WO2019026780A1 - バイオフィルター装置及びこれを用いた下水汚泥残渣脱水ろ液処理システム - Google Patents

バイオフィルター装置及びこれを用いた下水汚泥残渣脱水ろ液処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】微細な有機物粒子を回収することができ、フィルターが目詰まりを起こすことなく繰り返し使用が可能なバイオフィルター装置及びこれを用いた下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムを提供すること。 【解決手段】好気性菌体が生息する菌体生息媒体4を具備するバイオフィルター2を備えたバイオフィルター装置1であって、菌体生息媒体4が、下水汚泥残渣ペレットの内部にバチルス菌を担持させると共に表層部に乳酸菌を担持させた菌担持下水汚泥残渣ペレットを発酵させて製造した発酵下水汚泥残渣ペレットを含むバイオフィルター装置1、及びこれを用いた下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムである。

Description

バイオフィルター装置及びこれを用いた下水汚泥残渣脱水ろ液処理システム
 本発明は、バイオフィルター装置及びこれを用いた下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムに関する。詳しくは、下水汚泥残渣の脱水処理時に発生する脱水ろ液中の難吸着性浮遊物質等を回収するバイオフィルター装置及びこれを用いた下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムに関する。
 近年、下水処理場等から発生する下水汚泥残渣のリサイクルが進められており、脱水処理を行った下水汚泥残渣は、肥料化・燃料化などバイオマス資源として利用されている。
 一例として、国土交通省でもB-DASHプロジェクト(下水道革新的技術実証事業)を実施しており、これらの問題の解決に力を入れている。
 下水汚泥残渣のバイオマス資源の特徴としては、(1)人間の生活環境に伴い一定量は必ず発生すること、(2)成分・状態が一定していること、(3)燃料や肥料、セメント原料などに利用することが可能であること、などが分かっている。この特徴を生かし、2012年の国土交通省のB-DASHプロジェクトの一つである三菱長崎機工株式会社が開発した下水汚泥処理システムの実用化に向けた実用化研究が、長崎市東部下水処理場で実施された。このシステムは、水熱反応技術と高速メタン発酵技術を組み合わせた新しい汚泥減量化技術であり、このシステムはメタサウルスと呼ばれている(特許文献1及び2参照)。このシステムでは、排出された汚泥量が既存のシステムに比べて5分の1に減量することに成功し、廃棄処分する際、処分費の大幅削減が可能となった。しかしながら、脱水汚泥発生量を大幅に削減したものの、主として廃棄処分が行われている。
 そこで、下水処理場を含む地域のゼロエミッションの観点から低分子化処理された下水汚泥残渣の有効利用方法が検討された。このシステムで発生した低分子化処理された下水汚泥残渣は、植物の成長に必要な成分として窒素・リン・カリウムを含んでいることから、この下水汚泥残渣を肥料化もしくは土壌改良剤として利用しようという試みがなされ、現在、この下水汚泥残渣は「東長崎実証1号」として農林水産大臣登録肥料に登録されている。
 さらに、本発明者らは、上記「東長崎実証1号」を改良し、非常に肥効の高い機能性コンポストを提案している(特許文献3参照)。
 一方、下水処理場等で下水汚泥残渣を脱水処理する際に発生する脱水ろ液にも再生可能な資源が多く含まれており、農業への利活用が有効だと考えられるが、そのまま液肥又は農地用水として使用した場合、液中に含まれるアンモニアや雑菌等により植物体に悪影響を与える。さらには、土壌環境の汚染につながることが大きな問題であり、利活用に関して普及が進んでいない。
 現在、この下水処理場等から発生する脱水ろ液は、一定の処理がなされた後、放流水として海に流しているのが現状であるが、色度やCODの増加が問題となりつつある。
 下水処理場から発生する脱水ろ液の水質改善のための方法としては、脱水ろ液の処理に活性炭、ゼオライト等の物理的フィルターを用いる方法や、凝集剤などの薬品処理を施した後、遠心分離装置等にかけて処理する方法があるが、これらの処理には多大なコストやエネルギーを要する。
 さらに、これら従来の処技技術においては、処理時間の関係もあるが、処理できる懸濁粒子の大きさの適応範囲が1μm~1mm程度と比較的大きいため、それ以下の微細な有機物粒子(難分解性物質)の回収がなされないという問題もあった。
 上記の脱水ろ液の処理技術の他に、自然が保持している浄化能力を利用した水処理技術が存在する。この処理方法は土壌浸透式水浄化法などと呼ばれ、土壌表面に汚水を散布することとで、汚水等を土壌中に直接浸透させ、汚水中の汚濁物質および窒素やリンなどを吸着し、生化学的な菌体分解作用により、有機物の除去・浄化する方法である。土壌浸透法で浄化材とする資材は、自然の土層やマサ土、黒ボク土、赤玉土等と、活性炭や木炭などの天然の凝集資材を沈殿させた物などを用いて、人工的に構築した資材で浄化が行われてきた。しかしながら、土壌浸透法の通水速度は遅く、浄化処理に時間がかかり、さらには現在の汚水処理法に比べ、浄化する敷地面積を必要とすることが問題となる。また、汚水中に含まれる浮遊有機物やろ材の劣化により目詰まりを起こすなど実用的な水準まで普及できていない現実である。
特開2012-200691号公報 特開2012-200692号公報 PCT/JP2017/27662
 本発明の課題は、微細な有機物粒子を回収することができ、フィルターが目詰まりを起こすことなく繰り返し使用が可能なバイオフィルター装置及びこれを用いた下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムを提供することにある。
 また、本発明の他の課題は、これらの装置やシステムを用いた下水汚泥残渣脱水ろ液の効果的な処理方法や、これらの装置やシステムで処理された処理液を有効に利用する方法を提供することにある。
 本発明者らは、下水処理場等で下水汚泥残渣の脱水処理時に発生する脱水ろ液の処理方法について鋭意研究した結果、本発明者らの開発した発酵下水汚泥残渣ペレット(PCT/JP2017/27662号及び特願2018-25098号記載の発酵ペレット)を用いると共に、従来の土壌浸透式水浄化法を応用することにより、通常の物理的フィルターでは回収困難な微細な有機物粒子を回収することができ、脱水ろ液中のCOD及び色度を顕著に低減することが可能であること、さらには、フィルターが目詰まりを起こすことなく、繰り返し使用できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
 また、本発明の方法で処理した脱水ろ液処理液は、処理前の脱水ろ液に比べて硝酸態窒素量が飛躍的に増加しており、液肥として非常に有用であることを見いだした。
 すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]好気性菌体が生息する菌体生息媒体を具備するバイオフィルターを備えたバイオフィルター装置であって、前記菌体生息媒体が、下水汚泥残渣ペレットの内部にバチルス菌を担持させると共に表層部に乳酸菌を担持させた菌担持下水汚泥残渣ペレットを発酵させて製造した発酵下水汚泥残渣ペレットを含むことを特徴とするバイオフィルター装置。
[2]下水汚泥残渣ペレットが、難分解性高分子を低分子化する低分子化処理が施された下水汚泥残渣をペレット加工したものであることを特徴とする[1]記載のバイオフィルター装置。
[3]菌体生息媒体が、団粒土壌を含むことを特徴とする[1]又は[2]記載のバイオフィルター装置。
[4]少なくとも団粒土壌、植物性有機資材、及び発酵下水汚泥残渣ペレットを含む菌体生息媒体を具備する第1のバイオフィルターと、少なくとも団粒土壌、及び発酵下水汚泥残渣ペレットを含む菌体生息媒体を具備する第2のバイオフィルターと、を備えたことを特徴とする[1]~[3]のいずれか記載のバイオフィルター装置。
[5]下水汚泥残渣の脱水ろ液を処理するために用いられることを特徴とする[1]~[4]のいずれか記載のバイオフィルター装置。
[6]下水汚泥残渣の脱水ろ液中の腐敗菌及びアンモニアを低減する無害化処理装置と、該無害化処理装置で処理した脱水ろ液をろ過する[1]~[5]のいずれか記載のバイオフィルター装置とを備えたことを特徴とする下水汚泥残渣脱水ろ液処理システム。
[7]無害化処理装置が、菌体を用いる処理装置であることを特徴とする[6]記載の下水汚泥残渣脱水ろ液処理システム。
[8]バイオフィルター装置で処理した処理液の一部を、無害化処理装置に投入する返送機構を備えたことを特徴とする[6]又は[7]記載の下水汚泥残渣脱水ろ液処理システム。
[9]下水汚泥残渣の脱水ろ液中の腐敗菌及びアンモニアを低減する無害化処理工程と、該無害化処理した脱水ろ液を[1]~[5]のいずれか記載のバイオフィルター装置に投入してろ過するろ過工程と、を有することを特徴とする下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
[10]無害化処理工程が、菌体を用いる処理であることを特徴とする[9]記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
[11]無害化処理工程で用いる菌体が、乳酸菌及びバチルス菌を含む複合菌体であることを特徴とする[10]記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
[12]無害化処理工程が、脱水ろ液に、ろ過工程後の菌体を含む処理液を添加する工程であることを特徴とする[10]記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
[13]ろ過工程が、所定量の脱水ろ液を投入後、所定期間をあけて次の所定量の脱水ろ液を投入するバッチ処理であることを特徴とする[9]~[12]のいずれか記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
[14]下水汚泥残渣の脱水ろ液が、難分解性高分子を低分子化する低分子化処理が施された下水汚泥残渣の脱水ろ液であることを特徴とする[9]~[13]のいずれか記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
[15]無害化処理工程の前に、下水汚泥残渣の脱水ろ液に対してオゾン処理を施すオゾン処理工程を有することを特徴とする[9~[14のいずれか記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
[16]下水汚泥残渣の脱水ろ液中の腐敗菌及びアンモニアを低減する無害化処理工程と、該無害化処理した脱水ろ液を[1]~[5]のいずれか記載のバイオフィルター装置に投入してろ過するろ過工程と、を有することを特徴とする液肥の製造方法。
[17]無害化処理工程が、菌体を用いる処理であることを特徴とする[16]記載の液肥の製造方法。
[18]無害化処理工程で用いる菌体が、乳酸菌及びバチルス菌を含む複合菌体であることを特徴とする[17]記載の液肥の製造方法。
[19]無害化処理工程が、脱水ろ液に、ろ過工程後の菌体を含む処理液を添加する工程であることを特徴とする[17]記載の液肥の製造方法。
[20]ろ過工程が、所定量の脱水ろ液を投入後、所定期間をあけて次の所定量の脱水ろ液を投入するバッチ処理であることを特徴とする[16]~[19]のいずれか記載の液肥の製造方法。
[21]下水汚泥残渣の脱水ろ液が、難分解性高分子を低分子化する低分子化処理が施された下水汚泥残渣の脱水ろ液であることを特徴とする[16]~[20]のいずれか記載の液肥の製造方法。
[22]無害化処理工程の前に、下水汚泥残渣の脱水ろ液に対してオゾン処理を施すオゾン処理工程を有することを特徴とする[16]~[21]のいずれか記載の液肥の製造方法。
[23]脱水ろ液に比較して硝酸態窒素量が増加した液肥を製造することを特徴とする[16]~[22]のいずれか記載の液肥の製造方法。
[24]下水汚泥残渣の脱水ろ液に対してオゾン処理を施すオゾン処理工程と、前記オゾン処理された脱水ろ液を菌体を用いて処理する菌体処理工程と、を有することを特徴とする液肥の製造方法。
[25]菌体処理工程で用いる菌体が、乳酸菌及びバチルス菌を含む複合菌体であることを特徴とする[24]記載の液肥の製造方法。
 本発明のバイオフィルター装置及びこれを用いた下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムによれば、微細な有機物粒子を回収して脱水ろ液中のCOD及び色度を顕著に低減することができ、また、フィルターの目詰まりを起こすことなく繰り返し使用することができる。また、これらの装置やシステムで処理された処理液は、硝酸態窒素量が多く肥効の高い液肥として用いることができる。
本発明の一実施形態に係るバイオフィルター装置の概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムの概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る発酵下水汚泥残渣ペレットの製造方法のフロー図である。 脱水ろ液(原液)の植物に与える影響を示す図であり、左図が、脱水ろ液(原液)にトマトの脇芽を投入直後の写真であり、右図が、脱水ろ液に投入してから24時間経過後の写真である。 脱水ろ液(原液)の植物に与える影響を示す図であり、脱水ろ液に投入してから4日経過後の写真である。 菌体処理を行った処理液の写真である。1は、原液1Lであり、2は、原液1Lバチルス菌100mLであり、3は、原液1L乳酸菌100mLであり、4は、原液1Lバチルス菌100mL乳酸菌100mLであり、5は、原液1Lバチルス菌100mL撹拌ありであり、6は、原液1L乳酸菌100mL撹拌ありであり、7は、原液1Lバチルス菌100mL乳酸菌100mL撹拌である。 菌体処理した脱水ろ液の植物に与える影響を示す図であり、脱水ろ液に投入してから10日経過後の写真である。 実施例2における、菌体処理液及び各層から排出された処理液における色度(390nm)と全窒素(540nm)のスペクトルの分析結果である。左のグラフが色度を示し、右のグラフが全窒素量を示す。 実施例3における、各層から排出された処理液における色度(390nm)と全窒素(540nm)のスペクトルの分析結果である。左のグラフが色度を示し、右のグラフが全窒素量を示す。 実施例4における、バイオフィルター装置に投入する前と後の液体における色度(390nm)の経時変化を示す図である。左のグラフが投入前(菌体処理液)を示し、右のグラフが投入後(ろ過処理液)を示す。 実施例4における、バイオフィルター装置に投入する前と後の液体における全窒素(540nm)の経時変化を示す図である。左のグラフが投入前(菌体処理液)を示し、右のグラフが投入後(ろ過処理液)を示す。 実施例4における、バイオフィルター装置投入前(菌体処理液)と投入後(ろ過処理液)の硝酸態窒素濃度の結果を示す図である。 実施例4における、バイオフィルター装置投入前(菌体処理液)と投入後(ろ過処理液)の電気伝導度の結果を示す図である。左のグラフが投入前(菌体処理液)を示し、右のグラフが投入後(ろ過処理液)を示す。 実施例5における、各層から排出された処理液における色度(390nm)のスペクトルの分析結果である。左のグラフがオゾン処理を行っていない処理液(通常処理)を示し、右のグラフがオゾン処理を行ったオゾン処理液(オゾン処理)を示す。 実施例6のバイオフィルター装置を通したろ過液における色度(390nm)のスペクトルの分析結果である。左のグラフがオゾン処理を行っていない処理液(通常処理)を示し、右のグラフがオゾン処理を行ったオゾン処理液(オゾン処理)を示す。 実施例6のバイオフィルター装置を通したろ過液における硝酸窒素濃度の結果を示すグラフである。左のグラフがオゾン処理を行っていない処理液(通常処理)を示し、右のグラフがオゾン処理を行ったオゾン処理液(オゾン処理)を示す。 参考例1におけるオゾン処理を行ったオゾン処理液(新液肥)の硝酸態窒素濃度の結果を示すグラフである。 参考例1におけるオゾン処理を行ったオゾン処理液(新液肥)の電気伝導度の結果を示すグラフである。 参考例1におけるオゾン処理を行ったオゾン処理液(新液肥)のpHの結果を示すグラフである。 参考例2におけるオゾン処理を行ったオゾン処理液(新液肥)の植物に与える影響を示す図であり、A,Bが、オゾン菌体処理液(新液肥)にトマトの苗を投入してから3日後の写真であり、C,Dが、脱水ろ液の原液に投入してから3日後の写真である。 参考例2におけるオゾン処理を行ったオゾン処理液(新液肥)の植物に与える影響を示す図であり、(a)が、オゾン菌体処理液(新液肥)を染み込ませたガラス容器の紙上にほうれん草の種子を置いてから3日後の写真であり、(b)が、脱水ろ液の原液を染み込ませたガラス容器の紙上にほうれん草の種子を置いてから3日後の写真である。 参考例3におけるオゾン処理を行ったオゾン処理液(新液肥)のアンモニア態窒素濃度の結果を示すグラフである。
 本発明のバイオフィルター装置は、好気性菌体が生息する菌体生息媒体を具備するバイオフィルターを備え、菌体生息媒体が、下水汚泥残渣ペレットの内部にバチルス菌を担持させると共に表層部に乳酸菌を担持させた菌担持下水汚泥残渣ペレットを発酵させて製造した発酵下水汚泥残渣ペレット(以下、本発明の発酵ペレットということがある)を含むことを特徴とする。
 本発明のバイオフィルター装置は、生活排水や畜産排水等の処理に用いることができる。具体的に本発明のバイオフィルター装置は、下水汚泥残渣の脱水ろ液の処理に用いることが好ましく、リグニンやセルロース等の難分解性高分子を低分子化する処理が施された下水汚泥残渣の脱水ろ液の処理に用いることが特に好ましい。
 本発明のバイオフィルター装置は、従来回収が困難であった微細な有機物粒子を吸着(捕獲)して、十分なCOD及び色度の低減を図ることができる。
 なお、本発明でいう微細な有機物粒子(難吸着性物質)とは、通常の濾紙等では回収できない、例えば、粒径が1nm~1μm程度の粒子をいう。
 バイオフィルターとしては、例えば、所定の容積を有し、底面に開口部(孔)を有する容器に、菌体生息媒体が収容されたもの挙げることができる。本発明のバイオフィルター装置においては、このバイオフィルターを1つ備える構成であってもよいが、2段以上の多段の構成であることが好ましい。2段以上備えることにより、前段で粗いろ過を行い、後段で精密なろ過を行う等、処理対象にあわせて目詰まりの起こりにくい構成とすることができる。また、各段の間に空間又は空気導入部を設けることにより、各バイオフィルター(菌体生息媒体)内への空気の導入が促進され、好気性菌体の活性を向上させることができる。
 ここで、図1は、バイオフィルターを2段備えたバイオフィルター装置の概略説明図である。図1に示すように、本発明の一実施形態に係るバイオフィルター装置1は、バイオフィルター2を縦方向に2段に重ねて構成されている。バイオフィルター2は、底部に1~10mm、好ましくは1~6mm程度の小孔3を多数具備し、内部に菌体生息媒体4を収容してなる。
 本発明のバイオフィルター装置における好気性菌体が生息する菌体生息媒体としては、好気性菌体が生息できる環境の媒体であれば特に制限されるものではなく、有機資材や無機資材を用いて構成することができる。ここで、好気性菌体とは、枯草菌、糸状菌、硝化細菌等の自然の土壌に生息する好気性菌体や、本発明の発酵ペレットに生息する好気性菌体などをいう。本発明の菌体生息媒体は、本発明の発酵ペレットを含んでおり、好気性菌体が豊富に存在することから、かかる好気性菌体が、ろ過処理により吸着した微細な有機物粒子等を効果的に分解し、バイオフィルターの目詰まりを抑制することができる。一方、このバイオフィルター装置の菌体生息媒体には、好気性菌体の代謝物質からなるフィラメント(有機のり)が大量に形成され、これにより、従来回収が困難であった極めて微細な有機物粒子の吸着がより容易となる。これらの作用により、十分なCOD及び色度の低減を図ることができる。なお、本発明のバイオフィルター装置に用いる発酵下水汚泥残渣ペレット(本発明の発酵ペレット)についての詳細は、後述する。
 菌体生育媒体の構成要素として、例えば、土壌は、有機資材、無機資材及び好気性菌体を含むことから、特に好ましく用いることができる。土壌を用いる場合、団粒土壌を用いることが好ましく、例えば、田畑等の団粒構造が形成された土壌や、造粒処理を行った土壌を用いることができる。本発明においては、本発明の発酵ペレットを肥料として施用した田畑の団粒土壌を用いることが特に好ましい。団粒土壌を用いることにより、バイオフィルターの孔隙率が高くなり、透水性、浸透性が向上し、処理効率が高くなる。なお、本発明の菌体生息媒体は、本発明の発酵ペレットを含んでおり、豊富な菌体やフルボ酸等を含んでいることから、菌体の代謝等により、継続的に団粒構造の形成が進行する。
 有機資材は、土壌を用いる場合は土壌に含まれているため必ずしも別途用いる必要はないが、適宜必要に応じて用いることができる。有機資材としては、植物性有機物を用いることが好ましい。植物性有機資材としては、具体的に、腐葉土、落ち葉、ワラ、モミ、雑草、おが屑、糠、なたね粕等を挙げることができる。有機資材は、好気性菌体の栄養源となると共に、菌体生息媒体の物理的な空間を形成する(孔隙率を上げる)機能を有する。
 無機資材は、有機資材同様、土壌を用いる場合は土壌に含まれているため必ずしも別途用いる必要はないが、適宜必要に応じて用いることができる。無機資材としては、例えば、活性炭、炭、セラミックス、ゼオライト、パーライト、けいそう土焼成粒、バーミキュライト、ベントナイト等を用いることができる。無機資材は、菌体生息媒体の形態保持の機能を有すると共に、資材の吸着能等の機能を用いてろ過性を高めることができる。
 バイオフィルターを2以上用いる場合、少なくとも団粒土壌、植物性有機資材、及び発酵下水汚泥残渣ペレットを含む菌体生息媒体を具備する第1のバイオフィルターと、少なくとも団粒土壌、及び発酵下水汚泥残渣ペレットを含む菌体生息媒体を具備する第2のバイオフィルターとを用いることが好ましい。第1のバイオフィルターの菌体生息媒体に含まれる植物性有機資材とは、土壌や発酵下水汚泥残渣ペレットに含まれる有機資材以外のものをいう。
 第1のバイオフィルターにおいては、植物性有機資材を含むことにより、物理的な空間を形成して孔隙率を上げることができ、第2のバイオフィルターに比して浸透性のよいフィルターとすることができる。一方、第2のバイオフィルターは、有機資材を含んでいても含んでいなくてもよいが、含む場合には、第1のバイオフィルターよりも少量とし、第1のバイオフィルターに比して密な構造(孔隙率の低い構造)とすることが好ましい。また、密な構造の第2のバイオフィルターは、第1のバイオフィルターに比して、厚さを薄くしてバイオフィルター内の酸素量を確保することが好ましい。このような孔隙率の異なるバイオフィルターを用いることにより、脱水ろ液を効率的に処理できると共に、フィルターの目詰まりを抑制することができる。
 第1のバイオフィルターにおいては、土壌と植物性有機資材との重量比が、1:0.5~5.0であることが好ましく、1:0.8~4.0であることがより好ましく、1:1.0~3.0であることがさらに好ましい。また、土壌と発酵下水汚泥残渣ペレットの重量比は、1:0.001~0.5であることが好ましく、1:0.005~0.3であることがより好ましく、1:0.01~0.1であることがさらに好ましい。
 第2のバイオフィルターにおいては、土壌と植物性有機資材との重量比が、1:0~3.0であることが好ましく、1:0.1~2.0であることがより好ましく、1:0.3~1.0であることがさらに好ましい。また、土壌と発酵下水汚泥残渣ペレットの重量比は、1:0.001~0.5であることが好ましく、1:0.005~0.3であることがより好ましく、1:0.01~0.1であることがさらに好ましい。
 なお、第1のバイオフィルター及び第2のバイオフィルターと異なる別の構成の第3、第4、それ以上の種類のバイオフィルターを備えていてもよい。また、各バイオフィルター間には、ろ過処理された処理液に対して、酸素を含む空気(外気)を接触させるための空気接触空間を設けることが好ましい。この空気接触空間は、外気を導入できる構成であればよく、自然の状態で外気を導入できる構成であってもよいし、エアポンプ等を用いて人工的に外気を導入する構成であってもよい。
 上記の本発明のバイオフィルター装置は、本発明の下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムに用いることができる。かかる下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムとしては、下水汚泥残渣の脱水ろ液中の腐敗菌及びアンモニアを低減する無害化処理装置と、無害化処理装置で処理した脱水ろ液をろ過する上記バイオフィルター装置と備えるものを挙げることができる。
 ここで、無害化処理装置は、バイオフィルター装置の菌体生息媒体に生息する好気性菌体の生育に影響がないように、少なくとも脱水ろ液に含まれる腐敗菌及びアンモニアを低減する処理を行う装置である。ここで、無害化処理は、薬品を用いて行うことも可能であるが、後述するように、バイオフィルター装置で処理した処理液は液肥としての利用も可能であり、この場合、薬品を用いることは安全性の点等から好ましくない。したがって、菌体を用いて処理を行うことが好ましい。
 かかる無害化処理に用いる菌体としては、乳酸菌及びバチルス菌を含む複合菌体であることが好ましく、さらに酵母菌を含むことがより好ましい。乳酸菌及びバチルス菌としては、後述する本発明の発酵ペレットの製造で用いる菌を用いることができる。また、酵母菌としては、サッカロミセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス属(Shizosaccharomyces)、カンジダ属(Candida)等の酵母菌を用いることができる。
 また、バイオフィルター装置で脱水ろ液を処理した処理液には、無害化処理が可能な菌体が含まれていることから、無害化処理にこの処理液を用いてもよい。すなわち、下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムは、バイオフィルター装置で処理した処理液の一部を、無害化処理装置に投入する返送機構を備えていることが好ましい。これにより、別途、無害化処理のための菌体を用いることなく、循環処理が可能となる。
 以下、下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムの一例について図面を用いて説明する。ここでは、本発明のバイオフィルター装置でろ過処理した処理液を液肥として使用する場合を説明する。
 図2に示すように、本発明の一実施形態に係る下水汚泥残渣脱水ろ液処理システム10は、下水処理場等で下水汚泥残渣を脱水処理する際に発生する脱水ろ液を収容する脱水ろ液タンク11と、脱水ろ液の無害化処理を行う無害化処理装置12と、無害化処理を行った脱水ろ液をろ過するバイオフィルター装置13とを備えている。脱水ろ液タンク11と無害化処理装置12は配管14により接続され、無害化処理装置12及びバイオフィルター装置13は配管15により接続されている。バイオフィルター装置13は、バイオフィルター13aと物理的フィルター13bとを備えている。また、バイオフィルター装置13の下流には、処理液(液肥)保持タンク16が設けられており、排出配管17によりシステム外に処理液(液肥)を排出すると共に、返送配管18により、バイオフィルター装置13で処理された処理液の一部を、菌体の活性化を図る菌体保持タンク19を介して、無害化処理装置12へ返送する。なお、符号20は送給ポンプを示し、符号21はエアフィルターを示し、符号22はエアポンプを示し、符号23は送気管を示し、符号24は液肥用バルブを示す。
 続いて、上記のような本発明のバイオフィルター装置や下水汚泥残渣脱水ろ液処理システムを用いた本発明の下水汚泥残渣脱水ろ液処理方法について説明する。
 本発明の下水汚泥残渣脱水ろ液処理方法としては、下水汚泥残渣の脱水ろ液中の腐敗菌及びアンモニアを低減する無害化処理工程と、該無害化処理した脱水ろ液を上記本発明のバイオフィルター装置に投入してろ過するろ過工程とを有することを特徴とする。本発明の処理方法においては、微細な有機物粒子を多く含む、難分解性高分子を低分子化する処理が施された下水汚泥残渣の脱水ろ液を処理する場合に特に有用である。
 無害化処理工程は、上記説明した無害化処理装置を用いて処理する工程であり、上記のように、バイオフィルター装置の菌体生息媒体に生息する好気性菌体の生育に影響がないように、脱水ろ液に含まれる腐敗菌及びアンモニアを低減する処理を行う工程である。具体的な処理方法は、上記無害化処理装置で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
 ろ過工程は、無害化処理した脱水ろ液を上記本発明のバイオフィルター装置に投入してろ過する工程であるが、所定量の脱水ろ液を投入後、吸着有機物を菌体が分解、硝化するための所定期間をあけて次の所定量の脱水ろ液を投入するバッチ処理であることが好ましい。すなわち、所定量の脱水ろ液をバイオフィルター装置に投入した後、脱水ろ液はろ過処理され排出されるが、この排出後も所定期間放置しておく。この間に、バイオフィルター(菌体生息媒体)に吸着された微細な有機物粒子を、菌体生息媒体に生息する好気性菌体が分解、硝化する。このように所定期間放置することにより、吸着された微細な有機物粒子が分解され、バイオフィルターの目詰まりを防止することができる。すなわち、次の脱水ろ液を投入するまでの所定期間は、菌体生息媒体に生息する好気性菌体が、所定量の脱水ろ液の投入によりバイオフィルターに吸着された微細な有機物粒子を分解、硝化し終える期間であることが好ましく、これによりフィルターの目詰まりを防止して繰り返し使用することが可能となる。特に、本発明においては、発酵ペレットを用いることから、菌体が豊富に繁殖しており、微細な有機物粒子の分解、硝化が短時間で進行する。
 本発明の下水汚泥残渣脱水ろ液処理方法は、無害化処理工程の前に、下水汚泥残渣の脱水ろ液に対してオゾン処理を施すオゾン処理工程を有していることが好ましい。脱水ろ液に対してオゾン処理を施すことにより、脱水ろ液をより効果的に処理することができる(実施例5参照)。
 オゾン処理工程におけるオゾン処理としては、脱水ろ液にオゾン水を添加する方法や、脱水ろ液にオゾン(気体)を導入する方法や、脱水ろ液中でオゾンを発生させる等を例示することができる。かかるオゾン処理では、脱水ろ液に含まれる発酵に有用な菌を生かした状態で、大腸菌やサルモネラ菌等の雑菌を殺菌することができ、これにより、後の無害化処理(菌体処理)を短期間で行うことが可能となり、硝酸態窒素量を増加させることができる。
 オゾン処理は、脱水ろ液に対してオゾンを付与する処理であり、オゾン濃度としては、すぐに脱水ろ液中の有機物とオゾンが反応するため正確には把握できないが、数ppm程度である。本発明においてはオゾン濃度を適度に調整して、脱水ろ液に含まれる発酵に有用な菌の活性を維持した状態で、大腸菌やサルモネラ菌等の雑菌のみを抑制する。また、本発明のオゾン処理のオゾン濃度はこのような低濃度でよいので、オゾン処理コストも安価となる。
 オゾン処理の処理時間としては、そのオゾン濃度にもよるが、例えば、1~15分程度であることが好ましく、2~10分程度であることがより好ましい。また、無害化処理前には、曝気処理等により完全にオゾンを除去することが好ましい。
 オゾンは、市販のオゾン発生装置を用いて調製することができる。
 上記のような本発明の下水汚泥残渣脱水ろ液処理方法で処理した処理液は、液肥として利用することができる。なお、無害化処理した脱水ろ液も液肥として利用が可能であるが、本発明の方法で処理した処理液はこの無害化した脱水ろ液よりも多くの硝酸態窒素量を含んでおり、高い肥効の液肥となる。
 本発明の液肥の製造方法は、下水汚泥残渣の脱水ろ液中の腐敗菌及びアンモニアを低減する無害化処理工程と、該無害化処理した脱水ろ液を上記本発明のバイオフィルター装置に投入してろ過するろ過工程とを有することを特徴とする。本発明の製造方法においては、無害化処理工程の前に、下水汚泥残渣の脱水ろ液に対してオゾン処理を施すオゾン処理工程を有することが好ましい。原料となる下水汚泥残渣の脱水ろ液としては、上記本発明の下水汚泥残渣脱水ろ液処理方法と同様に、微細有機物粒子を多く含む、難分解性高分子を低分子化する処理が施された下水汚泥残渣の脱水ろ液を用いることが好ましい。なお、オゾン処理、無害化処理工程及びろ過工程については、上記本発明の下水汚泥残渣脱水ろ液処理方法で説明した工程と同様であることから説明を省略する。
 続いて、本発明の菌体生息媒体に含まれる発酵下水汚泥残渣ペレット(本発明の発酵ペレット)について詳細に説明する。この本発明の発酵ペレットは、本発明者らが開発したPCT/JP2017/27662号及び特願2018-25098号に記載の発酵ペレットである。
 本発明の発酵ペレットは、下水汚泥残渣ペレットの内部にバチルス菌を担持させると共に表層部に乳酸菌を担持させた菌担持下水汚泥残渣ペレットを発酵させて製造したものであれば特に制限されるものではなく、菌担持下水汚泥残渣ペレットが、オゾン処理された下水汚泥残渣ペレットに菌を担持させたものであることが好ましい。
 原料となる下水汚泥残渣ペレット(バチルス菌及び乳酸菌を担持する前のもの)としては、下水汚泥残渣をペレット状にしたものであればよく、例えば、1辺又は直径が5~15mm、長さが20~40mm程度の直方体又は円柱体のペレットを挙げることができ、発酵現場までの運搬や発酵処理までの保管等を考慮すると、含水率が20%以下のものが好ましい。かかるペレットは、一般的な下水処理が施された下水汚泥残渣をペレット加工したものであってもよいが、リグニンやセルロースなどの難分解性高分子を低分子化する処理が施された下水汚泥残渣をペレット加工したものであることが好ましい。低分子化処理に際しては、食品残渣等の各種有機資源を加えてもよい。かかる低分子化処理としては、水熱処理、オゾン処理、生物活性炭処理、超音波処理(例えば、特開2003-144097号公報)等を例示することができ、各種処理を組み合わせてもよい。具体的な水熱処理による低分子化処理としては、例えば、特開2012-200691号公報や特開2012-200692号公報に記載の水熱反応を利用した方法を挙げることができる。
 下水汚泥残渣ペレットのオゾン処理としては、下水汚泥残渣ペレットにオゾンを含む液体又は気体等を接触させる処理であれば特に制限はなく、下水汚泥残渣ペレットにオゾンを含む液体を散布する方法や、オゾンを含む液体に下水汚泥残渣ペレットを浸漬する方法や、下水汚泥残渣ペレットを収容した容器内にオゾンを含む気体を導入する方法等を例示することができる。かかるオゾン処理では、下水汚泥残渣ペレットに含まれる発酵に有用な菌を生かした状態で、大腸菌やサルモネラ菌等の雑菌を殺菌することができ、これにより、後のバチルス菌及び乳酸菌を用いた発酵処理を短期間で行うことが可能となる。
 オゾン処理に用いるオゾンを含む液体のオゾン濃度としては、0.5~5.0ppmであることが好ましく、0.8~4.0ppmであることがより好ましく、1.0~3.0ppmであることがさらに好ましい。オゾンを含む液体の濃度がこの範囲にあることにより、下水汚泥残渣ペレットに含まれる発酵に有用な菌の活性を維持した状態で、大腸菌やサルモネラ菌等の雑菌のみを強力に抑制することができる。また、このような低濃度のオゾンを含む液体を用いればよいので、オゾンを含む液体の製造コストも安価であり、発酵ペレット製造のトータルコストを低減することが可能となる。
 また、オゾン処理において用いる下水汚泥残渣ペレットに対するオゾンを含む液体の量としては、0.005~0.5L/kgであることが好ましく、0.007~0.3L/kgであることがより好ましく、0.008~0.1L/kgであることがさらに好ましく、0.01~0.05L/kgであることが特に好ましい。
 オゾンを含む液体は、オゾンガスを水等の液体にバブリングして溶解させる方法や水の電気分解法等の公知の方法により得ることができ、市販のオゾン発生装置を用いて調製することができる。
 菌担持下水汚泥残渣ペレットの調製は、好ましくはオゾン処理した下水汚泥残渣ペレットの内部にバチルス菌を担持させ、表層部に乳酸菌を担持させることができればその方法は特に制限されるものではなく、菌担持下水汚泥残渣ペレットは、水分調整された下水汚泥残渣ペレットにバチルス菌を添加し、ペレット表層部を乾燥した後、乳酸菌を添加して調製することが好ましく、具体的には、後述する平面化工程(S1)と、原料水分調整工程(S2)と、バチルス菌添加工程(S3)と、ペレット表層部乾燥工程(S4)と、乳酸菌添加工程(S5)とを有する調製方法を例示することができる。
 また、菌担持下水汚泥残渣ペレットの発酵方法としては、菌担持下水汚泥残渣ペレットの発酵を行うことができる方法であれば特に制限されるものではなく、発酵効率の点から、菌担持下水汚泥残渣ペレットを山積みにして発酵する方法が好ましい。かかる山積みにして発酵させる方法としては、菌担持下水汚泥残渣ペレットを山状に積み上げ発酵する方法であればよく、山積みの形態としては、円錐状、角錐状、載頭円錐状、載頭角錐状や、これらの形状が所定方向に延設された山脈状等を挙げることができる。具体的には、後述する山積工程(S6)及び発酵工程(S7)における方法を例示することができる。
 図3に示すように、本発明における発酵下水汚泥残渣ペレットの製造方法は、例えば、下水汚泥残渣ペレットを平面状に広げる平面化工程(S1)と、下水汚泥残渣ペレットの水分調整を行う原料水分調整工程(S2)と、平面化工程(S1)及び原料水分調整工程(S2)を経た下水汚泥残渣ペレットに対してバチルス菌を添加するバチルス菌添加工程(S3)と、バチルス菌添加工程を経た下水汚泥残渣ペレットの表層部を乾燥するペレット表層部乾燥工程(S4)と、ペレット表層部乾燥工程(S4)を経た下水汚泥残渣ペレットに対して乳酸菌を添加する乳酸菌添加工程(S5)と、乳酸菌添加工程(S5)を経た下水汚泥残渣ペレットを山積みにする山積工程(S6)と、山積工程(S6)を経た下水汚泥残渣ペレットを発酵させる発酵工程(S7)とを有しており、これ以外の工程を有していてもよい。また、発酵工程(S7)は、好ましくは、切返工程(S71)及び発酵時水分調整工程(S72)を有する。
 平面化工程(S1)は、下水汚泥残渣ペレットを平面状に広げる工程であり、一様にペレットが広がった状態になっていればよく、一部ペレットが重なった状態であってもよい。この平面化工程により、添加するバチルス菌を全体に付着させることが可能となると共に、バチルス菌の代謝による急激な温度上昇を抑制することが可能となる。
 なお、下水汚泥残渣ペレットに対してオゾン処理を行う場合、オゾン処理は、この平面化工程(S1)の前又は後に行うことができる。例えば、平面化工程(S1)の後に行う場合、平面状に広げられた下水汚泥残渣ペレットに対してオゾンを含む液体を散布することにより行うことができる。オゾンを含む液体を散布する前に、平面状に広げられた下水汚泥残渣ペレットに予め加水し、水分量を調整しておくことが好ましい。これにより、オゾンを含む液体をペレット内部まで浸透させることができる。例えば、下水汚泥残渣ペレットの含水量が、好ましくは20~60質量%、より好ましくは25~50質量%、さらに好ましくは30~50質量%程度になるように調整する。この処理により、下水汚泥残渣ペレットに存在する発酵に有用な菌を生存させた状態で、大腸菌やサルモネラ菌等の雑菌を殺菌することができ、発酵処理の短縮化を図ることができる。
 原料水分調整工程(S2)は、下水汚泥残渣ペレットの水分調整を行う工程であって、ペレットがもともと適切な水分量であれば必ずしも必要はない。本工程では、水の付与及び必要に応じて乾燥することにより、バチルス菌が付与される担体を所定の水分量(含水率)に調整する。本工程は、その処理の全部又は一部がバチルス菌添加工程と同時に行われてもよく、例えば、下水汚泥残渣ペレットに所定量の水を加え、その後に、バチルス菌溶解水を加えて最終的な水分量を調整してもよく、予め下水汚泥残渣ペレットに水を加えることなく、下水汚泥残渣ペレットにバチルス菌溶解水を加えて最終的な水分量を調整してもよい。ここで調整される下水汚泥残渣ペレットの含水率としては、25~70質量%であることが好ましく、30~60質量%であることがより好ましく、40~60質量%であることがさらに好ましい。なお、ここでいう含水率は、バチルス菌添加の際に同時に水が添加される場合は、これを含めた含水率をいい、バチルス菌添加時(直後)の含水率を意味する。本工程により、ペレットを膨潤させ、菌体をペレット内部まで浸透させることができると共に、菌体の活性を高めることができる。
 また、この原料水分調整工程は、その処理の一部又は全部を平面化工程の前に行ってもよい。すなわち、平面状に広げる前に水分調整し、かかる水分調整されたペレットを平面状に広げてもよい。
 バチルス菌添加工程(S3)は、平面化工程(及び原料水分調整工程)を経た下水汚泥残渣ペレットに対してバチルス菌を添加する工程であり、バチルス菌を所定量の水に溶解した状態で、ペレット全体に一様に添加することが好ましい。上記のように、下水汚泥残渣ペレットが平面状に広げられている場合には、バチルス菌を全体に付着させることが容易となる。
 添加するバチルス菌としては、例えば、Bacillus subtilis、Bacillus tequilensis、Bacillus vallismortis、Bacillus mojavensis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus subtilis subsp. subtilis、Bacillus subtilis subsp.spizizenii、Bacillus subtilis subsp. inaquosorum、Bacillus subtilis var. nattoを挙げることができ、これらの中でも、Bacillus subtilis var. natto(納豆菌)が好ましい。これらのバチルス菌は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。バチルス菌の入手方法としては、特に制限されるものではなく、市販品を用いることができる。また、例えば、納豆等のバチルス菌を含む食品そのものや、これから単離されたバチルス菌を用いてもよい。
 続く、ペレット表層部乾燥工程(S4)は、下水汚泥残渣ペレットの表層部を乾燥する工程であり、ペレットの表層部を乾燥させることにより、バチルス菌をペレット内部に担持させる工程である。このペレット表層部乾燥工程では、例えば、バチルス菌添加後12~48時間自然乾燥を行うが、必要に応じてペレット群を撹拌しながら乾燥してもよい。なお、平面状でそのまま乾燥させた場合、ペレット群の上層部と下層部で均一な乾燥状態とならないが、少なくともペレット群上層部は、ペレット単体の表層部の一部が乾燥した状態となるように乾燥する。
 乳酸菌添加工程(S5)は、表層部が乾燥された下水汚泥残渣ペレットに対して乳酸菌を添加する工程であり、平面状に広げられたペレットに上方から乳酸菌を添加し、ペレット表層部に乳酸菌を担持させる工程である。添加する乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、リューコノストック属 (Leuconostoc)の乳酸菌を挙げることができる。これらの乳酸菌は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。乳酸菌の入手方法としては、特に制限されるものではなく、市販品を用いることができる。また、例えば、ヨーグルト等の乳酸菌を含む食品そのものや、これから単離された乳酸菌を用いてもよい。
 なお、乳酸菌の添加は、少なくとも平面状に広げられた状態の下水汚泥残渣ペレットに対して行うが、次工程において山積み状態とした下水汚泥残渣ペレットに対しても再度行うことにより、より全体のペレットに乳酸菌を付与することが可能となる。
 原料である下水汚泥残渣ペレットに対してバチルス菌を添加し、ペレット表層部を乾燥させた後、乳酸菌を添加することにより、バチルス菌をペレット内部に担持させると共に、表層部に乳酸菌を担持させることができ、ペレットに2種類の菌の2層構造を形成することができる。2種類の温度活性領域の異なる菌体を用いることにより、相互的に各菌体が活性化するため、物理的な加熱装置を必要とせず、自然発酵のみで60℃~70℃の発酵温度を持続させることができる。
 山積工程(S6)は、下水汚泥残渣ペレットを山積みにする工程であり、例えば、乳酸菌の添加終了後、1時間以内に行うことが好ましく、30分以内に行うことがより好ましい。この工程は、例えば、平面状のペレット群を外側から包み込むように山を形成することが好ましく、できる限り高い山を形成することが望ましく、安息角度で山積みすることが特に好ましい。また、ペレット群を山脈状(所定方向に延設した状態)に山積みして発酵を行うことが、大量の菌担持下水汚泥残渣ペレットを効率的に発酵できることから好ましい。
 発酵工程(S7)は、山積状態の下水汚泥残渣ペレットを発酵させる工程であり、必要に応じて、切り返し(切返し工程:S71)及び水分調整(発酵時水分調整工程:S72)を1回又は2回以上行う。すなわち、ペレット群の発酵温度が低下した際に、切返しを行うと共に、水分量を調節することで、酸素の供給及び菌体分布の平均化を図り、均一な発酵と有用微生物の増殖を持続させることを可能とする。また、この切り返しにより、ペレットの表層部が粉状となってペレット本体から分離され、塊状のペレットと粉の混合体となる。オゾン処理された下水汚泥残渣ペレットを用いた場合、下水汚泥残渣ペレットに含まれる雑菌が殺菌されると共に、発酵に有用な菌は生かされた状態であるため、短期間で発酵処理が進行する。また、必要な切り返しを少なくすることができ、例えば、1~2回の少ない切り返し及び水分調整でも、本発明の発酵ペレットを製造することができる。
 本発明においては、山積み状態で発酵を進めることから、山積み状のペレット群の中央部から頂点に向かって微生物により高温域が長時間形成されるため、内部におけるバチルス菌及び乳酸菌を含む有用微生物の活性が上がる。また、外側表層部と深層部に温度差の異なる領域が形成され、温度領域の異なる菌体の活性領域を形成することができる。例えば、表面から深さ5~10cmの層に、糸状菌類が増殖し、その内側で乳酸菌類及び酸化細菌類が増殖し、深層部でバチルス菌類が増殖する。表層付近の温度は、30~45℃程度の温度領域に保持され、深層部の温度は、60~70℃程度の温度領域に保持される。
 発酵過程においては、山積み状のペレット群では、次のような作用が生じていると考えられ、これにより、自然発酵のみで高速に発酵下水汚泥残渣ペレットの生産が可能となると考えられる。
 まず、下水汚泥残渣ペレットに担持したバチルス菌及び乳酸菌の活動を見た場合、乳酸菌は、その活性温度域がバチルス菌よりも低いため、ペレットの発酵の促進剤となり、バチルス菌の活動温度域まで温度を上昇させる。すなわち、まず、活性温度域15~42℃である乳酸菌が、ペレット単体表層部で水溶性成分である単糖類を分解し、その分解過程で発生した代謝熱でペレット単体の温度を上昇させる。さらに、乳酸菌は代謝により大量の乳酸や抗生物質を作り出すため、ペレット単体の表面周囲の環境を酸性にし、酸に耐性のない他の微生物を寄せつけなくなり、また抗生物質により雑菌などの微生物を排除する。ペレット単体表層部の乳酸菌が活性することによりペレット単体温度が徐々に上昇し、ペレット単体内部に存在している高温域で活性を行うバチルス菌(活性温度域20~65℃)が徐々に活動し始める。
 バチルス菌は、ペレット単体内部の有機物を分解して単糖類へ変換し、その単糖類は、再び表層部の乳酸菌の代謝により利用される。これらの多数の微生物が一斉にペレット単体の有機物を分解することによって発生した代謝熱が、狭い範囲で山積み状のペレット群深層部の温度を60~70℃まで上昇させる。山積み状のペレット群深層部の温度を60~70℃まで上昇させることにより、耐熱性の乏しい病原菌や雑菌などを死滅させることが可能となる。さらに、山積み状のペレット群深層部の温度が乳酸菌死滅温度に達した場合、乳酸菌は死滅するが、死滅した乳酸菌はバチルス菌の代謝に利用されるため、バチルス菌を安定して増殖させることが可能となり、さらに乳酸菌の乳酸などの代謝副産物をペレット単体に付加させることが可能となる。ただし、山積み状のペレット群の外側表層部では乳酸菌死滅温度に達しないため、深層部に比べて乳酸菌と酸化細菌を含む多数の微生物が存在している。このように、本発明の発酵過程において乳酸菌とバチルス菌を用いることにより、加熱装置を必要とせず自然発酵を効率よく行うことが可能となる。
 他方、山積み状のペレット群全体でみた場合、山積みした初期段階では、糸状菌類が多量に繁殖し、山積み状のペレット群の外側表層部に5~10cmの厚さで糸状菌類の高密度層が生成された後、全体に糸状菌類が繁殖を始めると同時に、内部温度の上昇とともにバチルス菌の増殖やその他の酸化細菌類の代謝の活性が上がり、深層部では60~70℃の高温域となり、山積み状のペレット群の側面表層部では30~45℃の低温域となって、温度差が生まれる。この温度差の違いにより、山積み状のペレット群の表層部では低温域で活動する糸状菌類の活動が活発となり、その内側では、乳酸菌、酸化細菌類及びバチルス菌の混合の活動域となり、深層部では高温域で活性を行うバチルス菌が活発に活動する。
 また、山積み状のペレット群の深層部では、有用微生物による好気性発酵が行われ、糖類、タンパク質、ヘミセルロースやセルロースが分解され、水と二酸化炭素、アンモニアに無機化されるが、一部は微生物の代謝産物として残存する。一部の生成された水蒸気などは、頂上部から放出されるが、山積み状のペレット群の表層部の糸状菌類の高密度層により、一部は側面部からは放出されず、頂上部から放出されなかった代謝産物を含む水蒸気は山積みにしたペレット内部で自然対流する。自然対流する過程において代謝産物が重合して難分解性化合物が生成され、ペレットに含まれるリグニンやタンニンなどの難分解性の残存物と代謝産物の重合物が反応し、腐植物質(フルボ酸やフミン酸)を生成する。また、山積み状のペレット群の頂上部から複合された代謝産物の水蒸気の一部が放出されることで、山積みの内部が減圧され、減圧されたことによって側面表層部の隙間から空気を取り込む作用が働き、山積み状のペレット群の内部の有用微生物の好気性発酵が促進され、さらに重合反応が起こる。
 本発明の発酵下水汚泥残渣ペレットの製造方法においては、山積みされたペレットの頂部及び下部を除く中央部を被覆材で覆って発酵させることが好ましい。被覆材としては、シート、載頭円錐状の型枠等を挙げることができ、紫外線を遮断する材料からなることが好ましい。
 被覆材で覆って発酵させることにより、山積み状のペレット群が保温され、内部の温度が上昇して発酵が促進され、山積み状のペレット群の発酵がより均一に進む。すなわち、この被覆材の保温効果により、発酵が進みにくい山積み状のペレット群の中央下部(深層部)の温度が上昇して発酵が促進され、これにより、発酵により生成したアンモニアを含む水蒸気等が山の頂部から放出されると共に、これに伴って山の底部側面から外気が導入される。さらに、外気の導入により酸化細菌類等の活動が活発となってさらに内部の発酵が促進するという好循環が生まれる。また、被覆材により、発酵により発生したアンモニアを含む水蒸気等の外部への拡散を防止して、製造される発酵下水汚泥残渣ペレットに含まれるアンモニアを含む水蒸気等の含有量を増加させ、活性した菌によりアンモニアを効率よく硝化させて、発酵下水汚泥残渣ペレット内部に硝酸態窒素の含有量を増加させることができる。また、被覆材により紫外線を防止して、発酵時に有用な菌(表面に生息する糸状菌等)が死滅することを防ぐことができる。
 また、発酵下水汚泥残渣ペレットの製造方法においては、山積み状のペレット群の下方中央から上方に向かって空気を導入してもよい。これにより、発酵の進みにくい山積み状のペレット群の中央下部(深層部)の発酵を促進させることができる。なお、山積み状のペレット群の下方中央からの空気導入量を多くし、その周囲の空気導入量を少なくして、山積み状のペレット群の下方全体から空気を導入してもよい。
 発酵下水汚泥残渣ペレットは、発酵開始から14~20日程度で完成することができる。発酵下水汚泥残渣ペレットは、原料の下水汚泥残渣ペレットに比して、2~3倍以上のフルボ酸やフミン酸を含有する。また、オゾン処理された下水汚泥残渣ペレットを用いた場合、発酵開始から7~14日で完熟堆肥と同等のコンポストとして利用できる。従来の堆肥やボカシ肥料の製造における発酵期間が60~65℃温域で1~2か月必要であることと比較すると、本発明の方法による発酵が高速に進むことがわかる。
 以下、オゾン処理を施す液肥の製造方法に係る他の発明について説明する。
 この液肥の製造方法は、下水汚泥残渣の脱水ろ液に対してオゾン処理を施すオゾン処理工程と、オゾン処理された脱水ろ液を菌体を用いて処理する菌体処理工程とを有することを特徴とし、さらに菌体処理された脱水ろ液をバイオフィルター装置に投入してろ過するろ過工程を有することが好ましい。なお、各工程の前後には他の工程を有していてもよい。また、下水汚泥残渣の脱水ろ液としては、リグニンやセルロース等の難分解性高分子を低分子化する処理が施された下水汚泥残渣の脱水ろ液を用いることが特に好ましい。
 この製造方法によれば、硝酸態窒素を多く含む肥効の高い液肥を製造することができる。なお、オゾン処理を施さずに菌体処理して製造したものも液肥として使用可能であるが、オゾン処理を施す方法により製造される液肥は、これよりも硝酸態窒素を多く含むものである。
 オゾン処理工程におけるオゾン処理としては、脱水ろ液にオゾン水を添加する方法や、脱水ろ液にオゾン(気体)を導入する方法や、脱水ろ液中でオゾンを発生させる等を例示することができる。かかるオゾン処理では、脱水ろ液に含まれる発酵に有用な菌を生かした状態で、大腸菌やサルモネラ菌等の雑菌を殺菌することができ、これにより、後の菌体処理を短期間で行うことが可能となり、硝酸態窒素量を増加させることができる。
 オゾン処理は、脱水ろ液に対してオゾンを付与する処理であり、オゾン濃度としては、すぐに脱水ろ液中の有機物とオゾンが反応するため正確には把握できないが、数ppm程度である。この方法においてはオゾン濃度を適度に調整して、脱水ろ液に含まれる発酵に有用な菌の活性を維持した状態で、大腸菌やサルモネラ菌等の雑菌のみを抑制する。また、このオゾン処理のオゾン濃度はこのような低濃度でよいので、オゾン処理コストも安価となる。
 オゾン処理の処理時間としては、そのオゾン濃度にもよるが、例えば、1~15分程度であることが好ましく、2~10分程度であることがより好ましい。また、菌体処理前には、曝気処理等により完全にオゾンを除去することが好ましい。
 オゾンは、市販のオゾン発生装置を用いて調製することができる。
 菌体処理工程における菌体処理は、植物の発育に影響がないように少なくとも脱水ろ液に含まれる腐敗菌及びアンモニアを低減する処理である。また、菌体処理工程後に、バイオフィルター装置を用いたろ過工程を有する場合には、かかるバイオフィルター装置の菌体生息媒体に生息する好気性菌体の生育への悪影響を防止する。かかる菌体処理工程において用いる菌体としては、脱水ろ液中の腐敗菌及びアンモニアを低減すること(無害化処理)ができる菌であれば特に制限されるものではなく、乳酸菌及びバチルス菌を含む複合菌体であることが好ましく、さらに酵母菌を含むことがより好ましい。乳酸菌及びバチルス菌としては、上記発酵下水汚泥残渣ペレットの製造で用いる菌を用いることができる。また、酵母菌としては、サッカロミセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス属(Shizosaccharomyces)、カンジダ属(Candida)等の酵母菌を用いることができる。
 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
[予備試験]
 脱水ろ液内には、腐敗菌や雑菌類等が存在し、生の状態でバイオフィルター装置に投入すると、バイオフィルター内部の菌体減少、微生物層のバランスの崩れなどが懸念された。したがって、脱水ろ液の無害化前処理を実施する方法を考案し、無害化処理(菌体処理)された液体をバイオフィルター装置で処理することで、COD及び色度を低減することを目的とした。
 なお、本実施例における脱水ろ液としては、長崎市東部下水処理場で低分子化処理(水熱処理)が施された下水汚泥残渣の脱水ろ液を使用した。
 1.菌体処理液の植物に対する影響
(1)脱水ろ液(原液)の植物に与える影響の確認試験
 トマトの脇芽を用いた脱水ろ液の発根障害試験を実施した。なお、従来の発芽試験は時間がかかりすぎるため、短時間で影響が確認できるトマトの脇芽を使った試験を採用した。
 試験管内に、脱水ろ液を充填した試験体を3つ用意し、トマトの脇芽を試験体溶液中に投入し、初根及び葉の障害を確認した。
 その結果、24時間経過で3検体ともに萎れの現象が確認された(図4参照)。その後の経過において、4日で茎部の腐敗が確認された(図5参照)。
 これらの結果から、脱水ろ液には腐敗菌類が存在することが明らかとなった。
(2)菌体無害化処理による脱水ろ液(原液)の変化の確認試験
 上記のように、脱水ろ液の植物に対する影響の確認試験において、脱水ろ液中に含まれる腐敗菌等の影響により、トマトの脇芽が腐敗することが確認された。この脱水ろ液の障害の低減のために、菌体処理による問題解決を試みた。
 具体的には、容器に脱水ろ液を投入した後、バチルス菌単独、乳酸菌単独、及びバチルス菌及び乳酸菌の複合菌をそれぞれ投入し混合した。それぞれの菌体について、撹拌有無による2処理を実施した。
 図6に、各処理液の写真を示す。1は、原液1Lであり、2は、原液1Lバチルス菌100mLであり、3は、原液1L乳酸菌100mLであり、4は、原液1Lバチルス菌100mL乳酸菌100mLであり、5は、原液1Lバチルス菌100mL撹拌ありであり、6は、原液1L乳酸菌100mL撹拌ありであり、7は、原液1Lバチルス菌100mL乳酸菌100mL撹拌である。
 実施の結果、バチルス菌において、脱水ろ液の色の変化が顕著に確認された。乳酸菌においては、臭気の低減が顕著に確認された。これらの方法の中でバチルス菌及び乳酸菌の複合菌で撹拌処理を施した処理方法が最も有効であることが確認された。
(3)菌体処理した脱水ろ液の植物に与える影響の観察
 上記(2)で最も有効であったバチルス菌と乳酸菌の複合菌の撹拌処理を用いて上記(1)と同様の初根試験を実施した。
 試験の結果、3日で初根を確認し、10日で根の状態が良好に生育していることが確認された(図7)。すなわち、バチルス菌及び乳酸菌の複合菌で菌体処理を施した処理液は、試験体トマトの茎の断面細胞を腐敗させることなく、水分吸収が行えることが確認された。この菌体処理により、脱水ろ液(原液)に含まれる腐敗菌が抑制されたと推察される。
[脱水ろ液の無害化処理(菌体処理)]
 予備試験において、脱水ろ液の菌体処理には、バチルス菌及び乳酸菌が有効であることが確認された。本実施例では、この2種類の菌体に酵母菌を混合した菌体処理液を用いることにした。なお、酵母菌は、死ぬと、アミノ酸、ミネラル、核酸、植物ホルモン及びビタミンなどの生理活性物質を放出する。バチルス菌は、糖分と酵母菌から放出されたアミノ酸を餌にタンパク質を分解する酵素(プロテアーゼ)を生成し、生成した酵素によりタンパク質が分解され、アミノ酸やビタミンB群を合成する。乳酸菌は、バチルス菌が合成したアミノ酸やビタミンB群や糖を餌にして乳酸を作る。各菌体が生成した成分は、各菌体により利用されるため、本実施例では、乳酸菌、バチルス菌及び酵母菌を使用した。
 具体的には、10リットルのポリタンクに、糠から培養した乳酸菌と、納豆から抽出したバチルス菌と、酵母菌と、糖とを混合した菌体混合液を1リットル投入した後、脱水ろ液5リットルと混合し、エアレーション量1リットル/minを施し、5日~10日間処理をした。処理前後において、検知管によりアンモニア濃度を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1の値は、数回同じ試験を実施した際の平均値を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に示すように、アンモニア濃度は、菌体処理を行うことで、低減されることが明らかとなった。
 また、脱水ろ液の実際の臭気は、通常、アンモニア以外にも下水処理場特有の嫌な臭気を感じるが、菌体処理液はアンモニアの臭気が減少し、下水処理場特有の嫌な臭気も感じられなかった。
 したがって、乳酸菌及びバチルス菌を用いた菌体処理は、脱水ろ液を無害化させることができることが明らかとなった。
[バイオフィルター装置]
 本発明のバイオフィルター装置は、第1のバイオフィルターと第2のバイオフィルターとを用いて構成された。
(第1のバイオフィルターの菌体生息媒体A)
 菌体生息媒体に用いた発酵ペレットを肥料として施用して作物を栽培した後の畑の土壌を網目1分(3.03mm)の篩で石や植物根を取り除いた土壌と、バーク堆肥やピートモス、パーライト、ココピートなどで構成されている市販の培養土(商品名:有機入り野菜畑の土)とを混合割合(重量)1:2で混合し、そこに本発明の発酵ペレットを混合したものを用いた。
 表2に、菌体生息媒体Aを構成する粒子の大きさ別の存在割合を示す。本測定は、菌体生息媒体A1kgの中からペレットを分離し、3mm及び2mmの篩にかけて粒子別に分離した。本測定を3回実施し、その平均値を求めた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2より、2mm以下の粒子が最も多く43.7%であり、2~3mmの粒子は23%であり、ペレットは2%の割合で混合されていた。その他は、3mmを超える粒子の大きな有機物などである。
(第2のバイオフィルターの菌体生息媒体B)
 本発明の発酵ペレット(機能性コンポスト)を肥料として施用し作物を栽培した後の畑の土壌を網目1分(3.03mm)の篩で石や植物根を取り除いた土壌:本発明の発酵ペレットの混合割合(重量)1:0.01で混合したものを用いた。
 なお、これら菌体生息媒体A及び菌体生息媒体Bは、物理的構造だけで構成されているわけではなく、発酵ペレットを投入することにより、ペレットに含まれる菌体とフルボ酸などの効果によって媒体内部の菌体が活性化され、媒体内部に定着している菌体の増殖および硝化による代謝物(有機のり)の放出で形成されたフィラメントにより形成された構造のものであり、物理的要素と生物的要素を併せもっている。なお、発酵ペレットを加えない畑の土をふるいにかけた団粒構造の物理的要素の媒体だけでは、微細有機物粒子(難吸着性物質)の吸着は十分でないことが確認された。
 上記バイオフィルターに用いた本発明の発酵ペレットは、以下のように製造した。
 原料となる下水汚泥残渣ペレットとしては、低分子化処理された下水汚泥残渣からなる「東長崎実証1号」(農林水産大臣登録肥料)を、直径10mm、長さ25mm程度の形状にペレット化したものを用いた。
 まず、フレキシブルコンテナから原料となる下水汚泥残渣ペレット約1000kgを取り出し、平面状に広げ、1週間放置した。
 1週間放置後の平面状に広げた下水汚泥残渣ペレットの上方から水170Lを全体に投入し、加水を行った。その後、市販の納豆から単離したバチルス菌を水に溶解し、30Lに調整したものを、下水汚泥残渣ペレット全体に投入した。当初は、上層部しか湿っていなかったが、約3時間後には下部まで湿っていた。
 バチルス菌を添加した下水汚泥残渣ペレットを12時間乾燥させた後、乳酸菌(米糠から培養した乳酸菌)200mLを溶解した水10Lを、下水汚泥残渣ペレットの上方から投入し、山積みにした後、再度、乳酸菌200mLを溶解した水10Lを全体に散布し、さらに水10Lを散布した。
 1週間発酵させた後、1回目の切り返しを行い、山積み後に、水100Lを添加した。
 さらに5日間発酵させた後、2回目の切り返しを行い、山積み後に、水100Lを添加し、さらに、8日間発酵させて、本発明の発酵ペレットを完成させた。
[実施例1]
 50φ高さ600mmのパイプの中に菌体生息媒体Aを充填し、実施例1のバイオフィルター装置とした。この実施例1のバイオフィルター装置に、無害化処理(菌体処理)を施した脱水ろ液全1リットルを数回に分けてバッチ式で投入した。脱水ろ液、菌体処理液、及び実施例1のバイオフィルター装置に5回ろ過した処理液のCOD、色度及び濁度の結果を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表3に示すように、菌体処理を実施することで、CODと濁度は減少するが、色度は増加した。実施例1のバイオフィルター装置で5回した時のCODは、脱水ろ液に比べて約4倍低くなり、色度は、脱水ろ液に比べて約5倍低くなり、濁度は、脱水ろ液に比べて約10倍低くなった。1~4回ろ過時も、目視ではあるが、同じように色度が低減していた。
[実施例2]
 実施例1より、菌体生息媒体Aは、COD及び色度の低減、並びに微細有機物粒子(難吸着性物質)の吸着が可能であることが明らかとなった。そこで、より実用的な試験を実施した。
 寸法約485×330×250(mm)の底部に多数の小孔が形成された容器に菌体生息媒体Aを充填したものを3段積みにし、菌体処理を施した脱水ろ液20リットルを連続式で投入し、その時に各層から排出した液体について可視光吸光度計によるスペクトル分析を実施した。
 図8は、菌体処理液及び各層から排出された処理液における色度(390nm)と全窒素(540nm)のスペクトルの分析結果である。左のグラフが色度を示し、右のグラフが全窒素量を示す。色度は、菌体処理液に比べて、各段のバイオフィルターを通過した液体において低い値が計測された。しかし、各段のバイオフィルターにおける色度の差は少ないことを確認した。また、全窒素量は、菌体処理液に比べて、各段で低い値となり、さらに、バイオフィルターの段数が増えるにつれ値が減少傾向を示した。この全窒素量の減少傾向は、液中に含まれる不可給態窒素(未分解有機物)が、バイオフィルターに吸着されたことにより減少傾向を示したと考えられる。
 したがって、本実施例の結果から、菌体生息媒体Aにより、色度の低減及び微細有機物粒子(難吸着性物質)量の吸着が可能であり、多段式にした場合、難吸着性物質量は減少するが、色度は変化しないことが明らかとなった。
[実施例3]
 実施例2より、菌体生息媒体Aは、色度の低減及び難吸着性物質の吸着が可能であることが明らかとなったが、多段式にしても色度の減少が確認できなかった。そこで、菌体生息媒体Aよりも孔隙率の低い媒体と複合して利用することで色度の低減効果を向上する方法を検討した。
 200φ高さ20cmの容器に菌体生息媒体Aを充填したバイオフィルターを上段1、2段目に、200φ高さ20cmの容器に菌体生息媒体Bを充填したバイオフィルターを下段3、4段の計4段積みにし、菌体処理を施した脱水ろ液を100ml/minの速度で合計1リットルをバッチ式で合計4リットル投入した。その時に、各層から排出された処理液について可視光吸光度計によるスペクトル分析を実施した。図9は、各層から排出された処理液における色度(390nm)と全窒素(540nm)のスペクトルの分析結果である。左のグラフが色度を示し、右のグラフが全窒素量を示す。
 図9に示すように、本実施例における色度の結果は、下段に進むにつれ減少傾向を示した。また、全窒素量も下段に進むにつれ減少傾向を示した。最下段のバイオフィルターから排出された処理液における色度と全窒素量は、実施例2で得られた結果に比べて低減できたことが確認された。
[実施例4]
 実施例3において、異なるバイオフィルター(菌体生息媒体)を使用することで、COD及び色度、並びに難吸着性物質の吸着効果をより得られることが明らかとなった。そこで、本実施例では、さらに実用的な例として、実施例3で構築した4段構造の下に、4段構造から排出された際に、溶出された土壌粒子などを濾す媒体(物理的フィルター)を設置した。
 実施例4のバイオフィルター装置の構成は、約0.27mで高さ20cmのプラスチック船(寸法820×511×207mm)の底部に多数の小孔が形成された容器を4つで構成された構造である。1段目と2段目の菌体生息媒体の構成は、各菌体生息媒体の底にヤシ殻を1cm程敷き込み、その上に菌体生息媒体Aを約15cm程度敷き詰めたものである。3段目と4段目の菌体生息媒体の構成は、同様に、底にヤシ殻を1cm程敷き込み、その上に菌体生息媒体Bを約10cm程度敷き詰めたものである。
 この4段構造の下に、同サイズのプラスチック船の底からシュロのシート、その上に川砂、その上に木炭を敷き詰めた3層構造の媒体を設置した。本実施例では、この全5段構造で試験を実施した。
 全5段で構成されたバイオフィルター装置の上部開口部から、菌体処理を施した脱水ろ液を水で5倍希釈したものを10リットル/minの速度で投入し、10分間隔で計5回、合計50リットル/dayをバッチ式で投入した。
 投入した菌体処理液と、本発明のバイオフィルター装置から排出された処理液について、可視光吸光度計によるスペクトル分析、硝酸態窒素濃度、電気伝導度、pH及びカリウムイオン濃度の分析を実施した。試験は、5日間の投入後、2日間はバイオフィルター内部の有機物を菌体により硝化させる期間とし、この7日間を1サイクルとし、合計2サイクルの14日間の菌体処理液投入試験を実施した。なお、1日目、15日目及び16日目は、ため水のみを投下した。合計投入量は600Lである。
 図10に、バイオフィルター装置に投入する前と後の液体における色度(390nm)の経時変化を示す。左のグラフが投入前(菌体処理液)を示し、右のグラフが投入後(ろ過処理液)を示す。
 1日目は、フィルターの立ち上がりのため、ため水を透過しており、この時の色度は、フィルター装置透過前も後も同程度を示した。2日目以降は、菌体処理液の色度に比べて、透過後の液体の色度を判定するスペクトルの分析の結果は0.1以下であり、低くなった。15日目及び16日目は、水を透過しているため、同程度の値を示した。
 以上の結果より、本バイオフィルター装置は、液体中の色度低減につながることが明らかとなった。
 図11に、バイオフィルター装置に投入する前と後の液体における全窒素(540nm)の経時変化を示す。左のグラフが投入前(菌体処理液)を示し、右のグラフが投入後(ろ過処理液)を示す。投入前と投入後の全窒素の波長帯におけるスペクトル分析結果は、投入前に比べて投入後のスペクトルの値が減少した。この傾向は、菌体処理液投入を5日間毎日透過しても変わらなかった。一方、水だけを透過した日については、同程度の値を示した。
 以上の結果から、全窒素が減少したのは、本バイオフィルター装置のバイオフィルターにより、難吸着性物質が吸着されたことによるものであることが確認された。したがって、菌体処理液の投入量によるバイオフィルター内の負荷が増加しても、色度の低減効果及び難吸着性物質の吸着効果は低減されなかった。
 参考として、本実施例において色度計による色度と濁度の測定を実施した結果を、表4に示す。測定は、別の日で2回実施した。下水処理場で採取し測定した脱水ろ液の色度は2000に対し、本実施例における、ろ過液の色度は350であり、濁度は10~20であった。実施例1で行った色度及び濁度の結果に比べ、色度は低減し濁度はほとんど変化を確認できなかった。したがって、実施例4における試験構成は、実施例3以前の試験構成に比べて、色度の低減をさらに向上させる技術を確立した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 図12に、本実施例におけるバイオフィルター装置投入前(菌体処理液)と投入後(ろ過処理液)の硝酸態窒素濃度の結果を示す。硝酸態窒素濃度が高い方が、ろ過処理液である。
 図12に示すように、硝酸態窒素濃度は、菌体処理液に比べてろ過液で高い値であった。しかし、投入から5日目の投入時にはほとんどその値は、同じになった。8日目以降の透過試験においても同様の傾向が確認され、投入開始から4日目までは、菌体処理液に比べて、ろ過処理液で硝酸態窒素濃度が高い結果となったが、5日目はほとんど同じ値になった。この傾向は、2日間の菌体によるバイオフィルター内部に吸着された有機物の硝化期間において、バイオフィルター内部の硝酸態窒素濃度が上昇したことにより、以降の透過において、内部の硝酸態窒素が流亡し、ろ過処理液に含まれる硝酸態窒素濃度が上昇したと考察される。
 したがって、2日間の硝化期間により、バイオフィルター内部に吸着された難分解性有機物が内部の菌体により分解・硝化されることで、内部の目詰まりが起きにくくなる。さらに、ろ過液は、多機能的に利用できる液肥として利用できる。また。投入量が蓄積されたとしても、硝酸態窒素濃度は上昇しないことから、有機物の分解・硝化並びに流亡のサイクルが確認された。
 図13に、本実施例におけるバイオフィルター装置投入前(菌体処理液)と投入後(ろ過処理液)の電気伝導度の結果を示す。左のグラフが投入前(菌体処理液)を示し、右のグラフが投入後(ろ過処理液)を示す。
 図13に示すように、本実施例における電気伝導度の経時変化において、菌体処理液は、その質により変動があるが、ろ過処理液は、試験開始から16日目まで菌体処理液の投入におけるフィルター内にかかる負荷が増加したとしても減少傾向を示した。この結果は、透過初期においては、フィルター内にもともと存在していたイオンが流亡したものと考えられるが、5日目以降は、硝酸態窒素と同様で、菌体による有機物の分解によるイオンの放出及び透過による流亡が繰り返されたものと考えられる。
 以上の結果から、本バイオフィルター装置は、脱水ろ液を菌体処理した菌体処理液を用いて透過することで、色度及びCODの低減、並びに微細有機物粒子(難吸着性物質)の吸着効果を有し、2日間のバイオフィルター内部の菌体による有機物分解・硝化作用により、目詰まりの改善効果及びろ液の液肥としての利用が可能であること明らかとなった。
 なお、ろ液を原液のまま作物に完遂したとしても枯れず、生育は良好であった。
[実施例5]
 200φ高さ20cmの容器に菌体生息媒体Aを充填したバイオフィルターを上段1、2段目に、200φ高さ20cmの容器に菌体生息媒体Bを充填したバイオフィルターを下段3、4段の計4段積みにし、実施例3で用いたのと同様の装置を実施例5のバイオフィルター装置とした。
 このバイオフィルター装置に、オゾン処理を行ったオゾン処理液を100ml/minの速度で合計1リットルをバッチ式で合計4リットル投入した。その際、1段目及び2段目から排出されたろ過液をサンプリングした。各サンプリングしたろ過液について可視光吸光度計によるスペクトル分析を実施した。
 また、比較対象として、オゾン未処理の通常処理液(菌体処理液)についても同様の試験を行った。なお、比較対象については、1~4段目から排出されたろ過液をサンプリングし、可視光吸光度計によるスペクトル分析を実施した。
 これらについて、色度の測定波長帯である390nmの波長帯の比較を行った。
 なお、オゾン処理液は、次のように調製した。
 ポリ容器に、脱水ろ液(返流水)を5リットル投入し、500mg/Hrのオゾン発生装置にて3.5L/minの流量で5分間オゾン処理を行った後、水溶液に対して30分の曝気を行った。その後、好気性菌体の混合液(糠から培養した乳酸菌と、納豆から抽出したバチルス菌と、酵母菌と、糖とを混合した菌体混合液)を1リットル、容器に投入し、給気を行いながら6日間連続で発酵処理を行った。
 なお、本実施例における脱水ろ液としては、長崎市東部下水処理場で低分子化処理(水熱処理)が施された下水汚泥残渣の脱水ろ液を使用した。
 その結果を図14に示す。図14は、各層から排出された処理液における色度(390nm)のスペクトルの分析結果である。左のグラフが通常処理液における色度を示し、右のグラフがオゾン処理液における色度を示す。
 オゾン処理した処理液は、通常処理液に比べて、バイオフィルターの吸着力が高く、2段目までのろ過液の色度が、通常の4段目のろ過液の色度より若干高い程度まで減少した。すなわち、オゾン処理することは、バイオフィルターの処理段数を低減させる効果をもたらし、吸着効果を高めることが明らかとなった。この結果は、オゾン処理することで、難吸着性物質が酸化され、微生物の分解及び吸収が容易になったことと、微生物代謝で生成される有機ノリで構成されたバイオフィルター内の菌体フィラメント構造での吸着効果を高めたことによるものと推測される。
[実施例6]
 実施例5と同様の4段積みのバイオフィルター装置に、脱水ろ液に対して実施例5と同様の処理を行ったオゾン処理液を、100ml/minの速度で、バッチ方式にて合計2リットル投入した。その際に、4段目のバイオフィルターから排出されたろ過液をサンプリングした。このサンプリングしたろ過液について、可視光吸光度計によるスペクトル分析と硝酸態窒素濃度の測定を行い、処理液の色度を判定する波長帯である390nmの計測データと硝酸態窒素濃度の計測データの比較を行った。
 また、1回目のろ過処理から2日経過後に、再び同様のフィルタリング試験を実施し、上記項目において再度分析を行った。
 なお、比較対象として、実施例5の比較対象と同様の処理を行ったオゾン未処理の通常処理液を用い、この通常処理液(菌体処理液)についても同様の試験を行った。
 その結果を図15及び図16に示す。図15は、ろ過1回目のサンプル及びろ過2回目のサンプルにおける、ろ過液の色度のスペクトル分析結果(波長帯390nm)を示す。図16は、ろ過1回目のサンプル及びろ過2回目のサンプルにおける、硝酸態窒素濃度の計測結果を示す。なお、硝酸態窒素濃度の測定においては、1回目及び2回目の処理において、硝酸態窒素濃度が同程度の処理液(オゾン処理液、通常処理液)を使用した。
 図15より、脱水ろ液のろ過後の色度は、1回目及び2回目のろ過において投入液に比べて減少傾向であることを確認した。また、オゾン処理液においては、通常処理液のろ過液に比べて、色度の測定値が1回目及び2回目において低い計測結果であった。この結果は、オゾン処理によって難吸着性物質の酸化が促進され、これによって脱水ろ液の色度が低減されたことに加えて、液中に残留した難吸着性物質をバイオフィルターによってさらに吸着させることで、通常処理の方法よりも色度が低減したと考察される。
 また、バイオフィルターにおける吸着の負荷は、オゾン処理液の方が通常処理液に比べて低いことが確認された。この結果から、オゾン処理が、バイオフィルターの負荷軽減効果に大きく貢献することが明らかとなった。オゾン処理により、難吸着性物質の酸化が促進され、微生物の分解及び吸収が容易になると共に、微生物代謝で生成される有機ノリで構成されたバイオフィルター内の菌体フィラメント構造での吸着効果が高められたことにより、負荷低減が実現したものと推測される。
 図16より、ろ過処理後の硝酸態窒素濃度は、両処理液ともに高い傾向となった。1回目のろ過においては、オゾン処理液の方が、通常処理液に比べて硝酸態窒素濃度が高かった。2日経過後の2回目のろ過においては、オゾン処理液のろ過液の硝酸態窒素濃度の方が、通常処理液のろ過液に比べて低かった。1回目のろ過液と2回目のろ過液での硝酸態窒素濃度の減少量は、オゾン処理液が500ppmであり、通常処理液が133ppmで、オゾン処理液の方が通常処理液に比べて大きかった。
 2回目のろ過において、オゾン処理液のろ過液の硝酸態窒素濃度が、通常処理液のろ過液よりも低くなり、また減少量が大きくなったのは、オゾン処理することで、難吸着性物質が酸化され、微生物の分解及び吸収が容易になると共に、微生物代謝で生成される有機ノリで構成されたバイオフィルター内の特殊構造での吸着効果が高められたことにより、硝酸体窒素の流亡が低くなったことによるものと考察される。
[参考例1]
(オゾン処理液の硝酸態窒素量)
 ポリ容器に、脱水ろ液(返流水)を5リットル投入し、500mg/Hrのオゾン発生装置にて3.5L/minの流量で5分間オゾン処理を行った後、水溶液に対して30分の曝気を行った。その後、好気性菌体の混合液(糠から培養した乳酸菌と、納豆から抽出したバチルス菌と、酵母菌と、糖とを混合した菌体混合液)を1リットル、容器に投入し、給気を行いながら6日間連続で発酵処理を行った。1日毎にサンプリングを行い、硝酸態窒素、電気伝導度及びpHを測定した。
 なお、本実施例における脱水ろ液としては、長崎市東部下水処理場で低分子化処理(水熱処理)が施された下水汚泥残渣の脱水ろ液を使用した。
 また、比較対象として、脱水ろ液に対してオゾン処理を行わないこと以外は参考例1と同様に処理を行った処理液について、硝酸態窒素、電気伝導度及びpHを測定した。その結果を、図17~19に示す。
 オゾン処理を行ったオゾン処理液(新液肥)と、オゾン未処理の処理液(通常処理液)では、硝酸態窒素濃度に差が確認された(図17)。オゾン処理液の方が、オゾン未処理の通常処理液に比べて硝酸態窒素濃度が高くなることが判明した。この差は、前処理としてオゾン処理を行うことにより、難分解性の有機物を含む浮遊物質がオゾンの気泡により酸化されると共に、液中に含まれる雑菌類が殺菌されることで有効微生物の有機分解が促進され、好気性の有効微生物の活性が促進されたことによるものと推測される。
 電気伝導度及びpHの変化の関連性は、オゾン処理液(新液肥)と、オゾン未処理の通常処理液を比較したところ、ほぼ同じ傾向を示した(図18及び図19)。
[参考例2]
(オゾン処理液の植物に対する影響)
1.生育試験
 トマトの苗を用いたオゾン処理液(新液肥)の生育試験を実施した。
 試験方法は、参考例1の発酵処理開始から3日目のオゾン処理液(新液肥)を充填した試験管を用意し、トマトの苗を試験管に固定し、生育を観察した。また、比較対象として、脱水ろ液の原液を用いて同様に生育を観察した。その結果を図20に示す。
 トマトの苗を各液に浸して試験開始から3日経過後、オゾン処理液(新液肥)は検体(トマト)の苗の直接的な成育影響は確認されなかった(図20A,B)。一方、脱水ろ液の原液は、成育に影響(しおれ)が確認された(図20C,D)。これは、オゾン菌体処理液(新液肥)中におけるアンモニア濃度が脱水ろ液の原液に比べて、少ないことが直接影響したと推測される。
2.発芽試験
 続いて、ほうれん草の種子を用いた発芽試験を実施した。試験方法は、ほうれん草の種子10個を、参考例1の発酵処理開始から3日目のオゾン処理液(新液肥)を染み込ませたガラス容器内の紙上において、常温にて観察を行った。また、比較対象として、脱水ろ液の原液を用いて同様に発芽を観察した。その結果を図21に示す。
 ほうれん草の種子を用いた常温における発芽試験において、発酵処理開始から3日目のオゾン処理液(新液肥)を用いた場合、3日経過後に発芽したことを確認した(図21(a))。一方、脱水ろ液の原液を用いた場合は、種子の発芽が確認されなかった(図21(b))。
 これら結果から、オゾン処理を行ったオゾン処理液(新液肥)の安全性が確認された。
[参考例3]
(オゾン処理液のアンモニア態窒素量)
 ポリ容器に、脱水ろ液を20リットル投入し、500mg/Hrのオゾン発生装置にて3.5L/minの流量で30分間オゾン処理を行った後、水溶液に対して5分の曝気を行った。その後、好気性菌体の混合液(糠から培養した乳酸菌と、納豆から抽出したバチルス菌と、酵母菌と、糖とを混合した菌体混合液)を5リットル、容器に投入し、給気を行いながら6日間連続で発酵処理を行った。
 オゾン処理の直後、菌体処理直後及び1日毎にサンプリングを行い、硝酸態窒素及びアンモニア態窒素を測定した。その結果を、図22に示す。
 オゾン処理を実施した直後のアンモニア濃度は、原料とほぼ同程度で変化がなかったが、菌体処理後、1日経過すると700ppmから300ppmまで減少することを確認した(図22)。この理由としては、オゾン処理を行うことで、処理後に投入する菌体の活性及び増殖が高まり、アンモニアの分解が促進されたと推測される。
 さらに、オゾン処理を行った上記処理液について、一般細菌試験紙を用いた安全性試験を行った。試験方法は、一般細菌試験紙3枚を処理液に浸し、37℃で24時間培養した後、一般細菌の数の測定を行った。
 この結果、一般細菌の存在が全く確認されず、オゾン処理の安全性が確認された。
 本発明は、下水処理場等で下水汚泥残渣を脱水処理する際に発生する脱水ろ液の処理に用いることができることから、産業上の有用性は高い。
  1  バイオフィルター装置
  2  バイオフィルター
  3  小孔
  4  菌体生息媒体
 10  下水汚泥残渣脱水ろ液処理システム
 11  脱水ろ液タンク
 12  無害化処理装置(菌体混合タンク)
 13  バイオフィルター装置
 13a バイオフィルター
 13b 物理的フィルター
 14  配管
 15  配管
 16  処理液(液肥)保持タンク
 17  排出配管
 18  返送配管
 19  菌体保持タンク
 20  送給ポンプ
 21  エアフィルター
 22  エアポンプ
 23  送気管
 24  液肥用バルブ

Claims (23)

  1.  好気性菌体が生息する菌体生息媒体を具備するバイオフィルターを備えたバイオフィルター装置であって、
     前記菌体生息媒体が、下水汚泥残渣ペレットの内部にバチルス菌を担持させると共に表層部に乳酸菌を担持させた菌担持下水汚泥残渣ペレットを発酵させて製造した発酵下水汚泥残渣ペレットを含むことを特徴とするバイオフィルター装置。
  2.  下水汚泥残渣ペレットが、難分解性高分子を低分子化する処理が施された下水汚泥残渣をペレット加工したものであることを特徴とする請求項1記載のバイオフィルター装置。
  3.  菌体生息媒体が、団粒土壌を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のバイオフィルター装置。
  4.  少なくとも団粒土壌、植物性有機資材、及び発酵下水汚泥残渣ペレットを含む菌体生息媒体を具備する第1のバイオフィルターと、
     少なくとも団粒土壌、及び発酵下水汚泥残渣ペレットを含む菌体生息媒体を具備する第2のバイオフィルターと、
    を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のバイオフィルター装置。
  5.  下水汚泥残渣の脱水ろ液を処理するために用いられることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載のバイオフィルター装置。
  6.  下水汚泥残渣の脱水ろ液中の腐敗菌及びアンモニアを低減する無害化処理装置と、
     該無害化処理装置で処理した脱水ろ液をろ過する請求項1~5のいずれか記載のバイオフィルター装置と、
    を備えたことを特徴とする下水汚泥残渣脱水ろ液処理システム。
  7.  無害化処理装置が、菌体を用いる処理装置であることを特徴とする請求項6記載の下水汚泥残渣脱水ろ液処理システム。
  8.  バイオフィルター装置で処理した処理液の一部を、無害化処理装置に投入する返送機構を備えたことを特徴とする請求項6又は7記載の下水汚泥残渣脱水ろ液処理システム。
  9.  下水汚泥残渣の脱水ろ液中の腐敗菌及びアンモニアを低減する無害化処理工程と、
     該無害化処理した脱水ろ液を請求項1~5のいずれか記載のバイオフィルター装置に投入してろ過するろ過工程と、
    を有することを特徴とする下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
  10.  無害化処理工程が、菌体を用いる処理であることを特徴とする請求項9記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
  11.  無害化処理工程で用いる菌体が、乳酸菌及びバチルス菌を含む複合菌体であることを特徴とする請求項10記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
  12.  無害化処理工程が、脱水ろ液に、ろ過工程後の菌体を含む処理液を添加する工程であることを特徴とする請求項10記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
  13.  ろ過工程が、所定量の脱水ろ液を投入後、所定期間をあけて次の所定量の脱水ろ液を投入するバッチ処理であることを特徴とする請求項9~12のいずれか記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
  14.  下水汚泥残渣の脱水ろ液が、難分解性高分子を低分子化する処理が施された下水汚泥残渣の脱水ろ液であることを特徴とする請求項9~13のいずれか記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
  15.  無害化処理工程の前に、下水汚泥残渣の脱水ろ液に対してオゾン処理を施すオゾン処理工程を有することを特徴とする請求項9~14のいずれか記載の下水汚泥残渣脱水ろ液の処理方法。
  16.  下水汚泥残渣の脱水ろ液中の腐敗菌及びアンモニアを低減する無害化処理工程と、
     該無害化処理した脱水ろ液を請求項1~5のいずれか記載のバイオフィルター装置に投入してろ過するろ過工程と、
    を有することを特徴とする液肥の製造方法。
  17.  無害化処理工程が、菌体を用いる処理であることを特徴とする請求項16記載の液肥の製造方法。
  18.  無害化処理工程で用いる菌体が、乳酸菌及びバチルス菌を含む複合菌体であることを特徴とする請求項17記載の液肥の製造方法。
  19.  無害化処理工程が、脱水ろ液に、ろ過工程後の菌体を含む処理液を添加する工程であることを特徴とする請求項17記載の液肥の製造方法。
  20.  ろ過工程が、所定量の脱水ろ液を投入後、所定期間をあけて次の所定量の脱水ろ液を投入するバッチ処理であることを特徴とする請求項16~19のいずれか記載の液肥の製造方法。
  21.  下水汚泥残渣の脱水ろ液が、難分解性高分子を低分子化する処理が施された下水汚泥残渣の脱水ろ液であることを特徴とする請求項16~20のいずれか記載の液肥の製造方法。
  22.  無害化処理工程の前に、下水汚泥残渣の脱水ろ液に対してオゾン処理を施すオゾン処理工程を有することを特徴とする請求項16~21のいずれか記載の液肥の製造方法。
  23.  脱水ろ液に比較して硝酸態窒素量が増加した液肥を製造することを特徴とする請求項16~22のいずれか記載の液肥の製造方法。

     
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