JP2961359B2 - 刺繍ミシンにおける上糸切断装置 - Google Patents
刺繍ミシンにおける上糸切断装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は刺繍ミシンにおい
て、刺繍縫いをする場所の変更あるいは刺繍縫い用の上
糸の色の変更などの為に上糸を切断するようにした刺繍
ミシンにおける上糸切断装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の上糸切断装置において、下糸の誤
切断を防ぐ為に下糸を払い退ける為の部材や、釜の作用
で形成された上糸のループを引掛らせる為の部材や、そ
の部材に引掛った上糸を切断する為の可動刃を備えた装
置が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし上記の可動刃を
備える装置は構造が複雑で、価格が高くなるその上に、
可動刃の駆動部の故障も多いという問題点があった。こ
の発明は上記従来の問題点を除き、下糸の誤切断をなく
すると共に、上糸のみを正確に切断できると共に、構成
簡易で、安価な提供及び故障の発生の機会の低減を可能
にできるようにした刺繍ミシンにおける上糸切断装置を
提供しようとするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本願発明の刺繍ミシンに
おける上糸切断装置は、針通し孔を有する針板の下方に
は釜を備える一方、上記針板の上方には、上記針通し孔
を通して上記釜に向け下降し得るようにした上下動自在
の針を備えて、上記釜を回動させると共に上記針を上下
動させることによって、針を通して繰り出されかつ釜の
回動によって釜をくぐる上糸と、釜から繰り出される下
糸とにより布に刺繍縫いを施すようにしてある刺繍ミシ
ンにおいて、引掛杆と、該引掛杆に掛かった上糸が引掛
杆から外れることを阻止する為にその先端部に付設され
た爪とから成る引掛片を、上記釜の近傍に配設すると共
に、その引掛片は、釜をくぐろうとする上糸の一部が釜
の前面側を通る時点の前に、釜の前面に位置する釜止め
の下方位置に前進させて、上記上糸の一部が釜の前面側
を通ることによりその上糸を釜の前面近接位置にて該引
掛片の引掛杆に引掛からせ、上記上糸の一部が釜の前面
側を通る時点を経過した後に上記釜の前面近接位置から
後退を可能に進退自在にしてあり、更にその後退する過
程で、引掛片に引掛った上糸が引き張られた状態で移動
して切刃で切断されるように、上記引掛片で引き張られ
る上糸の移動予定位置に切刃が固定的に備えさせたので
ある。 【0005】上記構成にあっては、釜の回動により釜を
くぐろうとする上糸の一部が釜の前面側を通る時点の前
に引掛片が釜前面に位置する釜止めの下方の糸通過位置
へ前進する。その後上記上糸の一部が釜の前面側を通ろ
うとすることにより、上糸が引掛片に引掛る。その後引
掛片は上記の位置から後退する。その場合、引掛片先端
部の爪が上糸を引いて移動する。その移動の過程で引掛
片に引掛った上糸が引き張られて切刃で切断されるよう
に、上記引き張られる上糸の移動予定位置に切刃が固定
的に備えさせてあるので、上糸は勝手に切刃に近づいて
切断される。 【0006】 【発明の実施の形態】以下本願の実施例を示す図面につ
いて説明する。図1乃至図5は、上糸bと、引掛片11
との動作関連を説明する為の図で、これらにおいて、F
は刺繍ミシンの基枠、1は針通し孔1aを有する針板、
2は針板1の下方に位置されている釜で、軸50によっ
て回転されるようにしてある外釜3と、外釜3内に収容
されかつ固定的な釜止め4によって回り止めされている
内釜5とで周知のように構成されている。なお、上記内
釜5内には下糸用ボビンのボビンケース6が収納されて
いる。6aは糸ガイドを示す。7は針板1の上方に配設
されている針で、周知のように針通し孔1aを通して下
降し得るように上下動自在に構成されている。次に、8
はフレームFに止着した取付板、9は取付板8に取付け
たロータリーソレノイドで、図示外の制御装置からの指
令により、釜2や針7と関連して作動するようになって
いる。10はロータリーソレノイド9の回動軸9aに止
着されている揺動腕、11は引掛片で、その元部12を
揺動腕10に止着してある。11aは引掛片における引
掛杆で、図示される如く細幅に形成されている。13は
引掛杆11aの先端に付設した爪で、引掛杆11aに掛
かった上糸がそれから外れることを防止する為のもので
ある。上記引掛片11は、上記回動軸9aの往復回動に
より図1に示される如く釜2から離間した状態となる退
避位置と、図2や図3に示される如く爪13が釜2内に
進入した状態となる引掛位置との間において移動自在と
なっており、ロータリーソレノイド9は引掛片11を上
記の両位置の間で進退動させる為の駆動手段を構成して
いる。尚その駆動手段は正逆回動可能なモータであって
もよい。上記引掛片11の引掛位置は、図3に明示され
るように上方から見て爪13が釜2の内部に没入する位
置に定めてある。 【0007】上記構成のものにあっては、上糸bを針7
の孔に通し、下糸aのボビンをボビンケース6にセット
して刺繍ミシンを運転させると、針7が針通し孔1aを
通して昇降すると共に外釜3が回転することによって布
16に周知のように刺繍縫い17を施すことができる。
この通常の縫製中においてはソレノイド9には作動指令
が与えられず、引掛片11は図1の退避位置に位置した
ままの状態となっている。次に、一つの模様の刺繍縫い
を終えた後他の模様の刺繍縫いに移るとき等に上糸bを
切断する場合には、ソレノイド9に作動指令が与えら
れ、引掛片11が図6に示すようなタイミングで針7や
釜2と関連作動して上糸bの切断がなされる。即ち、サ
イクル角度が0゜の(イ)時点において引掛片11が退
避位置から引掛位置へ移動する。その後外釜3の回動、
針7の上下動、天秤の上下動が通常の如く継続され、サ
イクル角度が205゜となったところで針7によって布
16、針通し孔1aを通して下降されてきた上糸bを外
釜3の剣先3aが引掛ける。その後外釜3の回動の継続
により、剣先3aに引掛った上糸bはループとなって内
釜5をくぐる。その過程において、上記上糸bのループ
のうち釜の前面側を通る部分は、上記ループが最大にな
る前の時点(例えばサイクル角度290゜の時点)にお
いて、引掛杆11aにおける一方の縁11a’に接触す
る。その後、サイクル角度353度の時点になると、上
糸bは内釜5をくぐり抜け終えて、上糸bが剣先3aか
ら外れて上方へ引上げ(天秤により)られる。その結果
上糸bは図3に示されるように引掛杆11aに引掛った
状態となる。次に(ロ)の時点になると引掛片11が引
掛位置から退避位置に向けて後退される。その過程にお
いて、後述する如くして上糸bは切断される。この切断
は図6から明らかなように天秤が上昇する過程即ち上糸
bがぴんと張った状態で行なわれる為、上糸bは確実に
切断される。上記のようにして上糸bの切断が完了する
と釜や針や天秤の作動が停止され、次の場所での刺繍縫
いの為に布16が移動されたり、上糸の色替えが周知の
如く行なわれる。 【0008】次に、前記引掛片11の退避位置から引掛
位置への移動は、図6にAで示すように、通常の縫製の
最後の縫目を形成するときに、上糸が引掛片11に巻き
付かない位置に移動した後の時点(前記上糸のループに
おいて釜の前側を通る部分が引掛片11の引掛位置を通
過した後の時点)から、前記上糸のループにおいて釜の
前面側を通る部分が引掛片11の引掛位置を通過する前
の時点までのいずれの時点で行なってもよい。また引掛
位置から退避位置への移動は、図6にBで示すように、
前記上糸のループにおいて釜の前面側を通る部分が引掛
杆11aにおける一方の縁11a’に接触した時点か
ら、最後の縫目形成から3針おり、引掛杆11aに2重
に上糸bを引掛けない前に引掛片11を引掛位置から遠
去け得る時点までのいずれの時点で行なってもよい。 【0009】次に図7乃至図11は本願の引掛片の異な
る実施例を示すもので、引掛片の先端部の形状を図1乃
至図5の実施例とは異ならしめると共に、切刃を静止部
分に備えさせた例を示すものである。図において、引掛
片11eの先端部は幅広に形成されており、その前側に
は、糸ガイド6aeとの衝突を防ぐ為の欠如部21が形
成してある。また上糸bを切断する為の切刃15eは図
11に明示されるように、引掛片11eの後退によって
引張られる上糸の移動軌跡に沿った位置において釜止め
4eに取付けてある。 【0010】このような構成のものにあっては、引掛片
11eが図9に示される引掛位置から図7及び図8に実
線で示される退避位置に後退する過程で、図11に示さ
れるように上糸bが切刃15eに接触し、切断される。 【0011】上記のように上糸bが切断される場合、引
掛片11eの先端部は上記のように幅広に形成してある
為、上糸bにおいて上記切刃13eにより切断される点
から針までの部分(符号b2で示す)は比較的長く残
る。この為、上糸切断後の針や天秤の上昇寸法が大きく
ても、上糸が針から抜けてしまうことを未然に防止でき
る。なお、機能上前図のものと同一又は均等構成と考え
られる部分には、前図と同一の符号にアルファベットの
eを付して重複する説明を省略した。 【0012】次に図12は前記図7乃至図11の実施例
における引掛片11eの形状の異なる例を示すもので、
引掛片11eにおいて爪13eを備えさせた側とは反対
の側に突部22を備えさせて、引掛片が後退するときに
上糸bが引掛片11eから外れ難いようにした例を示す
ものである。 【0013】次に図13は上糸を切断する為の構造の他
の例を示すもので、引掛片11fの後退の経路に沿わせ
て切刃としての切断要素24を固定的に設け、引掛片1
1fが矢印方向へ後退する過程で、上糸bが爪13fの
角部25と切断要素の切刃の先となる角部26とにによ
って切断されるようにした例を示すものである。 【0014】 【発明の効果】以上のように本発明にあっては、布16
を貫いて釜5に向かって下がってきた上糸bを針板1の
下で切断したい場合、釜5をくぐろうとする上糸bのル
ープの一方が釜5の前面側を通る時点の前に、引掛片1
1を釜の前面に位置する釜止めの下部位置に前進させ
て、上記上糸bのループの一方が釜5の前面側を通るこ
とによりそのループの一方を釜の前面に近接した位置
で、該引掛片11の引掛杆11aに引掛からせ、上記上
糸bのループの一方が釜5の前面側を通る時点を経過し
た後に上記引掛片11を上記釜の前面に近接した位置か
ら後退させて、その後退する過程で、引掛片11に引掛
った上糸bを引き張った状態で切断するものであるか
ら、引掛片11の進退動作の時間は、サイクル角度の内
の大きな範囲内にあり、引掛片11の進退の動作をゆっ
くりと動作させても正確に上糸を引掛けることのできる
特長がある。また、引掛片11は釜の前面に位置する釜
止めの下部位置において前進、後退させるものであるか
ら、下糸aとは遠く離れ、下糸aを誤って切ることも、
また下糸aに影響を及ぼすこともなく、上糸bのみを正
確に切断できる効果がある。 【0015】その上、上記のように単に引掛片11を進
退動させて上糸bに張力を加えるのみだから、その構成
は極めて簡素で良く、即ち、切刃は固定的に備えさせ、
可動を要しないので、その構成は簡易となり、安価な提
供を可能にできると共に、故障の発生の機会も極めて少
なくできる効果がある。
て、刺繍縫いをする場所の変更あるいは刺繍縫い用の上
糸の色の変更などの為に上糸を切断するようにした刺繍
ミシンにおける上糸切断装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の上糸切断装置において、下糸の誤
切断を防ぐ為に下糸を払い退ける為の部材や、釜の作用
で形成された上糸のループを引掛らせる為の部材や、そ
の部材に引掛った上糸を切断する為の可動刃を備えた装
置が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし上記の可動刃を
備える装置は構造が複雑で、価格が高くなるその上に、
可動刃の駆動部の故障も多いという問題点があった。こ
の発明は上記従来の問題点を除き、下糸の誤切断をなく
すると共に、上糸のみを正確に切断できると共に、構成
簡易で、安価な提供及び故障の発生の機会の低減を可能
にできるようにした刺繍ミシンにおける上糸切断装置を
提供しようとするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本願発明の刺繍ミシンに
おける上糸切断装置は、針通し孔を有する針板の下方に
は釜を備える一方、上記針板の上方には、上記針通し孔
を通して上記釜に向け下降し得るようにした上下動自在
の針を備えて、上記釜を回動させると共に上記針を上下
動させることによって、針を通して繰り出されかつ釜の
回動によって釜をくぐる上糸と、釜から繰り出される下
糸とにより布に刺繍縫いを施すようにしてある刺繍ミシ
ンにおいて、引掛杆と、該引掛杆に掛かった上糸が引掛
杆から外れることを阻止する為にその先端部に付設され
た爪とから成る引掛片を、上記釜の近傍に配設すると共
に、その引掛片は、釜をくぐろうとする上糸の一部が釜
の前面側を通る時点の前に、釜の前面に位置する釜止め
の下方位置に前進させて、上記上糸の一部が釜の前面側
を通ることによりその上糸を釜の前面近接位置にて該引
掛片の引掛杆に引掛からせ、上記上糸の一部が釜の前面
側を通る時点を経過した後に上記釜の前面近接位置から
後退を可能に進退自在にしてあり、更にその後退する過
程で、引掛片に引掛った上糸が引き張られた状態で移動
して切刃で切断されるように、上記引掛片で引き張られ
る上糸の移動予定位置に切刃が固定的に備えさせたので
ある。 【0005】上記構成にあっては、釜の回動により釜を
くぐろうとする上糸の一部が釜の前面側を通る時点の前
に引掛片が釜前面に位置する釜止めの下方の糸通過位置
へ前進する。その後上記上糸の一部が釜の前面側を通ろ
うとすることにより、上糸が引掛片に引掛る。その後引
掛片は上記の位置から後退する。その場合、引掛片先端
部の爪が上糸を引いて移動する。その移動の過程で引掛
片に引掛った上糸が引き張られて切刃で切断されるよう
に、上記引き張られる上糸の移動予定位置に切刃が固定
的に備えさせてあるので、上糸は勝手に切刃に近づいて
切断される。 【0006】 【発明の実施の形態】以下本願の実施例を示す図面につ
いて説明する。図1乃至図5は、上糸bと、引掛片11
との動作関連を説明する為の図で、これらにおいて、F
は刺繍ミシンの基枠、1は針通し孔1aを有する針板、
2は針板1の下方に位置されている釜で、軸50によっ
て回転されるようにしてある外釜3と、外釜3内に収容
されかつ固定的な釜止め4によって回り止めされている
内釜5とで周知のように構成されている。なお、上記内
釜5内には下糸用ボビンのボビンケース6が収納されて
いる。6aは糸ガイドを示す。7は針板1の上方に配設
されている針で、周知のように針通し孔1aを通して下
降し得るように上下動自在に構成されている。次に、8
はフレームFに止着した取付板、9は取付板8に取付け
たロータリーソレノイドで、図示外の制御装置からの指
令により、釜2や針7と関連して作動するようになって
いる。10はロータリーソレノイド9の回動軸9aに止
着されている揺動腕、11は引掛片で、その元部12を
揺動腕10に止着してある。11aは引掛片における引
掛杆で、図示される如く細幅に形成されている。13は
引掛杆11aの先端に付設した爪で、引掛杆11aに掛
かった上糸がそれから外れることを防止する為のもので
ある。上記引掛片11は、上記回動軸9aの往復回動に
より図1に示される如く釜2から離間した状態となる退
避位置と、図2や図3に示される如く爪13が釜2内に
進入した状態となる引掛位置との間において移動自在と
なっており、ロータリーソレノイド9は引掛片11を上
記の両位置の間で進退動させる為の駆動手段を構成して
いる。尚その駆動手段は正逆回動可能なモータであって
もよい。上記引掛片11の引掛位置は、図3に明示され
るように上方から見て爪13が釜2の内部に没入する位
置に定めてある。 【0007】上記構成のものにあっては、上糸bを針7
の孔に通し、下糸aのボビンをボビンケース6にセット
して刺繍ミシンを運転させると、針7が針通し孔1aを
通して昇降すると共に外釜3が回転することによって布
16に周知のように刺繍縫い17を施すことができる。
この通常の縫製中においてはソレノイド9には作動指令
が与えられず、引掛片11は図1の退避位置に位置した
ままの状態となっている。次に、一つの模様の刺繍縫い
を終えた後他の模様の刺繍縫いに移るとき等に上糸bを
切断する場合には、ソレノイド9に作動指令が与えら
れ、引掛片11が図6に示すようなタイミングで針7や
釜2と関連作動して上糸bの切断がなされる。即ち、サ
イクル角度が0゜の(イ)時点において引掛片11が退
避位置から引掛位置へ移動する。その後外釜3の回動、
針7の上下動、天秤の上下動が通常の如く継続され、サ
イクル角度が205゜となったところで針7によって布
16、針通し孔1aを通して下降されてきた上糸bを外
釜3の剣先3aが引掛ける。その後外釜3の回動の継続
により、剣先3aに引掛った上糸bはループとなって内
釜5をくぐる。その過程において、上記上糸bのループ
のうち釜の前面側を通る部分は、上記ループが最大にな
る前の時点(例えばサイクル角度290゜の時点)にお
いて、引掛杆11aにおける一方の縁11a’に接触す
る。その後、サイクル角度353度の時点になると、上
糸bは内釜5をくぐり抜け終えて、上糸bが剣先3aか
ら外れて上方へ引上げ(天秤により)られる。その結果
上糸bは図3に示されるように引掛杆11aに引掛った
状態となる。次に(ロ)の時点になると引掛片11が引
掛位置から退避位置に向けて後退される。その過程にお
いて、後述する如くして上糸bは切断される。この切断
は図6から明らかなように天秤が上昇する過程即ち上糸
bがぴんと張った状態で行なわれる為、上糸bは確実に
切断される。上記のようにして上糸bの切断が完了する
と釜や針や天秤の作動が停止され、次の場所での刺繍縫
いの為に布16が移動されたり、上糸の色替えが周知の
如く行なわれる。 【0008】次に、前記引掛片11の退避位置から引掛
位置への移動は、図6にAで示すように、通常の縫製の
最後の縫目を形成するときに、上糸が引掛片11に巻き
付かない位置に移動した後の時点(前記上糸のループに
おいて釜の前側を通る部分が引掛片11の引掛位置を通
過した後の時点)から、前記上糸のループにおいて釜の
前面側を通る部分が引掛片11の引掛位置を通過する前
の時点までのいずれの時点で行なってもよい。また引掛
位置から退避位置への移動は、図6にBで示すように、
前記上糸のループにおいて釜の前面側を通る部分が引掛
杆11aにおける一方の縁11a’に接触した時点か
ら、最後の縫目形成から3針おり、引掛杆11aに2重
に上糸bを引掛けない前に引掛片11を引掛位置から遠
去け得る時点までのいずれの時点で行なってもよい。 【0009】次に図7乃至図11は本願の引掛片の異な
る実施例を示すもので、引掛片の先端部の形状を図1乃
至図5の実施例とは異ならしめると共に、切刃を静止部
分に備えさせた例を示すものである。図において、引掛
片11eの先端部は幅広に形成されており、その前側に
は、糸ガイド6aeとの衝突を防ぐ為の欠如部21が形
成してある。また上糸bを切断する為の切刃15eは図
11に明示されるように、引掛片11eの後退によって
引張られる上糸の移動軌跡に沿った位置において釜止め
4eに取付けてある。 【0010】このような構成のものにあっては、引掛片
11eが図9に示される引掛位置から図7及び図8に実
線で示される退避位置に後退する過程で、図11に示さ
れるように上糸bが切刃15eに接触し、切断される。 【0011】上記のように上糸bが切断される場合、引
掛片11eの先端部は上記のように幅広に形成してある
為、上糸bにおいて上記切刃13eにより切断される点
から針までの部分(符号b2で示す)は比較的長く残
る。この為、上糸切断後の針や天秤の上昇寸法が大きく
ても、上糸が針から抜けてしまうことを未然に防止でき
る。なお、機能上前図のものと同一又は均等構成と考え
られる部分には、前図と同一の符号にアルファベットの
eを付して重複する説明を省略した。 【0012】次に図12は前記図7乃至図11の実施例
における引掛片11eの形状の異なる例を示すもので、
引掛片11eにおいて爪13eを備えさせた側とは反対
の側に突部22を備えさせて、引掛片が後退するときに
上糸bが引掛片11eから外れ難いようにした例を示す
ものである。 【0013】次に図13は上糸を切断する為の構造の他
の例を示すもので、引掛片11fの後退の経路に沿わせ
て切刃としての切断要素24を固定的に設け、引掛片1
1fが矢印方向へ後退する過程で、上糸bが爪13fの
角部25と切断要素の切刃の先となる角部26とにによ
って切断されるようにした例を示すものである。 【0014】 【発明の効果】以上のように本発明にあっては、布16
を貫いて釜5に向かって下がってきた上糸bを針板1の
下で切断したい場合、釜5をくぐろうとする上糸bのル
ープの一方が釜5の前面側を通る時点の前に、引掛片1
1を釜の前面に位置する釜止めの下部位置に前進させ
て、上記上糸bのループの一方が釜5の前面側を通るこ
とによりそのループの一方を釜の前面に近接した位置
で、該引掛片11の引掛杆11aに引掛からせ、上記上
糸bのループの一方が釜5の前面側を通る時点を経過し
た後に上記引掛片11を上記釜の前面に近接した位置か
ら後退させて、その後退する過程で、引掛片11に引掛
った上糸bを引き張った状態で切断するものであるか
ら、引掛片11の進退動作の時間は、サイクル角度の内
の大きな範囲内にあり、引掛片11の進退の動作をゆっ
くりと動作させても正確に上糸を引掛けることのできる
特長がある。また、引掛片11は釜の前面に位置する釜
止めの下部位置において前進、後退させるものであるか
ら、下糸aとは遠く離れ、下糸aを誤って切ることも、
また下糸aに影響を及ぼすこともなく、上糸bのみを正
確に切断できる効果がある。 【0015】その上、上記のように単に引掛片11を進
退動させて上糸bに張力を加えるのみだから、その構成
は極めて簡素で良く、即ち、切刃は固定的に備えさせ、
可動を要しないので、その構成は簡易となり、安価な提
供を可能にできると共に、故障の発生の機会も極めて少
なくできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】刺繍ミシンの釜及びその近傍に備えられた部材
を示す斜視図。 【図2】図1のものにおいて引掛片が引掛位置に移動し
た状態を示す図。 【図3】図2の状態における釜と引掛片と上糸及び下糸
との関係を示す平面図。 【図4】同正面図。 【図5】図3の状態から引掛片が後退し始めた状態を示
す平面図。 【図6】タイムチャート。 【図7】形状の異なる引掛片を備えた刺繍ミシンの要部
を示す一部破断正面図。 【図8】図7のXI−XI線断面図。 【図9】図7のものにおける図3と同時点の状態を示す
平面図。 【図10】図9の状態から引掛片が後退し始めた状態を
示す平面図。 【図11】図10の状態において、針板と釜と引掛片と
切刃と上糸及び下糸の関係を示す図。 【図12】引掛片先端部の形状の更に異なる例を示す平
面図。 【図13】上糸を切断する為の構造の他の例を示す図。 【符号の説明】 1・・・針板、1a・・・針通し孔、a・・・下糸、b
・・・上糸、11・・・引掛片、11a・・・引掛杆、
13・・・爪。
を示す斜視図。 【図2】図1のものにおいて引掛片が引掛位置に移動し
た状態を示す図。 【図3】図2の状態における釜と引掛片と上糸及び下糸
との関係を示す平面図。 【図4】同正面図。 【図5】図3の状態から引掛片が後退し始めた状態を示
す平面図。 【図6】タイムチャート。 【図7】形状の異なる引掛片を備えた刺繍ミシンの要部
を示す一部破断正面図。 【図8】図7のXI−XI線断面図。 【図9】図7のものにおける図3と同時点の状態を示す
平面図。 【図10】図9の状態から引掛片が後退し始めた状態を
示す平面図。 【図11】図10の状態において、針板と釜と引掛片と
切刃と上糸及び下糸の関係を示す図。 【図12】引掛片先端部の形状の更に異なる例を示す平
面図。 【図13】上糸を切断する為の構造の他の例を示す図。 【符号の説明】 1・・・針板、1a・・・針通し孔、a・・・下糸、b
・・・上糸、11・・・引掛片、11a・・・引掛杆、
13・・・爪。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.針通し孔を有する針板の下方には釜を備える一方、
上記針板の上方には、上記針通し孔を通して上記釜に向
け下降し得るようにした上下動自在の針を備えて、上記
釜を回動させると共に上記針を上下動させることによっ
て、針を通して繰り出されかつ釜の回動によって釜をく
ぐる上糸と、釜から繰り出される下糸とにより布に刺繍
縫いを施すようにしてある刺繍ミシンにおいて、 引掛杆と、該引掛杆に掛かった上糸が引掛杆から外れる
ことを阻止する為にその先端部に付設された爪とから成
る引掛片を、上記釜の近傍に配設すると共に、 その引掛片は、釜をくぐろうとする上糸の一部が釜の前
面側を通る時点の前に、釜の前面に位置する釜止めの下
方位置に前進させて、上記上糸の一部が釜の前面側を通
ることによりその上糸を釜の前面近接位置にて該引掛片
の引掛杆に引掛からせ、 上記上糸の一部が釜の前面側を通る時点を経過した後に
上記釜の前面近接位置から後退を可能に進退自在にして
あり、 更にその後退する過程で、引掛片に引掛った上糸が引き
張られた状態で移動して切刃で切断されるように、上記
引掛片で引き張られる上糸の移動予定位置に切刃が固定
的に備えさせてあることを特徴とする刺繍ミシンにおけ
る上糸切断装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9475597A JP2961359B2 (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | 刺繍ミシンにおける上糸切断装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9475597A JP2961359B2 (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | 刺繍ミシンにおける上糸切断装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61162372A Division JP2660402B2 (ja) | 1986-07-10 | 1986-07-10 | 刺繍ミシンにおける上糸切断装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1028789A JPH1028789A (ja) | 1998-02-03 |
JP2961359B2 true JP2961359B2 (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=14118930
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9475597A Expired - Lifetime JP2961359B2 (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | 刺繍ミシンにおける上糸切断装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2961359B2 (ja) |
-
1997
- 1997-03-28 JP JP9475597A patent/JP2961359B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1028789A (ja) | 1998-02-03 |
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