JP2006176704A - 反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法及び反応性安定化ポリカーボネートポリオールを用いたポリウレタン樹脂 - Google Patents

反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法及び反応性安定化ポリカーボネートポリオールを用いたポリウレタン樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】安定した生産性と、安定した樹脂性能が得られる反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法及び反応性安定化ポリカーボネートポリオールを用いたポリウレタン樹脂を提供する。
【解決手段】炭素数4〜20の脂環族又は脂肪族の直鎖又は分岐鎖からなるグリコールと、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネートの中から選ばれた1種類とを反応させる工程を含む反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法である。前記ジアルキルカーボネート、前記ジアリールカーボネート、又は前記アルキレンカーボネートは、脱水処理されて水分含有量15ppm以下のものである。上記製造方法は、燐酸エステル類の存在化で加熱処埋する工程をさらに含むものであることが好ましい。ポリウレタン樹脂は、上記製造方法で製造されたポリカーボネートポリオールを原料とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法、及び、反応性安定化ポリカーボネートポリオールを用いて製造したポリウレタン樹脂に関するものである。
ポリカーボネートポリオールは、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等と同様、イソシアネート化合物との反応により、硬質フォーム、軟質フォーム、塗料、接着剤、コーティング剤、エラストマー、繊維、合成皮革、インキバインダーなどに用いられるポリウレタン樹脂を製造するための原料となる有用な化合物である。
ポリカーボネートポリオールは、従来からのポリエステルポリオールと比較してエステル交換反応が遅いため、活性の強いエステル交換触媒が用いられたり、触媒添加量が多く用いられたりと比較的強い触媒活性の存在下で製造が行われている。しかし、このエステル交換反応触媒は、失活処理を施さない限り活性を維持することから、ポリウレタン樹脂に用いる場合、イソシアネート化合物との反応性が速く、ゲル化等の問題がある。これらの対策として、例えば、下記特許文献1や下記特許文献2では水や亜燐酸トリエステルなど反応調整剤による矢活処理を行う手法が記載されている。
また、従来の方法では添加する反応調整剤が過剰であると、逆に促進剤として作用したり、また、反応調整剤の使用量が増えるとポリウレタン樹脂の耐久性が低下したり、また、樹脂が着色しやすくなるなど問題がある。これらの対策として、例えば、下記特許文献3では、ウレタン化反応性の調整に反応調整剤を加えずに、1,4−ブタンジオール単位を高い比率で含むポリオールの遅延効果を奏する発明が見出され提案されている。
特公平8−26140号公報 特開2002−69166号公報 特開平5−25264号公報
しかし、水(特許文献1で使用)で失活処理を行った場合は、金属酸化物の生成等で濁度を生じるなど問題があり有用ではない。一方、反応調整剤として塩酸や硫酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸などの有機塩、燐酸エステル、亜燐酸エステルなどエステル類(特許文献2で使用)などの添加で失活処理を行った場合には、各ロット毎にイソシアネート化合物との反応性が異なるため異常反応を起こし、ゲル化等を生じてしまう。また、安定したポリウレタン樹脂を製造するためには、各ロット毎に反応調整剤の使用量を調整するなど必要であり、ポリカーボネートポリオールの製造にかかるユーティリテー負荷など地球環境面にも問題があった。
また、特許文献3の手法では、ジオール成分の約60%以上が1,4−ブタンジオールを必須とするため、応用又は適応範囲が非常に狭いことと、触媒活性が低い状態では効果があるものの、触媒活性が高い状態ではウレタン化時の反応性にバラツキを生じるなど、根本的な解決には至っていないのが現状であり、ロット毎にかかる反応調整作業の低減と反応性の安定したポリカーボネートポリオールの提供が望まれていた。
本発明は、反応性安定化ポリカーボネートポリオールを製造する上で問題点となるこれらの課題を解決し、かつ、反応性安定化ポリカーボネートポリオールを使用したポリウレタン樹脂を用いることにより、従来では得られなかった安定した生産性と、品質面においても安定した樹脂性能が得られるなど優れた反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法、及び、この製造方法で製造された反応性安定化ポリカーボネートポリオールを用いたポリウレタン樹脂を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法は、炭素数4〜20の脂環族又は脂肪族の直鎖又は分岐鎖からなるグリコールと、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネートの中から選ばれた1種類とを反応させる工程を含むものであって、前記ジアルキルカーボネート、前記ジアリールカーポネート、又は前記アルキレンカーボネートが、水分含有量15ppm以下のものであることを特徴とする。また、前記ジアルキルカーボネート、前記ジアリールカーポネート、又は前記アルキレンカーボネートは、トシルイソシアネートにより脱水処理されたものであることが好ましい。また、本発明の反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法は、燐酸エステル類の存在化で加熱処埋する工程をさらに含むものであることが好ましい。
従来では、目的とする反応性を得るまでロット毎に反応調整剤の添加量調整作業を行っていたが、上記構成により、反応調整剤の一定量の添加によって安定したウレタン化反応性を持たせることができるので、反応調整作業を低減できる。
ここで、水分含有量15ppm以下のジアルキルカーボネート、ジアリールカーポネート、又はアルキレンカーボネートを用いる理由について説明する。
従来より用いられてきたポリカーボネートポリオールは、ウレタン化反応をする際にイソシアネート化合物とのウレタン化反応において異常反応を起こし、ゲル化等の問題が発生している。この原因については明らかではないが、ウレタン化反応をする際のポリオールの反応速度が大きいため、その発熱が原因の架橋などによる反応促進などが考えられる。この反応促進を抑止するため、反応遅延の効果がある反応調整剤が検討され、現在も使用されているが、時折生じる異常現象によるゲル化や目的の粘度に達するまでの時間が長時間に及ぶなど問題解決には至っていなかった。
本発明者らの検討で、ポリカーボネートポリオールのロット毎に異なる反応性の原因は、使用原料の品質にあり、特に水分含有量とそのバラツキの大きいジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネートなどカーボネート化剤にも起因することが分かった。その水分によってエステル交換反応触喋の一部が失活し、また、水分含有量のバラツキがエステル交換触媒の失活量にバラツキを与えるため、反応調整剤を一定量添加した場合、ウレタン化の反応性がばらつき、時として異常現象によるゲル化が起こっていたと考えられる。即ち、従来では、高理論段数を有する蒸留法や活性炭などによる吸着法が主として用いられているが、極微量の水分を処理するには限界があった。その水分を化学反応によって処理された、水分含有量が15ppm以下の上記カーボネート化剤を用いることで、安定した反応性を得ることを見出した。
次に、本発明のポリウレタン樹脂は、上述の反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法で製造された反応性安定化ポリカーボネートポリオールと、有機ジイソシアネートと、鎖延長剤とを反応せしめて得られた数平均分子量が1万〜20万のものであることが好ましい。
反応性が安定しているポリカーボネートポリオールを用いているので、品質のバラツキが少ないポリウレタン樹脂を提供できる。
本発明のポリウレタン樹脂は、合成皮革、人工皮革、コーティング剤組成物、熱可塑性樹脂、又は塗料用樹脂等に用いることができる。
以下に本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態の反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法は、炭素数4〜20の脂環族又は脂肪族の直鎖又は分岐鎖からなるグリコールと、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネートの中から選ばれた1種類とを反応させる工程を含むものであって、前記ジアルキルカーボネート、前記ジアリールカーポネート、又は前記アルキレンカーボネートが、水分含有量15ppm以下のものであることを特徴とし、燐酸エステル類の存在化で加熱処埋する工程をさらに含むものであることが好ましい。また、前記ジアルキルカーボネート、前記ジアリールカーポネート、又は前記アルキレンカーボネートは、トシルイソシアネートにより脱水処理されたものを用いる。
本実施形態に用いる炭素数4〜20の脂環族又は脂肪族の直鎖又は分岐鎖からなるグリコールとしては、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2,6’−ジヒドロキシエチルヘキシルエーテル、2,4’−ジヒドロキシエチルブチルエーテル、2、5’ −ジヒドロキシエチルペンチルエーテル、2、3’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルプロピルエーテルなどが挙げられるが、好ましくは、炭素数が4〜9の脂環族又は脂肪族の直鎖又は分岐鎖からなるグリコールであり、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ぺンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ぺンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール及びこれらのジオールの中から1種類又は2種類以上選んで用いることができる。
本実施形態に用いる水分含有量15ppm以下のカーボネート化剤としてのジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの対称のジアルキルカーボネートの他、メチルエチルカーボネートなどの非対称のジアルキルカーボネートが挙げられる。アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどが挙げられる。ジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなどの対称のジアリールカーボネートの他、フェニルナフチルカーボネートなど非対称のジアリールカーボネートが挙げられる。なお、これらの中では、ジアルキルカーボネートがカーボネート化剤として好ましいが、特に好ましくはジエチルカーボネートである。
ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はアルキレンカーボネート等のカーボネート化剤に含まれる不純物及び水分は、従来から蒸留や活性炭などを用いて取り除かれていたが、このような設備的及び物理的な方法では除去能力に限界があり、また、水分含有量にもバラツキを与える原因であるため、トシルイソシアネートなどの添加により化学反応的に水分を除去する方法が好ましい。なお、これらカーボネート化剤に含まれる水分は、15ppm以下が好ましく、特に10ppm以下が好ましい。
本実施形態で使用される燐酸エステルとしては、エチルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、ブチルピロフォスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドフォスフェート、オレインアシッドフォスフェート、テトラコシルアシッドフォスフェート、ジブチルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどが挙げられる。
本実施形態のポリカーボネートポリオールの数平均分子量の範囲は用途により異なるが、通常300〜10000であり、好ましくは500〜8000である。
続いて、具体的な反応について説明する。本実施形態における反応は、公知のエステル交換反応と同様な反応メカニズムである。
本実施形態においては、反応の際にエステル交換反応で用いられる触媒を用いることが好ましい。この触媒としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、セリウム等の金属、金属アルコキシド、金属塩、金属酸化物等が挙げられる。本実施形態においては、アルカリ金属、アルガリ土類金属、亜鉛、チタン、及び鉛の、炭酸塩、カルボン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、酸化物、及び有機金属化合物を触媒として用いることが好ましく、中でも有機チタン化合物が好ましい。
触媒使用量としては、出発原料の総質量の0.0001〜1%、好ましくは0.001〜0.1%である。触媒量が少なすぎる場合は、反応時間が長くなるので製造効率が悪くなるとともに、得られるポリカーボネートポリオールも着色しやすくなるので好ましくない。また、触媒量が多すぎる場合は、得られるポリカーボネートポリオールの耐水性が低下する可能性があるので好ましくない。
本実施形態におけるポリカーボネートポリオールは、公知のエステル交換反応よりも穏和な条件で反応を進行させることかできる。具体的には、反応を進行させる過程において、常圧下(即ち減圧を行わない)で90〜200℃での温度範囲で反応を進行させることが可能である。なお、好ましくは100〜195℃の温度範囲で、さらに好ましくは110〜190℃での温度範囲で反応を進行させることが好ましい。
反応は常圧で行なうことかできるが、反応後半に減圧下、例えば0.13kPa〜26.6kPaで行ない、反応の進行を速めることも、本実施形態においては可能である。また、公知であるエステル交換反応後の脱アルコール処理の際にも、同様に減圧してこれを促進させることも可能である。
反応初期は、カーボネート化剤の沸点近辺、具体的には90〜150℃の温度範囲で行い、反応が進行するにつれて、徐々に温度を上げて更に反応を進行させる。
生成したポリカーボネートポリオールとカーボネート化剤との分離が可能な装置は、通常は蒸留塔付反応器であり、カーボネート化剤を還流させながら反応を行い、反応の進行とともに生成してくる低分子の水酸基含有化合物を溜出させる装置が好ましい。
本実施形態のポリウレタン樹脂に用いられるポリカーボネートポリオールは、分子量が400〜10000のものが用いられが、特に500〜5000のものか好ましい。本実施形態のポリウレタン樹脂に用いる有機ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ぺンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ぺンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートや、これらの2種類以上の混合物、これらの有機ジイソシアネートのウレタン変性体、アロファネート変性休、ウレア変性体、ビウレット変性体、ウレトジオン変性休、ウレトイミン変性体、イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等、公知のあらゆる有機ジイソシアネートであってもよい。
本実施形態で使用される鎖延長剤としては、2個以上の活性水素基を有する低分子量化合物が好ましく、かかる低分子化合物としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもいいし、2種以上を併用してもよい。
この反応においては、当然のことなから、必要に応じて、金属塩やアミン類等の公知の触媒を併用することができる。また、これらの反応は、溶剤中で反応せしめて得られるものであって、好ましい溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエンなどのイソシアネート不活性溶媒の一種または二種以上の混合物が挙げられる。
本実施形態のポリウレタン樹脂の分子量は2万〜10万が好ましく、より好ましくは3万〜8万である。分子量が2万以下の場合は、得られたポリウレタン樹脂の機械的強度が十分ではなく、分子量が10万を超えると溶液粘度が高く、ハンドリング性が低下するため実用的ではない。
なお、本実施形態のポリウレタン樹脂の耐熱性、耐候性、加工性などを改良する目的で、本実施形態のポリウレタン樹脂に一般公知の各種添加剤を使用することができる。例えば、これらの添加剤として酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、さらには、強化繊維、充填剤、離型剤、着色剤などがある。
本実施形態のポリウレタン樹脂は、反応性のバラツキが小さいために、硬質フォーム、軟質フォーム、塗料、接着剤、コーティング剤、エラストマー、繊維、合成皮革、インキバインダーなどに用いられ、特にポリウレタン樹脂の物性が品質に反映される、例えば、微妙な手触り感を要求される合成皮革、人工皮革、コーティング剤組成物、熱可塑性樹脂に有用な化合物である。
本実施形態によれば、炭素数4〜20の脂環族又は脂肪族の直鎖又は分岐鎖からなるグリコールと、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネートの中から選ばれた1種類とを反応させる工程を含む反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造工程で、前記ジアルキルカーボネート、前記ジアリールカーボネート、又は前記アルキレンカーボネートが、水分含有量10ppm以下のものを用いるので、安定したウレタン化反応を得ることができ、さらにはウレタン化反応が安定したことにより、従来、時折生じていた部分的なゲル化物が抑制され安定したウレタン樹脂を製造できる。
また、本実施形態で得られたポリカーボネートポリオールは、品質のバラツキが少ないポリウレタン樹脂を提供できる。
さらに、本実施形態で得られたポリカーボネートポリオールは、例えば、これを原料としてイソシアネート化合物と反応させたポリウレタン樹脂は、ロット間で特性のバラツキが小さいため、安定した特性が得られるという点で有用である.従って、ポリウレタン樹脂の主な用途である硬質フォーム、軟質フォーム、塗料、接着剤、コーティング剤、エラストマー、繊維、磁気テープ用バインダー、各種シール材等、種々の工業的用途に広く用いることができる。特に、直接手で触れる用途として、合成皮革や人工皮革、コーティング剤では、ロット間の特性のバラツキは致命的な問題であることから、本実施形態で得られたポリカーボネートポリオールを原料として用いることは有用である。また、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、エポキシ樹脂などに強靭性、加工性などを付与するための改質材あるいはウレタンアクリレート樹脂原料としても有用である。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における「部」とは質量部、「%」は質量%をそれぞれ示す。
実施例中の水分は三菱化学(株)製の微量水分測定装置CA−100を用いて測定した。実施例中の水酸基価はアセチル化法により測定した。また、実施例中の数平均分子量は以下に述べる方法により測定した。本発明のポリカーボネートポリオールの末端は、NMR測定により実質的に全てがヒドロキシル基であった。さらに、該ポリマー中の酸価をKOHによる滴定により測定したが、該ポリマーは全て0.01以下であった。従って、ポリマーの数平均分子量は次式(1)により求められる。
数平均分子量=(56.11×2×1000)/水酸基価 (1)
実施例で用いたジエチルカーボネートは以下に示す方法で調達した。
(ジエチルカーボネートの脱水例)
図示しないが、攪拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔(短管(塔)上部にト管・リ一ピッヒ冷却管・ナス型フラスコをセット)を組んだ反応装置に、水分含有量200ppmのジエチルカーボネート9000部とトシルイソシアネート74部とを採取し、常温で15分攪拌した。次に、120〜130℃へと昇温を行い反応装置内のジエチルカーボネートがナス型フラスコに8820部回収された時点で蒸留を止めた。三菱化学(株)製の微量水分測定装置CA−100を用いて水分を測定したところ、水分4ppmであった。尚、純度は(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14Aにてキャピラリーカラムを用いて留出液を測定したところ純度99.96%であった。
このようにして調製されたジエチルカーボネートDEC−1と、このDEC−1に精製水を添加して表1に示す水分量になるように調製したDEC−2〜9とを得た。
Figure 2006176704
また、実施例で用いたジメチルカーボネートは以下に示す方法で調達した。
(ジメチルカーボネートの脱水例)
図示しないが、攪拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔(短管(塔)上部にト管・リ一ピッヒ冷却管・ナス型フラスコをセット)を組んだ反応装置に、水分含有量235ppmのジメチルカーボネート(DMC−A)9000部とトシルイソシアネート74部とを採取し、常温で15分攪拌した。次に、90〜100℃へと昇温を行い反応装置内のジメチルカーボネートがナス型フラスコに8790部回収された時点で蒸留を止めた。三菱化学(株)製の微量水分測定装置CA−100を用いて水分を測定したところ、水分5ppmであった。尚、純度は(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14Aにてキャピラリーカラムを用いて留出液を測定したところ純度99.92%であった。
このようにして得られたジエチルカーボネートDMC−1に精製水を添加し、水分含有量9ppmのDMC−2をも得た。
(実施例1)
攪拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を組んだ反応装置に、1,6−ヘキサンジオール(以下1,6HGと略す)を830部、ジエチルカーボネートDEC−1(水分含有量4pppm)を771部、反応触媒としてテトラブチルチタネート0.05部を仕込み、窒素気流下にて反応物をおよそ125℃〜135℃の温度に保ち、生成するエチルアルコールを留出させる。エチルアルコールの留出が理論生成量の30%〜40%(質量)となったとき、4〜10℃/時間の割合で190℃まで昇温する。反応温度を190℃でエタノールの留出が出なくなるまで反応を行った。更に、低沸物を除去するため、減圧下で反応を行った。減圧反応は、反応温度を190℃に保ったまま、真空度を6.6〜13.2kPa/hrの減圧速度で、常圧から減圧し最終的に1.3kPaの圧力で2〜5時間、同一温度、減圧下で反応を継続し、NMR測定によりポリカーボネートポリオールの末端がヒドロキシル基に置き換わった時点で反応を終了とし、水酸基価56.2KOHmg/gの数平均分子量1997の無色透明な液体(ポリカーボネートポリオール)980部を得た。
得られたポリカーボネートポリオール500部と、反応調整剤として2−エチルヘキシルアシッドフォスフェート0.05部を上述と同様な反応装置にて120℃で4時間混合を行い、反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−1を約500部を得た。
(実施例2〜4)
実施例1と同様な反応装置に、表1に示す水分調製を行った水分含有量の異なるDEC−2〜4を用いたこと以外は実施例1と同様な方法で、表1に示す反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−2〜4を得た。
(実施例5)
実施例1と同様な反応装置に、水分含有量の異なったジエチルカーボネートに上述のジエチルカーボネート脱水例と同様な方法でトシルイソシアネートにより水分含有量15ppm以下に調製したDEC−10〜14を用いたこと以外は実施例1と同様な方法で、表2に示す反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−EX1〜5を得た。
Figure 2006176704
(実施例6)
実施例1と同様な反応装置に、1,5ペンタンジオール(以下1,5PDと略す)を811部と表2に示すDEC−10を860部として反応させた以外は実施例1と同様な方法で、水酸基価55.6KOHmg/gの数平均分子量2018の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−5を得た。
(実施例7)
実施例1と同様な反応装置に、1,5PDを811部と表2に示すDEC−14を860部として反応させた以外は実施例1と同様な方法で、水酸基価56.5KOHmg/gの数平均分子量1986の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−6を得た。
(実施例8)
実施例1と同様な反応装置に、1,5PDを385部と、1,6HGを436部と表2に示すDEC−11を813部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価55.3KOHmg/gの数平均分子量2029の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−7を得た。
(実施例9)
実施例1と同様な反応装置に、1,5PDを385部と、1,6HGを436部と、表2に示すDEC−12を813部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価56.1KOHmg/gの数平均分子量2000の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−8を得た。
(実施例10)
実施例1と同様な反応装置に、1,4−ブタンジオール(以下1,4BGと略す)を513部と、1,6HGを288部と、表2に示すDEC−12を902部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価56.7KOHmg/gの数平均分子量1979の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−9を得た。
(実施例11)
実施例1と同様な反応装置に、1,4BGを513部と、1,6HGを288部と、表2に示すDEC−13を902部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価55.1KOHmg/gの数平均分子量2037の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−10を得た。
(実施例12)
実施例1と同様な反応装置に、1,4−シクロへキサンジメタノール(以下CHDMと略す)を869部と、表2に示すDEC−13を594部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価55.6KOHmg/gの数平均分子量2018の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−11を得た。
(実施例13)
実施例1と同様な反応装置に、CHDMを869部と、表2に示すDEC−14を594部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価54.9KOHmg/gの数平均分子量2044の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−12を得た。
(実施例14)
実施例1と同様な反応装置に、1,9ノナンジオール(以下1,9NDと略す)を436部と、2−メチル−1,8−オクタンジオール(以下2MODと略す)を436部と、表2に示すDEC−11を583部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価56.8KOHmg/gの数平均分子量1976の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−13を得た。
(実施例15)
実施例1と同様な反応装置に、1,9NDを436部と、2MODを436部と、表2に示すDEC−13を583部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価56.3KOHmg/gの数平均分子量1993の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−14を得た。
(実施例16)
実施例1と同様な反応装置に、1,6HGを830部と、ジメチルカーボネートの脱水例で示したDMC−1を587部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価55.9KOHmg/gの数平均分子量2008の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−15を得た。
(実施例17)
実施例1と同様な反応装置に、1,6HGを830部と、ジメチルカーボネートの脱水例で示したDMC−2を587部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価56.5KOHmg/gの数平均分子量1986の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−16を得た。
(比較例1〜5)
実施例1と同様な反応装置に、表1に示す水分調製を行った水分含有量の異なるDEC−5〜9を用いたこと以外は実施例1と同様な方法で、表1に示す比較例1〜5のポリカーボネートポリオールPCD−A〜Eを得た。
(比較例6)
実施例1と同様な反応装置に、表2に示す水分含有量の異なったジエチルカーボネートDEC−15〜19を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、表2に示す反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−EX6〜10を得た。
(比較例7)
実施例1と同様な反応装置に、1,5PDを811部と、表2に示すDEC−15を860部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価54.7KOHmg/gの数平均分子量2052のポリカーボネートポリオールPCD−Fを得た。
(比較例8)
実施例1と同様な反応装置に、1,5PDを811部と、表2に示すDEC−19を860部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価55.5KOHmg/gの数平均分子量2022のポリカーボネートポリオールPCD−Gを得た。
(比較例9)
実施例1と同様な反応装置に、1,5PDを385部と、1,6HGを436部と、表2に示すDEC−16を813部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価56.3KOHmg/gの数平均分子量1993のポリカーボネートポリオールPCD−Hを得た。
(比較例10)
実施例1と同様な反応装置に、1,5PDを385部と、1,6HGを436部と、表2に示すDEC−19を813部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価55.6KOHmg/gの数平均分子量2018のポリカーボネートポリオールPCD−Iを得た。
(比較例11)
実施例1と同様な反応装置に、1,4BGを513部と、1,6HGを288部と、表2に示すDEC−17を902部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価56.1KOHmg/gの数平均分子量2000のポリカーボネートポリオールPCD−Jを得た。
(比較例12)
実施例1と同様な反応装置に、1,4BGを513部と、1,6HGを288部と、表2に示すDEC−18を902部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価57.1KOHmg/gの数平均分子量1965のポリカーボネートポリオールPCD−Kを得た。
(比較例13)
実施例1と同様な反応装置に、CHDMを869部と、表2に示すDEC−15を594部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価56.7KOHmg/gの数平均分子量1979のポリカーボネートポリオールPCD−Lを得た。
(比較例14)
実施例1と同様な反応装置に、CHDMを869部と、表2に示すDEC−18を594部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価56.3KOHmg/gの数平均分子量1993のポリカーボネートポリオールPCD−Mを得た。
(比較例15)
実施例1と同様な反応装置に、1,9NDを436部と、2MODを436部と、表2に示すDEC−16を583部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価55.4KOHmg/gの数平均分子量2026のポリカーボネートポリオールPCD−Nを得た。
(比較例16)
実施例1と同様な反応装置に、1,9NDを436部と、2MODを436部と、表2に示すDEC−19を583部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価56.8KOHmg/gの数平均分子量1976のポリカーボネートポリオールPCD−Oを得た。
(比較例17)
実施例1と同様な反応装置に、1,6HGを830部と、ジメチルカーボネートの脱水例で示したDMC−1を587部として反応させた以外は実施例1と同様の方法で、水酸基価54.9KOHmg/gの数平均分子量2044の反応性安定化ポリカーボネートポリオールPCD−Pを得た。
次に、各実施例及び比較例で得たポリカーボネートポリオールを用いて、ジエチルカーボネート中の水分含有量のバラツキがウレタン化反応に寄与しているかどうかを調べた参考例について示す。
(参考例1)
実施例で得たPCD−1を100部、ジメチルホルムアミド300部を攪拌機、温度計、冷却管のついた反応器に仕込み、60℃になるように加熱環絆した。内温が60℃になった時にジフェニルメタンジイソシアネートをイソシアネート基/水酸基のモル比(R値)=0.98に相当する12.3部を加え、途中サンプリングをしながらIR測定機で2250cm-1〜2270cm-1に検出されるNCO検出ピークが消失するまでの時間を測定した。PCD−1の場合の所要時間は47分であった。また、東ソー(株)製GPCにてポリスチレン換算で分子量を測定したところ、分子量100万付近に高分子量ピークは検出されなかった。
(参考例2)
ポリカーボネートポリオールとしてPCD−2を使用する以外は、参考例1と同様にして所要時間を測定した。この所要時間は49分であった。また、東ソー(株)製GPCにてポリスチレン換算で分子量を測定したところ、分子量100万付近に高分子量ピークは検出されなかった。
(参考例3)
ポリカーボネートポリオールとしてPCD−3を使用する以外は、参考例1と同様にして所要時間を測定した。この所要時間は49分であった。また、東ソー(株)製GPCにてポリスチレン換算で分子量を測定したところ、分子量100万付近に高分子量ピークは検出されなかった。
(参考例4)
ポリカーボネートポリオールとしてPCD−4を使用する以外は、参考例1と同様にして所要時間を測定した。この所要時間は51分であった。また、東ソー(株)製GPCにてポリスチレン換算で分子量を測定したところ、分子量100万付近に高分子量ピークは検出されなかった。
(参考例5)
表2に示す水分含有量の異なったジエチルカーボネートDEC10〜14をジエチルカーボネート脱水例と同様な方法でトシルイソシアネートにより水分含有量15ppm以下に調整したジエチルカーボネートを用いて実施例1と同様にポリカーボネートポリオールを合成した。得られたポリカーボネートポリオールPCD−EX1〜5は参考例1と同様に所要時間を測定したところ、平均48.2分、標準偏差2分と安定した反応性であった。
(参考例6〜17)
実施例6〜17で得たポリカーボネートポリオールPCD−5〜16を参考例1と同様の方法で、反応性(分)、分子量100万付近の分子量ピークを評価した。その評価結果を参考例6〜17として表3に示す。
Figure 2006176704
(参考比較例1)
ポリカーボネートポリオールとしてPCD−Aを使用する以外は、参考例1と同様にして所要時間を測定した。この所要時間は62分であった。また、東ソー(株)製GPCにてポリスチレン換算で分子量を測定したところ、分子量100万付近に高分子量ピークは検出されなかった。
(参考比較例2)
ポリカーボネートポリオールとしてPCD−Bを使用する以外は、参考例1と同様にして所要時間を測定した。この所要時間は45分であった。また、東ソー(株)製GPCにてポリスチレン換算で分子量を測定したところ、分子量100万付近に高分子量ピークは検出されなかった。
(参考比較例3)
ポリカーボネートポリオールとしてPCD−Cを使用する以外は、参考例1と同様にして所要時間を測定した。この所要時間は38分であった。また、東ソー(株)製GPCにてポリスチレン換算で分子量を測定したところ、分子量100万付近に高分子量ピークは検出されなかった。
(参考比較例4)
ポリカーボネートポリオールとしてPCD−Dを使用する以外は、参考例1と同様にして所要時間を測定した。この所要時間は21分であった。また、東ソー(株)製GPCにてポリスチレン換算で分子量を測定したところ、分子量100万付近に高分子量ピークが全面積の1%検出された。NCOピーク消滅後のサンプルをメチルエチルケトン(MEK)で希釈を行い、200メッシュのフィルターで濾したところゲル化物を捕捉した。
(参考比較例5)
ポリカーボネートポリオールとしてPCD−9を使用する以外は、参考例1と同様にして所要時間を測定した。この所要時間は16分であった。また、東ソー(株)製GPCにてポリスチレン換算で分子量を測定したところ、分子量100万付近に高分子量ピークが全面積の4%検出された。NCOピーク消滅後のサンプルをMEKで希釈を行い、200メッシュのフィルターで濾したところゲル化物を捕捉した。
(参考比較例6)
表2に示す水分含有量の異なったジエチルカーボネートDEC−15〜19を用いて実施例1と同様にポリカーボネートポリオールを合成した。得られたポリカーボネートポリオールPCD−EX6〜10は参考例1と同様に所要時間を測定したところ、平均34分、標準偏差15分と反応性のバラツキは大きいものであった。
(参考比較例7〜17)
比較例7〜17で得たポリカーボネートポリオールPCD−F〜Pを参考例1と同様の方法で、反応性(分)、分子量100万付近の分子量ピークを評価した。その評価結果を参考比較例6〜17として表4に示す。
Figure 2006176704
上記の参考例1〜5及び参考比較例1〜17を見て分かるように、カーボネート化剤であるジエチルカーボネート中の水分含有量のバラツキがウレタン化反応に大きく寄与していることは明らかである。
(実施例18)
反応安定化ポリカーボネートポリオールPCD−1を717部、1,4−BDを18.5部を混合し、液温を70℃に調製後に60℃に調製したジフェニルメタンジイソシアネートIを231部を加えて、液温が100℃に達するまで高速攪拌・混合し、液温が100℃に到達後、バットに流延し、80℃で12時間反応させた。次に、この反応物を粉砕した後、押出機によりペレット化して、熱可塑性ポリウレタン樹脂を得た。得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂は、東ソー(株)製GPCにてポリスチレン換算で分子量を測定したところ、100万付近に高分子量ピークは検出されず、数平均分子量が55,000で、JIS A硬度が85、引張り強度が42MPaであった。
製品の品質のバラツキを検証するため、さらに、実施例18の熱可塑性ポリウレタン樹脂のサンプル(10試料)を作製した。これらの熱可塑性ポリウレタン樹脂は、東ソー(株)製GPCにてポリスチレン換算で分子量を測定したところ、いずれのサンプルからも100万付近に高分子量ピークは検出されなかった。また、これらのサンプルは、数平均分子量が50,000〜60,000(数平均分子量の平均値55,200、標準偏差1,900)、JIS A硬度が84〜86(平均値85.1、標準偏差0.7)、引張り強度40MPa〜44MPa(平均値41.7、標準偏差1.2)という範囲内の物性を示した。したがって、非常に品質のバラツキが少ない熱可塑性ポリウレタン樹脂を得られたことがわかる。
なお、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態や実施例に限定されるものではない。

Claims (4)

  1. 炭素数4〜20の脂環族又は脂肪族の直鎖又は分岐鎖からなるグリコールと、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネートの中から選ばれた1種類とを反応させる工程を含む反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法であって、
    前記ジアルキルカーボネート、前記ジアリールカーポネート、又は前記アルキレンカーボネートが、水分含有量15ppm以下のものであることを特徴とする反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法。
  2. 前記ジアルキルカーボネート、前記ジアリールカーボネート、又は前記アルキレンカーボネートは、トシルイソシアネートにより脱水処理されたものであることを特徴とする請求項1記載の反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法。
  3. 燐酸エステル類の存在化で加熱処埋する工程をさらに含む請求項1に記載の反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の反応性安定化ポリカーボネートポリオールの製造方法で製造された反応性安定化ポリカーボネートポリオールと、有機ジイソシアネートと、鎖延長剤とを反応せしめて得られた数平均分子量が1万〜20万のポリウレタン樹脂。


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