JPH11318383A - 魚醤油の製造方法 - Google Patents

魚醤油の製造方法

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JPH11318383A
JPH11318383A JP10137277A JP13727798A JPH11318383A JP H11318383 A JPH11318383 A JP H11318383A JP 10137277 A JP10137277 A JP 10137277A JP 13727798 A JP13727798 A JP 13727798A JP H11318383 A JPH11318383 A JP H11318383A
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soy sauce
fish
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salt
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JP10137277A
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Satoru Yoshida
悟 吉田
Masato Nakamura
正人 中村
Koichi Hatayama
晃一 畑山
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Maruha Nichiro Corp
Original Assignee
Nichiro Corp
Nichiro Gyogyo Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、魚介類、特に鮭を原料として、天
然アミノ酸の多く含まれていてコクと深みのある味とマ
イルドな風味のある魚醤油を効率よく短期間に製造する
方法に関するものである。 【構成】 粗砕した魚介類にパパイン溶液を添加し、撹
拌しながら温度を上昇させて分解させ、その身肉が溶解
した後、食塩を添加するとともに有機酸を添加してpH
を5.0〜5.5となるように調整し、常温にまで冷却
した後、乳酸菌と酵母と米麹とを添加し、撹拌しながら
必要に応じてデキストリンを添加したり塩分調整したも
ろみを分解・発酵・熟成させたことを特徴とする魚醤油
の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚介類、特に鮭を原料
として、天然アミノ酸が多く含まれていてコクと深みの
ある味とマイルドな風味のある魚醤油を効率よく短期間
に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】魚醤や豆醤の造り方は中国から伝わった
ものとされているが、日本ではその後の食肉禁止による
食生活の変化により豆醤のみが盛んに使用されるように
なり、それが味噌や豆醤油や納豆などとして今日も盛ん
に利用されている。しかるに魚を原料としてこれを発酵
分解して製造する魚醤油は、ベトナム国のニョクマム、
タイ国のナンプラ、ミャンマーのガンピャーイェー、フ
ィリピンのパティスなどアジア各国の天然調味料として
発達してきた。近年の食物のグローバル化にともない魚
醤油が注目されるようになり、日本でも、魚醤油が販売
されるようになり、その製造法が各方面で開発されるよ
うになった(特開平3−254660号公報、特開平8
−23917号公報、特許第2588111号)。
【0003】当該魚醤油の製造方法は、各国で多少づつ
異なっているが、一般的な魚醤油の造り方は、次に示し
たようなものである。それは、サバ、カタクチイワシ、
アジ等の海遊小魚に20%〜30%の食塩を添加混合し
て、6カ月〜1.5年間熟成させたうえ、圧搾、濾過し
て一番搾りの魚醤油を抽出し、生じた残魚に一番搾りの
魚醤油と塩水とを加えて混合し、約1ケ月熟成させた
後、圧搾、濾過して二番搾りの魚醤油を抽出し、残魚に
塩水を混合したうえ2時間〜3時間煮沸し、それから圧
縮、濾過して三番搾りの魚醤油を抽出し、その残魚を肥
料や家畜飼料とする方法である。
【0004】また、特開平3−254660号公報に記
載の技術は、タンパク分解酵素及びエチルアルコールの
存在下で、原料魚介を酵素分解することにより、短期間
に腐敗の危険性なく、高歩留まりで、無機塩濃度が低
く、風味が良い魚醤油を得る製造方法である。本発明の
タンパク分解酵素は、好塩性プロテアーゼ、サモアーゼ
PC−10、デナチームAP、オリエンターゼ5N、プ
ロテアーゼA、P−3、などである。
【0005】また、特開平8−23917号公報に記載
の技術は、魚介類原料を自己消化させるか、酵素類を添
加して酵素分解させるか若しくは自己消化させると同時
に酵素を添加して酵素分解させて酵素分解物を作り、こ
の酵素分解物に、醤油麹と食塩を混合して仕込み熟成さ
せることを特徴とする魚醤油の製造方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記一般的な
魚醤油の造り方は、海遊小魚に食塩を添加混合して腐敗
を防止し、その原料自体が有する微生物により熟成させ
たうえ、圧搾、濾過して搾り魚醤油を採取するものであ
る。このような魚醤油の製造法は、腐敗を防止のために
多量の食塩が必要となるため、塩味が強くなって材料独
自の風味や旨味が殺されてしまう傾向があるうえ、当該
魚醤油の製法は、熟成までに長期の日時がかかる欠点が
あった。
【0007】また、前記公報記載の先行技術では、熟成
の前処理として魚介類原料を酵素分解しているが、前者
は、分解酵素がパパインではないうえ、発酵菌が原料に
内在する菌を利用する方法であり、後者は、発酵菌とし
て醤油菌を利用するだけの方法である。そのため、両者
とも魚醤油を短期間で製造することは出来るが、旨味や
風味や香味などへの配慮が充分でなく、調味料として満
足出来るものではなかった。
【0008】そこで発明者は、調味料として良好な旨味
や風味を短期間に製造するという技術課題を同時に解決
することを目指し、数多く研究開発をした結果、食用魚
介類を原料とすること、前処理として酵素分解するのに
パパイン溶液を用いること、発酵菌として乳酸菌、米麹
菌、酵母を組み合わせて使用すること、低塩分、低pH
で腐敗防止しながら発酵分解することにより、短期間で
糖分や有機酸やアルコール・エステル類(芳香性物質)
がバランス良く多量に生成するとの技術知見を見出し
た。
【0009】酵素選定には、微生物起源のAsperg
illus属由来のフレーバーザイム(ノボノルディス
クバイオインダストリー)、プロテアーゼA、プロテア
ーゼM、プロテアーゼN、プロテアーゼP(天野製薬
(株))、Bacillus属由来のプロテアーゼS、
プロレザー(天野製薬(株))、オリエンターゼ22B
F急バイオインダストリー(株))、アルカラーゼ(ノ
ボノルディスクバイオインダストリー)、Rhizop
us属由来のニューラーゼF(天野製薬(株))等、ま
た、植物起源では、パパイヤ由来のパパイン(アサヒビ
ール(株))、パイナップル由来のブロメラインF(天
野製薬(株))等、また、動物起源では、パンクレアチ
ンF(天野製薬(株))等を用いて、溶解性や活性を測
定した。その結果、パパイン、アルカラーゼ、プロテア
ーゼNが優れていたので、第1次選定し、次に当該一次
選定した酵素を用いて魚肉での適性を調べるために、鮭
肉を用いて分解試験を行った。尚、分解試験はそれぞれ
の酵素の至適条件下で行い、鮭肉に0.1%の酵素を添
加し反応させた時のチロシン濃度の経時的変化を測定し
た。その結果は、図1に示す通り、パパイン、アルカラ
ーゼ、プロテアーゼNの中では、パパインが分解の速さ
および強さに優れており、原料魚肉の酵素処理にはパパ
インが適していることが判明した。
【0010】次に、発酵、熟成のための微生物特定のた
めに各種発酵菌の特性を研究した結果、米麹菌と乳酸菌
と酵母とを組み合わせることにより、効率良く旨味成分
と呈味成分と芳香成分がバランス良く生産することが判
明した。つまり、米麹菌は、蛋白質をペプチドに変える
プロテアーゼ、ペプチドをアミノ酸に変えるペプチター
ゼ炭水化物を糖に変えるアミラーゼ、脂質を脂肪酸やグ
リセリンに変えるリパーゼ、グルタミンをグルタミン酸
に変えるグルタミナーゼなど旨味成分を分解生成するの
に役立つ酵素を生産するし、乳酸菌は生成された糖を有
機酸に変えたり、もろみの防腐効果を増加させたり、も
ろみ独特の酸味を与えたり、爽快感と味にしまりを与え
る呈味成分を生産するし、酵母は、糖分からアルコール
類やエステル類をつくったり、脂肪酸やグリセリンから
脂肪酸エステルをつくったりして芳香成分を生産する。
そこで、この三種類の微生物を組み合わせて添加するこ
とが望ましいことが判明した。
【0011】本願発明は、前記のような研究により得た
技術的知見に基づいて、食用魚介類、特に鮭精肉を原料
として、これを粗砕したうえ、前処理としてパパイン溶
液で酵素分解したうえ、低塩分、低pHで腐敗防止しな
がら乳酸菌、米麹菌、酵母で発酵分解することにより糖
分と天然アミノ酸の多く含まれていて切れ味のよい、魚
介類の良好な風味や香味を備えた天然調味料(醤油)
を、短期間に提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第
1発明は、粗砕した魚介類にパパイン溶液を添加し、撹
拌しながら温度を上昇させて分解させ、その身肉が溶解
した後、食塩を添加するとともに有機酸を添加してpH
を5.0〜5.5となるように調整し、常温にまで冷却
した後、乳酸菌と酵母と米麹とを添加し、撹拌しながら
必要に応じてデキストリンを添加したり、塩分を10〜
12%に調整してなるもろみを分解・発酵・熟成させた
ことを特徴とする魚醤油の製造方法である。
【0013】当該第1発明の特徴は、粗砕した魚介類原
料にパパイン溶液を添加し、酵素分解する点にある。こ
のような前処理をすることで、魚介類原料中のタンパク
質の分解が促進されるので、後からの乳酸菌と酵母と米
麹菌による分解・発酵・熟成が短期間にできるようにな
った。また、本発明は、分解・発酵・熟成させるため
に、乳酸菌と酵母と米麹菌を用いた点にある。
【0014】乳酸菌は、原料中の炭水化物由来の糖分か
らの乳酸などの有機酸をつくり、こうして出来た有機酸
はもろみのpHを下げ防腐効果を増加させるとともに、
もろみ独特の風味である酸味を与える。有機酸の酸味
は、爽快感と味にしまりを与える上に必要な呈味成分で
ある。
【0015】酵母は、原料中の炭水化物由来の糖分から
アルコール類やエステル類をつくり、または脂質由来の
脂肪酸やグリセリンから脂肪酸エステルをつくる。これ
らのアルコール類やエステル類は芳香性物質であり、化
学作用により微量の物質が生じたりすること等が相集ま
って、特有の香りが醸成される。つまり、酵母がおこな
う分解・発酵により芳香成分が強くなる。
【0016】米麹菌は、パパインで分解しきれなかった
タンパク質や難消化性タンパク質を米麹菌のプロテアー
ゼによりペプチドに分解し、次にペプチドを米麹菌のペ
プチダーゼによりアミノ酸に分解して、旨味を呈するグ
ルタミン酸やアスパラギン酸をはじめとする多くのアミ
ノ酸類を食塩水中に溶出させる。つまり、米麹菌による
分解・発酵により旨味成分が一層強くなる。
【0017】また、米麹菌は、原料中の炭水化物成分を
米麹菌のアミラーゼにより分解して糖分を生成させる
が、必要に応じてデキストリンを加えるようにしたの
で、糖分が豊富になる。この糖分は、酵母により発酵さ
れるとアルコール類やエステル類となり、香味成分とな
る。従って、糖分が多いことは、甘味成分や香味成分が
多いことを意味している。また、乳酸菌もこの糖分を利
用して発酵を行い、有機酸を生成し、風味成分を増加さ
せている。
【0018】また、原料中の脂質は米麹菌のリパーゼに
より分解されて、脂肪酸やグリセリンになるが、これら
は酵母により発酵されると脂肪酸エステルとなり、香味
成分となる。
【0019】上記のように、風味や香味が豊かな魚醤油
をつくるには、分解・発酵・熟成における米麹菌、乳酸
菌、酵母を組み合わせた発酵菌と、それぞれの菌の作用
が必要不可欠であり、これらの微生物が原料中の各成分
を順次に分解・発酵することによって、バランス良く旨
味成分、甘味成分、香味成分が相乗的に増加していく。
しかも当該魚醤油は、塩分を10〜12%に低く調整し
てあるので、上記の旨味や風味や香りの豊かさが生きた
天然調味料となっている。
【0020】特許を受けようとする第2発明は、粗砕し
た鮭精肉にパパイン溶液を添加し、撹拌しながら温度を
約50℃に上昇させて酵素分解させ、その身肉が溶解し
た後、食塩を添加するとともに、有機酸を添加してpH
を5.0〜5.5となるように調整したうえ、常温にま
で冷却し、その後、乳酸菌と酵母と米麹菌とを添加し、
撹拌しながら必要に応じてデキストリンを添加したう
え、塩分を10〜12%に調整してなるもろみを25℃
で2〜3ケ月間を分解・発酵・熟成させたことを特徴と
する魚醤油の製造方法である。
【0021】第2発明は、基本的には第1発明と同じ製
造法であるが、原料を鮭の精肉にしたことに特徴があ
る。従って、鮭の風味が生きたしかも天然アミノ酸の多
く含まれていてコクと深みのある味とマイルドな風味の
ある魚醤油を効率よく短期間に製造することができた。
【0022】
【実施例】以下本発明に係る魚醤油の製造方法を実施例
に基づいて詳細に説明する。
【0023】第一工程:北海道産の鮭から頭や内蔵を除
外した精肉をチョッパーにて粗砕して処理原料とする。
【0024】第二工程:粗砕した処理原料に酵素として
10%パパイン溶液を原料比2%添加して撹拌しながら
温度を50℃に上昇させながら約8時間酵素分解する。
尚、酵素分解途中で肉が溶解した時点で、食塩を原料比
13.6%添加する。
【0025】第三工程:原料を酵素分解した後、10%
クエン酸溶液を原料比1〜2%添加することによりpH
5.0〜5.2になるように調整した後、常温25℃に
まで冷却する。
【0026】第四工程:前記鮭肉を酵素分解し、pH調
整したうえ、常温に冷却した原料に1%乳酸菌液(原料
比0.14%)と酵母液(原料比0.14%)と米麹
(原料比10%)を添加し、撹拌しながら必要に応じて
デキストリン(原料比10%)を添加する。更に当該デ
キストリン添加後、塩分を測定して不足する追加塩分
(原料比2〜3%)を添加することにより全体の塩分量
が10〜12%になるように調整する。このようにして
もろみの仕込みを行う。
【0027】第五工程:前記もろみ仕込みを行った後、
ほぼ25℃で60日間、分解・発酵・熟成を行う。尚、
この際7日1回の割合で撹拌して分解・発酵・熟成を完
了させる。
【0028】第六工程:熟成もろみを油圧プレスで圧搾
して固液分離したうえ、得た液体を多段式濾過機を用い
てセライト濾過し、油分を除去する。
【0029】第七工程:濾過工程で油分を除去した生醤
油を減圧濃縮機にかけて約20%の水分を除去して濃縮
した後、撹拌タンクで80℃で10分間火入れを行い、
それ以上の発酵・熟成を止めるとともに、塩分測定をし
て塩分が不足している場合には追加添加して全体の塩分
が14〜16%となるように調整する。
【0030】第八工程:出来た醤油を収納タンク内にて
3日間放置しており引きを行ったうえ多段式濾過機でセ
ライト精密濾過を行い、それをレオニーダで80℃に加
熱することにより魚醤油ができあがった。
【0031】上記のように第一工程〜第八工程を順次行
うことにより、魚介類を原料として分解、発酵、成熟さ
せた後、精製することによる魚醤油の製造方法である。
【0032】上記のように本発明に係る製造方法により
製造した魚醤油とその原料鮭との遊離アミノ酸含有量お
よびアミノ酸組成に対する割合を分析対比した結果を示
したのが、図2である。図2から明らかなように、魚醤
油は原料鮭の時より大幅にアミノ酸の含有量が増えてい
ることが分かる。特に、アミノ酸系の旨味物質であるグ
ルタミン酸やアスパラギン酸が豊富に含まれている。ま
た、アミノ酸系の甘味物質であるグリシンやアラニンや
プロリンも多く含まれている。つまり本発明の製造方法
により製造された魚醤油は、天然アミノ酸が、種類、量
ともに豊富に含まれていて、香り、風味、旨味など味覚
的にも良好なものである。その用途においても本魚醤油
は、和風、洋風、エスニック、あらゆる分野の食品に少
量添加することにより、こくみを出し、まろやかさを醸
し出す良好な天然調味料である。
【0033】叙上のように本願発明に係る発明は、粗砕
した魚介類にパパイン溶液を添加し、撹拌しながら温度
を上昇させて分解させ、その身肉が溶解した後、食塩を
添加するとともに有機酸を添加してpHを5.0〜5.
5となるように調整し、常温にまで冷却した後、乳酸菌
と酵母と米麹とを添加し、撹拌しながら必要に応じてデ
キストリンを添加したり塩分調整したもろみを分解・発
酵・熟成させたことを特徴とする魚醤油の製造方法であ
る。
【0034】本願発明は、前処理としてパパイン溶液で
酵素分解したうえ、低塩分、低pHで腐敗防止しながら
乳酸菌、米麹菌、酵母で発酵分解するようにしたので、
天然アミノ酸の多く含まれている切れ味のよい風味が特
徴の魚醤油を、短期間に製造出来る。
【0035】また、本発明により製造される魚醤油は、
旨味成分、甘味成分、香味成分の豊かな天然調味料とな
るが、当該魚醤油は、塩分を低くして発酵・熟成してい
るので、上記の旨味や風味や香の豊かさが生きた天然調
味料となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】酵素の原料魚肉における分解適性を調べた結果
を示す図である。
【図2】本発明に係る製造方法により製造した魚醤油と
その原料である鮭との遊離アミノ酸含有量およびアミノ
酸組成に対する割合を分析対比した結果を示す表であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年5月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】実施例
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】
【実施例】以下本発明に係る魚醤油の製造方法を実施例
に基づいて詳細に説明する。
【0023】第一工程:北海道産の鮭から頭や内蔵を除
外した精肉をチョッパーにて粗砕して処理原料とする。
【0024】第二工程:粗砕した処理原料に酵素として
10%パパイン溶液を原料比2%添加して撹拌しながら
温度を50℃に上昇させながら約8時間酵素分解する。
尚、酵素分解途中で肉が溶解した時点で、食塩を原料比
13.6%添加する。
【0025】第三工程:原料を酵素分解した後、10%
クエン酸溶液を原料比1〜2%添加することによりpH
5.0〜5.2になるように調整した後、常温25℃に
まで冷却する。
【0026】第四工程:前記鮭肉を酵素分解し、pH調
整したうえ、常温に冷却した原料に1%乳酸菌液(原料
比0.14%)と酵母液(原料比0.14%)と米麹
(原料比10%)を添加し、撹拌しながら必要に応じて
デキストリン(原料比10%)を添加する。更に当該デ
キストリン添加後、塩分を測定して不足する追加塩分
(原料比2〜3%)を添加することにより全体の塩分量
が10〜12%になるように調整する。このようにして
もろみの仕込みを行う。
【0027】第五工程:前記もろみ仕込みを行った後、
ほぼ25℃で60日間、分解・発酵・熟成を行う。尚、
この際7日1回の割合で撹拌して分解・発酵・熟成を完
了させる。
【0028】第六工程:熟成もろみを油圧プレスで圧搾
して固液分離したうえ、得た液体を多段式濾過機を用い
てセライト濾過し、油分を除去する。
【0029】第七工程:濾過工程で油分を除去した生醤
油を減圧濃縮機にかけて約20%の水分を除去して濃縮
した後、撹拌タンクで80℃で10分間火入れを行い、
それ以上の発酵・熟成を止めるとともに、塩分測定をし
て塩分が不足している場合には追加添加して全体の塩分
が14〜16%となるように調整する。
【0030】第八工程:出来た醤油を収納タンク内にて
3日間放置しており引きを行ったうえ多段式濾過機でセ
ライト精密濾過を行い、それをレオニーダで80℃に加
熱することにより魚醤油ができあがった。
【0031】上記のように第一工程〜第八工程を順次行
うことにより、魚介類を原料として分解、発酵、成熟さ
せた後、精製することによる魚醤油の製造方法である。
【0032】上記のように本発明に係る製造方法により
製造した魚醤油とその原料鮭との遊離アミノ酸含有量お
よびアミノ酸組成に対する割合を分析対比した結果を示
したのが、図2である。図2から明らかなように、魚醤
油は原料鮭の時より大幅にアミノ酸の含有量が増えてい
ることが分かる。特に、アミノ酸系の旨味物質であるグ
ルタミン酸やアスパラギン酸が豊富に含まれている。ま
た、アミノ酸系の甘味物質であるグリシンやアラニンや
プロリンも多く含まれている。つまり本発明の製造方法
により製造された魚醤油は、天然アミノ酸が、種類、量
ともに豊富に含まれていて、香り、風味、旨味など味覚
的にも良好なものである。その用途においても本魚醤油
は、和風、洋風、エスニック、あらゆる分野の食品に少
量添加することにより、こくみを出し、まろやかさを醸
し出す良好な天然調味料である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】効果
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】
【効果】叙上のように本願発明に係る発明は、粗砕した
魚介類にパパイン溶液を添加し、撹拌しながら温度を上
昇させて分解させ、その身肉が溶解した後、食塩を添加
するとともに有機酸を添加してpHを5.0〜5.5と
なるように調整し、常温にまで冷却した後、乳酸菌と酵
母と米麹とを添加し、撹拌しながら必要に応じてデキス
トリンを添加したり塩分調整したもろみを分解・発酵・
熟成させたことを特徴とする魚醤油の製造方法である。
【0034】本願発明は、前処理としてパパイン溶液で
酵素分解したうえ、低塩分、低pHで腐敗防止しながら
乳酸菌、米麹菌、酵母で発酵分解するようにしたので、
天然アミノ酸の多く含まれている切れ味のよい風味が特
徴の魚醤油を、短期間に製造出来る。
【0035】また、本発明により製造される魚醤油は、
旨味成分、甘味成分、香味成分の豊かな天然調味料とな
るが、当該魚醤油は、塩分を低くして発酵・熟成してい
るので、上記の旨味や風味や香の豊かさが生きた天然調
味料となっている。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年8月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 魚醤油の製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚介類、特に鮭を原料
として、天然アミノ酸が多く含まれていてコクと深みの
ある味とマイルドな風味のある魚醤油を効率よく短期間
に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】魚醤や豆醤の造り方は中国から伝わった
ものとされているが、日本ではその後の食肉禁止による
食生活の変化により豆醤のみが盛んに使用されるように
なり、それが味噌や豆醤油や納豆などとして今日も盛ん
に利用されている。しかるに魚を原料としてこれを発酵
分解して製造する魚醤油は、ベトナム国のニョクマム、
タイ国のナンプラ、ミャンマーのガンピャーイェー、フ
ィリピンのパティスなどアジア各国の天然調味料として
発達してきた。近年の食物のグローバル化にともない魚
醤油が注目されるようになり、日本でも、魚醤油が販売
されるようになり、その製造法が各方面で開発されるよ
うになった(特開平3−254660号公報、特開平8
−23917号公報、特許第2588111号)。
【0003】 当該魚醤油の製造方法は、各国で多少づ
つ異なっているが、一般的な魚醤油の造り方は、次に示
したようなものである。それは、サバ、カタクチイワ
シ、アジ等の海遊小魚に20%〜30%の食塩を添加混
合して、6カ月〜1.5年間熟成させたうえ、圧搾、濾
過して一番搾りの魚醤油を抽出し、生じた残魚に一番搾
りの魚醤油と塩水とを加えて混合し、約1ケ月熟成させ
た後、圧搾、濾過して二番搾りの魚醤油を抽出し、残魚
に塩水を混合したうえ2時間〜3時間煮沸し、それから
圧縮、濾過して三番搾りの魚醤油を抽出し、その残魚を
肥料や家畜飼料とする方法である。
【0004】また、特開平3−254660号公報に記
載の技術は、タンパク分解酵素及びエチルアルコールの
存在下で、原料魚介を酵素分解することにより、短期間
に腐敗の危険性なく、高歩留まりで、無機塩濃度が低
く、風味が良い魚醤油を得る製造方法である。本発明の
タンパク分解酵素は、好塩性プロテアーゼ、サモアーゼ
PC−10、デナチームAP、オリエンターゼ5N、プ
ロテアーゼA、P−3、などである。
【0005】 また、特開平8−23917号公報に記
載の技術は、魚介類原料を自己消化させるか、酵素類を
添加して酵素分解させるか若しくは自己消化させると同
時に酵素を添加して酵素分解させて酵素分解物を作り、
この酵素分解物に、醤油麹と食塩を混合して仕込み熟成
させることを特徴とする魚醤油の製造方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記一般的な
魚醤油の造り方は、海遊小魚に食塩を添加混合して腐敗
を防止し、その原料自体が有する微生物により熟成させ
たうえ、圧搾、濾過して搾り魚醤油を採取するものであ
る。このような魚醤油の製造法は、腐敗を防止のために
多量の食塩が必要となるため、塩味が強くなって材料独
自の風味や旨味が殺されてしまう傾向があるうえ、当該
魚醤油の製法は、熟成までに長期の日時がかかる欠点が
あった。
【0007】 また、前記公報記載の先行技術では、熟
成の前処理として魚介類原料を酵素分解しているが、前
者は、分解酵素がパパイヤではないうえ、発酵菌が原料
に内在する菌を利用する方法であり、後者は、発酵菌と
して醤油菌を利用するだけの方法である。そのため、両
者とも魚醤油を短期間で製造することは出来るが、旨味
や風味や香味などへの配慮が充分でなく、調味料として
満足出来るものではなかった。
【0008】 そこで発明者は、調味料として良好な旨
味や風味を短期間に製造するという技術課題を同時に解
決することを目指し、数多く研究開発をした結果、食用
魚介類を原料とすること、前処理として酵素分解するの
にパパイン溶液を用いること、発酵菌として乳酸菌、米
麹菌、酵母を組み合わせて使用すること、低塩分、低p
Hで腐敗防止しながら発酵分解することにより、短期間
で糖分や有機酸やアルコール・エステル類(芳香性物
質)がバランス良く多量に生成するとの技術知見を見出
した。
【0009】 酵素選定には、微生物起源のAsper
gillus属由来のフレーバーザイム(ノボノルディ
スクバイオインダストリー)、プロテアーゼA、プロテ
アーゼM、プロテアーゼN、プロテアーゼP(天野製薬
(株))、Bacillus属由来のプロテアーゼS、
プロレザー(天野製薬(株))、オリエンターゼ22B
F急バイオインダストリー(株))、アルカラーゼ(ノ
ボノルディスクバイオインダストリー)、Rhizop
us属由来のニューラーゼF(天野製薬(株))等、ま
た、植物起源では、パパイヤ由来のパパイン(アサヒビ
ール(株))、パイナップル由来のブロメラインF(天
野製薬(株))等を用いて、溶解性や活性を測定した。
また、動物起源では、パンクレアチンF(天野製薬
(株))等を用いて、溶解性や活性を測定した。その結
果、パパイン、アルカラーゼ、プロテアーゼNが優れて
いたので、第1次選定し、次に当該一次選定した酵素を
用いて魚肉での適性を調べるために、鮭肉を用いて分解
試験を行った。尚、測定はそれぞれの酵素の至適条件下
で行い、鮭肉に0.1%の酵素を添加し反応させた時の
チロシン濃度の経時的変化を測定した。その結果は、図
1に示す通り、パパイン、アルカラーゼ、プロテアーゼ
Nの中では、パパインが分解の速さおよび強さに優れて
おり、原料魚肉の酵素処理にはパパインが適しているこ
とが判明した。
【0010】 次に、発酵、熟成のための微生物特定の
ために各種発酵菌の特性を研究した結果、麹菌と乳酸菌
と酵母とを組み合わせることにより、効率良く旨味成分
と呈味成分と芳香成分がバランス良く生産することが判
明した。つまり、麹菌は、蛋白質をペプチドに変えるプ
ロテアーゼ、ペプチドをアミノ酸に変えるペプチターゼ
炭水化物を糖に変えるアミラーゼ、脂質を脂肪酸やグリ
セリンに変えるリパーゼ、グルタミンをグルタミン酸に
変えるグルタミナーゼなど旨味成分を分解生成するのに
役立つ酵素を生産するし、乳酸菌は生成された糖を有機
酸に変えたり、もろみの防腐効果を増加させたり、もろ
み独特の酸味を与えたり、爽快感と味にしまりを与える
呈味成分を生産するし、酵母は、糖分からアルコール類
やエステル類をつくったり、脂肪酸やグリセリンから脂
肪酸エステルをつくったりして芳香成分を生産する。そ
こで、この三種類の微生物を組み合わせて添加すること
が望ましいことが判明した。
【0011】 本願発明は、前記のような研究により得
た技術的知見に基づいて、食用魚介類、特に鮭精肉を原
料として、これを粗砕したうえ、前処理としてパパイン
溶液で酵素分解したうえ、低塩分、低pHで腐敗防止し
ながら乳酸菌、米麹菌、酵母で発酵分解することにより
糖分と天然アミノ酸の多く含まれていて切れ味のよい、
魚介類の良好な風味や香味を備えた天然調味料(醤油)
を、短期間に提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第
1発明は、粗砕した魚介類にパパイン溶液を添加し、撹
拌しながら温度を上昇させて分解させ、その身肉が溶解
した後、食塩を添加するとともに有機酸を添加してpH
を5.0〜5.5となるように調整し、常温にまで冷却
した後、乳酸菌と酵母と米麹とを添加し、撹拌しながら
必要に応じてデキストリンを添加したり、塩分を10〜
12%に調整してなるもろみを分解・発酵・熟成させた
ことを特徴とする魚醤油の製造方法である。
【0013】 当該第1発明の特徴は、粗砕した魚介類
原料にパパイン溶液を添加し、酵素分解する点にある。
このような前処理をすることで、魚介類原料中のタンパ
ク質の分解が促進されるので、後からの乳酸菌と酵母と
米麹菌による分解・発酵・熟成が短期間にできるように
なった。また、本発明は、分解・発酵・熟成させるため
に、乳酸菌と酵母と米麹菌を用いた点にある。
【0014】 乳酸菌は、原料中の炭水化物由来の糖分
からの乳酸などの有機酸をつくり、こうして出来た有機
酸はもろみのpHを下げ防腐効果を増加させるととも
に、もろみ独特の風味である酸味を与える。有機酸の酸
味は、爽快感と味にしまりを与える上に必要な呈味成分
である。
【0015】 酵母は、原料中の炭水化物由来の糖分か
らアルコール類やエステル類をつくり、または脂質由来
の脂肪酸やグリセリンから脂肪酸エステルをつくる。こ
れらのアルコール類やエステル類は芳香性物質であり、
化学作用により微量の物質が生じたりすること等が相集
まって、特有の香りが醸成される。つまり、酵母がおこ
なう分解・発酵により芳香成分が強くなる。
【0016】 米麹菌は、パパインで分解しきれなかっ
たタンパク質や難消化性タンパク質を米麹菌のプロテア
ーゼによりペプチドに分解し、次にペプチドを米麹菌の
ペプチダーゼによりアミノ酸に分解して、旨味を呈する
グルタミン酸やアスパラギン酸をはじめとする多くのア
ミノ酸類を食塩水中に溶出させる。つまり、米麹菌によ
る分解・発酵により旨味成分が一層強くなる。
【0017】 また、米麹菌は、原料中の炭水化物成分
を米麹菌のアミラーゼにより分解して糖分を生成させる
が、必要に応じてデキストリンを加えるようにしたの
で、糖分が豊富になる。この糖分は、酵母により発酵さ
れるとアルコール類やエステル類となり、香味成分とな
る。従って、糖分が多いことは、甘味成分や香味成分が
多いことを意味している。また、乳酸菌もこの糖分を利
用して発酵を行い、有機酸を生成し、風味成分を増加さ
せている。
【0018】 また、原料中の脂質は米麹菌のリパーゼ
により分解されて、脂肪酸やグリセリンになるが、これ
らは酵母により発酵されると脂肪酸エステルとなり、香
味成分となる。
【0019】 上記のように、風味や香味が豊かな魚醤
油をつくるには、分解・発酵・熟成における米麹菌、乳
酸菌、酵母を組み合わせた発酵菌と、それぞれの菌の作
用が必要不可欠であり、これらの微生物が原料中の各成
分を順次に分解・発酵することによって、バランス良く
旨味成分、甘味成分、香味成分が相乗的に増加してい
く。しかも当該魚醤油は、塩分を10〜12%に低く調
整してあるので、上記の旨味や風味や香りの豊かさが生
きた天然調味料となっている。
【0020】 特許を受けようとする第2発明は、粗砕
した鮭精肉にパパイン溶液を添加し、撹拌しながら温度
を約50℃に上昇させて酵素分解させ、その身肉が溶解
した後、食塩を添加するとともに、有機酸を添加してp
Hを5.0〜5.5となるように調整したうえ、常温に
まで冷却し、その後、乳酸菌と酵母と米麹菌とを添加
し、撹拌しながら必要に応じてデキストリンを添加した
うえ、塩分を10〜12%に調整してなるもろみを25
℃で2〜3ケ月間を分解・発酵・熟成させたことを特徴
とする魚醤油の製造方法である。
【0021】 第2発明は、基本的には第1発明と同じ
製造法であるが、原料を鮭の精肉にしたことに特徴があ
る。従って、鮭の風味が生きたしかも天然アミノ酸の多
く含まれていてコクと深みのある味とマイルドな風味の
ある魚醤油を効率よく短期間に製造することができた。
【0022】
【実施例】 以下本発明に係る魚醤油の製造方法を実施
例に基づいて詳細に説明する。
【0023】 第一工程:北海道産の鮭から頭や内蔵を
除外した精肉をチョッパーにて粗砕して処理原料とす
る。
【0024】 第二工程:粗砕した処理原料に酵素とし
て10%パパイン溶液を原料比2%添加して撹拌しなが
ら温度を50℃に上昇させながら約8時間酵素分解す
る。尚、酵素分解途中で肉が溶解した時点で、食塩を原
料比13.6%添加する。
【0025】 第三工程:原料を酵素分解した後、10
%クエン酸溶液を原料比1〜2%添加することによりp
H5.0〜5.2になるように調整した後、常温25℃
にまで冷却する。
【0026】 第四工程:前記鮭肉を酵素分解し、pH
調整したうえ、常温に冷却した原料に1%乳酸菌液(原
料比0.14%)と酵母液(原料比0.14%)と米麹
(原料比10%)を添加し、撹拌しながら必要に応じて
デキストリン(原料比10%)を添加する。更に当該デ
キストリン添加後、塩分を測定して不足する追加塩分
(原料比2〜3%)を添加することにより全体の塩分量
が10〜12%になるように調整する。このようにして
もろみの仕込みを行う。
【0027】 第五工程:前記もろみ仕込みを行った
後、ほぼ25℃で60日間、分解・発酵・熟成を行う。
尚、この際7日1回の割合で撹拌して分解・発酵・熟成
を完了させる。
【0028】第六工程:熟成もろみを油圧プレスで圧搾
して固液分離したうえ、得た液体を多段式濾過機を用い
てセライト濾過し、油分を除去する。
【0029】 第七工程:濾過工程で油分を除去した生
醤油を減圧圧縮機にかけて約20%の水分を除去して濃
縮した後、撹拌タンクで80℃で10分間火入れを行
い、それ以上の発酵・熟成を止めるとともに、塩分測定
をして塩分が不足している場合には追加添加して全体の
塩分が14〜16%となるように調整する。
【0030】 第八工程:出来た醤油を収納タンク内に
て3日間放置しており引きを行ったうえ多段式濾過機で
セライト精密濾過を行い、それをレオニーダで80℃に
加熱することにより魚醤油ができあがった。
【0031】 上記のように第一工程〜第八工程を順次
行うことにより、魚介類を原料として分解、発酵、成熟
させた後、精製することによる魚醤油の製造方法であ
る。
【0032】
【効果】上記のように本発明に係る製造方法により製造
した魚醤油とその原料鮭との遊離アミノ酸含有量および
アミノ酸組成に対する割合を分析対比した結果を示した
のが、図2である。図2から明らかなように、魚醤油は
原料鮭の時より大幅にアミノ酸の含有量が増えているこ
とが分かる。特に、アミノ酸系の旨味物質であるグルタ
ミン酸やアスパラギン酸が豊富に含まれている。また、
アミノ酸系の甘味物質であるグリシンやアラニンやプロ
リンも多く含まれている。つまり本発明の製造方法によ
り製造された魚醤油は、天然アミノ酸が、種類、量とも
に豊富に含まれていて、香り、風味、旨味など味覚的に
も良好なものである。その用途においても本魚醤油は、
和風、洋風、エスニック、あらゆる分野の食品に少量添
加することにより、こくみを出し、まろやかさを醸し出
す良好な天然調味料である。
【0033】 叙上のように本願発明に係る発明は、粗
砕した魚介類にパパイン溶液を添加し、撹拌しながら温
度を上昇させて分解させ、その身肉が溶解した後、食塩
を添加するとともに有機酸を添加してpHを5.0〜
5.5となるように調整し、常温にまで冷却した後、乳
酸菌と酵母と米麹とを添加し、撹拌しながら必要に応じ
てデキストリンを添加したり塩分調整したもろみを分解
・発酵・熟成させたことを特徴とする魚醤油の製造方法
である。
【0034】 本願発明は、前処理としてパパイン溶液
で酵素分解したうえ、低塩分、低pHで腐敗防止しなが
ら乳酸菌、米麹菌、酵母で発酵分解するようにしたの
で、天然アミノ酸の多く含まれている切れ味のよい風味
が特徴の魚醤油を、短期間に製造出来る。
【0035】 また、本発明により製造される魚醤油
は、旨味成分、甘味成分、香味成分の豊かな天然調味料
となるが、当該魚醤油は、塩分を低くして発酵・熟成し
ているので、上記の旨味や風味や香の豊かさが生きた天
然調味料となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】酵素の原料魚肉における分解適性を調べた結果
を示す図である。
【図2】本発明に係る製造方法により製造した魚醤油と
その原料である鮭との遊離アミノ酸含有量およびアミノ
酸組成に対する割合を分析対比した結果を示す表であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗砕した魚介類にパパイン溶液を添加
    し、撹拌しながら温度を上昇させて分解させ、その身肉
    が溶解した後、食塩を添加するとともに有機酸を添加し
    てpHを5.0〜5.5となるように調整し、常温にま
    で冷却した後、乳酸菌と酵母と米麹とを添加し、撹拌し
    ながら必要に応じてデキストリンを添加したり塩分調整
    したもろみを分解・発酵・熟成させたことを特徴とする
    魚醤油の製造方法。
  2. 【請求項2】 粗砕した鮭精肉にパパイン溶液を酵素と
    して添加し、撹拌しながら温度を約50℃に上昇させて
    酵素分解させ、その身肉が溶解した後、食塩を添加する
    とともに、有機酸を添加してpHを5.0〜5.5とな
    るように調整したうえ、常温にまで冷却した後、乳酸菌
    と酵母と米麹とを添加し、撹拌しながら必要に応じてデ
    キストリンを添加し、塩分を10〜12%に調整したも
    ろみを25℃で2〜3ケ月間、分解・発酵・熟成させた
    ことを特徴とする魚醤油の製造方法。
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