JPH07144083A - ミシンの糸払い装置 - Google Patents

ミシンの糸払い装置

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JPH07144083A
JPH07144083A JP31450693A JP31450693A JPH07144083A JP H07144083 A JPH07144083 A JP H07144083A JP 31450693 A JP31450693 A JP 31450693A JP 31450693 A JP31450693 A JP 31450693A JP H07144083 A JPH07144083 A JP H07144083A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易な構成で、布押えに無意味な動作を行わ
せることなく、種々の縫製モードを効率的に実行するこ
とを可能とする。 【構成】 糸払い動作を行わせる際に、布押えの上げ動
作が不要である縫製モードの場合には、糸払い駆動手段
83aによって、押え上げ機構80の動作とは別個・独
立に糸払い片82hに糸払い動作を行わせるとともに、
糸払い動作と布押えの上げ動作との双方が必要である場
合には、押え上げ機構80の動作に連動して糸払い片8
2hを作動させて糸払い動作を行い、本来的に不要な布
押え81の上げ動作を省略して縫製動作を能率的に行う
とともに、布押え81の上げ動作が必要な場合には、糸
払い片82hの揺動を押え上げ機構80に連動させて行
い、機構の簡易化及び駆動電流の省力化を図るように構
成したもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糸払い片(ワイパー)
の揺動によって糸払い動作を行わせるように構成したミ
シンの糸払い装置に関する。
【0002】
【従来の技術】種々のミシンにおいて、縫製動作を終了
して糸切りを行った後に、糸払い片を揺動させて糸払い
動作を行わせる構成がしばしは採用されている。上記糸
払い片は、一般的には布押えを上下動させる押え上げ機
構と連動するようにリンク連結されており、押え上げ機
構の駆動手段が作動されることによって布押えが上下動
されるときに、糸払い片が揺動するように構成されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な従来の押え上げ機構と連動した構成の糸払い装置にお
いては、糸払い動作を行わせる場合に必ず押え上げ機構
を作動させねばならず、そのため縫製モードによって
は、布押えが無意味な動作を行うことがある。そしてそ
の分、縫製作業の能率を低下させてしまう場合があり、
従来から問題になっている。
【0004】例えば、本縫ボタン付ミシンにより、図1
4のような4つ穴ボタン1の縫製を行う場合には、図1
4(a)のように、縫い始めから縫い終わるまでの1サ
イクル中に糸切を行うことなく、渡り糸2を介して4つ
の穴3,3及び4,4を連続して縫い付ける4つ穴渡り
糸有り縫製モードと、図14(b)のように、縫い始め
から縫い終わるまでの1サイクルを半分割し、前半の2
つの穴3,3に対する半分割サイクルの縫製を終了した
時点で一旦糸切を行い、さらに後半の2つの穴4,4に
対する半分割サイクルの縫製を行った後に再び糸切を行
うようにした4つ穴渡り糸無し縫製モードとがある。
【0005】ところが上述した図14(b)のような4
つ穴渡り糸無し縫製モードを行う場合には、従来の糸払
い装置では、1回目の糸切を行った後に糸払い動作を行
わせるために、本来は不要な布押えの上げ動作を行わせ
なければならず、その分、縫製作業に時間を要してい
る。なおこの場合において、布押えを上下動させる押え
上げ機構と、糸払い片の作動機構とを完全に分離して構
成することも考えられるが、そのような構成では、機構
の複雑化を招来するとともに、両方の機構を同時にソレ
ノイド等で駆動させねばならない場合に、大きな駆動電
流を要することとなり、電気制御システム上高価なもの
となってしまう。
【0006】そこで本発明は、簡易な構成で、布押えに
無意味な動作を行わせることなく、しかも種々の縫製モ
ードを効率的に実行することができるようにしたミシン
の糸払い装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、布押えを上下動させる押え上げ機構と、この
押え上げ機構に所定のリンク機構を介して連結され、押
え上げ機構に連動して糸払い動作を行う糸払い片と、を
備えたミシンの糸払い装置において、上記押え上げ機構
からの連動動作とは別個に、前記糸払い片に独立して払
い動作を行わせる糸払い駆動手段と、前記押え上げ機構
に連動して糸払い片を作動させる第1縫製モードと、上
記糸払い駆動手段によって糸払い片を作動させる第2縫
製モードと、を選択して実行させるモード判定制御手段
と、を有する構成になされている。
【0008】
【作用】このような構成を有する装置においては、糸切
を行った後に糸払い動作を行わせる際に、布押えの上げ
動作が不要である場合には、糸払い駆動手段によって押
え上げ機構の動作とは別個に糸払い片が作動されるとと
もに、糸払い動作と布押えの上げ動作との双方が必要で
ある場合には、押え上げ機構の動作に連動して糸払い片
の作動が行われるようになっている。
【0009】
【実施例】以下、本発明を本縫いボタン付サイクルミシ
ンに適用した実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
まず図1に示されているように、操作台11上に取り付
けられたミシン本体12には、駆動モータ13からの駆
動力が伝達されている。この駆動モータ13は、ミシン
制御装置(モータミシンコントローラー)14によって
電気的に制御されるサーボモータあるいはエレクトロモ
ータ等からなり、一定針数又はセンサからの検知信号に
よって停止制御が行われている。従って前記ミシン本体
12には、増減速装置や遮断フレーム等が省略されてい
る。また上記駆動モータ13によるミシン本体12の起
動・停止は、足踏ペダル15からの指令により行われる
ように構成されている。また図中符号16は、後述する
4つ穴縫製モードにおける渡り糸の有り・無しの各モー
ドを切替設定するめの渡り糸有無スイッチを示してい
る。
【0010】ついで図2及び図3に示されているよう
に、前記ミシン本体12には、ミシン上部において略水
平に延在するように主軸21が配置されており、この主
軸21の一端部には、駆動プーリ22が一体的に回転す
るようにネジ止め固定されている。上述した駆動モータ
13は、上記駆動プーリ22の直下位置に配置されてお
り、当該駆動モータ13の出力軸と、上記駆動プーリ2
2との間には、Vベルト等からなる伝達ベルト23が掛
け渡されている。
【0011】上記主軸21の反対側の端部には、所定の
クランク伝達機構24を介して針棒25が取り付けられ
ており、上記針棒25の下端部に装着された縫針26
が、針板直下位置に配置された回転釜27に対して近接
・離間するように構成されている。また上記回転釜27
に連結されている下軸28には、前記主軸21からの駆
動力が、所定のクランク伝達機構29を介して伝達され
るように構成されている。
【0012】さらに上記主軸21の途中部分には、ウォ
ーム歯車機構31を介してカム軸32が略鉛直に配置さ
れており、そのカム軸32の下端部に、布送りカム33
及び糸切制御カム34が上下に重ね合わせるようにして
固定されている。上記ウォーム歯車機構31は、縫い始
めから縫い終わるまでの1サイクルに対応する所定の針
数で上記カム軸32が1回転する減速比を有している。
また上記布送りカム33は、ボタン及び被縫製物を把持
する布送り機構(後述)を、直交するX,Yの2方向に
往復移動させるものであるとともに、前記糸切制御カム
34は、以下述べるような糸切機構を作動させるもので
ある。
【0013】前記主軸21には、所定の外周形状に形成
された糸切カム35がネジ止め固定されているととも
に、この糸切カム35の近傍には、糸切制御機構を構成
する糸切カム腕36が、ピン37にてミシンアームの機
枠に揺動自在に設けられている。上記糸切カム腕36
は、前記ピン37から放射状に延出する3体のアーム3
6A,36B,36Cを有している。そのうち糸切カム
35に向かって斜め上方に延出する第1アーム36Aの
先端部には、コロ36aが回転自在に設けられており、
当該コロ36aが、糸切カム35のカム面に圧接可能な
位置に配置されている。糸切カム35の外周面には、糸
切カム腕36に所定の糸切動作を与えるカム面が形成さ
れている。
【0014】また前記糸切カム腕36の残りの2つの第
2アーム36B及び第3アーム36Cは、上記ピン37
から左右両側に向かって延在しており、糸切カム35の
略直下位置に延在する第2アーム36Bの先端に、コロ
36bが回転自在に設けられている。このコロ36bに
は、後述するカム腕返し腕38の揺動端部分が圧接・離
間するように構成されている。さらに他の1体の第3ア
ーム36Cは、糸切カム35から離れる後方に向かって
延出しており、その第3アーム36Cの先端部に、コロ
36cが回転自在に設けられているとともに、糸切連結
ロッド39の上端部が回転自在に取り付けられている。
【0015】上記糸切連結ロッド39は、糸切カム腕3
6から下方側に垂下するように延出しており、その下端
部が、略「L」字形状をなす糸切リンク41に回転可能
に連結されている。この糸切リンク41は、前記主軸2
1と直交する方向に延在するようにして機枠に回転自在
に支持された軸42に固定されており、当該糸切リンク
41の一端部に、上記糸切連結ロッド39を上方側に押
し上げるように引張バネ43がフレームとの間に張架さ
れている。また上記糸切リンク41の他端部には、図示
を省略した糸切機構側に向かって延びる糸切連結ロッド
44が回転可能に連結されている。すなわち上述した糸
切カム35、糸切カム腕36及び糸切連結ロッド39を
通して伝達されてきた糸切動作が、糸切リンク41によ
って糸切機構に伝達されるように構成されている。
【0016】上記カム腕返し腕38は、前述した糸切制
御カム34により揺動される正面略「く」字状の板部材
からなり、上記糸切カム35のカム面に糸切カム腕36
を当接・離間させるようにピン40により回動可能に取
り付けられている。このカム腕返し腕38の一端側(上
端側)は、上述したように糸切カム腕36のコロ36b
に圧接・離間するように配置されており、当該カム腕返
し腕38の他端側に接続されている引張バネ45の上方
引張力によって、糸切カム腕36のコロ36bから離間
するように付勢されている。またこのカム腕返し腕38
の他端側(下端側)には、連結リンク46の上端部が連
結されており、この連結リンク46の下端部が、水平軸
47の一端側に固定された糸切制御腕48Bの揺動端に
連結されている。さらに上記水平軸47の他端側には、
糸切制御腕48Aが固定されており、この糸切制御腕4
8Aの揺動端に、連結リンク50を介して糸切制御レバ
ー51が連結されている。
【0017】上記糸切制御レバー51は、垂直軸52に
よって略水平面内で揺動可能に軸支されており、当該糸
切制御レバー51の平面略「く」の字状に形成された一
端側が、上述したカム腕返し腕38側の連結リンク50
に連結されている。またこの糸切制御レバー51の他端
側に回転自在に設けられているコロ53は、前述した引
張バネ45の上方側引張付勢力によって、前記糸切制御
カム34の外周カム面上に圧接されるように構成されて
いる。
【0018】糸切制御カム34は、略水平に軸支されて
おり、前述したように主軸21と連動して1サイクルの
縫製動作の間に1回転される。この糸切制御カム34の
外周カム面は、非動作面34aと、この非動作面34a
の一部に凹設された2体の動作面34b,34bとを有
している。上記各動作面34b,34bは、凹溝状をな
すように形成されており、前記回転軸32を中心として
略点対称の位置に配置されている。そして後述するよう
に、動作面34b内に前記糸切制御レバー51のコロ5
3が落とし込まれた場合には、糸切制御機構における糸
切カム腕36のコロ36aが糸切カム35の外周カム面
に圧接され、また糸切制御レバー51のコロ53が、糸
切制御カム34の非動作面34a上に維持されたときに
は、糸切カム腕36のコロ36aが糸切カム35のカム
面から離間されるように構成されている。
【0019】さらに前記糸切カム腕36の第3アーム3
6Cの上方には、糸切禁止手段を構成する糸切補助カム
55が回動可能に設けられている。この糸切補助カム5
5は、略扇形状の外周カム面を有しており、その扇形状
の外周カム面が前記糸切カム腕36のコロ36cに対し
て当接・離間するように構成されている。またこの糸切
補助カム55の回転中心からは、作動アーム55aが、
糸切カム35から離れる方向に延出しており、その作動
アーム55aの途中部分に引っ掛けられた引張バネ56
の下方向引張力によって、糸切補助カム55のカム面
が、糸切カム腕36のコロ36cから離間するように付
勢されている。
【0020】さらにまた上記作動アーム55aの延出端
には、糸切禁止手段としての糸切禁止ソレノイド57の
出力軸が、下方側から連結されている。この糸切禁止ソ
レノイド57の出力軸は、当該糸切禁止ソレノイド57
のオン時に上方側に突出し、前記引張バネ56の付勢力
に抗して糸切補助カム55を回動させるように設けられ
ている。そしてこの糸切禁止ソレノイド57の動作によ
って糸切補助カム55のカム面が、糸切カム腕36のコ
ロ36c上に圧接し、そのとき糸切カム腕36の第1ア
ーム36Aに設けられたコロ36aが、糸切カム35の
カム面から離間した状態に保持されるようになってい
る。
【0021】次に、押え上げ機構と、糸払い機構とを説
明する。図4に示されているように、押え上げ機構80
によって上下動される布押え81の押え腕81aは、そ
の奥側の基部81bが、押え腕81aを上下方向に開閉
回動可能とするように取り付けられているとともに、上
記押え腕81aの先端部には、送り板81dとともに被
縫製物を挟持する一対の布押え足81cが装着されてい
る。この布押え足81cは、上記押え腕81aとともに
上下方向に回動されるように構成されている。また上記
布押え81の押え腕81aの上面側には、連結作動板8
1dが上方に突出するように取り付けられており、この
連結作動板81dに、以下述べる押え上げ機構80から
の回動力が、上下の開閉力として付与されるようになっ
ている。
【0022】上記押え上げ機構80においては、ソレノ
イドあるいはモータ等からなる押え上げ駆動手段80a
の出力軸80bが、所定の鉛直リンク板80cを介して
略L字形状の押え上げレバー80dの一端部に連結され
ているとともに、上記押え上げレバー80dの上側に延
出する他端部には、水平リンク板80eの一端部が連結
されている。上記押え上げレバー80dは、ミシンアー
ムの機枠に固定された支軸80fによって揺動自在に保
持されており、前記押え上げ駆動手段80aの下方側引
張出力に抗するコイルバネ80gの一端部が掛け止めら
れることによって、当該押え上げレバー80dが上方側
に向かって跳ね上げられるように付勢されている。
【0023】さらに上記水平リンク板80eの先端部
は、第1押上腕80hの図示下側揺動端に連結されてい
る。この第1押上腕80hのボス部は、ミシンアームの
機枠に回転自在に保持された回転軸80jに固定されて
おり、その回転軸80jの回動に伴って揺動するように
構成されている。さらに上記回転軸80jには、第2押
上腕80kが固定されている。この第2押上腕80kの
図示下側揺動端には、ピン80mが突設されており、こ
のピン80mが、上述した布押え81における連結作動
板81dの縁部に当接して係合している。そして上記第
2押上腕80kの揺動によって、布押え81の連結作動
板81dを通して布押え81が上方に開放されるように
なっている。
【0024】一方、前記第1押上腕80hの揺動端側に
は、糸払い機構82を構成するように略水平方向に延在
する上リンク82aの一端部が回転自在に連結されてい
る。この上リンク82aの他端部は、第1ワイパ腕82
bの揺動アーム側に回転自在に連結されている。図5に
も示されているように、上記第1ワイパ腕82bの基部
側は、ミシンアームの機枠に固定された支軸82cに回
転自在に取り付けられている。またこの第1ワイパ腕8
2bの基部からは、上係合片82dが略水平方向に延出
している。この上係合片82dは、鍵型状をなすように
折曲形成されており、上記上リンク82aが連結された
揺動アーム側と、略直交するL字状をなしている。この
とき上記第1ワイパ腕82bの揺動アーム側は、前述し
た押え上げ機構80のコイルバネ80gの付勢力によっ
て、図5矢印B方向に引っ張られており、従って前記上
係合片82dは、図示下側の矢印C方向に向かって押し
下げられている。
【0025】さらに上記支軸82cには、第2ワイパ腕
82eの基部側が回転自在に取り付けられている。この
第2ワイパ腕82eは、略水平方向に配置されており、
上記第1ワイパ腕82bの揺動アーム側と略直交するよ
うに配置されている。そしてこの第2ワイパ腕82eの
図5右側に延出する揺動アームの先端部には、リンク板
82fの一端部が回転自在に連結されている。また上記
第2ワイパ腕82eの揺動アームと反対側に向かって略
水平方向に延在する下係合片82gは、前記第1ワイパ
腕82bの上係合片82dの直下位置に配置されてお
り、当該第1ワイパ腕82bの上係合片82dの鍵型状
先端部が、第2ワイパ腕82eの下係合片82gに対し
て上側から圧接されている。従って第1ワイパ腕82b
の上係合片82dの押し下げ力(矢印C)により、第2
ワイパ腕82eの下係合片82gも図示下方側に押し下
げられ、これによって第2ワイパ腕82eの揺動アーム
に、矢印D方向の押し上げ付勢力が付与されるようにな
っている。
【0026】さらにまた上記第2ワイパ腕82eの揺動
アーム側に連結されたリンク板82fは、略鉛直方向に
延在されており、このリンク板82fの下端部が、糸払
い片(ワイパ)82hにおける基部側アーム部82jに
対して回転自在に連結されている。上記糸払い片82h
は、ミシンアームの機枠にネジ固定された取付板82k
に対して回転自在に装着されており、上記基部側アーム
部82j側から下方に向かって垂下するように配置され
た揺動アームの先端部分が揺動することによって、所定
の糸払い動作が行われるように構成されている。このよ
うに上記糸払い片82hには、前述した押え上げ機構8
0と連動する糸払い機構82が付設されている。
【0027】また上記糸払い片82hには、上述した押
え上げ機構80の動作とは別個に糸払い片82hを独立
して作動させる糸払い駆動手段83が付設されている。
この糸払い駆動手段83は、ロータリーソレノイド83
aを備えており、このロータリーソレノイド83aの回
転出力軸83bに固定された駆動アーム83cの揺動端
が、リンク板83dを介して上記糸払い片82hの揺動
アームの途中部分に回転自在に連結されている。すなわ
ち上記ロータリーソレノイド83aの回転駆動によっ
て、糸払い片82hが独立して糸払い揺動動作を行うよ
うに構成されている。
【0028】次に、上述した構成を有するボタン付サイ
クルミシンに用いられている糸切制御装置における制御
系の一例を説明する。前述したミシン制御装置(モータ
ミシンコントローラー)14は、図9に示されているよ
うに、演算処理装置(CPU)61を有しており、この
演算処理装置61に対して、リードオンリメモリ(RO
M)62及びランダムアクセスメモリ(RAM)63及
び入出力装置(I/O)等が接続されている。また上記
演算処理装置61に設けられているモータ制御手段64
の入力側には、ミシン駆動モータ13の回転速度を検出
するようにモータ回転軸に取り付けられたモータ速度検
出器(エンコーダ)65からの検出信号が印加されてい
るとともに、演算処理装置61に設けられているミシン
制御手段66の入力側には、縫針26の位置を検出する
ようにプーリ内に内蔵されたミシン針位置検出器67か
らの検出信号、縫い始めのタイミングを知らせるサイク
ル原点検出器68からの原点信号、足踏ペダル15から
の指令を知らせるペダルセンサ69からの操作信号、及
び渡り糸有無スイッチ16からの設定信号等が印加され
ている。
【0029】上記ミシン制御手段66には、上述した各
入力信号に基づいて縫製モードを選択するモード判定手
段66aが設けられており、このモード判定手段66a
により選択された4つ穴渡り糸有り縫製モード(第1縫
製モード)や、4つ穴渡り糸無し縫製モード(第2縫製
モード)等の各縫製モード指令が、ミシン制御手段66
に出力されるように構成されている。一方モータ制御手
段64の出力側には、ミシンモータドライバ回路71を
介してミシン駆動モータ13が接続されているととも
に、前記ミシン制御手段66の出力側には、ワイパーソ
レノイドドライバー回路74を通して、前述したワイパ
ーソレノイド83aが接続されているとともに、布押え
ソレノイドドライバ回路72を介して、押え上げ駆動手
段としての例えば布押えソレノイド80aが接続されて
いる。
【0030】このような構成を有する実施例装置におい
ては、まず図10に示されているように、電源の投入の
直後にシステムの初期化が行われ(ステップ1)、つい
で渡り糸有無スイッチ16がオンになっているか否かが
チェックされる(ステップ2)。渡り糸有無スイッチ1
6がオン状態になっている場合(Yes) は、4つ穴渡り糸
無し縫製モードがセットされ(ステップ3)、渡り糸有
無スイッチ16がオフ状態になっている場合(No)は、4
つ穴渡り糸無し縫製モードがクリアされる(ステップ
4)。このとき布送りカム33のスタート位置がサイク
ルの原点にあるか否かがチェックされ(ステップ5)、
サイクル原点でない場合はエラー処理が行われる(ステ
ップ6)。そして足踏ペダル15が踏み込まれているか
否かがペダルセンサ69のオン・オフでチェックされ
(ステップ7)、足踏ペダル15が踏み込まれてペダル
センサ69がオンしている場合には、布押え81が下降
された後に(ステップ8)、以下述べるようなサイクル
運転が実行され(ステップ9)、縫製終了時に布押え8
1が再び上昇される(ステップ10)。
【0031】上記ステップ9のサイクル運転において
は、図11に示されているように、まずRAM63内の
針数カウンタがクリアーされた後に(ステップ11)、
モータ回転指令が演算処理装置61におけるモータ制御
手段64に出力される(ステップ12)。モータ制御手
段64では、ミシン制御手段66からの指令を受けとっ
て指令の内容が判別され、モータ速度検出器(エンコー
ダ)65からの検出信号が指令信号と一致するようにモ
ータドライバ回路71にモータ駆動信号が与えられる。
これによりミシン駆動モータ13が回転されて主軸21
の回転駆動が行われる。
【0032】そして上記主軸21の回転駆動時には、ミ
シン針位置検出器67によって縫針26の上端位置が1
回転毎に検出され(ステップ13)、図12(b)及び
図13(b)に示されているようなパルス状の針上信号
が得られる。そしてこのミシン針位置検出器67からの
針上信号が立ち上がる度に、針数カウンタがカウントア
ップされる(図11のステップ14)。このとき4つ穴
渡り糸無し縫製モードのチェックにより(図11のステ
ップ15)、4つ穴渡り糸無し縫製モードでなく「4つ
穴渡り糸有り縫製モード」と判断された場合、すなわち
縫い始めから縫い終わるまでの1サイクルを糸切動作無
しで連続縫製する場合(図12の場合)には、まず糸切
禁止ソレノイド57が、図7(a)のような非動作状態
に維持される。そして運転開始時には、図7(b)のよ
うに糸切制御レバー51のコロ53が糸切制御カム34
の非動作面34a上にあるため、カム腕返し腕38が、
図7(a)のように糸切カム腕36のコロ36bに圧接
された状態が維持され、これによって糸切カム腕36の
コロ36aが、糸切カム35のカム面から離間させる位
置に保持される。従って糸切カム35からの糸切情報が
伝達されることなく縫製が開始される。
【0033】そして前半の半分割サイクルを終了する直
前の所定タイミング、例えば針数カウンタが(n/2)
−3(nはサイクル針数)になったところで(図11の
ステップ16)、糸切禁止ソレノイド57が図8のよう
に動作状態に切り替えられる(図11のステップ1
7)。これにより糸切補助カム55が糸切カム腕36の
コロ36cに圧接するように回動し、当該糸切補助カム
55の拘束力によって糸切カム腕36のコロ36aは、
糸切カム35のカム面から離間された位置に保持され
る。従って図7(b)のように糸切制御カム34の非動
作面34a上にあった糸切制御レバー51のコロ53
が、図6(b)のように糸切制御カム34の動作面34
b内に落ち込むように移動し、カム腕返し腕38が、図
7(a)の位置である糸切カム35のカム面上から糸切
カム腕36を離間させている位置から図6(a)の位置
である糸切カム35のカム面上に糸切カム腕36を当接
させる位置に移動しても、図8のように糸切カム腕36
のコロ36aは、糸切カム35のカム面から離間された
位置に保持される。従って糸切カム35からの糸切情報
が伝達されることなく縫製が継続され、半分割サイクル
終了ポイントでの糸切動作が回避される。
【0034】その後所定のタイミング、例えば針数カウ
ンタが(n/2)+2となったところで(図11のステ
ップ18)、糸切禁止ソレノイド57は再び図7(a)
のような非動作状態に切り替えられるが(図11のステ
ップ19)、このときには糸切制御レバー51のコロ5
3が糸切制御カム34の非動作面34a上に圧接してい
るため、カム腕返し腕38は、図7(a)のように糸切
カム35のカム面から糸切カム腕36を離間させる位置
に維持される。従って糸切カム35からの糸切情報が伝
達されることなく、図12(a)のように糸切を行うこ
とのない縫製が1サイクルにわたって継続される。
【0035】そしてさらに縫製が継続されて、針数カウ
ンタがチェックされ(図11のステップ23)、針数カ
ウンタがサイクル針数nと一致した場合には、ミシン駆
動モータ13に停止指令が出されて(図11のステップ
24)モータ停止が行われる(図12(a)参照)。こ
のときにも糸切禁止ソレノイド57は非動作状態のまま
に維持され、糸切カム腕36に対する糸切補助カム55
の拘束力が解除されている。従って図7(b)のよう
に、糸切制御カム34の非動作面34a上にあった糸切
制御レバー51が、図6(b)のように糸切制御カム3
4の動作面34b内に落ち込むように移動したときに、
カム腕返し腕38が、図7(a)の位置すなわち糸切カ
ム35のカム面上から糸切カム腕36を離間させている
位置から図6(a)の位置すなわち糸切カム35のカム
面上に糸切カム腕36を当接させる位置に移動し、その
結果、糸切カム35のカム面に沿って糸切カム腕36が
所定の揺動動作を行い、1サイクルの最終針が抜けるタ
イミングで糸切動作が行われる。
【0036】そしてこのような糸切動作が行われた後
に、押え上げソレノイド80aが作動され、押え上げ機
構80を通して布押え81が上方に開放される。そして
この押え上げ機構80の動作に連動して、糸払い片82
hが揺動され、これにより糸切後の糸払い動作が実行さ
れる。このように糸払い片82hの揺動を、押え上げ機
構80に連動させて行えば、全体の機構が簡易化される
とともに、比較的小さな駆動電流により双方の動作が行
われるようになっている。
【0037】一方、図11のステップ15で「4つ穴渡
り糸無し縫製モード」と判断された場合(Yesの場合) に
は、縫い始めから縫い終わるまでの1サイクルを半分割
し、前半の半分割サイクルを終了した時点で糸切が行わ
れ縫製を一旦終了する。この場合には、針数カウンタが
n/2となり、2つの穴の縫製を終えた時点で(図11
のステップ20)、ミシン駆動モータ13に対し一旦停
止の指令が出され(図11のステップ21)縫製動作が
一旦終了される(図13(a)参照)。このとき糸切禁
止ソレノイド57は非動作状態のままに維持され、糸切
カム腕36に対する糸切補助カム55の拘束力が解除さ
れている。従って図7(b)のように、糸切制御カム3
4の非動作面34a上にあった糸切制御レバー51が、
図6(b)のように糸切制御カム34の動作面34b内
に落ち込むように移動したときに、カム腕返し腕38
が、図7(a)に示された位置すなわち糸切カム35の
カム面上から糸切カム腕36を離間させている位置か
ら、図6(a)の位置すなわち糸切カム35のカム面上
に糸切カム腕36を当接させる位置に移動し、その結
果、糸切カム35のカム面に沿って糸切カム腕36が所
定の揺動動作を行い、針が抜けるタイミングで可動刃と
固定刃との協働により糸切動作が行われる。
【0038】そしてこの糸切動作に続いて、糸払い駆動
手段83のワイパーソレノイド83aがオンされ(図1
1のステップ22)、これによって糸払い片82hが揺
動されて糸切後の糸払い動作が実行される。このとき押
え上げ機構80の押え上げソレノイド80aはオフ状態
に維持されており、従って押え上げ機構80が非作動状
態に維持されて布押え81は閉位置のままに保持されて
いる。これは、この後に続けて他の残りの2つのボタン
穴の縫製を実行するからであって、布押え81を開放し
て被縫製物を取り出す必要がないからである。このよう
にすれば、本来的に不要な布押え81の上げ動作が省略
され、縫製動作が能率的に行われることとなる。
【0039】そしてさらに残りの2つのボタン穴の縫製
が継続され、針数カウンタがチェックされ(図11のス
テップ23)、針数カウンタがサイクル針数nと一致し
た場合には、ミシン駆動モータ13に停止指令が出され
て(図11のステップ24)再びモータ停止が行われる
(図13(a)参照)。このときにも上述したと同様な
糸切動作及び糸払い動作が実行される。すなわち所定の
糸切動作が行われた後に、押え上げ機構80の押え上げ
ソレノイド80aが作動され、押え上げ機構80を通し
て布押え81が上方に開放されると、この押え上げ機構
80の動作に連動して、糸払い片82hが揺動され、こ
れにより糸切後の糸払い動作が実行される。このように
糸払い片82hの揺動を、押え上げ機構80に連動させ
て行えば、全体の機構が簡易化されるとともに、比較的
小さな駆動電流により所定の動作が行われる。
【0040】このように本実施例装置では、「4つ穴渡
り糸無し縫製モード」のように、前半の2つ穴の縫製を
終了して糸切を行った後に糸払い動作を行わせる際に、
布押え81の上げ動作が不要である場合には、糸払い駆
動手段としてのワイパーソレノイド83aによって、押
え上げ機構80の動作とは別個・独立に糸払い片82h
に糸払い動作を行わせ、糸払い動作と布押えの上げ動作
との双方が必要である場合には、押え上げ機構80の動
作に連動して糸払い片82hに糸払い動作を行わせるよ
うにしている。従って本来的に不要な布押え81の上げ
動作が省略され、縫製動作が能率的に行われると同時
に、布押え81の上げ動作が必要な場合には、糸払い片
82hの揺動を押え上げ機構80に連動させて行うこと
によって、機構の簡易化及び駆動電流の省力化が図れる
ようになっている。
【0041】以上本発明者によってなされた発明を実施
例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で
種々変形可能であるというのはいうまでもない。例えば
上記実施例では、「4つ穴渡り糸無し縫製モード」と
「4つ穴渡り糸有り縫製モード」との判別を行っている
が、本発明では、種々の穴数のボタン縫製モードの判別
が同様に可能であり、さらに本発明は、サイクルミシン
に限定されることなく、種々の構成を有するミシンに適
用可能である。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように本発明におけるミシン
の糸払い装置は、糸払い動作を行わせる際に、布押えの
上げ動作が不要である縫製モードの場合には、糸払い駆
動手段によって、押え上げ機構の動作とは別個・独立に
糸払い片に糸払い動作を行わせるとともに、糸払い動作
と布押えの上げ動作との双方が必要である場合には、押
え上げ機構の動作に連動して糸払い片を作動させて糸払
い動作を行うように構成しているので、本来的に不要な
布押えの上げ動作を省略して縫製動作を能率的に行うと
ともに、布押えの上げ動作が必要な場合には、糸払い片
の揺動を押え上げ機構に連動させて行い、機構の簡易化
及び駆動電流の省力化を図ることができ、簡易な構成
で、布押えに無意味な動作を行わせることなく、種々の
縫製モードを効率的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるボタン付けサイクル
ミシンの全体構造を表した外観斜視説明図である。
【図2】図1に表されたミシン本体の内部構造を表した
要部斜視説明図である。
【図3】図2に表されたミシン本体の内部構造を表した
A矢視説明図である。
【図4】図1に表されたミシン本体に装備された押え上
げ機構及び糸払い機構を表した要部斜視説明図である。
【図5】図4に表されたミシン本体の内部構造を表した
A’矢視説明図である。
【図6】糸切機構の構造を表した説明図であり、(a)
は糸切カム機構の正面説明図、(b)は糸切制御カム機
構の平面説明図である。
【図7】糸切機構の構造の移動状態を表した説明図であ
り、(a)は糸切カム機構の正面説明図、(b)は制御
カム機構の平面説明図である。
【図8】糸切機構に対する糸切禁止アクチュエーターの
作用状態を表した正面説明図である。
【図9】本発明にかかるミシンの糸払い装置の制御系の
一例を表したブロック線図である。
【図10】本発明にかかるミシンの糸払い装置の制御手
順の一例における概要を表したフロー図である。
【図11】本発明にかかるミシンの糸払い装置の制御手
順の一例におけるサイクル縫製動作を表したフロー図で
ある。
【図12】本発明にかかるミシンの糸払い装置の制御手
順の一例における4つ穴渡り糸有り縫製モードを表した
タイミング図である。
【図13】本発明にかかるミシンの糸払い装置の制御手
順の一例における4つ穴渡り糸無しモードを表したタイ
ミング図である。
【図14】4つ穴ボタンを表したものであって、(a)
は4つ穴渡り糸有り縫製モードによる縫付状態を表した
平面説明図、(b)は4つ穴渡り糸無しモードによる縫
付状態を表した平面説明図である。
【符号の説明】
13 ミシン駆動モータ 14 ミシン制御装置(モータミシンコントローラー) 15 足踏ペダル 16 渡り糸有無スイッチ 21 主軸 35 糸切カム 57 糸切禁止ソレノイド 80 押え上げ機構 81 布押え 82h 糸払い片(ワイパー) 83a ワイパーソレノイド(糸払い駆動手段)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 布押えを上下動させる押え上げ機構と、 この押え上げ機構に所定のリンク機構を介して連結さ
    れ、押え上げ機構に連動して糸払い動作を行う糸払い片
    と、を備えたミシンの糸払い装置において、 上記押え上げ機構からの連動動作とは別個に、前記糸払
    い片に独立して払い動作を行わせる糸払い駆動手段と、 前記押え上げ機構に連動して糸払い片を作動させる第1
    縫製モードと、上記糸払い駆動手段によって糸払い片を
    作動させる第2縫製モードと、を選択して実行させるモ
    ード判定制御手段と、を有することを特徴とするミシン
    の糸払い装置。
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