JPH10150948A - バカガイの貝わたを利用した新規な調味料及びその製造方法 - Google Patents

バカガイの貝わたを利用した新規な調味料及びその製造方法

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JPH10150948A
JPH10150948A JP8352116A JP35211696A JPH10150948A JP H10150948 A JPH10150948 A JP H10150948A JP 8352116 A JP8352116 A JP 8352116A JP 35211696 A JP35211696 A JP 35211696A JP H10150948 A JPH10150948 A JP H10150948A
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JP
Japan
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shellfish
seasoning
soy sauce
guts
salt
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JP8352116A
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Inventor
Masao Tanaka
正男 田中
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Chiba Prefectural Government
Original Assignee
Chiba Prefectural Government
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 食用として未利用となっている天然動物蛋白
質のバカガイの貝わたを活用し、魚醤風の特徴ある新規
の調味料を短期間で製造することを目的とする。 【解決手段】 バカガイの貝わたに固体食塩を加え、1
6〜21%の濃度(重量/容量)に調整することにより
腐敗を防止し、貝わたの重量の1/4〜1/2倍量の醤
油麹を加えて発酵・熟成させ、濾布によりろ過し、火入
れ後セライトろ過して調味料とする。また、貝わたは食
塩及び醤油麹と混合する前に蛋白質分解酵素で処理する
ことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,未利用のバカガイ
の貝わたなど(内蔵・ひも)を主原料とすることによ
り、魚醤風味を備えた醤油様調味料の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】伝統的な魚醤の製造方法としては、高濃
度の食塩で腐敗を防止しつつ魚介類の持つ自己消化酵素
により1年以上の長い年月をかけて熟成させていくもの
であるが、魚醤特有の臭みは日本人の嗜好には適さな
い。
【0003】一方、本発明の主原料であるバカガイにつ
いては、その加工の対象が足及び貝柱に限られ、寿司種
などに供されるのに対し、残りの可食部である貝わた
は、内部に含まれる砂のために食用には適さず、食用と
なっているのは、干物としてなどほんのわずかである。
一部が飼料や肥料などに利用されているに過ぎず、ほと
んどが未利用となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】バカガイの貝わたが食
用として利用されないのは、第一に内蔵に含まれる砂を
除去しにくいこと、第二に自己消化が急速に進み、腐敗
し易いことが利用上の問題であった。
【0005】そこで、本発明が解決しようとする目的
は,食用として未利用であるバカガイの貝わたの腐敗を
防止しながら、特徴ある魚醤風味の調味料を短期間で、
しかも魚醤独特の臭みを減じた新規の調味料を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の製造方法は,アミノ酸源であるバカガイ
の貝わたと分解酵素を持つ醤油麹と腐敗を防止するため
の固体の食塩をもちいることが特徴である。
【0007】腐敗防止と風味増強のため、バカガイの重
量に対して1/4〜1/2倍の重量の醤油麹を添加し、
食塩濃度を16%〜21%に調整して、3〜6ヶ月発酵
・熟成させ、醤油醸造とほぼ同様な形態の方法で、醤油
様調味料を製造する。
【0008】また、バカガイの貝わたは、仕込み時の腐
敗を防止するため、蛋白質分解酵素によって溶解する
か、または貝が持つ自己消化酵素のみで溶解させた後、
さらに醤油麹の持つ蛋白質分解酵素によって、旨味成分
であるアミノ酸を遊離させて調味料を製造することを要
旨として構成される。
【0009】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例にもと
づき図面を参照して説明する。図1において、バカガイ
の貝わたを食塩及び醤油麹と混合する。麹の重量は、貝
わたの重量の1/4〜1/2倍とする。
【0010】麹の重量は、貝わたの1/4未満である
と、腐敗臭が生じることが予備実験から示されており、
これを回避するためにも1/3以上の重量比が好まし
い。他方、麹量があまり多すぎるとバカガイの特徴が希
薄になるばかりか経済性を考慮しても麹は貝わたの重量
の1/2倍までが適当な範囲である。
【0011】また、図2に示すように、麹を加える前に
バカガイを酵素処理する工程を加えることが好ましい。
すなわち、タンパク質分解酵素を加えて50〜60℃ま
で加熱し、加熱によって微生物の増殖を抑制しながら酵
素分解を行い、冷却後麹及び食塩を加える。
【0012】発酵・熟成過程においては、食塩濃度が、
16%以下の場合雑菌が繁殖しやすくなり、他方21%
以上であると醤油酵母などが増殖しにくい環境となるの
で、これに加水して食塩濃度を16〜21%(重量/容
量)に調整する。
【0013】これを発酵槽に移し、約3〜6ヶ月発酵熟
成させる。まず最初の2〜4週間は低温(15〜20
℃)で、その後は25〜30℃程度の温度で発酵させ
る。発酵期間は、アルコール、直接還元糖、アミノ酸な
どの分析により約2ヶ月で終了することが確認されてお
り、熟成期間は発酵状態により変動があるが、1〜3ヶ
月の範囲で十分である。
【0014】発酵・熟成終了後、濾布で漉し、85℃で
30分の加温(火入れ)を行い、セライトろ過後、醸造
用アルコールを添加し、アルコール濃度を2.0〜2.
5%に調整して製品とする。
【0015】
【実施例】750kgのバカガイの貝わたに、1,40
0mlのアルカラーゼ(ノボ・ノルディスク社製エンド
型プロテアーゼ)、300gのスミチーム(新日本化学
工業社製エキソ型プロテアーゼ)及び240gの耐塩性
グルタミナーゼ(大和化成社製)を添加し、60℃まで
加温した。
【0016】冷却後、これを3キロリットルの発酵槽に
移し、185kgの食塩および250kgの醤油麹を混
合して加え、よく撹拌した。40日後、食塩濃度を60
kgの加水により約18%に調整した。
【0017】発酵槽は温度調節設備がないために、仕込
みを6月に行い、一夏を越させ、約3ヶ月以上発酵・熟
成させた。
【0018】その後、濾布袋(150cm×60cm)
で搾り、85℃で30分加温後、セライトろ過して、調
味料100リットルにつき2.2リットルの醸造用アル
コールを添加し、アルコール濃度を約2.4%とした。
こうして約800リットルの調味料が得られた。
【0019】発酵過程の調味料の一般成分を表1に示し
た。約2ヶ月後には、アルコール濃度が約1%に達し
て、その後は増加していないことから、発酵は2〜3ヶ
月で終了していると考えられる。
【0020】
【表1】 発酵過程における全窒素、食塩、アルコール及び還元糖
の変化を示す。
【0021】表2においては、アミノ酸の分析結果を示
した。市販の特級醤油と比較すると、旨味成分のグルタ
ミン酸及びアラニンはほぼ同量であるが、もう一つの旨
味成分のグリシンにおいては2倍程度高くなっている。
一方、肝機能によいとされているタウリンは、バカガイ
由来のもので、通常の醤油には含まれていないが、本調
味料には約0.3%も含まれている。また、塩酸分解に
より調味料中のペプチドを遊離アミノ酸として測定する
とアミノ酸が約2倍の測定値になることから、遊離アミ
ノ酸と同量のペプチドが存在すると推定される。
【0022】
【表2】 調味料、市販醤油、調味料塩酸分解物及びバカガイ
(生)のアミノ酸の分析結果を示す。
【0023】また、表3では、調味料と醤油の農林規格
(JAS)特級の一般成分及び有機酸の分析値を比較し
た。その結果、全窒素1.50以上、無塩可溶性固形分
16%以上及びアルコール0.8%以上を満たしている
が、色度が18未満のため規格外となった。また、有機
酸においてもJAS特級醤油とほぼ同様な組成傾向が示
された。色度を除いては、市販の特級醤油に遜色のない
ものが得られた。
【0024】
【表3】 調味料と醤油の農林規格(JAS)特級の一般成分及び
有機酸の分析値の比較を示す。
【0025】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような工程及び
分析結果より以下に記載する効果を奏する。
【0026】バカガイの利用により魚醤風味の特徴があ
るだけでなく、従来の醤油には含まれないタウリンを含
有するなど栄養的にも優れた醤油様調味料ができる。
【0027】従来の魚醤の製造期間が1年以上もかかっ
ているのに対し、本調味料は約3ヶ月で製造でき、さら
に香りも魚醤特有の臭みも抑えられて改良されている。
【0028】本調味料は、還元糖が少ないため、従来の
醤油に比較して色が薄く、褐変による着色が抑えられる
ので、加工食品の品質劣化が少ないため食品加工用の調
味料に適している。
【0029】従来の醤油製造法との大きな相違点は、塩
水の代わりに個体の食塩をそのまま使用することにあ
る。これはバカガイの貝わたに80%以上の水分が含ま
れているためで、水の添加は、食塩濃度の調整のために
少量加えるだけである。このため、塩水を作る手間が省
け、作業的にも容易である。
【0030】また、個体の食塩を使用することにより、
窒素含有率を容易に調整することができ、この点も食品
加工用の調味料として優れている。
【0031】本発明の方法によれば,通常の醤油工場設
備や調味料製造設備を利用して調味料の製造ができ、技
術的にも醤油醸造を応用しており、技術移転が比較的容
易に行える。
【0032】砂などが含まれているために食用となら
ず、これまで廃棄されていたバカガイの貝わたが活用さ
れ、天然の動物性タンパク質の有効利用となる。
【0033】廃棄されたバカガイの貝わたは、短時間で
異臭を放つため、本発明により悪臭防止などの環境保全
に貢献すると同時に廃棄物処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バカガイの貝わたを利用した調味料の製造の手
順を示すフロー図である。
【図2】酵素処理を加えたバカガイの貝わたを利用した
調味料の製造の手順を示すフロー図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バカガイの貝わたを主タンパク質源とし
    て、これに醤油麹及び食塩を混合して発酵・熟成させた
    バカガイの貝わたを利用した新規な調味料及びその製造
    方法
  2. 【請求項2】食塩分として固体の食塩を用いて全量に対
    して食塩濃度を16〜21%に調製し、醤油麹をバカガ
    イの重量の1/4〜1/2倍を加え、発酵・熟成期間を
    3〜6ヶ月とする請求項1に記載する調味料及びその製
    造方法
  3. 【請求項3】バカガイの貝わたの全量またはその一部に
    蛋白質分解酵素を加え、60℃まで加熱し、冷却後に醤
    油麹及び食塩と混合する請求項1に記載する調味料及び
    その製造方法
JP8352116A 1996-11-22 1996-11-22 バカガイの貝わたを利用した新規な調味料及びその製造方法 Pending JPH10150948A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006149255A (ja) * 2004-11-26 2006-06-15 Nagasaki Prefecture 魚味噌および魚味噌の製造方法
CN104996968A (zh) * 2015-07-17 2015-10-28 天宁香料(江苏)有限公司 一种蛤蜊香精的制备方法
JP2022045308A (ja) * 2020-09-08 2022-03-18 ガイア アグリカルチャー シーオー., エルティーディー. 魚醤における生体アミン低減方法

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