JP2006153519A - 加速度センサ - Google Patents

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Yasuji Konishi
保司 小西
Daisuke Wakabayashi
大介 若林
Hitoshi Yoshida
仁 吉田
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Abstract

【課題】加速度センサチップが加速度以外の要因による応力の影響を受けにくく且つ加速度センサチップの小型化が可能な加速度センサを提供する。
【解決手段】加速度センサチップ1と、加速度センサチップ1の一表面に対向配置され重り部12の過度な変位を規制する平板状のストッパ2とを備えている。ストッパ2は、加速度センサチップ1のフレーム部11との対向面に、加速度センサチップ1の重り部12のコア部12aとストッパ2との間の規定のギャップ長に基づいて突出寸法を設定した複数の凸部21であってそれぞれフレーム部11に接着剤により固着される複数の凸部21が突設され、各凸部21それぞれに、上記接着剤を溜める接着剤溜め用凹部22が形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、加速度センサに関し、特に耐衝撃性に優れた加速度センサに関するものである。
従来から、加速度センサとして、図9に示すように、加速度センサチップ1’と、加速度センサチップ1’のフレーム部11’の一表面側(図9における上面側)の4隅に接着剤により固着され重り部12’の過度な変位を制限する矩形板状のガラス基板からなるストッパ2’と、一面が開放された箱状であって内底面に加速度センサチップ1’のフレーム部11’が固着されたパッケージ3’と、パッケージ3’の上記一面を閉塞する矩形板状のパッケージ蓋4’とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ここにおいて、加速度センサチップ1’は、図10に示すように、矩形枠状のフレーム部11’の開口窓内に配置される重り部12’が一表面側において可撓性を有する4つの撓み部13’を介してフレーム部11’に揺動自在に支持されている。この加速度センサチップ1’は、互いに直交する3方向の加速度を検出可能な3軸加速度センサチップであって、図9および図10それぞれの左側に示すように、加速度センサチップ1’の厚み方向に直交する平面において矩形枠状のフレーム部11’の一辺に沿った方向をx軸方向、この一辺に直交する辺に沿った方向をy軸方向、加速度センサチップ1’の厚み方向をz軸方向と規定すれば、重り部12’の変位により撓み部13’に生じる歪みによって抵抗値の変化するピエゾ抵抗Rが各撓み部13’の適宜位置に形成され、これらのピエゾ抵抗Rが各軸それぞれの加速度を検出するブリッジ回路を構成するように図示しない配線(拡散層配線、金属配線など)によって接続されている。なお、上述の加速度センサチップ1’は、1枚のSOI(Silicon On Insulator)ウェハに多数形成した後で個々の加速度センサチップ1’に分割されている。
上述の加速度センサでは、z軸方向の正方向への重り部12’の過度な変位を規制するストッパ2’を備えているので、重り部12’が過度に変位することがなく、撓み部13’などが破損するのを防止することができる。つまり、上述の加速度センサでは、ストッパ2’を設けたことにより、ストッパ2’を設けていない場合に比べて耐衝撃性を高めることができるという利点がある。
ここにおいて、加速度センサに加速度がかかっていない状態におけるストッパ2’と加速度センサチップ1’の重り部12’との間のギャップ長は5〜10μmの範囲で設定されており、上述の加速度センサチップ1’のフレーム部11’の4隅それぞれに所定深さ寸法の凹部を設け、この所定深さ寸法の設計値と上記ギャップ長の設計値との合計値を直径とする球状のスペーサを混合した接着剤を上記凹部に塗布してストッパ2’とフレーム部11’における凹部の形成部位とを固着している。ここで、上記特許文献1には、一例として、所定深さの設計値を10μm、上記ギャップ長の設計値を5μmとした場合に、球状のスペーサの直径を15μmとすることが例示されている。
なお、上述のようにストッパ2’を接着剤により加速度センサチップ1’のフレーム部11’に固着した加速度センサでは、ガラス基板を加工して形成したストッパを加速度センサチップの一表面側へ陽極接合により固着したものに比べて、ガラスとシリコンとの熱膨張係数差に起因して撓み部13’に生じる熱応力を低減でき、ブリッジ回路のオフセット電圧の温度依存性を小さくできるという利点がある。
特開2004−233072号公報(段落〔0025〕〜段落〔0027〕、および図1〜図4)
ところで、上述の加速度センサチップ1’は3軸加速度センサチップであって各軸ごとにブリッジ回路を設ける必要があり、1軸加速度センサチップや2軸加速度センサチップなどに比べて配線が複雑になるので、フレーム部11’にも配線の一部を引き回す必要がある。
しかしながら、上記特許文献1に開示された加速度センサでは、加速度センサチップ1’とストッパ2’とを球状のスペーサが混合された接着剤により固着するために、加速度センサチップ1’のフレーム部11’の4隅に上記SOIウェハの活性層の厚さ程度の凹部を形成する必要があり、上記配線のパターン設計の制約が多くなるので、加速度センサチップ1’のより一層の小型化が難しかった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、加速度センサチップが加速度以外の要因による応力の影響を受けにくく且つ加速度センサチップの小型化が可能な加速度センサを提供することにある。
請求項1の発明は、枠状のフレーム部の開口窓内に配置される重り部が一表面側において可撓性を有する撓み部を介してフレーム部に揺動自在に支持され撓み部にゲージ抵抗が設けられた加速度センサチップと、加速度センサチップの前記一表面に対向配置され重り部の過度な変位を規制する平板状のストッパとを備え、ストッパは、加速度センサチップのフレーム部との対向面に、加速度センサチップの重り部とストッパとの間の規定のギャップ長に基づいて突出寸法を設定した複数の凸部であってそれぞれフレーム部に接着剤により固着される複数の凸部が突設され、各凸部それぞれに、前記接着剤を溜める接着剤溜め用凹部が形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、ストッパにおける加速度センサチップのフレーム部との対向面に、加速度センサチップの重り部とストッパとの間の規定のギャップ長に基づいて突出寸法を設定した複数の凸部であってそれぞれフレーム部に接着剤により固着される複数の凸部が突設されているので、加速度センサチップがストッパと加速度センサチップとの熱膨張係数差による熱応力やストッパを固着する接着剤の収縮による応力などの影響を受けにくく、しかも、ストッパに突設された複数の凸部の突出寸法によりストッパと加速度センサチップの重り部との間のギャップ長が決まるから、加速度センサチップにストッパを固着するための特別な構造を設ける必要がなく、従来のように加速度センサチップのフレーム部に複数の凹部を形成する必要がある場合に比べて配線のパターン設計の自由度が高くなって加速度センサチップの小型化が可能となり、その上、各凸部それぞれに接着剤を溜める接着剤溜め用凹部が形成されているので、接着剤の広がりを抑制でき、接着剤によるストッパと加速度センサチップとの安定した接着強度を得ることができるとともに、上記ギャップ長の精度を高めることが可能となる。
請求項2の発明は、枠状のフレーム部の開口窓内に配置される重り部が一表面側において可撓性を有する撓み部を介してフレーム部に揺動自在に支持され撓み部にゲージ抵抗が設けられた加速度センサチップと、加速度センサチップの前記一表面に対向配置され重り部の過度な変位を規制する平板状のストッパとを備え、ストッパは、加速度センサチップのフレーム部との対向面に、所定深さの凹部が複数形成され、各凹部それぞれの形成部位がフレーム部に接着剤により固着されてなることを特徴とする。
この発明によれば、ストッパにおける加速度センサチップのフレーム部との対向面に、所定深さの凹部が形成され、各凹部それぞれの形成部位がフレーム部に接着剤により固着されているので、加速度センサチップがストッパと加速度センサチップとの熱膨張係数差による熱応力やストッパを固着する接着剤の収縮による応力などの影響を受けにくく、しかも、加速度センサチップにストッパを固着するための特別な構造を設ける必要がなく、従来のように加速度センサチップのフレーム部に複数の凹部を形成する必要がある場合に比べて配線のパターン設計の自由度が高くなって加速度センサチップの小型化が可能となる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記ストッパは、シリコン基板からなることを特徴とする。
この発明によれば、前記ストッパとしてガラス基板を採用する場合に比べて、所望の形状への加工が容易で低コスト化を図れる。
請求項4の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記ストッパは、前記加速度センサチップの出力信号を信号処理するICチップからなることを特徴とする。
この発明によれば、前記加速度センサチップの出力信号を信号処理するICチップを、前記加速度センサチップを収納するパッケージと同一のパッケージに収納することができ、前記加速度センサチップを収納するパッケージとは別のパッケージにICチップを収納する場合に比べて、部品点数の削減を図れるとともに、ICチップを付加した加速度センサ全体としての実装面積を大幅に低減することができる。また、ICチップをパッケージに実装する必要がないので、ICチップにパッケージからの応力が伝わりにくくなるという利点がある。
請求項1,2の発明では、加速度センサチップが加速度以外の要因による応力の影響を受けにくく且つ加速度センサチップの小型化が可能になるという効果がある。
(実施形態1)
図1に示す本実施形態の加速度センサについて説明するにあたって、まず、加速度センサチップ1について図2を参照しながら説明する。
加速度センサチップ1は、図2(a),(b)に示すように、枠状(本実施形態では、矩形枠状)のフレーム部11を備え、フレーム部11の矩形状の開口窓内に配置される重り部12が一表面(図2(b)における上面)側において可撓性を有する4つの短冊状の撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されている。ここにおいて、加速度センサチップ1は、シリコン基板からなる支持基板上のシリコン酸化膜からなる絶縁層(埋込酸化膜)上にn形のシリコン層(活性層)を有するSOIウェハを加工することにより形成してあり、フレーム部11は、SOIウェハの支持基板、絶縁層、シリコン層それぞれを利用して形成してある。これに対して、撓み部13は、SOIウェハにおけるシリコン層を利用して形成してあり、フレーム部11よりも薄肉となっている。なお、SOIウェハについては、支持基板の厚さを400〜600μm程度、絶縁層の厚さを0.3〜1.5μm程度、シリコン層の厚さを4〜6μm程度に設定してあるが、これらの数値は特に限定するものではない。
重り部12は、上述の4つの撓み部13を介してフレーム部11に支持された直方体状のコア部12aと、加速度センサチップ1の上記一表面側から見てコア部12aの四隅それぞれに連続一体に連結された直方体状の4つの付随部12bとを有している。言い換えれば、重り部12は、フレーム部11の内側面に一端部が連結された各撓み部13の他端部が外側面に連結されたコア部12aと、コア部12aと一体に形成されコア部12aとフレーム部11との間の空間に配置される4つの付随部12bとを有している。つまり、各付随部12bは、加速度センサチップ1の上記一表面側から見て、フレーム部11とコア部12aと互いに直交する方向に延長された2つの撓み部13,13とで囲まれる空間に配置されており、各付随部12bそれぞれとフレーム部11との間にはスリット14が形成され、撓み部13を挟んで隣り合う付随部12b間の間隔が撓み部13の幅寸法よりも長くなっている。ここにおいて、コア部12aは、SOIウェハの支持基板、絶縁層、シリコン層それぞれを利用して形成し、各付随部12bは、SOIウェハの支持基板を利用して形成してある。しかして、加速度センサチップ1の上記一表面側において各付随部12bの表面は、コア部12aの表面を含む平面から加速度センサチップ1の他表面(図2(b)における下面)側へ離間して位置している。
また、重り部12のコア部12aおよび各付随部12bは、支持基板を利用して形成されている部分の厚さがフレーム部11において支持基板を利用して形成されている部分の厚さに比べて、加速度センサチップ1の厚み方向(図2(b)における上下方向)への重り部12の許容変位量分だけ薄くなっている。したがって、加速度センサチップ1のフレーム部11を後述のパッケージ3(図1参照)の内底面に固着したときに、加速度センサチップ1の上記他表面側には加速度センサチップ1の厚み方向への重り部12の変位を可能とする隙間が形成される。
ところで、図2(a),(b)それぞれの左側に示したように、加速度センサチップ1の厚み方向に直交する平面において矩形枠状のフレーム部11の一辺に沿った方向をx軸方向、この一辺に直交する辺に沿った方向をy軸方向、加速度センサチップ1の厚み方向をz軸方向と規定すれば、重り部12は、x軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13と、y軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13とを介してフレーム部11に支持されていることになる。ここで、加速度センサチップ1は、x軸方向を長手方向とする2つの撓み部13,13におけるコア部12a近傍にx軸方向の加速度を検出するためのピエゾ抵抗(図示せず)が2つずつ形成され、y軸方向を長手方向とする2つの撓み部13,13におけるコア部12a近傍にy軸方向の加速度を検出するためのピエゾ抵抗(図示せず)が2つずつ形成され、4つの撓み部13それぞれの長手方向におけるフレーム部11近傍にz軸方向の加速度を検出するためのピエゾ抵抗(図示せず)が1つずつ形成されており、各軸方向ごとにそれぞれ4つのピエゾ抵抗がブリッジ回路を構成するように配線(拡散層配線、金属配線など)を介して接続されている。ここに、加速度センサチップ1の上記一表面側には、シリコン酸化膜からなる保護膜(図示せず)が形成されており、ブリッジ回路の各端子となるパッド16(図1(b)参照)がフレーム部11に対応する部位で加速度センサチップ1の上記一表面側に設けられている。
したがって、加速度センサチップ1に加速度が作用すると、加速度の方向および大きさに応じて重り部12がフレーム部11に対して相対的に変位し、結果的に撓み部13が撓んでピエゾ抵抗の抵抗値が変化することになる。つまり、ピエゾ抵抗の抵抗値の変化を検出することにより加速度センサチップ1に作用したx軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれの加速度を検出することができる。要するに、各ブリッジ回路の対角位置の一方の端子間に適宜の検出用電源を接続するとともに対角位置の他方の端子間の電圧を検出し、適宜の補正を加えれば、重り部12に作用するx軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれの加速度に比例する電圧を得ることができる。本実施形態では、各ピエゾ抵抗それぞれが、フレーム部11に対する重り部12の変位により撓み部13に生じるひずみによって抵抗率の変化するゲージ抵抗を構成している。
本実施形態の加速度センサは、図1(a),(b)に示すように、上述の加速度センサチップ1と、一面が開放された箱状であって加速度センサチップ1が収納され加速度センサチップ1のフレーム部11が固着されたパッケージ3と、パッケージ3の上記一面を閉塞する矩形板状のパッケージ蓋4と、パッケージ3内で加速度センサチップ1の上記一表面に対向配置され重り部12の過度な変位を規制する平板状(本実施形態では、矩形板状)のガラス基板からなるストッパ2とを備えている。なお、パッケージ3の外周形状は矩形状であり、パッケージ蓋4は、パッケージ3に対して接着剤を用いて気密的に封着されている。
パッケージ3は、内底面3aが加速度センサチップ1の固定面となっており、加速度センサチップ1のフレーム部11の4隅(4つの角部)が接着剤(例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの弾性を有する接着剤)により固定面3aに固着されている(図1(a),(b)中の5は、フレーム部11とパッケージ3とを接着した接着剤からなる接着部を示している)。すなわち、加速度センサチップ1は、フレーム部11の4つの角部のみをパッケージ3に接着しているので、フレーム部11を全周に亙ってパッケージ3に接着する場合に比べて、パッケージ3から加速度センサチップ1への応力が撓み部3に作用しにくく安定した精度の高い加速度測定が可能となる。
また、パッケージ3は、加速度センサチップ1の固定面3aにおいて加速度センサチップ1と重複する領域とは異なる部位から突出する矩形枠状の突台部3bを備えており、突台部3bの先端面に加速度センサチップ1の各パッド16それぞれとボンディングワイヤWを介して電気的に接続される複数の端子パターン36が露出している。なお、各端子パターン36はパッケージ3の外部に露出した電極部と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、パッケージ3を、多層積層型セラミックパッケージ(積層セラミックパッケージ)により構成してあり、積層する複数枚(図示例では、4枚)のシート31〜34のうちパッケージ3の底壁に対応するシート31上に積層する1枚のシート32の厚み寸法を突台部3bの突出寸法に設定してある。
ところで、加速度センサチップ1は、矩形枠状のフレーム部11の4辺のうちの2辺のみに上述のパッド16を設けてあり、ストッパ2は、加速度センサチップ1のフレーム部11に固着した状態でフレーム部11に設けられた各パッド16が露出するように外周形状を設計してある。具体的には、加速度センサチップ1の外周形状が正方形状であり、ストッパ2の外周形状は、長方形状の形状で、長辺の長さを加速度センサチップ1の一辺の長さに一致するように設定し、短辺の長さを加速度センサチップ1の一辺の長さよりも短く設定してある。したがって、ストッパ2を加速度センサチップ1に固着した後で、加速度センサチップ1の各パッド16とパッケージ3の各端子パターン36とをそれぞれボンディングワイヤWを介して接続することができる。
また、ストッパ2は、加速度センサチップ1のフレーム部11との対向面(図1(a),(c)における下面)に、加速度センサチップ1の重り部12のコア部12aとストッパ2との間の規定のギャップ長h1に基づいて突出寸法を設定した複数の凸部21であってそれぞれフレーム部11に接着剤(例えば、シリコーン樹脂のようなシリコーン系樹脂など)により固着される複数(図示例では2つ)の凸部21が突設されている。したがって、ストッパ2の各凸部21それぞれと加速度センサチップ1のフレーム部11との間には、両者を接着する接着剤からなる接着部6(図1(a)参照)が介在している。ここで、ストッパ2の各凸部21は、フレーム部11においてパッド16を設けていない2辺それぞれに重複する部位に形成されている。なお、上述の規定のギャップ長h1は、例えば、10μm〜20μm程度の範囲内で適宜設定すればよい。
さらに、ストッパ2は、図1(c)に示すように、各凸部21それぞれの先端面(図1(c)における下面)に、ストッパ2と加速度センサチップ1とを接着剤により固着する際に余分な接着剤を溜める複数の接着剤溜め用凹部22が形成されている(図示例では、複数の接着剤溜め用凹部21が、各凸部21ごとに両凸部21の並設方向に離間して形成されている)。なお、上述の配線は、加速度センサチップ1のフレーム部11においてストッパ2の凸部21に重複する部位では拡散層配線により構成してある。
しかして、本実施形態の加速度センサでは、ストッパ2における加速度センサチップ1のフレーム部11との対向面に、加速度センサチップ1の重り部12のコア部12aとストッパ2との間の規定のギャップ長に基づいて突出寸法を設定した複数の凸部21であってフレーム部11に接着剤により固着される複数の凸部21が突設されているので、加速度センサチップ1がストッパ2と加速度センサチップ1との熱膨張係数差(本実施形態では、シリコンとガラスとの熱膨張係数差)による熱応力やストッパ2を固着する接着剤の収縮による応力などの影響を受けにくい。しかも、本実施形態の加速度センサでは、ストッパ2に突設された複数の凸部21の突出寸法によりストッパ2と加速度センサチップ1の重り部12のコア部12aとの間のギャップ長h1が決まるから、加速度センサチップ1とストッパ2とを接着剤により固着するための特別な構造を加速度センサチップ1に設ける必要がなく、図9および図10に示した従来の加速度センサチップ1’のようにフレーム部11’に複数の凹部を形成する必要がある場合に比べて配線のパターン設計の自由度が高くなって、加速度センサチップ1の小型化が可能となる。
その上、本実施形態の加速度センサでは、各凸部21それぞれに接着剤を溜める接着剤溜め用凹部22が形成されているので、接着剤の広がりを抑制でき、接着剤によるストッパ2と加速度センサチップ1との安定した接着強度を得ることができるとともに、上記ギャップ長h1の精度を高めることが可能となる。また、余分な接着剤が重り部12とフレーム部11との間のスリット14に流れ込むのを防止することができる。
ところで、ストッパ2の各凸部21における接着剤溜め用凹部22の数や形成位置は特に限定するものではなく、例えば、図3(a)に示すように各凸部21ごとに1つの接着剤溜め用凹部22を形成してもよいし、図3(b)に示すように各凸部21の幅方向の両側に接着剤溜め用凹部22を形成してもよい。また、接着剤溜め用凹部22の断面形状も特に限定するものではなく、例えば、図4に示すように、断面V字状の接着剤溜め用凹部22を複数形成してもよい。ここで、ストッパ2の凸部21と加速度センサチップ1のフレーム部11とを固着する接着剤として球状のスペーサ7(図4参照)を混合させた接着剤を用いる場合には、スペーサ7の直径を接着剤溜め用凹部22の開口幅よりも大きく設定しておくことにより、接着剤溜め用凹部22の内面とフレーム部11との間にスペーサ7を安定して介在させることが可能となる。なお、各凸部21に断面V字状の接着剤溜め用凹部22を多数形成するには、例えば、所謂なし地加工を行えばよい。
また、ストッパ2における凸部21の形状や数は特に限定するものではなく、図5(a)に示すように、ストッパ2における加速度センサチップ1との対向面における4隅に突設するようにしてもよいし、図5(b)に示すように、ストッパ2に加速度センサチップ1のパッド16を露出させるための2つの切欠部を設けて各切欠部それぞれの両側の部位2aにおいて凸部21を突設するようにしてもよい。
(実施形態2)
本実施形態の加速度センサの基本構成は実施形態1と略同じであって、図6(a),(b),(c)に示すように、ストッパ2における加速度センサチップ1のフレーム部11との対向面に、所定深さの凹部23が複数形成され(なお、各凹部23は図6(c)に示すように、下面および一側面が開放されている)、各凹部23それぞれの形成部位がフレーム部11に接着剤(例えば、シリコーン樹脂のようなシリコーン系樹脂など)により固着されている点が相違する。したがって、本実施形態では、ストッパ2の凹部23それぞれと加速度センサチップ1のフレーム部11との間に、両者を接着する接着剤からなる接着部6(図6(a)参照)が介在している。ここにおいて、ストッパ2の外周形状は実施形態1と同じであり、ストッパ2における凹部23の形成部位は実施形態1にて説明した凸部21の形成部位と同じである。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
しかして、本実施形態の加速度センサでは、ストッパ2における加速度センサチップ1のフレーム部11との対向面に、所定深さの凹部23が形成され、各凹部23それぞれの形成部位がフレーム部11に接着剤により固着されているので、加速度センサチップ1がストッパ2と加速度センサチップ1との熱膨張係数差(本実施形態では、シリコンとガラスとの熱膨張係数差)による熱応力やストッパ2を固着する接着剤の収縮による応力などの影響を受けにくい。しかも、本実施形態の加速度センサでは、加速度センサチップ1とストッパ2とを接着剤により固着するための特別な構造を加速度センサチップ1に設ける必要がなく、図9および図10に示した従来の加速度センサチップ1’のようにフレーム部11’に複数の凹部を形成する必要がある場合に比べて配線のパターン設計の自由度が高くなって、加速度センサチップ1の小型化が可能となる。
ところで、ストッパ2に形成する凹部23の断面形状は特に限定するものではなく、例えば、図7に示すように、断面V字状の凹部23を複数形成してもよい。ここで、ストッパ2と加速度センサチップ1のフレーム部11とを固着する接着剤として球状のスペーサ8(図7参照)を混合させた接着剤を用いる場合には、スペーサ8の直径を凹部23の開口幅よりも大きく設定しておくことにより、凹部23の内面とフレーム部11との間にスペーサ8を安定して介在させることが可能となる。なお、ストッパ2に断面V字状の凹部23を多数形成するには、例えば、所謂なし地加工を行えばよい。
なお、実施形態1,2では、ストッパ2をガラス基板により構成しているが、シリコン基板により構成してもよく、ストッパ2としてシリコン基板を採用する場合には、ストッパ2としてガラス基板を採用する場合に比べて、所望の形状への加工が容易で低コスト化を図れる。
(実施形態3)
本実施形態の加速度センサの基本構成は実施形態1と略同じであって、図8に示すように、ストッパ2が、加速度センサチップ1の出力信号(出力電圧)を信号処理するICチップ9により構成されている点、ストッパ2の長手方向の寸法が加速度センサチップ1の外周形状の一辺の長さ寸法よりも大きくなっている点が相違する。ここにおいて、ICチップ9の主表面(加速度センサチップ1との対向面とは反対側の面)側には多数のパッド96が設けられており、これらのパッド96は、加速度センサチップ1の出力用のパッド16(図8における下側のパッド16)や、パッケージ3の突台部3bの先端面に露出した端子パターン37と、ボンディングワイヤWを介して接続されている。ここで、各端子パターン37は、パッケージ3の外部に露出した電極部と電気的に接続されている。図8における上側のパッド16は、加速度センサチップ1の入力用のパッド16であり、実施形態1と同様にボンディングワイヤWを介して端子パターン36と接続されている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
ICチップ9は、加速度センサチップ1の出力信号を増幅する増幅回路、出力信号のオフセット(オフセット電圧)を調整するオフセット調整回路、出力信号の温度補償を行う温度補償回路などが集積化されたASIC(Application Specific IC)であり、シリコンウェハを用いて形成してある。
しかして、本実施形態の加速度センサでは、加速度センサチップ1の出力信号を信号処理するICチップ9を、加速度センサチップ1を収納するパッケージ3と同一のパッケージ3に収納することができ、加速度センサチップ1を収納するパッケージとは別のパッケージにICチップ9を収納する場合に比べて、部品点数の削減を図れるとともに、ICチップ9を付加した加速度センサ全体としての実装面積を大幅に低減することができる。また、ICチップ9をパッケージ3に実装する必要がないので、ICチップ9にパッケージ3からの応力が伝わりにくくなる。
ところで、本実施形態では、ストッパ2における加速度センサチップ1のフレーム部11との対向面に実施形態1と同様の凸部21を突設してあるが、ストッパ2に凸部21を突設する代わりに、実施形態2と同様の凹部23をストッパ2に形成してもよい。
なお、上記各実施形態では、SOIウェハを用いて形成した加速度センサチップ1について例示したが、加速度センサチップ1はSOIウェハに限らず、例えばシリコン基板を用いて形成してもよい。また、加速度センサチップ1および重り部それぞれの形状も特に限定するものではなく、重り部が加速度センサチップの厚み方向へ変位可能な構造のものであれば、重り部を一方向のみから片持ちで支持した1軸の加速度を検出する加速度センサチップでもよい。また、撓み部13に設けるゲージ抵抗もピエゾ抵抗に限らず、例えばカーボンナノチューブを採用してもよい。
実施形態1を示し、(a)は概略断面図、(b)はパッケージ蓋を取り外した状態の概略平面図、(c)はストッパの概略断面図である。 同上における加速度センサチップを示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のA−A’断面図である。 (a)、(b)は同上におけるストッパの他の構成例の概略断面図である。 同上の他の構成例の概略断面図である。 (a)、(b)は同上の他の構成例を示す概略平面図である。 実施形態2を示し、(a)は概略断面図、(b)はパッケージ蓋を取り外した状態の概略平面図、(c)はストッパの概略断面図である。 同上の他の構成例の概略断面図である。 実施形態3を示し、パッケージ蓋を取り外した状態の概略平面図である。 従来例を示す概略断面図である。 同上における加速度センサチップの概略斜視図である。
符号の説明
1 加速度センサチップ
2 ストッパ
6 接着部
11 フレーム部
12 重り部
13 撓み部
14 スリット
16 パッド
21 凸部
22 接着剤溜め用凹部

Claims (4)

  1. 枠状のフレーム部の開口窓内に配置される重り部が一表面側において可撓性を有する撓み部を介してフレーム部に揺動自在に支持され撓み部にゲージ抵抗が設けられた加速度センサチップと、加速度センサチップの前記一表面に対向配置され重り部の過度な変位を規制する平板状のストッパとを備え、ストッパは、加速度センサチップのフレーム部との対向面に、加速度センサチップの重り部とストッパとの間の規定のギャップ長に基づいて突出寸法を設定した複数の凸部であってそれぞれフレーム部に接着剤により固着される複数の凸部が突設され、各凸部それぞれに、前記接着剤を溜める接着剤溜め用凹部が形成されてなることを特徴とする加速度センサ。
  2. 枠状のフレーム部の開口窓内に配置される重り部が一表面側において可撓性を有する撓み部を介してフレーム部に揺動自在に支持され撓み部にゲージ抵抗が設けられた加速度センサチップと、加速度センサチップの前記一表面に対向配置され重り部の過度な変位を規制する平板状のストッパとを備え、ストッパは、加速度センサチップのフレーム部との対向面に、所定深さの凹部が複数形成され、各凹部それぞれの形成部位がフレーム部に接着剤により固着されてなることを特徴とする加速度センサ。
  3. 前記ストッパは、シリコン基板からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の加速度センサ。
  4. 前記ストッパは、前記加速度センサチップの出力信号を信号処理するICチップからなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の加速度センサ。
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