することができるので、縫製物の上方に残ってしまった上糸6を切断したり、下方に抜き払うという操作者の作業を省略することができ、縫製物の製造作業の効率を向上させることができる。また、糸押さえ手段15と縫製物との間における上糸6の所定の張力を維持することができるので、縫製物が厚い場合であっても、上糸6を縫製物から確実に抜き払うことができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
例えば、本実施形態においては、天秤9および針棒8が上停止位置に停止している状態で上糸6を針板21の下方において切断する場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、針棒8が上死点と下死点との途中位置に停止している状態で上糸6を針板21の下方において切断する場合に用いることができる。
また、本実施形態においては、針棒8を上死点に上昇させた後、中押さえ22を下死点まで下降して、糸払い動作を行っているが、これに限定されるものではなく、糸払い動作を行うまでに針棒8が上昇するとともに中押さえ22が下死点まで下降していれば、たとえば、中押さえ22を下死点まで下降した後、針棒8を上死点に上昇させてもよい。
さらに、ミシン主軸3を逆回転駆動するか否かの判断および糸払い動作を行うか否かの判断を行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの判断を行わずに、糸押さえ手段15によって上糸6を押さえる糸押さえ動作を行った後、ミシン主軸3を逆回転駆動し、糸払い動作を行うようにしてもよい。さらにまた、糸押さえ動作を行った後、ミシン主軸3を逆回転するか否かを判断しているが、これに限定されず、ミシン主軸3を逆回転するか否かを判断した後、逆回転すると判断した場合に、糸押さえ動作を行うようにしてもよい。また、本実施形態においては、上糸6を切断した後に糸押さえ動作を行うようになっているが、糸押さえ動作は、縫い針5および天秤9の上停止位置における停止の後であって糸払い動作の前であればよく、糸押さえ動作を行った後、上糸6を切断してもよい。
1 ミシン
3 ミシン主軸
5 縫い針
6 上糸
7 針孔
8 針棒
9 天秤
15 糸押さえ手段
21 針板
22 中押さえ
25 糸払い手段
29 貫通孔
30 切断手段
35 制御手段
3 ミシン主軸
5 縫い針
6 上糸
7 針孔
8 針棒
9 天秤
15 糸押さえ手段
21 針板
22 中押さえ
25 糸払い手段
29 貫通孔
30 切断手段
35 制御手段
Claims (3)
- 針棒を上下動させるとともに、針板の上面に載置された縫製物を押さえる中押さえを前記針棒の上下動に同期して上下動させながら縫製動作を行い、
縫製終了時に、前記針棒の下端部に装着された縫い針の針孔から前記縫製物を貫通して前記針板の下方に位置する上糸を、前記針板の下方において切断した後、
前記縫い針の先端部と前記中押さえとの間に糸払い手段を横切らせる糸払い動作を行うことにより、前記上糸の切断端縁を前記針板の下方から前記中押さえの上方に位置させるミシンの制御方法において、
前記針棒の上下動の停止後において前記糸払い動作を行う前に、前記中押さえを下死点に位置させるとともに、前記針棒を上昇させることを特徴とするミシンの制御方法。 - 前記針棒を上昇させて上死点に位置させた状態において、前記糸払い動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のミシンの制御方法。
- ミシン主軸の正回転駆動によって前記針棒とともに天秤を上下動させながら縫製動作を行い、縫製終了時に、前記針棒を上死点から下死点に下降する途中位置に停止させた状態または停止直前において、前記上糸を前記針板の下方において切断する前記ミシンの制御方法において、
前記針棒の停止状態において前記糸払い動作を行う前に、前記中押さえを下死点に位置させるとともに、前記天秤と前記縫い針との間における前記上糸の搬送経路に設けられた糸押さえ手段によって前記上糸を移動しないように押さえた後、前記ミシン主軸の逆回転駆動によって前記針棒を上昇させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のミシンの制御方法。
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