JP5329079B2 - 玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構 - Google Patents

玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構 Download PDF

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Description

本発明は、玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構に関する。
玉縁縫いは、一般に、衣類のポケットの開口部に施される縫いの手法であり、四角く開口したポケットの開口部を塞ぐ弁のように玉布の縫いつけが行われる。従来の玉縁縫いミシンは、載置台上の身頃生地を玉布と共に保持して搬送する一対の大押さえを備える大押さえ機構と、一対の大押さえの間で昇降可能に設けられて玉布の中央部を身頃生地へ押し付けると共に大押さえにそれぞれ設けられた押さえ板によって折り込まれた玉布の両側部を整形して案内する玉布押さえ機構と、を備えている。
図13は従来の玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構100の構成の一例を示す斜視図である。図14は生地ガイド103付近の構成を示す正面図である。
図13に示すように、玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構100は、昇降可能に設けられた逆T字形状のバインダー102と、バインダー102の針棒側(図13の左側)に設けられてバインダー102と協働して玉布Wを整形して案内する生地ガイド103と、を備えている。
バインダー102は、載置台に対して平行に設けられた水平板102aと、平面部から上方へ延出して設けられた垂直板102bとを有する。垂直板102bの上端部はバインダーを上下方向に動作可能に支持する昇降機構(図示略)に支持されており、バインダー102の下降時に水平板102aが一対の大押さえ(図示略)の間で玉布Wの中央部を身頃生地(図示略)に押し付けるよう付勢する。また、一対の大押さえにそれぞれ設けられた一対の押さえ板(図示略)によって玉布Wの両側部が水平板102aの上面側に折り込まれる。
また、図13,14に示すように、生地ガイド103は軸部103aを中心に回動可能に支持されており、板バネ104によって下方へ回動するよう付勢されている。このとき、生地ガイド103の回動可能範囲は生地ガイド103のアーム103bの上方に設けられた2本のネジ105,106によって調節される。
大押さえ送り機構(図示略)の搬送によって玉布Wが身頃生地ごと搬送されると、バインダー102と生地ガイド103との間を玉布Wが通過する。このとき、玉布Wの生地厚によって生地ガイド103は上方へと持ち上げられるが、生地ガイド103には上述のように板バネ104による下方への付勢が働いているので、玉布Wは水平板102aの上面と生地ガイド103の下端とによって挟み込まれることとなる。このとき、板バネ104による生地ガイド103への付勢は玉布Wの搬送を妨げない程度となるよう設けられている。また、生地ガイド103は内側(バインダー102側)の側面が垂直板102bの側面に近接して設けられており、生地ガイド103の内側の側面と垂直板102bの側面との間に玉布Wの側部が通る。これによって、バインダー102と生地ガイド103によって玉布Wはバインダー102の逆T字形状に沿って整形されて搬送され、生地ガイド103の近傍で上下動する針棒(図示略)に支持された縫い針(図示略)によって玉布Wが身頃生地に縫いつけられる所謂玉縁縫いが行われる。
また、生地ガイドの軸部にロータリーエンコーダを設けて生地ガイドの位置角度を検出することで玉布の生地厚を検出する構成が知られている(例えば特許文献1)。
実開平5−44067号公報
しかしながら、従来の玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構100では、生地ガイド103は上述のように板バネ104によって下方へと付勢されている。このため、例えば厚い生地厚の玉布Wを用いた場合、水平板102aの上面と生地ガイド103の下端に玉布Wが挟み込まれた際に、生地の厚みによって生地ガイド103が大きく上に持ち上げられる一方で、板バネ104は生地ガイド103が大きく持ち上げられたことで下方への付勢力を強めるように働く。このため、水平板102aの上面と生地ガイド103の下端による玉布Wへの挟み込みの力が必要以上に大きくなって玉布Wが詰まり、大押さえ送り機構による玉布Wの搬送を妨げてしまうことがあるといった問題点があった。
本発明は、上述の問題点に鑑み、玉布の生地厚に関らず好適に機能する玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、身頃生地を玉布と共に保持して搬送する一対の大押さえの間に下降して、前記玉布の中央部を身頃生地へ押し付ける水平板と当該水平板の上面中央に立設された垂直板とを有する逆T字形状のバインダーと、回動式のアームに支持されて前記バインダーの水平板の上面に対して昇降可能に設けられて、前記バインダーの水平板の上面側に折り込まれた前記玉布の両側部を前記バインダーの水平板の上面と垂直板の平面とに沿わせる一対の生地ガイドと、を備え、前記大押さえの布送り時に前記バインダーと前記生地ガイドとの間に前記玉布の両側部を通す玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構において、前記アームを回動させて前記生地ガイドを昇降させるパルスモータと、前記パルスモータの無負荷時の軸角度を検出することで前記アーム部の回動軸の軸角度を検出して前記生地ガイドの昇降位置を検出する検出手段と、前記検出手段による検出位置に応じて前記生地ガイドの昇降位置を制御する位置制御手段と、を備え、前記検出手段は、前記バインダーの水平板の上面と前記生地ガイドとの間に前記玉布が通ることで当該玉布の生地厚によって持ち上げられた前記生地ガイドの昇降位置を検出し、前記位置制御手段は、前記玉布の生地厚によって持ち上げられた前記生地ガイドの昇降位置を維持するように前記パルスモータの動作を制御することを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、検出手段の検出位置に応じて位置制御手段が生地ガイドの昇降位置を制御する。このとき、検出手段は玉布の生地厚によって上方へと持ち上げられた際の生地ガイドの昇降位置を検出する。つまり、位置制御手段は玉布の生地厚によって持ち上げられた生地ガイドの昇降位置に応じて、生地ガイドとバインダーの水平板との間に玉布が詰まることのない昇降位置へと生地ガイドを制御する。これによって、玉布の生地厚が厚い場合等に玉布が詰まり、大押さえ送り機構による玉布の搬送を妨げてしまうことがあるといった従来の玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構の問題点を解消することができる。よって、玉布の生地厚に関らず好適に玉布を整形して搬送可能な玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構を提供でき、縫い品質が向上する。
なお、位置制御手段による生地ガイドとバインダーの水平板との間に玉布が詰まることのない昇降位置の制御は、検出手段によって検出された生地ガイドの昇降位置を維持するよう生地ガイドを制御するものであってもよいし、当該昇降位置から所定の角度だけ下方へと生地ガイドの位置を下降させるよう制御して玉布が詰まらない程度に玉布をバインダーの水平板側に押し付けるものであってもよい。後者の場合、玉布がより確実にバインダーの水平板に沿うので、バインダーの逆T字形状に沿った玉布の整形がより確実となり、縫い品質がさらに向上する。
また、請求項記載の発明によれば、検出手段はパルスモータの無負荷時の軸角度から生地ガイドの昇降位置を検出する。なお、玉布が生地ガイドの下方を通過する際に玉布の生地厚によって生地ガイドが持ち上げられる際、パルスモータによる生地ガイドの駆動は行われず無負荷の状態であり、検出手段は玉布の生地厚による生地ガイドの持ち上がりがもたらす生地ガイドの昇降位置変化を軸角度の変化から検出する。このとき、生地ガイドにはパルスモータによる負荷はないので、玉布による生地ガイドの持ちあげが阻害されることはなく、玉布の詰まりは発生しない。また、位置制御手段は生地ガイドが玉布によって持ち上げられた際の生地ガイドの昇降位置に応じて生地ガイドの昇降位置を制御する。このとき、検出手段が検出した生地ガイドの昇降位置は玉布の生地によって持ち上げられた位置なので、位置制御手段はその時用いられている玉布の生地厚に応じた生地ガイドの昇降位置制御が可能となる。よって、玉布の生地厚に関らず好適に生地ガイドの昇降位置制御を行うことが可能となり、縫い品質がさらに向上する。
(玉縁縫い)
以下に説明する本実施形態たる玉布押さえ機構20を備えた玉縁縫いミシン10は、玉縁縫いを行うためのミシンである。まず、図1に基づいて玉縁縫いについて説明する。図1は玉縁縫いの縫製直後の状態を示す平面図である。
玉縁縫いは、ポケットの開口部を形成するための縫いの手法であり、ポケットの開口部が長方形状のものと平行四辺形状のものとがあるが、ここでは長方形状のものを例に説明する。
玉縁縫いは、身頃生地Cの表面に玉布Wを載置し、さらにその上にフラップ布Fを配置して二本の縫い目N,Nにより縫い合わせることで形成される。また、二本の縫い目N,Nの間には当該縫い目N,Nと平行に直線状の切れ目Lが形成され、さらに当該直線状の切れ目Lの両端部にはV字状の切れ目V,Vが形成される。
フラップ布Fは、一方の側部が一方の縫い目Nにより玉布Wと共に身頃生地Cに縫いつけられるようになっている。
上記V字状切れ目V,Vは、直線切れ目Lの端部と二本の縫い目N,Nの端部とを結ぶ線分と一致するように形成される。
そして、図1のように縫い目Nと切れ目L、Vが形成された状態で、玉布Wは切れ目L、Vから身頃生地Cの裏面側に折り込まれ、フラップ布Fは二点鎖線で示すように縫い目Nを軸に反転した状態でポケットの開口部から外部に垂れ下がった状態となる。
(発明の実施形態の全体構成)
以下、本発明の実施の形態である玉布押さえ機構20を備えた玉縁縫いミシン10について図2乃至図12に基づいて説明する。図2は玉縁縫いミシン10の全体の概略構成を示す斜視図を示し、図3は玉縁縫いミシン10の正面図である。なお、本実施の形態においては、各図中に示したXYZ軸を基準にして玉縁縫いミシン10の各部の方向を定めるものとする。玉縁縫いミシン10を水平面に設置した状態において、Z軸方向は鉛直方向となる方向を示し、X軸方向は水平且つ布送り方向Eと一致する方向を示し、Y軸方向は水平且つX軸方向に直交する方向を示す。
本実施形態たる玉縁縫いミシン10は、身頃生地Cと玉布Wとを重ねて二本の縫い針13,13で所定の長さで縫着すると共に、二本の縫い目N,Nの間を縫い方向に沿って直線状の切れ目Lを形成し、さらに、当該切れ目Lの両端部にV字状の切れ目V,Vを形成するミシンである。また、身頃生地Cと玉布Wの縫着の際には、二本針13,13の内の一方で身頃生地Cに対するフラップ布Fの縫着も行われる。
かかる玉縁縫いミシン10は、縫製の作業台となる載置台としてのテーブル11と、身頃生地Cの布送り方向に延設された左右一対の大押さえ41A,41Bによりテーブル11上の身頃生地Cを玉布Wと共に上方から保持すると共に大押さえ41A,41Bを布送り方向Eに移動させることで身頃生地C,玉布W及びフラップ布Fの搬送を行う布送り機構としての大押さえ送り機構40と、身頃生地Cに縫着するフラップ布Fを各大押さえ41A,41Bの上面に設けられた載置部41a,41aで保持する左右一対のフラップ保持機構55,55と、身頃生地Cに縫着する玉布Wにバインダー22を当てて当該玉布Wの両側部を整形する玉布押さえ機構20と、大押さえ送り機構40によりX軸方向に沿って送られる身頃生地Cと玉布に二本の縫い針13,13により縫製を行う縫製手段としての針上下動機構70と、縫い針13,13よりも布送り方向下流側で動メス14を昇降させて身頃生地Cと玉布に切れ目Lを形成するメス機構と、縫い針13から縫い糸を捕捉して下糸を絡ませる釜機構と、テーブル11上に設置されて針上下動機構70とメス機構とを格納保持するミシンフレーム80と、直線状の切れ目の両端となる位置に略V字状の切れ目V,Vを形成するコーナーメス機構90と、身頃生地Cの布送り方向Eに沿って各大押さえ41A,41Bの載置部41a,41aの上面に形成された反射面41c,41cに向かって光照射を行う発光部と反射面41c,41cからの反射光を受光する受光素子とを有し、受光部によって受光される反射光の光量の増減によってフラップ布Fの前端及び後端を検出する検出する左右一対のフラップ端部センサとしての第一のフラップ検出手段30,30と、身頃生地Cの布送り方向Eに沿って一方の大押さえ41Aの載置部41aの上面にのみ形成された反射面41dに向かって光照射を行う発光部と反射面43dからの反射光を受光する受光素子とを有し、受光部によって受光される反射光の光量の増減によってフラップ布の前端及び後端を検出する検出するフラップ傾斜センサとしての第二のフラップ検出手段35と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段60を備えている。以下各部を詳説する。
(テーブル及びミシンフレーム)
テーブル11はその上面がX−Y平面に平行であって、水平な状態で使用される。そして、テーブル11における縫い針13による針落ち位置には針板15が装着されている。針板15には、二本の縫い針13が個別に挿入される針穴と、メス機構の動メス14が挿通されるスリットが形成されている。
また、テーブル11上には、ミシンフレーム80のベッド部81を格納する凹部が形成されており、ミシンフレーム80は当該凹部に設置されている。さらに、テーブル11には、ミシンフレーム80の布送り方向下流側に大押さえ送り機構40とコーナーメス機構90とが配置され、布送り方向上流側にはバインダー機構(バインダー22以外は図示略)が配置されている。
ミシンフレーム80は、主に、テーブル11に設置されるベッド部81とそこから立設された縦胴部82とその上部から水平に延設されたアーム部83とから構成されている。
そして、ミシンフレーム80の下部にはミシンモータ16が配設され、ベッド部81の内部にはミシンモータ16から図示しないベルトを介してミシンフレーム80に伝達される回転駆動力を釜機構に伝える下軸がY軸方向に沿った状態で支持されており、アーム部83の内部には針上下動機構70の上下動駆動力をミシンモータ16から伝達する上軸がY軸方向に沿った状態で支持されている。
上軸と下軸にはそれぞれプーリが固定装備されると共に、ミシンフレーム80の縦胴部82内を通されたタイミングベルトで連結されている。
(針上下動機構)
図4は針上下動機構70の斜視図である。針上下動機構70は、各縫い針13,13を個別に下端部に保持する二本の針棒72,72と、各針棒72,72を上下動可能に支持する支持枠79と、二本の針棒72,72を同時に保持する針棒抱き74と、ミシンモータ16により回転駆動を行うミシン主軸76と、ミシン主軸76の一端部に固定連結され回転運動を行う回転錘77と、回転錘77の回転中心から偏心した位置に一端部が連結されると共に他端部が針棒抱き74に連結されたクランクロッド78とを有している。
また、ミシン主軸76も、アーム部83の内部でY軸方向に沿って回転可能に支持されており、ミシンモータ16により全回転の回転駆動力が付与される。ミシン主軸76が回転されると、回転錘77も同様に回転を行い、クランクロッド78の一端部はミシン主軸76を中心として円運動を行い、他端部では、一端部側の円運動のZ軸方向の移動成分のみが針棒抱き74に伝達されて各針棒72,72が往復上下動を行うようになっている。
(メス機構)
メス機構は、直線状の切れ目を形成する動メス14と、動メス14を下端部に備えると共にアーム部83内で上下動可能に支持されたメス棒と、メス棒の上下動の駆動源となるメスモータ17と、メスモータ17からの回転駆動力を上下方向の往復の駆動力に替えて伝達する伝達機構と、動メス14を昇降により待機位置と切断位置とに切り替えるエアシリンダ14aを備えている。
上記動メス14は、二本針13に隣接すると共に当該二本針13よりも布送り方向下流側(図3における左方)に配置されている。
メスモータ17は、身頃生地Cの送り動作と共に回転駆動を行い、伝達機構により動メス14を上下動させて、メス幅に応じた切れ目を繰り返し形成して直線状の切れ目を形成する。
(釜機構)
釜機構は、ミシンフレーム80のベッド部81内に設けられている。この釜機構は、二本の縫い針13,13に個別に対応する二つの水平釜と、各水平釜の回転軸に設けられた釜歯車と、下軸に固定装備されて各釜歯車に個別に回転駆動力を付与する伝達歯車とを備えている。
下軸は、ミシンモータ16により回転駆動されると、各伝達歯車を介して釜歯車に回転駆動力を伝達し、さらに、釜軸を介して各水平釜が回転されるようになっている。各水平釜は、縫い針13の先端部が針板15の下側まで下降したときに、縫い針13から縫い糸を捕捉し、捕捉状態で回転することで縫い糸のループに水平釜にくぐらせて下糸を挿通させ、縫い糸と下糸とを絡ませる作業を行う。このように、縫い針13と水平釜との協働により縫いが行われるようになっている。つまり、針上下動機構70と釜機構とにより縫製手段が構成されている。
(大押さえ送り機構)
図5は大押さえ送り機構40の斜視図である。この図に示すように、大押さえ送り機構40は、縫い針13を挟んだ両側の位置において上方から身頃生地Cを押さえる一対の大押さえ41A,41Bと、各大押さえ41A,41Bの下側に個別配置されると共に布送りの際に身頃生地Cを載置する二つの敷き板47(図2参照)と、各大押さえ41A,41Bを個別に保持する一対のアーム部材48と、二つの大押さえ41A,41Bをアーム部材48を介して昇降可能に支持する支持体42と、支持体42に保持される各アーム部材48をY軸方向に沿って位置調節可能とする大押さえ41A,41Bの間隔調節機構49と、支持体42に対して大押さえ41A,41Bを上下に移動させるエアシリンダ43と、エアシリンダ43の駆動を制御する電磁弁44(図5参照)と、大押さえ41A,41Bにより押さえた身頃生地Cを布送り方向Eに移動させる駆動手段としての押さえモータ45(図3参照)と、押さえモータ45の回転駆動力をX軸方向に沿った直動駆動力に変換して支持体42に伝達するボールネジ機構46とを備えている。
各大押さえ41A,41Bは、断面形状がやや楔状、平面視形状は長方形状の平板であって、その厚さが薄くなる縁部を互いに向かい合わせた状態で支持体42に支持されている。また、二つの大押さえ41A,41Bは、二本針13を挟んでY軸方向に並んで配置されると共に、それぞれ長手方向がX軸方向に沿うようにアーム部材48に支持されている。
さらに、各大押さえ41A,41Bは上面板と底面板とから構成され、各大押さえ41A,41Bはいずれも他方の大押さえ側に向かって開口した隙間を備えている。そして、各大押さえ41A,41Bの隙間には、進退可能な押さえ板50,50が格納されている。各大押さえ41A,41Bの押さえ板50,50は、各アーム部材48に設けられたエアシリンダ51,51により、相互に接離する方向(Y軸方向)に沿って往復移動可能となっている。このエアシリンダ51,51は、動作制御手段60に制御される電磁弁52,52(図5参照)により駆動を行うと共に、各押さえ板50,50を互いに接近移動させて、玉布Wの両端部を後述する玉布押さえ機構20のバインダー22の上面側に折り込む(図8参照)。
また、各大押さえ41A,41Bの上面は、フラップ布を載置する載置部41aとして機能すると共に、その長手方向全長に渡って長尺状の反射面41cが形成されている。反射面41cは、後述するフラップ保持機構55により保持されたフラップ布Fの布送り方向上流端部位置と下流端部位置とを検出するために用いるものである。図6は大押さえ41Aの上面の載置部41aにフラップ布Fがセットされた状態を示す平面図である。この図6に示すように、フラップ布Fにより、長手方向における反射面41cの一部分が遮蔽されると、その遮蔽部分の反射率の低下を第一のフラップ検出手段30によって検出することにより、フラップ布Fの布送り方向上流端部(後端部)位置と下流端部(前端部)位置とが動作制御手段60において認識されるようになっている。
さらに、一方の大押さえ41A(図2,5における左側の大押さえ)についてのみ、その上面にはその長手方向全長に渡って長尺状の反射面41dが形成されている。かかる反射面41dも、後述するフラップ保持機構55により保持されたフラップ布Fの布送り方向上流端部位置と下流端部位置とを検出するために用いるものである。
即ち、図6に示すように、この反射面41dは、前述した反射面41cに平行であって、Y軸方向(布送り方向に直交する方向)について幾分ずれた位置に設けられている。このように反射面41cに対してY軸方向にずれた配置でフラップ布Fの端部検出を行うことで、フラップ布Fの端部に傾斜があると、反射面41cにより端部検出のタイミング(或いは検出時のフラップ布Fの搬送位置)に差を生じることから、この差に基づいてフラップ布Fの端部の傾斜状態を求めることを可能としている。
各アーム部材48は、支持体42の一端部側にY軸方向に沿って設けられた支軸42aにより揺動可能に支持されている。そして、各アーム部材48の先端部側で大押さえ42を保持すると共に後端部側がエアシリンダ43により昇降され、その結果、各アーム部材は揺動して大押さえ41A,41Bの昇降を行うようになっている。
間隔調節機構49は、各アーム部材48と支軸42aと間に設けられている。各間隔調節機構49は、支軸42aに沿って移動するアーム部材48を締結して任意の位置に固定することができる。これにより、各アーム部材48を介して各大押さえ41A,41BはY軸方向における任意の位置に調節することができ、各大押さえ41A,41Bの相互間距離も調節することができる。
各敷き板47は、それぞれ大押さえ41A,41Bの下側において、テーブル11の上面に載置された状態で支持体42に固定装備され、大押さえ41A,41Bと共に布送り方向Eに沿って移動を行う。各敷き板47は、X軸方向に沿って延設されると共にY軸方向についておおよそ大押さえ41A,41Bと同一幅に設定されている。また、各敷き板47は、縫製時には針板15を覆うことがないように二本針13を挟んで配置されている。
各敷き板47は常にテーブル11の上面高さ位置し、これに対して各大押さえ41A,41Bが下降することで身頃生地Cを挟持状態を保持を行うこととなる。つまり、各敷き板47は、身頃生地Cの下側にあって、当該身頃生地Cの搬送時に直接テーブル11の上面に摺動されないように保護するためのものである。
エアシリンダ43は、電磁弁44により、各アーム部材48を介して各大押さえ41A,41Bを上位置と下位置とに切替可能であり、上位置の時には各大押さえ41A,41Bを敷き板47の上面から離間させ、下位置の時には各大押さえ41A,41Bを敷き板47の上面高さまで下降させる。かかるエアシリンダ43の電磁弁44は、動作制御手段60により動作制御が行われる。
ボールネジ機構46は、支持体42をテーブル11上においてX軸方向に沿って移動可能に支持しており、押さえモータ45の駆動により、二つの大押さえ41A,41BをX軸方向について任意に位置決めすることを可能としている。
(フラップ保持機構)
フラップ保持機構55は、図5に示すように、何れか一方の大押さえ41の上面でフラップ布が保持されるように各大押さえ41A,41Bに対応してそれぞれの上面に個別に設けられている。各フラップ保持機構55は、大押さえ41A,41Bの上面に接離可能となるようにアーム部材48に回動支持されたフラップ押さえ部材56と、フラップ押さえ部材56に回動力を付与するエアシリンダ57によりフラップ布Fの保持と解除とを行う。
かかるフラップ保持機構55は、フラップ布Fの縫着端部をX軸方向に沿わせた状態で保持するためのものであって、当該フラップ布Fの縫着端部が各大押さえ41A,41Bの移動時に一方の縫い針13の針落ち位置を通過するようにフラップ布Fの保持を行う。そして、フラップ布Fは、当該フラップ布Fの長手方向全長に渡って大押さえ41A,41Bの反射面41c(大押さえ41Aについては反射面41dも)を上から覆う状態で、フラップ保持機構55に保持されるようになっている。
なお、フラップ保持機構55は、各大押さえ41A,41Bごとに個別に設けられているが、フラップ布Fの縫着作業時には何れか一方のみが選択されて使用される。
(フラップ検出手段)
フラップ検出手段30は、各大押さえ41A,41Bに対応してそれぞれ個別に設けられ、ミシンフレーム80のアーム部正面側においてY軸方向に沿って並んで設けられている。これら各フラップ検出手段30は、各大押さえ41A,41Bの移動経路の上方であって二本針13よりも布送り方向上流側(図2における右側)に設けられている。
各フラップ検出手段30は、前述した大押さえ41A,41Bの反射面41cに向かって鉛直上方から照射光を照射する発光素子33と、反射面41cからの照射光の反射光を検出して検出信号を動作制御手段60に入力する受光素子31と、当該受光素子31をミシンアーム部83の外面上で支持する支持ブラケット32とを備えている。なお、発光素子33と受光素子31とは、同一容器に一体で収納されている。
支持ブラケット32は、受光素子31及び発光素子33を下方に向けた状態で大押さえ41A,41Bの反射面41cの上方で支持している。発光素子33による照射光が反射面41cに照射されると、照射光は反射面41cで反射して受光素子31に検出される。このとき、フラップ布Fの端部が発光素子33の照射光の照射範囲に入ると、反射面41cがフラップ布Fで遮られることにより受光素子31に検出される光の量が変わる。受光素子は当該光の量の変化によりフラップ布Fの端部を検出して検出信号を動作制御手段60に入力する。動作制御手段60はフラップ検出手段30が検出したフラップ布Fの位置に基づいて針落ち開始位置を制御する。
(コーナーメス機構)
コーナーメス機構90は、テーブル11の下方であって大押さえ送り機構40による大押さえ41A,41Bの通過経路における動メス14よりも布送り方向下流側(図3における左方)に配置されており、大押さえ送り機構40によりコーナーメス91の作業位置に搬送された身頃生地Cを下方からコーナーメス91を突き通すことで直線状の切れ目の両端となる位置に略V字状の切れ目Vを形成する。
即ち、コーナーメス機構90は、コーナーメス91を上下動させるエアシリンダ92と、エアシリンダ92の駆動を行う電磁弁93と、コーナーメス91をX軸方向に沿って移動位置決めする駆動モータ94とを備えている。
上記コーナーメス91は、上方から見たその断面形状がV字状に形成され、下方から各布地を突き通すことでV字状の切れ目Vを形成する。
即ち、縫い目と直線状の切れ目が形成された身頃生地C及び玉布Wが、大押さえ送り機構40により、布送り方向Eにおける動メス14よりも下流側の所定位置まで搬送されると、コーナーメス91を切れ目の一端側の下方位置に位置決めして上昇させ、次いで、切れ目の他端側の下方位置にコーナーメス91を位置決めして上昇させ、二つのV字状の切れ目Vを形成する。
(玉布押さえ機構)
図7は玉布押え機構20の構成を示す斜視図である。
玉布押さえ機構20は、断面形状が逆T字状であって玉布を巻き付けるようにセットして長手方向に沿って送り出すバインダー22と、バインダー22を昇降可能に支持するバインダー支持機構(図示略)と、バインダー22の水平面の上面に折り込まれた玉布Wをバインダー22の逆T字形状に沿わせる一対の生地ガイド23、23と、生地ガイド23、23を回動可能に支持する一対の生地ガイド支持機構25を有している。
バインダー22は、テーブル11の上面に対向する水平板22aと、水平板22aの上面中央に垂直に立設された垂直板22bとによる断面視で逆T字状の形状を成している。
バインダー支持機構は、バインダー22の昇降動作の駆動源となる図示しないエアシリンダと、当該エアシリンダを駆動する電磁弁18(図11参照)と、エアシリンダの駆動力を上下方向の移動力に替えてバインダー22に付与する複数のリンク体とを備えている。バインダー支持機構は、縫製時にエアシリンダによりバインダー22の針棒側の先端部が二本針13,13の針落ち位置の間となるようにバインダー22を下降させる。なお、バインダー22の針棒側の先端部には針落ち溝が設けられており、針落ち溝の内側を日本針13,13が上下動することで縫いが行われる。なお、バインダー支持機構の制御は後述する動作制御手段60によって行われ、バインダー22の上下動の駆動指示は後述する操作ペダル68を介して行われる。
図8はバインダー22が下降した際の玉布押さえ機構20付近の構成の位置関係を示す図7及び図9のU−U線に沿った断面図である。
図8に示すように、バインダー22が下降すると、バインダー22の水平板22aの下面が玉布Wを下方へと押圧して身頃生地Cへと押し付ける。このときバインダー22の水平板22aの下面が接触するのは、玉布WのY軸方向の幅の中央部である。また、バインダー22が下降すると、上述のように大押さえ41A,41Bに設けられた押さえ板50,50が互いに接近するよう駆動され、バインダー22の水平板22aの上面側へと移動する。これによって、玉布Wの両側部はバインダー22の水平版の上面側へ折り込まれる。
図9は生地ガイド23、23を上方から見た場合の説明図である。
生地ガイド23、23は、バインダー22の垂直板22bの両側面に設けられて、バインダー22の水平板22aの上側に折り込まれた玉布Wの両縁部をバインダー22の垂直板22bと協働して支持する。また、生地ガイド23,23は、生地ガイド支持機構25によって上下に回動可能に支持されており、生地ガイド23,23の下端とバインダー22の水平板22aの上面とで玉布Wの両側部を挟むように位置する。これによって、図8に示すように、バインダー22に水平面の上面に折り込まれた玉布Wの両側部及び両縁部はバインダー22の逆T字形状に沿って整形される。また、図9に示すように、生地ガイド23,23の上流側(二本針13,13の反対側)の端部はバインダー22の垂直板22bから離隔する方向に開かれており、矢印E方向に搬送される玉布Wの両縁部がバインダー22の垂直板22bと生地ガイド23,23の間に導かれやすく設けられている。縫製時には、大押さえ送り機構40によって身頃生地Cと共に搬送される玉布Wは、バインダー22と生地ガイド23,23とによってバインダー22の逆T字形状に沿って整形されて二本針13,13の針落ち位置へと送られる。また、図9に示すように、生地ガイド23,23の下流側の端部は前述の動メス14の上下動と干渉しないようバインダー22の垂直版22bから離隔する方向に開かれている。
生地ガイド支持機構25、25は、生地ガイド23、23を回動可能に支持する一対のアーム25a,25aと、生地ガイド23,23の回動角度位置をその駆動によって変更可能なパルスモータ25b,25bと、パルスモータ25b、25bの回転角度を検出するエンコーダ25c、25c(図11参照)を備えている。なお、生地ガイド23,23及び一対の生地ガイド支持機構25,25はバインダー22に対して対称となるよう設けられ、それぞれの構成は同一であるので、以降の記載においては一対の生地ガイド23、23及び一対の生地ガイド支持機構25,25のうち一方の構成について詳説し、他方は同様のものとして省略する。
生地ガイド支持機構25のアーム25aとパルスモータ25bとはギヤ25d,25eを介して連結されている。ギヤ25dはパルスモータ25bの回転軸部をその中心軸とし、ギヤ25eはアーム25aの回動軸部をその中心軸として設けられている。
パルスモータ25bは、後述する動作制御手段60の出力パルスに応じた回転角度を維持する。このとき、生地ガイド23はアーム25a,ギヤ25d,25eを介してパルスモータ25bの回転軸部と連結しているので、パルスモータ25bの回転角度を変更/維持することで生地ガイド23の回動角度位置即ち昇降位置を変更/維持することができる。よって、パルスモータ25bは「駆動手段」として機能する。なお、パルスモータ25bの回転角度制御は後述する動作制御手段60によって行われる。
エンコーダ25cはパルスモータ25bの回転角度を検出して動作制御手段60へと出力する。このとき、パルスモータ25bの回転角度は、生地ガイド25aを支持するアーム25aの回動角度位置と一定の関係を有することから、パルスモータ25bの回転角度を検出することにより、生地ガイド23を回動可能に支持するアーム25aの回動軸の軸角度回動角度位置即ち生地ガイド23の昇降位置を検出することができる。よって、エンコーダ25cは「検出手段」として機能する。
図10は生地ガイド23の回動角度位置の変化を示す説明図である。なお、図10(a)は生地ガイド23とバインダー22との間に玉布Wが通っていない場合、図10(b)は生地ガイド23とバインダー22との間に玉布Wが通っている場合を示す。
生地ガイド23はその下端とバインダー22の水平板22aの上面との間を玉布Wが通っていないとき、パルスモータ25bは出力を生じないよう制御され、いずれの方向にも負荷を生じることなく生地ガイド支持機構25に回動自在に支持されている。つまり、このときの生地ガイド23は図10(a)に示すように自在に上下動可能な状態でその下端がバインダー22の水平板22aの上面に接触している。一方、生地ガイド23はその下端とバインダー22の水平板22aの上面との間を玉布Wが通る際には、図10(b)に示すように玉布Wの生地厚によって生地ガイド23が上方へと持ち上げられ、その回動角度位置が変化する。変化後の回動角度位置はエンコーダ25cによって検出され、動作制御手段60へ入力される。また、動作制御手段60は、変化後の回動角度位置に応じてパルスモータ25bを駆動し、生地ガイド23の回動角度位置を所定の位置に維持する。生地ガイド23の位置を所定の回動角度位置に維持する仕組みについては後述する。
(玉縁縫いミシンの制御系)
図11は玉縁縫いミシン10の制御系を示すブロック図である。図11に示すように、動作制御手段60には、各種の制御の状態情報を表示する表示パネル64と、縫製に関する各種の設定を入力する設定スイッチ65と、縫製の開始を入力する起動スイッチ66と、操作ペダル68とが図示しない入出力回路を介して接続されている。
設定スイッチ65には、各種のパラメータを設定するための図示しない入力キーに加えて、図示しないモード選択ボタンが設けられており、第二のフラップ検出手段35による検出を実行し、検出されたフラップFの端部の傾斜状態により定まる端部位置偏差に忠実に縫いを行う通常偏差縫い制御モードと、第二のフラップ検出手段35による検出を実行しないで、以前に検出されたフラップFの端部の傾斜状態に対してX軸を中心に反転させた逆側への傾斜状態に対応するように縫いを行う反転偏差縫い制御モードとを選択することが可能となっている。
起動スイッチ66は、縫製の開始を入力するための手段であり、当該起動スイッチ66の入力が行われると、操作ペダル68による入力が可能となる。
操作ペダル68は、上述の起動スイッチ66の入力後、踏み込みが行われることで、縫製の開始の実行に移行させる指示入力手段である。つまり、前述の起動スイッチ66と操作ペダル68の二段階の操作を経て縫製を実行させることが可能となっている。操作ペダル68はその踏み込み操作により、バインダー22の上下動や大押さえ送り機構40による搬送を指示可能である。
また、動作制御手段60には、その制御の対象となるミシンモータ16,押さえモータ45,メスモータ17、コーナーメスの駆動モータ94、針切り替えソレノイド73がそれぞれドライバー16a,45a,17a,94a、73aを介して接続されている。
また、動作制御手段60には、バインダー22の上下動を行うエアシリンダ、大押さえ41A,41Bの昇降を行うエアシリンダ43、押さえ板50を作動させるエアシリンダ51、フラップ布F保持を行うエアシリンダ57、コーナーメス91の昇降を行うエアシリンダ92及び動メス14の待機状態と使用可能状態と切り替えるエアシリンダの作動を制御する電磁弁18,44,52,58,93,12がドライバー18a,44a,52a,93a,12aを介して接続されている。
さらに、動作制御手段60には、一対のフラップ検出手段30の各発光素子33(図11では一つのみ図示)が電源回路33aを介して接続されており、各受光素子31(図11では一つのみ図示)がインターフェイス31aを介して接続されている。
さらに、動作制御手段60には、大押さえ送り機構40の支持台42の布送り方向下流側端部に設けられた被検出部(図示せず)を検出する大押さえ41A,41Bの原点センサ19がインターフェイス19aを介して接続されている。かかる原点センサ19は大押さえ41A,41Bを布送り方向下流側の終点又は終点近くまで搬送すると被検出部の検出を行うように配置されており、動作制御手段60は、かかる検出位置を原点として、そこから押さえモータ45の回転角度をカウントすることで大押さえ41A,41Bの搬送移動量を求めている。
さらに、動作制御手段60には、生地ガイド支持機構25のパルスモータ25bがドライバー25fを介して、エンコーダ25cがインタフェース25gを介して接続されている。
動作制御手段60は、各種の制御を行うCPU61と、後述する生地ガイド回動角度制御プログラム62aが記憶されているROM62と、CPU61の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM63と、フラップ布Fの縫着縫製を行うための各種設定データ等を書き換え可能に記憶する記憶手段としてのEEPROM69とを備えている。
EEPROM69には、各受光素子31、36と縫い針13と動メス14の布送り方向における相対的な位置関係や各発光素子32,37による各反射面41c、41dに対する照射位置のY軸方向における位置関係を位置データとして記憶している。また、これにより、受光素子31でフラップ布Fの前端部(布送り方向下流端部)や後端部(布送り方向上流端部)が検出されると、CPU61は、位置データを参照して端部検出からどの程度の距離を搬送した後に縫いを開始又は終了するかを判断し、また、同様に、縫い開始からどの程度の距離を搬送して布切断を開始又は終了するかを判断する。
(生地ガイド回動角度制御プログラム)
生地ガイド回動角度制御プログラム62aは、CPU61に実行されることで、エンコーダ25cによってCPU61に入力された回転角度位置に応じてパルスモータ25bを駆動して生地ガイド23の回動角度位置を制御する処理を行う。具体的には、CPU61はエンコーダ25cによって検出された回転角度よりも生地ガイド23が上昇しないようアーム25aの回動角度位置を維持するようにパルスモータ25bの回転角度を維持する。このときのパルスモータ25bの回転角度維持を行う出力は所定の維持力となるようにCPU61がパルスモータ25bの電流値を制御する。つまり、図11(b)に示すように玉布Wが生地ガイド23の下端とバインダー22の水平板22aの上面との間を通過したことで生地ガイド23が持ち上げられた際に、生地ガイド23の回動角度位置を当該持ち上げられた角度に維持するようパルスモータ25bを制御する。
よって、CPU61は生地ガイド回動角度制御プログラム62aを実行処理することで「位置制御手段」として機能する。
なお、生地ガイド回動角度制御プログラム62aによるパルスモータ25bの制御は、一対の生地ガイド支持機構25,25のそれぞれについて独立して行われる。
(玉縁縫いミシンの動作)
次に、玉縁縫いミシン10の動作について図12を用いて詳説する。図12は玉縁縫いミシン10の動作を示すフロー図である。
まずオペレータによって起動スイッチ66がオンにされ、玉縁縫いミシン10が起動する。次に、オペレータによって大押さえに身頃生地Cと玉布Wがセットされる(ステップS1)。ステップS1において、必要に応じてフラップ布Fもあわせてセットされる。その後、操作ペダル68が操作されることでバインダー22が下降して(ステップS2)、玉布Wの中央部を下方へ押し付けると共に、押さえ板50,50が玉布Wの両側部をバインダー22側へ折り込む(ステップS3)。その後、大押さえ送り機構40が身頃生地C、玉布Wの搬送を開始する(ステップS4)。
玉布Wが搬送されて生地ガイド23の下方を通過すると(ステップS5)、玉布Wの生地厚に応じて生地ガイド23が持ち上げられてその回動角度位置が変化し、エンコーダ25cによって回転角度の変化がCPU61に入力される(ステップS6)。ステップS6の入力が行われると、CPU61は、生地ガイド回動角度制御プログラム62aを実行してステップS6において入力された回転角度に維持するようパルスモータ25bの回転角度を制御する(ステップS7)。その後、動作制御手段60によって二本針13、13と釜機構、メス機構の動メス14及びコーナーメス機構90が協働するよう制御されて玉縁縫いが行われる(ステップS8)。玉縁縫いが完了すると、ミシンの動作は終了する。
(本発明による玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構の作用効果)
上述の実施の形態によれば、エンコーダ25cが検出した回転角度に応じて、CPU61が生地ガイド回動角度制御プログラム62aを実行して当該回転角度に応じた生地ガイド23の回動角度位置を維持するようパルスモータ25bの回転角度を制御する。よって、生地ガイド23は玉布Wの生地厚によって持ち上げられた位置から下降することなく維持され、バインダー22の水平板の上面と生地ガイド23の下端との間は玉布Wの生地厚に応じた間隔が設けられた状態で維持される。これによって、玉布Wはバインダー22の水平板と生地ガイド23の下端との間に詰まることなく好適に搬送される。従って、玉布の生地厚が厚い場合等に玉布が詰まり、大押さえ送り機構による玉布の搬送を妨げてしまうことがあるといった従来の玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構の問題点を解消することができる。よって、玉布Wの生地厚に関らず好適に玉布を整形して搬送可能な玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構を提供でき、玉縁縫いミシンによる縫い品質が向上する。
また、エンコーダ25cはパルスモータ25bによる負荷がない状態の回転軸角度から生地ガイド23の昇降位置を検出する。このとき、生地ガイドには駆動手段による負荷はないので、玉布Wによる生地ガイドの持ちあげが阻害されることはなく、玉布Wの詰まりは発生しない。また、CPU61は生地ガイド23が玉布Wによって持ち上げられた際の生地ガイド23の昇降位置によるパルスモータ25bの回転軸の回転角度位置に応じてパルスモータ25bの回転角度位置を制御する。このとき、エンコーダ25cが検出したパルスモータ25bの回転角度位置は玉布Wの生地によって持ち上げられた生地ガイド23の位置に応じた回転角度位置なので、CPU61はその時用いられている玉布Wの生地厚に応じたパルスモータ25bの回転角度位置制御すなわち生地ガイド23の昇降位置制御が可能となる。よって、玉布Wの生地厚に関らず好適に生地ガイド23の昇降位置制御を行うことが可能となり、縫い品質がさらに向上する。
(その他)
なお、上述の実施の形態では、生地ガイド回動角度制御プログラム62aを実行したCPU61はエンコーダ25cによって入力された回転角度を維持するようパルスモータ25bを制御するが、生地ガイド23を下方へと回動させるようパルスモータ25bを駆動して、パルスモータ25bに対する指令角度位置とエンコーダ25cによる検出角度位置との間に所定の偏差が生じる位置で生地ガイド23を位置決めするよう制御してもよい。この場合、生地ガイド23を下降させることによる玉布Wの水平板22b側への押し付けは玉布Wが生地ガイド23と水平板22bとの間に詰まらない程度となるよう、パルスモータ25bの回転角度維持を行う出力を所定の維持力とするようにCPU61がパルスモータ25bの電流値を制御する。これによって、玉布Wがより確実にバインダー22の水平板に沿うので、バインダー22の逆T字形状に沿った玉布Wの整形がより確実となり、縫い品質がさらに向上する。
また、上述の実施の形態による玉布押さえ機構20はあくまで一例であり、本発明の特徴を備えていれば他の形態を取ってもよいことは言うまでもない。
玉縁縫いの縫製直後の状態を示す平面図である。 玉縁縫いミシンの全体の概略構成を示す斜視図である。 玉縁縫いミシンの正面図である。 針上下動機構の斜視図である。 大押さえ送り機構の斜視図である。 大押さえの上面の載置部にフラップ布Fがセットされた状態を示す平面図である。 玉布押え機構の構成を示す斜視図である。 バインダーが下降した際の玉布押さえ機構付近の構成の位置関係を示す図7及び図9のU−U線に沿った断面図である。 生地ガイドを上方から見た場合の説明図である。 生地ガイドの回動角度位置の変化を示す説明図である。なお、図10(a)は生地ガイドとバインダーとの間に玉布Wが通っていない場合、図10(b)は生地ガイドとバインダーとの間に玉布Wが通っている場合を示す。 玉縁縫いミシンの制御系を示すブロック図である。 玉縁縫いミシンの動作を示すフロー図である。 従来の玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構の構成の一例を示す斜視図である。 生地ガイド付近の構成を示す正面図である。
符号の説明
20 玉布押さえ機構
22 バインダー
23 生地ガイド
25 生地ガイド支持機構
25b パルスモータ
25c エンコーダ
41 大押さえ
50 押さえ板
61 CPU
62 ROM
C 身頃生地
F フラップ布
W 玉布

Claims (1)

  1. 身頃生地を玉布と共に保持して搬送する一対の大押さえの間に下降して、前記玉布の中央部を身頃生地へ押し付ける水平板と当該水平板の上面中央に立設された垂直板とを有する逆T字形状のバインダーと、
    回動式のアームに支持されて前記バインダーの水平板の上面に対して昇降可能に設けられて、前記バインダーの水平板の上面側に折り込まれた前記玉布の両側部を前記バインダーの水平板の上面と垂直板の平面とに沿わせる一対の生地ガイドと、を備え、
    前記大押さえの布送り時に前記バインダーと前記生地ガイドとの間に前記玉布の両側部を通す玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構において、
    前記アームを回動させて前記生地ガイドを昇降させるパルスモータと、
    前記パルスモータの無負荷時の軸角度を検出することで前記アーム部の回動軸の軸角度を検出して前記生地ガイドの昇降位置を検出する検出手段と、
    前記検出手段による検出位置に応じて前記生地ガイドの昇降位置を制御する位置制御手段と、を備え、
    前記検出手段は、前記バインダーの水平板の上面と前記生地ガイドとの間に前記玉布が通ることで当該玉布の生地厚によって持ち上げられた前記生地ガイドの昇降位置を検出し、
    前記位置制御手段は、前記玉布の生地厚によって持ち上げられた前記生地ガイドの昇降位置を維持するように前記パルスモータの動作を制御することを特徴とする玉縁縫いミシンの玉布押さえ機構。
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