JP4769502B2 - 玉縁縫いミシン - Google Patents
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Description
上記従来例は、縫製に際し、大押さえ機構の大押さえにより身頃生地と玉布とが保持され、さらに大押さえの上面でフラップ布が保持されると、大押さえの反射面の一部がフラップ布により覆われた状態となる。これにより、縫製における大押さえの搬送移動時に生じる、フラップ検出手段による反射面の反射光の光検出量の変化から、フラップ布の一端部と他端部とをそれぞれ検出することができる。
そして、フラップ布の送り方向一端部から縫製の開始位置までの距離と、フラップ布の送り方向他端部から縫製の終了位置までの距離とを、予め設定しておくことで、フラップ検出手段によるフラップ端部の検出に基づいて、縫製時の大押さえ機構の動作制御を行っていた。
かかる問題については、汚れ等の影響を受けにくいRGBの光センサを使用する、等の対策が採られている。
しかしながら、RGBセンサは高価であるという問題がある。
また、RGBセンサを用いてもフラップ端部に重なるように生じる傷や汚れに対しては、それがフラップ端部なのか傷・汚れなのかを識別できず、その結果、フラップ端部位置を誤認識する可能性があった。
また、判定制御手段による判定の結果が異常である場合の処理については特定しないが、例えば、報知手段を設けて異常判定の場合に報知を行う処理を実行しても良いし、異常判定後は縫製の実行を禁止又は制限する動作制御を行っても良い。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記大押さえの昇降を行うエアシリンダを備え、前記判定制御手段は、前記大押さえを押さえ位置に下降させた後、待機位置から使用開始位置に向かって移動させて、前記使用開始位置までのON移動カウント値が正常な場合、前記大押さえを上昇させることを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、判定制御手段は、大押さえの待機位置から作業台上の布地の保持を行う保持位置までの搬送の際に、反射の良否判定を実行する、という構成を採っている。
これにより、少なくともフラップ布の両端位置検出に必要となる範囲内で反射面の反射の良否を判定する。
判定の結果、反射の不良であれば、例えば、縫製の実行を禁止したり、報知手段を設けて反射の不良状態の報知が行われる。
また、反射が良好であれば、通常の縫製が実行される。即ち、大押さえ機構により布地が保持され、フラップ保持機構によりフラップ布が保持され、反射面の一部がフラップ布により遮蔽される。かかる状態で、大押さえが搬送方向に移動し、同時にフラップ検出手段では反射面からの反射光を検出し、遮蔽領域における反射光の減少によりフラップ端部を検出する。そして、端部検出制御手段の制御により、検出されたフラップ布の端部位置に基づいて縫製手段による縫製開始位置又は縫製終了位置を決定し、これに対応した縫製を実行する。
以下、本発明の実施の形態である玉縁縫いミシン10について図1乃至図に基づいて説明する。図1は玉縁縫いミシン10の全体の概略構成を示す斜視図を示し、図2は玉縁縫いミシン10の正面図、図3は、玉縁縫いミシン10の制御系を示すブロック図である。なお、本実施の形態においては、各図中に示したXYZ軸を基準にしてミシン10の各部の方向を定めるものとする。ミシン10を水平面に設置した状態において、Z軸方向は鉛直方向となる方向を示し、X軸方向は水平且つ布送り方向と一致する方向を示し、Y軸方向は水平且つX軸方向に直交する方向を示す。
かかる玉縁縫いミシン10は、縫製の作業台となる載置台としてのテーブル11と、二つの大押さえ41a,41bにより布地Cを保持すると共に布地Cの送りを行う布移動機構としての大押さえ送り機構40と、布地に縫着するフラップ布Fを二つの内の一方の大押さえ41aの上で保持する図示しないフラップ保持機構と、布地Cに縫着する玉布にバインダー12を当てて当該玉布の両側部を折り返すバインダー機構と、大押さえ送り機構40によりX軸方向に沿って送られる布地Cと玉布に二本の縫い針13により針落ちを行う針上下動機構と、縫い針13よりも布送り方向下流側で動メス14を昇降させて布地Cと玉布に切れ目を形成するメス機構と、縫い針13から縫い糸を捕捉して下糸を絡ませる釜機構と、テーブル11上に設置されて針上下動機構とメス機構とを格納保持するミシンフレーム80と、直線状の切れ目の両端となる位置に略V字状の切れ目を形成するコーナーメス機構90と、布地Cの搬送方向に沿って大押さえ41aの上面に形成された反射面41cからの反射光を検出するフラップ検出手段30と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段60を備えている。
以下各部を詳説する。
テーブル11はその上面がX−Y平面に平行であって、水平な状態で使用される。そして、テーブル11における縫い針13による針落ち位置には針板15が装着されている。針板15には、二本の縫い針13が個別に挿入される針穴と、メス機構の動メス14が挿通されるスリットが形成されている。
また、テーブル11上には、ミシンフレーム80のベッド部81を格納する凹部が形成されており、当該凹部にミシンフレーム80は設置されている。さらに、テーブル11には、ミシンフレーム80の布送り方向下流側に大押さえ送り機構40とコーナーメス機構90とが配置され、布送り方向上流側にはバインダー機構(バインダー12以外は図示略)が配置されている。
そして、ミシンフレーム80の下部にはミシンモータ16が配設され、ベッド部81の内部には釜機構の回転駆動力をミシンモータ16から伝達する下軸がY軸方向に沿った状態で支持されており、アーム部83の内部には針上下動機構の上下動駆動力をミシンモータ16から伝達する上軸がY軸方向に沿った状態で支持されている。
上軸と下軸にはそれぞれプーリが固定装備されると共に、ミシンフレーム80の縦胴部82内を通されたタイミングベルトで連結されている。
針上下動機構は、二本針を構成する二つの縫い針13と、二本針のそれぞれの縫い針13を下端部に保持する二本の針棒と、各針棒をその長手方向に沿って滑動可能に支持する上下のメタル軸受けと、二本の針棒を同時に保持する針棒抱きと、ミシンモータ16により回転駆動される上軸と、上軸の一端部に固定連結され回転運動を行う回転錘と、回転錘の回転中心から偏心した位置に一端部が連結されると共に他端部が針棒抱きに連結されたクランクロッドとを有する、周知の構成からなる。
また、二本の縫い針13は、Y軸方向に沿って並んで配置されている。そして、後述するバインダー12は、縫製時にはその先端部が二本針の針落ち位置の間に配置され、二本針13は、バインダー12を挟んで両側で縫製を行うようになっている。
メス機構は、直線状の切れ目を形成する動メス14と、動メス14を下端部に備えると共にアーム部83内で上下動可能に支持されたメス棒と、メス棒の上下動の駆動源となるメスモータ17と、メスモータ17からの回転駆動力を上下方向の往復の駆動力に替えて伝達する伝達機構と、動メス14を昇降により待機位置と切断位置とに切り替えるエアシリンダを備えている。
上記動メス14は、二本針13に隣接すると共に当該二本針13よりも布送り方向下流側(図2における左方)に配置されている。
メスモータ17は、布地Cの送り動作と共に回転駆動を行い、伝達機構により動メス14を上下動させて、メス幅に応じた切れ目を繰り返し形成して直線状の切れ目を形成する。
釜機構は、ミシンフレーム80のベッド部81内に設けられている。この釜機構は、二本の縫い針13に個別に対応する二つの水平釜と、各水平釜の回転軸に設けられた釜歯車と、下軸に固定装備されて各釜歯車に個別に回転駆動力を付与する伝達歯車とを備えている。
下軸は、ミシンモータ16により回転駆動されると、各伝達歯車を介して釜歯車に回転駆動力を伝達し、さらに、釜軸を介して各水平釜が回転されるようになっている。各水平釜は、縫い針13の先端部が針板15の下側まで下降したときに、縫い針から縫い糸を捕捉し、捕捉状態で回転することで縫い糸のループに水平釜にくぐらせて下糸を挿通させ、縫い糸と下糸とを絡ませる作業を行う。このように、縫い針と水平釜との協働により縫いが行われるようになっいる。つまり、針上下動機構と釜機構とにより縫製手段が構成されている。
バインダー機構は、断面形状が逆T字状であって玉布を巻き付けるようにセットして長手方向に沿って送り出すバインダー12と、バインダー12を昇降可能に支持する支持機構(図示略)とを有している。
上記バインダー12は、テーブル11の上面に対向する底板と当該平板の上面に垂直に立設された立板とから断面視で逆T字状の形状を成している。
支持機構は、バインダー12の昇降動作の駆動源となる図示しないエアシリンダと、当該エアシリンダを駆動する電磁弁18と、エアシリンダの駆動力を上下方向の移動力に替えてバインダー12に付与する複数のリンク体とを備えている。
そして、縫製時には、バインダー機構は、エアシリンダによりバインダー12の先端部が二本針の針落ち位置の間となるように当該バインダー12を下降させる。そして、後述する大押さえ送り機構40の一対の大押さえ部材41a,41bとの協働によりバインダー12の断面形状となるように玉布をバインダー12に巻き付けるように保持した状態で長手方向に玉布を送り出し、布地Cへの縫着が行われる。
大押さえ送り機構40は、縫い針12を挟んだ両側の位置において上方から布地Cを押さえる一対の大押さえ41a,41bと、各大押さえ41a,41bの下側に個別配置されると共に布送りの際に布地Cを載置する二つの敷き板47と、二つの大押さえ41a,41bを昇降可能に支持する支持体42と、支持体42に対して大押さえ41a,41bを上下に移動させるエアシリンダ43と、エアシリンダ43の駆動を制御する電磁弁44と、大押さえ41により押さえた布地Cを布送り方向に移動させる押さえモータ45と、押さえモータ45の回転駆動力をX軸方向に沿った直動駆動力に変換して支持体42に伝達するボールネジ機構46とを備えている。
また、一方の大押さえ41aの上面には、その長手方向全長に渡って長尺状の反射面41cが形成されている。反射面41cは、後述するフラップ保持機構により保持されたフラップ布Fの布送り方向上流端部位置と下流端部位置とを検出するために用いるものである。つまり、フラップ布Fにより、長手方向における反射面41cの一部分が遮蔽されると、その遮蔽部分の反射率の低下をフラップ検出手段30によって検出することにより、フラップ布Fの布送り方向上流端部位置と下流端部位置とが動作制御手段60において認識されるようになっている。
各敷き板47は常にテーブル11の上面高さ位置し、これに対して各大押さえ41a,41bが下降することで布地Cを挟持状態を保持を行うこととなる。つまり、各敷き板47は、布地Cの下側にあって、当該布地Cの搬送時に直接テーブル11の上面に摺動されないように保護するためのものである。
ボールネジ機構46は、支持体42をテーブル11上においてX軸方向に沿って移動可能に支持しており、押さえモータ45の駆動により、二つの大押さえ41a,41bをX軸方向について任意に位置決めすることを可能としている。
フラップ保持機構は、大押さえ41aの上面で、エアシリンダによりフラップ布Fの保持と解除とを行う。かかるフラップ保持機構は、フラップ布Fの縫着端部をX軸方向に沿わせた状態で保持するためのものであって、当該フラップ布Fの縫着端部が各大押さえ41a,41bの移動時に一方の縫い針13の針落ち位置を通過するようにフラップ布Fの保持を行う。そして、フラップ布Fは、当該フラップ布Fの長手方向全長に渡って大押さえ41aの反射面41cを上から覆う状態で、フラップ保持機構に保持されるようになっている。
コーナーメス機構90は、テーブル11の下方であって大押さえ送り機構40による大押さえ41の通過経路における動メス14よりも布送り方向下流側(図2における左方)に配置されており、大押さえ送り機構40によりコーナーメス91の作業位置に搬送された布地Cを下方からコーナーメス91を突き通すことで直線状の切れ目の両端となる位置に略V字状の切れ目Vを形成する。
即ち、コーナーメス機構90は、コーナーメス91を上下動させるエアシリンダ92と、エアシリンダ92の駆動を行う電磁弁93と、コーナーメス91をX軸方向に沿って移動位置決めする駆動モータ94とを備えている。
即ち、縫い目と直線状の切れ目が形成された布地C及び玉布が、大押さえ送り機構40により、布送り方向における動メス14よりも下流側の所定位置まで搬送されると、コーナーメスを切れ目の一端側の下方位置に位置決めして上昇させ、次いで、切れ目の他端側の下方位置にコーナーメス91を位置決めして上昇させ、二つのV字状の切れ目Vを形成する。
フラップ検出手段30は、各大押さえ41の移動経路の上方であって二本針13よりも布送り方向上流側(図2における右側)に設けられている。
かかるフラップ検出手段30は、大押さえ41aの反射面41cに照射光を放つ光源33と反射面41cからの反射光を検出する受光素子とを備えるフラップ検出手段としてのフラップセンサ31と、当該フラップセンサ31をミシンアーム部83の外面上で支持する支持ブラケット32とを備えている。
支持ブラケット32は、フラップセンサ31を下方に向けた状態で大押さえ41aの反射面41cの上方で支持し、フラップセンサ31は下方に光照射を行って反射面41cからの反射光を検出するようになっている。
図3に示すように、動作制御手段60には、後述する大押さえ41aの反射面41cの反射状態の良否判定において反射の異常状態を報知する表示パネル64と、縫製の開始を入力する起動スイッチ66と、操作ペダル68とが図示しない入出力回路を介して接続されている。
起動スイッチ66は、縫製の開始や縫製開始前の大押さえ41aの反射面41cの反射状態の良否判定の実行を指示入力するための手段であり、当該起動スイッチ66の入力が行われると、操作ペダル68による入力が可能となる。
操作ペダル68は、上述の起動スイッチ66の入力後、踏み込みが行われることで、縫製の開始や縫製開始前の大押さえ41aの反射面41cの反射状態の良否判定の実行に移行させる指示入力手段である。つまり、前述の起動スイッチ66と操作ペダル68の二段階の操作を経て縫製や良否判定を実行させることが可能となっている。
また、動作制御手段60には、バインダー12の上下動を行うエアシリンダ、大押さえ41の昇降を行うエアシリンダ43、フラップ布F保持を行うエアシリンダ、コーナーメス91の昇降を行うエアシリンダ92及び動メスの待機状態と使用可能状態と切り替えるエアシリンダの作動を制御する電磁弁18,44,19,93,20がドライバ18a,44a,93a,20aを介して接続されている。
さらに、動作制御手段60には、フラップ検出手段30の各光源33が電源回路33aを介して接続されており、各フラップセンサ31がインターフェイス31aを介して接続されている。
図4は大押さえ41a、41bに布地C及び玉布(図示略)が保持され、大押さえ41aの上面において図示しないフラップ保持機構によってフラップ布Fが保持された状態で縫い針13の手前まで搬送されている状態を示す玉縁縫いミシンの平面図である。なお、この図ではバインダー12の図示は省略している。
玉縁縫いミシン1は、図4に示すように、縫製時において、大押さえ41aの反射面41cが布地C及び玉布の上に重ねられるフラップ布Fに覆われる。そして、フラップ布Fの布送り方向前側端部(図4における左端部)から縫製の開始位置及び動メス14による切断の開始位置までのX軸方向における寸法が決められている。また、同様に、フラップ布Fの布送り方向後側端部(図4における右端部)から縫製の終了位置及び動メス14による切断の終了位置までのX軸方向における寸法が決められている。
従って、反射面41cからの反射光の光強度の変化からフラップ布Fの各端部を検出すると、検出の時点から大押さえ送り機構40による布送り量を監視しつつ、前述したフラップ端部から縫製又は切断の開始位置又は終了位置までの寸法と、フラップセンサ31から縫い針13又は動メス14までの距離とを考慮して、縫い又は切断の開始/終了の動作制御を行っている。
即ち、CPU61は、ROM62内に記憶された反射の良否判定処理プログラムにより、ミシン10の主電源が投入されると、大押さえ41aを搬送し、少なくとも反射面41cの全域についてフラップセンサ31を通過させ、その過程で反射光の光強度低下を検出するか否かを判定するした場合に異常の報知を行う判定制御手段としての動作制御を実行する。
まず、玉縁縫いミシン10の主電源が投入されると、CPU61はROM62内の設定データから本ミシンが敷き板47を実装する仕様であるかを判定する(ステップS11)。そして、敷き板仕様である場合には、起動スイッチ66の入力の有無を判定し(ステップS12)、入力がなければその判定を繰り返し、入力があればステップS13に処理を進める。
大押さえ41a,41bは支持体42に揺動可能に支持され、上位置と下位置とではフラップセンタ31に対して反射面41cの距離や角度が異なるので、かかる動作制御により、縫製時の検出状態を同じ状態としている。
次いで、上記大押さえ41a,41bの移動に伴い、フラップセンサ31が反射光を検出したか否かを判定する(ステップS16)。
反射面41cがフラップセンサ31の検出域にさしかかると当該フラップセンサ31の照射光を反射して検出光強度が増加するので、かかる光強度の増加を検出したか否かにより判定が行われる。
この判定により、まだ使用開始位置まで到達していないときには、再び、ステップS16に処理を戻し、使用位置に到達しているときには、ステップS18のエラー出力に処理を進める。つまり、フラップセンサ31の下方を通過した反射面41cの検出が行われないまま大押さえ41a,41bは使用位置まで到達したことになるので、フラップセンサ31が何らかの要因により検出不能であるとの判定が行われる。
エラー出力は、表示パネルにおいて、所定のエラー報知画面を表示することにより行われる。
さらに、エラー出力後は、大押さえ41a,41bの移動を停止し、かかる状態で処理を終了する(ステップS19)。
そして、反射光の検出状態が継続していると判定されたときには、反射光の検出の継続を示すON移動カウントを1加算する(ステップS21)。
さらに、押さえモータ45の起動開始からの回転量により大押さえ41a,41bが使用開始位置まで到達したか否かを判定する(ステップS22)。
この判定により、まだ使用開始位置まで到達していないときには、再び、ステップS20に処理を戻し、使用位置に到達しているときには、ステップS18のエラー出力に処理を進める。つまり、フラップセンサ31の下方を通過し終わっているにもかかわらず反射面41cの検出状態が維持されているので、フラップセンサ31が何らかの要因により誤検出状態であるとの判定が行われる。
即ち、ステップS20の判定におけるフラップセンサ31の反射面41cの検出の継続判定が、反射面41cがフラップセンサ31を通過するのに要する適正な回数繰り返されて、適正なカウント値となっているか否かを判定する。
そして、かかる判定の結果、適正なカウント値の範囲ではない場合には、反射光の検出が途絶えた原因が反射面41cの傷や汚れ等による反射不良と判定し、ステップS18に処理を進めてエラー処理を実行する。
また、ON移動カウントの値が適正なカウント値の範囲である場合には、処理がステップS24に進められる。
到達してない場合には、ステップS24の処理を繰り返し、到達した場合には大押さえ41a,41bの移動を停止し、当該大押さえ41a,41bを上昇させる。
これにより、布地Cを各大押さえ41a,41bにセットすればすぐに縫製を開始することが可能な状態で玉縁縫いミシン10を待機させることが可能ととなる。
そして、これにより、反射面41cの反射状態の良否判定処理が終了される。
以上のように、この良否判定処理は、ミシンモータ16及びメスモータ17が停止されたままであって、二本の縫い針13,13及び動メス14の上下動が停止されたまま、即ち、縫製動作を伴わない状態で行われる。
また、判定モード設定の場合には、起動スイッチ66の入力の有無を判定し(ステップS27)、入力がなければその判定を繰り返し、入力があればステップS28に処理が進められる。
かかる待機状態において、作業者は、各大押さえ41a,41bの下側に敷き布(例えば、縫製に使用しないような布、不要な布などで、二つの大押さえ41a,41bの下面を網羅する大きさであることが望ましい)を敷く。
そして、押さえモータ45を駆動して、各大押さえ41a,41bを使用位置から待機位置まで搬送する動作制御を行う(ステップS32)。
この使用位置から待機位置への移動は、縫製動作を伴わない状態、即ち、ミシンモータ16及びメスモータ17を停止させ、二本の縫い針13,13及び動メス14の上下動を伴わない状態で行われる。
その後は、ステップS15に処理が進められ、前述と同様に、反射面41cに対するフラップセンサ31による反射光検出が行われる。
主電源投入後の大押さえ41aの反射面41cの良否判定処理が行われた後には、CPU61は、ROM62内に記憶された縫製プログラムにより、フラップセンサ31による反射光の検出の有無からフラップ布Fの端部位置を求めると共に、求められたフラップ端部位置に基づいて二本針13と動メス14による縫製と切断の開始位置又は終了位置とを決定する端部検出制御手段としての動作制御を実行する。
まず、CPU61、起動スイッチ66の入力の有無を判定し(ステップS41)、入力がなければその判定を繰り返し、入力があればステップS42に処理を進める。
次いで、使用開始位置に到達した各大押さえ41a,41bに対して、作業者は、布地Cを当該大押さえ41a,41bと各敷き板47との間にセットを行う。
そして、電磁弁44を介してエアシリンダ43により使用開始位置にある大押さえ41a,41bを下降させる動作制御を行うことで、布保持が行われる(ステップS44)。
さらに、作業者は、各大押さえ41a,41bの上から玉布をセットし、これに対して、電磁弁18を介してエアシリンダにより上方に待機しているバインダー12を下降させる動作制御を行うことで、玉布の保持が行われる。
そして、上記大押さえ41a,41bの移動に伴い、フラップセンサ31が反射光を検出したか否かを判定し(ステップS46)、検出がなければその判定を繰り返し、検出があればステップS47に処理を進める。つまり、ここでは、大押さえ41aの反射面41cの前側端部の検出が行われる。なお、前側端部とは、図2における左端部を示す。以下の記載において、「前」という場合には図2における左方を示し、「後」という場合には図2における右方を示すものとする。
そして、検出が絶えると、押さえモータ45の回転数から布地C等の送り量のカウントが開始される。
また、縫い開始位置に到達すれば、ミシンモータ16の駆動させて縫いを開始する(ステップS49)。
また、切断開始位置に到達すれば、メスモータ17の駆動させると共に、電磁弁20を介してエアシリンダを作動させて動メス14を下降させる(ステップS51)。これにより、切断が開始される。
なお、メスモータ17はその回転の安定化を図るために、より早期の時点で駆動を開始させておいても良い。
そして、検出が再会すると、押さえモータ45の回転数から布地C等の送り量のカウントを新たに開始する。
また、縫い開始位置に到達すれば、ミシンモータ16の駆動を停止させて縫いを終了する(ステップS54)。
また、切断開始位置に到達すれば、電磁弁20を介してエアシリンダを作動させて動メス14を上昇させる(ステップS56)。これにより、切断が終了される。
その後、各大押さえ41a,41bを使用開始位置に戻すと共に上昇させて布地Cの保持を解除して、縫製が終了される(ステップS59)。
以上のように、玉縁縫いミシン10は、動作制御手段60が、主電源の投入後、縫製の開始前に、反射面41cの反射の良否判定を行うため、縫製を開始する前に反射の不良発生を知ることができ、縫製を実行するか否かを事前に判断することが可能となり、誤認識による縫製を回避することが可能となる。
なお、良否判定処理は、主電源投入直後に限らず、非縫製時、例えば、一定時間縫いが行われないと実行するようにしても良い。
また、良否判定処理は、各大押さえ41a,41bを待機位置から使用開始位置に移動する場合に行われるが、これに限らず、逆方向の移動時に行っても良い。
11 テーブル(載置台)
13 縫い針
14 動メス
30 フラップ検出手段
31 フラップセンサ
40 大押さえ送り機構(布移動機構)
41a,41b 大押さえ
41c 反射面
45 押さえモータ
60 動作制御手段(端部検出制御手段、判定制御手段)
61 CPU
62 ROM
63 RAM
C 布地
F フラップ布
Claims (4)
- 布地の搬送方向に延設された大押さえにより作業台上の布地を上方から保持すると共に前記大押さえを前記搬送方向に移動させることで布地の搬送を行う布移動機構と、
前記布地に縫着するフラップ布を前記大押さえ上で保持するフラップ保持機構と、
前記搬送される布地に対して縫製を行う縫製手段と、
前記布地の搬送方向に沿って前記大押さえの上面に形成された長尺状の反射面からの反射光を検出するフラップ検出手段と、
前記フラップ検出手段による反射光の検出の状態変化から前記フラップ布の端部位置を求めると共に、求められたフラップ端部位置に基づいて前記縫製手段による縫製開始位置又は縫製終了位置を決定する端部検出制御手段と、
前記縫製手段の縫製動作を伴わない状態で前記大押さえを前記布地の搬送方向に沿って移動させて、前記反射面の反射の良否判定を行う判定制御手段とを備えることを特徴とする玉縁縫いミシン。 - 前記判定制御手段は、前記反射面の反射の良否判定を、主電源投入から縫製開始前の間で実行することを特徴とする請求項1記載の玉縁縫いミシン。
- 前記大押さえの昇降を行うエアシリンダを備え、
前記判定制御手段は、前記大押さえを押さえ位置に下降させた後、待機位置から使用開始位置に向かって移動させて、前記使用開始位置までのON移動カウント値が正常な場合、前記大押さえを上昇させることを特徴とする請求項1又は2記載の玉縁縫いミシン。 - 前記反射面における前記反射の良否判定を設定された範囲に応じて実行するように前記フラップ検出手段と布移動機構の動作制御を行う判定範囲制御手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の玉縁縫いミシン。
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