JP2011084449A - 農業用資材、微生物資材、有機腐植肥料、水質浄化材、土壌改良材、飼料添加剤、廃棄物処理剤、屋上緑化材及び農業用資材の製造方法 - Google Patents

農業用資材、微生物資材、有機腐植肥料、水質浄化材、土壌改良材、飼料添加剤、廃棄物処理剤、屋上緑化材及び農業用資材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】劣化・汚染が進んだ土壌を改善し、水質浄化を促進する農業用資材を提供する。
【解決手段】
まず、穀物の小麦を原料としてデンプン、グルテンを抽出した後の残留液に、選択された微生物を培養して農業用資材として用いる。この培養液は、遠心分離によりデンプンとグルテンを2回抽出し、水溶性のデンプンと小麦ペプチドを含むため、微生物や植物の栄養源として適している。また、選択された微生物は、発酵型と土壌型の複合菌群から選択し、組み合わせにより、微生物資材・水質浄化材・土壌改良材・飼料添加剤・廃棄物処理剤・屋上緑化材・有機腐植肥料として提供することができる。また、農業用資材の製造方法を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、農業用資材、微生物資材、有機腐植肥料、水質浄化材、土壌改良材、飼料添加剤、廃棄物処理剤、屋上緑化材及び農業用資材の製造方法に係り、特に発酵処理した穀物分画遠心液で製造した農業用資材、微生物資材、有機腐植肥料、水質浄化材、土壌改良材、飼料添加剤、廃棄物処理剤、屋上緑化材及び農業用資材の製造方法に関する。
従来、農地の土壌中では、細菌、古細菌、酵母等の単細胞生物を含む微生物が生物圏を構成し、非常に重要な役割を担っている。そして、近代に至るまでは、これらの微生物の生態系が、ありのままの姿で生息していたと考えられる。
しかしながら、近年、アメリカで実用化されたような大規模農法が適用され、物理化学的考えの下で、化学肥料を中心に施肥した結果、農薬の大量散布等により、土壌が固化し、また、土壌を浄化して良好な土壌の状態を保ちサポートをしていた多くの有用な微生物が失われているという問題があった。
その結果、農地の生態系の生物分布が崩れ、表土流出等により農地土壌が無機化し、作物の収穫量が減少した。また、農薬による汚染で農地の環境悪化が起こり、作物の安心安全が国際問題になっている。
さらに、このような農地の劣化・汚染は、農地周辺の土壌、地下水、遊水池、河川等についても大量の化学肥料由来の硝酸態窒素、残留農薬による汚染を引き起こし、生活環境を著しく悪化させるという問題がある。
ここで、このような土壌の劣化・汚染を解消するための従来の土壌改良材として、特許文献1を参照すると、建設廃土等を利用して、流出した田畑の土地をかさ上げすると共に、土壌改良にも役立つ総合的な循環システムに利用可能な、土壌改良材が記載されている(以下、従来技術1とする。)。
従来技術1の土壌改良材は、キノコ菌が残留する使用済みキノコ培地と、酵母菌、糸状菌、乳酸菌、枯草菌から選ばれた菌類と、繊維質を含む有機性廃棄物とを混合して熟成して得られる。
従来技術1においては、この発酵基材を含む土壌改良材は、栽培土壌を蘇生させるために有効な用土になる。
特開2006−143791号公報
しかしながら、従来技術1の土壌改良材は、劣化・汚染が著しく進行した農地の改良に効果が低いという問題点があった。
たとえば、発展途上国においては、灌漑設備の未発達、下水と農業用水の不分離等のインフラ整備の遅れ、農業従事者の知識不足等の問題により、先進国よりも土壌の劣化・汚染が深刻である。
このように深刻な劣化・汚染された農地は、ほとんど鋤が入らないような硬い土壌となり、従来技術1や他の公知の土壌改良材を用いても、農地として生産性を向上させることは難しかった。
また、従来技術1の土壌改良材は、農地の周辺の生活環境を改善するという効果にも乏しかった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
本発明の農業用資材は、穀物を原料としてデンプン、グルテンを分画遠心した後の残留液を培養液として用いて、選択された微生物が培養されたことを特徴とする。
本発明の農業用資材は、前記穀物は小麦であり、前記培養液は、遠心分離によりデンプンとグルテンを2回分画し、水溶性のデンプンと小麦ペプチドを含むことを特徴とする。
本発明の農業用資材は、前記微生物は、発酵型と土壌型の複合菌群から選択することを特徴とする。
本発明の微生物資材は、前記農業用資材を用いたことを特徴とする。
本発明の有機腐植肥料は、前記微生物資材と腐植体を含むことを特徴とする。
本発明の水質浄化材は、前記農業用資材を用いたことを特徴とする。
本発明の土壌改良材は、前記農業用資材を用いたことを特徴とする。
本発明の飼料添加剤は、前記農業用資材を用いたことを特徴とする。
本発明の廃棄物処理剤は、前記農業用資材を用いたことを特徴とする。
本発明の屋上緑化材は、前記農業用資材を用いたことを特徴とする。
本発明の農業用資材の製造方法は、穀物を原料として、遠心分離によりデンプンとグルテンを2回分画し、水溶性のデンプンと小麦ペプチドを含む残留液を培養液として取得し、発酵型と土壌型の複合菌群から微生物を選択し、前記培養液を用いて、選択された前記微生物を培養することを特徴とする。
本発明によれば、穀物である小麦を原料としてデンプン、グルテンを抽出した後の残留液を培養液として用いて、選択された微生物を培養した農業用資材を提供し、該農業用資材により、劣化・汚染が進行した農地の土壌を改善する農業用資材を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る製造プラントXによる処理の概念図である。 本発明の実施の形態に係る小麦分画遠心液を用いた培養液の分析結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係る農業用資材の製造機器の概念図である。 本発明の実施の形態に係る農業用資材の製造方法の概念を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る実施例1のラージパッチ改善例を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例1の別のラージパッチ改善例を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例2における土壌改善の実験結果の例を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例3におけるゴルフ場に散布した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(キュウリ)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(キュウリ)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(スイカ)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(イチゴ)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(ヘチマ)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(ブドウ)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(マクワウリ)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(メロン)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(メロン)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(トマト)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(ニラ)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例4における収穫作物(トウモロコシ)を栽培した実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例5におけるなすの連作障害試験の実験結果を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例6におけるイチゴハウスの床温度を冬に測定した実験結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る実施例7における池の外観を示す概念図である。 本発明の実施の形態に係る実施例7における池に対して本発明の実施の形態に係る農業用資材を散布した前と後の様子を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る実施例7における池に対して本発明の実施の形態に係る農業用資材を散布した前と後の水質検査結果を示す表である。
<実施の形態>
以下で、本発明の実施の形態において、穀物分画遠心液を培養基とし、選択した微生物を発酵処理した液を基に、微生物資材、有機腐植肥料、水質浄化材等を製造する方法について説明する。
ここで、本発明の実施の形態においては、発酵処理した穀物分画遠心液で製造した、微生物資材、有機腐植肥料、水質浄化材等を提供する。この微生物資材、有機腐植肥料、水質浄化材は、選択された微生物の応用により生態系を改善する、いわゆる「自然リサイクル」のために使用でき、微生物を介して製造することを特徴とする。
なお、本発明の実施の形態において「穀物」とは、一般的に種子を食用とする作物で、小麦・大麦・米・粟・稗・黍・とうもろこし・豆類等を言う。以下、穀物である小麦を単に小麦と表現する。
また、本発明の実施の形態において「分画遠心」とは、穀物粉末をさらに微細化し、水へ分散し、この溶液を遠心分離機で成分の分画したものを言う。本発明の実施の形態においては、小麦分画遠心を行う小麦分画遠心法を用いて、分画した組成物を取得する。
上述のように、本発明の実施の形態に係る農業用資材は、穀物、例えば小麦を原料としてデンプン、グルテン等を分画遠心した後の、残留液(残留分画液)を培養液として使用して、選択された微生物を培養して、微生物資材、水質浄化材等として使用することができる。
この農業用資材は、土壌などに施用された場合に、選択し表示された各微生物が生息することで、用途に記載された効果をもたらし、最終的に植物栽培に資する効果を示す資材のことをいう。さらに、この農業用資材に生息する土壌微生物により、結果的に有害な微生物を淘汰し、土壌の環境を改善することで、土壌改良材としても用いることができる。
従来の微生物資材は、それぞれ地力を回復させ、有機物分解を促進し、連作障害を回避するといった効能が挙げられているものの、その全てにおいて有効なものはなかった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る農業用資材を用いることで、
(1)地力を回復する
(2)有機物分解する過程において、土壌の汚染物を有益物化、又は無毒化する
(3)土壌の生態系回復により連作障害を回避する
(4)病原性微生物による病気発生を予防する
等の複数の課題を明確に解決することができる。
また、水質浄化材としても、ため池のヘドロを分解・消化し、窒素分・硫黄分・リン分を正常化し、水質の環境を改善することが可能である。
〔原料の処理〕
ここで、まず図1を参照して、小麦分画遠心法を用いた製造プラントXによる、小麦を原料としてデンプン、グルテン等を抽出し、農業用資材用の微生物を培養する培養液を取得する方法について説明する。
混合タンク10には、小麦と精製水を投入し、1万〜数万回転/分のミル等により粉砕する。
この粉砕された小麦と水の混合物は、遠心分離機21により、(A)デンプン30%を含む混合物と、(B)デンプン10%と小麦のタンパク質であるグルテンを含む混合物とに分離する。
(A)デンプン30%を含む混合物は、遠心分離機22によりデンプンと残留液とに分離する。このデンプンは、加熱した後で酵素や希硫酸糖で処理する公知の方法により糖化して、グルコースを得る。また、残留液の方は、繊維(パルプ)質とHCP(Heat Coagulated Protein)とを多く含み、例えば、豚用の飼料用に用いることができる。
(B)デンプン10%と小麦のタンパク質であるグルテンを含む混合物は、遠心分離機23により、グルテンとデンプンをまだ含んでいる混合物とに分離する。その後、グルテンは製品して出荷する。
また、遠心分離機23により分離された、デンプンを含んだ混合物は、さらに遠心分離機24にてデンプンを含んだ溶液と残留液とに分離する。この残留液、すなわち小麦分画遠心液を、本発明の実施の形態に係る農業用資材を製造するための微生物の培養に使用する。
また、遠心分離機24にて分離された、デンプンを含んだ溶液は、更に遠心分離機25でデンプンを分離して、そのデンプンを上述と同様に糖化してグルコースを得る。
さらに、残りの残留液は、もう一度遠心分離機26にてグルコースを取得して、このグルコースをグルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸発酵に用いる。また、残ったHCP等は、飼料用に用いる。また、その残留液等はリサイクルし、混合タンク10に戻して原料の更なる処理に用いる。
図2を参照して、小麦分画遠心液の液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS: Liquid Chromatography / Mass Spectrometry)を用いた分析結果の一部を示す。分析結果については、例えば、「http://www.env.go.jp/chemi/anzen/lcms/index.html」を参照して、この小麦分画遠心液に含まれる物質につき推測することができる。
その他、図示しない分析結果により、この小麦分画遠心液には、小麦由来のペプチドと、水溶性のデンプン、各種低分子を豊富に含んでいることが分かる。これにより、様々な種類の微生物を培養に都合がよいだけでなく、デンプンにより植物の栄養となり、生理活性の高いペプチドによる植物の成長促進が期待できる。
以上のように、小麦からグルコースとグルテンを取得するための製造プラントの中間的な小麦分画遠心液となる溶液を、農業用資材用の培養液として用いることができる。
この小麦分画遠心液培養液は、すべて小麦に含有されているいわゆる植物成分からなる。
また、小麦に含まれるミネラル・無機塩や、各種有機物を含んでいるという特徴がある。
この農業用資材培養液を用いて、選択した微生物を培養して調整する農業用資材用の製造方法について、以下で詳しく説明する。
〔農業用資材の構成〕
近年、物理化学的に合成された肥料や農薬の大量散布への反省から、微生物を介した農法(農業方法)が注目されてきている(以下、自然環境に適した農業方法を、単に農法という。)。この農法を用いることにより、上述の農地の劣化・汚染を防ぐことができると期待されている。
この農法として、良質な有機腐植肥料を田畑等に施肥する、いわゆる本来の有機農法が有用である。古人の伝承された英知・教えに従い、農業・畜産業を同時に行い、古人の農法である人糞・畜糞の廃棄物を自然発酵利用して有機腐植肥料とすることで、持続可能な物質循環農法が可能になる。
ところが、単に、従来の有機肥料を用いて有機農法を行ったとしても、農地の劣化・汚染が著しく進行すると、農地の土壌が硬くなっている状態となる。しかしながら、このような状態を復活させることは容易ではないという問題があった。また、近年の異常気象や温暖化により、表土の流出が深刻化し、砂漠化する土地が増えている。このように農地の土壌の表土が流出している場合は、従来の有機肥料を田畑等に施肥しても効果が少ないという問題があった。
そこで、本発明の発明者らは、この農法の為の環境の改善について実験を繰返して検討したところ、農地の劣化・汚染によりバランスが著しく崩れている農地の微生物の生態系を再構築することが非常に重要であることが分かった。
実際に、地球上のあらゆる生命は微生物の存在なくしては生きられず、ヒトを始めとする動物や植物が排泄した物質(排泄物)には、自然界の微生物の生態系にそった微生物が生息していることに発明者は気づいた。その結果、排泄物は、微生物によって有益な完熟化が促進されていた。
よって、この農法では、自然発酵過程の促進となる有益な微生物群を選択して用いることが重要となる。
〔微生物管理〕
ここで、植物への堆肥に関しては、土の団粒構造を形成に関与する微生物管理が重要である。
まず良好な土壌について説明する。

(1)土壌は、物理性において、固体相40〜50%、気相25〜30%、液相25〜30%から成り立っている。このような土壌の硬度としては、標準的な土壌の硬度計による計測にて、表層で15前後、下層で10前後であることが望ましい。
(2)土壌の化学性としては、岩石の風化した粘土質の微粒子(無機質)と、有機質化合物群(10〜15%)と、動植物の遺骸からなる腐植体(腐植物、85〜90%)とを含んでおり、これが微生物の作用で常に変化している。
(3)土壌は、団粒構造を形成することが重要である。土壌に施肥する良質の有機腐植肥料には、腐植体が多く含まれている。この腐植体に微生物が補助的な働きをし、土壌の有機質と無機質とがほどよく結合して団粒構造を作る。その団粒構造を住処として、微生物が多数生息する。

すなわち、良好な土壌においては、土壌の物理性、化学性、微生物性のバランスが保たれている必要があり、この安定度はいわゆる「地力」と関係がある。
一般的に、従来の有機肥料と称される肥料を投入しても、微生物の生態系の構成が悪いと土壌は良好とはならない。このため、団粒構造を形成させるような微生物管理が重要となってくる。
本発明の実施の形態においては、生態系に従って好気性発酵から嫌気性発酵を促進するような微生物が存在する農業用資材を用いることで、この微生物管理を行う。すなわち、この農業用資材を土壌中に散布して、微生物管理を行う。
また、微生物の生態系において、発酵工程での産物は、高分子が低分子化され、生物に吸収されやすい物質となっている。この発酵工程での様々な産物を土壌に還元すると、作物の栄養となる。
動植物の排泄物である有機物等は、微生物にとって全て栄養源(餌)となる。この有機物の発酵工程により、一次発酵から二次発酵を経て「完熟」し、吸収されやすい良質な物質として、醸し出す事で生態系に準じた工程となる。
また、発酵における過程で、微生物による分泌酵素などによる触媒作用や、微生物の生態系の遷移現象によって、一連で無可逆的であることが重要である。このような工程を、リーチングと呼ぶ。
〔微生物の選択方法〕
本発明の実施の形態に係る農業用資材においては、土中で有効に生息する微生物を選択して、上述の製造プラントXの中間的な残留液である小麦分画遠心液を用いて培養し、微生物資材とする。この微生物資材を腐植体とあわせて発酵させ、最終的な農業用資材を得る。
この際に、微生物を選択する選択方法について、詳しく説明する。
本発明の実施の形態に係る農業用資材においては、土壌中で以下の特徴をもつ微生物を種々の好気性・嫌気性微生物群から選択を行った。

・動植物の排泄物を正常に分解・消化する。
・土壌の「地力」を高め団粒構造をつくり、その結果、植物の生育を健全にする。

本発明の発明者らは、微生物を選択して、その条件に適合した組み合わせを鋭意検討し、農業用資材に応用した。
その結果、発酵型と土壌型の複合菌群を用いることが好適であることを見いだした。
この発酵型の菌種と、土壌型の菌種としては、以下のような菌を用いて選択することができる。
〔発酵型菌種〕
1.好気性菌、低温・中温・高温において発酵する菌群を用いる
2.糖質・脂質・蛋白質の分解菌
3.繊維質(セルロース、へミセルロース、リグニン、ペクチン)の分解菌
4.窒素固定菌(好気性菌、嫌気性菌)
5.メタン発酵、偏性/通性嫌気性発酵菌
〔土壌型菌種〕
1.細菌
2.放線菌
3.糸状菌
4,硝化菌
5.光合成菌、酵母
6.高温性細菌
7.高温性放線菌
8.酸性定着放線菌
9.アルカリ性酵母
10.芽胞形成好気性菌
11.一次発酵によって生存した菌
12.通性嫌気性菌・胞子状菌
13.窒素固定菌
これらの真正細菌、古細菌、菌類等から好気性菌・嫌気性菌のうち、土壌型中で有効な微生物において、好気性環境下の過程において、有機タンパク源を取り込む能力がある菌群を特に選択した。
さらに、以下のような菌群を数種、特に選択した:
(1).好気性環境下で生き残った通性嫌気性菌および嫌気性の胞子状の菌群
(2).菌核または有機物に付着した菌群
(3).土中で有機物を分解する、重要な役目を果たす菌群
(4).ある種の腐植を生成をする菌群
(5).空気中の窒素を土中に固定する、窒素固定菌
(6).鉱物(無機質)を溶解し、可溶化(リーチング)する物質を産出する細菌
(7).植物と共生共存し、成長因子を形成する菌群

なお、河川・湖沼の水質浄化材、飼料用添加剤、土壌改良材のそれぞれにおいて、これらの微生物を1つ又は複数組み合わせ、それぞれの目的に沿った微生物を選択することができる。
〔農業用資材の製造方法〕
ここで、本発明の実施の形態に係る農業用資材を製造する方法について、より詳しく説明する。
本実施の形態の農業用資材は、選択された生きた菌類を小麦等の穀物の抽出物の残留液を用いて培養した微生物資材の形態と、これを加工した用途毎の様々な形態で提供することができる。よって、この微生物資材は、後述するように、水質浄化材や他の用途に用いることができる。
以下で、図3と図4を参照して、本発明の実施の形態に係る農業用資材を製造する製造方法について説明する。
(ステップS101)
まず、本実施形態の農業用資材の製造に当たっては、培養行程により、上述の選択された菌類を培養する。
本実施の形態としては、上述の選択された菌類として(1)株化された納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)である成瀬菌、(2)乳酸菌(Streptococcus faecalis、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus plantarum)、(3)酵母(Saccharomyces cerevisiae)を選択した例について説明する。
この選択された菌類は、上述の小麦等の穀物の抽出物の製造により中間的な段階で排出される残留液(以下、小麦分画遠心液とよぶ)と、黒砂糖又は白糖、豆乳、ブドウ糖(glucose)、ポリペプトン(Polypepton)等を用いて培養する。
以下で、(1)納豆菌、(2)乳酸菌、(3)酵母を培養する例について説明する。
〔(1)納豆菌の培養〕
培養タンク31において、小麦分画遠心液99%、ポリペプトン0.1%の溶液に、(1)納豆菌2%(200g)を添加し、合計10Lとする。そして、50℃前後の恒温機(インキュベーター)で、攪拌しながら24時間、培養(発酵)させる。その後、菌数、PH、臭い等の検査を行って、混合タンク40に送液する。送液後に、培養タンク31は常温保存される。
〔(2)乳酸菌の培養〕
培養タンク32において、豆乳又は牛乳10%、小麦分画遠心液90%に、(2)乳酸菌を2%(2kg)添加を添加し、合計100Lとする。そして、45℃前後で攪拌しながら24時間、培養(発酵)させる。その後、菌数、PH、臭い等の検査を行って、混合タンク40に送液する。送液後に、培養タンク32は常温保存される。
〔(3)酵母の培養〕
培養タンク33において、小麦分画遠心液95%に、ブドウ糖0.5%、黒砂糖又は白糖2%に、(3)酵母2%(1kg)を添加し、合計50Lとする。そして、30℃前後で攪拌しながら24時間、培養(発酵)させる。この培養中に炭酸ガスが発生し、気泡が上がってくるので確認する。その後、菌数、PH、臭い等の検査を行って、混合タンク40に送液する。送液後に、培養タンク33は常温保存される。
(ステップS102)
次に、混合工程により、上述の小麦分画遠心液を主原料として、上述のステップS101で培養された菌類を、混合タンク40に投入する。
原料と菌類との割合の例は、以下の通りである:
・小麦分画遠心液 82% 820L
・黒砂糖又は白糖 2.5% 25kg
・培養された(1)納豆菌 1% 10L
・培養された(2)乳酸菌 10% 100L
・培養された(3)酵母 5% 50L
合計で、1ロットあたり、1tに調整する。
その後、タンク内温度を加熱器にて35〜40℃に設定し、攪拌しながら、1日培養(発酵)させる。その際に、発酵温度を確認し、雑菌類の繁殖の有無を確認する。
その後、培養された混合タンク40の溶液を、エイジングタンク60に送液するため、ろ過フィルター50に通す。
(ステップS103)
次に、分離工程により、固形物と溶液とを分離する。
ここでは、培養した微生物をすべて取り除く必要はないため、ろ過フィルター50として、フィルターメッシュ150μのフィルターを用いて、固形物の分離を行う。
その後、固形物を分離した溶液は、エイジングタンク60に送液する。
(ステップS104)
次に、エイジング工程により、エイジングタンク60内にて固形物を分離した溶液を熟成させ、菌類を安定させる。
このために、上述のステップS103で固形物を分離した溶液を、室温にて3日程度攪拌しながら培養する「エイジング」を行う。
このエイジングにより、室温や湿度や培養条件にて、適宜期間を調整する。
エイジング後の溶液は、製品タンク70に送液する。
(ステップS105)
次に、パッケージ工程により、本実施形態の農業用資材に係る液体状の微生物資材を製造する。
具体的には、製品タンク70内のエイジング後の溶液を、循環ポンプを始動し2時間程度攪拌する。これにより、菌類が死滅しない程度に軽く攪拌して均一な状態にする。
その後、菌数・PH・臭い・雑菌類の有無等を検査する。そして、検査後に、溶液を輸送用タンク80へ充填する。
輸送用タンク80にて輸送された溶液は、瓶詰め等の公知の方法にてパッケージングされる。
この液体状の微生物資材自体が、いくつかの用途に用いる製品となり、出荷可能である。たとえば、この微生物資材の製品を、そのまま土壌に播く微生物資材の用途で使用したり、希釈等することで水質浄化材の用途で用いることができる。
また、この微生物資材にHCPを加えたり、セラミック等の担体等の副資材に吸着固定して提供したり、団粒構造をもつ培養土と併せて有機腐植肥料にして提供することもできる。この有機腐植肥料は、適応できる土壌へ散布可能である。
以上のように構成することで、本発明の実施の形態に係る農業用資材を、用途により微生物資材や水質浄化材等の形態にて提供することができる。
また、この農業用資材は、土壌改良材・飼料添加剤・廃棄物処理剤・屋上緑化材として用いることができ、後述するように本実施形態の農業用資材を用いて、有機腐植肥料を製造することもできる。
〔飼料用添加剤、水質浄化材、土壌改良材〕
上述の農業用資材に上述のHCPを加え、製造方法を調整することで、本実施形態の農業用資材を飼料用添加剤、水質浄化材、土壌改良材として用いる際の製造方法について説明する。
この製造方法としては、混合タンクにて、貯蔵していた上述のHCPに微生物資材を加えて、各原料を投入し、用途別に水分調整を行うことで、飼料用添加剤、水質浄化材、土壌改良材の製造が可能である。
まず、(1)ペレット生産乾燥機を用いることで、主に飼料用添加剤と水質浄化材として用いる製品の製造が可能である。
また、(2)発酵乾燥機を用いることで、主に水質浄化材と土壌改良材として用いる製品の製造が可能である。
ここでは、(2)発酵乾燥機を用いる水質浄化材と土壌改良材の製造について説明する。
1日に水分80%の160tの上述のHPCを、乾燥機にて水分を80%から60%に乾燥させる。その後、全体で0.5〜5%の本実施形態の微生物資材と、用途別の副資材を加える。さらに、混合熱風攪拌を行い、乾燥し粉砕機にて粉砕する。その粉体を、1mm程度のフィルターメッシュを通して製品化する。
なお、白色の土壌改良材として用いる場合は、同様の製造方法にて、1ロット 100tあたり、原料として:
・上述のHCP 100% 100t
・各微生物群 0.5〜5% 500k〜5t
・必要に応じて副資材投入
して製造する。
〔農業用資材の効果〕
この農業用資材により、以下のような効果を得ることができる。
(1)有機物の生息を促進し、植物の根・微生物・土との関係が健康的である土壌を造ることができる。
(2)微生物資材として用いることで、土壌中に有効微生物を送り込み、その活性物質の働きを高めることで土壌が良好となり、結果的に土壌の浄化を行うこともできる。よって、農業用資材を別用途である浄化資材として用いることができる。したがって、土壌の浄化により、植物の生命力を向上させるため、完全無農薬農業が可能となる。
(3)少量の施肥で土中微生物の偏重分布を修正し、有益な微生物が生息しやすい環境を整えることができる。この環境が、微生物のいわゆる生態系となる。
(4)土中で速やかに腐植生成が促進され、その過程において栄養素等の有益な物質を徐々に醸し出し、維持しながら安定させる。従って、良質な腐植の蓄積により、植物の成長を促すことができる。
(5)良質な腐植の安定維持が土壌の物理性・化学性・微生物性における、いわゆる地力を向上させることができる。
(6)保水性などのバランスがよくなり、土壌が肥料を保持する能力が向上し、根に養分をスムーズに供給できる状態をつくることができる。
(7)土中の微生物の働きにより、窒素・燐酸・カリの養分を根に供給する。
(8)土中の微生物の働きにより、ビタミン・アミノ酸の他に、各種のオーキシン・ジベルリンや、特にサイトカイン・エチレン等の成長因子等の生理活性物質を生成し、いわゆる植物性ホルモン作用を正常化させる。さらに、生理活性物質の作用は、植物の幼根の発育や強靭な毛根を育成して、新陳代謝促進にもつながる。また、葉・花芽の形成を良質にして植物の品質を向上させることができる。
(9)病原菌や高温多湿による害などの多発を抑制する。また、急激な気象変化による根害の悪影響を和らげることができる。

さらに、土壌中の各種機能を持つ菌群の増殖により、次のような効果を得ることができる。

(10)植物の生育を旺盛にし、植物が健全となり結果的に病原菌に抵抗力がつく。
(11)菌群のうち、ある種の放線菌が増殖すると抗生物質等を作り出し、有害菌等を抑制し淘汰する。
(12)物理的障壁になる菌鞘を形成して、病原菌の侵入を防止する。
(13)有用性を持つ微生物を含む土壌により、有害な微生物の繁殖を防ぎ、植物の病害抵抗力を高める。
(14)土中投入後、直ちに微生物のバランスを整え、未分解物を正常化し、微生物の安定分布を維持させる。
(15)塩基置換容量(CEC)を高めることができる。その結果、肥効を最適化することができる。
(16)無機質肥料のうちチッソ、リン酸、カリの3成分のうち、2成分以上を含む肥料である化成肥料を施肥して補肥として使用することで、微生物による同化作用にて、有効な肥料となり相乗効果が期待できる。しかしながら、補肥として使用する化成肥料は20%以下を目安に施肥することが望ましい。
{化成肥料施肥による主な利点}
a.一時的に、窒素成分の供給を行うことができる。
b.特に、リンの不溶性を可溶性にして養分を供給することができる。
c.珪素・銅・モリブデン・亜鉛・ホウ素・マンガン・鉄・Ca等のミネラル(鉱物)成分を、本実施形態の農業用資材によるリーチングで、根が吸収しやすい可溶性物質に変えて供給することができる。

(17)微量成分が植物の根に供給されると同時に、逆にある種の微生物は、根から養分の供与を受けて生活をしている。土中に多様化した豊富な微生物の生態系の存在により、この生理作用を高め、土壌を豊かにし、浄化能力を高めることができる。よって、植物の健全性を向上させ、対病原菌等の防御能力を向上させる。
(18)徐々に土中の残渣物を有用物に変え、具体的には窒素やリン酸等を貯蔵し、保水性を高め、植物が適応できる肥沃な土壌をつくることができる。
(19)病害の少ない、栄養豊な作物を収穫できる。また、ゴルフ場の芝も花卉等も、伸び伸びとした鮮やかな本来の原色にすることができる。
(20)過去又は現状においての固化し、劣化した土壌、主に農薬等で汚染された土壌を再生・改善することは、上記の如く可能である。
〔本発明の実施の形態に係る有機腐植肥料〕
この本発明の実施の形態に係る有機腐植肥料は、上述の微生物資材形態の農業用資材と畜産・酪農、漁業、農業、鉱業等の各種廃棄物を有機腐植肥料製造原料として混和し、調整し、発酵して製造する。具体的には、畜糞、バーク堆肥、バーク、魚カス、米ぬか、大豆カス、小麦フスマ等を用いることができる。
この施肥用の有機腐植肥料を製造する際には、本発明の実施の形態に係る微生物資材を用いて、好気性菌群による一次発酵の過程を行う。その後、二次発酵による嫌気性菌群の働きで良質な腐植体を醸し出す。さらに、土壌有効菌・腐植生成・酵母・窒素固定菌群等を根付かせる工程を経る。このような工程を経ることで、バクテリア・リーチングの生化学的な処理が行われ、完熟有機腐植となる。
さらに、腐葉土と粘土鉱物質を加えることで、土壌の活性化と肥沃度を高める人畜無害・無悪臭の安定した有機腐植肥料とすることができる。
このような本発明の実施の形態に係る有機腐植肥料を用いることで、上述の(1)〜(20)の農業用資材による効果以外にも、以下のような効果を得ることができる。

(1)有益な微生物と腐植を含む有機腐植肥料により、土壌の状態を良好にし、有害因子を抑制し、減農薬或いは無農薬農業へ誘導することができる。そして、健全な肥沃化土壌をつくり、栄養豊かな健康作物をつくることができる。
(2)畜産・養魚の飼料に混ぜ、各種菌群の機能を利用して、畜産動物・水中動物等の腸内菌を活性化し、健康な体質にて育成することができる。
(3)有機質による汚染の主な原因となる、汚水・汚泥を各種菌群により浄化することができる。
(4)有機質による環境汚染や公害に対しても、気化発酵などの絶対嫌気性菌の微生物群を利用して、土壌の浄化及び正常化に対処することができる。
まとめると、上述の本発明の実施の形態に係る有機腐植肥料は、以下のような効果が得られる。
(1)土中における植物の繊維素・木質などを敏速に分解する。
(2)空気中の窒素を窒素固定菌により固定吸収できる。
(3)腐植の生成と促進と維持ができる。
(4)根粒菌・菌根菌が土中深く、植物の根の周囲で共生し、作用を及ぼすことができる。
(5)植物と共生共存して、植物の根からの分泌物からホルモン・ビタミン等を生成し、再び根へ返すことができる。
(6)さらに、植物の生理活性機能をもつ成長因子をつくる。
(7)土壌塩基の流亡を防ぎ、化学肥料やその他の肥料との同化作用で相乗効果を可能にする。
(8)土の無機質から、植物の成長に必要な微量成分を、吸収可能な有機化合物等として溶出させることができる。
(9)土壌の有害菌を抑制できる。
(10)土中で団粒構造を形成し、栄養分の貯蔵が可能で、作物に栄養を与えやすい土壌形態を作る機能がある。
なお、本発明の実施の形態に係る農業用資材は、畜産にも用いることができる。具体的には、牛、豚、鳥等の飼料に混ぜることで、家畜類体内の新陳代謝を促進し、自然な健康を維持し、免疫力を高め、ウィルス・細菌等による病気に罹りにくい体をつくることができる。このため、抗生物質等の投与を抑えることができる。また、元来、穀物の小麦由来なので、栄養価が高い。
また、その飼育した家畜の排泄物を、土中に投入して自然発酵させ、自然農作物の肥料とし、還元することができる。これにより、良質な農作物づくりが維持され、安心安全な農作物を栽培することができ、いわゆる理想的な自然リサイクルを実現することができる。
また、本発明の実施の形態に係る農業用資材は、廃棄物処理、屋上緑化のような用途にも用いることができる。
この廃棄物処理としては、畜産廃棄物等の臭いを抑制することもできる
また、屋上緑化に用いることで、温度が高くなりがちな屋上に配置された植物の土壌・水質の生態系を健全に保つことができる。
以下、本発明の実施の形態に係る農業用資材を用いた実施例を示すが、本発明はこれに限られるものではない。
(実施例1)
図5と図6とを参照して、ゴルフ場において、芝の病害であるラージパッチの改善に、本発明の実施の形態に係る農業用資材を用いた実施例について説明する。
ラージパッチ(葉腐病)は、主に日本芝に発生する重要病害である。4月〜5月にかけて発生し、夏は発生がほとんど収まるものの、秋になると再び病害が発生する。ラージパッチにおいては、褐色の斑点(パッチ)が芝地の所々にできて成長し、直径30cm〜5mにも及ぶ裸地化が起こる。このパッチ内部の芝草は、無抵抗に引き抜けるようになる。病原菌は中温型のリゾクトニア属菌(Rhizoctonia solani AG2−2)である。
図5と図6は、本発明の実施の形態に係る農業用資材を用いて培養した微生物資材を、1月に1回、公知の散布機を用いて200g/m2播き、水分を約50%に調整した際のラージパッチの様子を示している。図5(a)と図6(a)とは、7月1日の散布前時点でのラージパッチの様子を示す。同様に、図5(b)と図6(b)とは、2回目の散布時である8月1日時点でのラージパッチの様子を示す。また、図5(c)と図6(c)とは、3回目の散布から1月経過した、10月1日時点での同一地点の様子を示す。
図示しないコントロールにおいて、微生物資材を散布しない場合には、ラージパッチの大きさは拡大して自然に解消することはなかった。
これに対して、図5、図6とも、7月1日から本発明の実施の形態に係る微生物資材を、3回散布しただけで、ほぼ完全に芝が生えそろってきたことが分かる。特に、図6の例では、10月1日には、ラージパッチがあったことが分からない程度に芝が生えそろっている。
これは、上述のように、本発明の実施の形態に係る微生物資材が、各種微生物の働きで芝の土壌中の生態系を改善し、病原菌の繁殖を抑えたためと考えられる。
(実施例2)
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態に係る農業用資材を用いて土壌改善を行った例について説明する。
ここでは、国内のゴルフ場を模したほぼ同一地点の畑地をよく鋤き込んだ後、それぞれ、左から、
(1)有機腐植肥料、250g/m2 …… 実施例2
(2)化学肥料、250g/m2 …… 比較例1
(3)無肥料 …… 比較例2
の土壌に日本芝を植え、40日間栽培して、サンプルを取得したものである。
(1)は、本発明の実施の形態に係る有機腐植肥料を用いた例である。
(2)は、比較例1として、上述の腐植体に、いわゆる化学肥料(有機合成肥料、化成肥料)を過剰に施肥した状態の土壌を用いた。この化学肥料は、石灰、窒素などを所定量の2倍の過剰投入を行った。これにより、比較例1は、アンモニア発生障害やリン酸固定の状態を起こし、微生物に悪影響になる化学物質が蓄積し土壌が「劣化」して硬くなっている状態を模した。
(3)は、比較例2として、元々の上述の腐植体のみの土壌を用いたコントロールである。
図7(a)のサンプルのように、(1)の芝と(2)の芝の地上部(葉、茎)は十分育っており、(2)の芝の方が、一見、地上部の成長が大きいように見える。また、(3)の芝は分解できない腐植体のみによる肥料不足により多少成長が悪くなっている。
図7(b)を参照すると、サンプルの円筒内の根の張り方を示す。図7(c)は、この土壌成分を洗い流して根の状態を示したものを示す。
この根の長さは、図7(d)のように、(1)で35〜40cm、(2)では10cm前後、(3)では5〜10cmとなっている。このように、(1)では地上部の成長はそれほど大きくないものの、根が地中に深く張っていることが分かる。これにより、表土や肥料を保持する能力が高まり、最終的な生育が良くなることが期待できる。これに対して、(2)では根の部分の成長があまりなく、(3)より多少延びている程度である。このため、ちょっとした降雨や干害で枯れやすくなることが予想される。また、冬場に芝が枯れた後に、土壌が飛散、流出する量が多く、毎年施肥せねばならずコストがかかる。
このように、本発明の実施の形態に係る有機腐植肥料を用いることで、劣化・汚染が進んで硬くなっている土壌を改善し、芝のような植物の根を十分根付かせる効果が期待できる。
(実施例3)
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態に係る農業用資材である微生物資材をゴルフ場に散布した実験の結果を説明する。
図8(a)は、11月1日にコース改造によりホールのグリーン部位に対して、ベント芝を用いた芝の張り替えを行い、張り替えた後に、本発明の実施の形態に係る微生物資材を500倍希釈したものを、1000cc/m2 となるように散布した直後の状態を示す。
図8(b)は、散布後の11月12日の状態を示す。散布後12日が経過して、芝の表面がだいぶ締まってきていた。また、芝自体も、従来の化学肥料を施肥した場合に比べて急速に生育していた。また、土壌の団粒化が起こり、実験前よりコースがだいぶ柔らかくなってきていた。
このように、本発明の実施の形態に係る微生物資材は、芝の成長を促進し、健康な芝の環境を造ることができる。しっかりと根を張った芝の生長により、農薬や肥料を抑制することが可能になる。また、この実験により、環境に配慮したゴルフ場を維持できることが証明された。
(実施例4)
次に、図9A〜図9Lを参照して、具体的に本発明の実施の形態に係る微生物資材又は有機腐植肥料を用いて収穫作物を栽培した実験結果を解説する。
図9A〜図9Lは、本発明の実施の形態に係る農業用資材である微生物資材又は/及び有機腐植肥料を使用した際の、成長比較、収量比較、施肥方法のような具体的な栽培の様子を示した写真である。
この図9A〜図9Lの各写真において、(1)は、微生物資材又は有機腐植肥料を用いて収穫作物を栽培した実施例を示す。また、(2)は、比較例として、同一の土壌で従来の方法で化学肥料を施肥した状態の土壌を用いて収穫作物を栽培した比較例を示す。
図9A、図9Bは、収穫作物としてキュウリを栽培した例である。(1)の栽培条件は、試験面積600m2、本実施形態の有機腐植肥料を300g/m2、本実施形態の微生物資材3cc/m2を水で希釈し散布した。すなわち、使用基準としては、作付け時に育苗土9:有機腐植肥料1を用いた。また、追肥として栽培中、月1回 本実施形態の微生物資材3cc/m2を水で希釈し散布した。(2)は、従来の化学肥料と農薬とを従来の方法で施肥した。
(1)では、作付け1ヶ月前より本実施形態の有機腐植肥料を投入、成長状況は作付け5日目ぐらいで茎・葉の大きさに差が出始め、土壌の状態も使用1ヶ月程度で団粒化が促進し、土が柔らかくなり始めた。結果として、成長は根・茎・葉・実共に良好、病害虫の発生がなく品質も向上し、収穫量も増えた。
図9Cは、収穫作物としてスイカを栽培した例、図9Dは収穫作物としてイチゴを栽培した例である。(1)実施例、(2)比較例とも、肥料の施肥量と施肥方法は図9A、図9Bのキュウリの栽培と同様である。
結果として、図9Cのスイカ、図9Dのイチゴとも、(1)は(2)に比較して、化学肥料を70%削減し、農薬使用量80%削減できた。また、根張がよく、各品均一で艶があり食味も向上した。収穫量も増え、商品の品質が向上したため、高値で取引されている。
図9Eは、収穫作物としてヘチマを栽培した例である。(1)実施例、(2)比較例とも、肥料の施肥量と施肥方法はキュウリと同様である。結果として、(1)は(2)に比較して、育苗時の発芽率が向上し、葉の艶・色・大きさ向上し、定植後の葉の艶・色、茎の太さ共に良好であり、病害虫の発生がなかった。
図9Fは、収穫作物としてブドウを栽培した例である。肥料の施肥は、元肥として本実施形態の有機腐植肥料 300g/m2、微生物資材 3cc/m2を水で希釈し散布した。その他の施肥方法は、上述の他の栽培作物と同様である。使用した結果、品質が均一で艶があり食味も向上した。また、農薬の使用量50%削減し、収穫量が増えた。さらに、糖度試験により、未使用時には18〜19%であったのが、本実施形態の農業用資材を使用したブドウは21%以上に向上した。このように、商品の品質が向上したため、高値で取引されている。
図9Gは、収穫作物としてマクワウリを栽培した例である。(1)実施例、(2)比較例とも、肥料の施肥量と施肥方法は図9A、図9Bのキュウリの栽培と同様である。(1)は(2)に比較して、発芽時はほぼ同じだが、発芽後三日目より成長に差が出始め、葉の大きさ・色艶・根の張り共に良くなった。また、(1)は病害虫に侵されにくい植物体となっている。
図9H、図9Iは、収穫作物としてメロンを栽培した例である。(1)実施例、(2)比較例とも、肥料の施肥量と施肥方法はキュウリの栽培と同様である。
図9Hは、作付けから15日後の写真で(1)は、病害虫等発生無し、根・茎・葉共に良好であった。生産者によると、生長状況は驚嘆するほど良く、従来の栽培方法とは比較にならないとの感想を得た。
図9Iを参照すると、(1)実施例と(2)比較例を比較すると、本実施形態の農業用資材を用いた(1)は根張りが良くなっているのが分かる。逆に、従来の化学肥料を用いた(2)では、根張りが弱く発育が遅れるのが分かる。
図9Jは、収穫作物としてトマトを育苗栽培した例である。(1)実施例、(2)比較例とも、肥料の施肥量と施肥方法は上述のキュウリの栽培と同様である。(1)(2)とも、同日種まきしたところ、発芽はほぼ同じだが、発育時に色や茎の太さ・葉の大きさに差が出始めた。(1)(2)とも、苗の状態としては良好である。しかしながら、作付け時期になると従来の(2)の苗は、枯れるものも多くなる。これに対して、本実施形態の農業用資材を使用した苗は、作付け後の成長もよく、収穫量も増え、品質も安定している。
図9Kは、収穫作物としてニラを育苗栽培した例である。(1)実施例、(2)比較例とも、肥料の施肥量と施肥方法は上述のキュウリの栽培と同様である。(1)は(2)に比較して、栽培開始より1ヶ月より成長に差が出始め、根の張り・茎葉共に強靭な植物体になり、収穫量・品質・食味が向上した。
図9Lは、収穫作物としてトウモロコシを栽培した例である。(1)実施例、(2)比較例とも、肥料の施肥量と施肥方法は上述のキュウリの栽培と同様である。栽培開始から3週間程度で成長に差が出始めた。矢印で示したように、本実施形態の農業用資材を用いた(1)は、従来の栽培による(2)より成長が早い。また、(1)は、目立った病気・ウイルス等に侵されずに成長した。
図9A〜図9Lにおいて、親菌床圃場改良から本圃場改良まで、数年に渡る本発明の実施の形態に係る微生物資材又は有機腐植肥料を用いた実験栽培の結果、団粒構造化が正常に形成され根張りが良く・病気などの発生もなく、大変元気で健康そのものの各種の作物を収穫できた。
このように本発明の実施の形態に係る農業用資材を用いることで、自然生態系のバランスを整え、結果として土の団粒化が促進されたことが、証明される。
事実、図9A〜図9Lの各作物においては、毛細根までしっかりと根が形成されている。これは、土の状態が団粒化の促進により、土壌が柔らかい状態になったためと考えられる。これにより、健全な土壌を造り、ありのままの自然の状態で作物を育てることが可能になり、有機栽培による安心、安全な植物を育てることができる実践証明となる。
また、本発明の実施の形態に係る有機腐植肥料を用いることで、自然生態系のバランスを整え、結果として土の団粒化が促進される。そして、このように成長を促進し、高品質な作物を栽培することが可能になる。
(実施例5)
〔なすの連作障害試験〕
次に、図10を参照して、収穫作物としてなすを栽培する場合の、連作障害試験の実施例について説明する。
図10(a)は、試験前の土壌の様子で、前の年になすを作付けしたものである。土壌が劣化して硬くなり、ひび割れていることが分かる。この状態でなすを作付けすると、多くの苗が枯れてしまい、収量がほとんどない状態になる。
このため、土壌改良として、作付け前1か月に、本実施形態の有機腐植肥料300g/m2、微生物資材3cc/m2を水で希釈し散布した。
その後、ビニールシートで覆い。約1カ月間発酵熟成した。この際に、発酵温度は、55℃前後まで上昇した。
作付け時には、微生物資材3cc/m2を水で希釈し散布した。
図10(b)を参照すると、土の団粒化が進み、従来なら連作障害が起こる土壌においても、良好な発育を示し、品質の安定したなすを収穫することができた。
このように、本発明の実施の形態に係る農業用資材を用いることで、土壌の生態系が損なわれて劣化した土壌を回復させ、正常な生態系の状態に近づけることができる。これにより、従来は連作障害が起こって栽培できない土壌においても、作物を栽培することが可能になる。
(実施例6)
〔イチゴハウスの床温度〕
次に、図11を参照して、図9Dのイチゴの栽培の実施例と同様のイチゴハウスの床温度を測定した実験例について説明する。
図11は、冬期に、地下30センチ地点での温度を12日間測定したデータである。ここでは、本発明の実施の形態に係る有機腐植肥料を使用した土壌の温度を実施例6とし、公知の化学肥料を用いて栽培を行ったイチゴハウスの土壌の温度を比較例4とした。図11のグラフ900は実施例6を示し、グラフ910は比較例4を示す。元肥として本発明の実施の形態に係る有機肥料400kg/10アールを投入した後に耕し、水分を45〜50%に調整した。その結果、土中に蓄積している未分解物質を分解し、土壌の腐植(団粒構造形成)により保水性・保肥性・保温性が向上した。
このように、本発明の実施の形態に係る有機腐植肥料を使用した場合は、深さに関わらず土壌の温度が一定化し、対照地より全体的に1.5〜2.0℃高い温度を維持することができる。この差は、土壌が深くなるほど大きくなる。
よって、本発明の実施の形態に係る有機腐植肥料を用いることで、圃場の土壌温度の安定化により、冷暖房のコストを削減することができる。また、作物への温度によるストレスを低減することができ、作物の品質を向上させ、最適な栽培を行うことができる。
〔水質浄化材〕
次に、本発明の実施の形態に係る農業用資材を、水質浄化材として用いる例について説明する。上述のように、本発明の農業用資材は、水質浄化用と分けて、異なる微生物を組み合わせて、選択を行うことができる。具体的には、枯草菌・乳酸菌・酵母菌・光合成菌・シアノバクテリアなどを組み合わせ、タンパク質の分解を促進するような微生物を選択する。
ここで、本発明の実施の形態に係る農業用資材は、ため池のような、周囲から雨水が溜まり外部に流出しないような池においても、効果的に水質浄化を行うことができる。
このようなため池の環境としては、例えば、ゴルフ場における、基本的に雨水のみの池のような池がある。このような池では、底面にゴムシートを貼っているため、水の循環がほとんどなく、池の色が変わりやすく、夏場、臭いがでることが多い。
このような池において、水質が悪化する原因としては、以下のものが考えられる:
(1)生活、工業、農業用排水の流入、魚の餌等の有機物の滞留。これらにより、窒素・リン・その他有機物により、アオコや植物プランクトンが大量に発生し、溶存酸素の低下が起こり、悪臭が発生する。また、富栄養化状態となる。
(2)地形状流れがない場所。地形によっては水が入れ替わらない所は溶存酸素が低く、富栄養化が起こりやすい。特に夏場にアオコ類が増える。雨水のみが流入するため、水の入れ替わりが少なく、溶存酸素が低下しやすい。
(3)水深の浅い場所。水深50cm以下の葦や水生植物が生えてない場所にかぎって、温まり易く冷え易い為、風・雨・温度等の影響で環境が変化しやすい。
(4)葦等の水生植物が生えている場所は酸素の供給ができ、植物によってできる影が温度の上昇を抑える役割をするものの、ゴルフ場の池やため池等、底面にゴムシートが敷き詰められていると、水生植物は生えない。
(5)本来、地質に含まれる石灰岩等が池に溶け出してPHの変化を緩和するが、ゴムシートを貼っていると遮断されるため、酸性雨の影響を受けやすい。また、ゴムシートは、熱を吸収しやすいため、水温が上がり植物プランクトンが急激に増殖しやすくなる。
(6)地形がすり鉢型の池。このような湖沼は地形の変化がない為、季節の変化に対応することが難しい。
(7)周辺に木々や山などがない場合は日光・影のバランスが悪い湖沼水の層は、おおむね上層・中層・下層に分けられ、各層で棲息する微生物や有機・無機物の分布が異なる。このような予測される各層の例を示す。
上層:好気性菌微生物、軽比重物質、可溶化物質、溶存酸素等
中層:通性菌微生物、可溶性栄養物質、微藻類、プランクトン等
下層:嫌気性菌微生物、ヘドロ、動植物死骸、無機物、重比重物質、木材等
特に、下層部は長年蓄積したヘドロ中の無機質・有機質などがあり、異常な嫌気発酵などが繰り返され、悪臭ガスが発生し、水質汚染が進む。
(実施例7)
ここで、図12〜図14を参照して、本発明の実施の形態に係る水質浄化材を使用した例について説明する。
図12は、水質浄化材の実験に用いた池の外観を示す概念図である。この池は、図12のように、複雑な形状をしており、面積は6000m2、水量は1万2千t、水深は場所により1〜10m、夏の温度は最高36℃、冬の温度は最低−8℃である。地形的に問題はなく、水深は浅いところ、深いところ、共に微生物の環境としては良い。また、魚類はコイ・フナ類が生息している。しかしながら、クラブハウス等の排水が流れる最初の池であり、夏場にPHが10以上になり、汚染も進みやすくなる。このため、過去にPH調整剤を投入している。
この実施例では、微生物の選択を行い、上述の小麦由来の分画遠心液を培養液として、培養し、水質浄化材として調整した。上述の微生物資材と同様に、培養液に選択された菌が生きている状態で瓶等にパッケージングされたものを使用した。
その後、12月1日、1月15日、2月15日、3月30日、4月15日の計5回、この水質浄化材を、おおむね100万倍希釈し、散水車にて池全体に散布した。また、各投入回において、ミネラル分等を含むセラミック片を60個、すなわち池面積100m2に対し1個、池全体に手で投げて投入した。
図13を参照すると、本発明の実施の形態に係る農業用資材を池に対して散布した前と後の様子を示す。また、図14は、散布した前と後の水質検査結果を示す表である。
図13(a)は、散布前の11月18日に撮影した池の様子を示す写真である。富栄養化により、アオコが大量に発生して、ほとんど水底が見えない状態であるのが分かる。
この際の水質測定結果である図14(a)を参照すると、CODは一応、正常値の範囲にはあるものの高めであり、魚類のえさ、糞、落ち葉等の有機物の混入が考えられる。また、窒素やリンが多く、富栄養化が起こっているのが分かる。さらに、図示しないものの、雨水のみが流入するため、水の入れ替わりが少なく溶存酸素が低下しやすく、悪臭がしていた。
これに対して、図13(b)は、5回散布した後、4月15日に撮影した池を示す写真である。見た目にもアオコが減り、池の透明度が高くなっていることが分かる。浅いところでは、水底も見ることができる。
また、図14(b)にて、この際の水質検査を示す表を示す。この表を参照すると、CODも低くなり、富栄養化が改善されていることが分かる。
以上のように、本発明の実施の形態に係る農業用資材は、汚染された河川・湖・沼・池等の水質を、有意に浄化・改善する水質浄化材として用いることが可能であることが証明された。これは、選択された微生物を介して、生態系を改善するためと考えられる。また、悪臭などを一時的に吸着し、有用菌が増殖し、微生物の生息環境の正常化をサポートした結果である。さらに、選択された微生物は、水質向上に欠かせない必須ミネラル分をゆっくり可溶化し、水中に供給することで、四季を通じて安定した生態系の水質環境づくりをサポートすることが期待できる。
従来、河川・湖沼など自然水域は、生態系の自然浄化作用により浄化が行われてきた。しかし近年の自然水域は、工業、家庭用排水の混入、ダム建設及び護岸工事等により、この生態系が破壊されている。このため、自然浄化作用のバランスが崩れ、生態系の異常が発生している。
これに対して、本発明の実施の形態に係る農業用資材を用いることで、河川・湖沼等の自然水域に適した生態系を維持し、自然浄化作用を高めることができる。
また、全国各地に様々な池・沼・湖等があり、地形・水深・方位・流れ等により、それぞれに順応した環境がある。また、水中の環境は、光・水温・気温・水深・流れ・水生植物・水生動物等の様々な条件が重なり合い、水質が正常か異常かで変わってくる。
このような様々な環境においては、それぞれの環境に従った、自然浄化作用をもつ生態系を維持することが重要である。
本発明の実施の形態に係る農業用資材は、選択された微生物と、植物由来の微生物の栄養物質を多く含んでいるため、様々な環境に適した生態系の維持を行うことができる。よって、自然環境問題への改善をサポートすることが、証明できた。
また、生態系を維持することで、池・沼・湖等で棲息する魚・水草等の動植物の水質環境を正常化することができる。
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
本発明の農業用資材は、選択された微生物を、小麦分画遠心液の残留液により培養することで、安価に、土壌を改善し、水質を浄化することが可能である。
10、40 混合タンク
21、22、23、24、25、26 遠心分離機
31、32、33 培養タンク
50 ろ過フィルター
60 エイジングタンク
70 製品タンク
80 輸送用タンク
900、910 グラフ
X 製造プラント

Claims (11)

  1. 穀物を原料としてデンプン、グルテンを分画遠心した後の残留液を培養液として用いて、選択された微生物が培養された
    ことを特徴とする農業用資材。
  2. 前記穀物は小麦であり、
    前記培養液は、遠心分離によりデンプンとグルテンを2回分画し、水溶性のデンプンと小麦ペプチドを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の農業用資材。
  3. 前記微生物は、発酵型と土壌型の複合菌群から選択する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の農業用資材。
  4. 請求項1乃至3のいずれかの農業用資材を用いた微生物資材。
  5. 請求項4に記載の微生物資材と腐植体を含む有機腐植肥料。
  6. 請求項1乃至4のいずれかの農業用資材を用いた水質浄化材。
  7. 請求項1乃至4のいずれかの農業用資材を用いた土壌改良材。
  8. 請求項1乃至4のいずれかの農業用資材を用いた飼料添加剤。
  9. 請求項1乃至4のいずれかの農業用資材を用いた廃棄物処理剤。
  10. 請求項1乃至4のいずれかの農業用資材を用いた屋上緑化材。
  11. 穀物を原料として、
    遠心分離によりデンプンとグルテンを2回分画し、水溶性のデンプンと小麦ペプチドを含む残留液を培養液として取得し、
    発酵型と土壌型の複合菌群から微生物を選択し、
    前記培養液を用いて、選択された前記微生物を培養する
    ことを特徴とする農業用資材の製造方法。
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