JP4355433B2 - ミシンのルーパ駆動機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はミシンのルーパ駆動機構に係り、特に本縫と縁かがり縫とを一体化することができるミシンのルーパ駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、複数の布地等を縫い合わせる縫目としてミシンで形成される最も基本的な縫目に本縫がある。本縫は、針に通された上糸を針の上下運動によって布を貫通させた時に、下糸を収納する釜の剣先で掬うことにより、上糸と下糸をクロスさせて形成するもので複数の布地を縫目に沿ってしっかり継ぎ合わせることができる。
【0003】
一方、ほつれやすい布地等の縁部のほつれを防止するために縁かがり縫がある。縁かがり縫はその縫目を形成するための糸の本数および布面に対し略垂直運動する針の本数によって、1本針2本糸縁かがり縫(米国縫目規格 Stitch type 503)や1本針3本糸縁かがり縫(米国縫目規格 Stitch type 504)、更に環縫と縁かがり縫を組み合わせた通称インターロックといわれる2本針5本糸縫(米国縫目規格 Stitch type 516)などがある。
【0004】
しかしながら、このような縁かがり縫においては例えば針糸を2本のルーパと呼ばれる鉤状の針で横から掬い、また水平に移動するルーパ糸を針が掬って縫目を形成するため、針糸に対しルーパ糸は布面に対し垂直な方向でクロスしていないので、本縫のように布と布をしっかり継ぎ合わせることはできない。すなわち縁かがり縫で継ぎ合わせた二枚の布は開いた時に縫糸がむき出しになるいわゆる「笑う」という現象が起こる。そのため、複数の布を合わせて縁かがりを行う時は併せて本縫を行う縫目(米国縫目規格 Stitch type 517)を形成しなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような縫目(Stitch type 517)は本縫部分と縁かがり部分ができるだけ近接していることが望ましいが、本縫は上下運動する針の下方に下糸を収納する釜部を必要とし、一方、縁かがり縫は本縫とは別に設けた針の上下運動の軌跡に対しクロスするように運動するルーパを必要とするため、両方の位置には自ずと限界がある。そこで、本縫と縁かがり縫両用のミシン(特公昭56-15268号公報、特公昭60-25145号公報、特公昭61-25396号公報等)が提案されているが、それらはいずれも一方の機能を選択して用いるミシンであり、本縫と縁かがり縫とを近接した状態で一挙に行なうことはミシンの機構上無理であった。
【0006】
一方、本縫と縁かがり縫とを一挙に行なう試みも提案されている(特開昭55-113490号公報、特開昭55-136085号公報、特開昭55-146190号公報、特開昭63-122495号公報等)。しかしながら、これらの提案では縁かがり縫は本縫とは別に設けた針の上下運動の軌跡に対しクロスするルーパが、その運動が上記したような従来の縁かがり縫におけるルーパ運動を適用したものであるため、本縫は上下運動する針の下方に下糸を収納する釜部を必要とし、縁かがり縫は本縫とは別に設けた針の上下運動の軌跡に対しクロスするように運動するルーパを必要とすることから両方の位置には自ずと限界があり本縫と縁かがり縫とを近接した状態で一挙に行うことはミシンの機構上困難であった。
【0007】
また、本縫と縁かがり縫とを一挙に行う本縫縁かがりアッタッチメント(東洋精器工業株式会社製、商品名「ルビーロック」)も提案されている。このアッタッチメントは、図18に示すように、布押え棒1001に固定されて使用されるものであり、針1011を担持する針棒(図示せず)によってアッタッチメントフレーム1002に枢支されたクランク1003の駆動アーム1003aが駆動され、従動アーム1003bは駆動連結リンク1004を介してアッタッチメントフレーム1002に枢支されている上ルーパ駆動板1005を揺動させる。この上ルーパ駆動板1005の揺動により上ルーパ駆動リンク1006を介してアッタッチメントフレーム1002に枢支された上ルーパ1007を揺動させる。他方、この上ルーパ駆動板1005の揺動により上ルーパ駆動板1005に突設されたピン1005aが、アッタッチメントフレーム1002に枢支された下ルーパ駆動板1008に設けた溝1008aを摺動し、この下ルーパ駆動板1008を揺動させる。この下ルーパ駆動板1008の揺動により下ルーパ駆動リンク1009を介してアッタッチメントフレーム1002に枢支された下ルーパ1010を揺動させる。このアッタッチメント構造において、上ルーパ1007は布(図示せず)の上面で針1011と交差しなければならないので、布送り進行方向で見て左上がりに傾斜しており、また、下ルーパ1010は布の下面で針1011と交差しなければならないので、布送り進行方向で見て左下がりに傾斜しており、さらに、布の布端の側方で上下ルーパ1007、1010が交差するように互いに傾斜している。
【0008】
なお、同図において、1014は針1011の針落ち部位、1012は糸調子器、1013は下ルーパ駆動板1008によって駆動されるルーパ天秤である。
【0009】
このように構成されたアッタッチメントにおいて、針棒が上下動すると針1011に刺し通された針糸(図示せず)と、釜(図示せず)に収納された下糸(図示せず)により本縫が形成されると共に、針棒によってクランク1003の駆動アーム1003aが駆動され、従動アーム1003bは駆動連結リンク1004を介して上ルーパ駆動板1005を揺動させ、この上ルーパ駆動板1005の揺動により上ルーパ駆動リンク1006を介して上ルーパ1007を揺動させ、この上ルーパ駆動板1005の揺動により上ルーパ駆動板1005に突設されたピン1005aが、下ルーパ駆動板1008に設けた溝1008aを摺動し、この下ルーパ駆動板1008を揺動させ、この下ルーパ駆動板1008の揺動により下ルーパ駆動リンク1009を介して下ルーパ1010を揺動させるので、上ルーパ1007および下ルーパ1010それぞれに刺し通された上ルーパ糸および下ルーパ糸(図示せず)により縁かがり縫が形成される。
【0010】
しかしながら、このようなアタッチメントでは上下ルーパ1007、1010が傾斜しているので、製造上の高度な加工技術を要し、且つ組立上精度を保つための技術を必要とする。而も、この種の本縫ミシンはそのユーザーが一般家庭またはテイラーなどにより使用されるものであるところから、このようなアタッチメントを布押えを交換し布押え棒に固定する作業は極めて面倒であり、且つ固定後の針に対する上ルーパ1007および下ルーパ1010の位置関係を調整する作業は誠に煩瑣であり、さらに、布を縁かがり縫する端縁を予め鋏を用いて切断した後、縁かがり縫作業を実行しなければならないという重大な難点をもっている。
【0011】
そこで、本願発明者は、本縫と縁かがり縫との機能を兼ね備え、しかもミシンによって一回で形成することのできる1本針4本糸本縫縁かがり縫目構造およびその形成方法を提案している(特許第2672097号公報)。本縫ミシンのユーザーにとっては、上記提案の1本針4本糸本縫縁かがり縫目構造およびその形成方法を実現できる本縫縁かがりミシンを研究開発することが強く望まれていた。
【0012】
本発明は、このような従来の難点を解消するためになされたもので、本縫と縁かがり縫との機能を兼ね備え、而も1台のミシンによって一度で形成することができるミシンのルーパ駆動機構を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明のミシンのルーパ駆動機構は、針板に対し垂直方向に軌跡を描いて上下運動する針に刺し通された上糸と釜に収納された下糸とによって針板に載置された被縫製体の一送り毎に被縫製体を貫通して垂直方向に往復運動する針に刺し通した上糸を針の下死点から上昇する際に、針板の下方にあって下糸を収納し且つ回転運動する釜の剣先で掬って上糸と下糸とを交叉させて被縫製体の面に平行な縫目と垂直方向の縫目とから成る本縫部を形成すると共に、針板の上下を実質的に円弧状の軌跡を描く往復運動をし、針板の上方で針の軌跡と交叉する上ルーパ、針板の下方で実質的に円弧状の軌跡を描き、針の軌跡および上ルーパの軌跡とそれぞれ交叉する下ルーパにそれぞれ剌し通された上ルーパ糸、下ルーパ糸によって縁かがり部を形成するミシンのルーパ駆動機構において、上ルーパ、下ルーパは針板の下方にそれぞれ設けられ、各剣先を縫方向で見て針の手前側の側面を通過するように同方向に向いて配置され、且つ上ルーパ、下ルーパをその軌跡が互いに実質的に平行な面で運動するように上ルーパ、下ルーパを駆動するものであって、針の軌跡と針板の上方で交叉し針板を貫通する円弧状の軌跡を描いて往復運動する上ルーパに刺し通した上ルーパ糸を上ルーパが上死点から下降する時に上死点から下降する針で掬い、針板の下方で針の軌跡および上ルーパの軌跡とそれぞれ交叉する軌跡を描いて往復運動する下ルーパに刺し通された下ルーパ糸を下ルーパがその軌跡の一端から他端へ移動する時に針板の下方で、下降する針で掬い、下ルーパが他端へ移動する時に下ルーパ糸を下死点から上昇する上ルーパが掬うことにより、上ルーパ糸と下ルーパ糸が被縫製体の縁部で交叉すると共に上ルーパ糸が被縫製体の上面を通って本縫部と交叉し、下ルーパ糸が被縫製体の下面を通って本縫部と交叉して成る縁かがり部を形成するようにルーパ駆動部を備え、ルーパ駆動部は、下軸により駆動されるルーパ駆動軸に取付けられたクランクと、クランクに連結された下ルーパ駆動リンクと、下ルーパ駆動リンクに連結されて機枠に軸支され下ルーパを担持する下ルーパ取付腕と、機枠に軸支され上ルーパを担持する上ルーパ取付腕と、下ルーパ駆動リンクおよび上ルーパ取付腕間を連結する上ルーパ駆動リンクとから成る。
【0014】
このミシンのルーパ駆動機構は、縁かがり部の形成時には下軸からルーパ駆動軸へ動力を伝達して本縫部および縁かがり部を形成し、本縫部の形成時には上ルーパを下死点において待避させ下軸からルーパ駆動軸へ動力を遮断して本縫部を形成するクラッチを備えている。
【0015】
このようなミシンのルーパ駆動機構において、上ルーパ、下ルーパを針板の下方にそれぞれ設け、各剣先を縫方向で見て針の手前側の側面を通過するように同方向に向いて配置し、且つ上ルーパ、下ルーパをその軌跡が互いに実質的に平行な面で運動するように上ルーパ、下ルーパを駆動することにより本縫と縁かがり縫との機能を兼ね備え、而も1台のミシンによって一度で形成することができる。
【0016】
また、縁かがり部の形成時には、下軸からルーパ駆動軸へ動力を伝達して本縫部および縁かがり部を形成し、本縫部の形成時には上ルーパを下死点において待避させ下軸からルーパ駆動軸へ動力を遮断して本縫部を形成するようにクラッチで切換え可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のミシンのルーパ駆動機構を本縫縁かがり縫ミシンに適用したその好ましい実施の形態例について、図面にしたがって説明する。
【0018】
本縫縁かがり縫ミシンは図1に示すように、被縫製体の面に平行な縫目と垂直の縫目とから成る本縫部を形成する本縫形成機構100と、被縫製体の面に縁かがり部を形成するルーパ駆動機構50とを備えている。
【0019】
この本縫形成機構100は、公知(周知)の構造である(特開昭49−117148号公報、特開昭52−154448号公報、特開昭53−108547号公報、特開昭54−60052号公報、特開昭54−110049号公報、特開昭55−35676号公報、特開昭55−113490号公報、特開昭55−146190号公報、特開昭56−3091号公報等)ので、その詳細な説明は省略する。
【0020】
しかしながら、簡単に説明すれば図2に示すように、針棒11に固定され針板8に対し垂直方向に軌跡L10を描いて上下運動する針10と、針10の上下運動と同サイクルで軌跡L20を描く水平回転運動をする釜20とを備え、この針10に刺し通された上糸1と釜20に収納された下糸2とによって針板8に載置された被縫製体の一送り毎に被縫製体を貫通して垂直方向に往復運動する針10に刺し通した上糸1を針10の下死点から上昇する際に、針板8の下方にあって下糸2を収納し且つ水平回転運動する釜20の剣先21で掬って上糸1と下糸2とを交叉させて被縫製体の面に平行な縫目と垂直な縫目とから成る本縫部6を形成するものである。なお、針棒11は、上端部を機枠FRに枢支された針枠12によって上下方向に摺動自在に支持する運動変換機構である針棒クランクを有する針棒駆動部MT1によって上下運動する。また、釜(剣先)20は全回転のみならず、半回転であってもよく、要するにその軌跡L20と針10の軌跡L10とが交叉し、剣先21によって上糸1が掬われる動きをすればよいものである。
【0021】
また、図1に示すように、本縫縁かがり縫ミシンにおいて、縫製者が縫目切換ノブNBを回転し模様縫目切換ダイヤルDLをそれぞれの回転位置に合わせて各種縫モードに切換えることにより直線縫、ジグザグ縫等を行なうことができる。この縫モードに応じた本縫形成機構100も公知(周知)の構造である(特開昭48−50853号公報、特開昭49−32754号公報、特開昭50−73754号公報、特開昭54−4646号公報、特開昭54−6643号公報、特開昭54−120057号公報、特開昭55−16676号公報、実開昭55−216号公報、実開昭55−4787号公報、実開昭55−8406号公報等)が、例えば、針10を上下運動させる際、一針毎に布送り方向に対して垂直な方向に針10を移動させ布送りと協働してジグザク縫いや模様縫いを発生させる模様縫目発生装置(図示せず)や縫目切換装置110を備えている。なお、図1に示す本縫縁かがりミシンにおいては、模様縫目発生装置と縫目切換装置110とはユニット化されており、模様縫目発生装置は縫目切換装置110の後部に組み込まれている。
【0022】
この縫目切換装置110は図3、図4に示すように、縫目切換ノブNBの操作によって回転して模様縫目を設定する縫目切換軸111と、各種縫目が表示され縫目切換軸111の操作側軸端に固定される模様縫目切換ダイヤルDLとを有し、縫製者が縫目切換ノブNBを操作して縫目を選択的に切換えると、模様縫目発生装置の各種カムから必要なカムを選択し針振り量、針振り位置および針送り量が設定される機構を備えている。
【0023】
また、模様縫目発生装置および縫目切換装置110は、針落制御部520を介して本縫形成機構100を駆動制御している。針落制御部520は、一端が模様縫目発生装置に連結され他端が本縫形成機構100の針棒駆動部120に連結され、模様縫目発生装置からの駆動により針棒11を針棒駆動部120の針枠12で左右に往復移動させる針棒引棒526と、縫目切換装置110の縫目切換軸111の所定位置に固定される針落変換カム527と、針落変換カム527に係合され機枠FRに段ねじ537にて回動自在に固定される針落変換腕536と、針落変換腕536に針落変換リンク539を介して連結され針棒引棒526に係合される針落変換爪522とを備えている。
【0024】
針棒引棒526にはばね掛けピン526cが突設され、このばね掛けピン526cと機枠FRとの間には引張ばね529が張架されているので、針棒引棒526はミシンを正面から見て左方向に常時、付勢されている。また、針棒引棒526には針落変換爪522に係合する針落変換ピン526dが突設されている。この針落変換ピン526dに係合する針落変換爪522は、針落調節板521にねじ525にて固定され、針落調節板521は針落変換リンク539の一端にねじ523にて回動自在に連結されている。なお、ねじ525にて固定された針落調節板521と針落変換爪522とは、一体化された状態でねじ524にて回動自在に機枠FRに固定されている。針落変換リンク539の他端は、針落変換腕536の段ねじ537を挿通させる孔536eの近傍に当該針落変換リンク539に向かって突設される中間腕536cにねじ540にて回動自在に連結されている。また、針落変換腕536の上方向に配置される上側腕536aには安全ピン536bが突設され、針落変換カム527に係合するようになっている。なお、針落変換カム527には針落変換腕536の安全ピン536bを突入させるための凹部527aが形成され、また、針落変換腕536の下方向に配置される下側腕536dと機枠FRとの間には引張ばね538が張架されている。これにより、ミシンを正面から見て針落変換腕536が段ねじ537を中心にして時計回り方向に弾撥されることになるので、針落変換カム527の凹部527aに針落変換腕536の安全ピン536bを突入させることができる。
【0025】
さらに、針落制御部520は、ミシン本体前カバー(図示せず)に設けられた縁かがり縫切換釦BTにより動作し針落変換腕536を、ミシンを正面から見て時計回り方向に回転可能にする針落変換腕保持板532を有している。縁かがり縫切換釦BTは、圧縮ばね534により常時、ミシン本体前カバーから離反する方向に弾撥され、且つこの圧縮ばね534の弾撥力によりミシン本体前カバーから外れないように、軸用の止め輪535によって当該ミシン本体前カバーに押し込み操作が可能な状態で掛止されている。針落変換腕保持板532は、一端に縁かがり縫切換釦BTの先端で押圧するための受け部532aが形成され、他端に針落変換腕536の上側腕536aの端部を支える保持部532bが形成されている。このような針落変換腕保持板532は、機枠FRにねじ531で固定された針落変換腕保持台530に段ねじ533で回動自在に取付けられている。また、この針落変換腕保持板532を上から見て時計回り方向に弾撥するために、当該針落変換腕保持板532にはばね掛け部532cが、針落変換腕保持台530にはばね掛け部530aがそれぞれ形成され、このばね掛け部532cおよびばね掛け部530a間には引張ばね540が張架されている。これにより、針落変換腕保持板532の保持部532bは、針落変換腕536の上側腕536aの端部に圧接されることになる。さらに、針落変換腕保持台530には、縁かがり縫切換釦BTを操作する時の押し込み制限をするストッパ532bが形成されている。これにより、縁かがり縫切換釦BTを押し込み操作すると、段ねじ533を中心にして針落変換腕保持板532が上から見て反時計回り方向に回転するが、針落変換腕保持台530のストッパ532bにより回転が規制され、縁かがり縫切換釦BTを操作する時の押し込み制限が達成される。
【0026】
このように構成された本縫形成機構100による本縫形成動作について、図1、図5を参照して説明する。
【0027】
針10は、本縫縁かがり縫ミシンの機枠FRに軸支された回転軸、即ち上軸S1から針棒駆動部MT1を介して上下動する。また、上軸S1は針糸10の引き上げ繰り出しを行う天秤730を運動変換機構71(図10)によって上下に駆動する。この上軸S1は、モータMからタイミングベルトTB1を介してハンドプーリHPにより回転駆動される。また、針10が固定される針棒11を上下方向に摺動自在に支持する針枠12は、模様縫目発生装置により駆動制御される針棒引棒526によって一針毎に左右位置を変移させる。なお、針板8は、その針落ち穴PSが針10の左右位置の変移に対応できるように横長の形状に穿設されている。
【0028】
釜20は、本縫縁かがり縫ミシンの機枠FRに軸支された回転軸、即ち下軸S2から運動変換機構である釜駆動ねじ歯車MT2を介して回転される。釜駆動ねじ歯車MT2は下軸S2からの回転運動を送り方向へ90度方向転換してから釜20へ伝達するもので、従動側歯車202は釜20に固定され、原動側歯車201(図6)は下軸S2に嵌め込み固定されている。下軸S2はタイミングベルトTB2により上軸S1と同期し且つ2倍(1:2)に増速して回転駆動される。この釜20は、一針の上下運動に対し2回転して針10が最下点から上昇する時、針糸10のループを釜20の剣先21が掬うようにタイミングが調整されている。
【0029】
さらに、布送りのための送り歯FBの送り量も模様縫目発生装置により駆動制御される。この送り歯FBの布送り運動は、下軸S2から三角カムを有する送り駆動部120で駆動され、この送り駆動部120は送り歯FBを上昇させて被縫製体を上方に押し上げ、この状態のまま送り歯FBを前進させて被縫製体を前方に移動させ、さらに、送り歯FBを下降させて被縫製体を針板8上に残し、送り歯FBを元の位置に後退させることにより布送りの一工程となる。
【0030】
また、本縫縁かがり縫ミシンは図1、図2に示すように、針板8の上下を実質的に円弧状の軌跡L30を描く往復運動をし、針板8の上方で針10の軌跡L10と交叉する上ルーパ30、針板8の下方で実質的に円弧状の軌跡L40を描き、針10の軌跡L10および上ルーパ30の軌跡L30とそれぞれ交叉する下ルーパ40にそれぞれ剌し通された上ルーパ糸3、下ルーパ糸4によって縁かがり部7を形成するルーパ駆動機構50を備えている。
【0031】
このルーパ駆動機構50は、上ルーパ30、下ルーパ40が針板8の下方にそれぞれ設けられ、各剣先31、41を縫方向で見て針10の手前側の側面を通過するように同方向に向いて配置され、かつ上ルーパ30、下ルーパ40をその軌跡L30、40が互いに実質的に平行な面で運動するように上ルーパ30、下ルーパ40を駆動するものであって、針10の軌跡L10と針板8の上方で交叉し針板8を貫通する円弧状の軌跡L30を描いて往復運動する上ルーパ30に刺し通した上ルーパ糸3を上ルーパ30が上死点から下降する時に上死点から下降する針10で掬い、針板8の下方で針10の軌跡L10および上ルーパ30の軌跡L30とそれぞれ交叉する軌跡L40を描いて往復運動する下ルーパ40に刺し通された下ルーパ糸4を下ルーパ40がその軌跡L40の一端から他端へ移動する時に針板8の下方で、下降する針10で掬い、下ルーパ40が他端へ移動する時に下ルーパ糸4を下死点から上昇する上ルーパ30が掬うことにより、上ルーパ糸3と下ルーパ糸4が被縫製体5の縁部5cで交叉すると共に上ルーパ糸3が被縫製体5の上面5aを通って本縫部6と交叉し、下ルーパ糸4が被縫製体5の下面5bを通って本縫部6と交叉して成る縁かがり部7を形成するようにルーパ駆動部60(図6、図7)を備えている。
【0032】
ルーパ駆動部60は針板8の下方に設けられ、図6、図7に示すように、下軸S2からの回転運動が後述するクラッチ500を介して伝達され、下軸S2により駆動されるルーパ駆動軸61の一端に取付けられたクランク61bと、クランク61bに連結された下ルーパ駆動リンク62と、下ルーパ駆動リンク62に連結されて下ルーパ40を担持する下ルーパ取付腕63と、機枠FRに軸支され上ルーパ30を一端で担持する上ルーパ取付腕64と、下ルーパ駆動リンク62および上ルーパ取付腕64間を連結する上ルーパ駆動リンク65とから成り、これらクランク61c等が機枠FRに取付けられたルーパ基台601に組み込まれている。具体的には、ルーパ駆動軸61はルーパ基台601に回動自在に固定され、クランク61bのクランクピン61cが下ルーパ駆動リンク62の一端に回動自在に連結されている。この下ルーパ駆動リンク62の他端は下ルーパ取付腕63の一端に回動自在に連結され、下ルーパ取付腕63の他端はルーパ基台601に軸支されている。また、上ルーパ取付腕64の他端はルーパ基台601に固定された上ルーパ取付腕軸602に枢着されている。
【0033】
このようなルーパ駆動部60による縁かがり縫動作について、図5、図6、図7、図8を参照して説明する。
【0034】
下軸S2が回転すると、クラッチ500を介してルーパ駆動軸61が回転運動し、このルーパ駆動軸61のクランク61bに連結された下ルーパ駆動リンク62はこの回転運動を左右往復運動に変換する。下ルーパ駆動リンク62が左右往復運動すると、下ルーパ取付腕63のルーパ基台601に対する軸支点を中心にして当該下ルーパ取付腕63が揺動するので、下ルーパ取付腕63が担持する下ルーパ40が針板8の下方でミシンを正面から見て針10の右側から左側までの間で円弧状に揺動する(図2(a))。また、下ルーパ駆動リンク62が左右往復運動すると、下ルーパ駆動リンク62と上ルーパ取付腕64とを連結する上ルーパ駆動リンク65によって上ルーパ取付腕64が、ルーパ基台601の上ルーパ取付腕軸602を中心にして左右往復運動を上下往復運動に変換する。上ルーパ取付腕64が上ルーパ取付腕軸602を中心にして上下往復運動すると、上ルーパ30はミシンを正面から見て針10の右側且つ下ルーパ40の剣先41の下方から、ミシンを正面から見て針10の左側且つ針板8の上方までの間で円弧状に揺動する(図2(a))。
【0035】
このようなルーパ駆動部60に下軸S2からの動力を伝達・遮断するクラッチ500は、縁かがり部7の形成時には下軸S2からルーパ駆動軸51へ動力を伝達して本縫部6および縁かがり部7を形成させ、本縫部6の形成時には上ルーパ30を下死点において待避させ下軸S2からルーパ駆動軸51へ動力を遮断して本縫部6を形成させるもので(図2(b))、運動変換機構であるルーパ駆動ねじ歯車MT3を備えている(図1)。このルーパ駆動ねじ歯車MT3は図6に示すように、下軸S2からの回転運動を送り方向へ90度方向転換してからルーパ駆動部60へ伝達するもので、従動側歯車509はルーパ基台601に回動自在に固定されたルーパ駆動軸61の他端に固定され、原動側歯車505は下軸S2に摺動自在に嵌め込まれている。
【0036】
また、クラッチ500は、機枠FRにねじ504で固定され原動側歯車505の一端に形成された凹部505bに嵌合させるルーパ駆動ねじ歯車ストッパ503と、下軸S2の一端に固定され端面に原動側歯車505の他端に形成されたクラッチ爪505cを嵌合させるクラッチ係合凹部506aが形成されているクラッチ受け506と、釜駆動ねじ歯車MT2の原動側歯車201およびルーパ駆動ねじ歯車MT3の原動側歯車505間に位置するように下軸S2に遊嵌され原動側歯車505のクラッチ爪505cがクラッチ受け506のクラッチ係合凹部506aに係合可能な方向に弾撥するクラッチばね508と、機枠FRおよび機枠FRに固定されたルーパ駆動ねじ歯車ストッパ503に段ねじ502によってスライド可能に取付けられルーパ駆動ねじ歯車MT3の原動側歯車505に形成された移動溝505aに嵌合するL形先端部501aが一端に形成されるクラッチ切換リンク501とを有している。
【0037】
このクラッチ500のクラッチ切換リンク501は図3、図4に示すように、針落ち制御部520に連動するクラッチ制御部510に連結されている。クラッチ制御部510はクラッチ切換リンク501の他端と、針落ち制御部520が有する針落変換腕536の下側腕536dの端部とを連結するクラッチ制御リンク511を有している。このクラッチ制御リンク511は、針落変換腕536の下側腕536dの端部と連結する一端に長穴511aが穿設され、段ねじ514で針落変換腕536と連結することによりスライド可能になる。また、クラッチ制御リンク511のクラッチ切換リンク501の他端と連結する他端には連結穴511bが穿孔され、クラッチ切換リンク501の他端には調節用長穴501bが穿設されており、このクラッチ制御リンク511の連結穴511bには連結駒512が遊嵌され、この連結駒512にクラッチ切換リンク501が調節用長穴501bで位置調節可能にねじ513および座金515で固定されている。さらに、クラッチ制御リンク511に設けられたばね掛け穴511cと、針落変換腕536の下側腕536dに設けられたばね掛け穴との間には引張ばね517が張架されている。これにより、クラッチ制御リンク511が針落変換腕536に引き寄せられる方向に常時、弾撥されていることになる。
【0038】
このように構成されたクラッチ500およびクラッチ制御部510において、縁かがり縫いを行う場合、針落変換腕536が引張ばね538の弾撥力によりミシンを正面から見て時計回り方向に回転することから、針落変換腕536の下側腕536dの端部に連結されたクラッチ制御リンク511が左方向に移動するので、クラッチ制御リンク511に連結されているクラッチ切換リンク501も左方向へ移動する。このクラッチ切換リンク501が左方向へ移動すると、ルーパ駆動ねじ歯車MT3の原動側歯車505の移動溝505aに嵌合したクラッチ切換リンク501のL形先端部501aが原動側歯車505を左方向へ移動して、この原動側歯車505の凹部505bがルーパ駆動ねじ歯車ストッパ503から解離すると共に、下軸S2に固定されたクラッチ受け506のクラッチ係合凹部506aに原動側歯車505のクラッチ爪505cが係合する(図9(a))。これにより、下軸S2の回転運動が原動側歯車505を介して従動側歯車509に伝達されるので、ルーパ駆動部60の上ルーパ30、下ルーパ40が駆動する。
【0039】
また、縁かがり縫いを終了する場合、針落変換腕536が引張ばね538の弾撥力に抗してミシンを正面から見て反時計回り方向に回転することから、針落変換腕536の下側腕536dの端部に連結されたクラッチ制御リンク511が右方向に移動するので、クラッチ制御リンク511に連結されているクラッチ切換リンク501も右方向へ移動する。このクラッチ切換リンク501が右方向へ移動すると、ルーパ駆動ねじ歯車MT3の原動側歯車505の移動溝505aに嵌合したクラッチ切換リンク501のL形先端部501aが原動側歯車505を右方向へ移動して、この原動側歯車505の凹部505bが圧縮ばね508の弾撥力に抗してルーパ駆動ねじ歯車ストッパ503に嵌合可能となると共に、下軸S2に固定されたクラッチ受け506のクラッチ係合凹部506aが原動側歯車505のクラッチ爪505cから解離する(図9(b))。これにより、下軸S2の回転運動が原動側歯車505に伝達されなくなるので従動側歯車509は回転せず、ルーパ駆動部60の上ルーパ30、下ルーパ40は停止する。
【0040】
このようなルーパ駆動機構50を備えた本縫縁かがり縫ミシンは、さらに、本縫縁かがり縫ミシンの回転軸、即ち、上軸S1に連動する運動変換機構71(図10、図11)を介して上下動する上メス72と、上メス72と協働する下メス73とにより布5(図2)の布縁5cを切断するメス駆動機構70を備えてもよい。
【0041】
このメス駆動機構70には、機枠FRに枢支され上メス72を摺動自在に案内するメス駆動部74(図1、図10)が設けられている。
【0042】
運動変換機構71は、メス駆動部74のメス作動時に上メス72に動力を伝達し、メス駆動部74をメス非作動時に待避位置に枢動して上メス72に動力を遮断するクラッチ75(図10)を介して上メス72に連結されている。
【0043】
運動変換機構71は、図1、図10、図11、図12に示すように回転軸としての上軸S1および機枠FRを結ぶ4リンク76、77(78)、79、80から成る第1の4節回転連鎖LK1と、第1の4節回転連鎖LK1の1つのリンク79および機枠FRの節N4を使用しクラッチ75の駆動部751を他の1つのリンク82とする4リンク79、81、82、83から成る第2の4節回転連鎖LK2とから構成されている。なお、第1の4節回転連鎖LK1においては、リンク77にリンク78が固着され、このリンク78がリンク80に連結されている。また、リンク76は固定リンクである。
【0044】
図11に示す実施例において、運動変換機構71は、回転軸としての上軸S1から天秤730を上下に駆動する機構から運動を取り出して運動変換し上メス72を上下動させるものである。ただし、運動変換機構71は、回転軸としての上軸S1から針10を上下に駆動する機構から運動を取り出して運動変換し上メス72を上下動させてもよいものである。天秤730は上軸S1から4リンク76、77(78)、79、80により上下に駆動される。
【0045】
クラッチ75は、図10、図13に示すように駆動部751として他の1つのリンク82に形成されたピン84と、従動部741として上メス72に形成されピン84が嵌合する長溝85とから成る。ピン84は駆動部751としての他の1つのリンク82の折曲がった下端部の取付穴752にナット753で螺着されている。
【0046】
メス駆動部74には従動部741としてのメス駆動板742に下メス73が摺動自在に装着されている。この摺動構造を達成するために、下メス73はビス743により摺動板744に固定されている。枢動部材745の突起746が摺動板744の開口747とメス駆動板742の開口748とに嵌入して止め具749にビス760で枢動部材745が固定されている。このためメス駆動部74は摺動板744、即ち、下メス73を開口747、748と突起746の相対的寸法内で摺動自在に装着することになる。
【0047】
メス駆動部74のメス駆動板742には上メス72がピン761により取替自在に装着されている。上メス72を下メス73に押圧するメス側圧弾撥部材88を備えている。メス側圧弾撥部材88は弾性U型部材で構成されピン763により摺動板744に枢着されるもので、上メス72がピン761でメス駆動板742に装着された状態で弾性U型部材762を嵌め込んで当該弾性U型部材762を保持し上メス72を下メス73に押圧している。
【0048】
下メス73は図14、図15に示すように、メス作動時にメス駆動部74を針10の針落ち位置PSに対して針板8が有する位置決め板86の位置決め凹部86aに位置決めする位置決め係止部87を有する。位置決め凹部86aが形成された位置決め板86は、針落ち位置PSに対して縫幅Wを可変できるように左右に位置調節自在に構成されている。即ち、位置決め板86は針板8に設けられた凹部8aに対して縫幅W方向へ可変できるように左右に位置調節自在に組み込まれ、位置決め後、ねじ等により固定される。
【0049】
メス駆動部74は、下メス73を摺動自在に装着しており、メス作動時に位置決め係止部87を針板8が有する位置決め板86の位置決め凹部86aに押圧する位置決め弾撥部材89を備えている。位置決め弾撥部材89は枢動部材745に開けられた取付け穴に挿入されピン763で固定される受板764と枢動部材745との間に嵌挿され、メス作動時に位置決め係止部87を位置決め板86の位置決め凹部86aに押圧する。
【0050】
メス駆動部74の枢動部材745はピン765により止め具766の枢着穴767に枢支されている。止め具766は止め腕768により機枠FRに固定されている。このようにしてメス駆動部74は機枠FRに枢支され上メス72を摺動自在に案内する。
【0051】
また、位置決め弾撥部材89、受け板764を用いることなく、図16に示すようにメス駆動部74は、下メス73を摺動自在に装着し、メス作動時に位置決め係止部87を、針板8が有する位置決め板86の位置決め凹部86aに嵌着させる位置決め偏芯カム90を備えてもよい。この偏芯カム90を備えたメス駆動部74は、クラッチ75の部品である駆動部751のピン84に嵌合させる溝85′が設けられ且つ上メス72が固着されるメス駆動体942と、このメス駆動体942に並設される摺動案内体946と、この摺動案内体946に並設され下メス73が固着される摺動体944と、これら3部品が上からメス駆動体942、摺動案内体946および摺動体944の順で摺動自在に嵌挿される摺動軸948とから構成されている。
【0052】
摺動案内体946には、摺動体944に形成された凸部944aが摺動軸948の軸方向に摺動可能に嵌合する案内溝が形成され、さらに摺動体944に係合する枢動部材945が固着されている。なお、摺動案内体946は摺動軸948にビスにて固定されている。摺動体944は、一端部にカムフォロアとしての溝部を備え、枢動部材945に開けられた軸穴を軸心として操作つまみ91によって回転自在に装着された位置決め偏芯カム90の回転運動により上下に移動することになる。また、メス駆動体942には、上メス72を下メス73に押圧するメス側圧弾性部材950が固着されている。さらに、メス駆動部74の枢動部材945はピンにより止め具766の枢着穴767に枢支されている。止め具766は止め腕768により機枠FRに固定されている。このようにしてメス駆動部74は機枠FRに枢支され上メス72を摺動自在に案内する。
【0053】
このような構成のメス駆動部74によれば、操作つまみ91を回転させることにより位置決め偏芯カム90が偏芯し下メス73を上方に移動させることができるので、下メス73の位置決め係止部87が、針板8が有する位置決め板86の位置決め凹部86aに嵌まり込んでいる状態を解除させることができる。また、操作つまみ91の回転操作により下メス73を下方に移動させ、下メス73の位置決め係止部87を針板8が有する位置決め板86の位置決め凹部86aに嵌め込むことができる。
【0054】
このように構成された本縫縁かがり縫ミシンによる本縫縁かがり縫動作について以下説明する。
【0055】
ここで、本縫縁かがり縫の縫目は図2に示すように、上糸1および下糸2から成る本縫部6と2本のルーパ糸である上ルーパ糸3、下ルーパ糸4から成る縁かがり部7とを有し、本縫部6と縁かがり部7とが互いに交叉することにより形成される。すなわち上糸1と下糸2はそれぞれ被縫製体、例えば二枚重ねの布5の上面5aと下面5bとに布面に平行な縫目1a、2aを形成すると共に、互いに布5の垂直方向で例えば厚さ方向の中央付近で交叉して布5を貫通する縫目を形成することによって本縫部6を形成する。
【0056】
一方、上ルーパ糸3および下ルーパ糸4は、布5の縁部5cのほつれを防止する縁かがり部7を形成するもので、布5の縁部5cにおいて互いに交叉すると共に、上ルーパ糸3は布5の上面5aを通って本縫部6の上端と交叉し、下ルーパ糸4は布5の下面5bを通って本縫部6の下端と交叉する。
【0057】
このように本縫縁かがり縫の縫目は1本の針糸である上糸1と、釜糸である下糸2と、2本のルーパ糸3、4で構成され、上糸1と下糸2で形成される本縫部6に対し、ルーパ糸3、4で形成される縁かがり部7が布の両面で交叉して本縫と縁かがりの双方が連結し合って縫目を構成している。
【0058】
このような本縫と縁かがり縫の双方が連結し合って構成される縫目を形成する本縫縁かがり縫ミシンにおいて、まず、縫製者が縁かがり縫いを行う場合には、縫目切換ノブNBを操作して例えば直線縫いで且つ送り量が縁かがり縫いに最適な量を選択することにより、縫目切換装置110の縫目切換軸111が針落変換カム527の凹部527aに針落変換腕536の安全ピン536bを突入させることができるような位置に回転する(図3、図4)。
【0059】
この状態で縫製者が圧縮ばね534の弾撥力に抗して縁かがり縫切換釦BTを押し込むと、縁かがり縫切換釦BTの先端が針落制御部520の針落変換腕保持板532の受け部532aを押圧して当該針落変換腕保持板532を反時計回り方向に回転させ、針落変換腕保持板532のストッパ532bが退行するので、このストッパ532bで支えられていた針落変換腕536は引張ばね538の弾撥力により段ねじ537を中心にして時計回り方向に回転する。これにより、針落変換腕536の安全ピン515bが針落変換カム527の凹部527aの底面に当接するまで突入する(図3、図4)。
【0060】
また、針落変換腕536が段ねじ537を中心にして時計回り方向に回転すると、針落変換腕536の中間腕536cは連結された針落変換リンク539を上方向へ押し上げ、一体化された針落調節板521および針落変換爪522を時計回り方向に回転させる。針落変換爪522はこの回転により針棒引棒526に固定された針落変換ピン526dを介して、引張ばね529によって左方向に弾撥された当該針棒引棒526を右方向へ移動させる(図1、図3)。これにより、縫目切換装置110の針落位置制御に拘らず針落位置を縁かがり縫に最適な最右点に変移させることができる。なお、この縁かがり縫に最適な最右点の針位置精度が部品自体や組立てによって生じる誤差によって悪くならないようにするために、針落変換爪522を針落変換爪522にねじ525で固定させ、針位置調整が必要な場合にはねじ525を緩め針落変換爪522の位置調整ができるようになっている。
【0061】
さらに、針落変換腕536が段ねじ537を中心にして時計回り方向に回転すると、針落変換腕536の下側腕536dの端部に連結されたクラッチ制御リンク511を介してクラッチ切換リンク501が左方向へ移動するので(図1、図3、図4、図6)、ルーパ駆動ねじ歯車MT3の原動側歯車505の移動溝505aに嵌合したクラッチ切換リンク501のL形先端部501aが原動側歯車505を左方向へ移動して、この原動側歯車505の凹部505bがルーパ駆動ねじ歯車ストッパ503から解離すると共に、下軸S2に固定されたクラッチ受け506のクラッチ係合凹部506aに原動側歯車505のクラッチ爪505cが係合する(図9(b))。これにより、下軸S2の回転運動が原動側歯車505を介して従動側歯車509に伝達されるので、ルーパ駆動部60の上ルーパ30、下ルーパ40が駆動することになる。
【0062】
このようにルーパ駆動部60の上ルーパ30、下ルーパ40が駆動可能になった状態において、本縫部6は針10に刺し通された上糸1が針棒駆動部MT1による針10の上下運動に追従して布5を貫通した後、針10が下死点から上昇し始めた時にR点で釜20の剣先21が上糸1を掬うことにより上糸1と下糸2が交叉し、更に上方に戻る針10および天秤730によって上糸1が引き上げられる時、下糸2を引き上げることによって形成され、一回の布送り毎に上記動作が繰り返されることにより連続した本縫部6が形成される(図2)。
【0063】
また、縁かがり部7は上死点にいた上ルーパ30が上ルーパ取付腕64の上下往復運動の際、下降してくる途中P点で針10によって上ルーパ糸3が掬われることにより、まず本縫部6の上端と上ルーパ糸3が布上面で交叉する(図8(a))。
【0064】
次に、下ルーパ取付腕63の左右往復運動の際、最左点から右方に移動する下ルーパ40の下ルーパ糸4がQ点において上死点から下降してくる針10によって掬われることにより、本縫部6の下端と下ルーパ糸4が布下面で交叉する(図8(b))。さらに、下ルーパ取付腕63の左右往復運動の際、右方に後退する下ルーパ40の下ルーパ糸4が、S点において上ルーパ取付腕64により下死点から上昇してくる上ルーパ30によって掬われることにより、布5縁部5cにおいて、上ルーパ糸3と下ルーパ糸4が交叉し、縁かがり部7が形成される(図2)。縁かがり部7も又、一回の布送りを一周期として繰り返されることにより、図17(a)に示すような、各本縫の一目毎に縁かがり部7が交叉した縫目が得られる。
【0065】
また、ミシンの回転軸、図示の例で上軸S1の回転運動はこれに連動する運動変換機構71(図1、図10、図11、図12)を介して上下動運動に変換される。即ち、上軸S1が回転すると第1の4節回転連鎖LK1のリンク77、78をクランクとしリンク80を連結棒とし、リンク79をロッカアームとして揺動させる。リンク79の揺動により第2の4節回転連鎖LK2のリンク81が揺動され、リンク82、したがってクラッチ75の駆動部751が上下動する。なお、リンク82の運動軌跡は4節回転連鎖機構LK1、LK2により楕円軌跡を描き、駆動部751の近郊PL点では垂直方向に近似直線の軌跡を描いて機枠FRに固着された案内板755の案内長穴755aを貫通してリンク82のPL点に留められたガイドピン754によってメス駆動部74からの反動を支えている(図10、図11、図13)。これにより、駆動部751は横方向の運動が規制され上下動運動のみが上軸S1の1回転についてストロークt(図11)で得られる。
【0066】
運動変換機構71で運動変換された上下動運動はクラッチ75の駆動部751のピン84と、従動部741としてのメス駆動部74のメス駆動板742のピン84が嵌合する長溝85を介して上メス72に伝達される。下メス73の位置決め係止部87が、針板8が有する位置決め板86の位置決め凹部86aに嵌まり込んでメス駆動部74を針10の針落ち位置PSに対して位置決めしているメス作動状態(図14)では、機枠FRに枢支されたメス駆動部74のメス駆動板742により上メス72は摺動板744上で摺動自在に案内される。このメス作動状態では、メス駆動部74はピン765の周りで垂直状態に維持され、長溝85の長手方向が水平方向を向いているためクラッチ75の駆動部751のピン84と従動部741の長溝85は動力伝達されメス駆動部74のメス作動時に上メス72に動力を伝達し、この上下動運動で上メス72と、上メス72と協働する下メス73とにより布5の布縁5cを切断する。
【0067】
このようにして布5の布縁5cを切断して本縫等を行うことにより、縁かがり縫作業を同時に実行可能となる。
【0068】
また、縁かがり縫から本縫に切換えるには、ミシンを停止させてから縫目切換ノブNBを操作して直線縫い以外を選択することにより、縫目切換装置110の縫目切換軸111が回転して当該縫目切換軸111の所定位置に固定されている針落変換カム527の凹部527aから針落変換腕536の安全ピン536bを離脱させるので、針落変換腕536は引張ばね538の弾撥力に抗して段ねじ537を中心にして反時計回り方向に回転する(図1、図3、図4)。これにより、針落変換腕536の中間腕536cは連結された針落変換リンク539を下方に引っ張るので、一体化された針落調節板521および針落変換爪522が反時計回り方向に回転する。針落変換爪522が反時計回り方向に回転すると、引張ばね529の弾撥力により針棒引棒526は左方向へ移動するので、本縫に最適な針位置となる。
【0069】
さらに、針落変換腕536が段ねじ537を中心にして反時計回り方向に回転すると、針落変換腕536の下側腕536dがクラッチ制御リンク511を右方向へ移動させようとするが、ルーパ駆動ねじ歯車MT3の原動側歯車505の凹部505bと、機枠FRに固定されたルーパ駆動ねじ歯車ストッパ503とが同位置にない場合にはこれらは嵌合できないので、針落変換腕536は下側腕536dに固定されている段ねじ514を、引張ばね517の弾撥力に抗してクラッチ制御リンク511の長穴511a内で右方向へスライドさせることになる(図1、図3、図4、図6、図9)。したがって、原動側歯車505の凹部505bとルーパ駆動ねじ歯車ストッパ503とが嵌合する上ルーパ30が最下点のタイミング位置まで上軸S1に固定されたハンドプーリHPを回転させれば、クラッチ制御リンク511が引張ばね517の弾撥力により右方向へ移動するので、原動側歯車505の移動溝505aに嵌合したクラッチ切換リンク501のL形先端部501aが原動側歯車505を右方向へ移動させることができる。これにより、下軸S2に固定されたクラッチ受け506のクラッチ係合凹部506aから原動側歯車505のクラッチ爪505cが解離して下軸S2の回転運動が遮断され、原動側歯車505は回転できなくなるので、ルーパ駆動部60の上ルーパ30、下ルーパ40を針板8の下方の所定位置に待避させることができる。
【0070】
なお、上記実施例では、上ルーパ糸3および下ルーパ糸4はそれぞれ隣接するすべての本縫部6と交叉しているが、例えば図17(b)に示すように、本縫部6の一つおきに縁かがり部7が交叉していてもよい。この場合、針10の2周期の運動のうち1周期だけ上ルーパ30および下ルーパ40が1周期分運動するように、下軸S2とルーパ駆動部60との回転数の比を設定すればよい。
【0071】
また上記実施例において上糸1と下糸2の縫目1a、2aはそれぞれ直線状であるが、図17(c)に示すように一つの縫目ごとにジクザク状であっても、あるいは複数の縫目ごとに折線状であってもよい。
【0072】
一方、縁かがり縫切換釦BTを押し込まなければ、針落変換腕536が引張ばね538の弾撥力によって段ねじ537を中心にして時計回り方向に弾撥されていても、当該針落変換腕536の上側腕536aが針落変換腕保持板532の保持部532bによって回転が規制されているので、縫目切換ノブNBで本縫いを選択した場合でも、針落変換カム527の凹部527aに針落変換腕536の安全ピン536bが突入することはない(図1、図3)。また、その他の縫いを選択した場合には、縫目切換ノブNBをこれら縫いができるように操作するので、縫目切換装置110の縫目切換軸111は針落変換カム527の凹部527aに針落変換腕536の安全ピン536bが突入できない位置に回転する(図1、図3)。
【0073】
したがって、この状態では、針落変換爪522は針棒引棒526を右方向へ移動させることはなく、また、クラッチ制御部510のクラッチ切換リンク501は引張ばね517の弾撥力により右方向に移動しているので、クラッチ500の原動側歯車505のクラッチ爪505cがクラッチ受け506の凹部506aから解離した状態になっている(図9(a))。したがって、原動側歯車505の凹部505bにねじ歯車ストッパ503が係合して下軸S2の回転運動が遮断され、原動側歯車505は回転できなくなるので、ルーパ駆動部60の上ルーパ30、下ルーパ40を針板8の下方の所定位置に待避させることができる。
【0074】
また、布5の布縁5cを切断することなく本縫のみを行いたいメス非作動状態時には図15に示すように、摺動板744を持ち上げて又は操作つまみ91によって偏芯カム90を回動し(図16)、下メス73の位置決め係止部87が、針板8が有する位置決め板86の位置決め凹部86aに嵌まり込んでいる状態を解除してメス駆動部74をピン765の周りで水平状態の待避位置に枢動することにより、長溝85の長手方向が垂直方向を向くためクラッチ75の駆動部751のピン84は従動部741の長溝85内で遊動するだけとなり上メス72への動力を遮断する。
【0075】
このようにしてメス駆動部74を水平状態の待避位置に枢動する簡便な操作により布5の布縁5cを切断することなく本縫のみを行なう作業に切換えるこえることが可能である。
【0076】
なお、本発明のミシンのルーパ駆動機構を本縫縁かがり縫ミシンに適用したその好ましい実施の形態例によれば水平回転運動をする水平釜を使用したが、これに限らず、針に刺し通した上糸を針の下死点から上昇する際に、上糸と下糸とを交叉させて被縫製体の面に平行な縫目と垂直方向の縫目とから成る本縫部を形成することができれば、どのような釜を使用してもよい。
【0077】
また、メス駆動機構70、針落制御部520、クラッチ500およびクラッチ制御部510は上述したような構造に限らず、メス駆動機構70は布縁を切断して本縫で縁かがり縫を行う作業と、布縁を切断することなく本縫を行う作業とを切換えて実行する、針落制御部520は縁かがり縫切換釦BTに連動して針落ち位置を変移させる、クラッチ500は縁かがり部7の形成時には本縫部6および縁かがり部7を形成し、本縫部6の形成時には本縫部6のみを形成する、クラッチ制御部510はクラッチ500を縫目切換ノブNBに連動させて制御することがそれぞれできるのであれば、どのような構造のものでもよい。
【0078】
さらに、ルーパ駆動部60も上述したような構造に限らず、上ルーパ30、下ルーパ40が針板8の下方にそれぞれ設けられ、各剣先31、41を縫方向で見て針10の手前側の側面を通過するように同方向に向いて配置され、且つ上ルーパ30、下ルーパ40をその軌跡が互いに実質的に平行な面で運動するように上ルーパ30、下ルーパ40を駆動するものであって、針10の軌跡と針板8の上方で交叉し針板8を貫通する円弧状の軌跡を描いて往復運動する上ルーパ30に刺し通した上ルーパ糸3を上ルーパ30が上死点から下降する時に上死点から下降する針10で掬い、針板8の下方で針10の軌跡L10および上ルーパ30の軌跡L30とそれぞれ交叉する軌跡L40を描いて往復運動する下ルーパ40に刺し通された下ルーパ糸4を下ルーパ40がその軌跡L40の一端から他端へ移動する時に針板8の下方で、下降する針10で掬い、下ルーパ40が他端へ移動する時に下ルーパ糸4を下死点から上昇する上ルーパ30が掬うことにより、上ルーパ糸3と下ルーパ糸4が被縫製体5の縁部5cで交叉すると共に上ルーパ糸3が被縫製体5の上面5aを通って本縫部6と交叉し、下ルーパ糸4が被縫製体5の下面5bを通って本縫部6と交叉して成る縁かがり部7を形成することができれば、どのような構造のものでもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明のミシンのルーパ駆動機構によれば、上ルーパ、下ルーパを針板の下方にそれぞれ設け、各剣先を縫方向で見て針の手前側の側面を通過するように同方向に向いて配置し、且つ上ルーパ、下ルーパをその軌跡が互いに実質的に平行な面で運動するように上ルーパ、下ルーパを駆動することができるので、本縫と縁かがり縫との機能を兼ね備えることができ、而も複数の布地をしっかり縫い合わせると同時にそれらの布の縁部を縁かがりすることができ、また、糸の労費を最小限にとどめることができる。
【0080】
また、本発明のミシンのルーパ駆動機構によれば、針と2本のルーパによって本縫と縁かがり縫とを個別に形成できるので、1台のミシンで容易且つ安価に本発明の縫目を実現することができ、而もその場合、わずかな変更だけで他の縫目を形成することができる。
【0081】
さらに、縁かがり部の形成時には、下軸からルーパ駆動軸へ動力を伝達して本縫部および縁かがり部を形成し、本縫部の形成時には上ルーパを下死点において待避させ下軸からルーパ駆動軸へ動力を遮断して本縫部を形成するようにクラッチで切換えることができるので、本縫と縁かがり縫とを別個にする手間と時間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のミシンのルーパ駆動機構を適用した本縫縁かがり縫ミシンの一実施例を示す全体斜視図。
【図2】 (a)、(b)は本発明のミシンのルーパ駆動機構を適用した本縫縁かがり縫ミシンの動作を簡単に示す説明図。
【図3】 本発明のミシンのルーパ駆動機構における縫目切換装置、針落制御部およびクラッチ制御部を示す分解斜視図。
【図4】 本発明のミシンのルーパ駆動機構における針落制御部およびクラッチ制御部を示す説明図。
【図5】 本発明のミシンのルーパ駆動機構を適用した本縫縁かがり縫ミシンの駆動系統を示すブロック図。
【図6】 本発明のミシンのルーパ駆動機構におけるクラッチ制御部およびルーパ駆動部を示す分解斜視図。
【図7】 本発明のミシンのルーパ駆動機構におけるルーパ駆動部を示す上面図。
【図8】 本発明のミシンのルーパ駆動機構におけるルーパ駆動部の作動状態を示す説明図で、(a)は針が上ルーパ糸を掬う点の図、(b)は針が下ルーパ糸を掬う点の図。
【図9】 本発明のミシンのルーパ駆動機構におけるクラッチの作動状態を示す説明図で、(a)は下軸からルーパ駆動軸への動力を遮断した状態の図、(b)は下軸からルーパ駆動軸への動力を伝達した状態の図。
【図10】 本縫縁かがり縫ミシンに使用されるメス駆動機構における運動変換機構およびメス駆動部を示す斜視図。
【図11】 (a)、(b)は本縫縁かがり縫ミシンに使用されるメス駆動機構における運動変換機構の作動状態を示す説明図。
【図12】 本縫縁かがり縫ミシンに使用されるメス駆動機構における運動変換機構の動作を示す説明図。
【図13】 本縫縁かがり縫ミシンに使用されるメス駆動機構における運動変換機構およびメス駆動部を示す分解斜視図。
【図14】 本縫縁かがり縫ミシンに使用されるメス駆動機構におけるメス作動状態を示す斜視図。
【図15】 本縫縁かがり縫ミシンに使用されるメス駆動機構におけるメス非作動状態を示す斜視図。
【図16】 本縫縁かがり縫ミシンに使用されるメス駆動機構における他の実施例のメス駆動部を示す図で、ミシンの裏側から見た状態の斜視図。
【図17】 本発明のミシンのルーパ駆動機構を適用した本縫縁かがり縫ミシンで形成した縫目を示すで、(a)は本縫部の一目毎に縁かがり部が交叉した縫目の説明図、(b)は本縫部の一つおきに、あるいは二つおきに縁かがり部が交叉した縫目の説明図、(c)は本縫部が一つの縫目毎にジグザク状、あるいは複数の縫目毎に折線状になる縫目の説明図。
【図18】 本縫用ミシンに取付けて使用する本縫縁かがりアッタッチメントの構成を示す斜視図。
【符号の説明】
1‥‥‥上糸
2‥‥‥下糸
3‥‥‥上ルーパ糸
4‥‥‥下ルーパ糸
6‥‥‥本縫部
7‥‥‥縁かがり部
8‥‥‥針板
10‥‥‥針
20‥‥‥釜
21‥‥‥剣先
30‥‥‥上ルーパ
31‥‥‥剣先
40‥‥‥下ルーパ
41‥‥‥剣先
50‥‥‥ルーパ駆動機構
60‥‥‥ルーパ駆動部
61‥‥‥ルーパ駆動軸
61c‥‥‥クランク
62‥‥‥下ルーパ駆動リンク
63‥‥‥下ルーパ取付腕
64‥‥‥上ルーパ取付腕
65‥‥‥上ルーパ駆動リンク
500‥‥‥クラッチ
S2‥‥‥下軸
FR‥‥‥機枠
L10‥‥‥針の軌跡
L30‥‥‥上ルーパの円弧状の軌跡
L40‥‥‥下ルーパの円弧状の軌跡
Claims (2)
- 針板に対し垂直方向に軌跡を描いて上下運動する針に刺し通された上糸と釜に収納された下糸とによって前記針板に載置された被縫製体の一送り毎に前記被縫製体を貫通して垂直方向に往復運動する前記針に刺し通した前記上糸を前記針の下死点から上昇する際に、前記針板の下方にあって下糸を収納し且つ回転運動する釜の剣先で掬って前記上糸と前記下糸とを交叉させて前記被縫製体の面に平行な縫目と垂直方向の縫目とから成る本縫部を形成すると共に、前記針板の上下を実質的に円弧状の軌跡を描く往復運動をし、前記針板の上方で前記針の軌跡と交叉する上ルーパ、前記針板の下方で実質的に円弧状の軌跡を描き、前記針の軌跡および前記上ルーパの軌跡とそれぞれ交叉する下ルーパにそれぞれ剌し通された上ルーパ糸、下ルーパ糸によって縁かがり部を形成するミシンのルーパ駆動機構において、
前記上ルーパ、下ルーパは前記針板の下方にそれぞれ設けられ、各剣先を縫方向で見て前記針の手前側の側面を通過するように同方向に向いて配置され、且つ前記上ルーパ、下ルーパをその軌跡が互いに実質的に平行な面で運動するように前記上ルーパ、下ルーパを駆動するものであって、前記針の軌跡と前記針板の上方で交叉し前記針板を貫通する円弧状の軌跡を描いて往復運動する上ルーパに刺し通した上ルーパ糸を前記上ルーパが上死点から下降する時に上死点から下降する前記針で掬い、前記針板の下方で前記針の軌跡および前記上ルーパの軌跡とそれぞれ交叉する軌跡を描いて往復運動する下ルーパに刺し通された下ルーパ糸を前記下ルーパがその軌跡の一端から他端へ移動する時に前記針板の下方で、下降する前記針で掬い、前記下ルーパが前記他端へ移動する時に前記下ルーパ糸を下死点から上昇する前記上ルーパが掬うことにより、前記上ルーパ糸と前記下ルーパ糸が前記被縫製体の縁部で交叉すると共に前記上ルーパ糸が前記被縫製体の上面を通って前記本縫部と交叉し、前記下ルーパ糸が前記被縫製体の下面を通って前記本縫部と交叉して成る縁かがり部を形成するようにルーパ駆動部を備え、
前記ルーパ駆動部は、下軸により駆動されるルーパ駆動軸に取付けられたクランクと、前記クランクに連結された下ルーパ駆動リンクと、前記下ルーパ駆動リンクに連結されて機枠に軸支され前記下ルーパを担持する下ルーパ取付腕と、機枠に軸支され前記上ルーパを担持する上ルーパ取付腕と、前記下ルーパ駆動リンクおよび前記上ルーパ取付腕間を連結する上ルーパ駆動リンクとから成ることを特徴とするミシンのルーパ駆動機構。 - 前記縁かがり部の形成時には前記下軸から前記ルーパ駆動軸へ動力を伝達して前記本縫部および前記縁かがり部を形成し、前記本縫部の形成時には前記上ルーパを前記下死点において待避させ前記下軸から前記ルーパ駆動軸へ動力を遮断して前記本縫部を形成するクラッチを備えたことを特徴とする請求項1記載のミシンのルーパ駆動機構。
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