JP2004141276A - 差動送りミシン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上下動可能に支持されると共に縫い針11の貫通部を有する布押さえ12と、布押さえに隣接して配置され,上下動可能に支持される上側回転送り部30と、縫い針の上下動に対応して布押さえと上側回転送り部とを交互に上下動させる上下動手段40と、上側回転送り部に送り動作の駆動力を付与する上送り駆動手段60と、上側回転送り部が下降して上布と当接している期間内で布を送るように上送り駆動手段を制御する動作制御手段80とを備え、上下動手段は、縫い針が上下の布を貫通するときには布押さえが下方に位置すると共に上側回転送り部が上方に位置する状態とし、縫い針が上下の布から抜けているときには布押さえが上方に位置すると共に上側回転送り部が下方に位置する状態とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミシンに係り、特に、上布と下布の送りピッチを異ならせて縫製を行う差動送りミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、縫い針の上下動に同期して布押さえと上送り手段とが交互に上下動するミシンの例が開示されている。かかるミシンは、専ら上布と下布の送りピッチ量に差を設けず、それぞれの布を同じピッチで搬送して縫製を行うものである。
【0003】
また、特許文献2には、上布と下布とで送りピッチに差を設けて縫製を行う差動送りミシンが開示されている。かかる差動送りミシンは、上送り手段と下送り手段とがいずれもベルトにより布地の送りを行い、縫い針と上送り手段とが交互の上下動する構成となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭64−37994号公報 (第1図)
【特許文献2】
特開平4−240476号公報 (第4図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載のミシンは、前述のように下送り手段を有しておらず、従って、上布と下布との送りピッチに差を設けて縫製を行ういわゆるいせ込みを行うことができなかった。
さらに、特許文献1に記載のミシンは、断面ノコ刃状の部材により布地を狭持して搬送する構造のため、布地に傷を付けてしまう可能性を有していた。さらに、ノコ刃状の部材は一定区間を揺動する揺動軸の下端部に設けられている構造のため、送りピッチ幅は各部材の寸法により決定され、ピッチ幅の変更調節をおこなうことができないという不都合があった。
【0006】
特許文献2に記載の差動送りミシンは、縫い針が布地を貫通する際に布地を押さえる布押さえを有していない。
ここで、例えば、立体的な仕上がりを実現するために上布と下布の各縫い代にズレがある場合、縫製中において、各布の縫い代が合わせられるように上布の縫い代を下布の縫い代側に引っ張りながら縫製を行うことがしばしば行われる。
しかしながら、特許文献2に記載の差動送りミシンは布押さえを有していないので、上記縫い代合わせの作業を行うと、布地を貫通した縫い針を中心に布地が回転しやすく、その後の縫製により縫い代が曲がった状態で仕上がってしまうという不都合があった。
【0007】
本発明は、布地の保護を図ることをその目的とする。
また、本発明は、縫い代の形状に応じてより忠実に縫製を行うことを可能とすることを他の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上布と下布のそれぞれの送り速度に差を設けて縫製を行う差動送りミシン(10)であって、上下動可能に支持されると共に縫い針(11)の貫通部を有する布押さえ(12)と、布押さえに隣接して配置され,上下動可能に支持される上側回転送り部(30)と、縫い針の上下動に対応して布押さえと上側回転送り部とを交互に上下動させる上下動手段(40)と、上側回転送り部に送り動作の駆動力を付与する上送り駆動手段(60)と、上側回転送り部が下降して上布と当接している期間内で布を送るように上送り駆動手段を制御する動作制御手段(80)とを備え、上下動手段は、縫い針が布を貫通するときには布押さえが下方で上側回転送り部が上方に移動した状態とし、縫い針が布から抜けているときには布押さえが上方で上側回転送り部が下方に移動した状態とする、という構成を採っている。
【0009】
上記貫通部とは特に穴に限らず、縫い針を上方から下方に貫通する構成,例えば溝のようなものでも良い。
上記構成によれば、上布と下布のそれぞれの送り速度に差を設けて縫製を行うと共に、縫い針が布を貫通しているときに布押さえは下方に位置するので布が押さえられる。このとき、上側回転送り部は上方にあるので布から離れ、送り動作は行われない。
そして、縫い針が布から抜けているときには布押さえも上方に位置し、布送りの妨げとはならない状態にある。このとき、上側回転送り部は下方に位置するので布に当接した状態にある。さらに、上側回転送り部が当接状態にある時に上送り駆動部が駆動するので、上側回転送り部の当接期間と送り期間とにズレを生じることがなく、上送り駆動部の駆動量に忠実な送り量で布が送られる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、上側回転送り部は、布押さえを挟んだ両側に隣接する配置で上布を送る第一及び第二の回転送り部(31,32)を有する、という構成を採っている。
上記構成では、請求項1記載の発明と同様の作用を奏すると共に、縫い針を挟んで両側となる位置から各回転送り部により布送りが行われる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、上側回転送り部と下側回転送り部(70)とが各布を介して互いに当接する部位に互いに平坦部を設ける、という構成を採っている。
上側回転送り部と下側回転送り部との互いに相対する部位が周面形状である場合、その周面の弾性変形は曲率半径の変化を生じるので、弾性変形を生じない場合と比較して送り量に変化を生じてしまう。上記構成では、各回転送り部の相対する部位が平坦状なので弾性変形を生じても周面のような変化を生じないため、所期の送り量に維持することができ、布送りの精度向上を図ることが可能となる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3記載の発明と同様の構成を備えると共に、上下動手段は、交互に上下動させる布押さえと上側回転送り部の上昇割合を調節する上昇割合調節手段を備える、という構成を採っている。
上記「上昇割合を調節する」とは、布押さえの上方に移動を行っている期間と上側回転送り部の上方に移動を行っている期間との割合を調節することを示すが、布押さえの上下動のストローク長と上側回転送り部の上下動のストローク長の割合を調節した結果,上記各期間の割合が変動する場合も含むものとする。
上記構成では、請求項1,2又は3記載の発明と同様の作用を奏すると共に、上昇割合調節手段によって、布押さえと上側回転送り部の上昇割合が変動する。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態の全体構成)
本発明の実施の形態を図1〜図13に基づいて説明する。本実施形態たる差動送りミシン10は、縫製を行う上布と下布のそれぞれの送り速度に差を設けることによりいせ込みを行いつつ縫製を行うミシンであって、例えば、袖と身頃の縫製等に使用される。
なお、いせ込みとは、上布と下布とで縫製のピッチ幅に差を設けることをいい、その差(いせ込み量)を大きくすることで縫い代に伸縮性を持たせることができる。従って、袖と身頃の縫製を行う場合に、肩側の縫い代について脇側よりもいせ込み量を大きくすることで、縫製後において伸縮性が要求される肩側にゆとりを持たせることができる。
ここで、後述する縫い針11が上下動を行う方向をY軸方向(上下方向)とし、これと直交する一の方向をX軸方向(前後方向)とし、Y軸方向とX軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向(左右方向)と定義する。また、後述する載置面15aはX−Z平面に平行に配設されているものとする。
【0014】
かかる差動送りミシン10は、上布及び下布を載置し縫製を行う載置面15aが形成された針板15を有する布載置部13と、載置面15aの上側で上下動可能に支持される縫い針11と、縫い針11を上下方向に駆動する針昇降手段20と、載置面15aの上側で上下動可能に支持されると共に縫い針11の貫通部を有する布押さえ12と、布押さえ12に隣接して配置され,載置面15a上の上布を送る上側回転送り部30と、載置面15a上の下布を送る下側回転送り部70と、上側回転送り部30に送り動作の駆動力を付与する上送り駆動手段60と、下側回転送り部70に送り動作の駆動力を付与する下送り駆動手段74と、縫い針11の上下動に同期させて布押さえ12と上側回転送り部30とを交互に上下動させると共に、これらの内の布押さえ12について縫い針11と共に上下動させる上下動手段40と、上記各部の動作制御を行う動作制御手段80と、を備えている。
【0015】
(縫い針)
図2は針板15の上方に位置する構成を示す斜視図である。上記縫い針11は、図示しない本体フレームに支持された針昇降手段20によりY軸方向に沿って往復駆動する。縫い針11はその先端近傍に図示しない上糸が通されており、Y軸方向の往復動作により針板15の載置面15a上の上布及び下布を貫通して針板15の下側まで上糸を送り、図示しない釜の繰る下糸と係合して縫製を行う。
【0016】
(針昇降手段)
針昇降手段20は、その下端部において縫い針11を保持すると共にY軸方向に沿って往復可能に支持された針保持軸23と、本体フレームに固定され,針保持軸23の上端部近傍と下端部近傍とをそれぞれ滑動可能に支持する上側スリーブ24及び下側スリーブ25と、ミシンモータ18(図12参照)により回転駆動されると共にその回転中心線をZ軸方向に沿わせた状態で本体フレームに回転可能に支持された主駆動軸21と、この主駆動軸21の端部に固定装備された回転部材22と、針保持軸23の中間部に固定装備された連結体27と、この連結体27と回転部材22の偏心位置とを連結するコンロッド26とを備えている。
【0017】
上記コンロッド26は、その両端部のぞれぞれがいずれもZ軸方向に沿った中心線により回転可能な状態で回転部材22と連結体27とに連結されている。従って、回転部材22がZ軸方向を中心に回転駆動すると、コンロッド26はX軸方向の変位を解消しつつY軸方向に沿った変位のみを連結体27に伝達する。従って、これにより針保持軸23はY軸方向,即ち上下方向に往復駆動させることが可能である。
【0018】
(布押さえ)
図3は縫い針11の周囲の構成を示す拡大斜視図、図4は布押さえ12をZ軸方向から見た側面図である。図4に示すように、布押さえ12は、その全体形状が略L字状に形成され、L字の縦棒に相当する部位の上端部において後述する上下動手段40の布押さえ保持軸49に保持されている。従って、布押さえ12は、縫製時において連続的に上下移動を行い、一往復ごとに上布及び下布を針板15側に押圧して布押さえを行う。
【0019】
また、布押さえ12のL字の横棒に相当する部位の下面(押さえ面とする)が接触する状態で載置面15a上の上布及び下布の上方から押圧して布押さえを行う。
さらに、布押さえ12のL字の横棒相当部はX軸方向に沿った状態で配設されており、各布送り部30,70による布送り方向上流側(図4における右側)となる端部は上方に反りあがった形状に形成されている。かかる形状とすることにより、布押さえ12と下側回転送り部70との間への上布及び下布の送り込みを円滑に行うことを可能としている。
また、布押さえ12は、その横棒相当部が針昇降手段20の保持された縫い針11の下方位置となるように配設されており、縫い針11の直下となる位置には縫い針11を針板15の下方にある釜側に通すための貫通穴12aが形成されている。
【0020】
また、布押さえ12の押さえ面はその断面形状がノコ刃状に形成され、布押さえ時における布送りとは逆方向への上布の移動を防止している。さらに、布押さえ12の押さえ面は、少なくとも縫い針11の中心線Cの通過位置から布送り方向下流側(図4における右側)に向かって距離T1までの領域についてはX−Z平面に沿った平坦状に形成されている。なお、この場合の平坦状とは、ノコ刃形状の複数の先端が一様にX−Z平面に沿う状態をいう。
上記距離T1は、下側回転送り部70による送りピッチ以上とすることが望ましい。送りピッチとは、一針ごとの布送り距離をいい、縫い針11の上下動の周期と一針ごとの下側回転送り部70による送り量により決定される。動作制御手段80において、送りピッチ幅を可変設定可能とする場合には、距離T1をその最大となる送りピッチ以上とすることが望ましい。
【0021】
(上側回転送り部)
上側回転送り部30は、図3に示すように、布押さえ12を挟んでZ軸方向に沿って並んで設けられた第一の回転送り部31及び第二の回転送り部32とこれらを連結する連結部材39とを備えている。第一及び第二の回転送り部31,32とは、連結部材39により連結されているので、上下動手段40により上下移動を行う際には一体的に移動する。
【0022】
図5は第一の回転送り部31をその一部を切り欠いてZ軸方向から見た側面図である。かかる第一の回転送り部31は、上送り駆動手段60により搬送駆動される第一上ベルト37と、この第一上ベルト37を案内するガイド枠33と、ガイド枠33の先端部で回転自在に支持されると共に第一上ベルト37を折り返すローラ35とを備えている。
上記ガイド枠33は略J字状に形成されており、その上端部で上下動機構40の送り部保持軸48に保持される。また、ガイド枠33は上端部近傍に後述する上送り駆動手段60のガイドアーム64の先端部を軸支する連結ブラケット33cが設けられている。
また、ガイド枠33にはその内側に第一上ベルト37を案内するガイド溝33aが形成され、その底部にはその底面側で第一上ベルト37をX軸方向(さらに詳しくは図5における左方)に沿った搬送を案内するガイド板33bが形成されている。第一上ベルト37は、かかるガイド板33bを搬送される際に上布と接触し、上布の送りを行う。
【0023】
さらに、ガイド板33bは、その一部が平坦状に形成されており、かかる平坦となる部位を通過する第一上ベルト37が上布と接触するように且つガイド板33bの平坦領域がX−Z平面に沿うようにガイド枠33が送り部保持軸48に保持される。仮に第一上ベルト37が湾曲した状態で上布と接すると、第一上ベルト37はその弾性変形により曲率半径が変化し、上布をベルト搬送速度に応じた送り量で精度良く送ることが困難となるが、平坦面にならった状態で第一上ベルト37が上布と接触することにより、上布を精度良く送ることが可能となる。
また、平坦となる領域は、Z軸方向から見た縫い針11の中心線位置から搬送方向上流側について距離T3,下流側について距離T2の範囲で形成される。そして、距離T2,T3はいずれも、下側回転送り部70による送りピッチ以上とすることが望ましく、動作制御手段80において送りピッチ幅を可変設定可能とする場合には、最大となる送りピッチ以上とすることがより望ましい。
【0024】
図6は第二の回転送り部32をその一部を切り欠いてZ軸方向から見た側面図である。かかる第二の回転送り部32は、上送り駆動手段60により搬送駆動される第二上ベルト38と、この第二上ベルト38を案内するガイド枠34と、ガイド枠34の先端部で回転自在に支持されると共に第二上ベルト38を折り返すローラ36とを備えている。
上記ガイド枠34は、連結部材39及びガイド枠33を介して上下動機構40の送り部保持軸48に保持される。また、ガイド枠34にはその内側に第二上ベルト38を案内するガイド溝34aが形成され、その底部にはその底面側で第二上ベルト38をX軸方向(さらに詳しくは図6における左方)に沿った搬送を案内するガイド板34bが形成されている。第二上ベルト38は、ローラ36を搬送される際に上布と接触し、上布の送りを行う。また、このローラ36は、Z軸方向から見て縫い針11の中心線Cと配置が一致しており、従って、第二上ベルト38が上布と接触する位置も中心線Cと一致する。
【0025】
さらに、第二上ベルト38は、第一上ベルト37に比較してその幅が半分以下に設定されている。これは上布及び下布の端縁部に沿って縫製を行う場合に、第二上ベルト38を端縁側とすることで、縫い代を狭くすることが可能となるためである。
なお、かかる第二の回転送り部32では、第二上ベルト38の上布との接触部において平坦となる領域を形成していないが、第一の回転送り部31と同様に平坦部を形成しても良い。
【0026】
上側回転送り部30は、上述のように、針位置を挟んで両側に第一及び第二の回転送り部31,32を配置しているので、縫製の対象物,特に上布の送りに関し、縫い糸の影響を抑制して所期の送り方向に安定して送ることが可能となる。
【0027】
(上下動手段)
上下動手段40について、図2及び図7により詳説する。図7は、上下動手段70及び上送り駆動手段60の斜視図である。
上下動手段40は、上側回転送り部30を上下方向に移動可能に支持する構成と、布押さえ12を上下方向に移動可能に支持する構成と、主駆動軸21の回転駆動力を往復揺動を行う駆動力に変換する構成と、当該往復揺動駆動力により上側回転送り部30と布押さえ12とを交互に上下動させる構成とを備えている。
【0028】
上記上側回転送り部30を上下動可能に支持する構成は、上側回転送り部30をその下端部に保持する送り部保持軸48と、本体フレームに固定され,送り部保持軸48を上下方向に沿って往復可能に支持する第一スリーブ51と、送り部保持軸48に固定装備された第一の軸連結体53と、送り部保持軸48を常時下方に押圧する第一の押圧バネ55とを有している。
第一の軸連結体53は、本体フレームに固定装備された後述するスリーブ保持ブラケット50に設けられたY軸方向に沿った溝50aに係合する図示しない係合突起を備えている。このため、送り部保持軸48は上側回転送り部30と共にY軸方向を中心とする回転を生じることなく上下動を行うことが可能である。
【0029】
上記布押さえ12を上下動可能に支持する構成は、布押さえ12をその下端部に保持する布押さえ保持軸49と、布押さえ保持軸49を上下方向に沿って往復可能に支持する第二スリーブ52と、本体フレームに固定され,第二スリーブ52を保持するスリーブ保持ブラケット50と、布押さえ保持軸49に固定装備された第二の軸連結体54と、後述するX軸変位解消リンク体47を介して布押さえ保持軸49を常時下方に押圧する第二の押圧バネ56とを有している。
第二の軸連結体54は、スリーブ保持ブラケット50に設けられたY軸方向に沿った長穴50bに係合する係合突起54aを備えている。このため、布押さえ保持軸49は布押さえ12と共にY軸方向を中心とする回転を生じることなく上下動を行うことが可能である。
【0030】
主駆動軸21の回転駆動力を往復揺動を行う駆動力に変換する構成は、本体フレームに固定装備された後述するモータブラケット62に回転可能に支持されると共にZ軸方向に沿った揺動軸41と、この揺動軸41の一端部に連結され,当該揺動軸41を中心に揺動する主動揺動リンク体42と、主駆動軸21の中間部にその一端部が連結されると共にその他端部が主動揺動リンク体42の揺動端部に連結された偏心コンロッド43とを有している。
上記偏心コンロッド43は、その一端部において回転可能な偏心車を擁しており、この偏心車がその中心から偏心した位置において主駆動軸21に軸支されている。従って、主駆動軸21の回転駆動により偏心車は偏心状態で共に回転するので偏心コンロッド43はその一端部が主駆動軸21を中心として偏心距離を半径とする円運動を行う。一方、偏心コンロッド43はその他端部がZ軸方向を中心に回転可能な状態で主動揺動リンク体42の揺動端部に連結されている。その結果、偏心コンロッド43の一端部が主動揺動リンク体42から遠ざかる位置に移動すれば当該主動揺動リンク体42の揺動端部を自らの方向に引き寄せ、偏心コンロッド43の一端部が主動揺動リンク体42に近づく位置に移動すれば当該主動揺動リンク体42の揺動端部を自らの位置から遠ざかる方向に押し戻すこととなる。従って、主動揺動リンク体42は、揺動軸41を中心とする往復揺動動作を行うこととなる。また、その際、揺動軸41も主動揺動リンク体42の揺動範囲と同じ角度範囲で往復揺動回転を行うこととなる。
【0031】
また、主動揺動リンク体42は、揺動端部に長穴が形成されている。この長穴には、偏心コンロッド43の他端部がZ軸方向を中心に回転可能な状態で且つ当該長穴の所定位置で連結されている。当該長穴に沿ってコンロッド43の連結位置を変更調節することにより、主動揺動リンク42の揺動半径が変動し、さらにこれにより揺動角度を変更調節するためである。換言すれば、長穴を有する主動揺動リンク体42と、偏心コンロッド43の他端部との連結位置を長穴に沿って変更調節可能とすることにより、布押さえ12及び上側回転送り部30全体の上下方向のストローク調節手段を構成している。
【0032】
往復揺動駆動力により上側回転送り部30と布押さえ12とを交互に上下動させる構成は、三角形の各頂点となる位置に連結点を有すると共にその内の第一の連結点46aが前述した第一の軸連結体53と連結された三点リンク体46と、この三点リンク体46の第二の連結点46bと前述した第二の軸連結体54とを連結するX変位解消リンク体47と、前述した揺動軸41の他端部に固定連結されて揺動軸41を中心とする揺動動作を行う従動揺動リンク体44と、この従動揺動リンク体44の揺動端部と三点リンク体46の第三の連結点46cとを連結する伝達リンク体45とを有している。
上記従動揺動リンク体44と揺動軸41とのみが固定連結され、その他の上記各リンク体44,45,46,47の各連結点はいずれもZ軸方向を中心として回転可能に連結されている。その結果、従動揺動リンク体44は、主駆動軸21の回転駆動力から変換された往復揺動駆動力が付与されることとなる。
【0033】
これにより、三点リンク体46の第三の連結点46cが従動揺動リンク体44側に引き寄せられると、第一の連結点46aから第一の軸連結体53を介して送り部保持軸48が下方に押し下げられ、上側回転送り部30は布地を介して下側回転送り部70に当接した状態となる。さらに、第三の連結点46cが従動揺動リンク体44側に引き寄せられ続けると、三点リンク体46は第一の連結点46aを中心に回動し、その結果、第二の連結点46bからX変位解消リンク体47,第二の軸連結体54を介して布押さえ保持軸49が上方に引き上げられる。なお、このとき、三点リンク体46の第二の連結点46bに生じるX軸方向に沿った変位はX変位解消リンク体47により解消される。
また、三点リンク体46の第三の連結点46cが従動揺動リンク体44から遠ざかる方向に押し戻されると、上記とは逆の状態となり、布押さえ12が下側回転送り部70に当接し、上側回転送り部30が上方に引き上げられる。
つまり、上記構成では、三点リンク体46の一の連結点(第三の連結点46c)を力点とし、当該連結点に往復駆動力を入力することで、残る二つの連結点(第一及び第二の連結点46a,46b)が交互に支点と作用点となる状態を切り替え、布押さえ12と上側回転送り部30とを交互に上下動させている。
【0034】
このようにして、上下動手段40は、布押さえ12と上側回転送り部30とを交互に上下動させることが可能である。また、上下動手段40は、針昇降手段20と同様に、その上下動作の駆動力を主駆動軸21から付与されるので、縫い針11の上下動と布押さえ12及び上側回転送り部30の上下動との同期を容易に取ることが可能である。かかる上下動手段40では、縫い針11と布押さえ12とが共に上下動を行い、上側回転送り部30は縫い針11と交互に上下動行うように構成されている。
【0035】
また、上述の上下動手段40は、主動揺動リンク体42に布押さえ12と上側回転送り部30の上昇割合を調節する上昇割合調節手段を備えている。かかる、上昇割合調節手段は、主動揺動リンク体42の基端部側(揺動軸41との連結端部)に設けられた締め付け可能な揺動軸挿通穴部と締め付けネジ42aとを有している。揺動軸挿通穴部は、主動揺動リンク42の基端部に揺動軸挿通用の貫通穴とその貫通穴から半径方向に沿ったスリットとを形成し、締め付けネジ42aはそのスリット間隔を締め付けることで揺動軸41と主動揺動リンク体42とを固定する。また、調節の際には、締め付けネジ42aを緩め、揺動軸41を回動させて再び締め付けネジ42aを締める。
【0036】
かかる上昇割合調節手段の上昇割合の調節方法について説明する。上昇割合調節手段は、揺動軸41の両端部に位置する主動揺動リンク体42と従動揺動リンク体44との相対的な角度を調節変更することで三点リンク体46のX軸方向又はY軸方向に対する絶対的な揺動角度の範囲を変更調節し、布押さえ12と上側回転送り部30との上昇割合を変更調節する。
【0037】
具体例として、上昇割合調節手段により、上側回転送り部の上昇割合を0として布押さえ12のみをより大きく上下動させるように調節を行う場合の手順を図14、15に基づいて説明する。主駆動軸21の一回転(360[°])で縫い針11が上下に一往復し、縫い針11が上死点位置にある場合を0[°]とし、下死点にある場合を180[°]として説明する。未調節の通常状態(図14(A)の状態)では、110[°]と250[°]とで布押さえ12と上側回転送り部30との上下が切り替わる。図15の上の線図は主駆動軸21の回転角度と縫い針11の上下位置との関係を示し、上から二番目の線図は布押さえ12の主駆動軸21の回転角度と縫い針11の上下位置との関係を示し、下の線図は主駆動軸21の回転角度と上側回転送り部30の上下位置との関係を示す。
図14(A)は未調節の通常状態であって、主駆動軸21の回転角度が110[°]又は250[°]の状態を示す。このときには布押さえ12と上側回転送り部30の双方が上布に当接状態にある。即ち、主動揺動リンク体42の揺動端部が主駆動軸21から最も遠い状態と最も近い状態のほぼ中間の状態にある。
図14(B)は未調節の通常状態であって、主駆動軸21の回転角度が180[°]で縫い針11は上死点にある状態を示す。このときには布押さえ12のみが上布に当接状態にあり、上側回転送り部30は最も上方に位置する状態にある。即ち、主動揺動リンク体42の揺動端部が主駆動軸21から最も遠い状態にある。かかる状態において、締め付けネジ42aを緩め、布押さえ12及び上側回転送り部30を再び図14(A)の姿勢に戻し、かかる状態で締め付けネジ42aを締める。すると、図14(C)に示すように、従動揺動リンク体44は図中の矢印範囲でしか揺動しないので、布押さえ12しか上下動を行わないことになる。図15では、上記調節後の状態が上から二番目と下の線図において一点鎖線で示した状態となる。
このように、上側回転送り部30が上昇しないで常時上布に当接した状態となり、布押さえ12のみがより大きく上下動を行うように調節することで、例えば、伸縮性がある薄い布を縫製する場合には、上側回転送り部30が上昇するといせ込みのための余分な送り量が伸縮性で戻され、十分ないせ込みが図れなかったが、布押さえ12だけ上下動させて上側回転送り部30を上昇しないようにすることで効果的にいせ込みを行うことが可能となる。
【0038】
なお、当然のことながら、布押さえ12と上側回転送り部30の上昇割合は上記割合に限定されるものはない。揺動軸41と主動揺動リンク体42の角度変更の割合によって上昇割合は自在に設定できる。例えば、前述の説明では、図14(B)に示すように上側回転送り部30が最も上方に位置する状態で締め付けネジ42aを緩めてから図14(C)の状態に戻して締め付けネジ42aを締め付ける例を示したが、図14(A)の状態から図14(B)の状態に至るまでの途中の状態(上側回転送り部30を途中まで持ち上げた状態)で締め付けネジ42aを緩め、図14(C)の状態に戻してから締め付けネジ42aを締めても良い。これにより、図15の二点鎖線で示すように、上側回転送り部30を布押さえ12よりも小さい割合とすることも可能である。
また、逆に、図14(A)の状態から上送り部12を持ち上げた状態とし、締め付けネジ42aを緩めて図14(C)の状態に戻し、締め付けネジ42aを締め付ければ、布押さえ12の上昇割合を低減する調節も可能である。
このように、上昇割合調節手段を有することで、種々の素材の布地に対応することが可能である。
【0039】
(上送り駆動手段)
上送り駆動手段60について図2及び図8に基づいて説明する。図8は上送り駆動手段60をZ軸方向から見た図である。
上送り駆動手段60は、上側回転送り部30の送り動作の駆動源となる上送りモータ61と、この上送りモータ61を保持し本体フレーム62に固定装備されたモータブラケット62と、上送りモータ61の出力軸に装備され,第一上ベルト37と第二上ベルト38とがそれぞれ巻回される大小二つのベルト溝が設けられた二段プーリ63と、上送りモータ61から上側回転送り部30まで第一上及び第二上ベルト37,38をガイドするガイドアーム64と、ガイドアーム64の各部に設けられ,第一上及び第二上ベルト37,38をガイドアームに沿わせると共にテンションを与えるテンションプーリ65,66,67,68とを備えている。
【0040】
上記上送りモータ61はその出力軸をZ軸方向に平行となるようにモータブラケット62に支持されている。この上送りモータ61は、回転角度量を制御可能なステッピングモータが使用されており、その回転角度は動作制御手段80の動作指令信号により制御される。前述したように、送りピッチは、縫い針11の上下動の周期と一針ごとの下側回転送り部70による送り量により決定されるが、送りピッチを変更するために下側回転送り部70の送り量を変更制御する場合には、これに応じて上側回転送り部30の送り量も変更しなければならない。従って、このように上送り量を決定する駆動源を縫い針11の上下動の駆動源とは別個独立したステッピングモータとすることにより、自在な上送り量の変更設定を可能としている。
【0041】
二段プーリ63は、小径となるベルト溝に第一上ベルト37が巻回され、大径となるベルト溝に第二上ベルト38が巻回されている。従って、第二上ベルト38を擁する第二の回転送り部32の方が上布の送り速度が速くなる。これは、本実施形態の差動送りミシン10が専ら送り方向下流側に向かって左側にカーブした縫い代(送り方向下流側に向かって見た状態で第二の回転送り部32は縫い針11の右側となるので布送り方向は左側にカーブする)の布地の縫製を目的としているためであって、各第二の上ベルト38についてプーリの径を大きくすることに限定するものではない。送りを直進させるのであれば各ベルト37,38は同じ径のプーリで送っても良い。また、各ベルト37,38ごとに異なる上送りモータにより搬送しても良い。これにより、左右の速度差を自在に設定することができ、上送りの方向を自在に設定することが可能となる。
【0042】
ガイドアーム64は、回動間接により二つのリンク体を連結した構造を備えている。そして、このガイドアーム64の一端部は上送りモータ61の出力軸の近傍下方においてモータブラケット62に対してZ軸方向を中心に回動可能に連結支持されており、他端部は前述した上側回転送り部30のガイド枠33に対してやはりZ軸方向を中心に回動可能に連結されている。そして、各テンションプーリ65,68はガイドアーム64の一端部側に配設され、各テンションプーリ66,67はガイドアーム64の回動間接付近に配設されている。各上送りベルト37,38は、各テンションプーリ65〜68に半巻回されることで、テンションを維持しながらガイドアーム64に沿って上送りモータ61と各回転送り部31,32間で搬送されることとなる。なお、第二の上送りベルト38は、そのベルト幅が狭く、伸長し易いことから、上送りモータ61とガイドアーム64との間に設けられたもう一つのテンションプーリにも半巻回されている。
ガイドアーム64は、以上の配置で各テンションプーリ65〜68が設けられ、その途中には回動間接が設けられていることから、その先端部が上側回転送り部30に連結され、当該上側回転送り部30と共に上下動が行われても、円滑にベルト搬送を行うことができる。
【0043】
(布載置部)
布載置部13を図3,9に基づいて説明する。図9は布載置部13,下側回転送り部70及び下送り駆動手段74の一部分解した斜視図である。布載置部13は、縫い針11の下方に立設された載置台14と、載置台14の上面に固定装備された針板15とを備えている。載置台14の上部であってそのカバーの内側には前述した釜ハウジング16及び後述する下側回転送り部70のベルトガイド71が支持されている。
【0044】
針板15は、布地の送り方向に長い板状部材であり、載置台14上に固定された状態において、その長手方向中間にX−Z平面に平行な平坦面である載置面15aが形成されている。また、載置面15aから布地の送り方向上流側は、当該上流側に向かうに従ってやや下降勾配気味な布地を送る上流側送り面が形成され、載置面15aから布地の送り方向下流側は、当該下流側に向かうに従ってやや下降勾配気味な布地を送る下流側送り面が形成されている。
そして、針板15の載置面15aの中央には当該針板15を貫通してなる四角い下送り用開口部15bが形成されている。そして、この下送り用開口部15bからは、後述する下側回転送り部70のベルトガイド71の上面及び第一,第二の下ベルト72,73が露出されている。従って、これらにより載置面15a上に載置された布地は背面が下送り用開口部15bから露出した各下ベルト72,73に当接し、その送り方向に送られる。
【0045】
(下側回転送り部)
下側回転送り部70を図3,5,9に基づいて説明する。図9は下側回転送り部70及び下送り駆動手段74の一部分解した斜視図である。下側回転送り部70は、前述した載置台14の上部に支持された釜ハウジング16のさらに上部に設けられたベルトガイド71と、下送り駆動手段74に搬送される第一及び第二下ベルト72,73とを備えている。
【0046】
上記ベルトガイド71は、その上面にX軸方向に沿った二本のガイド溝71a,71bが形成されており、各ガイド溝71a,71bの間であって縫い針11の直下位置には釜ハウジング内の釜まで縫い針11を送るための貫通穴が形成されている。かかる貫通穴は、縫い針11の挿入時において送り込まれる上糸の環状部に釜が繰る下糸を挿通させて縫製を行うためのものである。
【0047】
また、各下ベルト72,73はそれぞれのガイド溝71a,71bに沿って搬送される。このとき、各下ベルト72,73はその上面が針板15の載置面15aよりも上方に突出するようにガイド溝71a,71bの底面が設定されている。
さらに、ベルトガイド71のガイド溝71a,71bを搬送される各下ベルト72,73は、図5に示すように、縫い針11の送り方向の前後において、その上面がX−Z平面に平行な平坦状となるようにベルトガイド71の各ベルト溝71a,71bの底面形状が設定されている。かかる平坦状となる領域は、縫い針11の前後において少なくとも送りピッチ幅で1ピッチ分ずつ形成することが望ましい。このように、各下ベルト72,73に平坦状となる領域を設けることにより、ベルトが湾曲した状態で下布と接した場合に生じる曲率半径の変化が防止され、下布をベルト搬送速度に応じた送り量で精度良く送ることが可能となる。
【0048】
さらに、各下ベルト72,73に平坦状領域を設けた効果を説明する。前述したように、上側回転送り部30の第一の回転送り部31は、第一上送りベルト37を縫い針11の前後において送りピッチ幅で1ピッチ分ずつ平坦状として搬送する。また、布押さえ12はその底面が、縫い針11の後(送り方向下流側)において送りピッチ1ピッチ分平坦状に形成されている。かかる場合、人為的に、下布を平坦に維持したまま上布をたわませた状態として布地を送り込むと、第一の回転送り部31は上下動を行っていることから、縫い針の手前位置において、上布がたわんだままの状態で1ピッチ幅分だけ布地が挟み込まれることとなる。そして、各送り部30,70の各ベルトの搬送により1ピッチ分の搬送が行われ、そのままの状態で今度は布押さえ12により各布は押さえ込まれると同時に縫い針11による縫いつけが行われる。
つまり、▲1▼縫い針11の前後双方において上ベルトに少なくとも1ピッチ幅で平坦領域を形成する、▲2▼縫い針11の前後双方において下ベルトに少なくとも1ピッチ幅で平坦領域を形成する、▲3▼縫い針11の後方において布押さえに少なくとも1ピッチ幅で平坦領域を形成する、という三つの条件を満たすことで、人為的にいせ込みを行うことが可能となる。
なお、当然のことながら上下のベルトの1ピッチの送り量に差を設けることによる装置の正常な効果としてのいせ込みは通常通り行われる。従って、「人為的にいせ込みを行う」とは、厳密に言えば、上記人為的な作業を行うことにより1ピッチごとのいせ込み量を増加させることが可能となるという意味である。
【0049】
(下送り駆動手段)
下送り駆動手段74について図9に基づいて説明する。下送り駆動手段74は、下側回転送り部70の送り動作の駆動源となる下送りモータ75と、下送りモータ75の出力軸に装備され,第一及び第二下ベルト72,73が並んで巻回される主動プーリ76と、下送りモータ75から下側回転送り部70までの間において載置台14に支持され,第一及び第二下ベルト72,73にテンションを与えるテンションプーリ77,78とを備えている。
【0050】
上記下送りモータ75はその出力軸をZ軸方向に平行となるように本体フレームに支持されている。この下送りモータ75もステッピングモータが使用されており、その回転角度は動作制御手段80の動作指令信号により制御される。前述したように、送りピッチは、縫い針11の上下動の周期と一針ごとの下側回転送り部70による送り量により決定されるので、送りピッチを変更する際には下送りモータ75の一回の送り角度の変更制御が行われる。このように下送り量を決定する駆動源を縫い針11の上下動の駆動源とは別個独立したステッピングモータとすることにより、自在な上送り量の変更設定を可能としている。
【0051】
(動作制御手段)
動作制御手段80について図10により説明する。図10は差動送りミシン10の制御系を示すブロック図である。まず、動作制御手段80の周囲の構成について説明する。
図10に示す操作パネル17とは、表示手段とその表示画面上に設けられたタッチパネルとを備える入出力装置である。かかる表示画面には動作制御手段80から出力される種々の縫製情報や各種設定スイッチ等が表示され、タッチパネルは各種表示スイッチに対する入力操作を感知し、動作制御手段80に出力する。かかる操作パネル17で表示或いは設定入力される情報としては、例えば、縫製全範囲を複数区間に分割した場合には、各区間長、各区間ごとのいせ込み量、送りピッチ量等である。
【0052】
図10に示すステップ切替スイッチ92とは、作業者が上記各区間ごとにいせ込み量の設定を行う場合に入力設定の対象となる区間(ステップ)を順次切り替えるためのスイッチである。かかるステップ切り替えスイッチ92に併設された入力回路90により、スイッチ92の操作内容に応じた信号が動作制御手段80に入力される。
ミシン起動ペダル91とは、その踏み込み操作によりミシンモータ18の起動を指示入力するためのON−OFF入力手段である。かかるミシン起動ペダル91に併設された入力回路89により、ミシン起動ペダル91の操作に応じた信号が動作制御手段80に入力される。
【0053】
糸張力ソレノイド19とは、糸を挟みこんで糸に張力を付与する糸狭持部(図示せず)の駆動源として用いられ、動作制御手段80の制御信号により駆動回路11aから出力される駆動電流に応じて動作することにより、糸狭持部に狭持された糸に所定の大きさの張力が加わるようになっている。
また、前述した各送りモータ61,75は、それぞれ駆動回路85,86により、動作制御手段80の制御信号に応じた回転角度により、その駆動制御が行われる。
また、ミシンモータ18はサーボモータであり、駆動回路88により、動作制御手段80の制御信号に応じた回転量により、その駆動制御が行われる。また、その回転量は角度単位で制御することが可能であることから、動作制御手段80は、ミシンモータ18の現在の回転角度位置を認識することが可能である。
【0054】
動作制御手段80は、差動送りミシン10の後述する各種機能,動作を実行させる制御プログラム,制御データ又は各種縫製データが書き込まれているROM82と、制御プログラムに従って上送りモータ61,下送りモータ75,糸張力ソレノイド19及,ミシンモータ18等の各部の動作を集中制御すると共に表示データを生成して後述する操作パネル17の表示部に表示させるマイコンであるMPU81と、MPU81の処理データ,いせ込み量設定処理やいせ込み縫製処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM83と、当該RAM83に格納された処理データ記録し保持するEEPROM84とを備えている。
また、上記RAM83には、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられており、縫製動作中のワークエリアとしても使用される。
また、EEPROM84は、縫製区間毎に設定されるいせ込み量を記憶するとともに、設定されたいせ込み量に変更が生じた場合にその値も記憶する。
【0055】
かかる構成からなる動作制御手段80は、上側回転送り部30が下降して上布と当接している期間内で布を送るように上送り駆動手段60及び下送り駆動手段74を制御する間欠送り制御部としての制御を行う。かかる制御のタイムチャートを図11に示す。かかるタイムチャートにおいて、上側の線図は、横軸をミシンモータ18の回転角度とした場合の布押さえ12の高さを示し、下側の線図は、横軸をミシンモータ18の回転角度とした場合の上側回転送り部30の高さを示し、図の下方にある斜線領域が上送りモータ61及び下送りモータ75の駆動タイミングを示している。また、縫い針11は、115[°]で針穴に侵入し、245[°]で針穴から抜け出すように設定されている(図15:一番上の線図参照)。両線図において、いずれも、傾きが0となっている部位が布地に当接している状態を示している。つまり、上側回転送り部30は、ミシンモータ18の出力軸の回転角度位置が250〜470(110)[°]の範囲で上布と当接するように設定されている。従って、間欠送り制御部としての制御を行うためには、ミシンモータ18の出力軸の回転角度位置がかかる範囲内にあるタイミングで上送り駆動手段60の上送りモータ61及び下送り駆動手段74の下送りモータ75を駆動させれば良い。
動作制御手段80では、ミシンモータ18に対する動作指令信号から現在のミシンモータ18の出力軸の回転角度位置を認識し、それが250〜470(110)[°]の範囲にある場合にのみ上送りモータ61及び下送りモータ75の駆動を行うように制御する。
【0056】
具体的には図11に示すように、ミシンモータ18の出力軸の回転角度位置が308〜465(105)[°]の範囲にある場合にのみ上送りモータ61及び下送りモータ75の駆動を行うように制御される。なお、上記説明では、上送りモータ61及び下送りモータ75の駆動タイミングを同一とした場合を例示したが、無論これに限定されるものではない。例えば、上送りモータ61の駆動範囲のみの増減することによりいせ込み量の増減を図ることが可能である。また、下送りモータ75の駆動範囲を増減することにより送りピッチ幅の増減を図ることが可能である。但し、いずれの場合にあっても、ミシンモータ18の出力軸の回転角度位置で250〜470(110)[°]の範囲内となるように設定しなければならない。
さらに、これら各モータ61,75の駆動タイミングを設定入力により可変調節可能としても良い。図12は、操作パネル17の表示手段における各モータ61,75の駆動タイミングの設定入力用スイッチ表示の例を示している。図における数値は、ミシンモータ18の回転角度位置を示す数値であり、かかる数値により各モータ61,75の駆動タイミングの開始位置と終了位置の増減が入力される。
【0057】
(差動送りミシンの動作及び効果)
上記差動送りミシン10は、載置面15a上に上布と下布とが重ねられた状態で載置される。そして、ミシンモータ18の駆動により針昇降手段20を介して縫い針11が上下動を開始する。また、これに伴い、上下動手段40が布押さえ12と上側回転送り部30とを交互に上下動させる。また、このとき、縫い針11が下方に移動しているとき(特に針穴に侵入しているとき)には布押さえ12も同様に下降に位置し、他方、上側回転送り部30は上方に位置する。
そして、縫い針11が上方に移動すると布押さえ12も上方に位置する状態となり、布地に対するこれらの拘束が解かれ、下布は下側回転送り部70により送られ、上布は上側回転送り部30により送られる。このとき、上送り駆動手段60の上送りモータ61と下送り駆動手段74の下送りモータ75は、いずれも動作制御手段80による間欠送り制御部としての制御によりミシンモータ18の回転角度位置に応じて駆動が行われる。即ち、上側回転送り部30が布地を介して下側回転送り部70と互いに押圧状態となるときに各モータ61,75の駆動がそれぞれ開始される。従って、上側回転送り部30及び下側回転送り部70が互いに布地を押圧していない状態で各モータ61,75が駆動することが回避され、各モータ61,75の回転駆動量に応じた送り量で各布を送ることが可能となる。
【0058】
図13は、上記構成からなる差動送りミシン10により縫製を行う際に、下布の縫い代から上布の縫い代が大きくずれている際に、これを人為的に上布を引っ張って縫い代合わせを行う場合の説明図である。図13は上側が送り方向である。図示の如く、上布N2の縫い代は、送り方向上流側側の部分が、下布N1に比較して図13における左側に角度θだけずれている。このような場合に、各布N1,N2の縫い代をそろえるには、上布N2の上流側の端部を右側に引っ張ることで修正が行われる。
差動送りミシン10は、上側回転送り部30の第一及び第二の回転送り部31,32と布押さえ12とが交互に上方から布地に押圧接触するので、上側回転送り部30が上方に位置するときに、上布N2を引っ張って縫い代合わせを行った場合でも、布押さえ12の押さえ位置Kが縫い針11位置と一致するので、各布N1,N2を大きく撓ませる状態の発生を効果的に低減しつつも、適度に各布N1,N2を拘束し、縫い代合わせの張力によって急な回転による縫い方向の大きな変化の発生を抑制することが可能である。
【0059】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、上側回転送り部を備え、従来のように断面形状がノコ刃状である狭持部材により布を狭持しないので布の傷等の発生を抑制し、保護を図ることが可能である。また、回転送りであることから、従来のように部材寸法の制限を受けずに回転量に応じて布送り量を設定することが可能である。
また、布押さえと上側回転送り部とが交互に上下動するので、上側回転送り部が布から離れた状態で上布の縫い位置の修正を行っても、布押さえにより布の保持が行われ、縫製の進行方向の狂いの発生を抑制し、安定した縫製を可能とする。また、これに伴い、進行方向の狂いの防止のために縫製作業を中断して修正作業を行う必要がなく、縫製作業の迅速化を図ることが可能となる。
さらに、上送り駆動手段は上側回転送り部の当接期間内で駆動するので、上送り駆動手段の駆動量に対応した送り量で布を送ることが可能となる。従って、特に上布の送り量の精度向上を図ることが可能となる。
【0060】
請求項2記載の発明は、縫い針を挟んで両側となる位置から各回転送り部により布送りが行われるので、片側のみに送り部を設けた場合と比較して、縫い糸の拘束による影響を低減し、第一及び第二の回転送り部による送り方向により忠実な方向に布を送ることが可能となる。
【0061】
請求項3記載の発明は、上側回転送り部と下側回転送り部とが相対する部位に互いに平坦部を設けているので、周面で相対する場合と比較して曲率半径変化の影響を回避し、所期の送り量で布送りを行うことができ、布送りの高精度化を図ることが可能となる。
【0062】
請求項4記載の発明は、布押さえと上側回転送り部の上昇割合を調節する上昇割合調節手段を備えることにより、例えば、上布が摩擦力が高い素材であったり伸縮性が高い素材であったりする場合のように上布が下布に対して送り難かったり、或いはその逆に通常よりも過分に送られてしまうような場合には、布押さえに対して上側回転送り部微上昇割合を変更調節が可能となるので、幅広い種々の素材に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施形態たる差動送りミシンを示す斜視図である。
【図2】針板の上方に位置する差動送りミシンの構成を示す斜視図である。
【図3】縫い針の周囲の構成を示す拡大斜視図である。
【図4】布押さえをZ軸方向から見た側面図である。
【図5】第一の回転送り部をその一部を切り欠いてZ軸方向から見た側面図である。
【図6】第二の回転送り部をその一部を切り欠いてZ軸方向から見た側面図である。
【図7】上下動手段及び上送り駆動手段の斜視図である。
【図8】上送り駆動手段をZ軸方向から見た図である。
【図9】布載置部,下側回転送り部及び下送り駆動手段の一部分解した斜視図である。
【図10】差動送りミシンの制御系を示すブロック図である。
【図11】間欠送り制御部としての制御のタイムチャートである。
【図12】操作パネルの表示手段における各モータの駆動タイミングの設定入力用スイッチ表示の例を示している。
【図13】差動送りミシンにより縫製を行う際に、下布の縫い代に対する上布の縫い代の大きなズレに対して人為的な縫い代合わせを行う場合の説明図である。
【図14】上昇割合調節手段の上昇割合の調節方法の説明図であり、図14(A)は調節前、図14(B)は調節中、図14(C)は調節後を示す。
【図15】図中の上の線図は主駆動軸の回転角度と縫い針の上下位置との関係を示し、上から二番目の線図は布押さえの主駆動軸の回転角度と縫い針の上下位置との関係を示し、下の線図は主駆動軸の回転角度と上側回転送り部の上下位置との関係を示す。
【符号の説明】
10 差動送りミシン
11 縫い針
12 布押さえ
30 上側回転送り部
31 第一の回転送り部
32 第二の回転送り部
40 上下動手段
60 上送り駆動手段
80 動作制御手段
Claims (4)
- 上布と下布のそれぞれの送り速度に差を設けて縫製を行う差動送りミシンであって、
上下動可能に支持されると共に縫い針の貫通部を有する布押さえと、
前記布押さえに隣接して配置され,上下動可能に支持される上側回転送り部と、
前記縫い針の上下動に対応して前記布押さえと前記上側回転送り部とを交互に上下動させ、前記縫い針が上下の布を貫通するときには前記布押さえが下方に位置すると共に前記上側回転送り部が上方に位置する状態とし、前記縫い針が上下の布から抜けているときには前記布押さえが上方に位置すると共に前記上側回転送り部が下方に位置する状態とする上下動手段と、
前記上側回転送り部に送り動作の駆動力を付与する上送り駆動手段と、
前記布押さえが上昇し且つ前記上側回転送り部が下降して前記上布と当接している期間内で布を送るように前記上送り駆動手段を制御する動作制御手段とを備えることを特徴とする差動送りミシン。 - 前記上側回転送り部は、前記布押さえを挟んだ両側に隣接する配置で前記上布を送る第一及び第二の回転送り部を有することを特徴とする請求項1記載の差動送りミシン。
- 前記上側回転送り部と下側回転送り部とが前記上下の布を介して互いに当接する部位に互いに平坦部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の差動送りミシン。
- 前記上下動手段は、交互に上下動させる前記布押さえと前記上側回転送り部の上昇割合を調節する上昇割合調節手段を備えることを特徴とする請求項1,2又は3記載の差動送りミシン。
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