JP4133624B2 - 軸体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸体の少なくとも把持部する部分に弾性樹脂を設けた軸体に関するものである。その軸体の1例としては、シャープペンシルやボールペン、修正ペンなどの筆記具、カッターや彫刻刀、ドライバーなどの工具類、PDA(パーソナル デジタル アシスタンス)や電子手帳に使用される入力ペン、自転車のハンドルなどが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
把持する部分には、滑り止めや把持しやすさといった効果を持たせるために様々な発明がなされている。滑り止めとしてはシリコーンやエラストマーといった弾性樹脂を把持部に配置した構成(グリップ)が採られており、弾性樹脂の形状や硬さを変化させることによって持ちやすい把持部を形成している。特に形状においては、グリップ本体の外周面に径方向に突出する複数の板状突起を前方側に向かって漸次高くなるように複数形成したもの(特許文献1)や、グリップ本体の外表面に、把持力により屈曲可能な複数の外径方向に突出する突状片部からなる群を、グリップ本体の周方向に離間して複数設けたもの(特許文献2)があげられる。このように外周部に径方向に突起を形成することにより、比較的硬度の高い材質でグリップを構成しても、柔らかい感触が得られ、また、把持した指がグリップの表面に局部的に深く沈み込んで指先を滑りにくくなっている。
【0003】
【特許文献1】
特許3121313号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開2000−071674号公報(請求項1)
【発明を解消しようとする課題】
上記特許文献1に記載された板状突起は周方向全体に亘って形成されており、板状突起はグリップ本体よりも外径方向に飛び出している。そのため、把持した時には板状突起が倒れて良好な感触を与えることができる一方で、板状突起を規制する力が弱いため、把持力を解除しても、復元せずに板状突起が倒れたままになるという問題がある。また、長期間の使用により板状突起の復元力は一層低下していくため、耐久性が悪いという問題もある。一方、特許文献2に記載された、外径方向に突出する突状片部からなる群をグリップ本体の周方向に離間して複数設けたものは、突状片部の復元力や耐久性という点では問題を解消しているが、周方向に形成されている突状片部が存在する部分と存在しない部分での滑りにくさに大きな違いが発生し、筆記時に違和感を生じてしまうという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、軸体の把持部に少なくとも弾性樹脂を設けた軸体において、前記把持部の外表面に外周方向に突出する環状突部を複数設け、この環状突部に部分的に高低差を設けたことを要旨とするものである。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。把持部を有する軸体1(本実施例においては、筆記具)において、把持部2は軸体1の外周部で把持者の指先が接する部分に少なくとも設けられる。把持部2以外の軸体1の材質は、金属や樹脂、木材、石材などので形成きるものであればよく、把持部2を形成する材料が軸体1を形成できる強度を有していれば、その材料で軸体自体を形成することも可能であり、特に限定されない。また、これらの材質は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0006】
把持部2の形状はその把持部2の外表面に、外周方向に突出した環状突部3を複数設け、一部の環状突部において突部の高さが異なる箇所を少なくとも一箇所設けてあればよい。即ち、高い突部3aと低い突部3bの連続した突部によって環状凸部3が形成されている。通常筆記時には、3本の指が把持部に接することから高さの異なる箇所を周方向に等間隔で3カ所設けると、把持しやすい箇所に指先が当たりやすくなる。また環状突部は必ずしも平行である必要はない。波状に周回した環状突部や環状ではなく螺旋状に連接した突部であってもよい。突部の高さ、突部の幅及び突部間の幅は特に限定されるものではないが、筋状の0.1mm程度の僅かな高さ、幅から、把持力により屈曲可能な0.1mm以上の高さ、幅まで可能であり、触感や屈曲変形機能の有無に応じて適宜選定すればよい。また指先が触れる部分であることから滑り止めの効果を高める為、指紋に近い突部の高さ、幅、突部間の幅もしくはその比率のピッチを採用してもよい。
【0007】
把持部2には、弾性樹脂が使用される。その具体例としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ジメチル系シリコーン、メチルビニル系シリコーン、メチルフェニルビニル系シリコーン、メチルフルオロアルキル系シリコーン(フロロシリコーン)、フロロ−ジメチル共重合シリコーン、ウレタンゴム、エチレンアクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ニトリルゴム、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどが挙げられるが、形状が維持できるものであれば特に限定されない。これら樹脂は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0008】
これら弾性樹脂には触り心地や指先へのフィット感の向上、着色や文様といった意匠性の向上、抗菌や汗の吸放出、光触媒反応による自己洗浄といった機能性の付与のために粉体、微粒子、発泡剤などが含まれてもよい。
その粉体の具体例としては、スチレン、ナイロン、ポリオレフィン、シリコーン、エポキシ、ポリメタクリル酸メチルなどの樹脂粉体や、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ガラス片、金属片などの無機粉体、シルクパウダー、木粉、コルク粉などの天然素材を粉体化したものなどが挙げられる。また、それらの粉体に、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系などの粉体塗膜を被覆した複合粉体、さらには、自動乳鉢、ボールミル、ジェットミル、アトマイザー、ハイブリダイザーなどを用いて樹脂粉体にこの樹脂粉体より小さい無機粉体を吸着させたり、打ち込んだりしたものなども挙げられ、特に限定されない。また、粉体の形状は、無定型、球状、板状、針状などが用いられ、特に限定するものではない。これら粉体は1種または2種以上添加してもよい。
【0009】
また、前記微粒子の具体例としては、カーボンブラック、グラファイトや、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウムなどの酸化物、窒化チタン、窒化クロム、窒化ジルコニウム、窒化タンタルなどの窒化物、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化タンタルなどの炭化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タンタルなどのホウ化物が挙げられ、特に限定されない。また、微粒子の形状は無定型、鱗片状、球状、繊維状などを用いることができる。これら微粒子は、1種または2種以上添加してもよい。
【0010】
前記発泡剤は、化学発泡剤、物理発泡剤、熱膨張性マイクロカプセルなどが用いられる。
化学発泡剤の具体例は、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジド化合物、トリアゾール化合物などの有機系熱分解型発泡剤、イソシアネート化合物などの有機系反応型発泡剤、重炭酸塩、炭酸塩、亜硫酸塩、水素化物などの無機系熱分解型発泡剤、重炭酸ナトリウム+酸、過酸化水素+イースト菌、亜鉛粉末+酸などの無機系反応型発泡剤などが挙げられる。
物理発泡剤の具体例は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロルメタン、フロン、空気、炭酸ガス、窒素ガスなどが挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルの具体例は、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサンなどの低沸点炭化水素を芯物質とし、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの共重合体からなる熱可塑性樹脂を壁物質としたマイクロカプセルなどが挙げられ、特に限定されない。これら発泡剤は、1種または2種以上添加してもよい。
【0011】
又、本実施例における弾性樹脂には、マイナスイオンを発生する物質が含有されている。そのマイナスイオンを発生する物質としては、天然鉱物および微量の放射線を発する放射性物質が挙げられる。天然鉱物としてトルマリン(電気石)や珪藻土、古代海洋ミネラル層の成分および、それらの焼結体が挙げられる。微量の放射線を発する放射性物質としてジルコン、モズナ石、バストネス石および、それらの焼結体が挙げられる。
天然鉱物や放射性物質は粒子径が小さく、表面積が増えるほど、マイナスイオンの発生量が増加するとされている。そこで、本発明の弾性樹脂に含有させる天然鉱物や放射性物質の粒子径は、弾性樹脂の成形性や耐久性を考慮すると、0.01〜100μmが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmである。
また、天然鉱物や放射性物質の含有量の増加に伴い、マイナスイオンの発生量も増加するとされている。そこで、本発明の弾性樹脂に含有させる天然鉱物や放射性物質の含有量は、弾性樹脂の成形性や耐久性を考慮すると、樹脂100重量部に対し0.01〜100重量部が好ましく、より好ましくは1〜50重量部である。
また、天然鉱物や放射性物質の形状は、無定型、球状、板状、針状などが用いられ、特に限定するものではない。
【0012】
把持部を構成する弾性樹脂の硬度は10度から90度までの硬度範囲の中で適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。ただし、人体に当接する弾性樹脂の硬度は20度以下の弾性樹脂では表面のべたつきが激しくかえって把持しにくく、ゴミなどが付着しやすくゴミの除去も困難であるといった問題があり、硬度が80度以上の弾性樹脂ではグリップの感触が硬くなってしまい適度なグリップ感が得られないことから、硬度は20度以上、80度以下の範囲であることが望ましい。
【0013】
把持部3の製造方法としては、圧縮成形やランスファー成形、射出成形、押出成形、真空注形といった方法で成形した弾性樹脂を軸体に装着する方法や、インサート成形で形成するといった方法が挙げられるが、製造方法は特に限定されない。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、より具体的に説明する。
<実施例1> ジメチル系シリコーンゴム(GE東芝シリコーン(株)製、TSE2570−6U、ゴム硬度30°)100重量部に珪藻土微粒子(平均粒子径:5μm)を20重量部混練し、射出成形により把持部1を成形した。把持部2には外周方向に突出した環状突部3が複数設けられており、環状突部に平行な断面に沿ってみたA−A断面図には突部の高さが異なる箇所(高い突部3a、低い突部3b)が3箇所設けられている。(図2、図3参照)環状突部3の幅と突部間の幅は0.4mm、高い部分の突部3aの高さは0.5mm、低い部分の突部3b高さは0.3mmである。把持部2を軸体1(筆記具)に装着した。(図1)得られた筆記具は把持した際、高い部分の突部3aは把持力で屈曲するが、低い部分の突部3bがある為に屈曲しすぎることはなく筆記時の指の感触が良好であった。低い部分の突部3bも把持力で僅かに屈曲する為、力が分散され、余分な力が入らず、環状突部の耐久性も向上していた。また、把持による屈曲や摩擦、圧力といった外力によって変形した時にマイナスイオンを発生することが確認された。
【0015】
<実施例2> ジメチル系シリコーンゴム(GE東芝シリコーン(株)製、TSE2570−6U、ゴム硬度50°)100重量部にトルマリン微粒子(平均粒子径:3μm)を20重量部混練し、射出成形により把持部2を成形した。把持部2には外周方向に突出した環状突部3が複数設けられており、環状突部3に平行な断面に沿ってみたA−A断面図には突部の高さが異なる箇所(高い突部3a、低い突部3b)が3箇所設けられている。環状突部の幅と突部間の幅は0.4mm、高い部分の突部3aの高さは0.3mm、低い部分の突部3bの高さは0.1mmである。把持部2を軸体1(筆記具)に装着した。得られた筆記具は把持した際、高い突部3a部分は把持力で僅かに屈曲するが、低い突部3bがある為に屈曲しすぎることはなく筆記時の指の感触が良好であった。低い突部3b環状突部であることから滑り止め効果を十分に発揮し、余分な力が入らず、環状突部の耐久性も向上していた。また、把持による屈曲や摩擦、圧力といった外力によって変形した時にマイナスイオンを発生することが確認された。
【0016】
<実施例3> ジメチル系シリコーンゴム(GE東芝シリコーン(株)製、TSE2570−6U、ゴム硬度50°)を用いて射出成形により把持部2を成形した。把持部2には外周方向に突出した環状突部3が複数設けられており、環状突部3に平行な断面に沿ってみたA−A断面図には突部の高さが異なる箇所(高い突部3a、低い突部3b)が5箇所設けられている。環状突部3の幅と突部間の幅は0.5mm、高い部分の突部3aの高さは0.5mm、低い部分の突部3bの高さは0.1mmである。把持部2を軸体1(筆記具)に装着した。得られた筆記具は把持した際、高い突部3aは把持力で屈曲し、低い突部3bがある為に屈曲しすぎることはなく筆記時の指の感触が良好であった。また、低い突部3b環状突部であることから滑り止め効果を十分に発揮し、余分な力が入らず、環状突部の耐久性も向上していた。
以上、実施例1〜実施例3においては、外径輪郭に凹凸形状を形成せずに、内方に向かって突部の高い部分と、突部の低い部分を形成したが、図4に示すように突部3の内径を同一とし、外径輪郭で突部の高い部分3bと突部の低い部分3aを形成しても良い。
【0017】
<比較例1> ジメチル系シリコーンゴム(GE東芝シリコーン(株)製、TSE2570−6U、ゴム硬度30°)を用いて射出成形により把持部2を成形した。把持部2には外周方向に突出した環状突部3が複数設けられている。環状突部3の幅と突部間の幅は0.4mm、突部高さは0.5mmである。把持部2を軸体1(筆記具)に装着した。得られた筆記具は把持した際、突部高さが0.5mmの部分は把持力で屈曲し、筆記時の指の感触が良好であったが、屈曲しすぎる為、余分な力が入り、環状突部3の耐久性も低かった。また、把持による屈曲や摩擦、圧力といった外力によって変形した時にマイナスイオンの発生はなかった。
【0018】
<比較例2> ジメチル系シリコーンゴム(GE東芝シリコーン(株)製、TSE2570−6U、ゴム硬度30°)を用いて射出成形により把持部1を成形した。把持部2には外周方向に突出した環状突部3が複数設けられている。環状突部3の幅と突部間の幅は0.4mm、突部高さは0.1mmである。把持部2を軸体1(筆記具)に装着した。得られた筆記具は把持した際、突部高さが0.1mmの部分は滑り止め効果を発揮していたが、筆記時の指の感触が硬いと感じられた。また筆圧を大きくし、強く握ったときも指が痛くなる等の不具合があった。また、把持による屈曲や摩擦、圧力といった外力によって変形した時にマイナスイオンの発生はなかった。
【0019】
【発明の効果】
以上、実施例でもに示したように、本発明は、軸体の把持部に少なくとも弾性樹脂を設けた軸体において、前記把持部の外表面に外周方向に突出する環状突部を複数設け、この環状突部に部分的に高低差を設けているので、快適な把持感が得られるとともに、環状突部の曲がり過ぎを抑え、耐久性を向上させている。また、弾性樹脂にマイナスイオンを発生する物質を含有させることにより、把持による屈曲や摩擦、圧力といった外力によって変形した時にマイナスイオンを発生することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を示す外観図。
【図2】 本発明を示す把持部の外観図。
【図3】 図2のA−A線断面図。
【図4】 他の例を示す図3相当図。
【符号の説明】
1 軸体
2 把持部
3 環状突部
3a 高い突部
3b 低い突部

Claims (5)

  1. 軸体の把持部に少なくとも弾性樹脂を設けた軸体において、前記把持部の外表面に外周方向に突出する環状突部を複数設け、この環状突部に部分的に高低差を設けたことを特徴とする軸体。
  2. 前記複数の環状突部を平行に設けたことを特徴とする請求項1記載の軸体。
  3. 前記環状突部の一部もしくは全周部は、把持により屈曲可能であることを特徴とする請求項1、或いは、請求項2に記載の軸体。
  4. 前記弾性樹脂にマイナスイオンを発生する物質を含有させたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の軸体。
  5. 前記マイナスイオンを発生する物質がトルマリン、或いは、珪藻土又は放射性物質から選ばれる1種又は2、3種の混合物であることを特徴とする請求項4に記載の軸体。
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