JP4507273B2 - ミシンのワイパー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、切断された上糸を糸払いするように構成されたミシンのワイパー装置に関する。
従来、刺繍縫製可能なミシンにおいては、刺繍縫製に際して加工布を押える布押えを駆動する布押え機構と、縫製終了時に縫い糸を切断する糸切断装置と、切断された縫い糸をワイパー部材で払い上げる糸払い機構とが設けられたものが実用に供されている。
例えば、特許文献1に記載のミシンでは、ミシンベッドの針板の下面付近には、上糸及び下糸を自動で切断する糸切断装置、ミシンベッドの上方のミシン頭部には、糸切断装置による切断後に、縫針に繋がっている上糸を針板上に引上げて加工布から引抜く糸払い装置が設けられている。
この糸払い装置は、上糸を加工布から引抜けるように先端部に鉤部を有するワイパーとそのワイパーを駆動させるワイパー駆動機構と、上糸を保持する上糸保持具とを有する。針棒及び布押さえの上昇位置で、ワイパー駆動機構によるワイパーの駆動により、糸切断装置による糸切断後の上糸を鉤部により引掛けて加工布から引抜いて針板上方に引上げ、その上糸を上糸保持具で保持する。
また、特許文献2に記載のミシンのワイパー装置は、ミシン機枠に回動可能に支持されるワイパー体と、縫製物の押えをなすミシンの押え金と、押え金とともに昇降移動をなす昇降手段と、一端が昇降手段の上端と当接し、他端がワイパー体に連結している連結リンクとを有し、ミシンの押え金の上昇に応じて押え金に当接する昇降手段を上昇させ、この昇降手段の上昇によって連結リンクを介してワイパー体の下端部を縫針方向に移動させることで縫い糸を払い上げている。
特開2003−103080号公報 実開平6−52782号公報
特許文献1の糸払い装置はミシン本体に備えられ、ワイパー駆動機構により、糸切断装置の移動刃の糸切断動作と同期してワイパーが駆動制御されているため、その構成が複雑であると共に装置が大型化して高価であった。
特許文献2のミシンのワイパー装置では、押え金の昇降動作にワイパー体が連動しており、押え金の上昇移動によりワイパー体が上昇移動する構成であるため、例えば上糸を切断しないで押え金を上昇させた場合には、ワイパー体が上糸を無理に引っ張ってしまい、ワイパー体や縫針を変形させる虞がある。
本発明の目的は、針棒の所定位置への針振り動作によりワイパー部材の作動可能状態と作動不能状態との切換えを選択的に行うことを可能にするワイパー装置を提供すること、ミシン本体から取しが容易で小型のワイパー装置を提供すること、簡単化した機構でワイパー部材を作動させることができるワイパー装置を提供すること、等である。
請求項1のミシンのワイパー装置は、上糸を糸切断手段で糸切りしその糸切り後に縫針の目孔から延びる上糸を加工布の上面側に引き出すように糸払いするミシンのワイパー装置において、
前記糸払いを行うワイパー部材と、前記ワイパー部材を糸払い動作させるワイパー駆動手段であって、押え棒の昇降動作を利用して前記ワイパー部材を駆動するように構成されたワイパー駆動手段と、前記ワイパー駆動手段を駆動することにより下方へ押動されてワイパー部材を糸払いさせる駆動力入力部材と、前記駆動力入力部材に設けられ、針棒を上下に往復移動可能に支持する針棒台に当接する当接部と、針棒の位置に連動してワイパー部材を作動可能状態と作動不能状態とに亙って切換える切換え手段であって、針振り機構により針棒を所定位置へ針振り動作させることにより、前記作動可能状態のとき前記当接部が前記針棒台に当接可能にすると共に前記作動不能状態のとき前記当接部が前記針棒台に当接不能にするように構成された切換え手段とを備えた。
このワイパー装置は、糸切断手段により刺繍縫製中における複数の刺繍領域を繋ぐ渡り糸を切断した後や刺繍糸の色替え時及び縫製終了後に上糸を切断した後に、ワイパー駆動手段によりワイパー部材を作動して上糸を加工布の上面側に引き出す。また、切換え手段により、針棒の位置に連動してワイパー部材の作動・非作動の切換えが可能である。
請求項のミシンのワイパー装置は、請求項の発明において、押え棒に取着された押え足に固定された支持部材を設け、この支持部材に駆動力入力部材が昇降可能に装着され、駆動力入力部材を上方へ付勢する弾性部材を設け、ワイパー部材が針振り方向と平行な水平枢支軸により前記駆動力入力部材に揺動自在に枢支され、支持部材に対する駆動力入力部材の相対下降動作をワイパー部材の揺動動作に変換するリンク機構を設けた。
請求項のミシンのワイパー装置は、請求項1又は2の発明において、駆動力入力部材の当接部は、針棒の針振り方向と略平行方向に揺動可能に支持されており、針棒台が前記作動不能状態に対応する位置にあるときに、押え棒を上昇させ当接部を針棒台と当接可能位置に位置させた後で、針棒台を作動可能状態に対応する位置に揺動させた場合には、当接部が針棒台と共に揺動することで針棒台の揺動を妨げないように構成した。
請求項のミシンのワイパー装置は、請求項1〜の何れか1つの発明において、ワイパー部材は、糸払い時に、針棒に縫針を固定する針止め部材と干渉しないように迂回する迂回腕部を備えた。
請求項1の発明によれば、ワイパー装置は、糸払いを行うワイパー部材と、ワイパー部材を糸払い動作させるワイパー駆動手段と、針棒の位置に連動してワイパー部材を作動可能状態と作動不能状態とに亙って切換える切換え手段とを設けたので、針棒の位置変更動作を利用して、ワイパー部材の状態切換えが可能となる。
この発明によれば、ワイパー駆動手段を駆動することにより下方へ押動されてワイパー部材を糸払いさせる駆動力入力部材を設けたので、ワイパー部材が駆動力入力部材により糸切断後の上糸の払い上げを行うことができる。
この発明によれば、駆動力入力部材は、針棒を上下に往復移動可能に支持する針棒台に当接する当接部を有し、切換え手段は、針振り機構により針棒を所定の位置へ針振り動作させることにより、作動可能状態のとき駆動力入力部材の当接部が針棒台に当接可能にすると共に作動不能状態のとき当接部が針棒台に当接不能にするように構成されたので、針棒の所定位置への針振り動作により、ワイパー部材を作動可能状態と作動不能状態とに確実に切換えることが可能になる。
この発明によれば、ワイパー駆動手段は、押え棒の昇降動作を利用してワイパー部材を駆動するように構成されたので、ワイパー部材を駆動させるための機構を簡単化することができ、ワイパー装置の小型化も図ることができる。
請求項の発明によれば、押え棒に取着された押え足に固定された支持部材を設け、この支持部材に駆動力入力部材が昇降可能に装着され、駆動力入力部材を上方へ付勢する弾性部材を設け、ワイパー部材が針振り方向と平行な水平枢支軸により前記駆動力入力部材に揺動自在に枢支され、支持部材に対する駆動力入力部材の相対下降動作をワイパー部材の揺動動作に変換するリンク機構を設けたので、簡単な機構でワイパー部材を作動させることできる。
請求項の発明によれば、駆動力入力部材の当接部は、針棒の針振り方向と略平行方向に揺動可能に支持されており、針棒台が作動不能状態に対応する位置にあるときに、押え棒を上昇させ当接部を針棒台と当接可能位置に位置させた後で、針棒台を作動可能状態に対応する位置に揺動させた場合には、当接部が針棒台と共に揺動することで針棒台の揺動を妨げないように構成されているので、押え棒が上昇位置においても針棒台の揺動範囲が制限されることがなく、所定範囲の揺動が可能になる。
請求項の発明によれば、ワイパー部材は迂回腕部を備えたので、糸払い時に、針棒に縫針を固定する針止め部材と干渉しないように迂回して糸払い動作をスムーズに行うことができる。
本実施形態におけるミシンのワイパー装置は、上糸を糸切断手段で糸切りしその糸切り後に縫針の目孔から延びる上糸を加工布の上面側に引き出すように糸払いを行うワイパー部材と、ワイパー部材を糸払い動作させるワイパー駆動手段と、針棒の位置に連動してワイパー部材を作動可能状態と作動不能状態とに亙って切換える切換え手段とを備えたものである。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
先ず、図1に示すように、刺繍縫製可能なミシンMについて簡単に説明する。
このミシンMは、通常の家庭用の電子制御ミシンと同様のもので、ベッド部1と、ベッド部1の右端部から立設された脚柱部2の上端からミシンベッド部1に対向するように左方へ延びるアーム部3を有する。このミシンMでは、ベッド部1の左端側部分には、刺繍枠(図示略)を用いた刺繍縫いのための刺繍枠駆動機構4が着脱可能に装着されている。刺繍枠駆動機構4は、刺繍枠をX方向(左右方向)とY方向(前後方向)に夫々独立に駆動する。
ベッド部1の針板1aの下側には、送り歯を上下動させる送り歯上下動機構(図示略)及び前後動させる送り歯前後動機構(図示略)に加えて、下糸が巻かれたボビンを着脱自在に装着する釜機構(図示略)と、上糸と下糸を切断する糸切断手段(図示略)等が設けられている。脚柱部2の前面には、液晶ディスプレイ6が設けられている。
アーム部3には、ミシンモータで回転駆動される左右方向に延びるミシン主軸(図示略)と、ミシン主軸を手動操作で回転可能なハンドプーリ7と、下端に縫針5を装着した針棒8を上下動させる針棒駆動機構(図示略)と、針棒8を布送り方向と直交する左右方向に揺動させる針振り機構と、天秤を針棒の上下動に調時して上下動させる天秤駆動機構(図示略)と、ミシン機枠に昇降可能に支持された押え棒をミシン機枠に固定されたステッピングモータにより上昇位置と下降位置とに亙って昇降駆動する昇降機構(図示略)等が設けられている。
アーム部3の前面側には、縫製の開始及び停止の操作のための縫製開始・停止スイッチ11等が設けられている。アーム部3の頭部には、上糸を糸切断手段で糸切りしその糸切り後に縫針5の目孔から延びる上糸を加工布の上面側に引き出すように糸払いするワイパー装置12が設けられている。
次に、ワイパー装置12ついて説明する。
図2〜図9に示すように、ワイパー装置12は、糸払いを行うワイパー部材13を含むワイパー機構14と、ワイパー機構14を駆動しワイパー部材13を糸払い動作させるワイパー駆動手段15と、針棒8の位置に連動してワイパー部材13を作動可能状態と作動不能状態と亙って切換える切換え手段16とを備えている。
次に、ワイパー機構14とワイパー部材13について図2〜図5に基づいて説明する。 ワイパー機構14は、ワイパー部材13と、支持部材17と、支持軸27と、駆動力入力部材19と、リンク機構20等を備えている。
ワイパー部材13は、駆動力入力部材19の本体部材28に針振り方向と平行な方向に固着された水平枢支軸21に対して揺動可能且つ軸方向には移動不能に支持されており、迂回腕部22と、この迂回腕部22の下端部に一体形成された糸払い部23とを備えている。糸払い部23は正面視にてクランク状に形成され、糸払い部23の先端部には糸払い時に払い上げた糸が外れないにように規制する規制部24が設けられている。迂回腕部22は、ワイパー部材13が上方へ揺動して糸払いする際に針棒8に縫針5を固定する針止め部材25と干渉しないように迂回する形状に構成されている。
支持部材17は、押え棒10に取着された押え足26と一体に形成され、支持部材17の上下1対の支持部17aには、鉛直な支持軸27が固着されている。
駆動力入力部材19は、支持軸27に昇降可能に支持された本体部材28と、この本体部材28の上端部に左右方向へ揺動可能に枢着された当接部29を有する。
本体部材28には上下1対の被案内部28aが形成され、下端の被案内部28aが上下1対の支持部17aの間で支持軸27に上下摺動自在に外嵌され、上端の被案内部28aが上側の支持部17aよりも上方において支持軸27に上下摺動自在に外嵌され、本体部材28が支持軸27に上下摺動自在に支持されている。支持部17aと上端の被案内部28aの間で支持軸27には圧縮コイルバネからなる弾性部材30が外装され、駆動力入力部材19は弾性部材30により上方へ付勢されている。
本体部材28の上端部には、前後1対の支持片28bが正面視にて右方へ突出状に成形され、正面視にて前後方向向きの水平支軸31が固着されている。当接部29は、その水平支軸31に対して揺動可能且つ軸方向には移動不能に支持されている。また、当接部29は、水平支軸31に外装された捩じりコイルバネ32の弾性力により正面視にて反時計回り方向に付勢され、本体部材28に係止した姿勢で支持されている。当接部29は、その係止した姿勢から時計回り方向に約30度の角度の揺動が可能である。
次に、リンク機構20について説明する。
図4,図5,図8に示すように、リンク機構20は、支持軸27の上下方向の略中央に針振り方向と平行方向に挿設された駆動ピン33と、駆動力入力部材19の本体部材28に上下方向に長く切欠かれたスリット部34と、ワイパー部材13に1対のリンク腕部35が一体成形され、このリンク腕部35に設けられたリンク部35aとを有している。この駆動ピン33が、駆動力入力部材19のスリット部34とリンク腕部35のリンク部35aとの両方に摺動可能に係合する状態に構成されている。
押え棒10に取着された支持部材17の上下位置を固定した状態で、本体部材28を下方に移動させると、本体部材28に固着された水平枢支軸21の位置が、駆動ピン33に対して相対的に下方に移動する。これによりワイパー部材13のリンク部35aが図4に示すように前方に向かって斜め下方に延びる姿勢から、図8に示すように前方に向かって斜め上方に延びる姿勢に移動するので、図4に示すように、ワイパー部材13の糸払い部23が縫針5の針孔から下方の押え足26に延びる上糸の後方から、図8に示すように針止め部材25の前方に至るまで移動する。
次に、押え棒10の昇降動作によりワイパー部材13を駆動するワイパー駆動手段15について説明する。
ワイパー駆動手段15は、押え棒10を昇降駆動する昇降機構で構成されており、押え棒10の下端部には押え足26が止めネジ37により固定され、押え棒10の昇降動作により押え足26と一体的に形成された支持部材17も上下方向に昇降する。
針棒台38が当接部29と当接可能位置にある場合には、押え棒10の上昇と共に支持部材17が上昇して、前記当接部29が針棒台38と当接する。前記当接部29が前記針棒台38と当接した以降は、前記当接部29は、その位置で係止された状態となる。けれども、押え棒10と共に支持部材17が更に上昇すると、前述したように本体部材28に固着された水平枢支軸21の位置が、駆動ピン33に対して相対的に下方に移動することにより、ワイパー部材13は、図4に示すように、ワイパー部材13の糸払い部23が縫針5の針孔から下方の押え足26に延びる上糸の後方から、図8に示すように針止め部材25の前方に到るまで移動して、上糸を加工布の上面側に引き出すように糸払いを行う。 なお、図10に示すように、押え足26の針孔の稜線部36は、糸払いの際に上糸が摺接しても滑らかに通過できるような加工処理がなされている。
次に、切換え手段16について説明する。
図2〜13に示すように、切換え手段16は、針振り機構9と、針棒8を上下方向に摺動可能に支持する針棒台38で構成されている。
針棒8を所定位置へ針振り動作させる針振り機構9について説明する。
図11〜13に示すように、針振り機構9は、針棒台38、揺動レバー40、ステッピングモータ41、揺動カム42等を有する。
図11に示すように針棒台38は、針棒8と略平行に上下方向に伸長する形状で、針棒8の左側近傍に配設されており、その上端部がミシン機枠に揺動可能に支持され、針棒8を上下方向に移動可能に支持する上側枢支部43と下側枢支部44とを有している。従って、針棒台38が左右方向に揺動するとそれに伴い針棒8も左右方向に揺動する。
揺動レバー40は針棒台38と略平行に上下方向に伸長する形状で、上下方向の略中央部がミシン機枠に支持された枢支ピン46に対して揺動可能に枢支されており、その下端部47は針棒台38の下端部に固定されたカム体48に当接すると共に、その上端部55にはピン51が固着され、針棒台38を左右方向に揺動させる揺動カム42のカム面52に当接する。前記針棒台38は図示しないコイルバネによりその下端部が左向き方向に付勢され、夫々の当接状態が保持されるように構成されている。前記揺動カム42はミシン機枠に回転可能に支持され、ミシン機枠に固定されたステッピングモータ41が前記揺動カム42を駆動する。前記揺動カム42は外周部にはギヤが形成され、前記ステッピングモータ41の駆動ギヤ49と噛合している。
揺動カム42には、回動軸心からの距離が大きい半径拡大カム面53と回動軸心から距離が小さい半径縮小カム面54とを連続させたカム面52が形成されている。
図12に示すように、ステッピングモータ41の回転により揺動カム42が回転し、揺動カム42の回動軸心からの距離が大きい半径拡大カム面53にピン51が接触すると、揺動レバー40の上端部55が左方向に移動し、枢支ピン46を介して揺動レバー40の下端部47が右方向に移動するため針棒台38も右方向に移動する。
図13に示すように、ステッピングモータ41の回転により揺動カム42が回転し、揺動カム42の回動軸心から距離が小さい半径縮小カム面54にピン51が接触すると、揺動レバー40の上端部55が右方向に移動し、枢支ピン46を介して揺動レバー40の下端部47が左方向に移動するため針棒台38も左方向に移動する。
つまり、針振り機構9により、揺動レバー40の下端部47が右方向に移動(図12参照)すると、針棒台38が、駆動力入力部材19の当接部29と当接可能な位置に移動する。このとき押え棒10の昇降動作により押え足26と共に支持部材17が上昇すると、当接部29が針棒台38に当接してワイパー部材13が作動する。
一方、揺動レバー40の下端部47が左方向に移動(図13参照)すると、針棒台38が当接部29と当接不能な位置に移動するので、押え棒10の昇降動作により押え足26と共に支持部材17が上昇しても、当接部29が針棒台38に当接せずに針棒台38の右側に位置するので、ワイパー部材13は作動しない。
次に、以上説明したワイパー装置12の作用効果について説明する。
ワイパー装置12は、糸払いを行うワイパー部材13を含むワイパー機構14と、ワイパー機構14を駆動してワイパー部材13を糸払い動作させるワイパー駆動手段15と、針棒8の位置に連動してワイパー部材13を作動可能状態と作動不能状態とに亙って切換える切換え手段16とを設けたので、針振り機構9を利用してワイパー部材13の状態切換えが可能になる。
ワイパー装置12は、ミシンM本体の押え棒10に取り付けられているので容易に取外しが可能である。また、ワイパー駆動手段15を押え棒10を昇降駆動する昇降機構で構成したので、ワイパー部材13を作動させるための構成を簡単化させ、製作費用の低減を図ることができる。
切換え手段16は、針振り機構9により針棒台38を右方向位置に移動させたときに駆動力入力部材19の当接部29が針棒台38に当接し、針棒台38がその位置以外にあるときには、当接部29が針棒台38に当接しないので、ワイパー部材13を作動可能状態と作動不能状態とに確実に切換えることが可能になる。
駆動入力部材19の当接部29は、針棒8の針振り方向と略平行方向に揺動可能に支持されており、針棒台38がワイパー部材13の作動不能状態である右方向以外の位置にあるときに、押え棒10を上昇させ当接部29を針棒台38と当接可能位置に位置させた後で、針棒台38をワイパー部材13の作動可能状態である右方向の位置に移動させた場合には、当接部29が針棒台38に押圧されて右方向へ移動して針棒台38の移動を妨げることがないので、針棒8は所定範囲の揺動が可能である。
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1〕本実施形態では、ワイパー部材13は、針振り方向と平行な水平枢支軸21により駆動力入力部材19に揺動自在に枢支されて前後方向に揺動して糸払いするが、ワイパー部材13を針振り方向と平行な方向に揺動できるように枢支した構成で糸払いを行ってもよい。
2〕駆動力入力部材19の当接部29が揺動可能である構成は、針棒台38の被当接部が揺動可能であって当接部29は固定されている構成であってもよい。
3〕その他、当業者であれば、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり本発明はそのような変更された種々の形態を包含するものである。
本発明の実施例に係る刺繍ミシンの斜視図である。 針棒左振状態時のワイパー装置の左側面図である。 針棒左振状態時のワイパー装置の正面図である。 針棒左振状態時のワイパー装置の右側面図である。 ワイパー部材作動不能状態のワイパー装置の斜視図である。 針棒右振状態時のワイパー装置の左側面図である。 針棒右振状態時のワイパー装置の正面図である。 針棒右振状態時のワイパー装置の右側面図である。 ワイパー部材作動状態のワイパー装置の斜視図である。 押え足の要部拡大図である。 針振り機構の正面図である。 針棒右振状態の針振り機構の正面図である。 針棒左振状態の針振り機構の正面図である。
M 刺繍ミシン
5 縫針
8 針棒
9 針振り機構
10 押え棒
12 ワイパー装置
13 ワイパー部材
15 ワイパー駆動手段
16 切換え手段
17 支持部材
19 駆動力入力部材
20 リンク機構
21 水平枢支軸
22 迂回腕部
25 針止め部材
26 押え足
29 当接部
30 弾性部材
38 針棒台

Claims (4)

  1. 上糸を糸切断手段で糸切りしその糸切り後に縫針の目孔から延びる上糸を加工布の上面側に引き出すように糸払いするミシンのワイパー装置において、
    前記糸払いを行うワイパー部材と、
    前記ワイパー部材を糸払い動作させるワイパー駆動手段であって、押え棒の昇降動作を利用して前記ワイパー部材を駆動するように構成されたワイパー駆動手段と、
    前記ワイパー駆動手段を駆動することにより下方へ押動されてワイパー部材を糸払いさせる駆動力入力部材と、
    前記駆動力入力部材に設けられ、針棒を上下に往復移動可能に支持する針棒台に当接する当接部と、
    針棒の位置に連動してワイパー部材を作動可能状態と作動不能状態とに亙って切換える切換え手段であって、針振り機構により針棒を所定位置へ針振り動作させることにより、前記作動可能状態のとき前記当接部が前記針棒台に当接可能にすると共に前記作動不能状態のとき前記当接部が前記針棒台に当接不能にするように構成された切換え手段と、
    を備えたことを特徴とするミシンのワイパー装置。
  2. 前記押え棒に取着された押え足に固定された支持部材を設け、この支持部材に前記駆動力入力部材が昇降可能に装着され、前記駆動力入力部材を上方へ付勢する弾性部材を設け前記ワイパー部材が針振り方向と平行な水平枢支軸により前記駆動力入力部材に揺動自在に枢支され、前記支持部材に対する駆動力入力部材の相対下降動作をワイパー部材の揺動動作に変換するリンク機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載のミシンのワイパー装置。
  3. 前記駆動力入力部材の当接部は、前記針棒の針振り方向と略平行方向に揺動可能に支持されており、前記針棒台が前記作動不能状態に対応する位置にあるときに、押え棒を上昇させ前記当接部を前記針棒台と当接可能位置に位置させた後で、前記針棒台を前記作動可能状態に対応する位置に揺動させた場合には、前記当接部が前記針棒台と共に揺動することで前記針棒台の揺動を妨げないように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンのワイパー装置。
  4. 前記ワイパー部材は、糸払い時に、針棒に縫針を固定する針止め部材と干渉しないように迂回する迂回腕部を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載のミシンのワイパー装置。
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