JP2006181681A - 軸体 - Google Patents
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Abstract
【目的】把持する部分に弾性樹脂を設けた軸体では、長期間使用していると弾性樹脂が手脂などを吸収して、表面がベタつく、膨潤してゆるみが生じるという問題があった。また、硬度の異なる弾性樹脂を接触させて使用する場合には、油分の含有量が多い低硬度弾性樹脂の油が高硬度弾性樹脂に移行し、弾性樹脂の硬度や寸法の変化を引き起こし、浮きやはく離、隙間が出来るといった問題につながっていた。さらに、移行したオイルが把持部表面に析出して、把持部に触れる手や紙面を汚す問題もあった。
【構成】軸筒の外周に弾性樹脂で把持部を形成した軸体において、前記弾性樹脂に吸油および/または吸水性がある物質を添加したことを第1の要旨とし、軸筒の外周に弾性樹脂で把持部を形成した軸体において、前記把持部が2種類以上の硬度の弾性樹脂で形成され、その弾性樹脂の一部に吸油および/または吸水性がある物質を添加したことを第2の要旨とするものである。
【選択図】 図1
【構成】軸筒の外周に弾性樹脂で把持部を形成した軸体において、前記弾性樹脂に吸油および/または吸水性がある物質を添加したことを第1の要旨とし、軸筒の外周に弾性樹脂で把持部を形成した軸体において、前記把持部が2種類以上の硬度の弾性樹脂で形成され、その弾性樹脂の一部に吸油および/または吸水性がある物質を添加したことを第2の要旨とするものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、軸体の少なくとも把持する部分に弾性樹脂を設けた軸体に関するものであり、その軸体の1例としては、ボールペンやシャープペンシルなどの筆記具や、口紅やアイライナーなど細長い容器、釣り竿、ドアノブ、ドライバーなどの工具類が挙げられる。
把持する部分には、滑り止めや把持のしやすさといった効果を持たせるために様々な発明がなされている。滑り止めとしては、シリコーンやエラストマーといった弾性樹脂を把持部に配置した構成(グリップ)が採られており、弾性樹脂の形状や硬さを変化させることによって持ちやすい把持部を形成している。その弾性樹脂の軸に対する配置方法としては、各々を別部材で構成し挿着する方法や軸筒の表面に弾性樹脂を塗装する方法、或いは、2色成形によって一体成形する方法などがある。特に、2色成形によって成形する場合には把持部分に低硬度弾性樹脂を配する一方、軸部分に高硬度樹脂を配して指先だけを滑りにくくしている。また、把持感の向上のために内層と外層の上下に積層した把持部も知られている。その把持部は内層に低硬度、外層に高硬度の弾性樹脂を配している。
特開2003−285589号公報
特許3468489号公報
特許3330513号公報
特開2000−355185号公報
しかし、弾性樹脂は吸油性が高く、長期間使用していると手脂などを吸収して、表面がベタつくようになってしまったり、膨潤して把持部にゆるみが生じてしまうという問題があった。また、硬度の異なる弾性樹脂同士で2色成形した場合や、硬度の異なる弾性樹脂を接触させて使用する場合には、油分の含有量が多い低硬度弾性樹脂の油が、濃度勾配の平衡化に従って高硬度弾性樹脂に移行し、弾性樹脂の硬度や寸法の変化を引き起こし、浮きやはく離、隙間ができるといった問題につながっていた。さらに、移行した油が把持部表面に析出して、把持部に触れる手や紙面を汚す問題もあった。
そこで、本発明は、軸筒の外周に弾性樹脂で把持部を形成した軸体において、前記弾性樹脂に吸油および/または吸水性がある物質を添加したことを第1の要旨とし、軸筒の外周に弾性樹脂で把持部を形成した軸体において、前記把持部が2種類以上の硬度の弾性樹脂で形成され、その弾性樹脂の一部に吸油および/または吸水性がある物質を添加したことを第2の要旨とするものである。吸油および/または吸水性がある物質としては、油および/または水を吸収した時に容積の変化がない無機粉体であることが好ましい。
軸体1の材質は、金属や樹脂、木材、石材など軸体として成形できるものであればよく、把持部2を形成する材料が軸体1を成形できる強度を有していれば、その材料で把持部を軸体自体に形成することも可能であり、特に限定されない。また、これらの材質は1種または2種以上の混合物であってもよい。
把持部2には、弾性樹脂が配されている。その弾性樹脂の具体例としては、アクリル樹脂やシリコーン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、エラストマーゲル、ポリエチレンゲル、ジメチル系シリコーン、メチルビニル系シリコーン、メチルフェニルビニル系シリコーン、メチルフルオロアルキル系シリコーン(フロロシリコーン)、フロロ−ジメチル共重合シリコーン、ウレタンゴム、エチレンアクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ニトリルゴム、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどが挙げられるが、形状が維持できるものであれば特に限定されない。これら弾性樹脂は1種または2種以上の混合物であってもよい。
これら弾性樹脂には、吸油および/または吸水性がある物質が添加される。吸油性および/または吸水性がある物質は、化粧品に使用される物質、オイルの除去に使用される物質、家庭内で防臭、清浄効果に使用される物質と多岐にわたり、その種類や形状は数多くある。例を挙げると木材や繊維、コルク、炭、皮革などの天然材料、シリカゲルや活性炭といった吸着素材、ゼオライトやけい藻土といった無機鉱物、架橋ポリアクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド多孔質体などを始めとした高分子吸油・吸水剤、紡錘状中空多孔質シリカ、多孔質シリカ、多孔質シリコーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムいった無機化合物、多孔質セラミック等が挙げられる。また、表面に多孔質シリカ等の吸油性および/または吸水性を有する被膜を形成することで、物質に吸油性および/または吸水性の機能を発揮、向上させてもよい。吸油および/または吸水した際に、これら吸油および/または吸水性がある物質の大きさが変化しないことが望ましいことから、無機鉱物、無機化合物が特に好ましい。これら吸油および/または吸水性がある物質は1種または2種以上の混合物であってもよい。
吸油および/または吸水性がある物質はその機能を十分に発揮させるために、微粒子粉体として添加することが望ましい。これは粒径が細かい程、単位重量当たりの表面積が増大することから、油および/または水の吸収効率を高める効果が期待できる。しかし、その粒径は把持部の形状や大きさに応じて適宜選択すればよい。また、吸油および/または吸水性がある無機粉体を使用することにより、油および/または水を吸収した際にも容積の変化がなく、把持部の膨潤やゆるみを更に防止することができる。弾性樹脂への添加量は把持部の形状や大きさに応じて適宜選択すればよいが、添加量が少なすぎると十分な効果が期待できず、多すぎると弾性樹脂の硬度が高くなり、弾性が損なわれることから、弾性樹脂に対して重量比率で0.001%〜50%、特に0.01%〜10%の添加量であることが望ましい。
これら弾性樹脂には、触り心地や指先へのフィット感の向上、着色や文様といった意匠性の向上、抗菌や汗の吸放出、光触媒反応による自己洗浄といった機能性の付与のために粉体や微粒子、発泡剤などが含まれていてもよい。
その粉体の具体例としては、スチレンやナイロン、ポリオレフィン、シリコーン、エポキシ、ポリメタクリル酸メチルなどの樹脂粉体や、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ガラス片、金属片などの無機粉体、シルクパウダー、木粉、コルク粉などの天然素材を粉体化したものなどが挙げられる。また、それらの粉体に、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系などの粉体塗膜を被覆した複合粉体、さらには、自動乳鉢、ボールミル、ジェットミル、アトマイザー、ハイブリダイザーなどを用いて樹脂粉体にこの樹脂粉体より小さい無機粉体を吸着させたり、打ち込んだりしたものなども挙げられ、特に限定されない。また、粉体の形状は、無定型、球状、板状、針状などが用いられ、特に限定するものではない。これら粉体は1種または2種以上添加してもよい。
その粉体の具体例としては、スチレンやナイロン、ポリオレフィン、シリコーン、エポキシ、ポリメタクリル酸メチルなどの樹脂粉体や、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ガラス片、金属片などの無機粉体、シルクパウダー、木粉、コルク粉などの天然素材を粉体化したものなどが挙げられる。また、それらの粉体に、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系などの粉体塗膜を被覆した複合粉体、さらには、自動乳鉢、ボールミル、ジェットミル、アトマイザー、ハイブリダイザーなどを用いて樹脂粉体にこの樹脂粉体より小さい無機粉体を吸着させたり、打ち込んだりしたものなども挙げられ、特に限定されない。また、粉体の形状は、無定型、球状、板状、針状などが用いられ、特に限定するものではない。これら粉体は1種または2種以上添加してもよい。
また、前記微粒子の具体例としては、カーボンブラックやグラファイト、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウムなどの酸化物、窒化チタン、窒化クロム、窒化ジルコニウム、窒化タンタルなどの窒化物、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化タンタルなどの炭化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タンタルなどのホウ化物が挙げられ、特に限定されない。また、微粒子の形状は無定型、鱗片状、球状、繊維状などを用いることができる。これら微粒子は、1種または2種以上添加してもよい。
前記発泡剤は、化学発泡剤や物理発泡剤、熱膨張性マイクロカプセルなどが用いられる。化学発泡剤の具体例は、アゾ化合物やニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジド化合物、トリアゾール化合物などの有機系熱分解型発泡剤、イソシアネート化合物などの有機系反応型発泡剤、重炭酸塩や炭酸塩、亜硫酸塩、水素化物などの無機系熱分解型発泡剤、重炭酸ナトリウム+酸や過酸化水素+イースト菌、亜鉛粉末+酸などの無機系反応型発泡剤などが挙げられる。
物理発泡剤の具体例は、ブタンやペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロルメタン、フロン、空気、炭酸ガス、窒素ガスなどが挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルの具体例は、イソブタンやペンタン、石油エーテル、ヘキサンなどの低沸点炭化水素を芯物質とし、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの共重合体からなる熱可塑性樹脂を壁物質としたマイクロカプセルなどが挙げられ、特に限定されない。これら発泡剤は、1種または2種以上添加してもよい。
物理発泡剤の具体例は、ブタンやペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロルメタン、フロン、空気、炭酸ガス、窒素ガスなどが挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルの具体例は、イソブタンやペンタン、石油エーテル、ヘキサンなどの低沸点炭化水素を芯物質とし、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの共重合体からなる熱可塑性樹脂を壁物質としたマイクロカプセルなどが挙げられ、特に限定されない。これら発泡剤は、1種または2種以上添加してもよい。
尚、把持部2を構成する弾性樹脂の硬度は、ショアーAで0度から90度もしくは、アスカーCで0度から90度までの硬度範囲の中で適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
また、把持部2を構成する弾性樹脂の表面は滑らかな面や粗な面に成形できる。例えば、摩擦抵抗を高め、指先の引っかかりをよくするためには表面を鏡面の様に滑らかに、また、摩擦抵抗を低くしてさらさらした触感を得るためには表面を粗にすればよいが、表面を粗にした場合には、ゴミやほこりを付きにくくする効果も得られる。
更に、把持部2を構成する弾性樹脂の表面にはローレット状や波目状などの適度な凹凸を形成してもよい。前記さらさら感が得られると共に、指先への引っかかり性も良好なものとなる。
把持部2の製造方法としては、各々を別部材で構成し挿着する方法や軸筒の表面に弾性樹脂を塗装する方法、或いは、2色成形やインサート成形によって一体成形する方法などが挙げられるが、その製造方法は特に限定されない。
本発明は、把持部を形成する弾性樹脂に吸油および/または吸水性がある物質を添加することにより、手脂や環境中の水分を吸油および/または吸水性がある物質が吸収し保持することによって、把持部の膨潤やベタツキを防止することができる。また、異なる硬度の弾性樹脂同士を接触させた時に低硬度弾性樹脂に含有される油が高硬度弾性樹脂に移行し、外部に析出する現象も低硬度樹脂に吸油および/または吸水性がある物質を含有させることで低硬度樹脂内に油分を保持させることができるため、その結果、油の移行や析出を防止することができる。また、外部から吸収した手脂や環境中の水分も吸油および/または吸水性がある物質に局在化することができるため、把持部の膨潤やベタツキを防止することができる。
本発明は、把持部を形成する弾性樹脂に吸油および/または吸水性がある物質を使用したことを最も主要な特徴とする。そして、把持部のへの添加物を創意工夫することよって、把持部の膨潤、ベタツキを防止すると共に、異なる硬度の弾性樹脂同士を接触させた時に低硬度弾性樹脂に含有される油が高硬度弾性樹脂に移行し、外部に析出する現象を抑える目的を実現した。
図1は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例1の部品図である。図2は図1のA−A‘断面図である。また、参照符号1は軸筒、参照符号2は把持部である。
軸筒1はポリプロピレン、把持部2は弾性樹脂としてポリエチレンゲル(コスモゲルHC15N、(株)コスモ計器製)を用いて2色成形で成形した。ポリエチレンゲル(コスモゲルHC15N、(株)コスモ計器製)には吸油および/または吸水性がある物質として中空多孔質シリカ(SILICA SHELLS(シリカ シェルズ)、日光ケミカルズ(株)製)を重量比率で1%添加した。まず、軸体1をポリプロピレンで成形した後、中空多孔質シリカを重量比率で1%添加したポリエチレンゲル(コスモゲルHC15N、(株)コスモ計器製)で把持部2を成形することで、中空多孔質シリカがポリエチレンゲル(コスモゲルHC15N、(株)コスモ計器製)内に含有される油を保持して外部に油が析出することを防ぐと共に、外部から浸透してくる手脂や環境中の水分を吸収する働きによって、把持部の膨潤、ベタツキといった経時劣化が防止される。
図3は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例2の部品図である。図4はA−A‘断面図である。また、参照符号1は軸筒、参照符号2は把持部、参照符号3は低硬度弾性樹脂把持部、4は高硬度弾性樹脂把持部である。
軸筒1はアクリロニトリルスチレン、把持部2は弾性樹脂として低硬度弾性樹脂把持部3に吸油および/または吸水性がある物質として塩基性炭酸マグネシウムの管状の凝集粒子(特開2003−306325)を重量比率で1%添加したポリエチレンゲル(コスモゲルHC15N、(株)コスモ計器製)を用いて2色成形で成形した。高硬度弾性樹脂部4にエラストマー(アクティマーAE−2060S、リケンテクノス(株)製)を用いて射出成形で成形したものを低硬度弾性樹脂把持部3の外側に装着した。低硬度弾性樹脂に含有される油は塩基性炭酸マグネシウムの管状の凝集粒子に担持されるため、高硬度弾性樹脂には移行せず、高硬度弾性樹脂把持部4に膨潤、ベタつきが発生することがなく、油が外部に析出する現象も防止されている。
図5は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例3の部品図である。図6は図1のA−A‘断面図である。また、参照符号1は軸筒、参照符号2は把持部である。
軸筒1はアクリロニトリルスチレンブタジエン、把持部2は弾性樹脂として超軟質アクティマー(AE−2000S、リケンテクノス(株))を用いて2色成形で成形した。超軟質アクティマー(AE−2000S、リケンテクノス(株))には吸油および/または吸水性がある物質として皮革粉体(トリアゼット、平均粒子径12μm、昭和電工(株)製)を重量比率で1%添加した。
まず、軸体1をアクリロニトリルスチレンブタジエンで成形した後、皮革粉体を重量比率で1%添加した超軟質アクティマー(AE−2000S、リケンテクノス(株))で把持部2を成形することで、皮革粉体が超軟質アクティマー(AE−2000S、リケンテクノス(株))内に含有される油を保持して外部に油が析出することを防ぐと共に、外部から浸透してくる手脂や環境中の水分を吸収する働きによって、把持部の膨潤、ベタツキといった経時劣化が防止される。皮革粉体は外部から浸透してくる手脂や環境中の水分を吸収すると僅かに膨潤するが、把持部2を形成する弾性樹脂全体の膨潤は防止されるため、把持部2がゆるんだり、浮いたりすることはない。
まず、軸体1をアクリロニトリルスチレンブタジエンで成形した後、皮革粉体を重量比率で1%添加した超軟質アクティマー(AE−2000S、リケンテクノス(株))で把持部2を成形することで、皮革粉体が超軟質アクティマー(AE−2000S、リケンテクノス(株))内に含有される油を保持して外部に油が析出することを防ぐと共に、外部から浸透してくる手脂や環境中の水分を吸収する働きによって、把持部の膨潤、ベタツキといった経時劣化が防止される。皮革粉体は外部から浸透してくる手脂や環境中の水分を吸収すると僅かに膨潤するが、把持部2を形成する弾性樹脂全体の膨潤は防止されるため、把持部2がゆるんだり、浮いたりすることはない。
実施例4として前記実施例2の添加量を変えて把持部を作製した。
軸筒1はアクリロニトリルスチレン、把持部2は弾性樹脂として低硬度弾性樹脂把持部3に吸油および/または吸水性がある物質として塩基性炭酸マグネシウムの管状の凝集粒子(特開2003−306325)を重量比率で20%添加したポリエチレンゲル(コスモゲルHC15N、(株)コスモ計器製)を用いて2色成形で成形した。高硬度弾性樹脂部4にエラストマー(アクティマーAE−2060S、リケンテクノス(株)製)を用いて射出成形で成形したものを低硬度弾性樹脂把持部3の外側に装着した。低硬度弾性樹脂に含有される油は塩基性炭酸マグネシウムの管状の凝集粒子に担持されるため、高硬度弾性樹脂には移行せず、高硬度弾性樹脂把持部4に膨潤、ベタつきが発生することがなく、油が外部に析出する現象も防止されている。ただし、20%の塩基性炭酸マグネシウムの管状の凝集粒子を添加したことで、低硬度弾性樹脂の硬度は本来の硬度より高くなり、把持感が硬くなっている。
比較例1として実施例1の中空多孔質シリカを添加しないものを作製したところ、ポリエチレンゲル(コスモゲルHC15N、(株)コスモ計器製)内に含有される油を保持することができず、紙面などに接触すると外部に油が析出してしまった。また、手脂や環境中の水分によって、長期間使用すると把持部の膨潤、ゆるみ、ベタツキといった経時劣化が発生していた。
比較例2として実施例2のチューブ状炭酸カルシウムを添加しないものを作製したところ、低硬度弾性樹脂のポリエチレンゲル(コスモゲルHC15N、(株)コスモ計器製)内に含有される油が保持することができず、高硬度弾性樹脂のエラストマー側に移行してしまい、低硬度弾性樹脂の収縮、エラストマーの膨潤、ベタツキといった経時劣化が発生していた。また、高硬度弾性樹脂把持部4のエラストマーにゆるみが発生し、表面に油が析出してしまった。
比較例3として実施例3の皮革粉体を添加しないものを作製したところ、超軟質アクティマー(AE−2000S、リケンテクノス(株))内に含有される油を保持することができず、紙面などに接触すると外部に油が析出してしまった。また、手脂や環境中の水分によって、長期間使用すると把持部の膨潤、ゆるみ、ベタツキといった経時劣化が発生していた。
比較例4として実施例1の中空多孔質シリカ(SILICA SHELLS(シリカ シェルズ)、日光ケミカルズ(株)製)を60%添加したものを作製した。手脂や環境中の水分による把持部の膨潤、ゆるみ、ベタツキといった経時劣化は発生しないものの、60%もの中空多孔質シリカを添加したことで、低硬度弾性樹脂の硬度が高くなり、ポリエチレンゲル(コスモゲルHC15N、(株)コスモ計器製)本来の弾性が失われ、把持感も高硬度の弾性樹脂を使用した把持部と同等になってしまった。
本発明は、軸筒の少なくとも把持部する部分に弾性樹脂を設けた軸体に関するものである。その軸体の例としては、シャープペンシルやボールペン、修正ペンなどの筆記具、カッターや彫刻刀、ドライバーなどの工具類、PDA(パーソナル デジタル アシスタンス)や電子手帳に使用される入力ペン、自転車のハンドルなど多岐にわたる。
1 軸体
2 把持部
3 低硬度弾性樹脂把持部
4 高硬度弾性樹脂把持部
2 把持部
3 低硬度弾性樹脂把持部
4 高硬度弾性樹脂把持部
Claims (5)
- 軸筒の外周に弾性樹脂で把持部を形成した軸体において、前記弾性樹脂に吸油および/または吸水性がある物質を添加したことを特徴とする軸体。
- 軸筒の外周に弾性樹脂で把持部を形成した軸体において、前記把持部が2種類以上の硬度の弾性樹脂で形成され、その弾性樹脂の一部に吸油および/または吸水性がある物質を添加したことを特徴とする軸体。
- 軸筒の外周に弾性樹脂で把持部を形成した軸体において、前記把持部が2種類以上の硬度の弾性樹脂で層状に形成され、その弾性樹脂の一部に吸油および/または吸水性がある物質を添加したことを特徴とする軸体。
- 吸油および/または吸水性がある物質が無機物であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の軸体。
- 前記無機物が粉体であることを特徴とする請求項4に記載の軸体。
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