JP2004357611A - おから可溶化液からなる培地とその製造方法、該培地を用いた微生物の培養方法及び有用物質の製造方法と食品素材 - Google Patents
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Abstract
【課題】取扱性が改善され、利用可能性が向上したおからを含む培地、該培地の製造法、該培地を用いた微生物の培養法、有用物質の製造方法、該有用物質を含む食品素材を提供する。
【解決手段】本発明の培地は、微生物を培養する培地であって、おからを可溶化して得られる可溶化液に、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分が添加されていることを特徴としている。前記タンパク質若しくはペプチドには、例えば構成アミノ酸としてグルタミン酸を含むタンパク質若しくはペプチドが用いられ、前記アミノ酸若しくはその塩には、例えばグルタミン酸若しくはその塩が用いられる。本発明においては、タンパク質源として豆乳を添加した培地が特に好ましく用いられる。上記本発明の培地を用いて微生物を培養することにより有用物質を生産することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の培地は、微生物を培養する培地であって、おからを可溶化して得られる可溶化液に、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分が添加されていることを特徴としている。前記タンパク質若しくはペプチドには、例えば構成アミノ酸としてグルタミン酸を含むタンパク質若しくはペプチドが用いられ、前記アミノ酸若しくはその塩には、例えばグルタミン酸若しくはその塩が用いられる。本発明においては、タンパク質源として豆乳を添加した培地が特に好ましく用いられる。上記本発明の培地を用いて微生物を培養することにより有用物質を生産することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、おからを用いた培地、該培地の製造法、該培地を用いた微生物の培養方法、有用物質の製造方法、及び該微生物による培養液からなる食品素材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、大豆食品生産時に産出される副生産物である「おから」は、家畜飼料や肥料などに用いられるもののその大部分が有効利用されず、多大な経費をかけて処理されている。このため、おからを有用資源として利用することを目的とする種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1及び2には、おからの水抽出液を使用して乳酸菌を培養する方法が開示されており、また、特許文献3には、おからと水の混合物を培地として担子菌を培養した培養物に酵素を作用させてアミノ酸を生成する方法が開示されている。しかし、これらの方法では固形分としておからを利用するため取扱性に劣ることから適用範囲が狭く、また、おからを培地として微生物を培養する際に多くの添加物を含むため、培養物自体を食品素材として用いることができないなどの問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特公平5−28588号公報
【特許文献2】
特公平3−37904号公報
【特許文献3】
特公平2−17143号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、取扱性が改善され、利用可能性が向上したおからを含む培地、該培地の製造法、該培地を用いた微生物の培養法、有用物質の製造方法、該有用物質を含む食品素材を提供することにある。
本発明の他の目的は、微生物を培養した培養物をそのまま食品素材とすることが可能な培地、該培地の製造法、該培地を用いた微生物の培養法、有用物質の製造方法、該有用物質を含む食品素材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、おからを可溶化して得られる可溶化液に、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分を添加した培地を用いて微生物を培養することにより、有用物質を含む食品素材などが得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、微生物を培養する培地であって、おからを可溶化して得られる可溶化液に、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分を添加した培地を提供する。前記タンパク質若しくはペプチドとしては、例えば構成アミノ酸としてグルタミン酸を含むタンパク質若しくはペプチドが用いられ、また、前記アミノ酸若しくはその塩としては、例えばグルタミン酸若しくはその塩が用いられる。本発明の培地は、好ましくはタンパク質源として豆乳が添加されている。
【0007】
また、本発明は、微生物を培養する培地の製造方法であって、酵素によっておからを可溶化する工程と、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分をおから又はおから可溶化液に添加する工程を含む培地の製造方法を提供する。
【0008】
本発明は、また、上記の培地を用いて微生物を培養する微生物の培養方法を提供する。微生物としては、例えば乳酸菌が用いられ、該乳酸菌として、γ−アミノ酪酸生産乳酸菌を用いることができる。
【0009】
さらに、本発明は、上記の培地を用いて微生物を培養して有用物質を生産する有用物質の製造方法を提供する。前記有用物質には、食品、医薬品、農薬、肥料、飼料、工業用原料が含まれ、特に、γ−アミノ酪酸であるのが好ましい。
【0010】
また、本発明は、上記の培地で培養した微生物により生産された有用物質を含有する培養液を含む食品素材を提供する。前記有用物質には、γ−アミノ酪酸が含まれる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の培地は、微生物を培養する培地であって、おからを可溶化して得られる可溶化液に、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩(以下、「アミノ酸成分」と称する場合がある)から選択された少なくとも一種の成分が添加されている。
【0012】
本発明に用いるおからは、湯葉や豆腐の製造時に副生し、その多くが廃棄処分されるが、大豆由来の豊富な有用成分を含んでいる。このような有用成分として、タンパク質、脂質、糖質、繊維、ビタミン、ミネラルなどが挙げられ、なかでも、糖質、繊維、ミネラル、ビタミンは他の大豆製品(豆乳、豆腐など)と比較して多く含まれている。その他の有用成分として、血中コレステロール値の上昇を抑制する作用、抗ガン性などを有するイソフラボン(ゲニステイン、ダイジンなど)や、抗酸化性物質(トリテルペン、植物ステロイドの配糖体など)などが知られている。本発明においては、おからを可溶化して培地に用いるため、上記おからの有用成分を含む培養物をそのまま、又は体内に吸収されやすい形で食品として摂取することできる。
【0013】
おから可溶化液は、取扱性が良好なため、培地に用いた際に多種類の微生物を培養することができる点で有利である。本発明における「おからの可溶化」とは、おからを構成する難水溶性成分を分解することを含む意味に用いる。おからを可溶化する方法としては、例えば、おからに含まれる難水溶性成分を酸及び/又はアルカリを用いて非選択的に化学的に分解する方法、おからに含まれる難水溶性成分を酵素を用いて温和な条件で選択的に分解する方法などが挙げられる。本発明においては、後者の方法が好ましく用いられる。
【0014】
おからの可溶化に用いる酵素としては、分解する難水溶性成分の種類により適宜選択でき、例えば、セルラーゼ(商品名「ドリセラーゼ」、協和発酵社製など)、ゼネラーゼ(商品名)、ペクチナーゼなどの多糖類分解酵素;ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、パパインなどのプロテアーゼ;リパーゼなどの脂肪水解酵素などの分解性酵素の他、分解を補助する働きのあるラッカーゼ、リポキシダーゼなどの酸化酵素などが挙げられる。これらの酵素は単独で、又は2種以上混合して用いてもよい。中でも、多糖類分解酵素は、難水溶性成分の主成分となる多糖体を分解でき、分解生成物としてのグルコースを含む還元糖などが微生物の栄養源となる。可溶化の効率、入手容易性などの点から、特にセルラーゼ、ペクチナーゼなどが好ましく用いられる。おからを効率よく可溶化するため、上記の多糖類分解酵素を数種類組み合わせて使用する場合が多い。
【0015】
本発明の培地に添加されるアミノ酸成分としては、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された単一の成分であってもよく、これらの混合物であってもよい。アミノ酸成分としてタンパク質又はペプチドを用いる場合には、プロテアーゼなどの酵素を培地に添加して、タンパク質を分解して培地中にアミノ酸を生成させることもできる。アミノ酸成分としては、少なくともタンパク質又はペプチドを用いるのが好ましい。
【0016】
前記タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩としては、培養する微生物の種類や目的とする有用物質の種類に応じて適宜選択して用いられる。アミノ酸成分は、微生物の栄養源として、又は目的とする有用物質の原料(基質)として利用される。前記タンパク質源として、例えば、米、麦などの穀物類;大豆、豆乳、おからなどの大豆製品;乳、脱脂粉乳などの乳製品;卵、魚、肉及びこれらの加工品などのタンパク質含有品を培地に添加してもよい。これらの製品中には、小麦タンパク質(グルテンなど)、大豆タンパク質(グリシニン、ホエータンパクなど)、ミルクタンパク質(カゼインタンパク、ホエータンパクなど)、コラーゲン、ゼラチン(変性コラーゲン)などが含まれている。
【0017】
本発明の培地を用いて微生物を培養し、微生物が有する酵素活性等を利用して有用物質を生産しようとする場合には、一般に、酵素反応の基質を含む培地が用いられる。本発明の培地の好ましい態様では、グルタミン酸を基質とするγ−アミノ酪酸生産乳酸菌等を培養することを目的として、アミノ酸成分として、グルタミン酸又はその塩、構成アミノ酸にグルタミン酸を含むタンパク質及びペプチドから選択された少なくとも一種の成分が添加されている。構成アミノ酸にグルタミン酸を含むタンパク質又はペプチドは、プロテアーゼなどの作用によりグルタミン酸を生成し、基質として酵素反応に利用される。タンパク質又はペプチドからグルタミン酸を生成する方法としては、例えば、微生物を培養する前の培地に、又は培養中の培養液にプロテアーゼを添加する方法、目的の微生物を培養する前に、予めグルタミン酸遊離活性の高いプロテアーゼ生産性微生物を培養する方法、グルタミン酸遊離活性の高いプロテアーゼ生産性微生物と目的の微生物と混合培養する方法などが挙げられる。
【0018】
また、培地に添加されるタンパク質としては、食品製造工程における廃素材利用の目的から、例えばタンパク質含有食品廃素材、好ましくは大豆タンパク質含有食品廃素材が用いられ、特に豆乳は、湯葉製造時におからと共に生ずる廃素材を活用できるため好ましく用いられる。豆乳を用いた培地によれば、豆乳の構成成分が微生物の栄養源となって、培地にその他の添加物を加えなくても微生物の増殖を促進することができ、しかも微生物培養後の培地を含んだ培養液をそのまま食品素材として利用することができる。
【0019】
豆乳は、水で浸漬した大豆を磨砕したものに水を加えて加熱、濾過することにより得られる。豆乳は、そのまま、若しくは他の成分を添加して飲料用として、又は豆腐や湯葉の原料として利用されるなど多様な形態で食されている。豆乳には、おからと同様、大豆由来の有用成分であるタンパク質、脂質、糖質、繊維、ビタミン、ミネラル(鉄分等)などが含まれている。このような豆乳を培地に添加した場合には、特に炭素源としての糖質、窒素源としてのタンパク質、ビタミン、ミネラルなどが微生物の栄養源として補われ、微生物の増殖を促進することができる。豆乳の重要な特徴としては、大豆中の水溶性タンパク質であるグリシニンやホエータンパク質等を高濃度に含み、しかもこれらの水溶性タンパク質は構成アミノ酸としてグルタミン酸を最も多く含んでいることが挙げられる。このため、豆乳は、グルタミン酸を基質とする微生物(γ−アミノ酪酸生産乳酸菌など)を培養する培地に添加されるアミノ酸成分として好適である。
【0020】
本発明の培地におけるタンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩は微生物の栄養源となることから、おから可溶化液のみで構成される培地と比較して微生物の増殖を促進することができる。このため、前記微生物を利用した有用物質の生産、及び得られた有用物質からなる食品素材の製造を効率よく行うことができる。特に、グルタミン酸を基質とする微生物、例えばγ−アミノ酪酸生産乳酸菌を培養するために用いる培地においては、アミノ酸成分として、好ましくはグルタミン酸若しくはその塩と豆乳を組み合わせて用いられる。アミノ酸成分(総量)の使用量は、おから可溶化液に対して、例えば0.1〜100重量%、好ましくは0.5〜50重量%、特に好ましくは0.5〜30重量%程度である。
【0021】
本発明の培地は、微生物の生育のために、上記の他に、ブドウ糖、果糖、麦芽糖などの糖類;ビタミンやミネラルなどを添加してもよく、さらに、乳化剤、安定剤、pH調整剤などの食品添加物などを添加してもよい。本発明では、微生物の培養に必要な栄養分を多量に含むため、上記のような添加物を用いなくても微生物を培養することができる。本発明の培地によれば、食用に不向きであるGYP培地と異なり、おから可溶化液とタンパク質等のアミノ酸成分とから構成されるため、微生物を培養した培地を含む培養液をそのまま食品素材に用いることができる。
【0022】
本発明の培地を用いて培養する微生物としては、有用物質を生産可能な微生物であって、おから可溶化液中に含まれるグルコース等の還元糖中で増殖可能な微生物であればよく、例えば、乳酸菌[ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属など]、酵母菌[サッカロマイセス(Saccharomyces)属、カンジダ(Candida)属など]、枯草菌(納豆菌)[バチルス(Baccilus)属など]、放射菌[ストレプトマイセス(Streptomyces)属など]、糸状菌[アスペルギルス(Aspergillus)属(麹菌)、ペニシリウム(Penicillium)属、ジゾフィラム(Schizophyllum)属、トラメテス(Trametes)属、プレウロタス(Pleurotus)属など]、担子菌類[ブナハリタケ属(Mycoleptodonoides)]、連鎖球菌[ストレプトコッカス(Streptococcus)属]、粘菌類、光合成菌、芽胞菌(バチルス サブチルス)、藻類(クロレラ)などが挙げられる。なかでも乳酸菌等が好ましく、特に本発明においては、γ−アミノ酪酸(GABA)生産乳酸菌が好ましく用いられる。
【0023】
γ−アミノ酪酸(GABA)については、哺乳動物の小脳、脊髄後角、黒質、海馬などに多く存在する抑制性神経伝達物質と考えられており、主としてグルタミン酸からグルタミン酸脱炭酸酵素の作用により生合成される。その生理作用としては、例えば、血管を拡張して血圧を降下する作用、塩分の過剰摂取に対する尿へのナトリウムイオン排出を促進する作用、脳内の血液の流れを活発にして酸素供給量を増加させることによる脳の代謝機能を亢進する作用などが知られている。γ−アミノ酪酸を食品として摂取することによりこれらの生理作用が期待されることから、γ−アミノ酪酸の含有量を増加させた食品、微生物を利用したγ−アミノ酪酸含有食品の製造方法などが広く検討されている。
【0024】
本発明の培地によれば、上記の特性を有するγ−アミノ酪酸(その塩を含む)を生産する乳酸菌を培養することができ、培養液中にγ−アミノ酪酸を蓄積させることができる。しかも、本発明の培地は、おから可溶化液とアミノ酸成分とで構成されるため、培養液をそのままγ−アミノ酪酸生産乳酸菌含有食品として提供することも可能である。
【0025】
本発明の培地の製造法は、酵素によっておからを可溶化する工程(以下、「工程A」と称する場合がある)と、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分をおから又はおから可溶化液に添加する工程(以下、「工程B」と称する場合がある)を含んでいる。
【0026】
工程Aに用いる酵素は、前記おからの可溶化に用いる酵素として例示のものを使用できる。工程Aの一態様としては、例えば、滅菌したおからを緩衝液に分散させた混合液に酵素を添加して酵素処理を施した後、得られた処理液を濾過し、該濾液を、必要に応じて希釈又は濃縮した後、おから可溶化液として回収することにより行われる。処理温度は、用いる酵素の種類により適宜選択され、例えば20〜40℃、好ましくは25〜35℃である。処理時間は、例えば0.5〜5日間、好ましくは1〜3日間程度である。
【0027】
なお、工程Aにおいて、酵素処理により濾過した後の残渣は、固形状態のおからに適宜な処理を施すことにより再利用できる。その一例として、残渣(沈殿物)を乾燥して粉末状とし、多孔性セラミックの原料などの工業用原料として利用することができる。このため、新たな廃棄物を生ずることなく培地を製造することができる。
【0028】
工程Bにおいて、おから又はおから可溶化液にアミノ酸成分を添加する。工程Bは、工程Aの前工程でもよく後工程に設けられてもよい。アミノ酸成分としては、前記培地に添加するタンパク質等として例示のものを、前記の使用量で利用できる。工程Bにおいては、必要に応じて種々の添加物を用いてもよく、例えば、プロテアーゼを添加することによりタンパク質やペプチドを分解して遊離のアミノ酸を生成させてもよい。
【0029】
さらに、本発明の培地の製造方法には、微生物の生育促進のための糖類、ビタミン、ミネラル及びその他の添加物を添加する工程を設けてもよい。なお、本発明の培地は添加物を用いなくても微生物を培養することができる。
【0030】
本発明の培地の製造方法によれば、おからに含まれる各種成分を含み、且つ微生物の増殖に適した培地を簡易に得ることができる。こうして得られた培地からは、培養液をそのまま食品に用いた際には、おから由来の有効成分を保持した食品を得ることができる。
【0031】
本発明の微生物の培養方法は、上記本発明の培地を用いることを特徴としている。微生物としては、上記本発明の培地を用いて培養する微生物として例示のものを用いることができる。本発明において特に好ましく用いられるγ−アミノ酪酸(GABA)生産乳酸菌としては、γ−アミノ酪酸を生産することができる乳酸菌であればよく、その具体例として、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis) TY414、ラクトバチルス ブレビス IFO3345、ラクトバチルス ブレビス IFO3960、ラクトバチルスブレビス IFO12005、ラクトバチルス ブレビス IFO12520などのラクトバチルス属乳酸菌;ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis) YIT2027などのラクトコッカス属乳酸菌などが挙げられる。
【0032】
上記方法においては、上記の微生物を単独で、又は2種以上を混合培養してもよい。このような微生物の組み合わせとして、好ましくは、上記のγ−アミノ酪酸生産乳酸菌とプロテアーゼ生産微生物との組み合わせが挙げられる。プロテアーゼ生産微生物としては、乳酸菌、コリネバクテリア(Corynebacterium glutamicumなど)、ブレビバクテリア(Brevibacteriuna flavum、B.lactofermentum、B.thiogenitalisなど)、マイクロバクテリア(Microbacterium ammoniaphilumなど)などのグルタミン酸の遊離活性が高い微生物などを利用することができる。本発明においては、特にプロテアーゼ生産乳酸菌が好ましく、グルタミン酸遊離活性が高い乳酸菌の代表的な例としては、ラクトバチルス カゼイ(Lactobavillus casei) YIT9029などのラクトバチルス属乳酸菌;ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis) YIT2027、ラクトコッカス ラクチスサブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis ss.cremoris) YIT2007(ATCC19257)などのラクトコッカス属乳酸菌などが挙げられる。γ−アミノ酪酸生産乳酸菌とプロテアーゼ生産微生物の組み合わせによれば、プロテアーゼ生産乳酸菌が有するグルタミン酸遊離活性により培地に含まれるタンパク質からグルタミン酸が生産され、該グルタミン酸からγ−アミノ酪酸生産乳酸菌の酵素作用によりγ−アミノ酪酸を培養液中に蓄積することができる。この場合、グルタミン酸を添加する必要がないため、得られる培養液をそのまま食品素材に用いた際にも食品の味や色が変化しにくい。
【0033】
培養温度及び時間は、微生物の種類やその組み合わせにより適宜選択される。必要に応じて、培養する微生物に適した栄養分を添加してもよい。培養は、静置培養又は振盪培養により行われる。
【0034】
本発明の有用物質の製造方法は、上記本発明の培地を用いて微生物を培養して有用物質を生産することを特徴としている。前記有用物質は、例えば、食品、医薬品、農薬、肥料、飼料、工業用原料等として利用される。
【0035】
このような有用物質(それを生産する微生物)の具体例としては、味噌、醤油、漬け物、酒などの発酵食品(麹菌、乳酸菌、酵母)や、γ−アミノ酪酸含有食品(γ−アミノ酪酸生産乳酸菌)などの機能性食品;抗生物質(アオカビ、枯草菌)、血圧降下作用を有するアンジオテンシンI変換酵素(ブナハリタケ子実体)などの医薬品;農薬(抗生物質生産納豆菌);肥料(厨芥分解酵素生産糸状菌)、浄化土壌(塩素化ダイオキシン類分解酵素生産糸状菌);家畜飼料(セルロース分解酵素生産乳酸菌);製紙原料としての非木材繊維(セルロース生産性細菌)、石油採集時の補助剤(粘性多糖生成菌)などの工業用原料などを例示できる。微生物により生産された有用物質は、菌体内に蓄積されていてもよく、菌体外(培養液中)に放出されてもよい。
【0036】
本発明の有用物質の製造方法は、上記本発明の培地がおから可溶化液とアミノ酸成分とで構成されており、培養液がそのまま摂取可能であることから、薬理用組成物、食品用の機能性酵素及びその生成物の製造に適しており、なかでもγ−アミノ酪酸の製造に好適である。本発明の有用物質の製造方法の好ましい態様としては、おから可溶化液、グルタミン酸及び豆乳からなる培地に、微生物として上記に例示のγ−アミノ酪酸生産乳酸菌を接種して振盪又は静置培養し、該乳酸菌が有するグルタミン酸脱炭酸酵素の作用により培地に含まれるグルタミン酸からγ−アミノ酪酸を生成し、γ−アミノ酪酸が蓄積した培養液を得る方法などが挙げられる。
【0037】
培養温度は、例えば20から40℃、好ましくは25〜35℃の範囲であって、培養日数は、例えば0.5〜10日間、好ましくは1〜5日間程度である。豆乳の添加量は、おから可溶化液に対して例えば0.1〜100重量%、好ましくは0.5〜50重量%、特に好ましくは0.5〜30重量%程度である。グルタミン酸の添加量は、おから可溶化液に対して例えば0〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%程度である。なお、グルタミン酸に代えて、又はグルタミン酸と共に、豆乳のタンパク質を構成アミノ酸に分解する酵素、例えばプロテアーゼ又はプロテアーゼ生産性微生物を培地に添加してもよい。また、グルタミン酸の代わりにグルタミン酸ナトリウムなどのグルタミン酸塩を用いることもできる。
【0038】
本発明の食品素材は、上記本発明の培地で培養した微生物により生産された有用物質を有する培養液を含むことを特徴としている。本発明の食品素材には、前記培養液そのもの、又は該培養液を濾過、濃縮、乾燥などの処理工程に付した処理物などを利用できる。
【0039】
前記濾過工程は、例えば、濾紙、濾布などの通常の食品加工用の濾過装置を用い、必要に応じて、珪藻土やセルロース、活性炭などの濾過助剤を用いて行われる。濃縮工程は、例えば、単に加熱により培養液中の水分を蒸発させるか、または、真空濃縮機、減圧濃縮機、蒸留釜、凍結濃縮機などの慣用の装置を用いて行われる。乾燥工程は、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥などの方法を用いて効率的かつ衛生的に行われる。上記以外に、食品素材中の有用物質の含有量を高めるため、例えば液体クロマトグラフィーなどを用いて処理してもよい。上記処理工程により、高い含有量で有用物質を含有した液状又は粉末状食品素材を得ることができる。
【0040】
上記本発明の培地は、おから可溶化液とアミノ酸成分とで構成されているため、微生物を培養した後の培養液をそのまま本発明の食品素材として利用することができる。そのため、微生物が生産した有用物質を培養液から分離、精製する工程を簡易に又は省略することができ、有用物質が変質しやすい場合に効果的である。
【0041】
培養液又はその処理物からなる食品素材は、そのまま、又は他の食品と混合したり二次加工を施すことにより、有用物質を含有した高機能性食品の製造に利用される。本発明の食品素材を利用した有用物質含有食品は、賦形剤、甘味料、増粘剤、タンパク質、ペプチド、脂質、多糖類、糖質、塩類などの通常食品に用いられる成分を含んでいてもよい。
【0042】
本発明の食品素材は、おから可溶化液を主成分とする培養液に由来するため、具体的には、大豆タンパク利用食品の食品素材として用いることができる。大豆タンパク利用食品としては、保水性やリジン強化等を利用したパン、麺類(うどん、そば、パスタ等);乳化性や結着性を利用したソーセージ、ハムなど;ゲル形成能、粘弾性、保水力、乳化性を利用したカマボコ、ちくわなど;焼き縮み防止、結着性等を利用したハンバーグ;保水性、保型性や肉粒感を利用したシューマイ、餃子、肉まんなど;乳化性を利用した乳製品などが挙げられる。
【0043】
また、微生物として乳酸菌を用いて得られる食品素材は、乳酸発酵物として乳酸菌飲料などの素材や漬物の調味液などに用いることもできる。乳酸菌飲料は、例えば、本発明の食品素材としての培養液に、甘味料、香料、色素、果汁系フレーバー、安定剤などを調合、殺菌したものを合わせ、均質化することにより得られる。また、漬物の調味液は、本発明の培養液に、例えば、塩、砂糖、化学調味料(アミノ酸等)、醤油、唐辛子、酢などの調味料を調合して得られる。このような調味液は、必要に応じて乳酸発酵を促進させるための微生物や発酵物が添加されて、適宜の野菜の漬物製造に利用することができる。
【0044】
本発明の食品素材によれば、有用物質を高濃度に含有する高機能性食品を製造することができ、特に、生鮮品には微量にしか含まれないような有用物質を容易に摂取することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、おからを可溶化し、これにアミノ酸成分を添加して培地とするため、取扱性が改善された培地を簡便に得ることができる。このような培地によれば、培養する微生物の選択性が広く、また、微生物を利用して効率よく有用物質を製造することができる。さらに、前記培地は食品であるおからを主成分に含むため、微生物を培養した培養液から有用物質を単離することなく、培養液をそのまま食品素材とすることができる。
【0046】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。おから可溶化液のグルコース濃度はGOD法により、還元糖濃度はSomogyi−Nelson法によりそれぞれ測定した。実施例2、3及び参考例1における培養液中のアミノ酸濃度(グルタミン酸及びγ−アミノ酪酸)はアミノ酸分析機[島津製作所(株)製、商品名「LC−9A」]を用いて測定した。
【0047】
実施例1
0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)100mlをおから20gに加えた混合物をオートクレーブで滅菌した後、予めセルラーゼ[セルラーゼA「アマノ」3、天野エンザイム(株)製]40mgとペクチナーゼ[ペクチナーゼG「アマノ」、天野エンザイム(株)製、商品名]40mgとを溶解させた0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)1mlを加え、50℃の温度下、1日間酵素処理を行った。酵素処理後、濾過により沈殿物を除去し、グルコース濃度5.8mM、還元糖濃度34mMのおから可溶化液を得た。前記おから可溶化液に、可溶化液に対して1重量%のグルタミン酸ナトリウムを添加することによりおから培地(グルコース濃度約5mM)を得た。
この培地に、ラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。
得られた培養液中の生細胞数を希釈平板培養法を用いて調べたところ、培養開始1日経過後は1.2×108cells/ml、2日経過後は1.1×108cells/ml、3日経過後が1.9×108cells/mlであった。
【0048】
実施例2
オートクレーブで滅菌したおから20gを0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)100mlに加えて撹拌し、予めセルラーゼ[セルラーゼA「アマノ」3、天野エンザイム(株)製]40mgとペクチナーゼ[ペクチナーゼG「アマノ」、天野エンザイム(株)製、商品名]40mgとを溶解させた0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)1mlを加え、50℃の温度下、1日間酵素処理を行った。酵素処理後、濾過により沈殿物を除去し、グルコース濃度5.8mM、還元糖濃度34mMのおから可溶化液を得た。前記おから可溶化液に、可溶化液に対して5重量%の豆乳、同1重量%のグルタミン酸ナトリウムを添加することによりおから培地(グルコース濃度約5mM)を得た。
この培地に、ラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。培養2日経過後、培地に対して1重量%のグルタミン酸ナトリウムを添加し、さらに培養を続けた。培養日数1日〜5日までの培養液中のγ−アミノ酪酸及びグルタミン酸の含有量の変化を表1に示す。表中、[%]は、培養液100ml中に含まれるグルタミン酸又はγ−アミノ酪酸の量[g]を示している。
【0049】
【表1】
【0050】
参考例1
以下の表2に示す成分組成のGYP培地(pH6.8)を調製し、この培地に、ラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。培養2日経過後、培地に対して1重量%のグルタミン酸ナトリウムを添加し、さらに培養を続けた。
得られた培養液中の生細胞数を希釈平板培養法を用いて調べたところ、培養開始1日経過後は6.1×108cells/ml、2日経過後は3.1×108cells/ml、3日経過後が4.8×108cells/mlであった。また、培養日数1日〜5日までの培養液中のグルタミン酸又はγ−アミノ酪酸の含有量を表3に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
実施例3
実施例2と同様の操作により調製したおから培地(グルコース濃度約5mM)に、ラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。培養日数1日〜3日までの培養液中のグルタミン酸又はγ−アミノ酪酸の含有量の変化を表1に示す。表中、[%]は、培養液100ml中に含まれるグルタミン酸又はγ−アミノ酪酸の量[g]を示している。
【表4】
【0054】
実施例4
オートクレーブで滅菌したおから20gを0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)100mlに加えて撹拌し、予めセルラーゼ[セルラーゼA「アマノ」3、天野エンザイム(株)製]40mgとペクチナーゼ[ペクチナーゼG「アマノ」、天野エンザイム(株)製、商品名]40mgとを溶解させた0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)1mlを加え、50℃の温度下、1日間酵素処理を行った。酵素処理後、濾過により沈殿物を除去し、グルコース濃度5.8mM、還元糖濃度34mMのおから可溶化液を得た。前記おから可溶化液に、豆乳と可溶化液に対して1重量%のグルタミン酸ナトリウムを添加し、豆乳含量が異なる5重量%、10重量%、20重量%の3種のおから培地(グルコース濃度約5mM)を調製した。また、参考例1と同様の操作によりGYP培地(1重量%のグルタミン酸ナトリウムを含む)を得た。
得られた3種のおから培地とGYP培地各100mlに、それぞれラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。培養1日、2日、3日における各々の培養液を濾過した濾液を用い、以下の条件下にて薄層クロマトグラフィー(TLC)により分析を行った。これらの結果を図1に示す。図中、A、B、Cは各々培養開始1日、2日、3日経過後の結果を示し、各TLCのレーン1はGYP培地、レーン2、3、4は、それぞれ豆乳を5重量%、10重量%、20重量%含むおから培地を用いた結果を示す。
TLCの条件:
プレート シリカゲル70F254 プレート−ワコー[和光純薬工業製]
展開溶媒 ブタノール:酢酸:水=6:4:1
Rf値 GABA=0.45、グルタミン酸(Glu)=0.5
図1に示されるように、培養1日目(A)において、豆乳20重量%おから培地(A:レーン4)はGYP培地(A:レーン−1)とほぼ同レベルのGABAが産生され、培養2日目(B)において、豆乳5重量%(B:レーン2)、10重量%のおから培地(B:レーン3)中にも多量のグルタミン酸が消費されてGABAが多量に産生されている。培養3日目(C)には、いずれのおから培地(C:レーン2〜4)もグルタミン酸がほぼ完全に消費されてGABAを多量に蓄積しており、GYP培地(C:レーン1)と同程度のGABAを蓄積できることを確認した。
【0055】
実施例5
実施例2と同様の操作を行っておから培地を調製し、該培地にラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。
培養3日経過後の培養液(培養液100ml中0.69gのGABAを含有)30重量部、30重量%ショ糖溶液20重量部、安定剤(ペクチン)0.3重量部、フレーバー0.1重量部に、全量が100gとなるように水を加えて乳酸菌飲料を調製した。得られた乳酸菌飲料の風味、色調を官能評価したところ、大豆臭や異物感はなく、風味、色調共に良好であった。
【0056】
実施例6
実施例2と同様の操作を行っておから培地を調製し、該培地にラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。
培養3日経過後の培養液(培養液100ml中0.69gのGABAを含有)を80℃の温度で加熱滅菌した後、濾紙で濾過してGABA含有エキスを得た。さらに、得られたエキスにバインダーとしてのデキストリンを加え、噴霧乾燥してGABA含有パウダーを得た。
得られたパウダー10g、小麦粉90g、ベーキングパウダー2g、ショ糖30g、卵2個、バター20g、水50gを加えて練って耐熱容器に入れ、蒸し器を用いて20分間蒸すことによりGABA含有蒸しパンを得た。
得られたGABA含有蒸しパンを食することにより官能的に判断したところ、大豆臭や異物感はなく、味も良好で、食品として適していた。
【0057】
実施例7
実施例2と同様の操作を行っておから培地を調製し、該培地にラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。
培養3日経過後の培養液(培養液100ml中0.69gのGABAを含有)を80℃の温度で加熱滅菌した後、濾紙で濾過してGABA含有エキスを得た。さらに、得られたエキスにバインダーとしてのデキストリンを加え、噴霧乾燥してGABA含有パウダーを得た。
得られたパウダー20g、小麦粉280gに、水120mlに食塩15gを溶かした塩水を加え、混捏して生地を作り、製麺して生うどんを得た。
ゆでた麺を食することにより官能的に判断したところ、なめらかで異物感はなく、味も良好で、食品として適していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4における薄層クロマトグラフを示した図である。
【符号の説明】
1 GYP培地
2 豆乳5重量%おから培地
3 豆乳10重量%おから培地
4 豆乳20重量%おから培地
【発明の属する技術分野】
本発明は、おからを用いた培地、該培地の製造法、該培地を用いた微生物の培養方法、有用物質の製造方法、及び該微生物による培養液からなる食品素材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、大豆食品生産時に産出される副生産物である「おから」は、家畜飼料や肥料などに用いられるもののその大部分が有効利用されず、多大な経費をかけて処理されている。このため、おからを有用資源として利用することを目的とする種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1及び2には、おからの水抽出液を使用して乳酸菌を培養する方法が開示されており、また、特許文献3には、おからと水の混合物を培地として担子菌を培養した培養物に酵素を作用させてアミノ酸を生成する方法が開示されている。しかし、これらの方法では固形分としておからを利用するため取扱性に劣ることから適用範囲が狭く、また、おからを培地として微生物を培養する際に多くの添加物を含むため、培養物自体を食品素材として用いることができないなどの問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特公平5−28588号公報
【特許文献2】
特公平3−37904号公報
【特許文献3】
特公平2−17143号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、取扱性が改善され、利用可能性が向上したおからを含む培地、該培地の製造法、該培地を用いた微生物の培養法、有用物質の製造方法、該有用物質を含む食品素材を提供することにある。
本発明の他の目的は、微生物を培養した培養物をそのまま食品素材とすることが可能な培地、該培地の製造法、該培地を用いた微生物の培養法、有用物質の製造方法、該有用物質を含む食品素材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、おからを可溶化して得られる可溶化液に、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分を添加した培地を用いて微生物を培養することにより、有用物質を含む食品素材などが得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、微生物を培養する培地であって、おからを可溶化して得られる可溶化液に、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分を添加した培地を提供する。前記タンパク質若しくはペプチドとしては、例えば構成アミノ酸としてグルタミン酸を含むタンパク質若しくはペプチドが用いられ、また、前記アミノ酸若しくはその塩としては、例えばグルタミン酸若しくはその塩が用いられる。本発明の培地は、好ましくはタンパク質源として豆乳が添加されている。
【0007】
また、本発明は、微生物を培養する培地の製造方法であって、酵素によっておからを可溶化する工程と、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分をおから又はおから可溶化液に添加する工程を含む培地の製造方法を提供する。
【0008】
本発明は、また、上記の培地を用いて微生物を培養する微生物の培養方法を提供する。微生物としては、例えば乳酸菌が用いられ、該乳酸菌として、γ−アミノ酪酸生産乳酸菌を用いることができる。
【0009】
さらに、本発明は、上記の培地を用いて微生物を培養して有用物質を生産する有用物質の製造方法を提供する。前記有用物質には、食品、医薬品、農薬、肥料、飼料、工業用原料が含まれ、特に、γ−アミノ酪酸であるのが好ましい。
【0010】
また、本発明は、上記の培地で培養した微生物により生産された有用物質を含有する培養液を含む食品素材を提供する。前記有用物質には、γ−アミノ酪酸が含まれる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の培地は、微生物を培養する培地であって、おからを可溶化して得られる可溶化液に、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩(以下、「アミノ酸成分」と称する場合がある)から選択された少なくとも一種の成分が添加されている。
【0012】
本発明に用いるおからは、湯葉や豆腐の製造時に副生し、その多くが廃棄処分されるが、大豆由来の豊富な有用成分を含んでいる。このような有用成分として、タンパク質、脂質、糖質、繊維、ビタミン、ミネラルなどが挙げられ、なかでも、糖質、繊維、ミネラル、ビタミンは他の大豆製品(豆乳、豆腐など)と比較して多く含まれている。その他の有用成分として、血中コレステロール値の上昇を抑制する作用、抗ガン性などを有するイソフラボン(ゲニステイン、ダイジンなど)や、抗酸化性物質(トリテルペン、植物ステロイドの配糖体など)などが知られている。本発明においては、おからを可溶化して培地に用いるため、上記おからの有用成分を含む培養物をそのまま、又は体内に吸収されやすい形で食品として摂取することできる。
【0013】
おから可溶化液は、取扱性が良好なため、培地に用いた際に多種類の微生物を培養することができる点で有利である。本発明における「おからの可溶化」とは、おからを構成する難水溶性成分を分解することを含む意味に用いる。おからを可溶化する方法としては、例えば、おからに含まれる難水溶性成分を酸及び/又はアルカリを用いて非選択的に化学的に分解する方法、おからに含まれる難水溶性成分を酵素を用いて温和な条件で選択的に分解する方法などが挙げられる。本発明においては、後者の方法が好ましく用いられる。
【0014】
おからの可溶化に用いる酵素としては、分解する難水溶性成分の種類により適宜選択でき、例えば、セルラーゼ(商品名「ドリセラーゼ」、協和発酵社製など)、ゼネラーゼ(商品名)、ペクチナーゼなどの多糖類分解酵素;ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、パパインなどのプロテアーゼ;リパーゼなどの脂肪水解酵素などの分解性酵素の他、分解を補助する働きのあるラッカーゼ、リポキシダーゼなどの酸化酵素などが挙げられる。これらの酵素は単独で、又は2種以上混合して用いてもよい。中でも、多糖類分解酵素は、難水溶性成分の主成分となる多糖体を分解でき、分解生成物としてのグルコースを含む還元糖などが微生物の栄養源となる。可溶化の効率、入手容易性などの点から、特にセルラーゼ、ペクチナーゼなどが好ましく用いられる。おからを効率よく可溶化するため、上記の多糖類分解酵素を数種類組み合わせて使用する場合が多い。
【0015】
本発明の培地に添加されるアミノ酸成分としては、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された単一の成分であってもよく、これらの混合物であってもよい。アミノ酸成分としてタンパク質又はペプチドを用いる場合には、プロテアーゼなどの酵素を培地に添加して、タンパク質を分解して培地中にアミノ酸を生成させることもできる。アミノ酸成分としては、少なくともタンパク質又はペプチドを用いるのが好ましい。
【0016】
前記タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩としては、培養する微生物の種類や目的とする有用物質の種類に応じて適宜選択して用いられる。アミノ酸成分は、微生物の栄養源として、又は目的とする有用物質の原料(基質)として利用される。前記タンパク質源として、例えば、米、麦などの穀物類;大豆、豆乳、おからなどの大豆製品;乳、脱脂粉乳などの乳製品;卵、魚、肉及びこれらの加工品などのタンパク質含有品を培地に添加してもよい。これらの製品中には、小麦タンパク質(グルテンなど)、大豆タンパク質(グリシニン、ホエータンパクなど)、ミルクタンパク質(カゼインタンパク、ホエータンパクなど)、コラーゲン、ゼラチン(変性コラーゲン)などが含まれている。
【0017】
本発明の培地を用いて微生物を培養し、微生物が有する酵素活性等を利用して有用物質を生産しようとする場合には、一般に、酵素反応の基質を含む培地が用いられる。本発明の培地の好ましい態様では、グルタミン酸を基質とするγ−アミノ酪酸生産乳酸菌等を培養することを目的として、アミノ酸成分として、グルタミン酸又はその塩、構成アミノ酸にグルタミン酸を含むタンパク質及びペプチドから選択された少なくとも一種の成分が添加されている。構成アミノ酸にグルタミン酸を含むタンパク質又はペプチドは、プロテアーゼなどの作用によりグルタミン酸を生成し、基質として酵素反応に利用される。タンパク質又はペプチドからグルタミン酸を生成する方法としては、例えば、微生物を培養する前の培地に、又は培養中の培養液にプロテアーゼを添加する方法、目的の微生物を培養する前に、予めグルタミン酸遊離活性の高いプロテアーゼ生産性微生物を培養する方法、グルタミン酸遊離活性の高いプロテアーゼ生産性微生物と目的の微生物と混合培養する方法などが挙げられる。
【0018】
また、培地に添加されるタンパク質としては、食品製造工程における廃素材利用の目的から、例えばタンパク質含有食品廃素材、好ましくは大豆タンパク質含有食品廃素材が用いられ、特に豆乳は、湯葉製造時におからと共に生ずる廃素材を活用できるため好ましく用いられる。豆乳を用いた培地によれば、豆乳の構成成分が微生物の栄養源となって、培地にその他の添加物を加えなくても微生物の増殖を促進することができ、しかも微生物培養後の培地を含んだ培養液をそのまま食品素材として利用することができる。
【0019】
豆乳は、水で浸漬した大豆を磨砕したものに水を加えて加熱、濾過することにより得られる。豆乳は、そのまま、若しくは他の成分を添加して飲料用として、又は豆腐や湯葉の原料として利用されるなど多様な形態で食されている。豆乳には、おからと同様、大豆由来の有用成分であるタンパク質、脂質、糖質、繊維、ビタミン、ミネラル(鉄分等)などが含まれている。このような豆乳を培地に添加した場合には、特に炭素源としての糖質、窒素源としてのタンパク質、ビタミン、ミネラルなどが微生物の栄養源として補われ、微生物の増殖を促進することができる。豆乳の重要な特徴としては、大豆中の水溶性タンパク質であるグリシニンやホエータンパク質等を高濃度に含み、しかもこれらの水溶性タンパク質は構成アミノ酸としてグルタミン酸を最も多く含んでいることが挙げられる。このため、豆乳は、グルタミン酸を基質とする微生物(γ−アミノ酪酸生産乳酸菌など)を培養する培地に添加されるアミノ酸成分として好適である。
【0020】
本発明の培地におけるタンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩は微生物の栄養源となることから、おから可溶化液のみで構成される培地と比較して微生物の増殖を促進することができる。このため、前記微生物を利用した有用物質の生産、及び得られた有用物質からなる食品素材の製造を効率よく行うことができる。特に、グルタミン酸を基質とする微生物、例えばγ−アミノ酪酸生産乳酸菌を培養するために用いる培地においては、アミノ酸成分として、好ましくはグルタミン酸若しくはその塩と豆乳を組み合わせて用いられる。アミノ酸成分(総量)の使用量は、おから可溶化液に対して、例えば0.1〜100重量%、好ましくは0.5〜50重量%、特に好ましくは0.5〜30重量%程度である。
【0021】
本発明の培地は、微生物の生育のために、上記の他に、ブドウ糖、果糖、麦芽糖などの糖類;ビタミンやミネラルなどを添加してもよく、さらに、乳化剤、安定剤、pH調整剤などの食品添加物などを添加してもよい。本発明では、微生物の培養に必要な栄養分を多量に含むため、上記のような添加物を用いなくても微生物を培養することができる。本発明の培地によれば、食用に不向きであるGYP培地と異なり、おから可溶化液とタンパク質等のアミノ酸成分とから構成されるため、微生物を培養した培地を含む培養液をそのまま食品素材に用いることができる。
【0022】
本発明の培地を用いて培養する微生物としては、有用物質を生産可能な微生物であって、おから可溶化液中に含まれるグルコース等の還元糖中で増殖可能な微生物であればよく、例えば、乳酸菌[ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属など]、酵母菌[サッカロマイセス(Saccharomyces)属、カンジダ(Candida)属など]、枯草菌(納豆菌)[バチルス(Baccilus)属など]、放射菌[ストレプトマイセス(Streptomyces)属など]、糸状菌[アスペルギルス(Aspergillus)属(麹菌)、ペニシリウム(Penicillium)属、ジゾフィラム(Schizophyllum)属、トラメテス(Trametes)属、プレウロタス(Pleurotus)属など]、担子菌類[ブナハリタケ属(Mycoleptodonoides)]、連鎖球菌[ストレプトコッカス(Streptococcus)属]、粘菌類、光合成菌、芽胞菌(バチルス サブチルス)、藻類(クロレラ)などが挙げられる。なかでも乳酸菌等が好ましく、特に本発明においては、γ−アミノ酪酸(GABA)生産乳酸菌が好ましく用いられる。
【0023】
γ−アミノ酪酸(GABA)については、哺乳動物の小脳、脊髄後角、黒質、海馬などに多く存在する抑制性神経伝達物質と考えられており、主としてグルタミン酸からグルタミン酸脱炭酸酵素の作用により生合成される。その生理作用としては、例えば、血管を拡張して血圧を降下する作用、塩分の過剰摂取に対する尿へのナトリウムイオン排出を促進する作用、脳内の血液の流れを活発にして酸素供給量を増加させることによる脳の代謝機能を亢進する作用などが知られている。γ−アミノ酪酸を食品として摂取することによりこれらの生理作用が期待されることから、γ−アミノ酪酸の含有量を増加させた食品、微生物を利用したγ−アミノ酪酸含有食品の製造方法などが広く検討されている。
【0024】
本発明の培地によれば、上記の特性を有するγ−アミノ酪酸(その塩を含む)を生産する乳酸菌を培養することができ、培養液中にγ−アミノ酪酸を蓄積させることができる。しかも、本発明の培地は、おから可溶化液とアミノ酸成分とで構成されるため、培養液をそのままγ−アミノ酪酸生産乳酸菌含有食品として提供することも可能である。
【0025】
本発明の培地の製造法は、酵素によっておからを可溶化する工程(以下、「工程A」と称する場合がある)と、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分をおから又はおから可溶化液に添加する工程(以下、「工程B」と称する場合がある)を含んでいる。
【0026】
工程Aに用いる酵素は、前記おからの可溶化に用いる酵素として例示のものを使用できる。工程Aの一態様としては、例えば、滅菌したおからを緩衝液に分散させた混合液に酵素を添加して酵素処理を施した後、得られた処理液を濾過し、該濾液を、必要に応じて希釈又は濃縮した後、おから可溶化液として回収することにより行われる。処理温度は、用いる酵素の種類により適宜選択され、例えば20〜40℃、好ましくは25〜35℃である。処理時間は、例えば0.5〜5日間、好ましくは1〜3日間程度である。
【0027】
なお、工程Aにおいて、酵素処理により濾過した後の残渣は、固形状態のおからに適宜な処理を施すことにより再利用できる。その一例として、残渣(沈殿物)を乾燥して粉末状とし、多孔性セラミックの原料などの工業用原料として利用することができる。このため、新たな廃棄物を生ずることなく培地を製造することができる。
【0028】
工程Bにおいて、おから又はおから可溶化液にアミノ酸成分を添加する。工程Bは、工程Aの前工程でもよく後工程に設けられてもよい。アミノ酸成分としては、前記培地に添加するタンパク質等として例示のものを、前記の使用量で利用できる。工程Bにおいては、必要に応じて種々の添加物を用いてもよく、例えば、プロテアーゼを添加することによりタンパク質やペプチドを分解して遊離のアミノ酸を生成させてもよい。
【0029】
さらに、本発明の培地の製造方法には、微生物の生育促進のための糖類、ビタミン、ミネラル及びその他の添加物を添加する工程を設けてもよい。なお、本発明の培地は添加物を用いなくても微生物を培養することができる。
【0030】
本発明の培地の製造方法によれば、おからに含まれる各種成分を含み、且つ微生物の増殖に適した培地を簡易に得ることができる。こうして得られた培地からは、培養液をそのまま食品に用いた際には、おから由来の有効成分を保持した食品を得ることができる。
【0031】
本発明の微生物の培養方法は、上記本発明の培地を用いることを特徴としている。微生物としては、上記本発明の培地を用いて培養する微生物として例示のものを用いることができる。本発明において特に好ましく用いられるγ−アミノ酪酸(GABA)生産乳酸菌としては、γ−アミノ酪酸を生産することができる乳酸菌であればよく、その具体例として、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis) TY414、ラクトバチルス ブレビス IFO3345、ラクトバチルス ブレビス IFO3960、ラクトバチルスブレビス IFO12005、ラクトバチルス ブレビス IFO12520などのラクトバチルス属乳酸菌;ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis) YIT2027などのラクトコッカス属乳酸菌などが挙げられる。
【0032】
上記方法においては、上記の微生物を単独で、又は2種以上を混合培養してもよい。このような微生物の組み合わせとして、好ましくは、上記のγ−アミノ酪酸生産乳酸菌とプロテアーゼ生産微生物との組み合わせが挙げられる。プロテアーゼ生産微生物としては、乳酸菌、コリネバクテリア(Corynebacterium glutamicumなど)、ブレビバクテリア(Brevibacteriuna flavum、B.lactofermentum、B.thiogenitalisなど)、マイクロバクテリア(Microbacterium ammoniaphilumなど)などのグルタミン酸の遊離活性が高い微生物などを利用することができる。本発明においては、特にプロテアーゼ生産乳酸菌が好ましく、グルタミン酸遊離活性が高い乳酸菌の代表的な例としては、ラクトバチルス カゼイ(Lactobavillus casei) YIT9029などのラクトバチルス属乳酸菌;ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis) YIT2027、ラクトコッカス ラクチスサブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis ss.cremoris) YIT2007(ATCC19257)などのラクトコッカス属乳酸菌などが挙げられる。γ−アミノ酪酸生産乳酸菌とプロテアーゼ生産微生物の組み合わせによれば、プロテアーゼ生産乳酸菌が有するグルタミン酸遊離活性により培地に含まれるタンパク質からグルタミン酸が生産され、該グルタミン酸からγ−アミノ酪酸生産乳酸菌の酵素作用によりγ−アミノ酪酸を培養液中に蓄積することができる。この場合、グルタミン酸を添加する必要がないため、得られる培養液をそのまま食品素材に用いた際にも食品の味や色が変化しにくい。
【0033】
培養温度及び時間は、微生物の種類やその組み合わせにより適宜選択される。必要に応じて、培養する微生物に適した栄養分を添加してもよい。培養は、静置培養又は振盪培養により行われる。
【0034】
本発明の有用物質の製造方法は、上記本発明の培地を用いて微生物を培養して有用物質を生産することを特徴としている。前記有用物質は、例えば、食品、医薬品、農薬、肥料、飼料、工業用原料等として利用される。
【0035】
このような有用物質(それを生産する微生物)の具体例としては、味噌、醤油、漬け物、酒などの発酵食品(麹菌、乳酸菌、酵母)や、γ−アミノ酪酸含有食品(γ−アミノ酪酸生産乳酸菌)などの機能性食品;抗生物質(アオカビ、枯草菌)、血圧降下作用を有するアンジオテンシンI変換酵素(ブナハリタケ子実体)などの医薬品;農薬(抗生物質生産納豆菌);肥料(厨芥分解酵素生産糸状菌)、浄化土壌(塩素化ダイオキシン類分解酵素生産糸状菌);家畜飼料(セルロース分解酵素生産乳酸菌);製紙原料としての非木材繊維(セルロース生産性細菌)、石油採集時の補助剤(粘性多糖生成菌)などの工業用原料などを例示できる。微生物により生産された有用物質は、菌体内に蓄積されていてもよく、菌体外(培養液中)に放出されてもよい。
【0036】
本発明の有用物質の製造方法は、上記本発明の培地がおから可溶化液とアミノ酸成分とで構成されており、培養液がそのまま摂取可能であることから、薬理用組成物、食品用の機能性酵素及びその生成物の製造に適しており、なかでもγ−アミノ酪酸の製造に好適である。本発明の有用物質の製造方法の好ましい態様としては、おから可溶化液、グルタミン酸及び豆乳からなる培地に、微生物として上記に例示のγ−アミノ酪酸生産乳酸菌を接種して振盪又は静置培養し、該乳酸菌が有するグルタミン酸脱炭酸酵素の作用により培地に含まれるグルタミン酸からγ−アミノ酪酸を生成し、γ−アミノ酪酸が蓄積した培養液を得る方法などが挙げられる。
【0037】
培養温度は、例えば20から40℃、好ましくは25〜35℃の範囲であって、培養日数は、例えば0.5〜10日間、好ましくは1〜5日間程度である。豆乳の添加量は、おから可溶化液に対して例えば0.1〜100重量%、好ましくは0.5〜50重量%、特に好ましくは0.5〜30重量%程度である。グルタミン酸の添加量は、おから可溶化液に対して例えば0〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%程度である。なお、グルタミン酸に代えて、又はグルタミン酸と共に、豆乳のタンパク質を構成アミノ酸に分解する酵素、例えばプロテアーゼ又はプロテアーゼ生産性微生物を培地に添加してもよい。また、グルタミン酸の代わりにグルタミン酸ナトリウムなどのグルタミン酸塩を用いることもできる。
【0038】
本発明の食品素材は、上記本発明の培地で培養した微生物により生産された有用物質を有する培養液を含むことを特徴としている。本発明の食品素材には、前記培養液そのもの、又は該培養液を濾過、濃縮、乾燥などの処理工程に付した処理物などを利用できる。
【0039】
前記濾過工程は、例えば、濾紙、濾布などの通常の食品加工用の濾過装置を用い、必要に応じて、珪藻土やセルロース、活性炭などの濾過助剤を用いて行われる。濃縮工程は、例えば、単に加熱により培養液中の水分を蒸発させるか、または、真空濃縮機、減圧濃縮機、蒸留釜、凍結濃縮機などの慣用の装置を用いて行われる。乾燥工程は、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥などの方法を用いて効率的かつ衛生的に行われる。上記以外に、食品素材中の有用物質の含有量を高めるため、例えば液体クロマトグラフィーなどを用いて処理してもよい。上記処理工程により、高い含有量で有用物質を含有した液状又は粉末状食品素材を得ることができる。
【0040】
上記本発明の培地は、おから可溶化液とアミノ酸成分とで構成されているため、微生物を培養した後の培養液をそのまま本発明の食品素材として利用することができる。そのため、微生物が生産した有用物質を培養液から分離、精製する工程を簡易に又は省略することができ、有用物質が変質しやすい場合に効果的である。
【0041】
培養液又はその処理物からなる食品素材は、そのまま、又は他の食品と混合したり二次加工を施すことにより、有用物質を含有した高機能性食品の製造に利用される。本発明の食品素材を利用した有用物質含有食品は、賦形剤、甘味料、増粘剤、タンパク質、ペプチド、脂質、多糖類、糖質、塩類などの通常食品に用いられる成分を含んでいてもよい。
【0042】
本発明の食品素材は、おから可溶化液を主成分とする培養液に由来するため、具体的には、大豆タンパク利用食品の食品素材として用いることができる。大豆タンパク利用食品としては、保水性やリジン強化等を利用したパン、麺類(うどん、そば、パスタ等);乳化性や結着性を利用したソーセージ、ハムなど;ゲル形成能、粘弾性、保水力、乳化性を利用したカマボコ、ちくわなど;焼き縮み防止、結着性等を利用したハンバーグ;保水性、保型性や肉粒感を利用したシューマイ、餃子、肉まんなど;乳化性を利用した乳製品などが挙げられる。
【0043】
また、微生物として乳酸菌を用いて得られる食品素材は、乳酸発酵物として乳酸菌飲料などの素材や漬物の調味液などに用いることもできる。乳酸菌飲料は、例えば、本発明の食品素材としての培養液に、甘味料、香料、色素、果汁系フレーバー、安定剤などを調合、殺菌したものを合わせ、均質化することにより得られる。また、漬物の調味液は、本発明の培養液に、例えば、塩、砂糖、化学調味料(アミノ酸等)、醤油、唐辛子、酢などの調味料を調合して得られる。このような調味液は、必要に応じて乳酸発酵を促進させるための微生物や発酵物が添加されて、適宜の野菜の漬物製造に利用することができる。
【0044】
本発明の食品素材によれば、有用物質を高濃度に含有する高機能性食品を製造することができ、特に、生鮮品には微量にしか含まれないような有用物質を容易に摂取することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、おからを可溶化し、これにアミノ酸成分を添加して培地とするため、取扱性が改善された培地を簡便に得ることができる。このような培地によれば、培養する微生物の選択性が広く、また、微生物を利用して効率よく有用物質を製造することができる。さらに、前記培地は食品であるおからを主成分に含むため、微生物を培養した培養液から有用物質を単離することなく、培養液をそのまま食品素材とすることができる。
【0046】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。おから可溶化液のグルコース濃度はGOD法により、還元糖濃度はSomogyi−Nelson法によりそれぞれ測定した。実施例2、3及び参考例1における培養液中のアミノ酸濃度(グルタミン酸及びγ−アミノ酪酸)はアミノ酸分析機[島津製作所(株)製、商品名「LC−9A」]を用いて測定した。
【0047】
実施例1
0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)100mlをおから20gに加えた混合物をオートクレーブで滅菌した後、予めセルラーゼ[セルラーゼA「アマノ」3、天野エンザイム(株)製]40mgとペクチナーゼ[ペクチナーゼG「アマノ」、天野エンザイム(株)製、商品名]40mgとを溶解させた0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)1mlを加え、50℃の温度下、1日間酵素処理を行った。酵素処理後、濾過により沈殿物を除去し、グルコース濃度5.8mM、還元糖濃度34mMのおから可溶化液を得た。前記おから可溶化液に、可溶化液に対して1重量%のグルタミン酸ナトリウムを添加することによりおから培地(グルコース濃度約5mM)を得た。
この培地に、ラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。
得られた培養液中の生細胞数を希釈平板培養法を用いて調べたところ、培養開始1日経過後は1.2×108cells/ml、2日経過後は1.1×108cells/ml、3日経過後が1.9×108cells/mlであった。
【0048】
実施例2
オートクレーブで滅菌したおから20gを0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)100mlに加えて撹拌し、予めセルラーゼ[セルラーゼA「アマノ」3、天野エンザイム(株)製]40mgとペクチナーゼ[ペクチナーゼG「アマノ」、天野エンザイム(株)製、商品名]40mgとを溶解させた0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)1mlを加え、50℃の温度下、1日間酵素処理を行った。酵素処理後、濾過により沈殿物を除去し、グルコース濃度5.8mM、還元糖濃度34mMのおから可溶化液を得た。前記おから可溶化液に、可溶化液に対して5重量%の豆乳、同1重量%のグルタミン酸ナトリウムを添加することによりおから培地(グルコース濃度約5mM)を得た。
この培地に、ラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。培養2日経過後、培地に対して1重量%のグルタミン酸ナトリウムを添加し、さらに培養を続けた。培養日数1日〜5日までの培養液中のγ−アミノ酪酸及びグルタミン酸の含有量の変化を表1に示す。表中、[%]は、培養液100ml中に含まれるグルタミン酸又はγ−アミノ酪酸の量[g]を示している。
【0049】
【表1】
【0050】
参考例1
以下の表2に示す成分組成のGYP培地(pH6.8)を調製し、この培地に、ラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。培養2日経過後、培地に対して1重量%のグルタミン酸ナトリウムを添加し、さらに培養を続けた。
得られた培養液中の生細胞数を希釈平板培養法を用いて調べたところ、培養開始1日経過後は6.1×108cells/ml、2日経過後は3.1×108cells/ml、3日経過後が4.8×108cells/mlであった。また、培養日数1日〜5日までの培養液中のグルタミン酸又はγ−アミノ酪酸の含有量を表3に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
実施例3
実施例2と同様の操作により調製したおから培地(グルコース濃度約5mM)に、ラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。培養日数1日〜3日までの培養液中のグルタミン酸又はγ−アミノ酪酸の含有量の変化を表1に示す。表中、[%]は、培養液100ml中に含まれるグルタミン酸又はγ−アミノ酪酸の量[g]を示している。
【表4】
【0054】
実施例4
オートクレーブで滅菌したおから20gを0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)100mlに加えて撹拌し、予めセルラーゼ[セルラーゼA「アマノ」3、天野エンザイム(株)製]40mgとペクチナーゼ[ペクチナーゼG「アマノ」、天野エンザイム(株)製、商品名]40mgとを溶解させた0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)1mlを加え、50℃の温度下、1日間酵素処理を行った。酵素処理後、濾過により沈殿物を除去し、グルコース濃度5.8mM、還元糖濃度34mMのおから可溶化液を得た。前記おから可溶化液に、豆乳と可溶化液に対して1重量%のグルタミン酸ナトリウムを添加し、豆乳含量が異なる5重量%、10重量%、20重量%の3種のおから培地(グルコース濃度約5mM)を調製した。また、参考例1と同様の操作によりGYP培地(1重量%のグルタミン酸ナトリウムを含む)を得た。
得られた3種のおから培地とGYP培地各100mlに、それぞれラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。培養1日、2日、3日における各々の培養液を濾過した濾液を用い、以下の条件下にて薄層クロマトグラフィー(TLC)により分析を行った。これらの結果を図1に示す。図中、A、B、Cは各々培養開始1日、2日、3日経過後の結果を示し、各TLCのレーン1はGYP培地、レーン2、3、4は、それぞれ豆乳を5重量%、10重量%、20重量%含むおから培地を用いた結果を示す。
TLCの条件:
プレート シリカゲル70F254 プレート−ワコー[和光純薬工業製]
展開溶媒 ブタノール:酢酸:水=6:4:1
Rf値 GABA=0.45、グルタミン酸(Glu)=0.5
図1に示されるように、培養1日目(A)において、豆乳20重量%おから培地(A:レーン4)はGYP培地(A:レーン−1)とほぼ同レベルのGABAが産生され、培養2日目(B)において、豆乳5重量%(B:レーン2)、10重量%のおから培地(B:レーン3)中にも多量のグルタミン酸が消費されてGABAが多量に産生されている。培養3日目(C)には、いずれのおから培地(C:レーン2〜4)もグルタミン酸がほぼ完全に消費されてGABAを多量に蓄積しており、GYP培地(C:レーン1)と同程度のGABAを蓄積できることを確認した。
【0055】
実施例5
実施例2と同様の操作を行っておから培地を調製し、該培地にラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。
培養3日経過後の培養液(培養液100ml中0.69gのGABAを含有)30重量部、30重量%ショ糖溶液20重量部、安定剤(ペクチン)0.3重量部、フレーバー0.1重量部に、全量が100gとなるように水を加えて乳酸菌飲料を調製した。得られた乳酸菌飲料の風味、色調を官能評価したところ、大豆臭や異物感はなく、風味、色調共に良好であった。
【0056】
実施例6
実施例2と同様の操作を行っておから培地を調製し、該培地にラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。
培養3日経過後の培養液(培養液100ml中0.69gのGABAを含有)を80℃の温度で加熱滅菌した後、濾紙で濾過してGABA含有エキスを得た。さらに、得られたエキスにバインダーとしてのデキストリンを加え、噴霧乾燥してGABA含有パウダーを得た。
得られたパウダー10g、小麦粉90g、ベーキングパウダー2g、ショ糖30g、卵2個、バター20g、水50gを加えて練って耐熱容器に入れ、蒸し器を用いて20分間蒸すことによりGABA含有蒸しパンを得た。
得られたGABA含有蒸しパンを食することにより官能的に判断したところ、大豆臭や異物感はなく、味も良好で、食品として適していた。
【0057】
実施例7
実施例2と同様の操作を行っておから培地を調製し、該培地にラクトバチルスブレビス IFO 12005を接種し、30℃の温度で培養した。
培養3日経過後の培養液(培養液100ml中0.69gのGABAを含有)を80℃の温度で加熱滅菌した後、濾紙で濾過してGABA含有エキスを得た。さらに、得られたエキスにバインダーとしてのデキストリンを加え、噴霧乾燥してGABA含有パウダーを得た。
得られたパウダー20g、小麦粉280gに、水120mlに食塩15gを溶かした塩水を加え、混捏して生地を作り、製麺して生うどんを得た。
ゆでた麺を食することにより官能的に判断したところ、なめらかで異物感はなく、味も良好で、食品として適していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4における薄層クロマトグラフを示した図である。
【符号の説明】
1 GYP培地
2 豆乳5重量%おから培地
3 豆乳10重量%おから培地
4 豆乳20重量%おから培地
Claims (12)
- 微生物を培養する培地であって、おからを可溶化して得られる可溶化液に、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分を添加した培地。
- タンパク質若しくはペプチドとして、構成アミノ酸としてグルタミン酸を含むタンパク質若しくはペプチド、又はアミノ酸若しくはその塩としてグルタミン酸若しくはその塩を添加した請求項1記載の培地。
- タンパク質源として豆乳を添加した請求項1記載の培地。
- 微生物を培養する培地の製造方法であって、酵素によっておからを可溶化する工程と、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸若しくはその塩から選択された少なくとも一種の成分をおから又はおから可溶化液に添加する工程を含む培地の製造方法。
- 請求項1〜3の何れかの項に記載の培地を用いて微生物を培養する微生物の培養方法。
- 微生物が乳酸菌である請求項5記載の微生物の培養方法。
- 乳酸菌がγ−アミノ酪酸生産乳酸菌である請求項6記載の微生物の培養方法。
- 請求項1〜3の何れかの項に記載の培地を用いて微生物を培養して有用物質を生産する有用物質の製造方法。
- 有用物質が、食品、医薬品、農薬、肥料、飼料、工業用原料から選択された少なくとも一つである請求項8記載の有用物質の製造方法。
- 有用物質が、γ−アミノ酪酸である請求項8記載の有用物質の製造方法。
- 請求項1〜3の何れかの項に記載の培地で培養した微生物により生産された有用物質を含有する培養液を含む食品素材。
- 有用物質がγ−アミノ酪酸である請求項11記載の食品素材。
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