JP4783656B2 - 玉縁縫いミシン - Google Patents

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Description

本発明は、フラップ検出を行う玉縁縫いミシンに関する。
従来の玉縁縫いミシンは、載置台上の身頃生地を玉布と共に保持して搬送する一対の大押さえを備える大押さえ機構と、玉布と共に身頃生地に縫着されるフラップ布を大押さえ上で保持するフラップ保持機構と、搬送される布地に対して縫製を行う縫製手段と、布地の搬送方向に沿って大押さえの上面に形成された反射面からの反射光を検出するフラップセンサとを備えている(例えば、特許文献1参照)。 上記従来例は、縫製に際し、大押さえ機構の大押さえにより身頃生地と玉布とが保持され、さらに大押さえの上面でフラップ布が保持されると、大押さえの反射面の一部がフラップ布により覆われた状態となる。これにより、縫製における大押さえの搬送移動時に生じる、フラップセンサによる反射面の反射光の光検出量の変化から、フラップ布の一端部と他端部とをそれぞれ検出することができる。
そして、フラップセンサのフラップ布端部の検出位置から縫い針までの相互間距離が既値であるため、布端検出から相互間距離分の搬送を行うことで、縫いの開始位置や縫いの終了位置を決定し縫製を実現していた。
特許2716970号公報
ところで、一般に玉縁縫いは二本針で縫いが行われ、一対の大押さえは二本針の両側になるべく近接しながら移動するように、大押さえ相互間隔は二本針の間隔になるべく近くなるように調節される。このため、二本針の針間隔が変更されると、各大押さえの相互間も調節しなければならなかった。
一方、各大押さえの相互間隔を変更すると、送り方向に沿って大押さえの上面に形成された長尺上の反射面は、送り方向に直交する方向に移動してしまうため、フラップセンサも送り方向に直交する方向に位置調節しなければならなかった。
しかしながら、送り方向に直交する方向にフラップセンサを位置調節すると、センサの組み付け誤差や取り付け部品の加工誤差等種々の要因により、フラップセンサが送り方向についても位置ズレを生じたり光軸が傾いたりして、送り方向についても検出位置のズレを生じたりしてしまうことがあった。
前述したように、フラップ布の縫製は、フラップセンサで布端検出後、既値であるフラップセンサによるフラップ布端部の検出位置から縫い針までの相互間距離分の送りを行うことで、縫いの基準となる各位置の認識を行っている。このため、フラップセンサが送り方向について検出位置ズレを生じると、縫いの基準となる各位置が不正確となり、縫い品質が低下するという不都合が生じていた。
本発明は、縫い品質の向上を図ることをその目的とする。
請求項1記載の発明は、布地の搬送方向に延設された一対の大押さえにより作業台上の布地を上方から保持すると共に大押さえを搬送方向に移動させることで布地の搬送を行う布移動機構と、布地に縫着するフラップ布を大押さえの上面で保持するフラップ保持機構と、二本の縫い針を有し、搬送される布地に対して縫製を行う縫製手段と、フラップ布が保持される大押さえの上面に形成された長尺状の反射面に向かって光を照射する投光部材と反射面からの反射光を検出して検出信号を出力する検出部材とを有し、当該検出部材が二本の縫い針よりも布地の送り方向上流側において当該二本の縫い針の並び方向に沿って位置調節可能に配置されたフラップ検出手段と、フラップ検出手段から出力される検出信号の変化からフラップ布の端部位置を求めると共に、求められたフラップ端部位置に基づいて縫製手段による縫製開始位置又は縫製終了位置を決定し、布移動機構及び縫製手段を制御して布地にフラップ布を縫着する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、反射面上の大押さえの搬送方向における所定の基準位置でフラップ検出手段により検出可能な反射光の状態変化を生じさせる指標手段と、基準位置の初期位置データを記憶する初期位置記憶手段と、フラップ検出手段により検出された指標手段が示す基準位置と初期位置記憶手段に記憶された初期値データが示す基準位置とを比較して、フラップ検出手段の搬送方向における検出位置ズレ量を求める位置ズレ量算出手段とを備え、制御手段は、布地にフラップ布を縫着する際に、検出位置ズレ量に基づいて、フラップ検出手段により求められたフラップ端部位置を補正して布移動機構及び縫製手段によるフラップ布の縫着を行う、という構成を採っている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、フラップ検出手段、指標手段及び初期位置記憶手段は二本の縫い針のそれぞれに対応して設けられ、位置ズレ量算出手段は、二本の縫い針に対応するそれぞれのフラップ検出手段の検出位置ズレ量を求めると共に、制御手段は、布地にフラップ布を縫着する際に、何れかのフラップ検出手段によりフラップ布の端部位置が検出されると、当該検出を行った一方のフラップ検出手段の検出位置ズレ量に基づいてフラップ端部位置を補正して、布移動機構及び縫製手段によるフラップ布の縫着を行う、という構成を採っている。
請求項3記載の発明は、布地の搬送方向に延設された一対の大押さえにより作業台上の布地を上方から保持すると共に大押さえを搬送方向に移動させることで布地の搬送を行う布移動機構と、布地に縫着するフラップ布を大押さえの上面で保持するフラップ保持機構と、二本の縫い針を有し、搬送される布地に対して縫製を行う縫製手段と、フラップ布が保持される大押さえの上面に形成された長尺状の反射面に向かって光を照射する投光部材と反射面からの反射光を検出して検出信号を出力する検出部材とを有し、当該検出部材が二本の縫い針よりも布地の送り方向上流側において当該二本の縫い針の並び方向に沿って位置調節可能に配置されたフラップ検出手段と、フラップ検出手段から出力される検出信号の変化からフラップ布の端部位置を求めると共に、求められたフラップ端部位置に基づいて縫製手段による縫製開始位置又は縫製終了位置を決定し、布移動機構及び縫製手段を制御して布地にフラップ布を縫着する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、反射面上の大押さえの搬送方向における所定の基準位置でフラップ検出手段により検出可能な反射光の状態変化を生じさせる指標手段と、基準位置を記憶する基準位置記憶手段と、フラップ検出手段により検出された指標手段が示す基準位置に基づいて基準位置を更新する基準位置更新手段とを備え、制御手段は、布地にフラップ布を縫着する際に、基準位置更新手段により更新された基準位置に基づいて布移動機構及び縫製手段によるフラップ布の縫着を行う、という構成を採っている。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明と同様の構成を備えると共に、フラップ検出手段、指標手段及び基準位置記憶手段は二本の縫い針のそれぞれに対応して設けられ、基準位置更新手段は、二本の縫い針に対応するそれぞれの基準位置を更新すると共に、制御手段は、布地にフラップ布を縫着する際に、何れかのフラップ検出手段によりフラップ布の端部位置が検出されると、当該検出を行った一方のフラップ検出手段の基準位置を更新して、布移動機構及び縫製手段によるフラップ布の縫着を行う、という構成を採っている。
請求項1記載の発明では、縫製の際には、フラップ保持機構により大押さえの上面にフラップ布が保持されて布地と共に布移動機構により搬送される。そして、大押さえ上の反射面がフラップ布により遮蔽されている端部がフラップ検出手段を通過すると、当該通過する端部が反射光の検出状態の変化(例えば、反射光の光強度変化)を生じさせて制御手段により認識される。そして、フラップ布の端部が検出されると、制御手段は、当該端部位置(端部位置から所定寸法ずらして縫いを行う設定の場合には端部位置から所定寸法離れた位置)が縫い開始位置或いは縫い終了位置となるように布移動機構及び縫製手段を制御して縫製を行う。
一方、二本針の間隔調節に伴う一対の大押さえの間隔調節等を理由としてフラップ検出手段を二本針の並び方向に移動調節する場合、フラップ検出手段の位置が縫い針の並び方向だけでなく布地の搬送方向にも検出位置のズレを生じ、或いは位置調節によりフラップ検出手段の光軸が傾斜を生じて布地の搬送方向に検出位置のズレを生じる場合がある。
そのような場合であっても、位置ズレ量算出手段が、大押さえに設けられた指標手段の基準位置の検出を行い、初期位置記憶手段で記憶された初期位置データが示す基準位置との差を算出する。求められた差はフラップ検出手段が布地の搬送方向に生じた検出位置ズレ量を反映するので、制御手段がこの検出位置ズレ量を考慮して縫製時の縫い開始位置や縫い終了位置に対する縫製の制御を行うことで、正確な縫製が実現され、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
なお、上記指標手段が示す基準位置の検出や検出位置ズレ量の算出は、いつ行っても良い。例えば、フラップ検出手段の位置調節が行われるたびにその実行を検知して位置ズレ量算出手段が基準位置の検出及び検出位置ズレ量の算出を行うようにしても良いし、位置ズレ量算出手段に対して実行を指示入力する入力手段を設けても良い。また、位置ズレ量算出手段がミシンの主電源投入時、或いは主電源切断時にこれらに伴い実行するようにしても良い。さらには、位置ズレ量算出手段は定期的に実行するようにしても良い。
請求項2記載の発明では、フラップ布がいずれの縫い針で縫着されるかに応じて個別にフラップ端部を検出するフラップ検出手段をそれぞれ備えている。そして、各フラップ検出手段に対応するそれぞれの反射面に対して反射光の状態変化を生じさせる二つの指標手段についてそれぞれが示す基準位置と初期位置記憶手段に記憶されたそれぞれの基準位置との位置ズレを制御手段は算出する。
そして、縫製時には、何れかの縫い針で縫製が行われるようにフラップ布がセットされ、搬送されると、対応する一方のフラップ検出手段によりフラップ布の端部検出が行われる。そして、制御手段により、その検出を行ったフラップ検出手段の検出位置ズレ量を考慮した上で縫い開始位置又は縫い終了位置を決定し縫着を行う制御が行われる。
これにより、いずれの縫い針でフラップ布の縫着を行う場合であっても、正確な縫い位置で縫着を行うことができ、さらなる縫い品質の向上を図ることが可能となる。
請求項3記載の発明では、縫製の際には、請求項1記載の発明と同様にして、フラップ検出手段によるフラップ布の端部検出に基づいて縫い開始或いは縫い終了を行うように布移動機構及び縫製手段の制御を行う。
また、請求項3記載の発明でも、フラップ検出手段の移動調節により布地の搬送方向に検出位置のズレを生じる場合がある。
そのような場合であっても、基準位置更新手段が、大押さえに設けられた指標手段の基準位置の検出が行われると、基準位置記憶手段に記憶された位置ズレを生じる前の基準位置データを新たに検出された基準位置に更新する。その結果、位置ズレを生じたフラップ検出手段が大押さえをどの位置まで搬送すると基準位置が検出されるかを認識することができ、これに基づいて、フラップ布の端部がフラップ検出手段に検出されてからどの程度搬送すれば縫い針に到達するか等の判断が可能となり、正確な縫製が実現され、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
なお、上記指標手段が示す基準位置の検出や基準位置の更新は、いつ行っても良い。例えば、フラップ検出手段の位置調節が行われるたびにその実行を検知して基準位置更新手段が基準位置の検出及び更新を行うようにしても良いし、基準位置更新手段に対して実行を指示入力する入力手段を設けても良い。また、基準位置更新手段がミシンの主電源投入時、或いは主電源切断時にこれらに伴い実行するようにしても良い。さらには、基準位置更新手段は基準位置の検出や基準位置の更新を定期的に実行させるようにしても良い。
請求項4記載の発明では、フラップ布がいずれの縫い針で縫着されるかに応じて個別にフラップ端部を検出するフラップ検出手段をそれぞれ備えている。そして、各フラップ検出手段に対応するそれぞれの反射面に対して反射光の状態変化を生じさせる二つの指標手段についてそれぞれが示す基準位置が検出されると、基準位置記憶手段の基準位置の更新が基準値更新手段により行われる。
そして、縫製時には、何れかの縫い針で縫製が行われるようにフラップ布がセットされ、搬送されると、対応する一方のフラップ検出手段によりフラップ布の端部検出が行われる。そして、制御手段により、その検出を行ったフラップ検出手段に対応する記憶された基準位置に基づいて縫い開始位置又は縫い終了位置を決定し縫着を行う制御が行われる。
これにより、いずれの縫い針でフラップ布の縫着を行う場合であっても、正確な縫い位置で縫着を行うことができ、さらなる縫い品質の向上を図ることが可能となる。
(発明の実施形態の全体構成)
以下、本発明の実施の形態である玉縁縫いミシン10について図1乃至図12に基づいて説明する。図1は玉縁縫いミシン10の全体の概略構成を示す斜視図を示し、図2は玉縁縫いミシン10の正面図である。なお、本実施の形態においては、各図中に示したXYZ軸を基準にしてミシン10の各部の方向を定めるものとする。ミシン10を水平面に設置した状態において、Z軸方向は鉛直方向となる方向を示し、X軸方向は水平且つ布送り方向Eと一致する方向を示し、Y軸方向は水平且つX軸方向に直交する方向を示す。
本実施形態たる玉縁縫いミシン10は、布地Cと玉布(図示略)とを重ねて二本針13,13で所定の長さで縫着すると共に、二本の縫い目の間を縫い方向に沿って直線状の切れ目を形成し、さらに、当該切れ目の両端部にV字状の切れ目を形成するミシンである。また、布地Cと玉布の縫着の際には、二本針13の内の一方で布地Cに対するフラップ布Fの縫着も行われる。
かかる玉縁縫いミシン10は、縫製の作業台となる載置台としてのテーブル11と、布地Cの搬送方向に延設された一対の大押さえ41によりテーブル11上の布地Cを上方から保持すると共に大押さえ41を搬送方向に移動させることで布地C,玉布及びフラップ布Fの搬送を行う布移動機構としての大押さえ送り機構40と、布地Cに縫着するフラップ布Fを各大押さえ41の上で保持するフラップ保持機構55と、布地Cに縫着する玉布にバインダー12を当てて当該玉布の両側部を折り返すバインダー機構と、大押さえ送り機構40によりX軸方向に沿って送られる布地Cと玉布に二本の縫い針13により縫製を行う縫製手段としての針上下動機構と、縫い針13よりも布送り方向下流側で動メス14を昇降させて布地Cと玉布に切れ目を形成するメス機構と、縫い針13から縫い糸を捕捉して下糸を絡ませる釜機構と、テーブル11上に設置されて針上下動機構とメス機構とを格納保持するミシンフレーム80と、直線状の切れ目の両端となる位置に略V字状の切れ目を形成するコーナーメス機構90と、布地Cの搬送方向に沿って大押さえ41の上面に形成された反射面41cに光照射を行うと共にその反射光を検出するフラップ検出手段30と、反射面41c上に設けられ大押さえ41の所定の基準位置Bにおいてフラップ検出手段30により検出可能な反射光の状態変化を生じさせる指標手段35と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段60を備えている。
以下各部を詳説する。
(テーブル及びミシンフレーム)
テーブル11はその上面がX−Y平面に平行であって、水平な状態で使用される。そして、テーブル11における縫い針13による針落ち位置には針板15が装着されている。針板15には、二本の縫い針13が個別に挿入される針穴と、メス機構の動メス14が挿通されるスリットが形成されている。
また、テーブル11上には、ミシンフレーム80のベッド部81を格納する凹部が形成されており、ミシンフレーム80は当該凹部に設置されている。さらに、テーブル11には、ミシンフレーム80の布送り方向下流側に大押さえ送り機構40とコーナーメス機構90とが配置され、布送り方向上流側にはバインダー機構(バインダー12以外は図示略)が配置されている。
ミシンフレーム80は、主に、テーブル11に設置されるベッド部81とそこから立設された縦胴部82とその上部から水平に延設されたアーム部83とから構成されている。
そして、ミシンフレーム80の下部にはミシンモータ16が配設され、ベッド部81の内部にはミシンモータ16から釜機構に回転駆動力を伝える下軸がY軸方向に沿った状態で支持されており、アーム部83の内部には針上下動機構の上下動駆動力をミシンモータ16から伝達する上軸がY軸方向に沿った状態で支持されている。
上軸と下軸にはそれぞれプーリが固定装備されると共に、ミシンフレーム80の縦胴部82内を通されたタイミングベルトで連結されている。
(針上下動機構)
針上下動機構は、二本針を構成する二つの縫い針13と、二本針13のそれぞれを下端部に保持する二本の針棒と、各針棒をその長手方向に沿って滑動可能に支持する上下のメタル軸受けと、二本の針棒を同時に保持する針棒抱きと、ミシンモータ16により回転駆動される上軸と、上軸の一端部に固定連結され回転運動を行う回転錘と、回転錘の回転中心から偏心した位置に一端部が連結されると共に他端部が針棒抱きに連結されたクランクロッドとを有する、周知の構成からなる。
上軸が回転されると、回転錘も上軸と共に回転を行い、回転錘に伴いクランクロッドの一端部は上軸を中心として円運動を行う。そして、クランクロッドの他端部では、円運動を行う一端部のZ軸方向に移動成分のみが針棒抱きに伝達されて各針棒に往復上下動の移動力を付与する。
また、二本の縫い針13は、Y軸方向に沿って並んで配置されている。そして、後述するバインダー12は、縫製時にはその先端部が二本針の針落ち位置の間に配置され、二本針13は、バインダー12を挟んで両側で縫製を行うようになっている。
(メス機構)
メス機構は、直線状の切れ目を形成する動メス14と、動メス14を下端部に備えると共にアーム部83内で上下動可能に支持されたメス棒と、メス棒の上下動の駆動源となるメスモータ17と、メスモータ17からの回転駆動力を上下方向の往復の駆動力に替えて伝達する伝達機構と、動メス14を昇降により待機位置と切断位置とに切り替えるエアシリンダを備えている。
上記動メス14は、二本針13に隣接すると共に当該二本針13よりも布送り方向下流側(図2における左方)に配置されている。
メスモータ17は、布地Cの送り動作と共に回転駆動を行い、伝達機構により動メス14を上下動させて、メス幅に応じた切れ目を繰り返し形成して直線状の切れ目を形成する。
(釜機構)
釜機構は、ミシンフレーム80のベッド部81内に設けられている。この釜機構は、二本の縫い針13に個別に対応する二つの水平釜と、各水平釜の回転軸に設けられた釜歯車と、下軸に固定装備されて各釜歯車に個別に回転駆動力を付与する伝達歯車とを備えている。
下軸は、ミシンモータ16により回転駆動されると、各伝達歯車を介して釜歯車に回転駆動力を伝達し、さらに、釜軸を介して各水平釜が回転されるようになっている。各水平釜は、縫い針13の先端部が針板15の下側まで下降したときに、縫い針から縫い糸を捕捉し、捕捉状態で回転することで縫い糸のループに水平釜にくぐらせて下糸を挿通させ、縫い糸と下糸とを絡ませる作業を行う。このように、縫い針と水平釜との協働により縫いが行われるようになっている。つまり、針上下動機構と釜機構とにより縫製手段が構成されている。
(バインダー機構)
バインダー機構は、断面形状が逆T字状であって玉布を巻き付けるようにセットして長手方向に沿って送り出すバインダー12と、バインダー12を昇降可能に支持する支持機構(図示略)とを有している。
上記バインダー12は、テーブル11の上面に対向する底板と当該平板の上面に垂直に立設された立板とから断面視で逆T字状の形状を成している。
支持機構は、バインダー12の昇降動作の駆動源となる図示しないエアシリンダと、当該エアシリンダを駆動する電磁弁18(図7参照)と、エアシリンダの駆動力を上下方向の移動力に替えてバインダー12に付与する複数のリンク体とを備えている。
そして、縫製時には、バインダー機構は、エアシリンダによりバインダー12の先端部が二本針13の針落ち位置の間となるように当該バインダー12を下降させる。そして、後述する大押さえ送り機構40の一対の大押さえ部材41との協働によりバインダー12の断面形状となるように玉布をバインダー12に巻き付けるように保持した状態で長手方向に玉布を送り出し、布地Cへの縫着が行われる。
(大押さえ送り機構)
図3は大押さえ送り機構40の斜視図、図4は大押さえ送り機構40の概略を示す平面図である。これらの図に示すように、大押さえ送り機構40は、縫い針13を挟んだ両側の位置において上方から布地Cを押さえる一対の大押さえ41と、各大押さえ41の下側に個別配置されると共に布送りの際に布地Cを載置する二つの敷き板47と、各大押さえ41を個別に保持する一対のアーム部材48と、二つの大押さえ41をアーム部材48を介して昇降可能に支持する支持体42と、支持体42に保持される各アーム部材48をY軸方向に沿って位置調節可能とする大押さえ41の間隔調節機構49と、支持体42に対して大押さえ41を上下に移動させるエアシリンダ43と、エアシリンダ43の駆動を制御する電磁弁44(図7参照)と、大押さえ41により押さえた布地Cを布送り方向Eに移動させる押さえモータ45と、押さえモータ45の回転駆動力をX軸方向に沿った直動駆動力に変換して支持体42に伝達するボールネジ機構46とを備えている。
各大押さえ41は、断面形状がやや楔状、平面視形状は長方形状の平板であって、その厚さが薄くなる縁部を互いに向かい合わせた状態で支持体42に支持されている。また、二つの大押さえ41は、二本針13を挟んでY軸方向に並んで配置されると共に、それぞれ長手方向がX軸方向に沿うようにアーム部材48に支持されている。
さらに、各大押さえ41は上面板と底面板とから構成され、各大押さえ41はいずれも他方の大押さえ側に向かって開口した隙間を備えている。そして、各大押さえ41の隙間には、進退可能な押さえ板50が格納されている。各大押さえ41の押さえ板50は、各アーム部材48に設けられたエアシリンダ51により、相互に接離する方向(Y軸方向)に沿って往復移動可能となっている。このエアシリンダ51は、動作制御手段60に制御される電磁弁52(図7参照)により駆動を行うと共に、各押さえ板50を互いに接近移動させて、前述した玉布の両端部をバインダー12に巻き付けるように折りたたみ、且つその状態を維持することを可能としている。
また、各大押さえ41の上面には、その長手方向全長に渡って長尺状の反射面41cが形成されている。反射面41cは、後述するフラップ保持機構55により保持されたフラップ布Fの布送り方向上流端部位置と下流端部位置とを検出するために用いるものである。図5は大押さえ41の上面にフラップ布Fがセットされた状態を示す平面図である。この図5に示すように、フラップ布Fにより、長手方向における反射面41cの一部分が遮蔽されると、その遮蔽部分の反射率の低下をフラップ検出手段30によって検出することにより、フラップ布Fの布送り方向上流端部位置と下流端部位置とが動作制御手段60において認識されるようになっている。
各アーム部材48は、支持体42の一端部側にY軸方向に沿って設けられた支軸42aにより揺動可能に支持されている。そして、各アーム部材48の先端部側で大押さえ42を保持すると共に後端部側がエアシリンダ43により昇降され、その結果、各アーム部材は揺動して大押さえ41の昇降を行うようになっている。
間隔調節機構49は、各アーム部材48と支軸42aと間に設けられている。各間隔調節機構49は、支軸42aに沿って移動するアーム部材48を締結して任意の位置に固定することができる。これにより、各アーム部材48を介して各大押さえ41はY軸方向における任意の位置に調節することができ、各大押さえ41の相互間距離も調節することができる。
各敷き板47は、それぞれ大押さえ41の下側において、テーブル11の上面に載置された状態で支持体42に固定装備され、大押さえ41と共に布送り方向Eに沿って移動を行う。各敷き板47は、X軸方向に沿って延設されると共にY軸方向についておおよそ大押さえ41と同一幅に設定されている。また、各敷き板47は、縫製時には針板15を覆うことがないように二本針13を挟んで配置されている。
各敷き板47は常にテーブル11の上面高さ位置し、これに対して各大押さえ41が下降することで布地Cを挟持状態を保持を行うこととなる。つまり、各敷き板47は、布地Cの下側にあって、当該布地Cの搬送時に直接テーブル11の上面に摺動されないように保護するためのものである。
エアシリンダ43は、電磁弁44により、各アーム部材48を介して各大押さえ41を上位置と下位置とに切替可能であり、上位置の時には各大押さえ41を敷き板47の上面から離間させ、下位置の時には各大押さえ41を敷き板47の上面高さまで下降させる。かかるエアシリンダ43の電磁弁44は、動作制御手段60により動作制御が行われる。
ボールネジ機構46は、支持体42をテーブル11上においてX軸方向に沿って移動可能に支持しており、押さえモータ45の駆動により、二つの大押さえ41をX軸方向について任意に位置決めすることを可能としている。
(フラップ保持機構)
フラップ保持機構55は、図3に示すように、各大押さえ41の上面に個別に設けられている。各フラップ保持機構55は、大押さえ41の上面に接離可能となるようにアーム部材48に回動支持されたフラップ押さえ部材56と、フラップ押さえ部材56に回動力を付与するエアシリンダによりフラップ布Fの保持と解除とを行う。
かかるフラップ保持機構55は、フラップ布Fの縫着端部をX軸方向に沿わせた状態で保持するためのものであって、当該フラップ布Fの縫着端部が各大押さえ41の移動時に一方の縫い針13の針落ち位置を通過するようにフラップ布Fの保持を行う。そして、フラップ布Fは、当該フラップ布Fの長手方向全長に渡って大押さえ41の反射面41cを上から覆う状態で、フラップ保持機構55に保持されるようになっている。
なお、フラップ保持機構55は、各大押さえ41ごとに個別に設けられているが、フラップ布Fの縫着作業時には何れか一方のみが選択されて使用される。
(フラップ検出手段)
フラップ検出手段30は、各大押さえ41の反射面41cに対応して二つ設けられ、ミシンフレーム80のアーム部正面側においてY軸方向に沿って並んで設けられている。これら各フラップ検出手段30は、各大押さえ41の移動経路の上方であって二本針13よりも布送り方向上流側(図2における右側)に設けられている。
各フラップ検出手段30は、大押さえ41の反射面41cに照射光を放つ投光部材としての光源33(図7参照、図1では図示略)と、反射面41cからの反射光を検出して検出信号を動作制御手段60に入力する検出部材としてのフラップセンサ31と、当該フラップセンサ31をミシンアーム部83の外面上で支持する支持ブラケット32とを備えている。
支持ブラケット32は、フラップセンサ31を下方に向けた状態で大押さえ41の反射面41cの上方で支持し、フラップセンサ31は下方に光照射を行って反射面41cからの反射光を検出するようになっている。
また、前述したように、各大押さえ41は間隔調節機構49によりY軸方向に沿って位置調節可能であるため、各フラップセンサ31は各大押さえ41の反射面41cに対して垂直上方に配置させる必要上、支持ブラケット32はフラップセンサ31をY軸方向に沿って位置調節可能に支持している。即ち、支持ブラケット32は、図示しないY軸方向に沿った長穴状のガイド穴でフラップセンサ31を保持すると共に当該ガイド穴に沿ってフラップセンサ31を移動可能とし、任意の位置で図示しない締結ネジにより固定可能としている。これにより、大押さえ41が位置調節されたときには、反射面41cの垂直上方となるようにフラップセンサ31の位置調節も行われる。
(指標手段)
図6は指標手段35の拡大平面図である。指標手段35は各大押さえ41ごとにその上面にそれぞれ設けられており、反射面41cの一端部を遮蔽する遮蔽板36と、遮蔽板36を締結して固定する止めネジ37とを備えている。遮蔽板36はY軸方向に沿って形成された長穴を介して二つの止めネジ37により大押さえ41上に固定されており、各止めネジ37を弛めることによりY軸方向に微調整が可能となっている。
遮蔽板36はX軸方向に沿って形成された反射面41cの一端部(布送り方向下流側端部)を遮蔽することで遮蔽領域と非遮蔽領域との境界を基準位置Bに設定するための機能を果たすものである。つまり、大押さえ41を布送り方向Eに沿って移動させながらフラップ検出手段30で大押さえ41の布送り方向下流側端部から反射光の検出を行うと、遮蔽領域と非遮蔽領域との境界位置で反射光の検出信号が立ち上がり、これにより、動作制御手段60では基準位置Bを認識することができる。
(コーナーメス機構)
コーナーメス機構90は、テーブル11の下方であって大押さえ送り機構40による大押さえ41の通過経路における動メス14よりも布送り方向下流側(図2における左方)に配置されており、大押さえ送り機構40によりコーナーメス91の作業位置に搬送された布地Cを下方から一対のコーナーメス91を突き通すことで直線状の切れ目の両端となる位置に略V字状の切れ目Vを形成する。
即ち、コーナーメス機構90は、コーナーメス91を上下動させるエアシリンダ92と、エアシリンダ92の駆動を行う電磁弁93と、コーナーメス91をX軸方向に沿って移動位置決めする駆動モータ94とを備えている。
上記コーナーメス91は、上方から見たその断面形状がV字状に形成され、下方から各布地を突き通すことでV字状の切れ目Vを形成する。
即ち、予め駆動モータ94により一対のコーナーメス91の間隔を設定しておき、縫い目と直線状の切れ目が形成された布地C及び玉布が、大押さえ送り機構40により、布送り方向Eにおける動メス14よりも下流側の所定位置まで搬送されると、一対のコーナーメス91を上昇させ、二つのV字状の切れ目Vを形成する。
(玉縁縫いミシンの制御系)
図7は玉縁縫いミシン10の制御系を示すブロック図である。この図に示すように、動作制御手段60には、後述する各種の制御の状態情報を表示する表示パネル64と、縫製に関する各種の設定を入力する設定スイッチ65と、縫製の開始を入力する起動スイッチ66と、操作ペダル68とが図示しない入出力回路を介して接続されている。
起動スイッチ66は、縫製の開始や縫製開始前のフラップセンサ31の位置ズレ量算出処理の実行を入力するための手段であり、当該起動スイッチ66の入力が行われると、操作ペダル68による入力が可能となる。
操作ペダル68は、上述の起動スイッチ66の入力後、踏み込みが行われることで、縫製の開始や縫製開始前のフラップセンサ31の位置ズレ量算出処理の実行に移行させる指示入力手段である。つまり、前述の起動スイッチ66と操作ペダル68の二段階の操作を経て縫製や位置ズレ量算出処理を実行させることが可能となっている。
また、動作制御手段60には、その制御の対象となるミシンモータ16,押さえモータ45,メスモータ17、コーナーメスの駆動モータ94がそれぞれドライバ16a,45a,17a,94aを介して接続されている。
また、動作制御手段60には、バインダー12の上下動を行うエアシリンダ、大押さえ41の昇降を行うエアシリンダ43、押さえ板50を作動させるエアシリンダ51、フラップ布F保持を行うエアシリンダ、コーナーメス91の昇降を行うエアシリンダ92及び動メスの待機状態と使用可能状態と切り替えるエアシリンダの作動を制御する電磁弁18,44,52,58,93,20がドライバ18a,44a,52a,93a,20aを介して接続されている。
さらに、動作制御手段60には、フラップ検出手段30の各光源33が電源回路33aを介して接続されており、各フラップセンサ31がインターフェイス31aを介して接続されている。
さらに、動作制御手段60には、大押さえ送り機構40の支持台42の布送り方向下流側端部に設けられた被検出部42bを検出する大押さえ41の原点センサ19(図4参照)がインターフェイス19aを介して接続されている。かかる原点センサ19は大押さえ41を布送り方向下流側の終点又は終点近くまで搬送すると被検出部42bの検出を行うように配置されており、動作制御手段60は、かかる検出位置を原点として、そこから押さえモータ45の回転角度をカウントすることで大押さえ41の搬送移動量を求めている。
動作制御手段60は、各種の制御を行うCPU61と、後述する位置ズレ量算出プログラム62a,動作制御プログラム62b,フラップ布Fの縫着縫製を行うための各種設定データ等が記憶されているROM62と、CPU61の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM63とを備えている。なお、ROM62はその記憶内容を書き換え可能なフラッシュメモリである。さらに、ROM62はデータの書き込み可能なメモリであり、位置ズレ量算出プログラム62aの処理で求められた検出位置ズレ量Δh(後述)のデータの記憶も行うようになっている。
また、ROM62は、各大押さえ41の原点から縫い針13までの距離Snと各フラップセンサ31の基準位置の初期位置データ(Ss)を記憶しており、各フラップセンサ31の初期位置記憶手段としての機能を果たしている(図11参照)。かかる各フラップセンサ31の基準位置の初期位置データは、各フラップセンサ31がミシンフレーム80に装備された当初の時点(位置調整が行われたことがない状態)で、各大押さえ41をその原点位置から基準位置が検出される位置まで移動した場合におけるその移動距離を示す値Ssに設定されている。
また、ROM62には、動メス14とフラップセンサ31の基準位置とのX軸方向における距離Msも記憶されている(図14参照)。
(位置ズレ量算出プログラムによる処理)
ROM62内には、当該ROM62内に記憶された基準位置の初期位置データと指標手段35が指し示す基準位置をフラップセンサ31で検出することで求まる基準位置の検出位置データとの布送り方向Eにおける差からフラップセンサ31の布送り方向Eの検出位置ズレ量Δhを算出する位置ズレ量算出プログラム62aが格納されている。なお、検出位置ズレ量Δhの算出は二つのフラップセンサ31のそれぞれについて行われる。
例えば、前述したように、二本針13の間隔変更に伴い各大押さえ41の位置調節が行われると、これに伴い各フラップセンサ31も支持ブラケット32に対してY軸方向に沿って位置調節が行われる。その結果、フラップセンサ31と支持ブラケット32との係合部の加工誤差や組誤差或いは締結状態の変化によりX軸方向への位置ズレを生じたり、フラップセンサ31の光軸方向に傾きを生じたりして検出位置のズレを生じ得る。その結果、布送り方向Eに検出位置のズレを生じたフラップセンサ31で指標手段35が示す基準位置を検出すると、検出時における大押さえ41の布送り方向Eにおける位置がROM62に格納されている初期位置データが示す基準位置と異なると共に、その差がフラップセンサ31に生じた布送り方向Eにおける検出位置ズレ量Δhとなる。
なお、ROM62内に記憶される基準位置の初期位置データは、位置調節などにより位置を変えたことがない正確に位置決めされた製造当初のフラップセンサ31がフラップ布F(指標手段35でも良い)を検出する位置としても良いし、各部の寸法から求めた設計上の基準位置の値でも良いし、各部の測定により求められた基準位置の値であっても良い。ここでは、ROM62内に記憶される基準位置は、正確に位置決めされた製造当初のフラップセンサ31が検出した指標手段35の検出位置を基準位置の位置データとする。
図8は位置ズレ量算出処理のフローチャート、図9は同処理における大押さえ送り機構40の動作説明図である。これにより、位置ズレ量算出プログラムに基づいてCPU61が実行する処理を詳細に説明する。
まず、玉縁縫いミシン10の主電源が投入されると、CPU61は、押さえモータ45を駆動して各大押さえ41を布送り方向と逆方向(矢印Eと逆方向)に移動させ、支持体42に設けられた被検出部42bを原点センサ19で検出する(ステップS11:図9上図参照)。これにより、CPU61は、原点センサ19で被検出部42bを検出した時点での押さえモータ45の回転角度を原点としてこれ以降の大押さえ41の送り制御を実行する。
次いで、起動スイッチ66の入力の有無を判定し(ステップS12)、入力がなければその判定を繰り返し、入力があればステップS13に処理を進める。
ステップS13では、操作ペダル68の入力の有無を判定し、入力がなければその判定を繰り返す。そして、入力があれば、電磁弁44を介してエアシリンダ43により待機位置にある大押さえ41を下降させる(押さえ位置とする)動作制御を行う(ステップS14)。
大押さえ41は支持体42に揺動可能に支持され、上位置と下位置とではフラップセンタ31に対して反射面41cの距離や角度が異なるので、かかる動作制御により、縫製時の検出状態を同じ状態としている。
さらに、押さえモータ45を起動して、大押さえ41を原点位置から基準位置に向かって(布送り方向Eと逆方向)搬送を開始する動作制御を行う(ステップS15)。つまり、この位置ズレ量算出処理は、各大押さえ41が縫製時とは逆方向に移動しながら行われる。
次いで、上記大押さえ41の移動に伴い、フラップセンサ31が反射光を検出したか否かを判定する(ステップS16)。
反射面41cがフラップセンサ31の検出域にさしかかると当該フラップセンサ31の照射光を反射して検出光強度が増加するので、かかる光強度の増加を検出したか否かにより判定が行われる。
フラップセンサ31により反射光の検出が行われない場合には、押さえモータ45の原点位置からの回転量により大押さえ41の終端位置(大押さえ41における布送り方向下流側端部)まで到達したか否かを判定する(ステップS17)。大押さえ41の終端位置の到達の判定は、予めROM62内に用意された終端位置の位置データに基づいて行われる。
この判定により、まだ終端位置まで到達していないときには、再び、ステップS16に処理を戻し、終端位置に到達しているときには、ステップS18のエラー出力に処理を進める。つまり、フラップセンサ31の下方を通過した反射面41cの検出が行われないまま大押さえ41は終端位置(大押さえ41の布送り方向下流側端部)まで到達したことになるので、フラップセンサ31が何らかの要因により検出不能であるとの判定が行われる。
エラー出力は、表示パネルにおいて、所定のエラー報知画面を表示することにより行われる。
さらに、エラー出力後は、大押さえ41の移動を停止し、かかる状態で処理を終了する(ステップS19)。
一方、ステップS16において、反射光が検出されると、フラップセンサ31の反射光の検出が絶えたか否かを判定する(ステップS20)。
そして、反射光の検出状態が継続していると判定されたときには、押さえモータ45の起動開始からの回転量により大押さえ41が終端位置まで到達したか否かを判定する(ステップS21)。
この判定により、まだ終端位置まで到達していないときには、再び、ステップS20に処理を戻し、終端位置に到達しているときには、ステップS18のエラー出力に処理を進める。つまり、フラップセンサ31の下方を通過し終わっているにもかかわらず反射面41cの検出状態が維持されているので、フラップセンサ31が何らかの要因により誤検出状態であるとの判定が行われる。
一方、ステップS20において、フラップセンサ31の反射光の検出が絶えたと判定された場合には、フラッセンサ31に対して指標手段35が示す基準位置B(反射面41cにおける布送り方向下流側端部)に到達したことを意味するので(図9の下図参照)、原点位置から指標手段35が示す基準位置Bまでの距離hを示す位置データを押さえモータ45の回転角度量から算出する(ステップS22)。
次いで、CPU61は、検出した基準位置の位置データからROM62内に記憶された基準位置の初期位置データSsを減算して検出位置ズレ量Δhを算出する(ステップS23)。
ここで、検出位置ズレ量Δhの算出について図10及び図11に基づいて補足説明を行う。
図10の上図は、原点からの距離がSsであるROM62に記憶された基準位置であり、図10の下図は主電源の投入後にステップS20の処理により基準位置を検出したときのフラップセンサ位置である。例えば、フラップセンサ31の位置調節により布送り方向Eに沿って検出位置のズレが生じると、その検出位置ズレ量Δhだけ、基準位置の検出位置にもズレを生じる。
また、図11の符号LoはROM62に記憶された初期位置データ(Ss)でフラップセンサ31が指標手段を検出する光軸であり、図11の符号Lsは主電源の投入後にステップS20の処理により指標手段35が示す基準位置を検出したときのフラップセンサ31の光軸である。例えば、フラップセンサ31の位置調節により光軸下端が布送り方向Eの上流側に向かう方向に傾斜して検出位置のズレが生じると、その検出位置ズレ量Δhだけ、基準位置の検出位置にもズレを生じる。
従って、ステップS23の処理によりフラップセンサ31の検出位置ズレ量Δhが求まることとなる。
検出位置ズレ量Δhを求めROM62に記憶した後、CPU61は、大押さえ41の移動を停止し、当該大押さえ41を上昇させる動作制御を行う(ステップS24)。
そして、これにより、検出位置ズレ量の算出処理が終了される。なお、上記処理は、フラップセンサ31ごとに行われ、他方のフラップセンサ31の検出位置ズレ量Δhoの算出も同様に行われ、ROM62に記憶される。
(縫製制御プログラムによる処理)
ROM62内には、前述した位置ズレ量算出プログラム62aにより求められたフラップセンサ31の検出位置ズレ量Δhを参照し、当該検出位置ズレ量Δh分の修正を行いつつ、フラップセンサ31の検出に基づいてフラップ布Fの縫着縫製の動作制御を行う縫製制御プログラム62bが格納されている。
フラップ布Fの縫着縫製においては、何れか一方の大押さえ41上にフラップ布Fが載置され、当該フラップ布Fにより遮蔽されることで、当該フラップ布Fの布送り方向Eにおける上流端部又は下流端部において反射面41cの反射率に変化を生じる。
CPU61は、縫製制御プログラム62bを実行することにより、上記反射率変化により生じるフラップセンサ31の出力変化を検知し、さらには、当該フラップセンサ31の垂直下方にフラップ布Fの布送り方向Eにおける上流端部又は下流端部が存在することを検知する。そして、その後、フラップ布Fの布送り方向Eにおける上流端部近傍で縫い開始を行うように、或いは、フラップ布Fの布送り方向Eにおける下流端部近傍で縫いを終了するように、布送り量をカウントしつつ縫製を実行する。
なお、縫いの開始位置と縫いの終了位置とは、フラップ布Fの布送り方向下流側端と上流側端部とにそれぞれ一致させる場合と、予め設定された寸法だけずらして縫いを行う場合とがあるが、ここでは一致させる場合を例に説明することとする。
このとき、初期位置データの示す位置でのフラップセンサ31から縫い針13までの距離は予めROM62内に用意されているが、前述したように、フラップセンサ31は布送り方向Eについて検出位置のズレを生じる場合があり、これを是正しなければ、縫い開始位置又は縫い終了位置が予定位置からズレて縫い品質が低下する。
従って、CPU61は、縫製制御プログラム62bを実行することで、フラップ端部の検出後、フラップセンサ31から縫い針13までの距離(或いはこれに所定距離の増減調整を行った距離)の布送りを行う際に、位置ズレ量算出プログラム62aにより求められたフラップセンサ31の検出位置ズレ量Δhだけ布送り量の修正を行っている。
なお、前述した位置ズレ量算出プログラム62aでは、二つのフラップセンサ31についてそれぞれ検出位置ズレ量Δhを求めているが、フラップ布Fは片側の大押さえ41にのみ載置された状態で縫着縫製が行われるので、片側のフラップセンサ31でのみ端部検出が行われることとなる。従って、CPU61は、縫製制御プログラム62bに従ってフラップ布Fの縫着縫製を行う際には、フラップ端部を検出した片方のフラップセンサ31について記憶された検出位置ズレ量Δhを読み出し、当該検出位置ズレ量Δhに基づいて送り量を修正して縫いを開始又は終了するように押さえモータ45の動作制御を行う。
図12及び図13はフラップ布Fの縫着縫製の動作制御のフローチャートである。これにより、縫製し制御プログラム62bに基づいてCPU61が実行する各部への制御を詳細に説明する。
主電源投入後の各フラップセンサ31の検出位置ズレ量の算出処理が行われた後には、CPU61は、ROM62内に記憶された縫製制御プログラム62bにより、フラップセンサ31による反射光の検出の有無からフラップ布Fの端部位置を求めると共に、求められたフラップ端部位置に基づいて二本針13と動メス14による縫製と切断の開始位置又は終了位置とを決定する制御手段としての動作制御を実行する。
まず、CPU61、起動スイッチ66の入力の有無を判定し(ステップS41)、入力がなければその判定を繰り返し、入力があればステップS42に処理を進める。
ステップS42では、操作ペダル68の入力の有無を判定し、入力がなければその判定を繰り返す。そして、入力があれば、押さえモータ45を起動して、大押さえ41を前進させると共に使用開始位置(布地Cのセットを行う所定位置)まで布送り方向Eとは逆方向に搬送を行う動作制御を行う(ステップS43)。
次いで、使用開始位置に到達した各大押さえ41に対して、布地Cが当該各大押さえ41の下側にセットされ、玉布が各大押さえ41の上側にセットされると、各電磁弁44,52,18を介してエアシリンダ43,51及びバインダー用のエアシリンダが駆動され、布地Cと玉布の保持が行われる。さらに、何れか一方の大押さえ41の上面にフラップ布Fがセットされると、電磁弁58を介してエアシリンダ57が駆動され、フラップ布Fの保持が行われる(ステップS44)。
次に、押さえモータ45を駆動して、大押さえ41を使用開始位置から布送り方向Eに向かって前進搬送を行う動作制御を行う(ステップS45)。
そして、上記大押さえ41の移動に伴い、一方のフラップセンサ31が反射光を検出したか否かを判定し(ステップS46)、検出がなければその判定を繰り返し、検出があればステップS47に処理を進める。ここでの反射光の検出は、一方の大押さえ41の反射面41cの布送り方向下流端部(図2における左端部)が検出されたことを示している。
そして、ステップS47では他方のフラップセンサ31が反射光を検出したか否かを判定し、検出がなければステップS46に処理を戻して再び一方のフラップセンサ31について反射光の検出を判定し、検出があれば、ステップS48に処理を進める。ここでの反射光の検出は、他方の大押さえ41の反射面41cの布送り方向下流端部(図2における左端部)が検出されたことを示している。
次いで、両方のフラップセンサ31で反射光が検出されると、一方のフラップセンサ31の反射光の検出が絶えたか否かを判定する(ステップS48)。反射光の検出が絶えるということは、一方の大押さえ41にフラップ布Fが載置され、当該フラップ布Fの下流端部が一方のフラップセンサ31により検出されたことを意味する。なお、フラップ布Fは布送り方向下流側端部から縫着縫製が開始され、布送り方向上流側端部で縫着縫製が終了される。
そして、一方のフラップセンサ31によりフラップ布Fの下流端部が検出されると、押さえモータ45の回転角度の積算カウントを開始すると共に、そこから縫いの開始までの布送り量の算出が行われる(ステップS49)。即ち、フラップセンサ31の初期位置(位置ズレを生じる以前)での一方のフラップセンサ31のフラップ布Fの検出位置(基準位置)から縫い針13までの距離NsはROM62に記憶された原点から縫い針13までの距離Snとフラップセンサ13の初期位置(基準位置)データが示す位置SsからSs−Snとして容易に求めることができる。この距離Nsに今回の位置ズレ量算出処理により取得された一方のフラップセンサ31における検出位置ズレ量Δhを加算することで、縫いの開始までの布送り量の補正が行われる。
次いで、同様にして、一方のフラップセンサ31によるフラップ布Fの下流端部の検出から動メス14による切断の開始までの布送り量の算出が行われる(ステップS50)。即ち、初期位置の一方のフラップセンサ31(基準位置)から動メス14までの距離MsはROM62に記憶されており、この値に今回の検出位置ズレ量算出処理により取得された一方のフラップセンサ31における検出位置ズレ量Δhを加算する。さらに、動メス14による切断は、フラップ端部よりもコーナーメス91による切断長さMfだけ布送り方向上流側から開始されるので、切断の開始までの布送り量はMs+Δh+Mfにより求められる(図14参照)。
なお、図14には、一方側のフラップ布Fと、このフラップ布F、図示しない玉布及び身生地に縫い付ける為の2本の縫い針13により形成される縫い目Nと、この縫い目Nの間に動メス14により形成される直線切れ目C(実線で示す)と、直線切れ目Cの両端部にコーナメス機構90により形成されるV字切れ目V(破線で示す)と、動メス14及びフラップセンサ31の位置関係を示している。縫い目N各切れ目C及びVは、これらフラップ布F、玉布及び身生地が大押え送り機構40により布送り方向に送られた際に形成されるであろう仮想の位置を示している。
そして、その後、処理がステップS54に進められる。
また、ステップS48の処理において、一方のフラップセンサ31の反射光の検出が絶えていない時には、他方のフラップセンサ31の反射光の検出が絶えたか否かを判定する(ステップS51)。そして、他方のフラップセンサ31でも反射光の検出が絶えないときには再びステップS48に処理を戻す。また、他方のフラップセンサ31で反射光の検出が絶えたときは、押さえモータ45の回転角度の積算カウントを開始すると共に、処理をステップS52に進める。
一方のフラップセンサ31の反射光の検出が絶えずに他方のフラップセンサ31の反射光の検出が絶えるということは、他方の大押さえ41にフラップ布Fが載置され、当該フラップ布Fの下流端部が他方のフラップセンサ31により検出されたことを意味する。
ステップS52では、他方のフラップセンサ31によるフラップ布Fの下流端部検出から縫いの開始までの布送り量の算出が行われる。かかる布送り量は、他方のフラップセンサ31における基準位置から縫い針13までの距離Nsoと他方のフラップセンサ31における検出位置ズレ量Δhoとを加算することで求められる。
また、ステップS53では、他方のフラップセンサ31によるフラップ布Fの下流端部の検出から動メス14による切断の開始までの布送り量の算出が行われる。かかる布送り量は、他方のフラップセンサ31における基準位置から動メス14までの距離Msoと他方のフラップセンサ31における検出位置ズレ量Δhoと所定距離Mfoとを加算することで求められる(図14参照)。
そして、その後、処理がステップS54に進められる。
ステップS54では、押さえモータ45の回転角度の積算カウント値が、何れか一方のフラップセンサ31について求められた縫い開始までの送り量Ns+Δh又はNso+Δho(なお、フラップ端部よりも設定距離だけ手前から縫い開始を行う場合には当該設定距離分だけ減じた送り量)に到達したか否かを判定し、到達していなければその判定を繰り返す。
また、縫い開始までの送り量に到達していれば、ミシンモータ16を駆動させて縫いを開始する(ステップS55)。
さらに、押さえモータ45の回転角度の積算カウント値が、何れか一方のフラップセンサ31について求められた切断開始までの送り量Ms+Δh+Mf又はMso+Δho+Mfoに到達したか否かを判定し(ステップS56)、到達していなければその判定を繰り返す。
また、切断開始位置に到達すれば、メスモータ17の駆動させると共に、電磁弁20を介してエアシリンダを作動させて動メス14を下降させる(ステップS57)。これにより、切断が開始される。
なお、メスモータ17はその回転の安定化を図るために、より早期の時点で駆動を開始させておいても良い。
切断開始後は、何れか一方のフラップセンサ31(ステップS48又はS51で反射光の検出が途絶えた方のフラップセンサ31のみ)が反射光を検出したか否かを判定し(ステップS58)、検出が途絶えた状態が継続していればその判定を繰り返す。つまり、反射光の検出が再開した場合、その位置がフラップ布Fの布送り方向上流側端部と認識される。
そして、検出が再開すると、押さえモータ45の回転数から布地C等の送り量のカウントを新たに開始する。
次いで、フラップセンサ31によるフラップ布Fの上流端部検出から縫い終了位置までの布送り量の算出が行われる。かかる布送り量は、いずれか一方のフラップセンサ31における基準位置から縫い針13までの距離Ns(Nso)とフラップセンサ31における検出位置ズレ量Δh(Δho)とを加算することで求められる(ステップS59)。
また、フラップセンサ31によるフラップ布Fの上流端部の検出から動メス14による切断の終了までの布送り量の算出が行われる。かかる布送り量は、いずれか一方のフラップセンサ31における基準位置から動メス14までの距離Ms(Mso)と他方のフラップセンサ31における検出位置ズレ量Δh(Δho)とを加算し、所定距離Mf(Mfo)を減算することで求められる(ステップS60)。なお、切断はフラップ端部よりも所定距離Mf(Mfo)だけ下流の位置で終了するので、切断開始位置の算出の場合と異なり、所定距離Mf(Mfo)の減算が行われる。
そして、押さえモータ45の回転角度の積算カウント値が、縫い停止までの送り量Ns+Δh又はNso+Δho(なお、フラップ端部よりも設定距離だけ余分に縫いを行う場合には当該設定距離分だけ追加した送り量)に到達したか否かを判定し、到達していなければその判定を繰り返す。
また、縫い停止までの送り量に到達していれば、ミシンモータ16を停止させて縫いを終了する(ステップS62)。
さらに、押さえモータ45の回転角度の積算カウント値が、切断終了までの送り量Ms+Δh−Mf(Mso+Δho−Mfo)に到達したか否かを判定し、到達していなければその判定を繰り返す。
また、切断終了までの送り量に到達していれば、電磁弁20を介してエアシリンダを作動させて動メス14を上昇させる(ステップS64)。これにより、切断が終了される。
さらに、押さえモータ45の回転角度の積算カウント値から各コーナーメス91による切断位置に順番に布地Cを搬送し(ステップS65)、電磁弁93を介してエアシリンダ92を駆動させて各コーナーメス91による切断が実行する(ステップS66)。
その後、各大押さえ41を所定の待機位置に戻すと共に上昇させて布地Cの保持を解除して、縫製が終了される(ステップS67)。
(実施形態の効果)
以上のように、玉縁縫いミシン10では、検出位置ズレ量算出プログラム62aにより、CPU61が、フラップセンサ31が布地の搬送方向Eに位置ズレを生じた場合に、大押さえ41に設けられた指標手段35の示す基準位置Bの検出を行い、ROM62で記憶された初期位置データが示す基準位置との検出位置ズレ量Δhを算出する。
そして、動作制御プログラム62bにより、CPU61が、算出ズレ量Δhを考慮して縫製時の縫い開始位置や縫い終了位置に対する縫製の制御を行うことで、正確な縫製が実現され、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
さらに、玉縁縫いミシンで10では、位置ズレ量算出プログラム62aにより、CPU61が各フラップセンサ31ごとに検出位置ズレ量を求め、動作制御プログラム62bにより、フラップ検出が行われたフラップセンサ31の検出位置ズレ量Δhを考慮して縫製を行うので、いずれの縫い針13でフラップ布Fの縫着を行う場合であっても、正確な縫い位置で縫着を行うことができ、さらなる縫い品質の向上を図ることが可能となる。
(その他)
なお、検出位置ズレ量の算出処理は、主電源投入直後に限らず、例えば、フラップセンサ31の位置調節が行われるとこれに伴い動作制御手段60が行うようにしても良いし、動作制御手段60に対して実行を指示入力する入力手段を設けても良い。また、動作制御手段60がミシン10の主電源投入時、或いは主電源切断時にこれらに伴い実行するようにしても良い。さらには、動作制御手段60は定期的に実行するようにしても良い。
また、上記実施形態では、指標手段35が示す基準位置を大押さえ41の反射面41cの送り方向下流端部としたが、指標手段が示す基準位置を、反射面41cの送り方向上流端部位置としても良いし、反射面41cの途中位置としても良い。ただし、縫製時にフラップ端部と誤認識されないように反射面41cにおけるフラップ布Fが載置され得る領域以外であることが望ましい。
また、指標手段35が基準位置を示す方法は、フラップセンサ31により検出可能であれば特に限定はなく、例えば、反射面41cと反射率が異なるマーキングを付したり線状のシートなどを貼る、或いは陰となるような刻印を形成する等であっても良い。
また、大押さえ送り機構40は一対の敷き板47を備えているが、敷き板47は必須での構成ではない。ただし、位置ズレ量の算出処理にあっては、各大押さえ41の下側には布地がセットされない状態で大押さえ41の移動が行われるので、各大押さえ41の下面やテーブル11に傷の発生を防止するために不要な布をかませることが望ましい。
なお、上記の実施形態では、初期位置データとしてROM62に原点からの距離Ssを記憶させているが、縫い針13を基準として当該縫い針13からの距離Nsを初期位置データとして記憶させても良い。
また、上記実施の形態では、図15に示すように正確に位置決めされたフラップセンサ31の検出位置の大押さえ41の原点からの距離c=Ssを基準位置として、縫い針13の大押えの原点からの距離b=Snと共に常に記憶させ_この記憶された基準位置Snとフラップセンサ31が位置調整された際に検出される指標手段35の検出位置(大押えの原点からの距離d)との差であるズレ量Δhを求め、このズレ量Δhをフラッセンサ31の検出位置に加減算して正確な検出位置を求めているが、大押え41の原点からフラップセンサ31の検出位置までの距離cをフラップセンサ31が位置調整される毎に指標手段35の検出位置に基づいて変更しこれをROM62に記憶させるようにしても良い。
すなわち、図15において、フラップセンサ31が位置調整され指標手段35の検出位置が大押えの原点から距離dの位置になった場合に、それまで記憶されていたcの値をdに変更してこの距離dを予めROM62に記憶されている大押さえ41の原点からフラップセンサ31の検出位置(基準位置)としてROM62に記憶させるのである。このようにすると、フラップセンサ31が位置調整された後、毎回Δhに基づく演算が不要となる。また、製造当初において正確にフラップセンサ31を位置決めする必要が無い。
この場合に、ROM62は、フラップセンサ31の検出位置を基準位置として記憶する基準位置記憶手段として機能し、動作制御手段60は、フラップセンサ31を有するフラップ検出手段30により検出された指標手段35が示す基準位置に基づいてROM62に記憶された基準位置を更新する基準位置更新手段として機能すると共に、布地Cにフラップ布Fを縫着する際に、基準位置更新手段より更新された基準位置に基づいて、布移動機構としての大押え送り機構及び縫製手段としての針上下動機構とによるフラップ布Fの縫着を行う。
なお、フラップ検出手段30及び基準位置記憶手段は二本の縫い針13に対してそれぞれについて設けられ、二本の縫い針13に対応するそれぞれの基準位置を更新すると共に、動作制御手段60は、布地Cにフラップ布Fを縫着する際に、何れかのフラップセンサ検出手段30によりフラップ布の端部位置が検出されると、当該検出を行った一方のフラップ検出手段30の基準位置を更新して、大押さえ送り機構40及び針上下動機構によるフラップ布Fの縫着を行う。
このような基準位置記憶手段及び基準位置更新手段を備える構成により、フラツプセンサ31をある程度の誤差で位置決めした後は、その位置でのフラップセンサ31により検出される指標手段35の検出位置に基づいて、大押えの原点からフラップセンサ31の検出位置までの距離dを求め、その距離dをROM62に記憶させれば良く、フラップセンサ31の正確な位置決めを不要としてミシンの生産効率を向上させることができる。
発明の実施形態たる玉縁縫いミシンの全体の概略構成を示す斜視図を示す。 玉縁縫いミシンの正面図を示す。 大押さえ送り機構の斜視図である。 大押さえ送り機構の平面図である。 大押さえの上面にフラップ布がセットされた状態を示す平面図である。 大押さえの上面に設けられた指標手段の拡大平面図である。 玉縁縫いミシンの制御系を示すブロック図である。 玉縁縫いミシンの位置ズレ量算出処理を示すフローチャートである。 位置ズレ量算出処理における大押さえ送り機構の動作説明図である。 検出位置のズレの発生原因及び位置ズレの補正を示す説明図である。 検出位置のズレの他の発生原因を示す説明図である。 玉縁縫いミシンの縫製処理を示すフローチャートである。 玉縁縫いミシンの縫製処理の続きを示すフローチャートである。 位置ズレの際の動メスの制御の説明図である。 縫い針からフラップセンサまでの距離に関する説明図である。
符号の説明
10 玉縁縫いミシン
11 テーブル(作業台)
13 縫い針
30 フラップ検出手段
31 フラップセンサ(検出部材)
33 光源(投光部材)
35 指標手段
40 大押さえ送り機構(布移動機構)
41 大押さえ
41c 反射面
45 押さえモータ
55 フラップ保持機構
60 動作制御手段(制御手段)
61 CPU
62 ROM(初期位置記憶手段)
62a 位置ズレ量算出プログラム
62b 動作制御プログラム
B 基準位置
C 布地
F フラップ布

Claims (4)

  1. 布地の搬送方向に延設された一対の大押さえにより作業台上の布地を上方から保持すると共に前記大押さえを前記搬送方向に移動させることで布地の搬送を行う布移動機構と、
    前記布地に縫着するフラップ布を前記大押さえの上面で保持するフラップ保持機構と、
    二本の縫い針を有し、前記搬送される布地に対して縫製を行う縫製手段と、
    前記フラップ布が保持される前記大押さえの上面に形成された長尺状の反射面に向かって光を照射する投光部材と前記反射面からの反射光を検出して検出信号を出力する検出部材とを有し、当該検出部材が前記二本の縫い針よりも布地の送り方向上流側において当該二本の縫い針の並び方向に沿って位置調節可能に配置されたフラップ検出手段と、
    前記フラップ検出手段から出力される前記検出信号の変化から前記フラップ布の端部位置を求めると共に、求められたフラップ端部位置に基づいて前記縫製手段による縫製開始位置又は縫製終了位置を決定し、前記布移動機構及び前記縫製手段を制御して前記布地にフラップ布を縫着する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、
    前記反射面上の前記大押さえの搬送方向における所定の基準位置で前記フラップ検出手段により検出可能な反射光の状態変化を生じさせる指標手段と、
    前記基準位置の初期位置データを記憶する初期位置記憶手段と、
    前記フラップ検出手段により検出された前記指標手段が示す基準位置と前記初期位置記憶手段に記憶された初期値データが示す基準位置とを比較して、前記フラップ検出手段の前記搬送方向における検出位置ズレ量を求める位置ズレ量算出手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記布地に前記フラップ布を縫着する際に、前記検出位置ズレ量に基づいて、前記フラップ検出手段により求められた前記フラップ端部位置を補正して前記布移動機構及び前記縫製手段によるフラップ布の縫着を行うことを特徴とする玉縁縫いミシン。
  2. 前記フラップ検出手段、前記指標手段及び前記初期位置記憶手段は前記二本の縫い針のそれぞれに対応して設けられ、
    前記位置ズレ量算出手段は、前記二本の縫い針に対応するそれぞれのフラップ検出手段の検出位置ズレ量を求めると共に、
    前記制御手段は、前記布地に前記フラップ布を縫着する際に、何れかの前記フラップ検出手段により前記フラップ布の端部位置が検出されると、当該検出を行った一方のフラップ検出手段の検出位置ズレ量に基づいて前記フラップ端部位置を補正して、前記布移動機構及び前記縫製手段によるフラップ布の縫着を行うことを特徴とする請求項1記載の玉縁縫いミシン。
  3. 布地の搬送方向に延設された一対の大押さえにより作業台上の布地を上方から保持すると共に前記大押さえを前記搬送方向に移動させることで布地の搬送を行う布移動機構と、
    前記布地に縫着するフラップ布を前記大押さえの上面で保持するフラップ保持機構と、
    二本の縫い針を有し、前記搬送される布地に対して縫製を行う縫製手段と、
    前記フラップ布が保持される前記大押さえの上面に形成された長尺状の反射面に向かって光を照射する投光部材と前記反射面からの反射光を検出して検出信号を出力する検出部材とを有し、当該検出部材が前記二本の縫い針よりも布地の送り方向上流側において当該二本の縫い針の並び方向に沿って位置調節可能に配置されたフラップ検出手段と、
    前記フラップ検出手段から出力される前記検出信号の変化から前記フラップ布の端部位置を求めると共に、求められたフラップ端部位置に基づいて前記縫製手段による縫製開始位置又は縫製終了位置を決定し、前記布移動機構及び前記縫製手段を制御して前記布地にフラップ布を縫着する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、
    前記反射面上の前記大押さえの搬送方向における所定の基準位置で前記フラップ検出手段により検出可能な反射光の状態変化を生じさせる指標手段と、
    前記基準位置を記憶する基準位置記憶手段と、
    前記フラップ検出手段により検出された前記指標手段が示す基準位置に基づいて基準位置を更新する基準位置更新手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記布地に前記フラップ布を縫着する際に、前記基準位置更新手段により更新された基準位置に基づいて前記布移動機構及び前記縫製手段によるフラップ布の縫着を行うことを特徴とする玉縁縫いミシン。
  4. 前記フラップ検出手段、前記指標手段及び前記基準位置記憶手段は前記二本の縫い針のそれぞれに対応して設けられ、
    前記基準位置更新手段は、前記二本の縫い針に対応するそれぞれの基準位置を更新すると共に、
    前記制御手段は、前記布地に前記フラップ布を縫着する際に、何れかの前記フラップ検出手段により前記フラップ布の端部位置が検出されると、当該検出を行った一方のフラップ検出手段の基準位置を更新して、前記布移動機構及び前記縫製手段によるフラップ布の縫着を行うことを特徴とする請求項3記載の玉縁縫いミシン。
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