JP2006170384A - 燃料輸送用の樹脂チューブ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】直管状に成形されて、車体への組付けの際に曲り形状に可撓変形させられた上、固定クランプ48にて車体に組付固定される燃料輸送用の樹脂チューブ14を、外径6mm以下の細径チューブをなす樹脂チューブ本体14Aと、その外周面に実質的に全長に亘って被覆形成された所定肉厚を有する弾性の被クランプ層14Bとで構成する。
【選択図】 図1
Description
この樹脂チューブは、車体側の相手パイプに接続されて燃料輸送用の配管系を構成する。
例えば下記特許文献1にこの種のコネクタが開示されている。図9,図10はこのコネクタの具体的な構成例を示している。
これらの図において200は樹脂チューブであり、202はその樹脂チューブ200を接続すべき相手パイプである。
相手パイプ202には、その外周面に環状に突出する係合凸部(パイプ側係合部)204が形成されている。
コネクタ本体208は、軸方向の一方の側にリテーナ保持部216を有しており、また他方の側に圧入部となるニップル部218を有している。
コネクタ本体208は、このニップル部218を樹脂チューブ200の内部に圧入することによって、かかる樹脂チューブ200と接続される。
尚、ニップル部218には環状溝が形成されていて、そこにOリング222が保持されており、このOリング222によってニップル部218と樹脂チューブ200との間が気密にシールされる。
このリテーナ保持部216には、その前端(図中左端)にリテーナ210との掛止用の掛止部(本体側掛止部)224が設けられている。
一方リテーナ210は、全体として略環状をなす樹脂製の部材であって径方向に弾性変形可能となしてある。
リテーナ210は、この掛止溝226をリテーナ保持部216の掛止部224に掛止させることで、かかるリテーナ保持部216により軸方向に固定状態に保持される。
内周カム面228は、相手パイプ202をリテーナ210内部に軸方向に挿入したとき、係合凸部204と当接してその移動案内をなすとともに、係合凸部204の移動に伴ってリテーナ210をカム作用で全体的に且つ弾性的に拡開運動させ、係合凸部204の通過を許容する。
そして係合凸部204が係合凹部225の位置に到ったところでリテーナ210が全体的に元の形状に復形し、これと同時に係合凸部204が係合凹部225に嵌り合って、それらが軸方向に互いに固定状態となる。
尚リテーナ210の先端部(図中左端部)には操作つまみ231が設けられており、この操作つまみ231に力を加えることによって、リテーナ210を縮径運動させることもできる。
このとき、リテーナ210は相手パイプ202の係合凸部204によって拡開方向に弾性的に押し拡げられ、そして係合凸部204が係合凹部225に到ったところで縮径運動するとともに、係合凸部204が係合凹部225に係合した状態となる。
このとき、リテーナ210は一旦縮径運動した後、掛止溝226が掛止部224の位置に到ったところで拡開運動し、掛止溝226が掛止部224に掛止した状態となる。
尚、図9(A)ではOリング212を2つ用いているが、(B)に示しているようにコンパクト化のためにOリング212を1つだけ用いる場合もある。
この配管系統では、燃料タンク234内の燃料を燃料ポンプ236により一定圧力の下で供給路238を通じて供給し、これをインジェクタ240からエンジンのシリンダ242に向けて噴射し、そして余剰の燃料を返送路244を通じて燃料タンク234へと返送する。
しかしながら成形形状が曲り形状をなす樹脂チューブは、下記特許文献2に示すように直管状の樹脂チューブを拘束型に嵌め込んで形状拘束した上、樹脂チューブ全体を加熱オーブン中に入れて、例えば150〜160℃で20〜30分間加熱して曲げ形状を付与し、しかる後これらをオーブンから取り出して冷却した上、樹脂チューブを拘束型から外すといった手順で製造するなど、工程数が多くなってコスト高となり、また車種が異なるごとに、厳密には配管レイアウトが異なるごとに別種の専用の樹脂チューブが必要となって、これもまたコストを高める要因となっていた。
このフューエルリターンレスシステムでは必要な量の燃料のみを供給するので、図11で示す配管系統と同じ径の樹脂チューブを用いると燃料が滞留し易く、エンジンルーム内の雰囲気により滞留状態の燃料が配管内で気化し、エンジン回転数が不安定になり易くなる。
特に排気量の小さい軽自動車や自動二輪車,自動三輪車,ATV(All Terrain Vehicle)等のいわゆる小型車両において、燃料輸送用の樹脂チューブとしてこのような細径樹脂チューブの使用が検討されている。
このようにすれば、樹脂チューブに要するコストを低減でき、また共通の樹脂チューブを様々な車種や配管レイアウトに対して汎用的に使用することが可能となる。
而して樹脂チューブに傷が付くとそこからの劣化が促進されてしまうといった恐れが生ずる。
従って固定クランプによる樹脂チューブのクランプに際し、そのような傷が付かないようにすることが求められる。
また直管状に成形した樹脂チューブを車体への組付けに際して様々な曲り形状とする場合、その曲り形状に応じて固定クランプによる樹脂チューブのクランプの位置も様々に変化することとなり、従って何れの箇所で樹脂チューブを固定クランプにてクランプするに際しても樹脂チューブに傷が付かないようにすることが求められる。
即ち本発明によれば、樹脂チューブの長手方向の任意の位置を樹脂チューブ本体に傷を付けることなく固定クランプにてクランプすることができ、これにより樹脂チューブを所望の様々な曲り形状に形状付与して、配管組付をなすことができる。
但しこの場合のプロテクタは飛び石からの樹脂チューブの保護、火災時などにおいて樹脂チューブが溶融するのを防ぎ或いは遅らせるなどの目的で設けられているものである。
然るに外径が6mm以下の細径チューブが用いられる小型車両、特に自動二輪車用の燃料輸送用の樹脂チューブについては、そのようなことは特に要求されてはいない。
この目的のため、本発明において被クランプ層の肉厚は0.7〜1.3mmの肉厚となしておくことが望ましい(請求項2)。
肉厚が0.7mm未満であると、樹脂チューブを固定クランプにてクランプしたときに樹脂チューブ本体に対する傷付きを十分に防止することが難しくなる。
樹脂チューブ本体に対する傷付き防止の観点からはその肉厚は最大で1.3mmまであれば十分であり、逆にこれよりも肉厚が厚くなると、樹脂チューブを車体に組み付けるに際してこれを曲り形状に可撓変形させたりクランプによる固定作業等に支障が出る恐れが生ずる。
即ち、外周面にOリング等の環状のシール部材が嵌装された、樹脂チューブへの圧入部となる筒状のニップル部を備えたコネクタを介して樹脂チューブを相手パイプに接続する場合、車体への組付けに先立って予め樹脂チューブとコネクタとを圧入により連結しておくことが行われる。
その際ニップル部の圧入のために、樹脂チューブ本体の端部をフレア状に拡開加工(フレア加工)することが行われるが、このときに予め末端まで樹脂チューブ本体を被覆した被クランプ層が、フレア加工後にフレア部の端面に覆い被さった状態となってしまい、コネクタのニップル部を樹脂チューブの内部に圧入したときに、フレア部の端面に被った被クランプ層がニップル部の外周面に嵌装してあるOリング等のシール部材を傷付けてしまったり、或いはまたニップル部を樹脂チューブ内部に圧入したときに、フレア部の端面に被った被クランプ層をシール部材が噛み込むような形でニップル部が樹脂チューブ内部に圧入されてしまい、コネクタにおけるニップル部と樹脂チューブとの間のシール性が低下してしまう恐れを生ずる。
図4は、エンジンと燃料タンクとの間に配管されて燃料輸送用に用いられるコネクタ付きの樹脂チューブを車体への組付前の状態で表したもので、図中14は樹脂チューブを、16はその両端部に装着されたコネクタ(クイックコネクタ)を示している。
ここで樹脂チューブ14は組付前の状態で直管形状を成している。即ち樹脂チューブ14は直管形状に成形されている。
この樹脂チューブ本体14Aの外周面には、ゴム(ここではEPDM)から成る被クランプ層14Bが、可撓変形が可能な有効チューブ長L全長に亘って、詳しくは両端の一部を除いた全長に亘って樹脂チューブ本体14Aを被覆する状態に積層形成されている。
但しこの実施形態では、コネクタ16における後述のニップル部28の圧入されている部分、即ちニップル部28に対して外嵌されている部分にも被クランプ層14Bが積層形成されている。
具体的には、樹脂チューブ本体14Aの両端から距離δの部分を除き、樹脂チューブ本体14Aが被クランプ層14Bにて全体的に被覆されている。この実施形態ではδ=2〜8mmである。
ここで被クランプ層14Bは、後述する固定クランプ48によるクランプ用として設けられているものである。
ここで内層14A-1は肉厚が0.2mmであり、また外層14A-2は肉厚が0.55mm、更に被クランプ層14Bは肉厚が1.0mmである。
また樹脂チューブ14は、有効チューブ長Lが200〜1500mmとされている。
但しこれらの積層構造,材質,肉厚や長さ等の寸法はあくまで一例であって、それらを様々に変更することができることは言うまでもない。
本実施形態において、コネクタ16(シール部材を除く)はポリアミドにて構成されている。
但しその材質は耐熱性,耐燃料透過性,耐ガソリン性(ガソリンに接しても膨潤し難い)やコストの点から適宜選択可能である。
またPOMは耐熱性と耐燃料透過性,耐ガソリン性を確保しながら、比較的安価である。
また上記材料に強度向上のためガラス繊維を配合したり、耐燃料透過性向上のためクレー等のナノコンポジット材を配合して用いることもできる。
リテーナ保持部26は、リテーナ20を内部に収容状態で保持する部分で、コネクタ本体18はこのリテーナ20を介して相手パイプ10と接続される。
このリテーナ保持部26には、開口窓30とリテーナ20との掛止用の前端(図中左端)の掛止部(本体側掛止部)32とが設けられている。
このリテーナ20には、相手パイプ10の係合凸部12を径方向内方から係合させてこれを軸方向に固定する係合凹部(リテーナ側係合部)34と、コネクタ本体18側の上記掛止部32に対し、同じく径方向内方から嵌り合って軸方向に掛止する掛止溝(リテーナ側掛止部)36とが設けられている。
リテーナ20は、この掛止溝36をリテーナ保持部26の掛止部32に掛止させることで、かかるリテーナ保持部26により軸方向に固定状態に保持される。
内周カム面38は、相手パイプ10をリテーナ20内部に軸方向に挿入したとき、係合凸部12と当接してその移動案内をなすとともに、係合凸部12の移動に伴ってリテーナ20をカム作用で全体的に且つ弾性的に拡開運動させ、係合凸部12の通過を許容する。
そして係合凸部12が係合凹部34の位置に到ったところでリテーナ20が全体的に元の形状に復形し、これと同時に係合凸部12が係合凹部34に嵌り合って、それらが軸方向に互いに固定状態となる。
尚リテーナ20の先端部(図中左端部)には操作つまみ42が設けられており、この操作つまみ42に力を加えることによってリテーナ20を縮径運動させることもできる。
このとき、リテーナ20は相手パイプ10の係合凸部12によって拡開方向に弾性的に押し拡げられ、そして係合凸部12が係合凹部34に到ったところで縮径運動するとともに、係合凸部12が係合凹部34に係合した状態となる。
尚、リテーナ20を予め相手パイプ10に装着しておいて、その状態で相手パイプ10をリテーナ20ごとコネクタ本体18に挿入するようにしても良い。
このとき、リテーナ20は一旦縮径運動した後、掛止溝36が掛止部32の位置に到ったところで拡開運動し、掛止溝36が掛止部32に掛止した状態となる。
コネクタ本体18は、このニップル部28を樹脂チューブ14の一端からその内部に圧入することによって、かかる樹脂チューブ14に抜止状態に接続される。
図示のようにここでは樹脂チューブ14が、その可撓性に基づいて長手方向の複数箇所(ここでは3箇所)で円弧形状に曲げられており、そしてそれら複数箇所の曲げ部50-1,50-2,50-3のそれぞれの両側の部位が、固定クランプ48にて保持され、車体に留め付けられている。
これによりコネクタ16付きの樹脂チューブ14全体に予定された曲り形状が付与され、その状態で樹脂チューブ14がコネクタ16において相手パイプ10と接続状態に車体に組み付けられている。
即ち直管形状に成形された樹脂チューブ14が、固定クランプ48による保持拘束作用によって、所望の曲り形状で車体に配管され、組み付けられている。
図5において、固定クランプ48は弾性を有する樹脂製のもので、全体として環状を成し、周方向所定個所に開口52を有する略C字状を成す保持部54と、固定部56とを有している。
また固定部56は、車体側のパネルの固定孔57への挿入部59と、パネルを内外両側から挟持する一対の挟持部61A,61Bを有している。
また固定クランプ48を固定孔57において車体に留め付けることで、樹脂チューブ14を車体に固定状態とする。
そして車体への組付前においてその両端部にコネクタ16が装着され、そのコネクタ16付きの状態で車体への組付けがなされる。
このフレア加工は、コネクタ16におけるニップル部28を樹脂チューブ14、詳しくは樹脂チューブ本体14A内に圧入する際、その圧入性を良好とするためである。
このとき、図8の比較例図に示しているように樹脂チューブ本体14Aの末端に到るまで被クランプ層14Bが被覆形成されていると((I)参照)、(II)に示しているように加工治具66を樹脂チューブ本体14Aの内部に挿入してフレア加工すると、フレア部68の軸方向の加圧による収縮等を伴なって被クランプ層14Bの端部が、(III)の部分拡大図に示しているようにフレア部68の端面に被った状態となり(被り部70が形成されてしまう)、場合によってその被り部70の先端がフレア部68の末端の内面よりも軸心側に突き出した状態となる。
そこで本実施形態では、樹脂チューブ14に対してコネクタ16を圧入して装着するに先立ち、図7(I)に示しているように一旦樹脂チューブ本体14Aの一端から他端に到る全長に亘って被クランプ層14Bを被覆形成した後、(II)に示しているように被クランプ層14Bの末端部を所定長さに亘って切断除去しておく。
尚、相対回転させるためには樹脂チューブ14と切断刃78の何れかを回転させても良い。長い樹脂チューブ14を回転させる取り回しを考慮すると切断刃78を回転させた方が、どのような樹脂チューブの長さでも対応できるのでより好ましい。
これにより、(III)に示しているように樹脂チューブ本体14Aを、その端部において所定長さδに亘り露出させておく。
この状態で(V)に示しているようにコネクタ16のニップル部28を樹脂チューブ本体14Aに圧入し、樹脂チューブ14の端部にコネクタ16を装着する。
このとき、被クランプ層14Bの端部がフレア部68の端面に被った状態となっていないため、即ち図8(III)に示すような被り部70が形成されていないため、ニップル部28の圧入時にOリング72が傷付くといったことがなく、また被り部70をOリング72等が噛み込んでしまってシール性が低下するといった問題も生じない。
即ち本実施形態によれば、長手方向の任意の位置で固定クランプ48にて樹脂チューブ14を、樹脂チューブ本体14Aに傷を付けることなくクランプすることができ、これにより樹脂チューブ14を所望の様々な曲り形状に形状付与して、配管組付をなすことができる。
14 樹脂チューブ
14A 樹脂チューブ本体
14B 被クランプ層
16 コネクタ
28 ニップル部
48 固定クランプ
72 Oリング
76 切断ガード
78 切断刃
Claims (5)
- 直管状に成形されて、車体への組付けの際に曲り形状に可撓変形させられた上、固定クランプにて該車体に組付固定され、エンジンと燃料タンクとの間に配管されて燃料を輸送する樹脂チューブであって
樹脂チューブ本体が外径6mm以下の細径チューブをなし、その外周面に可撓変形が可能な有効チューブ長全長に亘って前記固定クランプにてクランプされる、所定肉厚を有する弾性の被クランプ層が該樹脂チューブ本体を被覆する状態に積層形成されていることを特徴とする燃料輸送用の樹脂チューブ。 - 請求項1において、前記被クランプ層が0.7〜1.3mmの肉厚で形成されていることを特徴とする燃料輸送用の樹脂チューブ。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記樹脂チューブが、外周面にOリング等の環状のシール部材が嵌装された、該樹脂チューブへの圧入部となる筒状のニップル部を備えたコネクタを介して相手パイプに接続されるものであって、前記被クランプ層が前記樹脂チューブ本体の両端より所定長さに亘り除去されて、該樹脂チューブ本体の両端部が露出せしめられていることを特徴とする燃料輸送用の樹脂チューブ。
- 請求項3において、前記被クランプ層が前記両端より2〜8mmの長さに亘り除去されていることを特徴とする燃料輸送用の樹脂チューブ。
- 請求項3,4の何れかの樹脂チューブの製造方法であって、前記樹脂チューブ本体の一端から他端に到る全長に亘り該樹脂チューブ本体を被覆する状態に前記被クランプ層を形成した後、それら樹脂チューブ本体と被クランプ層との間に、筒状をなす切断ガードを長手方向両端から挿入し、該切断ガードにて該樹脂チューブ本体を保護しつつ、該被クランプ層の外周面に切断刃を当ててそれら切断刃と被クランプ層との相対回転により該被クランプ層を環状に切断し該樹脂チューブ本体から除去することを特徴とする燃料輸送用の樹脂チューブの製造方法。
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