JP2006149255A - 魚味噌および魚味噌の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 これまでその大半が廃棄処分されていた、商品にならない魚介類や水産加工の過程に発生する加工残滓を、比較的簡単に有効利用することができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、魚介類および前記魚介類の加工残滓の少なくとも一方から成る魚介類原料を用いて構成される魚味噌の製造方法であって、前記魚介類原料から粗脂肪を除去する粗脂肪除去工程と、前記魚介類原料と麹と塩とを混合する混合工程と、前記混合物を発酵させる発酵工程とを備えたことを特徴としている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、魚介類および魚介類の加工残滓の少なくとも一方から成る魚介類原料を用いて構成された魚味噌、および魚介類原料を用いて構成された魚味噌の製造方法に関するものである。
長崎県は、国内有数の漁獲高を誇る水産県であり、種々の魚介類が水揚げされると共に、それらの魚介類を用いた水産加工品の製造も盛んである。
しかしながら、水揚げされた魚介類等は、水揚げまでの過程において傷がつく等して商品にならないものもある。また、魚介類等を用いた水産加工品の製造過程においては、魚介類の加工残滓も発生する。
これらの商品にならない魚介類や水産加工の過程に発生する加工残滓は、これまではその大半が廃棄処分されているため、その有効的な利用方法が模索されている。
なお、廃棄処分にされている魚介類等を利用する技術としては、例えば、特許文献1に示すように、餌料を製造する技術が知られている。
特開2000−169608号公報
さて、上述したように、商品にならない魚介類や水産加工の過程に発生する加工残滓は、その大半が廃棄処分されているわけであるが、具体的には、これらの魚介類や加工残滓等は、産業廃棄物として焼却処分されている。
このような焼却処分を行うためには、当然のことながら、大量のエネルギーや人的コストがかかるという問題がある。加えて、焼却処理を行うことによって、二酸化炭素の発生等、自然界にも多大な影響を与えるという問題もある(例えば、温暖化現象等)。
また、特許文献1は、廃棄処分にされている魚介類等を利用する技術の一例ではあるが、汎用性が低く、さらに、一般の漁村や水産加工工場等(特別な装置を有しない一般の水産加工工場等)にて実施するには、困難な部分がある。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、これまでその大半が廃棄処分されていた、商品にならない魚介類や水産加工の過程に発生する加工残滓を、比較的簡単に有効利用することができる技術を提供することを課題とするものである。
具体的には、本発明は、魚介類および魚介類の加工残滓の少なくとも一方から成る魚介類原料を用いて構成された魚味噌を提供することを課題とする。また、本発明は、魚介類原料を用いて構成された魚味噌の製造方法を提供することを課題とする。
本発明にかかる魚味噌は、上記課題を解決するためになされたものであって、魚介類および前記魚介類の加工残滓の少なくとも一方から成る魚介類原料を用いて構成されたことを特徴としている。
本発明にかかる魚味噌においては、前記魚介類原料と麹と食塩との混合物を発酵させて構成されたことが好ましい。
また、本発明にかかる魚味噌においては、前記混合物の混合割合が、以下の数式の関係を有することが好ましい。
魚介類原料:麹:食塩 = (30〜70):(30〜70):(10〜15)
さらに、より好ましくは、前記混合物の混合割合が、以下の数式の関係を有することである。
魚介類原料:麹:食塩 = (50):(50):(10〜15)
本発明においては、魚介類原料と麹とを略同様の割合で混合し、これに対して、所定の割合の塩(例えば、魚介類原料および麹「1」に対して「0.2」程度の割合の塩)を混合することによって、適切な魚味噌を得ることができる。
また、本発明にかかる魚味噌においては、前記混合物の発酵前の水分含量が、40%〜50%である構成が好ましい。
また、本発明にかかる魚味噌においては、粗脂肪が除去された前記魚介類原料が用いられる構成が好ましい。
本発明にかかる魚味噌の製造方法は、上記課題を解決するためになされたものであって、魚介類および前記魚介類の加工残滓の少なくとも一方から成る魚介類原料を用いて構成される魚味噌の製造方法であって、前記魚介類原料から粗脂肪を除去する粗脂肪除去工程と、前記魚介類原料と麹と塩とを混合する混合工程と、前記混合物を発酵させる発酵工程とを備えたことを特徴としている。
本発明にかかる魚味噌の製造方法においては、前記粗脂肪除去工程として、加熱処理および水晒処理の少なくとも一方が行われることが好ましい。より効果的に粗脂肪除去を行うためには(例えば、粗脂肪分の高い魚介類原料等についての粗脂肪除去を行うためには)、加熱処理を行った後に、水晒処理を行うことが好ましい。
また、本発明にかかる魚味噌の製造方法においては、前記混合工程において、前記魚介類原料と麹と塩とが、以下の数式の関係を有するように混合されることが好ましい。
魚介類原料:麹:食塩 = (30〜70):(30〜70):(10〜15)
さらに、より好ましくは、以下の数式の関係を有するように混合されることである。
魚介類原料:麹:食塩 = (50):(50):(10〜15)
また、本発明にかかる魚味噌の製造方法においては、前記混合物の水分含量が40%〜50%となるように、前記発酵工程前の前記魚介類原料および前記混合物の少なくとも一方に対して、水分調整工程が行われる構成が好ましい。
本発明によれば、これまで廃棄処分されていた商品にならない魚介類や水産加工の過程に発生する加工残滓を、比較的簡単な技術に基づき有効利用することができる。
具体的には、本発明によれば、魚介類および魚介類の加工残滓の少なくとも一方から成る魚介類原料を用いて構成された魚味噌を得ることができる。また、本発明によれば、魚介類原料を用いて構成された魚味噌の製造方法を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態は、魚介類および魚介類の加工残滓の少なくとも一方から成る魚介類原料を用いて、「魚味噌」を製造する技術に関するものである。魚介類原料としては、例えば、魚肉、頭、骨、皮、内臓等があげられる。
ここで、「魚味噌」とは、魚介類原料と麹と食塩とを混合させた混合物を発酵させて構成されるものであって、「味噌(大豆等の穀物を用いて構成される一般的な味噌、以下「魚味噌」との混同を避けるため「穀物味噌」という。)」と略同様の食感、味覚、および「魚臭さ」とは異なる魚介類特有の風味等を有する調味料のことである。
本実施形態にかかる魚味噌を製造する際には、まずはじめに、魚介類および魚介類の加工残滓の少なくとも一方から成る魚介類原料(以下、単に「魚介類原料」ともいう。)に対して、前処理を行う。
前処理としては、用意した魚介類原料の粗脂肪を除去する工程(本発明の「粗脂肪除去工程」に相当)が行われる。前処理として、事前に魚介類原料について粗脂肪除去工程を行うのは、魚介類原料は粗脂肪分を多く含む場合があり、魚介類原料中の魚肉脂質には、穀物脂質と異なり、劣化しやすい高度不飽和脂肪酸(EPAやDHA)が多く含まれるからである。
この粗脂肪除去工程は、魚介類原料の種類(粗脂肪含有量)等によって、その作業工程が異なる。
具体的には、粗脂肪含有量が低い魚介類原料(例えば、粗脂肪含有量が1%未満の魚介類原料)の場合には、蒸煮処理(本発明の「加熱処理」に相当)のみが行われる。また、粗脂肪含有量が高い魚介類原料(例えば、粗脂肪含有量が1%以上の魚介類原料)の場合には、粗脂肪除去工程として、蒸煮処理(本発明の「加熱処理」に相当)および水晒処理が行われる。
ここで、蒸煮処理は、魚介類原料を、70℃以上の温度に10分〜60分間程度保持することによって行われる。なお、この蒸煮処理は、粗脂肪除去という目的の他に、水分除去を容易にするという目的も有する。つまり、この蒸煮処理を行うことによって、後述する加圧脱水処理において、水分を容易に抜くことが可能となる。また、海洋由来の食中毒原因菌の栄養細胞を死滅させる目的も有する。
水晒処理は、魚介類原料を、流水あるいは止水に10分〜120分間程度晒すことによって行われる。この水晒処理を行う際には、流水上あるいは止水上に浮上してくる粗脂肪を除去する。また、水晒処理を止水で行う場合には、水の入れ換えを3回以上行うことが好ましい。
また、この粗脂肪除去工程(蒸煮処理および水晒処理)は、使用する魚介類原料の鮮度によっても、その作業工程が異なる。
具体的には、粗脂肪含有量が低い魚介類原料であっても、その鮮度が低い場合には、蒸煮処理および水晒処理の両方の処理を行うことが好ましい。つまり、粗脂肪含有量が低く、鮮度の高い魚介類原料についてのみ、粗脂肪除去工程として蒸煮処理のみが行われ、粗脂肪含有量が高い場合、あるいは鮮度が低い場合には、蒸煮処理および水晒処理が行われる構成が好ましい。
これは、魚介類原料の鮮度が落ちると、魚臭が強まるためである。つまり、この蒸煮処理および水晒処理は、必要に応じて、魚臭除去のためにも行われることとなる。
次に、前処理が終了した魚介類原料に対して、加圧脱水処理(本発明の「水分調整工程」に相当)が行われる。
この加圧脱水処理においては、前処理が終了した魚介類原料の水分含量が、40%〜50%となるように水分調整が行われる。
例えば、加圧脱水装置を用いて、10kgf/cm〜50kgf/cmの圧力で、1時間程度加圧して、魚介類原料を過剰に脱水する。そして、その後、魚介類原料の水分含量が40%〜50%となるように、加水処理を行う。
次に、水分調整が終了した魚介類原料については、ミートチョッパーを用いて、麹と塩との混合処理が行われる(本発明の「混合工程」に相当)。この際、魚介類原料は、例えばフレーク状にして、その他の原料と混合される。以下、魚介類原料と麹と食塩とを混合させて得られたものを単に「混合物」(本発明の「混合物」に相当)ともいう。
なお、魚介類原料の水分調整が終了した段階において、まだ「麹」が出来ていない(手元に無い)場合には、魚介類原料は密閉容器に封入し、麹が出来るまで、−10〜−50℃程度の温度内で冷凍保存する。このように冷凍保存を行うのは、冷蔵または室温にて魚介類原料を保存すると、このことが腐敗または雑菌増殖の原因となり、その後の正常な発酵に支障をきたすためである。
麹は、一般的な穀物味噌を製造する際に用いられるものを使用してもよいが、本実施形態においては、以下の方法で製麹した「麹」を使用した。
まず、精白米を一晩、水に浸漬させる。次いで、一晩水に浸漬させた精白米を蒸煮する。次いで、蒸煮した精白米中に、精白米量の0.1%程度の割合で、A.oryzae(M1株)を植え付ける。この植え付けから、一般に行われる製麹の工程を経て、本実施形態にて用いられる「麹」が完成する。
水分調整が終了した魚介類原料と、麹と、塩との混合工程を行う場合には、その混合割合が、以下の数式の関係を満足するように、各原料が準備される。
魚介類原料:麹:食塩 = (30〜70):(30〜70):(10〜15)
なお、この混合割合は、より好ましくは、以下の数式の関係を満足することである。
魚介類原料:麹:食塩 = (50):(50):(10〜15)
上記の通り、本実施形態においては、魚介類原料と麹とを略同様の割合で混合し、これに対して、所定の割合の塩(例えば、魚介類原料および麹「1」に対して「0.2」程度の割合の塩)を混合することによって、適切な魚味噌を得ることができる。これは、仮に、魚介類原料が多く麹の量が少ない場合には、発酵中に異常発酵を起こす可能性が高まり、また仮に、魚介類原料が少なく麹の量が多い場合には、異常発酵を起こす可能性は低くなるが、魚介類原料の風味が損なわれることとなるからである。
さらに、混合工程時における塩分量についても、上記関係式を満足することが好ましい。これは、混合工程における塩分量が上記関係式より低い場合には、異常発酵の可能性が高まり、混合工程における塩分量が上記関係式より高い場合には、発酵が遅れることとなるからである。
なお、混合工程を行う前の魚介類原料については、水晒し、または保存中に付着する可能性のある雑菌の殺菌等を目的として、事前に蒸煮処理等を行ってもよい。
ここで、混合工程を経て得られた混合物については、その水分含量が40%〜50%となるように、水分調整が行われる。ただし、本実施形態においては、先述した通り、既に混合工程を行う前の魚介類原料について、水分調整が行われている。したがって、混合される麹および塩の水分含量が40%〜50%であれば、特に水分調整を行わなくとも、混合物の水分含量は40%〜50%となる。
次に、その水分含量が40%〜50%である混合物を発酵させる(本発明の「発酵工程」に相当)。
この発酵工程は、具体的に次のようにして行われる。
魚介類原料と麹と塩との混合物を、樽等に10kg〜100kg程度入れて、3ヶ月〜6ヶ月間放置する。なお、急いで魚味噌を製造したい場合には、A.oryzaeの繁殖しやすい温度、またはこれが有するタンパク質分解酵素が働きやすい30℃前後に、樽内の混合物の温度管理を行う。この温度管理については、樽外部の温度管理を行うことによって、間接的に混合物の温度管理を行ってもよい。
以上説明した通り、本実施形態によれば、魚介類および前記魚介類の加工残滓の少なくとも一方から成る魚介類原料を用い、前処理(粗脂肪除去工程)、水分調整工程、混合工程、および発酵工程等を経ることによって、魚味噌を構成することができる。このようにして構成された魚味噌は、その外観および食感等は穀物味噌と略同様であって、風味等についても、「魚臭さ」は殆ど感じられない。
そして、以上のような構成および製造方法であるため、次のような効果を得ることができる。
上述した通り、本実施形態にかかる魚味噌は、魚介類原料を用いて製造することが可能であるため、これまで廃棄処分されていた商品とならない魚介類(傷が付いた魚介類等)や水産加工品の製造過程に発生する加工残滓を、有効的に利用することができる。
また、その製造方法は、特別な装置等も必要とせず、非常に簡単であるため、漁村や一般の水産加工工場でも容易に実施可能である。
さらに、本実施形態にかかる魚味噌の製造方法は、魚介類を用いるという特異性があり、その特異性ゆえに、通常の大豆等の穀物を用いた穀物味噌の製造方法とは大きく異なり、その異なる部分が、非常に大きな作用効果を発揮している。
その一つ目が、「前処理」である。先にも説明した通り、魚介類原料は粗脂肪分を多く含む場合があり、魚介類原料中の魚肉脂質には、穀物脂質と異なり、劣化しやすい高度不飽和脂肪酸(EPAやDHA)が多く含まれる。したがって、仮に、この粗脂肪分の除去が不適切であると、良好な「魚味噌」を製造することはできない。この点は、穀物味噌の製造方法と大きく異なるところである。
本発明者はこの点に着目した。すなわち、本実施形態においては、粗脂肪分を適切に除去することで、良好な「魚味噌」を製造することを可能とした。具体的な手段としては、魚介類原料に加熱処理を施した後に、水晒処理を行うことによって、粗脂肪分を効率的に除去することが可能となった。また、本実施形態においては、その粗脂肪分に応じて、加熱処理のみを行う場合、あるいは加熱処理と水晒処理との両方の処理を行う場合を使い分けることによって、より効率的に粗脂肪除去工程を実施可能となった。
異なる点の二つ目は、「水分調整工程」である。魚介類原料の場合、含有する水分量が非常に多いため(一般に80%程度)、発酵工程を経て「魚味噌」を製造する際には、その水分量を50%以下にする必要がある。これは、50%以下にしないと、発酵時に腐敗したり、また「味噌」としての状態を維持できないからである。つまり、魚介類原料に対して「脱水処理」を施す必要がある。この点は、大豆等の穀物に水を加えて水分調整を行う「穀物味噌」と大きく異なる部分である。
そこで、本実施形態においては、適切な発酵工程を実現するために、魚介類原料の水分を調整している。
ところで、この魚介類原料の水分調整であるが、例えば、乾燥機等を用いて(風乾で)、魚介類原料をそのままの状態で(本実施形態のように加熱処理等を行わない、いわゆる「非加熱」状態で)乾燥処理を行うと、魚肉等の保水性のため、乾燥効率が非常に悪い。さらに、このような非加熱状態の魚介類原料を風乾にて乾燥処理すると、乾燥後に魚介類原料が硬化してしまい、その後の処理工程においてハンドリングが悪い。つまり、水分調整後の混合工程の実施が困難になる。
また、非加熱状態の魚介類原料に対して加圧脱水処理を施しても、その水分含量を50%以下にするのは、不可能である。
以上の点に鑑み、本実施形態においては、乾燥効率の向上と、乾燥処理後のハンドリング性の向上とを達成するために、魚介類原料に加熱処理を施した後に、加圧脱水処理を行うことによって、魚介類原料の含有水分量の調整を行っている。
このような方法であれば、乾燥機等を用いた風乾のように、水分量調整後に魚介類原料が硬化することはないので、その後の混合工程等においてもハンドリングが良好である。また、一度加熱処理を施した後に加圧脱水処理を行うことによって、必要とされる50%以下の水分含量を達成することができる。
また、本実施形態においては、発酵前の混合物の塩分と水分とを適切に管理することによって、適切な魚味噌を製造することが可能となっている。
具体的には、混合物中の塩分を8%〜15%程度とし、水分含量を40%〜50%とすることによって、正常に発酵した良好な魚味噌を得ることができる。
仮に、混合物中の塩分が8%〜15%程度であって、水分含量が40%を下回る場合には、正常に発酵はするが、水分含量が低すぎるため、非常に硬い魚味噌が構成されることとなる。また、混合物中の塩分が8%〜15%程度であって、水分含量が50%を上回る場合には、味噌よりもむしろ醤油に近い状態となり、異常発酵を起こしやすくなる。
さらに、混合物中の塩分が8%以下であって、水分含量が50%以下の場合には、短期(例えば数週間)では腐敗しないが、製品完成までの間(通常、味噌の熟成には3ヶ月程度を要する)に異常発酵を起こす。また、混合物中の塩分が8%以下であって、水分含量が50%以上の場合には、異常発酵を起こす。
さらに、混合物中の塩分が15%以上である場合には、混合物中の水分含量に関わらず、異常発酵はしないが、A.oryzae等の菌そのものが繁殖しにくい。また、これらの持つ酵素も働きにくくなり熟成が遅れる。
以上のことから、本実施形態にかかる魚味噌を製造する場合には、混合物中の塩分を8%〜15%程度とし、水分含量を40%〜50%程度にすることが好ましい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記以外のものであっても必要に応じて種々の変更を行うことが可能である。
例えば、上記実施形態においては、加熱処理として「蒸煮」を行う場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、必要に応じて、ボイル殺菌等を行ってもよい。
また、上記実施形態においては、麹等と混合させる前の魚介類原料に対して予め加圧脱水等を施し、その魚介類原料と麹と塩とを混合して、混合物の水分量を所定値に調整したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
また、上記実施形態においては、製麹の際に使用する菌として、A.oryzae(M1株)を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えば、A.oryzaeのその他の株や、A.soyae等を用いてもよい。
また、上記実施形態においては、製麹の際に、精白米を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えば、大豆、麦等を用いてもよい。
<実施例>
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
まずは、原料として、魚介類原料を30kg用意した。使用した魚介類原料は、ハガツオ、スルメイカ、ゴマサバ、ワニエソである。
次に、魚肉採取機等を用いて、魚介類原料から落し身15kgを採取した。
次に、採取した落し身の全てを蒸煮処理した。この蒸煮処理としては、スチームを落し身に吹きかけ、1時間程度加熱する処理を行った。
次に、蒸煮処理を行った落とし身のうち、10kgに対して水晒処理を行った。この水晒処理としては、ポリバケツ中の50リットルの水道水に落し身を投入し、10分間攪拌して、浮上してくる粗脂肪成分を除去するという工程を、3回繰り返した。
次に、蒸煮処理のみを行った5kgの落し身と、蒸煮処理および水晒処理を行った10kgの落し身とに対して、加圧脱水処理を行った。加圧脱水処理としては、加圧脱水装置を用いて、30kgf/cmの圧力で、1時間程度加圧して、魚介類原料を過剰に脱水した。
ここでは、魚介類原料の水分含量が50%弱になるまで、加圧脱水装置による加圧脱水処理を行い、その後加水して、魚介類原料の水分含量を50%に調整した。
次に、加圧脱水処理が終了した魚介類原料を所定容器内に密閉封入し、−50℃で冷凍保存した。これは、良好な麹を作るまでに、数日間を要する場合があるからである。したがって、当然のことながら、すでに良好な麹を有する場合には、このような冷凍保存は行う必要がない。
次に、麹等との混合処理の前に、魚介類原料に対して蒸煮処理を行った。これは、殺菌のためである。
次に、上記殺菌処理(蒸煮処理)まで終了した魚介類原料1.5kgと、米麹1.5kgと、塩300gとを用意して、ミートチョッパーを用いて混合処理を行った。この後、混合物に対して加水処理を行い、混合物の水分含量が50%となるように調整した。
なお、使用した米麹は、上述した実施形態の方法で製麹したものである。具体的には、7.5kgの精白米を用いて製造された米麹である。
次に、上記混合処理を経て得られた混合物を所定容器内に仕込み、その上から1kgの重石をして、発酵工程を行った。発酵工程には、90日〜180日程度の期間を要した。
以上のようにして得られた魚味噌は、その外観および食感等は、穀物味噌と略同様であって、風味等についても、「魚臭さ」は殆ど感じられない。
また、この魚味噌は、「魚臭さ」とは異なる魚介類特有の風味を有する。
さらに、粗脂肪含量が低い魚介類原料を用いる場合には、水晒処理を経ることなく魚味噌が製造され、この場合には、穀物味噌が有することのない「魚介類特有のタウリン」を有する味噌(魚味噌)とすることができる。

Claims (9)

  1. 魚介類および前記魚介類の加工残滓の少なくとも一方から成る魚介類原料を用いて構成されたことを特徴とする魚味噌。
  2. 前記魚介類原料と麹と食塩との混合物を発酵させて構成された請求項1に記載の魚味噌。
  3. 前記混合物の混合割合が、以下の数式の関係を有する請求項2に記載の魚味噌。
    魚介類原料:麹:食塩 = (30〜70):(30〜70):(10〜15)
  4. 前記混合物の発酵前の水分含量が、40%〜50%である請求項2または3に記載の魚味噌。
  5. 粗脂肪が除去された前記魚介類原料が用いられる請求項1から4のいずれか1項に記載の魚味噌。
  6. 魚介類および前記魚介類の加工残滓の少なくとも一方から成る魚介類原料を用いて構成される魚味噌の製造方法であって、前記魚介類原料から粗脂肪を除去する粗脂肪除去工程と、前記魚介類原料と麹と塩とを混合する混合工程と、前記混合物を発酵させる発酵工程とを備えたことを特徴とする魚味噌の製造方法。
  7. 前記粗脂肪除去工程として、加熱処理および水晒処理の少なくとも一方が行われる請求項6に記載の魚味噌の製造方法。
  8. 前記混合工程において、前記魚介類原料と麹と塩とが、以下の数式の関係を有するように混合されている請求項6または7に記載の魚味噌の製造方法。
    魚介類原料:麹:食塩 = (30〜70):(30〜70):(10〜15)
  9. 前記混合物の水分含量が40%〜50%となるように、前記発酵工程前の前記魚介類原料および前記混合物の少なくとも一方に対して、水分調整工程が行われる請求項6から8のいずれか1項に記載の魚味噌の製造方法。
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