JP2018186806A - Gaba含有組成物の製造方法、及びgaba含有組成物を含む食品 - Google Patents

Gaba含有組成物の製造方法、及びgaba含有組成物を含む食品 Download PDF

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Abstract

【課題】デーツの残渣を有効活用することにより、GABA含有組成物を製造する。【解決手段】デーツの残渣に加水した後に、少なくともグルタミン酸及び酢を添加して処理原液を得る工程と、処理原液にラクトバチルス・ブレビスを接種して発酵させる工程とを含む。【選択図】図2

Description

本発明は、主に、GABA含有組成物を製造する製造方法に関し、特に、デーツピューレの製造時に発生するデーツ残渣の有効利用を可能にする技術に関する。
GABA、すなわちγ−アミノ酪酸(天然に存在するアミノ酸の一種)は、血圧降下等、健康に関する様々な有効性が報告されている。そのため、GABAは、健康志向の高まりに伴って注目を集めているが、GABAを含む天然素材は限られているうえに、天然素材中のGABA含有量は少なく、安価で量を確保するのが難しいという問題がある。そのため、GABAを高濃度に含み、食品としても利用できる安価な素材が要望されており、これまでも様々な検討が行われている。
例えば、特許文献1には、パパイヤ果実の搾汁に、グルタミン酸塩等を加えて、乳酸発酵させることで、GABAを高濃度に含んだ発酵液を製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、精米加工で生じる廃棄物を原料とした米糖化液に、グルタミン酸Naを添加し、乳酸菌(ラクトコッカス・ラクティス)の特定株を用いて乳酸発酵させることで、GABAを高濃度に含んだ発酵液を製造する方法が開示されている。
特開2009−240308号公報 特開2011−4723号公報
ナツメヤシの実であるデーツ(Date)は、コクのある甘味を有することから、デーツのピューレ(デーツピューレ)は、ソースの原材料として使用されている。そのデーツピューレを製造する際には、デーツに含まれる種や皮などの食物繊維分が残渣として発生する。現在、このデーツ残渣は廃棄されている。
本発明者らは、このデーツ残渣の有効利用方法について模索していたところ、近年注目を集めているGABAに着目し、デーツ残渣の利用について様々な検討を試みた結果、特定の処理を施すことで、デーツ残渣が、GABAの生成に利用できることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、デーツピューレの製造時に発生するデーツ残渣を有効活用することにより、GABAを豊富に含むGABA含有組成物を製造する方法を提供することにある。
本発明は、GABA含有組成物の製造方法に関する。
前記製造方法は、デーツの残渣に加水する加水工程と、グルタミン酸及び酢を添加して処理原液を得る前処理工程と、前記処理原液にラクトバチルス・ブレビスを接種して発酵させる発酵工程と、を含むことを特徴とするものである。
すなわち、この製造方法によれば、デーツピューレの製造過程で副産物として発生するデーツの残渣を用いるので、デーツを無駄なく利用できるようになる。デーツの残渣以外の素材も、食用可能なものだけを用いるので、この製造方法の結果物であるGABA含有組成物は、そのままでも食品素材として利用できる。
しかも、詳細は後述するが、そのGABA含有組成物には、GABAが豊富に含まれているので、GABAを豊富に含む食品素材を比較的安価で提供することが可能になる。
詳細には、前記処理原液に対し、生菌数が10cfu/g以上となるように、前記ラクトバチルス・ブレビスを接種するのが好ましい。
処理原液をラクトバチルス・ブレビスで発酵しても、菌数はほとんど増加しない。そのため、ラクトバチルス・ブレビスを最初から高濃度で接種することで、効率よく発酵させることができ、高濃度なGABAを生成することができる。
また、前記ラクトバチルス・ブレビスには、1059T株及び1170株の少なくともいずれか一方の菌株を用いるのが好ましい。
ラクトバチルス・ブレビスであっても、菌株によって適性が異なるため、デーツ残渣に対して適不適がある。それに対し、これら菌株であれば、本製造方法でGABAを生成することが確認されていることから、これら菌株を用いることで、直ぐに、GABAを豊富に含むGABA含有組成物を製造することが可能になる。
前記製造方法は更に、セルラーゼ及びペクチナーゼの少なくともいずれか一方の分解酵素を用いて、加水したデーツ残渣の混合液であるデーツ残渣混合液を、酵素分解することにより、酵素分解液を得る酵素分解工程、を含むようにしてもよい(後述する「第1の製法」参照)。
そうすれば、デーツ残渣を原料にして、例えば3000mg/L以上の濃度でGABAを豊富に含む、GABA含有組成物を製造することができる。
その場合、更には、前記デーツ残渣混合液に対し、添加量が0.6〜1.0重量%となるように、前記分解酵素を添加するのが好ましい。
0.6重量%より少ないと、添加量の減少とともにGABAの生成効率が次第に低下する傾向があり、1.0重量%を超えると、添加量が増えても、GABAの生成効率はほとんど変わらない。従って、上述した添加量であれば、適量の分解酵素で効率的に処理できる。
更には、前記酵素分解工程が、前記デーツ残渣混合液を酵素分解した後に、固相と液相とに分画する処理を含み、当該液相のみを前記酵素分解液に用いるようにしてもよい。
酵素分解したデーツ残渣混合液と、これを分画して得られる約半量の液相とで、GABAの生成量に大差が無いことが判明している。従って、液相のみを酵素分解液に用いれば、約半量の酵素分解液で同量のGABAを生成できるので、発酵効率を向上させることができる。
また更には、前記酵素分解液に対し、添加量が0.2〜1.0重量%となるように、グルタミン酸Naを添加するのが好ましい。
酵素分解液に対するグルタミン酸Naの添加量が、約0.5重量%の時に、GABAの生成効率がピークに達する。従って、上述した添加量であれば、適量のグルタミン酸Naで効率的に処理できる。
前記製造方法は、また更に、前記前処理工程で、グルタミン酸及び酢とともに酵母エキスを添加するようにしてもよい(後述する「第2の製法」参照)。
そうすれば、上述した第1の製法よりも製造工程を簡略化でき、デーツ残渣を原料にして、短時間かつ低コストでGABA含有組成物が製造できる。
その場合、前記酵母エキスに、少なくとも3000mg/L以上の濃度でGABAの生成が可能な特定の酵母エキスを用いるのが好ましい。
そうすれば、安価でGABAを高濃度で含むGABA含有組成物を得ることができる。
これらのような製造方法によって製造されたGABA含有組成物を原料に用いて食品を製造すれば、風味を損なわずに、GABAを豊富に含む食品を得ることができる。
本発明のGABA含有組成物の製造方法によれば、現在廃棄されているデーツ残渣を有効利用して、GABAを豊富に含み、そのまま食品素材としても利用できるGABA含有組成物を得ることができる。
デーツピューレの製造工程の概略を示すフローチャートである。 第1の製法による、GABA含有組成物の製造工程の概略を示すフローチャートである。 デーツ残渣混合液、その固形分(固相)、その上澄み(液相)の各々について、GABAの生成量を比較した試験結果を示すグラフである。 処理原液にラクトバチルス・ブレビス(1059T株)を接種して培養した時の生菌数の経時変化を示すグラフである。 GABA含有液のグルタミン酸Na及びGABAの各含量を測定した結果を示すグラフである。 酵素分解工程及び発酵工程の必要性について調べた試験結果を示すグラフである。 デーツピューレ及びデーツ残渣の各々におけるGABAの生成に対する適性について調べた試験結果を示すグラフである。 デーツ残渣への加水割合によるGABAの生成効率への影響について調べた試験結果を示すグラフである。 デーツ残渣混合液に対する分解酵素の種類の影響について調べた試験結果を示すグラフである。 デーツ残渣混合液に対する分解酵素の添加量の影響について調べた試験結果を示すグラフである。 酵素分解液に対するグルタミン酸Naの添加量の影響について調べた試験結果を示すグラフである。 酵素分解液に対する酢の添加量の影響について調べた試験結果を示すグラフである。 酢の添加によるpHの変化とGABAの生成効率との関係を示すグラフである。 ラクトバチルス・ブレビスの菌株別でのGABAの生成効率について比較した試験結果を示すグラフである。 ラクトバチルス・ブレビスの発酵温度別でのGABAの生成効率について比較した試験結果を示すグラフである。 グルタミン酸Naとグルタミン酸とでGABAの生成効率を比較したグラフである。 第2の製法による、GABA含有組成物の製造工程の概略を示すフローチャートである。 GABAの生成効率への酵母エキスの種類の影響を比較したグラフである。 デーツ残渣と酵母エキスの組み合わせによる効果を検証したグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
<デーツの残渣>
デーツは、主に中近東で栽培されている「ナツメヤシ」の実である。デーツは、2〜3cm程度の大きさであり、種子を含み、その外面は果皮によって覆われている。デーツは、栄養価が高く、糖質やミネラル、食物繊維を多く含んでいる。
そのため、デーツは、中近東では、古来よりドライフルーツなどとして広く食用されているが、日本では、まだ馴染みが薄いのが実情である。しかし、デーツには、コクのある独特の甘味があることから、日本でも、ソース等の加工食品の原材料として利用されている。
その際、原材料として利用されるのは、デーツの果実分であり、通常は、それをピューレに加工して用いられている(デーツピューレ)。その加工工程の一例を図1に示す。図1に示すように、デーツ(生の状態)に所定量の水を加えて加熱する。それを、摩砕して細かく磨り潰した後、所定サイズのメッシュに通して分離する。そうすることで、液状のデーツピューレが得られるが、その際、副産物として、デーツ残渣(種子や果皮等の繊維成分を主体とする固形分)が発生する。
デーツ残渣は、現在、利用価値が無いため、廃棄処分されている。そのため、このデーツ残渣の有効利用が要望されており、本発明者らが、デーツ残渣の有効利用方法について様々な検討を行った結果、デーツ残渣に特定の処理を施すことにより、GABAの高濃度生成が可能になり、食品素材として利用できるGABA含有組成物が製造可能になることを見出した。
−GABA含有組成物の製造方法(第1の製法)−
図2に、そのGABA含有組成物の製造方法の主な工程を示す。この製造工程は、加水工程、酵素分解工程、発酵前処理工程、発酵工程などで構成されており、上述したデーツ残渣に加え、分解酵素、グルタミン酸Na、酢、乳酸菌(ラクトバチルス・ブレビス)が各工程で添加される。酵素分解工程及び発酵工程は、この製法において必須の工程であり、いずれか一方が欠けてもGABAの生成はできない(詳細は後述の「酵素分解及び発酵の必要性」参照)。
本製造方法により、グルタミン酸NaがGABAに効率的に転換され、GABAを豊富に含む発酵溶液(GABA含有液、GABA含有組成物の一例)が、結果物として得られる。GABA含有液は、食用可能であり、風味も良好で加工食品の素材として好適である。
(加水工程)
本工程では、デーツの残渣に所定量の水を加え、混合する。そうすることにより、デーツ残渣混合液を得る。本製造方法では、デーツ残渣が好適に用いられ、デーツピューレは好適ではない。デーツピューレよりもデーツ残渣の方が、GABAを高濃度で生成することができるからである(詳細は後述の「デーツピューレ及びデーツ残渣の適性」参照)。
デーツ残渣混合液は、デーツ残渣と水とを、より混合して均質化するため、粉砕処理するのが好ましい(より好ましくは、摩砕処理)。そうすることで、酵素分解し易くなり、より効率的にGABAを生成させることができる。その処理には、マスコロイダー等、公知の粉砕機や摩砕機が利用できる。
加水量は、相対的に少ない方が好ましいが、重量比で、デーツ残渣量:水量=略1:1(例えば1:0.5〜1.5)となるように調製するのが好ましい。加水量が多くなるほど、GABAの生成効率が低下する傾向があるからである(詳細は後述の「デーツ残渣の加水割合」参照)。その一方で、加水量が少なくなるほど、扱い難くなり、粉砕処理等が困難になる。これらを考慮すると、上述した加水割合が最適となる。
従って、本実施形態では、最適条件として、1:1の割合でデーツ残渣に加水したものを摩砕処理し、デーツ残渣混合液としている。
(酵素分解工程)
本工程では、分解酵素を用いてデーツ残渣混合液を酵素分解する。そうすることにより、酵素分解液を得る。分解酵素は、公知のセルラーゼ及びペクチナーゼの少なくともいずれか一方が使用できるが、本実施形態では、セルラーゼとしてセルラーゼA「アマノ」3を、ペクチナーゼとしてペクチナーゼG「アマノ」を、それぞれ使用した(双方とも天野エンザイム株式会社製)。
分解酵素は、デーツ残渣混合液に対し、添加量が0.6〜1.0重量%となるように添加するのが好ましい(固形分のデーツ残渣量に対する添加量としては、1.2〜2.0重量%)。0.6重量%より少ないと、添加量の減少とともにGABAの生成効率が次第に低下する傾向があり、0.6重量%以上では、添加量が増えても、GABAの生成効率はほとんど変わらないからである(詳細は後述の「分解酵素の種類・添加量」参照)。
酵素分解の温度や時間の条件は、添加する酵素の至適条件を採用するのが好ましいが、状況に応じて選択できる。例えば、この実施形態では、上述したセルラーゼ及びペクチナーゼの各々を0.3重量%ずつ添加したデーツ残渣混合液を、装置の制限から至適温度よりも低い35℃を選択し、比較的長い6時間の条件下で処理している。
酵素分解したデーツ残渣混合液(酵素分解粗液)は、そのまま酵素分解液として用いてもよいが、固相と液相とに分画し、液相のみを酵素分解液として用いてもよい。
例えば、酵素分解粗液を、遠心分離(3000rpmで5分間保持の条件等)し、固相と液相とに分画する。そうして得られる液相(上澄み液)を、酵素分解液として発酵前処理工程で使用する。
酵素分解粗液のおおよそ半量は、デーツ残渣由来の微細な固形分からなる。この微細な固形分は、不快な食感を生じる。そのため、GABA含有組成物をそのまま食品素材として利用する場合には、これら微細な固形分を除去する必要がある。
そこで、酵素分解粗液と、酵素分解粗液を分画して得られる固形分(固相)及び上澄み(液相)の各々の画分(各々の量は、酵素分解粗液の約半量)とで、その他は同じ最適条件の下、GABAの生成量を比較する試験を行った。
図3に、その比較試験の結果を示す。固形分、上澄み共に、酵素分解粗液と大差のないGABAの生成量が得られた。従って、上澄みのみでも、酵素分解粗液と同等に酵素分解液として用いることができる。
上澄みのみであれば、酵素分解粗液の約半量で、同量のGABAを生成できるので、発酵効率を向上させることができる。
(発酵前処理工程)
本工程では、酵素分解液に、所定量のグルタミン酸Na及び酢を添加して処理原液を得る。グルタミン酸Naは、GABAの原料として添加され、酢(酢酸、食用酢)は、酵素分解液のpHを下げる(約5弱まで下げる)ために添加される。
グルタミン酸Naは、酵素分解液に対し、添加量が0.2〜1.0重量%となるように添加するのが好ましい。酵素分解液に対するグルタミン酸Naの添加量が約0.5重量%の時に、GABAの生成効率のピークが認められるからである(詳細は後述の「グルタミン酸Naの添加量」参照)。
また、酢は、酢酸として、酵素分解液に対し、添加量が0.05〜0.6重量%となるように添加するのが好ましい。酵素分解液に対する酢の添加量が約0.1〜0.3重量%の時に、GABAの生成効率のピークが認められるからである(詳細は後述の「酢の添加量」参照)。
従って、本工程では、最適条件として、0.5重量%のグルタミン酸Naと、0.14重量%の酢酸とを、酵素分解液に添加して混合している。
なお、次に行われる発酵工程を円滑に行うために、発酵工程に先だって、処理原液は殺菌処理するのが好ましい。例えば、処理原液を70℃以上に加熱して、20分以上保持すればよい。そうすることで、余計な細菌や酵母等の増殖を防止することができる。
(発酵工程)
本工程では、処理原液にラクトバチルス・ブレビスを接種して発酵させる。ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)は、植物由来の乳酸菌の一種であり、発酵食品等によく利用されている。ラクトバチルス・ブレビスは、様々な特性を有する菌株が多数発見されており、例えば、バイオリソースセンターの微生物材料開発室(JCM)を通じて異なる菌株のラクトバチルス・ブレビスを入手することができる。
本工程では、その中でも、1059T株と1170株とが好適に使用でき、1059T株が特に好ましい。これら菌株を用いることで、GABAを高濃度で生成することができる(詳細は後述の「ラクトバチルス・ブレビスの菌株」参照)。
また、ここでいう発酵とは、細菌が代謝することによって有機物を分解することを意味する(広義)。すなわち、処理原液は、ラクトバチルス・ブレビスにとって至適な環境とはいえず、処理原液に接種されたラクトバチルス・ブレビスは、生存して代謝は行うものの、ほとんど増殖しない。
図4に、処理原液に、異なる生菌数(約10cfu/g及び約10cfu/g)のラクトバチルス・ブレビス(1059T株)を接種し、25℃で培養した時の生菌数の経時変化を示す。いずれの場合でも、生菌数の増加はほとんど認められず、添加時の生菌数を維持するか、僅かに減少する傾向にあり、少なくとも10日の培養期間では、オーダーレベルでの生菌数の変化はほとんど認められなかった。
詳細は示さないが、異なる菌株でも同様の傾向が認められ、接種時の生菌数が更に少ない場合でも同様の傾向が認められた。また、接種する生菌数が多いほど、GABAの生成量も多くなる傾向も認められた。
従って、本工程では、処理原液を効率よく発酵させるために、ラクトバチルス・ブレビスを高濃度で接種する。具体的には、処理原液に対し、生菌数が10cfu/g以上となるように、ラクトバチルス・ブレビスを接種する。GABAの生成効率の観点からは、接種する生菌数は多い方が好ましいが、1011cfu/gのオーダーが、ラクトバチルス・ブレビスのほぼ増殖上限であり、菌数が多いとそれだけ製造コストの増加を招くことから、接種菌数としては、10〜10cfu/g程度が好ましい。
発酵温度は、通常、高い方が短期間での処理が可能になるため、効率の観点からは好ましいが、本工程では、高い温度で発酵させると、GABAの生成効率の低下が認められた(詳細は後述の「発酵温度」参照)。そのため、発酵温度は、略25℃(例えば、25℃±5℃)が好ましく、本実施形態では、25℃の発酵温度で、少なくとも3日、好ましくは6日間培養する条件を採用している。
<GABA含有組成物>
上述した発酵工程により、グルタミン酸Naに含まれるグルタミン酸がGABAに効率的に転換され、GABAを豊富に含むGABA含有液が、発酵液として得られる。GABA含有液は、食用可能であり、風味も良好で加工食品の素材として好適である。
(GABAの含有量)
図5に、本製造方法で製造したGABA含有液のグルタミン酸(Glu)及びGABAの各含量を測定した結果を示す(実施例)。比較例として、発酵を行わずに、その他は同じ条件の下(酵素分解液には酵素分解粗液を使用)で処理した未発酵液の測定結果も併せて示す。
比較例では、グルタミン酸が多く残存しており、GABAはほとんど生成されていないのに対し、実施例では、グルタミン酸はほとんど残存しておらず、GABAが高濃度(3000mg/L以上)で生成されていた。
(官能評価)
上述した実施例のGABA含有液及び比較例の未発酵液の各々の上澄み液に対し、同一の条件で、適量の蜂蜜やレモン果汁、水等を配合し、加熱してこれらを溶解した後、冷却することにより、実施例及び比較例の各シロップを作製した。
これら実施例及び比較例の各シロップを、20代〜50代の男女11名により、官能評価を行った。その結果、比較例のシロップでは、酸味が無く、強い甘味が感じられる傾向が認められたのに対し、実施例のシロップでは、乳酸由来の穏やかな酸味が有り、味が緩和されて上品な風味が感じられる傾向が認められ、風味に有意な差があることが確認された。
また、半数以上(55%)で実施例のシロップが好みとの評価が得られたことから、GABA含有液は、そのまま加工食品の素材として利用できることがわかった。
このように、本実施形態のGABA含有組成物の製造方法によれば、現在廃棄されているデーツ残渣を用いることにより、GABAを豊富に含み、そのまま食品素材としても利用できるGABA含有組成物を得ることができるようになる。
<酵素分解及び発酵の必要性>
本製造方法における酵素分解工程及び発酵工程の必要性について調べた。発酵は行って酵素分解は行わない条件、発酵及び酵素分解の双方を行う条件、及び発酵は行わず酵素分解は行う条件からなる3つの条件で、GABA含有組成物の製造試験を行った。そして、これら各条件で得られたGABA含有組成物について、GABAの含有量を測定した。
なお、比較する条件以外は、同一の最適条件の下で行い、GABA等の含有量の測定は、アミノ酸分析機(JLC-500/V2:日本電子株式会社製)や酵素法により行った(その他の試験でも同様)。
図6に、その結果を示す。発酵及び酵素分解の双方を行った条件でのみ、GABAの高濃度な生成が認められ、いずれか一方を欠いた条件では、GABAの生成は認められなかった。従って、第1の製法による、デーツ残渣を用いたGABAの高濃度生成には、酵素分解及び発酵の両工程が必須であることが確認された。なお、その後の研究により、酵素分解は、デーツ残渣を用いたGABAの高濃度生成にとって、必ずしも必須の処理ではなく、ある条件の下では省略できることが判明した(詳細は後述の「第2の製法」参照)。
<デーツピューレ及びデーツ残渣の適性>
デーツピューレ(主に果肉成分)とデーツ残渣(主に種子や果皮等の繊維成分)とで、GABAの高濃度生成に対する適性について調べた。
デーツピューレは、デーツ残渣よりも糖度(Brix)が高いため、その影響を考慮し、デーツピューレのみ、デーツピューレを2倍希釈したもの、デーツ残渣を2倍希釈したもの(加水割合が最適なデーツ残渣混合液)、デーツ残渣を2倍希釈したものに上白糖を添加してデーツピューレのBrixに合わせたもの、の計4つの試料について、GABA含有組成物の製造試験を行い、GABAの生成量の比較を行った。
図7に、その結果を示す。デーツ残渣を2倍希釈した試料が、GABAの生成量が最も高く、デーツピューレのみの試料のGABAの生成量はその半分程度であり、デーツピューレを2倍希釈した試料のGABAの生成量は、更にその半分以下であった。この結果から、デーツピューレはGABAの生成には適しておらず、デーツ残渣がGABAの生成に適していることが確認された。
従って、この製造方法によれば、現在利用されているデーツピューレでなく、現在廃棄されているデーツ残渣が好適であることから、デーツを無駄なく利用できるようになる。また、デーツ残渣を2倍希釈した試料であっても、糖度を高めるとGABAの生成効率が低下することが確認された。従って、余計な糖分はGABAの生成効率の低下を招くため、他の糖分は添加しないのが好ましい。
<デーツ残渣の加水割合>
デーツ残渣への加水割合によるGABAの生成効率への影響について調べた。
試験では、デーツ残渣への加水量を変えた計4つの試料(デーツ残渣1に対し、1,3,5,7の各重量割合で加水)について、GABA含有組成物の製造試験を行い、GABAの生成量の比較を行った。
図8に、その結果を示す。GABAの基材であるグルタミン酸の残量は、加水量が少ない方が少なく、GABAの生成量は、加水量が少ない方が多い傾向が認められた。従って、この結果から、GABAの生成効率の観点からは、加水量が多くなるほど、GABAの生成効率が低下する傾向があるため、加水量は、相対的に少ない方が好ましいことが確認された。
<分解酵素の種類・添加量>
分解酵素の種類の影響について調べた。試験では、分解酵素として、セルラーゼ及びペクチナーゼの各々を使用し、その添加比率を変えて、GABA含有組成物の製造試験を行った。具体的には、セルラーゼ及びペクチナーゼの各々を0.2重量%ずつ添加、ペクチナーゼのみを0.4重量%添加、セルラーゼのみを0.4重量%添加からなる、3つの異なる添加比率で比較した。
図9Aに、その結果を示す。いずれの添加比率でも、GABAの生成が認められた。従って、いずれの分解酵素を用いてもGABAの生成が行えることが確認された。ただし、分解適応性の観点からは、いずれか一方のみを添加するよりも、両者を添加するのが好ましい。
また、デーツ残渣混合液に対する分解酵素の添加量の影響について調べた。試験では、分解酵素として、セルラーゼ及びペクチナーゼの各々を同量使用し、その総酵素量を変えて、GABA含有組成物の製造試験を行った。
図9Bに、その結果を示す。総酵素量が0.6重量%より少ないと、添加量の減少とともにGABAの生成効率が次第に低下する傾向があり、1.0重量%を超えると、添加量が増えても、GABAの生成効率はほとんど変わらない傾向が認められた。
<グルタミン酸Naの添加量>
酵素分解液に対するグルタミン酸Naの添加量の影響について調べた。試験では、グルタミン酸Naの添加量を変えて、GABA含有組成物の製造試験を行った。
図10に、その結果を示す。酵素分解液に対するグルタミン酸Naの添加量が、約0.5重量%の時に、GABAの生成効率がピークに達し、その後、添加量が増加するに従って次第にGABAの生成効率が低下し、3重量%を超えると、横這いになる傾向が認められた。
<酢の添加量>
酵素分解液に対する酢の添加量の影響について調べた。試験では、酢の添加量を変えて、GABA含有組成物の製造試験を行った。
図11Aに、その結果を示す。酵素分解液に対する酢の添加量(酢酸として)が、約0.1〜0.5重量%の時に、GABAの生成効率がピークに達し、その後、添加量が増加するに従って次第にGABAの生成効率が低下する傾向が認められた。
酢の添加量に応じてpHは変化する。酢の添加によるpH(添加時のpH、初期pH)の変化とGABAの生成効率との関係を図11Bに示す。pH4.3辺りにGABAの生成効率のピークが認められたことから、酢の添加による初期pHとしては、4.1〜4.7の範囲が好適である。
<ラクトバチルス・ブレビスの菌株>
ラクトバチルス・ブレビスには、様々な菌株が発見されており、各菌株で特性が異なる。そこで、バイオリソースセンターの微生物材料開発室(JCM)を通じて、ラクトバチルス・ブレビスの異なる4つの菌株(1061株、1170株、1559株、1059T株)を入手し、これら菌株の各々について、GABAの生成効率について比較した。
試験では、接種する菌株を変えて、GABA含有組成物の製造試験を行った。なお、ラクトバチルス・ブレビスを接種しない条件での製造試験を比較対象(control)として行った。
図12に、その結果を示す。1061株及び1559株では、ほとんどGABAの生成が認められなかったのに対し、1170株及び1059T株では、GABAの生成が認められた。特に、1059T株は、1170株の2倍近くのGABAの生成量が得られたことから、本製造方法に好適であることが確認された。
なお、1061株及び1559株においても、1170株及び1059T株と同様に、接種時の生菌数が発酵後も維持されていたことから、GABAの生成量の違いは、これら菌株の特性によるものと思われる。
<発酵温度>
発酵温度によるGABAの生成効率への影響について調べた。試験では、一般的な乳酸菌の至適温度域に相当する、25℃、30℃、37℃の各発酵温度で、GABA含有組成物の製造試験を行った。
図13に、その結果を示す。25℃〜37℃の範囲では、発酵温度が高くなるほど、GABAの生成量が減少する傾向が認められた。
<グルタミン酸、グルタミン酸Na>
GABAの原料として添加するのは、グルタミン酸Naに限らない。グルタミン酸を含むものであればよい。
図14に、グルタミン酸Naに代えて、同量のグルタミン酸を用いて製造試験を行った結果を示す。図14は、これらによって製造されたGABA含有液のグルタミン酸(Glu)及びGABAの各含量を測定した結果を示している。GABAは、グルタミン酸を用いた場合でも生成され、グルタミン酸Naを用いた場合と同等以上の生成効率が認められた。なお、Naが無い分、グルタミン酸の添加量は増えているため、その影響により、グルタミン酸の方がグルタミン酸Naに比べて若干高いGABAの生成効率が認められたものと思われる。
−GABA含有組成物の製造方法(第2の製法)−
本発明者らは、デーツ残渣の有効利用方法について、更に検討を試みた結果、特定の原料を追加することで、第1の製法を簡略化しても、GABAを豊富に含むGABA含有組成物が得られることを見出した。
本製造方法によっても、グルタミン酸NaがGABAに効率的に転換され、GABAを豊富に含むGABA含有液が、結果物として得られる。第2の製法によれば、製造工程を簡略化できるので、第1の製法に比べて、短時間かつ低コストでGABA含有液が製造できる。
図15に、第2の製法の主な工程を示す。原料は、第1の製法と同じく、上述したデーツ残渣である。この製造工程は、上述した第1の製法から酵素分解工程が省略されており、加水工程、発酵前処理工程、発酵工程などで構成されている。酵素分解工程が省略されたことに伴い、その前処理として、加水工程で好適に行われる粉砕処理(摩砕処理)も、第2の製法では省略可能である。
第2の製法の製造工程では、発酵前処理工程において、グルタミン酸Na、酢とともに、酵母エキスが追加される点で、第1の製法と異なる。それ以外、加水工程、発酵前処理工程、及び発酵工程の具体的な処理の内容は、上述した第1の製法と同じである。従って、ここでは、第1の製法と同じ内容については簡単に説明し、第1の製法と異なる内容について詳しく説明する。
(加水工程)
本工程では、デーツの残渣に所定量の水を加え、混合する。そうすることにより、デーツ残渣混合液を得る。酵素分解は行わないので、粉砕処理は省略できる。加水量は、重量比で、デーツ残渣量:水量=略1:1(例えば1:0.5〜1.5)となるように調製するのが好ましい。
(発酵前処理工程)
本工程では、デーツ残渣混合液に、所定量のグルタミン酸Na、酢、及び酵母エキスを添加して処理原液を得る。グルタミン酸Naは、デーツ残渣混合液に対し、添加量が1.0〜5.0重量%となるように添加するのが好ましい。酢は、酢酸として、デーツ残渣混合液に対し、添加量が0.05〜0.6重量%となるように添加するのが好ましい。
第2の製法は、後述するように、第1の製法よりもGABAの生成効率が高いため、グルタミン酸Naは、その分、多量に消費される。従って、第2の製法では、第1の製法よりもグルタミン酸Naの添加量を多くするのが好ましい。一方、グルタミン酸Naの添加量が増えると、pHが上昇する。初期pHは、上述したように4.1〜4.7の範囲が好適であるため(図11B参照)、初期pHが適切な値となるように、酢も、それに応じて添加量を増やすのが好ましい。
酵母エキスは、好ましくは特定の品種を用い、デーツ残渣混合液に対し、添加量が0.2〜2.0重量%となるように添加するのが好ましい。ただし、酵母エキスは、添加量が多いと風味に影響が及ぶので、少量が好ましい。従って、0.05〜2.0重量%の範囲で酵母エキスを添加するのが、より好ましい。(詳細は後述の「デーツ残渣と酵母エキスの組み合わせ効果」及び「酵母エキスの品種」参照)。なお、発酵工程に先だって、処理原液は殺菌処理するのが好ましい。
(発酵工程)
第1の処理と同じく、処理原液にラクトバチルス・ブレビスを接種して発酵させる。その中でも、1059T株と1170株とが好適に使用でき、1059T株が特に好ましい。処理原液を効率よく発酵させるために、処理原液に対し、生菌数が10cfu/g以上となるように、ラクトバチルス・ブレビスを接種する。接種菌数としては、10〜10cfu/g程度が好ましい。発酵温度は、略25℃(例えば、25℃±5℃)が好ましく、少なくとも3日、好ましくは6日間培養する。
<GABA含有組成物>
上述した発酵工程により、グルタミン酸Naに含まれるグルタミン酸がGABAに効率的に転換され、GABAを豊富に含むGABA含有液が、発酵液として得られる。GABA含有液は、食用可能であり、風味も良好で加工食品の素材として好適である。ただし、デーツ残渣混合液の粉砕処理を行わない場合、そのまま食用すると、良好な食感が得られない。従って、その場合、濾過処理などを行うことにより、GABA含有液から固形分を除去するのが好ましい。
<酵母エキスの種類>
酵母エキスは、一般に、酵母から抽出されるエキス成分のことをいう。酵母エキスは、アミノ酸やミネラル等、栄養成分を豊富に含むため、加工食品の調味料や培養培地の原料等に広く利用されている。従って、酵母エキスには様々な品種があり、その製造方法、原料、含有成分等もその品種ごとに異なる。
そこで、第2の製法の製造試験において、酵母エキスの品種によるGABAの生成効率への影響について調べた。その比較試験は、上述した製造工程に従って行った。その主な条件は次の通りである。
比較試験では、市販されている酵母エキス5種を用い、これら品種の各々について、GABAの生成効率について比較した。なお、比較対象(control)として、酵母エキスを添加しない条件でも行った。
発酵前処理工程では、デーツ残渣混合液(重量比で、デーツ残渣量:水量=略1:1)に、比較対象を除き、各酵母エキスを0.4重量%添加し、サンプルとした。比較対象及び各サンプルには、グルタミン酸Naを1.5重量%添加し、酢酸を0.29重量%添加した。比較対象及び各サンプルを、70℃で20分加熱殺菌した後、ラクトバチルス・ブレビス(1059T株)を接種して25℃で6日間培養し、発酵させた。その後、得られた各発酵液を用いて、GABAの含有量を測定した。
図16に、その測定結果を示す。図中のa〜eが、試験に用いた5品種の酵母エキスに相当する。酵母エキスが無添加の比較対象に比べ、酵母エキスを添加した場合には、GABAの高い生成が認められた。従って、酵母エキスの添加により、酵素処理を行わなくても、GABA含有組成物は製造できる。
また、酵母エキスの品種により、GABAの生成効率に差が認められ、生成効率の低い酵母エキス(a,b)と、生成効率の高い酵母エキス(c,d,e)とが認められた。生成効率の高い酵母エキス(c,d,e)では、高濃度(3000mg/L以上)でGABAが生成されており、第1の製法よりも更に高濃度(6000mg/L以上)でGABAが生成されていた。
なお、酵母エキスの具体的な品種名を挙げると、酵母エキスaは、酵母エキス アロマイルド(株式会社興人製)であり、酵母エキスbは、醇味F−950 (オリエンタル酵母工業株式会社製)であり、酵母エキスcは、SK酵母エキスHUAP(T)(日本製紙株式会社製)であり、酵母エキスdは、酵母エキスCF−V(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)であり、酵母エキスeは、醇味T−154(オリエンタル酵母工業株式会社製)である。
従って、酵母エキスの中でも、特定の酵母エキスを用いることにより、極めて高い生成効率(6000mg/L以上)でGABAの生成が可能になる。このような特定の酵母エキスは、含有するペプチド、アミノ酸、核酸、ミネラル、ビタミン、糖、残存酵素などの種類や量に特徴があるか、使用する酵母の品種、抽出方法、分解(消化)方法、pHなどに特徴があると考える。
<デーツ残渣と酵母エキスの組み合わせ効果>
第2の製法においても、デーツ残渣が必須かつ有効であることを検証するため、デーツ残渣と酵母エキスとの組み合わせによる、GABAの生成効率への影響について調べた。その検証試験では、デーツ残渣混合液の代わりに水のみを使用し、そして、酵母エキスには、GABAの生成効率が高かった品種eを使用した。検証試験では、上述した第2の製法の製造工程に従って、発酵液を作製し、そのGABAの含有量を測定した。ただし、酵母エキスは、デーツ残渣を含まないことを考慮して増量し、1重量%添加した。
図17に、その測定結果(酵母エキスのみ)を示す。図17では、比較のため、上述した品種eを使用した同じ条件での測定結果(酵母エキス+デーツ残渣)も併せて示してある。図17から明らかなように、酵母エキスを添加するだけでは、GABAの高い生成効率は得られず、GABAの高い生成効率を実現するためには、酵母エキスと共に、デーツ残渣が必要である。
なお、本発明にかかるGABA含有組成物の製造方法は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成も包含する。
GABA含有液は、GABA含有組成物の一例であり、その形態は用途に応じて適宜選択できる。例えば、GABA含有液を乾燥して、粉体や固体状に加工してもよいし、濃縮したり分離したり追加工してもよい。
第1の製法と第2の製法の各処理は、必要に応じて取捨選択して組み合わせてもよい。例えば、第1の製法の前処理工程で酵母エキスを添加してもよいし、第2の製法の加水工程で粉砕処理を行ってもよい。
上述した1059T株等の菌株は、遺伝子レベルで見たとき、微生物材料開発室(JCM)で提供されている菌株そのものに限らない。これら菌株と比べて遺伝子配列が多少異なる菌株(変異株)も含む。要は、GABAの高い生成効率が得られればよい。

Claims (10)

  1. GABA含有組成物の製造方法であって、
    デーツの残渣に加水する加水工程と、
    グルタミン酸及び酢を添加して処理原液を得る前処理工程と、
    前記処理原液にラクトバチルス・ブレビスを接種して発酵させる発酵工程と、
    を含む、GABA含有組成物の製造方法。
  2. 請求項1に記載のGABA含有組成物の製造方法において、
    前記処理原液に対し、生菌数が10cfu/g以上となるように、前記ラクトバチルス・ブレビスを接種するGABA含有組成物の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のGABA含有組成物の製造方法において、
    前記ラクトバチルス・ブレビスに、1059T株及び1170株の少なくともいずれか一方の菌株を用いるGABA含有組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のGABA含有組成物の製造方法において、
    セルラーゼ及びペクチナーゼの少なくともいずれか一方の分解酵素を用いて、加水したデーツ残渣の混合液であるデーツ残渣混合液を、酵素分解することにより、酵素分解液を得る酵素分解工程、を更に含む、GABA含有組成物の製造方法。
  5. 請求項4に記載のGABA含有組成物の製造方法において、
    前記デーツ残渣混合液に対し、添加量が0.6〜1.0重量%となるように、前記分解酵素を添加するGABA含有組成物の製造方法。
  6. 請求項4又は請求項5に記載のGABA含有組成物の製造方法において、
    前記酵素分解工程が、前記デーツ残渣混合液を酵素分解した後に、固相と液相とに分画する処理を含み、当該液相のみを前記酵素分解液に用いるGABA含有組成物の製造方法。
  7. 請求項4〜請求項6のいずれか1つに記載のGABA含有組成物の製造方法において、
    前記酵素分解液に対し、添加量が0.2〜1.0重量%となるように、グルタミン酸Naを添加するGABA含有組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のGABA含有組成物の製造方法において、
    前記前処理工程で、グルタミン酸及び酢とともに酵母エキスを添加する、GABA含有組成物の製造方法。
  9. 請求項8に記載のGABA含有組成物の製造方法において、
    前記酵母エキスに、少なくとも3000mg/L以上の濃度でGABAの生成が可能な特定の酵母エキスが用いられる、GABA含有組成物の製造方法。
  10. GABAを含む食品であって、
    請求項1〜9のいずれか1つに記載された製造方法によって製造されたGABA含有組成物を含む食品。
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