JP2523566Y2 - ミシンにおける糸切断装置 - Google Patents

ミシンにおける糸切断装置

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JP2523566Y2
JP2523566Y2 JP1988147775U JP14777588U JP2523566Y2 JP 2523566 Y2 JP2523566 Y2 JP 2523566Y2 JP 1988147775 U JP1988147775 U JP 1988147775U JP 14777588 U JP14777588 U JP 14777588U JP 2523566 Y2 JP2523566 Y2 JP 2523566Y2
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郁夫 田島
友昭 姉崎
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東海工業ミシン 株式会社
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Description

【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この考案はミシンにおける糸切断装置に関する。
(従来技術) この種の糸切断装置は針板の針穴の下方に設けられた
釜から送り出される下糸と、針穴を通じて釜に向け上下
動する針から送り出される上糸とにより縫いを施すよう
にしたミシンにおいて設けられるもので、通常、針板の
下方には下糸と布側上糸の双方もしくは布側上糸のみを
切断するために待機位置から切断位置へと移動可能な動
メスを備えて構成されており、このような糸切断装置と
しては特開昭第63−9487号公報及び同63−115592号に開
示されたものがある。
これらの公報の糸切断装置では下糸と布側上糸の双方
の切断と布側上糸のみの切断を選択的に行えるようにな
っており、特開昭第63−9487号公報の装置では、可動刃
の作動に先立って上糸引掛片を作動させ、同公報の第8
図に示されるように、上糸に釜の軸方向に対しほぼ直角
方向の面内において広がった三角形の部分を形成して、
布側上糸と針側上糸とを同直角方向に互いに隔てさせ、
次いでこの三角形部分に可動刃を図8〜図10に示される
ようにほぼ釜の軸方向で通し、その後の復動により布側
上糸(及び下糸)の切断を行うものであり、下糸の切断
を行わない場合には可動刃の作動に先立って下糸払い片
により下糸が可動刃の作用を受けない位置に動かされ
る。また特開昭第63−115592号公報では動メスを2つ備
えて下糸と布側上糸の双方の切断時には両方の動メスを
駆動し、布側上糸のみの切断時には一方の動メスのみを
駆動する構成となっている。
(考案が解決しようとする課題) しかしながら特開昭第63−9487号公報の装置では上糸
引掛片により上糸に三角形を形成し、これに可動刃を通
すことが糸切断に必須であり、このように上糸引掛片を
設けることで針板下部の構造が複雑となり、また上糸引
掛片が誤って作動しなかった場合には糸切断が行えなく
なり、このため動作ミスが生じ易い欠点を有している。
また特開昭第63−115592号公報の装置では2つの動メス
を駆動するためそれぞれに駆動装置が必要となり、構造
が複雑となるがうえにコスト高となり、また針板下部の
スペースが犠牲となる問題点を有している。
(課題を解決するための手段) 上記問題点を解決するため、本考案の糸切断装置は
針板の針穴の下方に設けられた釜から送り出される下糸
と、前記針穴を通じて前記釜に向け上下動する縫い針か
ら送り出される上糸とにより縫いを施すようにしたミシ
ンにおいて、 前記針板の下方には往復揺動可能な動メスと、該動メ
スと協働して糸切断をなす固定刃とを設け、前記動メス
は布側上糸と針側上糸との間に介在するための糸分け端
と、糸分けされた後の針側上糸を係止するための上糸係
止溝とを往動側に、前記固定刃と協働する切断刃を復動
側に有しており、前記動メスは前記釜の剣先が当該釜の
ほぼ真下に位置して布側上糸と針側上糸とが前記釜の軸
線方向に対し前後に隔てられる時点において、前記糸分
け端が前記針穴の下方を前記釜の軸線方向に対しほぼ直
角方向に横切るように往動して、布側上糸及び下糸と針
側上糸とを互いに軸線方向に分離し、その後の復動によ
り前記切断刃が前記固定刃と協働して布側上糸及び下糸
の切断を行うように構成されており、 前記針板の下方には前記動メスの往動に先立って下糸
を前記動メスによる切断作用を受けない位置に退避させ
るための下糸払い片を設け、 さらに、前記針板の下方には、前記動メスが布側上糸
と針側上糸の間に介在した状態の上糸が天秤の上昇に伴
って前記釜から抜ける際に形成するループ状部分を係止
して、天秤の上昇に伴うループ状部分の縮小を阻止する
ためのピッカーを設けて、 前記動メスが前記切断刃と前記固定刃との協働による
切断位置に達した時の布側上糸の切断点から前記縫い針
までの距離が、ピッカーの係止を解除するタイミングを
変更することにより調節可能となっていることを特徴と
する。
(作用) 本考案では、動メスは釜の作用により布側上糸と針側
上糸とが釜の軸線方向に対し前後に隔てられる時点にお
いて、糸分け端が針穴の下方を釜の軸線方向に対しほぼ
直角方向に横切るように往動することにより、布側上糸
と針側上糸とを互いに軸線方向に分離するものであるた
め、布側上糸と針側上糸との分離が、他の部材による作
用を伴うことなく動メスと釜との協働のみによって行わ
れる。
また、下糸払い片により下糸を動メスによる切断作用
を受けない位置に退避させることにより布側上糸のみが
動メスによって切断され、下糸払い片による退避を解除
すると布側上糸と下糸との双方の切断が可能となる。
さらに、上記動メスの構成により、布側上糸と針側上
糸との分離を天秤の上昇中に行うことができ、ピッカー
による上糸のループ状部分の係止の解除タイミングを例
えば天秤の上昇中とすると、糸切断時にはループ状部分
が縮小しているため上糸の切断点から縫い針までの距離
が短くなり、また天秤が上死点に到達した後とすると、
ループ状部分が縮小が阻止されたまま切断作用が行われ
るので、上糸の切断点から縫い針までの距離がピッカー
を迂回する分だけ長くなる。
(実施例) 次にこの考案の一実施例を添附の図面を参照して説明
する。
第1図は糸切断機構10を備えた糸切断装置を含むミシ
ンの要部の平面図で、第2図は第1図の左側面図、第3
図は第1図のIII−III線断面図であり、同図中12はベー
ス台で固定部Bに対しネジ軸14〜14及びこれに螺合する
ナット16〜16(第2図及び第3図参照)により適宜高さ
に位置調節されている。ベース台12にはミシン主軸18が
貫設され、該ミシン主軸18は軸受20(第1図参照)を介
してベース台12に対し相対回転可能に支承されている。
ミシン主軸18には傘歯車22が固定されており、この傘歯
車22は、ベース台12の内部ほぼ中央において第3図に示
すように軸受23により枢支されてミシン主軸18に対し垂
直方向を向いた釜駆動軸26の後端に固定された傘歯車28
と噛み合っている。釜駆動軸26の前端には内釜30aと外
釜30bとからなる釜30が取付けられており、ミシン主軸1
8の回転は傘歯車22,28を介して釜駆動軸26に伝達され、
これにより釜30の外釜30bが回転駆動される。
ベース台12の上面12aは平面状をなし、この上面12aに
は針板13がネジ固定(第1図中には固定のためのネジ穴
32〜32のみが示してある。)されている。また針板13に
は釜30の上方の所定部位に針穴34が設けられている。
糸切断機構10は第3図に示すように針板13の下部に近
接しかつ針穴34の後方において配置されており、第1図
に示すようにベース台12の中底部12bにネジ固定された
水平プレート36に対し同様にネジ固定された固定刃38
と、水平プレート36に垂直な回動軸40にネジ42を介して
取付けられた動メス44とを有している。ここで動メス44
は第4図に示すように先端部の一端面に略V字形の切断
刃44aを有し、反対側の端面には同様に略V字形の上糸
係止溝44bを有しており、また先端面はほぼ円弧面44cを
成している。ここで回動軸40はベース台12の前方かつ下
方においてミシン主軸18と平行に横架された往復軸46に
連係されており、往復軸46はベース台12にネジ固定され
たブラケット48(第2図及び第3図参照)の挿通孔48a
に挿通されて、前後摺動可能に支持されている。回動軸
40と往復軸46との間には第5図に示すリンク機構50が設
けられており、リンク機構50は往復軸46に対し立設固定
された垂直軸52と、垂直軸52に一端側を回動可能に連結
された水平のアーム54と、アーム54の他端に対し一端側
をピン56を介して回動可能に連結されかつ他端側を回動
軸40に対し所定角度で固定された水平のレバー58とを有
している。リンク機構50はこの構成により往復動46の往
復動を回動軸40の正逆回動運動に変換し、往復軸46の一
方向の移動時には動メス44を第5図に鎖線で示した待機
位置から実線で示した揺動位置に移動させ、また逆方向
の移動時には揺動位置から待機位置に移動させる。な
お、往復軸46は図示しない制御回路からの糸切断信号に
基づいて同様に図示しない駆動装置により往復駆動さ
れ、このような糸切断信号による動メス44の動きの制御
に関しては以降で説明する。
針板13の下部には針穴34の前方部に下糸払い機構60が
配置され、下糸払い機構60はベース台12の前部下面にネ
ジ固定された支持板62の上面に固定された前後方向のブ
ラケット64と、ブラケット64の後端にネジ66を介して回
動可能に連結された下糸払い片68と、支持板62の下面に
固定された第1ロータリーソレノイド65の出力軸70に一
端を固定されたレバー72と、一端を下糸払い片68の端部
にネジ74を介して回動可能に連結され、他端をレバー72
の他端にネジ76を介して同様に回動可能に連結された連
結片78とを有している。第1ロータリーソレノイド6は
上記制御回路からの下糸払い信号及び待機位置復帰信号
に基づいて出力軸70を正逆方向に往復回転動させ、下糸
払い信号により出力軸70が反時計方向に回転すると下糸
払い片68がレバー72及び連結片78を介して第1図に実線
で示した待機位置から同図中想像線で示した下糸払い位
置に回動され、この状態で出力軸70が逆方向に回転する
と下糸払い片68が下糸払い位置から待機位置に回動され
る。ここで下糸払い片68は下糸払い位置に達した状態に
おいて、第11図によりよく示されるように、動メス44の
回動軌跡の外側に位置するように設定されている。なお
このような位置移動制御に関しては以降で説明する。
ベース台12の下部側方には第2ロータリーソレノイド
82がブラケット80(第2図参照)を介してその出力軸84
(第3図参照)を上記釜駆動軸26に対し直角方向に向け
て取付けられている。出力軸84にはピッカー86が取付け
られており、このピッカー86はその下端が出力軸84に直
角に固定され、上部をベース台12のほぼ中心部に向けて
湾曲形成されたアーム部86aと、該アーム部86aの端部に
第3図中紙面に直角方向で一体形成され、先端部が釜30
に対向するフック部86bとを備えている。この構成によ
り、上記制御回路からのピッカー作動信号により第2ロ
ータリーソレノイド82が駆動されるとアーム部86aが一
方向に回動して第3図に実線で示した待機位置より同図
中想像線で示した作動位置に移動し、また制御回路より
ピッカー待機信号が出されると作動位置より待機位置に
戻る。このようなピッカー86の作動制御については以降
で説明する。なお、ピッカー86のフック部86bの先端部
は第6図〜第9図(これらの図に関連する詳しい説明は
以降で行う)に示すように二又状になっており、この二
又状の先端部は作動位置において第6図に示すように内
釜30aの前面に挿入される。
次に上記各機構の作動をミシンの縫い糸に関連して以
下に説明する。
縫い糸としては第6図に示すようにミシンの主軸18に
より周知の動力伝達手段により釜30に対し上下駆動され
る針Nに通された上糸T1と、釜30の内釜30aに装着され
たボビンケースC内のボビンに巻かれた下糸T2が利用さ
れ、針Nの上下動と外釜30bの回動により周知のように
縫いが施される。
なお、上記各機構を備えた構成は特に刺繍縫いミシン
において一つの模様の刺繍縫いを終えた後他の刺繍縫い
に移るときに上糸T1と下糸T2、特に後述する布側上糸T1
bと下糸T2の両方もしくは布側上糸1bのみを切断するの
に利用されるもので、以下布側上糸T1bの切断操作に関
連して各機構の作動を第10図に示すタイミングチャート
を参照して説明する。
図示したタイミングチャートはミシン主軸18の100°
の回転角度(以下特にことわらない限り何度というとき
は主軸18の回転角をいう)を基準として描かれており、
図示しない制御回路に上糸T1と下糸T2の両方の切断指令
が出されると制御回路により100°で糸切断信号が出さ
れ、往復軸46とその駆動源との間を連係するキャムソレ
ノイド(図示しない)が駆動される。この結果動メス44
は駆動カムによって回動され始める。このときの動メス
44の動きは第10図に示されるとおりであり、動メス44は
290°で待機位置より揺動位置に向けて動き始める。
同様に100°に達するとピッカー作動信号が出されて
第6図に示すようにピッカー86のフック部86bの先端部
が内釜30aの前面に挿入される。この状態は、針棒が下
降して同第6図に示すように、針Nが釜30内に突入した
後第7図(300°に対応)に示すように上糸T1が釜30を
くぐって釜30から外れ、所定のタイミング例えば12.5°
もしくは84.14°まで維持される。このようにフック部8
6bの先端が内釜30aの前面に挿入されることにより、釜3
0から外れたループ状の上糸T1がフック部86bに係止さ
れ、上記タイミングの選択(すなわち12.5°までピッカ
ー86を挿入しておくか又は84.14°までピッカー86を挿
入しておくかを選択すること)により上糸T1の引出し長
さを調節できる。この結果針Nから切断部までの上糸T1
の長さが調整される。なお、このような調整作用につい
ては以下で詳しく説明する。
また上記動メス44は300°で第7図に示すように上糸T
1は釜30をほぼ半分くぐった時点で針側上糸T1aと布側上
糸T1bとの間に同第7図さらには第8図に示すように針
穴34の下方位置において、釜30の軸方向に対しほぼ直角
方向で介在し、針側上糸T1aと布側上糸T1bとを軸方向に
隔て、その背部の端面の上糸係止溝44bで針側上糸T1aを
引掛ける。なお、この300°における布側上糸T1aと針側
上糸T1bとの位置関係が第12図に明瞭に示されており、
図示のように釜30(外釜30b)の剣先30cは釜30の真下位
置にあり、布側上糸T1aと針側上糸T1bとは釜駆動軸26
(第1図参照)の軸方向に分離された状態となってい
る。また、同300°における動メス44の布側上糸T1aと針
側上糸T1bとの間の介在状態が第13図に下糸T2を省略し
て簡略化して示してある。動メス44はさらに回動して第
8図に示すように針側上糸T1aをさらに回動方向側に移
動させ、340°で揺動位置に達する。一方動メス44の先
端の円弧面44cはこのような動きに際して布側上糸T1b及
び下糸T2が背部の端面側に係止されず、かつ移動に際し
て布側上糸T1b及び下糸T2が僅かに前方に押除けられる
ような移動軌跡をとるように設定されている。従って第
8図に示すように動メス44が針穴34を越えて回動した時
点では布側上糸T1b及び下糸T2が略V字形の切断刃44aの
V字部分に入込んだ状態となり、針側上糸T1aと布側上
糸T1bとは完全に離隔状態となる。なお、このような動
メス44の針側上糸T1aと布側上糸T1bの間への介在動作は
上記のように釜30を抜けた上糸T1のループがピッカー86
により係止される前の段階で行われるものであり、ピッ
カー86の動きは動メス44の上糸分け作用とは直接には関
係しない。
動メス44は次に30°で待機位置側に逆回転駆動され、
70°で第9図に示すように固定刃38と協働して布側上糸
T1b及び下糸T2を切断するための切断位置に達して切断
作用を行う。動メス44はその後さらに同方向に回動して
80°で待機位置に復帰する。
動メス44のこのような一連の作用が第14図〜第17図に
下糸T2及びピッカー86を省いて簡略化して図示してあ
る。第14図は動メス44が糸分けを行う300°に対応する
状態、第15図は動メス44が往動ストローク限にある340
°の状態、第16図は動メス44が糸切断のために復動する
途中の状態、第17図は糸切断を行う70°の状態をそれぞ
れ示している。
次にピッカー86による上糸T1の引出し長さ調節作用
を、動メス44の上記で説明した動きに関連して以下第18
図〜第22図を参照して説明する。
先に説明した第13図の300°の状態から釜30の外釜30b
がさらに回転すると上糸T1が剣先30cから外れて布側上
糸T1aと針側上糸T1bはループを形成し、第10図に示した
ように天秤は290°の下死点から上昇状態にあるので上
糸T1が針側上糸T1b側から上方に引っ張られ、ループが
縮小することとなる。
しかしながら、ピッカー96は先に説明したように100
°で釜30に挿入されており、天秤の上昇が始まって第13
図の300°で動メス44により糸分けが行われた後も挿入
状態を維持される。このため、上糸T1はピッカー86に係
止されてループの縮小が阻止され、天秤が上昇するに伴
って縫い針N側から上糸T1が引き出される。
そこで、ピッカー86の釜30への挿入を天秤の上死点で
ある60°より前の12.5で解除する場合について第18図〜
第20図を参照して説明する。12.5°の時点で図18に示す
ように布側上糸T1aは動メス44の切断刃44a側を通ってピ
ッカー86に至り、針側上糸T1bは動メス44の上糸係止溝4
4bを経てピッカー86に至っている。ピッカー86を釜30か
ら抜くと天秤が上昇して第19図に示す上死点(60°)に
到達する間に上糸T1のループが縮まり、この後第20図に
示すように70°で上糸T1の切断が行われる。
つまり、ピッカー86の釜30への挿入を天秤の上死点で
ある60°より前の12.5で解除すると、天秤の上昇により
ループが縮まり、縫い針Nの先端から切断刃44aまでの
上糸部分の長さが短くなる。
一方、ピッカー86を糸切断後の84.14°まで挿入を維
持しておくと、ピッカー86は第21図に示すように天秤が
上死点(60°)に到達しても上糸T1の係止状態を維持す
るため、天秤が上死点に達するまではループが縮まらず
に上糸T1が縫い針N側から引き出される。この状態が糸
切断まで維持されるので、第22図に示すように切断時に
おける縫い針Nの先端から切断刃44aまでの上糸部分の
長さがピッカー86を迂回する分だけ長くなる。
このように、ピッカー86の解除タイミングを変化させ
ることにより、縫い針Nの先端から切断箇所までの上糸
部分の長さを調節できるようになっている。
以上は糸切断機構10により布側上糸T1bと下糸T2の両
方を切断する場合について述べてきたが以下に布側上糸
T1bのみを切断する場合について説明する。
なお、この場合においても糸切断機構10とピッカー86
とは布側上糸T1bと下糸T2の両方を切断する場合と同様
な作動を行い、後述する下糸払い機構60のみの作動が加
わる。
まず制御回路により下糸払い信号が出されて60°の時
点で下糸払い機構60の第1ロータリーソレノイド65が作
動し、第1図に実線で示した待機位置にある下糸払い片
68が同図中に想像線で示した下糸払い位置に移動する。
下糸払い片68はその後100°からさらに次の100°に至る
間まで下糸払い位置に保たれ、その後第1ロータリーソ
レノイド64が逆作動して待機位置に戻る。つまり、下糸
払い片68の下糸払い位置への移動は172°で針棒で下死
点に達する前の針Nが針板13の針穴34を通って釜30に向
けて降下する以前に行なわれ、この時点では針板13の下
面には下糸T2のみが存在する。
このような下糸払い片68の移動により針板13と釜30と
の間の下糸T2が下糸払い片68の端面に係止され、第11図
に示すように下糸払い片68が糸切断機構10の動メス44の
回動軌跡の範囲外に位置した状態では下糸T2の係止点は
同様に動メス44の回動軌跡の範囲外に位置することとな
り、下糸T2は釜30と針穴34の間において動メス44に相対
する側が開放した三角形を形成する。これにより動メス
44の針穴34下方の通過点から下糸T2が確実に逃がされる
こととなり、動メス44によって布側上糸T1bのみが切断
されることとなる。
以上のように本実施例の糸切断機構10において動メス
44は待機位置から切断位置((実際の切断作用は行わな
い)を経て揺動位置に動くことにより針側上糸T1aを布
側上糸T1bから離隔させ、次いで揺動位置から切断位置
に動いて下糸T2と布側上糸T1bの双方もしくは布側上糸T
1bのみの切断作用を行い、その後再び待機位置に戻る動
きを行う。
つまり糸切断機構10は糸切断機構とともに、針側上糸
T1aと布側上糸T1bを互いに離隔させる機能を有してお
り、これにより、針側上糸T1aと布側上糸T1bとを互いに
離隔させるための別個の機構を設ける必要がなくなる。
なお、以上の実施例において切断機構10の動メス44
は、針側上糸T1aと布側上糸T1bとを互いに離隔させるた
めに、待機位置から切断位置(実際の切断作用は行わな
い)を経て揺動位置に至る経路に沿って動くように構成
してあり、このような経路の軌跡は下糸T2と布側上糸T1
bの双方もしくは布側上糸T1bのみの切断作用を行うため
の軌跡と同一となっている。しかしながら針側上糸T1a
と布側上糸T1bとを互いに離隔させるための待機位置か
ら揺動位置に至る軌跡は糸切断のための軌跡とは別の軌
跡となるように設定してもよい。このような別の軌跡は
例えば動メス44の揺動中心を変えることで得ることがで
きる。
また動メス44は背部端面にV字形の上糸係止溝44bを
有する構成としたが、要は揺動位置側への回動時に針側
上糸T1aが掛かる形状であればいかなる形状であっても
よい。さらに動メス44は先端に円弧面44cを有するもの
としたが、これも揺動位置側への回動時に布側上糸T1b
と下糸T2とが引掛って追従して同方向に動かされないよ
うな形状であればいかなる形状であってもよい。
(効果) 本考案の糸切断装置では、糸分けのために動メス以外
の別部材及びそのための駆動機構を必要としないため、
糸切断装置全体の構造並びに制御が簡略化され、しかも
糸分けを行うための別部材の誤作動に起因する切断ミス
がなくなるので、糸切断を確実に行うことができる。
また、下糸払い片による糸の退避位置への移動とその
解除により、布側上糸のみの切断と、布側上糸と下糸の
双方の切断とを選択的に行うことができる。
さらに、ピッカーによる上糸の係止の解除タイミング
の調節により、切断後の針先に残る上糸長さを、縫製す
べき生地の性状、或いは糸の種類に応じて、糸縫い再開
時に糸抜けを生じずかつ再開に支障をきたさない、過不
足のない最適な長さに設定できるので、縫製作業の確実
性が向上するとともに、縫製の外観が向上する利点を有
する。
【図面の簡単な説明】
図は本考案の一実施例を示すもので、第1図糸切断装置
を含むミシンの要部の平面図、第2図は第1図の左側面
図、第3図は第1図のIII−III線断面図、第4図は動メ
スの拡大図、第5図は糸切断機構をその動力伝達機構と
ともに示した平面図、第5図〜第9図は糸切断機構及び
ピッカーの動きを上糸及び下糸に関連して示した要部の
斜視図、第10図は糸切断装置のタイミングチャート、第
11図は下糸払い片による下糸払い状態を示す要部の平面
図、第12図は動メスによる糸分け時における布側上糸と
針側上糸との位置関係を示す図、第13図は動メスの布側
上糸との間の介在状態を下糸を省略して示した図、第14
図〜第17図は動メスの糸分けから糸切断に至る作用を示
す説明図、第18図〜第20図は上糸の縫い針から切断点ま
での長さを短くする場合のピッカーの作用を示す説明
図、第21図及び第22図は上糸の縫い針から切断点までの
長さを長くする場合のピッカーの作用を示す説明図であ
る。 10…糸切断機構、13…針板 30…釜、34…針穴 44…動メス、68…下糸払い片 T1…上糸、T2…下糸 T1a…針側上糸、T1b…布側上糸

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】針板の針穴の下方に設けられた釜から送り
    出される下糸と、前記針穴を通じて前記釜に向け上下動
    する縫い針から送り出される上糸とにより縫いを施すよ
    うにしたミシンにおいて、 前記針板の下方には往復揺動可能な動メスと、該動メス
    と協働して糸切断をなす固定刃とを設け、前記動メスは
    布側上糸と針側上糸との間に介在するための糸分け端
    と、糸分けされた後の針側上糸を係止するための上糸係
    止溝とを往動側に、前記固定刃と協働する切断刃を復動
    側に有しており、前記動メスは前記釜の剣先が当該釜の
    ほぼ真下に位置して布側上糸と針側上糸とが前記釜の軸
    線方向に対し前後に隔てられる時点において、前記糸分
    け端が前記針穴の下方を前記釜の軸線方向に対しほぼ直
    角方向に横切るように往動して、布側上糸及び下糸と針
    側上糸とを互いに軸線方向に分離し、その後の復動によ
    り前記切断刃が前記固定刃と協働して布側上糸及び下糸
    の切断を行うように構成されており、 前記針板の下方には前記動メスの往動に先立って下糸を
    前記動メスによる切断作用を受けない位置に退避させる
    ための下糸払い片を設け、 さらに、前記針板の下方には、前記動メスが布側上糸と
    針側上糸の間に介在した状態の上糸が天秤の上昇に伴っ
    て前記釜から抜ける際に形成するループ状部分を係止し
    て、天秤の上昇に伴うループ状部分の縮小を阻止するた
    めのピッカーを設けて、 前記動メスが前記切断刃と前記固定刃との協働による切
    断位置に達した時の布側上糸の切断点から前記縫い針ま
    での距離が、ピッカーの係止を解除するタイミングを変
    更することにより調節可能となっていることを特徴とす
    るミシンにおける糸切断装置。
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