JP2006147756A - 高周波トランジスタの設計方法、および、マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタ - Google Patents

高周波トランジスタの設計方法、および、マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】高周波半導体回路のトランジスタユニットの各電極引き出しノードまでの配線およびコンタクトを最適化する。
【解決手段】配線およびコンタクトの構成に応じて変化する等価回路パラメータのうち、ゲート配線、ソース配線およびドレイン配線の各配線間の結合容量、ならびに、各配線と半導体基板と間の結合容量について、高周波トランジスタの高周波特性に対する感度を測定する(ステップST21)。この感度に基づいて、ゲート配線、ソース配線およびドレイン配線の階層レベルを各々決定する(ステップST22)。そして、決定した各階層レベルにおけるゲート配線、ソース配線およびドレイン配線のパターンと、各配線間あるいは配線とトランジスタ部とを接続するコンタクトの配置と大きさとを設計する(ステップST23)。
【選択図】図17

Description

本発明は、高周波半導体回路のトランジスタユニットの各電極引き出しノードまでの配線およびコンタクトを最適化するための高周波トランジスタの設計方法と、マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタとに関する。
近年、微細CMOS技術においては、電流利得遮断周波数ftが100GHzを超える特性が得られるようになってきている。このため、たとえばワイヤレスLANやBlue−tooth等の高周波通信に、従来の3−5属半導体(GaAs、InP)を用いたMESFETやバイポーラトランジスタに代わり、CMOSトランジスタが使われ始めてきている。
CMOSトランジスタは、その低コストに加え、高い電流利得遮断周波数ftや最大発振周波数fmaxによる周波数特性の改善が進んでいる。また、CMOSトランジスタ回路は、デジタル回路の高集積化が容易で、これとアナログ回路の共存ができ、さらにSOC(System On a Chip)技術が生かせるなどの数々の利点がある。これらの理由から、比較的低い周波数の高周波回路にCMOSトランジスタが採用され、さらに高い周波数を扱う回路での、その使用が検討されている。
移動体通信用の高周波回路のデザインにおいては、消費電力やノイズのスペックが厳しく、高精度の特性予測に基づく回路設計技術が望まれている。したがって、高周波CMOS半導体回路の実用化には、高周波でのトランジスタ特性の高精度な予測がキーファクターとなっている。
このような高周波トランジスタの分野において、高い電流駆動能力と、高い高周波特性(上記電流利得遮断周波数ft等やノイズ特性)を確保するために、フィンガーゲートを有する高周波トランジスタが用いられている。
「フィンガーゲート」とは、実効的なゲート部として機能するゲートフィンガー部を、たとえば数十本から百数十本ほど並列かつ略平行に配置し、それらを一方または双方の終端側で連結した平面パターンを有するゲート電極のことである。ゲートフィンガー部を片側で連結したものを、いわゆる櫛形ゲートということがある。
フィンガーゲートを有する高周波トランジスタにおいて、ゲートフィンガー部間の半導体基板部分にソース領域とドレイン領域を交互に配置し、ソース領域同士、ドレイン不純物同士を、それぞれ固有の上層配線により電気的に接続し、ソース配線、ドレイン配線としてトランジスタユニットの外側に引き出す必要がある。また、ゲート電極も上層の配線によりトランジスタユニットの外側に引き出す必要がある。なお、「トランジスタユニット」は、トランジスタ部のほかに、ゲート配線、ドレイン配線およびソース配線、それらのコンタクトを含めたものの総称である。
高周波半導体回路のトランジスタユニットの設計においては、レイアウトにより高周波特性が左右される。ここでレイアウトとしては、トランジスタ部のレイアウトと、配線およびコンタクトを含むトランジスタ部より上層かつ広範囲の部分(以下、配線部という)のレイアウトがある。
とくにフィンガーゲートを有する高周波トランジスタにおいては、複雑なゲート電極形状に起因して、ゲート配線、ドレイン配線およびソース配線を引き出す配線部の構成によって高周波特性が大きく影響されやすい。しかし、いままでのフィンガーゲートを有する高周波トランジスタの設計においては、どのような点に注目して配線部の設計を行ってよいかの指針がなく、したがって最適な高周波特性を得るための設計方法に関する提案もほとんどないのが実情である。
このため、とくにレイアウト変更に際して多大な労力を費やし、このことが高周波トランジスタの設計を困難なものとしている。
本発明の課題は、ソース、ドレインあるいはゲートの配線やコンタクトといった配線部のレイアウトを変更する際に、容易かつ有効に高周波特性の維持あるいは改善が可能な手法を含む高周波トランジスタの設計方法と、高い高周波特性を得ることが可能な構成のフィンガーゲートを有する高周波トランジスタとを提供することにある。
本発明に係る高周波トランジスタの設計方法は、半導体基板に形成されているソース領域およびドレイン領域ならびにゲート電極を有するトランジスタ部と、前記ソース領域に接続されているソース配線と、前記ドレイン領域に接続されているドレイン配線と、前記ゲート電極に接続されているゲート配線とを有する高周波トランジスタに対し、前記ソース領域およびドレイン領域ならびに前記ゲート電極の各電圧供給ノードから高周波半導体回路のトランジスタユニットの各電極引き出しノードまでの配線およびコンタクトを最適化するための高周波トランジスタの設計方法であって、前記配線およびコンタクトの構成に応じて変化する等価回路パラメータのうち、前記ゲート配線、前記ソース配線および前記ドレイン配線の各配線間の結合容量、ならびに、各配線と半導体基板と間の結合容量について、前記高周波トランジスタの高周波特性に対する感度を測定する感度測定ステップと、前記感度に基づいて、前記ゲート配線、前記ソース配線およびドレイン配線の階層レベルを各々決定するレベル決定ステップと、決定した各階層レベルにおける前記ゲート配線、前記ソース配線およびドレイン配線のパターンと、各配線間あるいは配線と前記トランジスタ部とを接続するコンタクトの配置と大きさとを設計する配線部設計ステップとを含む。
本発明の前記レベル決定ステップにおける前記決定の結果、前記ドレイン配線が前記ゲート配線より上層の場合、前記配線部設計ステップにおいて、前記ドレイン配線を前記ドレイン領域に接続するドレインコンタクトの寸法、および、前記ドレインコンタクトと前記ゲート配線との距離に、半導体製造プロセスの最小寸法を適用することが望ましい。
あるいは、前記感度測定ステップにおける前記測定の結果、前記ドレイン配線と前記半導体基板との結合容量を小さくすべきときに、前記レベル決定ステップにおいて、前記ドレイン配線が前記ゲート配線よりも上層となるように各配線の階層レベルを各々決定することが望ましい。
あるいは、前記感度測定ステップにおける前記測定の結果、前記ドレイン配線と前記ソース配線との結合容量を小さくすべきときに、前記レベル決定ステップにおいて、前記ソース配線と前記ドレイン配線が異なる階層となるように各配線の階層レベルを各々決定することが望ましい。
また、本発明において、好適に、前記トランジスタ部を設計するトランジスタ設計ステップをさらに含み、前記感度測定のステップに用いた前記ドレイン配線と半導体基板との結合容量値の下では、前記結合容量と半導体基板の抵抗との直列回路において消費電力が最大値をとる場合、当該最大値から消費電力が小さくなるように半導体基板の抵抗値の修正値、前記ドレイン配線と半導体基板との結合容量の修正値の少なくとも一方を求め、求めた修正値を前記トランジスタ設計ステップ、前記感度測定ステップ、前記接続部設計ステップの少なくとも一つに反映させる。
本発明の前記感度測定ステップにおいて、高周波特性のシミュレーション時に前記高周波トランジスタをコンピュータ上で表現するための高周波トランジスタモデルとして、高周波トランジスタの内在的(intrinsic)トランジスタ部と、前記内在的トランジスタ部に接続され、前記トランジスタユニットの電極、配線およびコンタクトのレイアウトの変更に応じて変化するレイアウトパラメータを含む寄生的回路と、を有する高周波トランジスタモデルを用い、前記レイアウトパラメータを各種変更して行うシミュレーションの結果から当該レイアウトパラメータの前記高周波特性に対する感度を測定することが望ましい。
このとき、前記内在的トランジスタ部に接続され、前記高周波トランジスタのチャネル内走行キャリアの時間遅れを示す非準静的パラメータを含む在外的(extrinsic)回路をさらに含むようにするとよい。
そして、前記寄生的回路は、半導体基板と前記ソース配線との結合容量、半導体基板と前記ドレイン配線との結合容量、各結合容量から半導体基板の基準電位までの基板内抵抗と基板内容量、前記ゲート配線と前記ドレイン配線の結合容量、および、前記ゲート配線と前記ソース配線との結合容量を含むことが望ましい。
また、前記内在的トランジスタ部のパラメータであるゲート・ドレイン容量とゲート・ソース容量がバイアス依存性を有することが望ましい。
以上の高周波トランジスタの設計方法において、高周波特性に大きく影響を与え、かつ変更が容易なパラメータとして、ドレイン配線と他の部分(半導体基板、ソース配線またはゲート配線)との結合容量に着目している。そして、それらの結合容量の高周波特性に与える影響を見積もり、その結果に基づいて、配線の階層レベルを適正化する。
この各結合容量の高周波特性に与える影響を見積もる際に、通常、シミュレーションを行うが、本発明において、より望ましい方法として、そのシミュレーションにレイアウトパラメータを含む高周波トランジスタモデルを用いる。その場合、配線の階層レベル変更などの結果が高周波特性にどのように影響するかが、レイアウトパラメータの変更とシミュレーションで見積られる。
本発明に係る第1のマルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタは、半導体基板に形成されているソース領域およびドレイン領域、ならびに、マルチフィンガーを持つゲート電極を有するトランジスタ部と、前記ソース領域に接続されているソース配線と、前記ドレイン領域に接続されているドレイン配線と、前記ゲート電極に接続されているゲート配線とを有する高周波トランジスタであって、前記ドレイン配線と半導体基板との結合容量を小さくするために、前記ドレイン配線を前記ゲート配線より上層に配置し、前記ドレイン配線を前記ドレイン領域に接続するドレインコンタクトの寸法、および、前記ドレインコンタクトと前記ゲート配線との距離に、半導体製造プロセスの最小寸法を適用している。
本発明に係る第2のマルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタは、半導体基板に形成されているソース領域およびドレイン領域、ならびに、マルチフィンガーを持つゲート電極を有するトランジスタ部と、前記ソース領域に接続されているソース配線と、前記ドレイン領域に接続されているドレイン配線と、前記ゲート電極に接続されているゲート配線とを有する高周波トランジスタであって、前記ドレイン配線と前記ゲート配線との結合容量を小さくするために、前記ドレイン配線が前記ゲート配線よりも上層に配置されている。
本発明に係る第3のマルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタは、半導体基板に形成されているソース領域およびドレイン領域、ならびに、マルチフィンガーを持つゲート電極を有するトランジスタ部と、前記ソース領域に接続されているソース配線と、前記ドレイン領域に接続されているドレイン配線と、前記ゲート電極に接続されているゲート配線とを有する高周波トランジスタであって、
前記ドレイン配線と前記ソース配線との結合容量を小さくするために、前記ソース配線と前記ドレイン配線が異なる階層に配置されている。
本発明に係る第4のマルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタは、半導体基板に形成されているソース領域およびドレイン領域、ならびに、マルチフィンガーを持つゲート電極を有するトランジスタ部と、前記ソース領域に接続されているソース配線と、前記ドレイン領域に接続されているドレイン配線と、前記ゲート電極に接続されているゲート配線とを有する高周波トランジスタであって、前記ゲート配線、前記ドレイン配線または前記ソース配線と前記半導体基板との結合容量値の下では、当該結合容量と半導体基板の抵抗との直列回路において消費電力が最大値をとる場合、当該最大値から消費電力が小さくなるように半導体基板の抵抗値、各配線と半導体基板と間の結合容量値の少なくとも一方が決められている。
本発明に係る高周波トランジスタの設計方法およびマルチフィンガーを有する高周波トランジスタによれば、ソース、ドレインあるいはゲートの配線やコンタクトといった配線部のレイアウトを変更する際に、容易かつ有効に高周波特性の維持あるいは改善が可能な手法を含む高周波トランジスタの設計方法と、高い高周波特性を得ることが可能な構成のフィンガーゲートを有する高周波トランジスタとを提供することが可能となる。
本発明に係る高周波トランジスタの設計方法は、高周波トランジスタがマルチフィンガーゲートを有するか否かに限らず適用可能である。ただし、マルチフィンガーゲートを有する場合、ゲート電極形状が複雑で配線が互いに交差しやすいという理由から、配線間あるいは配線と半導体基板との結合容量が、通常のゲート電極(単一フィンガーの場合)より増大しやすい。とくに、レイアウトを縮小し、あるいはフィンガー数を変更する場合に、それらの結合容量の増減が高周波特性にどのように影響するかが見積もりにくいため、このことが設計を困難なものとしている。したがって、マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタを設計する場合に、本発明を適用することが望ましい。
また、結合容量の高周波特性への影響を見積もる際に、通常はシミュレーションを行うが、いままでのMOSトランジスタモデルにおいてレイアウトに依存して変化するレイアウトパラメータと、そうでない他のパラメータの分離がなされていないことから、とくに配線部のレイアウト変更に対応したものとなっていない。
このため、マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタの設計において、本発明者が新たに提案したレイアウトパラメータを備える高周波トランジスタモデルを当該シミュレーション時に用いることが、その高周波特性の予測精度を上げ設計を容易化する意味で最も望ましい。
以下、この最も望ましい場合を例として、本発明の実施の形態を述べる。ここでの説明の順番としては、まず、レイアウトスケーラブルな高周波トランジスタモデルの構成を述べ、次に、そのモデルの作成方法およびレイアウト変更時のモデルの再作成方法を述べる。さらに、パラメータの最適化方法を述べた上で、最後に、これらを前提として、本発明のより直接的な実施の形態部分である、フィンガーゲートを有する高周波トランジスタの構成とその設計方法について述べる。
<高周波トランジスタモデルの構成例>
図1は、ソース端子とバックバイアス端子とを相互接続した場合を例として高周波トランジスタモデルを示す図である。なお、ソース端子とバックバイアス端子とを接続しなくてもよく、その場合、図1に示すソース端子Sとバックバイアス端子Bを直接接続している線を省略する。
この図示例のトランジスタモデルは、内在的(intrinsic)トランジスタ部Miと、外在的(extrinsic)回路と、寄生的(parasitic)回路とから構成されている。
内在的トランジスタ部Miはコンパクトモデル、たとえば米国カリフォルニア大学バークレー校で開発された「BSIM3ver3(Berkeley Short Channel IGFET Model3 version3)」および「BSIM4」、フィリップス半導体社が提供する「MOS model9(商標名)」、スイス国EPFL(Electronics Laboratories, Swiss Federal Institute of Technology)が開発した「EKV」などにより提供されるトランジスタのアクティブ動作部分のモデルである。
あるいは、内在的トランジスタ部Miを、たとえば相互コンダクタンスgm、ドレインコンダクタンスgds、内在的ゲート・ドレイン容量Cgd_int、内在的ゲート・ソース容量Cgs_int、内在的ゲート・基板容量Cgb_intなどのパラメータ値を有する等価回路モデルに置き換えることもできる。
内在的トランジスタ部Miは、ゲート接点(以下、内在的ゲートノードという)gi、ドレイン接点(以下、内在的ドレインノードという)di、ソース接点(以下、内在的ソースノードという)si、および、バックバイアス接点(以下、内在的バックバイアスノード)という4つの内部接点を有する。
図1において破線で囲んだ部分のうち、内在的トランジスタ部Miを除く部分が外在的回路を示す。
外在的回路は、内在的トランジスタ部Miの内在的ゲートノードgi、内在的ドレインノードdi、内在的ソースノードsi、および、内在的バックバイアスノードbiに接続され、本来的にトランジスタに含まれる受動寄生素子のネットワークを形成している。より詳細に外在的回路は、高周波トランジスタの基板回路を構成する受動寄生素子と、非準静的(Non-quasi static)効果(NQS効果)を表す受動寄生素子とを含む。
外在的回路は、基板回路の受動寄生素子として、ドレイン・基板接合容量Cj_db(ダイオードDdの容量)、ソース・基板接合容量Cj_sb(ダイオードDsの容量)、ならびに、内在的バックバイアスノードbiとバックバイアス端子Bとの間に接続されている4つの基板抵抗、すなわちドレイン基板抵抗Rsub1、ソース・ドレイン基板抵抗Rsub2およびRsub3ならびにソース基板抵抗Rsub4を含んでいる。以下、これら4つの抵抗を単に「基板抵抗」という。基板容量Csub1,Csub2,Csub3およびCsub4が、図1に示すように4つの基板抵抗Rsub1〜Rsub4のうち対応する基板抵抗と並列に接続されている。
また外在的回路は、ソース抵抗Rs、ドレイン抵抗Rd、ゲートとソースのオーバーラップ結合容量Cgs_ovおよびゲートとドレインのオーバーラップ結合容量Cgd_ovを含んでいる。
さらに外在的回路は、NQS効果を表す受動寄生素子としてNQSゲート抵抗Rg_NQSを含んでいる。
寄生的回路は、本実施の形態で新たに付加した回路であり、外在的回路よりさらに外側、すなわち高周波半導体回路のトランジスタユニット内において、高周波トランジスタの電極および配線構造ならびにコンタクトを受動寄生素子により近似表現した等価回路モデルである。
寄生的回路は図1においては、破線により囲まれている部分以外の部分により示されている。
具体的に、寄生的回路に含まれる受動素子としては、図1に示すように、前記内在的ゲートノードgiと当該トランジスタユニットのゲート引き出し端子G0との間に前記NQSゲート抵抗Rg_NQSとともに直列に接続されているゲート抵抗Rg0とゲート配線のインダクタンス成分Lg_layout、前記内在的ソースノードsiと当該トランジスタユニットのソース引き出し端子S0との間に前記ソース抵抗Rsとともに直列に接続されているソース配線抵抗のレイアウト成分Rs_layoutとソース配線のインダクタンス成分Ls_layout、および、前記内在的ドレインノードdiと当該トランジスタユニットのドレイン引き出し端子D0との間に前記ドレイン抵抗Rdとともに直列に接続されているドレイン配線抵抗のレイアウト成分Rd_layoutとドレイン配線のインダクタンス成分Ld_layoutを含む。
また寄生的回路は、ゲート配線と基板基準電位との間に直列に接続されているゲート配線・基板結合容量Cc_gbとゲート結合基板抵抗Rsub_gb、ならびに、当該ゲート結合基板抵抗Rsub_gbと並列に接続されているゲート結合基板容量Csub_gbを含む。同様に寄生的回路は、ドレイン配線と基板基準電位との間に直列に接続されているドレイン配線・基板結合容量Cc_dbとドレイン結合基板抵抗Rsub_db、ならびに、当該ドレイン結合基板抵抗Rsub_dbと並列に接続されているドレイン結合基板容量Csub_dbを含む。さらに寄生的回路は、ゲート配線とドレイン配線との間のゲート・ドレイン配線結合容量Cc_gd、および、ゲート配線とソース配線との間のゲート・ソース配線結合容量Cc_gsを含む。
ここでゲート抵抗Rg0は、ゲート抵抗のレイアウト成分Rg_layoutと、スキンエフェクトなどによる電磁界効果成分Rg_emとの和となっている。
ここで、前述したNQS効果およびNQSゲート抵抗Rg_NQSについて少し説明を要するので、以下に記述する。
チャネル内走行キャリア、すなわちN型チャネルの場合は電子、P型チャネルの場合はホールの速度飽和が顕著に生じている現象が、前記非特許文献1の論文で報告されている。微細化に伴い、ゲート酸化膜が薄くなりゲート電圧の縦方向電界が十分強くなるために、キャリアの移動に速度飽和が現れ、高周波においてキャリアの移動の遅れ時間を無視することができない現象が生じる。この速度飽和に起因して起きるキャリア移動の遅れのことをNQS効果と称している。
図2に、高周波におけるゲート電極とチャネルの結合とチャネル抵抗を分布定数として示す。また図3に、内在的トランジスタ部Miを等価回路モデルとした場合の概略的な構成を示す。
図2に示すように、高周波領域においてはゲート電極とチャネルの結合容量(主に酸化膜容量Cox)とチャネル抵抗Rchを分布定数として表す必要がある。この場合、ソース側から供給されたキャリアがドレイン側に到達するまでの時間遅れにより、たとえばチャネルとゲートの容量Coxを充電する時間が場所によって異なり、これがデバイスの高周波動作に影響する。したがってゲート長が長いほうが電子の遅れ量が大きく、これがNQS効果としてデバイス動作に影響する。
また、内在的トランジスタ部Miの等価回路のパラメータとして図3に示すチャネル抵抗Rch,相互コンダクタンスgm,出力抵抗Rds(=1/gds)といった幾つかのパラメータにNQS効果の影響が現れてくる。従来のコンパクトモデル(BSIM3ver3、EKV等)においては、これらのパラメータ値は周波数が高くなっても一定となっており、このためNQS効果が表れる周波数以上において、現実の高周波トランジスタの挙動が、パラメータ値により規定した低周波数の場合の挙動からずれている。
いわゆるコンパクトモデル(BSIM3ver3、EKV等)においては、NQS効果が取り入れられていないNQモードと、NQS効果を取り入れているNQSモードがあり、NQモードで一般的に低周波の動作を再現している。
NQモードにおいて図21に示す従来の等価回路に実際の物理量に対応するパラメータ値を設定し、当該等価回路のSパラメータをシミュレーションにより求め、さらに当該等価回路に対応する実際のトランジスタのSパラメータを測定し、両者を比較した。
図4(A)〜図4(D)は、このときの実測値とシミュレーション値(「Sim」と表記)とを比較するSパラメータのグラフである。これらの図に示すように、図21に示す従来の等価回路に基づくシミュレーションにおいて、高周波の約10GHz以上で特性にずれが生じることがわかる。これが、NQS効果が取り入れられていないために生じるずれ量である。
従来のコンパクトモデルは、NQS効果を再現するために、集中定数としてのチャネル抵抗Rch(図3参照)の代わりに、入力側のゲートに対し寄生素子としてゲート抵抗(ゲート電極のシート抵抗等)Rgに加えて、ゲートからみた分布チャネル抵抗を付加することが提案されている。この分布チャネル抵抗はelmoreにより提案されたことから、一般に「elmoreのDelay」あるいは「elmore抵抗」と呼ばれることがある。
本実施の形態において、図1に示すようにゲート抵抗に、elmore抵抗としての分布チャネル抵抗(NQSゲート抵抗)Rg_NQSの成分を含ませていることは、以上の理由による。
しかし単に、このNQSゲート抵抗Rg_NQSを、ゲート電極のシート抵抗およびゲートコンタクト抵抗を表すゲート抵抗に付加しただけでは、シミュレーションと実測とのSパラメータの比較でずれを正確に修正できない。
たとえば、実際のSパラメータから抽出されるゲート抵抗の値の周波数特性を、図5に示す。
図5から、Sパラメータから抽出されるゲート抵抗Rg_sparaは周波数が大きくなるにしたがって増大していくことがわかり、この原因としては、電磁界効果によるスキンエフェクトによる抵抗の増大が考えられる。このため、この電磁界効果の影響を考慮することが、正確なSパラメータの再現に必要である。
そこで、図1に示すように、寄生的回路におけるゲート抵抗Rg0を、ゲート電極およびゲート配線のシート抵抗およびゲートコンタクト抵抗を含みレイアウトから計算されるゲート抵抗のレイアウト成分Rg_layoutと、スキンエフェクトなどによる電磁界効果成分Rg_emとの和で表現している。この抵抗成分の分離手法の具体例については後述する。
実際のデバイスにおいて、NQSゲート抵抗Rg_NQSおよびスキンエフェクトなどによる電磁界効果成分Rg_emは、動作周波数とともに増大する。そこで、NQSゲート抵抗Rg_NQSおよびスキンエフェクトなどによる電磁界効果成分Rg_emの少なくとも一方のパラメータ、望ましくは両方のパラメータに周波数依存性を持たせる。周波数依存性を持たせる方法としては、そのパラメータを周波数の関数で表現してもよいし、あるいは、周波数ごとに各パラメータの最適値をメモリにテーブルとして予め格納しておき、使用周波数が決まると、それに応じて各パラメータの最適値を読み出して自動的に、NQSゲート抵抗Rg_NQS、および/または、スキンエフェクトなどによる電磁界効果成分Rg_emの値を設定する構成としてもよい。
つぎに、出力抵抗について説明する。
実際のデバイスにおいて、上述したNQS効果によってドレインに到達するキャリアの時間遅れが生じ、これが出力抵抗Rdsの増大を伴う。ところが、従来のコンパクトモデルは、図3に示す出力抵抗Rdsを周波数によらず一定としているため、出力側(ドレイン側)でのNQS現象を再現できていない。
従来は、この出力抵抗Rdsの増大に伴う高周波特性のずれを修正する方法として、シミュレーションを行い、出力側を特性インピーダンスで終端したときの出力反射係数S22が理想カーブと合うように、基板抵抗値をフィッティングさせていた。このため、シミュレーションとパラメータの変更を何度か繰り返す手間を要していた。
図6に示す回路図に、この従来のフィッティングによる特性調整で出力抵抗Rdsの高周波での増加の影響を抑制するために必要なパラメータを抽出して示す。図7に、図6に示す回路におけるSパラメータのS22の軌跡を示す。
図6に示す回路は、出力反射係数S22に影響するパラメータとして、ドレイン端子Dとソース端子S(バックバイアス端子Bと同電位)との間に接続されている内在的トランジスタ部Mi内の出力抵抗Rdsのほかに、出力抵抗Rdsと並列に接続されている基板回路部分(外在的回路部分)を示している。
この基板回路部分は、図6に示すように、ドレイン端子Dとソース端子Sとの間に直列に接続されているドレイン接合容量Cj_dbおよび基板抵抗Rsub1、ならびに、ドレイン接合容量Cj_dbと基板抵抗Rsub1との接続中点とソース端子Sとの間に直列に接続されている基板抵抗Rsub2およびソース接合容量Cj_sbを含む。
ここで図1に示すソース抵抗Rsおよびドレイン抵抗Rdは出力抵抗Rdsに比べ無視できるほど小さいことから、図6において省略している。ソース側の基板抵抗Rsub3およびRsub4は出力反射係数S22への寄与は相対的に小さいことから省略している。また、各基板抵抗に並列な基板容量Csub1〜Csub4も簡略化のため省略している。
出力抵抗Rdsと、それに並列な基板回路部分を図6に示す構成で代表させた場合、出力反射係数S22のスミスチャート上での振舞いは、図7に示すようになる。図7においては、出力抵抗Rdsを周波数によらず一定としていることから、図6に示す回路のインピーダンスが基板抵抗Rsub2を考慮した場合としない場合、すなわち「Rds//(Rsub1//Rsub2)」と「Rds//Rsub1」のいずれの場合でも等抵抗面(理想カーブ)からずれている(インピーダンスが低くなっている)様子がわかる。
これが、図4(D)において実測値とシミュレーション値とがずれている理由である。
このずれを修正するために、従来のトランジスタモデルを用いる場合は、シミュレーション結果を参照しながら基板抵抗値をフィティングさせる方法が採られていた。
図8は、レイアウトから計算により求めた基板抵抗値(測定値)とSパラメータのフィッティング後に抽出した基板抵抗値とを比較して示す図表である。
図8において、実測の出力反射係数S22から抽出される抵抗Rsub1の値250[Ω]が、レイアウトから測定される基板抵抗Rsub1の値50[Ω]より大きくなっている。これは、高周波でNQSとして出力抵抗Rdsが上昇する効果を、コンパクトモデルは出力抵抗Rdsを固定としているため反映しておらず、そのためSパラメータのフィッティングを行うと出力反射係数S22の総電力を合わせるように、基板抵抗Rsubが大きくなり、これによって基板側の電力の消費を下げることで説明がつく。
そこで、内在的トランジスタ部Mi内の出力抵抗Rdsに周波数依存性を持たせる。周波数依存性を持たせる方法としては、そのパラメータ(出力抵抗Rds)を周波数の関数で表現してもよいし、あるいは、周波数ごとに出力抵抗Rdsの最適値をメモリにテーブルとして予め格納しておき、使用周波数が決まると、それに応じて出力抵抗Rdsの最適値を読み出して自動的に出力抵抗パラメータを設定する構成としてもよい。
さらに、出力抵抗Rdsをデフォルト値などの一定値としたまま、周波数に応じて出力抵抗Rdsの増加分の影響をキャンセルするように、基板抵抗Rsub1〜Rsub4のすべて、あるいは幾つか、たとえば基板抵抗Rsub1とRsub2に周波数依存性を持たせるようにしてもよい。この場合においても、周波数依存性を持たせる方法としては、そのパラメータ(基板抵抗)を周波数の関数で表現してもよいし、あるいは、周波数ごとに基板抵抗の最適値をメモリにテーブルとして予め格納しておき、使用周波数が決まると、それに応じて基板抵抗の最適値を読み出して自動的に基板抵抗パラメータを設定する構成としてもよい。また、基板抵抗に加えて基板容量にも、上記と同じ様な方法によって周波数依存性を持たせることも可能である。
なお、基板抵抗に周波数依存性を持たせる場合、図1において煩雑となるため記述していないが、基板抵抗Rsub1〜Rsub4のそれぞれは、レイアウト成分と、上記周波数依存成分(NQS成分)とを分離したパラメータ構造とすることが望ましい。つまり、ドレイン基板抵抗Rsub1はレイアウト成分Rsub1_layoutとNQS成分Rsub1_NQSとの和で示され、ソース・ドレイン基板抵抗Rsub2はレイアウト成分Rsub2_layoutとNQS成分Rsub2_NQSとの和で示され、ソース・ドレイン基板抵抗Rsub3はレイアウト成分Rsub3_layoutとNQS成分Rsub3_NQSとの和で示され、さらに、ソース基板抵抗Rsub4はレイアウト成分Rsub4_layoutとNQS成分Rsub4_NQSとの和で示される。この抵抗成分の分離手法の具体例については後述する。
本実施の形態において、出力抵抗Rds、および/または、外在的回路の基板抵抗Rsub1〜Rsub4の各パラメータ値を可変とすることによって出力側のNQS現象を再現し、これにより高周波での現象、すなわち高周波における出力抵抗Rds(=1/gds)の増加が高周波特性に与える影響を抑制している。
以上より、出力抵抗Rdsおよび/または基板抵抗Rsub1〜Rsub4に周波数依存性を持たせることによって、シミュレーション結果を参照しながらパラメータのフィティングを行うことなく、使用周波数の情報を与えるだけで最適なパラメータ値となる。その結果、実デバイスのSパラメータの測定値に対し、とくに入力反射係数S11、順方向伝送係数S21、および、主に出力抵抗Rdsで決まる出力反射係数S22において、本実施の形態のトランジスタモデルが実測値と良く整合する。
なお、図1に示すトランジスタモデルは望ましい構成の一例である。
前述したように、内在的トランジスタ部Miをコンパクトモデルとしてもよいし、等価回路モデルとしてもよい。
ここで、トランジスタモデルに含ませるレイアウト成分の種類や組み合わせは任意である。したがって、高周波トランジスタモデルに、今まで説明した各種レイアウト成分の少なくとも一つが含まれていればよい。
このようなレイアウト成分として図1に示すものでは、ゲート抵抗のレイアウト成分Rg_layout、配線と基板の結合容量Cc_gbおよびCc_db、その結合容量に連なる基板抵抗Rsub_gb,Rsub_dbおよび基板容量Csub_gb,Csub_db、配線間の結合容量Cc_gdよびゲート・ソース配線結合容量Cc_gs、配線のインダクタ成分Lg_layout,Ls_layoutおよびLd_layoutがある。また、図1に直接示していないレイアウト成分としては、外在的回路内の基板抵抗Rsub1〜Rsub4のレイアウト成分Rsub1_layout〜Rsub4_layoutがある。
また、ソース端子Sとバックバイアス端子Bを短絡しない場合は、ドレイン側と同様に、ソースと基板の結合容量、その基板抵抗および基板容量、さらには、ソース配線とドレイン配線の結合容量なども、このレイアウト成分に追加する必要がある。
なお、外在的回路の基板回路を構成する基板抵抗および基板容量のうち、とくに基板抵抗Rsub1およびRsub4、ならびに、基板容量Csub1およびCsub4は、トランジスタ本来のレイアウト以外にバックバイアス電圧の印加箇所の位置に応じて異なることから、レイアウトパラメータとして寄生的回路に入れてもよい。
外在的回路は、半導体デバイス構造に応じて図1と異なる構成でもよい。
たとえば、SOI(silicon-on-insulator)トランジスタにおいて、図1に示すドレイン接合容量Cj_dbおよびソース接合容量Cj_sbを、いわゆるボックス(box)酸化膜などの絶縁膜容量に置き換えることができる。一般に、絶縁膜容量は接合容量に比べかなり大きいことから、基板抵抗Rsub1〜Rsub4および基板容量Csub1〜Csub4により構成されている基板回路を省略または簡略化することが可能である。半導体基板を電気的フローティング状態とするか、一定電圧で電気的に固定するが、通常、その半導体基板(バックバイアス端子B)が図1に示すようにソース端子Sと接続されることはない。
一方、半導体基板側の影響を無視できる場合において、図1に示す基板回路をSOIボディ領域の等価回路とみなすことも可能である。この場合、基板抵抗や基板容量の値が通常の高周波トランジスタとは大きく異なり、また、SOI型トランジスタの動作を部分空乏型とするか完全空乏型とするかの違い、ボディ領域を電気的にフローティングとするか固定とするかの違いに応じて、基板回路の構成も異なる。
さらに、図1に示す2つのオーバーラップ結合容量Cgs_ovおよびCgd_ovを内在的トランジスタ部Miに含ませ(たとえば、図3に示す等価回路モデル内の容量Cgd_intおよびCgs_intに含ませ)、外在的回路からは省略してもよい。
本実施の形態で用いる高周波トランジスタモデルは以下の利点を有する。
第1に、本実施の形態に用いる高周波トランジスタモデルはレイアウト起因の寄生成分を含む寄生的回路を有し、ある程度レイアウトにより変化するパラメータが最初からトランジスタモデルに組み込まれていることから、より実デバイスに近い高周波トランジスタモデルとなっている。
第2に、本実施の形態に用いる高周波トランジスタモデルは、外在的回路のゲート抵抗Rg0にチャネル内走行キャリアの時間遅れのゲート制御に対する影響を付与するNQSゲート抵抗Rg_NQSを含み、かつ、寄生的回路にスキンエフェクトなどの電磁界効果のゲート制御に対する影響を付与する成分として電磁界成分Rg_emを含み、これにより高周波での現象を再現できることから、より高精度で実デバイスに近い高周波トランジスタモデルとなっている。
第3に、本実施の形態に用いる高周波トランジスタモデルは、外在的回路の基板抵抗Rsub1〜Rsub4のそれぞれ、または、任意の必要な基板抵抗が、レイアウトから求められる成分Rsub1_layout〜Rsub4_layoutと、チャネル内走行キャリアの時間遅れの出力抵抗Rdsに対する影響を付与するドレインNQS成分Rsub1_NQS〜Rsub4_NQSとの和で示されている。このため出力抵抗Rdsを周波数に対し実デバイスとほぼ同じ様に変化させることができ、このため、より高精度で実デバイスに近い高周波トランジスタモデルとなっている。
第4に、内在的トランジスタ部Mi内の出力抵抗Rdsを表すパラメータ、外在的回路内の基板抵抗Rsub1〜Rsub4のそれぞれ、または、任意の必要な基板抵抗の少なくとも一つが周波数依存性を持つことから、とくに出力反射係数S22が実デバイスと近い周波数特性を有している。このため、より高精度で実デバイスに近い高周波トランジスタモデルとなっている。
以上の第1〜第4の利点のいずれか一つ、または、その幾つかを組み合わせることによる総合的な利点として、本実施の形態においてレイアウトスケーラブルな高周波トランジスタモデルが実現されている。言い換えると、本実施の形態に用いる高周波トランジスタモデルは、フィッティング手法によりパラメータを決定する必要がないか、必要な場合でも、わずかの変更でパラメータの最適化が可能であることから、レイアウト変更が容易である。
<高周波トランジスタモデルの作成方法の例>
つぎに、高周波トランジスタモデルの作成方法の例を、とくにパラメータ値の決定(抽出および確定)の方法を中心に説明する。
高周波トランジスタモデルの作成ステップは、たとえば図1に示すような等価回路を作成することによってモデルのアウトラインを作成するステップと、この作成したアウトライン(等価回路)の各パラメータ値を決定するステップとに大別される。ここでは主に、このパラメータ値を決定するステップを説明する。
図9に、パラメータ値を決定するための主なステップを示す。
この図において便宜上、内在的トランジスタ部のパラメータ決定フロー、外在的回路のパラメータ決定フロー、寄生的回路のパラメータ決定フローを分けて示している。ただし、実際のパラメータ決定はこれに限らず、たとえば測定、計算、シミュレーションなどの作業の種類ごとにパラメータ決定を行うと効率的である。また、パラメータの利用関係に矛盾がない範囲で各ステップの順番は任意である。つまり、当然のことであるが計算等に用いるパラメータ値の決定は、その計算より先に行う必要があり、このことを遵守するかぎり各ステップの順番は任意である。
また、ここに示す具体的なパラメータ抽出方法はあくまで一例であり、これに限らない。さらに、シミュレータの種類(商品名)、すなわちデバイスシミュレータの「Medici」、容量シミュレータの「SENECA」、基板シミュレータの「substrate stream」、「DESISSの3D Sim」も単なる例示にすぎない。
図9に示すように、内在的トランジスタ部について、ステップST1aで高周波トランジスタのDC特性の測定(たとえば電流−電圧(I−V)特性の測定)を行い、相互コンダクタンスgm、ドレインコンダクタンスgds(すなわち出力抵抗Rds)を求める。
また、高周波トランジスタの容量−電圧(C−V)測定を行い、内在的ゲート・ドレイン容量Cgd_intを求める。
ステップST4aで高周波トランジスタのデバイスシミュレーション(D.Sim.)を行い、内在的ゲート・ソース容量Cgs_int、内在的ドレイン・ソース容量Cds_intおよび内在的ゲート・基板容量Cgb_intを求める。ここでは、たとえば「Medici」を用いる。
なお、内在的トランジスタ部のパラメータのうちゲートに接続されている容量、すなわち内在的ゲート・ドレイン容量Cgd_int、内在的ゲート・ソース容量Cgs_intおよび内在的ゲート・基板容量Cgb_intは、コンパクトモデルや等価回路モデルに既に用意されているコマンド値(op値)を用いてもよい。
つぎに、外在的回路についてのパラメータ決定を説明する。
ステップST2bにおいて寄生成分抽出のための計算を行い、ドレイン抵抗Rd、ソース抵抗、ドレイン接合容量Cj_dbおよびソース接合容量Cj_sbを求める。
ドレイン抵抗Rdとソース抵抗Rsは、ソース側とドレイン側の拡散層(ソース領域およびドレイン領域)のデザインが対称な場合は同じ計算式から求められる。この計算は、ドレイン抵抗Rdを例にとると次式(1)を用いて行うことができる。
[数1]
Rd=(W/Ld)・Rsheet_d
+(W/Lext)・Rsheet_ext
+Rcon_d/Ncon_d …(1)
ここで「W」はドレイン領域およびそのエクステンション部の幅、「Ld」はドレイン領域のチャネル側端からコンタクトまでの実効的な長さ、「Lext」はエクステンション部の長さ、「Rsheet_d」はドレイン領域のシート抵抗、「Rsheet_ext」はエクステンション部のシート抵抗、「Rcon_d」は1個分のコンタクト抵抗、「Ncon_d」はコンタクト数(1以上の整数)を示す。
ドレイン接合容量Cj_dbとソース接合容量Cj_sbは、ソース側とドレイン側の拡散層(ソース領域およびドレイン領域)のデザインが対称な場合は同じ計算式から求められる。この計算は、ドレイン拡散容量Cj_dbを例にとると次式(2)を用いて行うことができる。
[数2]
Cj_db=Sarea・Cunit_area
+Lperi・Cunit_peri…(2)
ここで「Sarea」はドレイン領域をエリア部とエリア部周囲の周縁部(エクステンション部を含む)とを分けた場合のエリア部の面積、「Lperi」は周縁部の幅、「Cunit_area」はエリア部の単位面積あたりの接合容量、「Cunit_peri」は周縁部の単位幅あたりの接合容量を示す。
図9に示すステップST3bにおいてレイアウト成分抽出のための計算を行い、基板抵抗のレイアウト成分Rsuby_layout(y=1,2,3,4)を求める。この計算において、ソース領域とドレイン領域の実効的な基板内距離、ソース領域またはドレイン領域からバックバイアス給電点までの実効的な基板内距離などと、基板シート抵抗とを用いて計算される。なお、基板抵抗のレイアウト成分Rsuby_layout(y=1,2,3,4)をシミュレーション(「Substrate strom」または「DESISSの3D Sim.」の結果から求めることも可能である。
ステップST4bで高周波トランジスタのデバイスシミュレーション(D.Sim.)を行い、NQSゲート抵抗Rg_NQSを求める。ここでは、たとえば「Medici」を用いる。
また、基板シミュレーション(S.Sim.)を行い、基板抵抗Rsubyと基板容量Csuby(y=1,2,3,4)を求める。ここでは、たとえば「substrate stream」または「DESISSの3D Sim.」を用いる。なお、基板抵抗Rsubyを、測定値の出力反射係数S22から求めてもよい。
ステップST5bで基板抵抗からNQS成分を分離するための計算を行う。基板抵抗のNQS成分Rsuby_NQS(y=1,2,3,4)は、測定値から抽出された基板抵抗Rsubyから、そのレイアウト成分Rsuby_layoutを差し引くことにより求められる。
なお、内在的トランジスタ部内の出力抵抗Rdsに周波数依存性を持たせる場合には、このステップST5bおよびステップST3bは省略可能である。
つぎに、寄生的回路についてのパラメータ決定を説明する。
ステップST1cにおいて高周波トランジスタのDC測定を行い、その全ゲート抵抗Rg_totalを求める。本例において、後述するゲート抵抗の電磁界効果成分を分離するための計算(ステップST5c)に必要なことから全ゲート抵抗Rg_totalを予め求めるが、ステップST5cの電磁界効果成分を、たとえばシミュレーションにより直接求めることができるのであれば、この最初のステップST1cは不要である。
ステップST3cでレイアウト成分抽出のための計算を行い、ゲート抵抗のレイアウト成分Rg_layout、ドレイン抵抗のレイアウト成分Rd_layout、および、ソース抵抗のレイアウト成分Rs_layoutを求める。
ゲート抵抗のレイアウト成分Rg_layoutは、ゲートコンタクトの取り方によって異なる。ゲート電極のフィンガー数がM(M:1以上の整数)でゲート配線が1層の場合を例とすると、ゲート抵抗のレイアウト成分Rg_layoutは次式(3)により求めることができる。
[数3]
Rg_layout=k・(Lg/(M・Wfinger))・Rsheet_gf
+Rcon_gf/Ncon_gf
+(L1mg/W1mf)・Rsheet_1mg) …(3)
ここで「k」はコンタクトのとり方に応じた値の数であり、たとえば、ゲートフィンガー部の片側にコンタクトをとる場合は1/3、両側にコンタクトをとる場合は1/12の値に設定するとよい。また、「Lg」はゲートフィンガー部の実効的長さ、「L1mg」はゲート配線の実効的長さ、「Wfinger」はゲートフィンガー部の幅、「W1mg」はゲート配線の実効的幅、「Rsheet_gf」はゲートフィンガー部(ゲート電極)のシート抵抗、「Rsheet_1mg」はゲート配線のシート抵抗、「Rcon_gf」はゲートフィンガー部とゲート配線の1個分のコンタクト抵抗、「Ncon_gf」はコンタクト数(1以上の整数)を示す。
ドレイン抵抗のレイアウト成分Rd_layoutおよびソース抵抗のレイアウト成分Rs_layoutについても、係数kの値がゲート抵抗の場合と異なるが、ほぼ同様な式により計算できる。
また、同じステップST3cにおいて、ゲート配線のインダクタ成分Lg_layout、ドレイン配線のインダクタ成分Ld_layout、および、ソース配線のインダクタ成分Ls_layoutを求める。これらは計算による他に、それぞれ固有の値に固定してもよいし、シミュレーションにより求めてもよい。本例において、高周波動作にともなうゲート配線のインダクタ成分の増加分は、後述するステップST5cで求める電磁界効果成分Rg_emに含まれる場合、ゲート配線のインダクタ成分を固定とすることが望ましい。なお、とくに詳細に説明しないが、この高周波動作にともなう配線のインダクタ成分の増加分をモデルに反映させるやり方は、ドレイン配線やソース配線に対しても同様に適用できる。
ステップST4cで容量ミュレーション(C.Sim.)を行い、ゲート・ドレイン配線結合容量Cc_gd、ゲート・ソース配線結合容量Cc_gs、ゲート配線・基板結合容量Cc_Gb、および、ドレイン配線・基板結合容量Cc_dbを求める。ここでは、たとえば「SENECA」を用いる。
また、基板シミュレーション(S.Sim.)を行い、ゲート結合基板抵抗Rsub_gbとゲート結合基板容量Csub_gb、および、ドレイン結合基板抵抗Rsub_dbとドレイン結合基板容量Csub_dbを求める。ここでは、たとえば「substrate stream」を用いる。
ステップST5cで全ゲート抵抗から電磁界効果成分を分離するための計算を行う。ゲート抵抗の電磁界効果成分Rg_emは、全ゲート抵抗Rg_totalから、そのレイアウト成分Rg_layoutおよびNQS成分Rg_NQSを差し引くことにより求められる。
図9に示すパラメータ決定方法は、レイアウト成分を計算により抽出するステップ(たとえばST3b,ST3c)を有すること、さらに望ましくは、そのレイアウト成分を用いて周波数依存成分、たとえばNQS成分あるいは電磁界効果成分を計算により分離するステップ(たとえばST5b,ST5c)を有することが特徴である。これらはいずれも簡単な計算により求まられることから、本実施の形態において、第1の実施の形態に構成例を述べたレイアウトスケーラブルな高周波トランジスタを、容易に作成できるという利益が得られる。
図9において4つの基板抵抗Rsub1〜Rsub4のすべてで、基板抵抗Rsubの抽出を行っている。ただし、たとえば基板抵抗Rsub1のみ、あるいは、基板抵抗Rsub1とRsub2といった1つから3つまでの個数の基板抵抗を抽出してもよい。
以上のように決定したパラメータの値を、モデルアウトラインの作成ステップで求めた各パラメータに設定することにより、トランジスタ特性が所望の高い周波数で求めるなどの際に、コンピュータ上で当該高周波トランジスタを精度よく表現するモデルの作成が完了する。
なお、SOI基板に形成された高周波トランジスタについても、上述したモデル作成方法の基本は同様に適用できる。ただし、基板回路が存在しない、あるいは、存在しても極めて影響が小さい場合があることに注意を要する。そこで、以下の方法が望ましい。
まず、デバイスシミュレータを用いて、出力抵抗Rdsまたは出力反射係数S22を測定する。
つぎに、ボックス酸化膜を介して半導体基板に伝達する信号の等価回路を構成する。この等価回路を出力抵抗Rdsとボックス酸化膜を介して半導体基板に接続させ、さらにデバイスシミュレーションを行う。この等価回路を接続した場合のシミュレーション結果と、上記未接続時のデバイスシミュレータ結果との差を、電荷の遅れ量を表すNQS成分として算出する。このNQS成分に周波数依存性を持たせることが望ましい。周波数依存成分を持たせる方法としては、周波数とともに増加する関数値としてもよいし、あるいは、周波数に応じた値をテーブルとしてもっていてもよい。
そして、他のパラメータを等価回路にいれ、回路動作をさせることで、所望の高周波でのトランジスタ特性が得られる。このようにして、等価回路から高周波SOI型トランジスタの特性が算出される。
<レイアウト変更にともなうモデルの再作成方法の例>
つぎに、上記方法により高周波トランジスタモデルを作成した後に、レイアウトを変更する場合のモデルの再作成(更新)方法を述べる。
図10は、レイアウト変更にともなうモデルの再作成(更新)方法の概略を示すフローチャートである。
ステップST11において、第1のレイアウトから、各パラメータを抽出する。このパラメータ抽出は、図9に示して説明した方法を好適に用いることができる。これにより、第1のレイアウトについての内在的トランジスタ部、外在的回路および寄生的回路の各パラメータの値が抽出または算出される。
ステップST12において、変更しようとする第2のレイアウトの高周波トランジスタにおいて、DCでのトランジスタ特性を測定し、そこから得られるパラメータを抽出する。
ステップST12において測定するDCでのトランジスタ特性としては、相互コンダクタンスgm、ドレインコンダクタンスgds(出力抵抗Rds)などがある。
ステップST13において、第2のレイアウトから各種抵抗や各種容量を見積もる。
第2のレイアウトから見積もることができるレイアウト成分としては、ゲート抵抗のレイアウト成分Rg_layout、ゲート・ソース容量のレイアウト成分Cgs_layout、ゲート・ドレイン容量のレイアウト成分Cgd_layout、ソース・基板容量のレイアウト成分Csb_layout、ドレイン・基板容量のレイアウト成分Cdb_layout、ゲート・基板容量のレイアウト成分Cgb_layout、基板抵抗Rsub1〜Rsub4のレイアウト成分Rsub1_layout〜Rsub4_layoutがある。
ここでゲート・ソース容量のレイアウト成分Cgs_layout、ゲート・ドレイン容量のレイアウト成分Cgd_layout、ソース・基板容量のレイアウト成分Csb_layout、ドレイン・基板容量のレイアウト成分Cdb_layout、ゲート・基板容量のレイアウト成分Cgb_layoutは、前述した方法において実施の形態において用いなかった新たなパラメータであるが、これらは総合的な容量のレイアウト成分のみ抽出したものである。
つまり、ゲート・ソース容量のレイアウト成分Cgs_layoutは、内在的ゲート・ソース容量Cgs_int、ゲートとソースのオーバーラップ容量Cgs_ovおよびゲート・ソース配線結合容量Cc_gsの和で示す総合的な容量からレイアウト成分のみを抽出して示すものであり、ソース配線の材料や寸法(厚さおよび幅)ならびに配線の引き回しが第1および第2のレイアウトで同じとする前提において、このゲート・ソース容量のレイアウト成分Cgs_layoutは、純粋にレイアウトから見積もることができる。
他の新たなレイアウト成分についても同様である。
ゲート・ドレイン容量のレイアウト成分Cgd_layoutは、内在的ゲート・ドレイン容量Cgd_intとゲート・ドレイン配線結合容量Cc_gdの和で示す総合的な容量からレイアウト成分のみを抽出して示すものである。
ソース端子Sとバックバイアス端子Bが接続されていない場合におけるソース・基板容量のレイアウト成分Csb_layoutは、ソース・基板接合容量Cj_sbと基板容量の一部との和で示す総合的な容量からレイアウト成分のみを抽出して示すものである。
ドレイン・基板容量のレイアウト成分Cdb_layoutは、各種容量、すなわちドレイン・基板接合容量Cj_db、基板容量の一部、ドレイン配線・基板結合容量Cc_dbおよびドレイン結合基板容量Csub_dbの和で示す総合的な容量からレイアウト成分のみを抽出して示すものである。
さらに、ゲート・基板容量のレイアウト成分Cgb_layoutは、内在的ゲート・基板容量Cgb_int、ゲート配線・基板結合容量Cc_gbおよびゲート結合基板容量Csub_gbの和で示す総合的な容量からレイアウト成分のみを抽出して示すものである。
つぎに、このレイアウト成分の見積もりについて、マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタ例として、具体的に説明する。
図11(A)は第1のレイアウトの平面図、図11(B)は第2のレイアウトの平面図、図11(C)はレイアウト変更にともなうパラメータ変化の倍率を示す図表である。これらの図において、ゲートフィンガー長を2倍にするレイアウト変更を示している。
最初に、マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタについて簡単に説明する。
本例のトランジスタは、P型の半導体基板(またはPウェル)にトランジスタの活性領域100と、基板コンタクト(バックバイアス供給)用のP型不純物領域(以下、基板バイアス領域という)101とが形成されている。活性領域100および基板バイアス領域101は、半導体基板の表面部分に所定パターンの素子分離絶縁層102を形成することにより、それらの幾何学的形状(パターン)が規定されている。
活性領域100を横切るフィンガー部F1,F2,…を有するゲート電極層103(図中「G」で表記)が、たとえばポリシリコンから形成されている。各フィンガー部F1,F2,…は活性領域100に直交することから、活性領域100の幅が、ゲートフィンガー部の実効的なゲート長(トランジスタにおける、いわゆるゲート幅)Wfingerを規定する。この寸法Wfingerを、以下、「フィンガー長」という名称で統一する。本例の第1のレイアウトにおいてフィンガー長Wfingerが1μmであり、第2のレイアウトにおいてフィンガー長が2μmである。トランジスタの全実効ゲート幅はレイアウト変更の前後で同じとする必要があり、このことから第1のレイアウトにおいてフィンガー部の本数が100本とすると、第2のレイアウトにおいてフィンガー部の本数が50本と、半減されている。
ゲート電極層103をマスクとしたイオン注入によりN型不純物が活性領域100に導入され、これによってN型のソース領域SRおよびドレイン領域DRが、活性領域100の長手方向に交互に形成されている。
ソース領域SRに対し第1メタルからなるソース配線層104が接続され、ドレイン領域DRに対し第1メタルからなるドレイン配線層105が接続されている。ソース配線層104およびドレイン配線層105は図において同じ向きに引き出されているが、交互に異なる向きに引き出してもよい。
一方、ゲート電極層103に、これを上層メタルに接続するためのゲートコンタクト106が所定数設けられている。とくにソース配線層104およびドレイン配線層105を異なる向きに引き出す場合、このゲートコンタクト106を介してゲート電極層103が第2メタルのゲート配線層(不図示)に接続される。
図11(A)および図11(B)において、レイアウトから見積もることができるレイアウト成分として、ゲート抵抗のレイアウト成分Rg_layout、ゲート・ソース容量のレイアウト成分Cgs_layout、ゲート・ドレイン容量のレイアウト成分Cgd_layout、ソース・基板容量のレイアウト成分Csb_layout、ドレイン・基板容量のレイアウト成分Cdb_layout、ゲート・基板容量のレイアウト成分Cgb_layout、基板抵抗Rsub1〜Rsub4のレイアウト成分Rsub1_layout〜Rsub4_layout(図中、Rsuby_layout(y=1,2,3,4)により示す)がある。
これらのパラメータの意味は前述したので繰り返すことはしない。ここでは、フィンガー長Wfingerを2倍にしたことにより、これらのパラメータがどのように変化するかを検討する。
ゲート抵抗のレイアウト成分Rg_layoutについては、1フィンガー当り、フィンガー長が2倍になるとポリシリコン抵抗も2倍となることに加え、単位抵抗あたりのコンタクト数が減るので、それが(取り出し分)として加算される。全体ではフィンガー数が半減することから、1フィンガー当りの変化倍率をさらに2倍にする必要がある。したがって、ゲート抵抗のレイアウト成分Rg_layoutは、レイアウト変更後に、変更前の[4倍+(取り出し分)×2]となる。
基板抵抗のレイアウト成分Rsuby_layoutについては、フィンガー長が2倍になると、ソース領域SRやドレイン領域DRから基板コンタクト領域101までの平均的な距離もおおよそ2倍となると考えられる。そのため、基板抵抗のレイアウト成分Rsuby_layoutは、レイアウト変更によって1フィンガー当り2倍、全体では4倍になる。
このように抵抗はフィンガー数が半減すると倍増するが、これとは対照的に容量については、フィンガー数が半減すると容量も半減する。
具体的には、ゲート・ソース容量のレイアウト成分Cgs_layout、ゲート・ドレイン容量のレイアウト成分Cgd_layout、ソース・基板容量のレイアウト成分Csb_layout、ドレイン・基板容量のレイアウト成分Cdb_layoutは、レイアウト変更によって1フィンガー当り2倍、全体では1倍になる。一方、ゲート・基板容量のレイアウト成分Cgb_layoutは、レイアウト変更によって1フィンガー当り1倍、全体では1/2倍となる。
以上に述べたパラメータの変化倍率を図11(C)の図表にまとめて示す。
図10に示すステップST13において、さらに、第1のレイアウトからレイアウト依存性がないか無視できるほど小さい成分、たとえばNQS成分や電磁界効果成分など、たとえば周波数依存性がレイアウト依存性より大きな成分を抽出する。このようなレイアウト依存性が(ほとんど)ないか、重視されない成分を、以下、「非レイアウト依存成分」という。
図12に、非レイアウト依存成分の具体的抽出方法を、ゲート抵抗Rgと基板抵抗Rsub1を例として示す。
ここでは、非レイアウト依存成分がレイアウトに全く依存しないことを前提とする。ただし、若干依存することが認められる場合は、求めた非レイアウト依存成分に経験的に求められる「1」前後の補正係数をかけることも可能である。
図12(A)に示すように、フィンガー長Wfingerを1μm(第1のレイアウト)から2.5μmおよび5μm(第2のレイアウト)に変化させたときに、ゲート抵抗のレイアウト成分Rg_layoutが1.09Ωから、それぞれ3.69Ωおよび11.99Ωに変化している。前述したステップST11で、第1のレイアウトについては全ゲート抵抗Rg_totalが既に求められており、その値を11.40Ωとすると、その非レイアウト依存成分、すなわちNQS成分Rg_NQSと電磁界効果成分Rg_emとの和が10.4Ωと算出できる。この値はレイアウトに依存しない一定値であることから、第2のレイアウトにも適用できる。そこで、フィンガー長Wfingerが2.5μmのときの全ゲート抵抗Rg_totalが14.09Ω、フィンガー長Wfingerが5μmのときの全ゲート抵抗Rg_totalが22.39Ωと、それぞれ算出される。
また、図12(B)に示すように、フィンガー長Wfingerを1μm(第1のレイアウト)から2.5μmおよび5μm(第2のレイアウト)に変化させたときに、基板抵抗のレイアウト成分Rsub1_layoutが4.10Ωから、それぞれ25.63Ωおよび102.50Ωに変化している。前述したステップST11において、第1のレイアウトについては全基板抵抗Rsub1_totalが既に求められており、その値を100.00Ωとすると、その非レイアウト依存成分、すなわちNQS成分Rsub1_NQSが95.9Ωと算出できる。この値はレイアウトに依存しない一定値であることから、第2のレイアウトにも適用できる。そこで、フィンガー長Wfingerが2.5μmのときの全基板抵抗Rsub1_totalが121.53Ω、フィンガー長Wfingerが5μmのときの全基板抵抗Rsub1_totalが198.40Ωと、それぞれ算出される。
図10に示すステップST14において、上述の方法により抽出したパラメータを設定し、さらに、その内訳や残りのパラメータを決定する。
具体的には、内在的ゲート・基板容量Cgb_int、内在的ゲート・ドレイン容量Cgd_intおよび内在的ゲート・ソース容量Cgs_intは、コンパクトモデルの場合に、たとえばBSIM3ver.3のコマンド値(op値)を用いる。また、ここではフィンガーゲートのレイアウトパターンを変更し、それ以外の配線のレイアウト変更は行わないとの前提の下、パッドインダクタンスを含むドレイン配線のインダクタンス成分Ld_layoutおよびゲート配線のインダクタンス成分Lg_layoutを一定値、たとえば34pHにし、ソース配線のインダクタンス成分Ls_layoutを一定値、たとえば0.003pHに設定する。
その他、レイアウト変更により値が変化すると想定されるパラメータ値を、計算または、必要ならデバイスシミュレータにより抽出し直す。たとえば、Id−Vd特性における傾きはアナログ回路には非常に重要であるが、この値はフィンガー長Wfingerを変えたことにより変更すべきであることから、この傾きに関与するパラメータをフィンガー長に応じて変更する。
全ての必要なパラメータを設定すると、つぎのステップST15において、設定したパラメータ値が適切か否かを、それらの値を用いた回路動作(デバイスシミュレーション)を行い、あるいは、高周波特性(Sパラメータ、電流利得遮断周波数ftおよび最大動作周波数fmax)を測定することにより検証する。これにより、高周波特性の予測が可能となる。
図13(A)〜図13(D)は、上記方法で計算されたSパラメータと実測データの比較を示すスミスチャートである。これらの図において、実デバイスのSパラメータの測定値(実測値)と、本実施の形態のトランジスタモデルでパラメータ設定後のシミュレーション結果(「Sim.」)とを示す。マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタは、その各フィンガーゲートのフィンガー長Wfingerが2.5μm、フィンガー数が40本、各ゲートフィンガー部の幅(ゲート長)Lgが0.07μm、ゲート・ドレイン容量(実測値)が0.025pFである。また、測定周波数を100MHzから50GHzに変化させている。
図より両者がよく一致していることがわかり、上記の方法が妥当であることが理解される。上記の方法をとることにより、フィンガー長Wfingerに関するスケーラブルな高周波トランジスタモデルが構築されることが確認できる。
以上のモデルの再作成方法によれば、レイアウト依存成分が明確であることから、あるレイアウトの高周波トランジスタモデルを一度作成しておけば、つぎにレイアウト変更する際に、高周波トランジスタモデルのどのパラメータをどの程度変更すればよいかが明らかである。そのため、レイアウト変更に伴うモデル再作成(変更)の手間が最小限となり、人的および時間的コスト削減ならびにハードウエア資源の有効利用が図れるという利益が得られる。
<パラメータの最適化手法の例>
つぎに、高周波トランジスタのパラメータを最適化する手法の例を述べる。
この最適化手法において、高周波特性の維持・改善に寄与するパラメータを特定する感度分析を行い、その結果から、最適化すべきパラメータを特定する。
図14は、感度分析結果をまとめた図表である。
ここでは図14に示す23個のパラメータについて感度分析を行った。今までに説明していないパラメータとしては、主にゲートフィンガー部以外のゲート電極部分からなるゲート取り出し部の基板との容量Cgb_layoutと、この容量に直列接続される基板内抵抗Rsub_gb_layoutとがある。ここでは、容量Cgb_layoutは容量シミュレータ「SENECA」を用いて計算し、基板内抵抗Rsub_gb_layoutは基板シミュレータ「substrate storm」を用いて計算している。他のパラメータについては既に説明したので、ここで説明を繰り返すことはしない。
これら23個のパラメータについて、フィンガー長Wfingerが1.0μm、2.5μmおよび5.0μmの3パターンで求めた。また、感度分析において、電流利得遮断周波数ftおよび最大動作周波数fmaxのそれぞれについて、フィンガー長Wfingerが1.0μmと5.0μmのときで、どの程度周波数差が生じるかの指標として、当該周波数差をセンター値で規格化したものを用いた。
その結果、レイアウト変更によって電流利得遮断周波数ftに与える影響が大きいパラメータは、その影響が大きい順に、ゲート取り出し部の基板との容量Cgb_layout、内在的ゲート・ドレイン容量Cgd_int、ゲート配線・基板結合容量Cc_gbであることがわかった。また、最大動作周波数fmaxに与える影響が大きいパラメータは、その影響が大きい順に、全ゲート抵抗Rg_total、内在的ゲート・ドレイン容量Cgd_int、基板抵抗Rsub1であることがわかった。
なお、パラメータの感度分析を行う高周波特性としては、上記以外に、Sパラメータであってもよい。
以上のパラメータの最適化手法によれば、高周波特性に対するパラメータの感度分析結果から高周波特性、たとえば電流利得遮断周波数ft、最大動作周波数fmaxに影響を与える主要なパラメータに基づいて、レイアウトをどのように改善すればよいかが容易にわかる。その結果、レイアウト改善点が予め予想でき、レイアウト変更に伴う手間が最小限となり、人的および時間的コスト削減ならびにハードウエア資源の有効利用が図れるという利益が得られる。
今までの記載において、パラメータの一部に周波数依存性を持たせることを言及した。これに加え、幾つかの主要なパラメータにバイアス依存性を持たせることができる。以下、その方法について述べる。
一般に、既存のコンパクトモデルにおいて、その容量成分(容量パラメータ)が適切でないことから、あらゆるバイアス(バイアス電圧またはバイアス電流)で動作させた場合に誤差を生じる。ここでは、その誤差成分をバイアスごとに求める。
具体的には、抽出したパラメータが設定された高周波トランジスタモデルを、たとえばデバイスシミュレータ等で、あるバイアスにて動作させ、そのとき得られたパラメータ値とコンパクトモデルのパラメータ値とを比較し、その差分を求める。この作業を、全ての、あるいは必要なパラメータごとに、全てのバイアス(より現実的には、離散的な代表点)で実行する。この差分または正しいパラメータ値をバイアスごとに、たとえばテーブルとして記憶しておく。実際の高周波トランジスタモデルをシミュレータなどで動作させる際に、要求される動作時のバイアスに応じて、そのバイアスに対応した各パラメータ値の差分または正しいパラメータ値を読み出し、それによって各パラメータの値を自動で補正する。なお、差分を用いる場合は、コンパクトモデルの既存のパラメータ値に、この差分を付加することになる。一方、正しいパラメータ値を用いる場合は、コンパクトモデルの既存のパラメータ値をゼロとして、正しいパラメータ値で事実上、置き換えることになる。
このようなバイアス依存性を持たせないと誤差要因となるパラメータの代表的なものとして、内在的ゲート・ドレイン容量Cgd_intおよび内在的ゲート・ソース容量Cgs_intを挙げることができる。また、必要なら他のパラメータにもバイアス依存性を持たせることが可能である。
このようにして、必要なパラメータにバイアス依存性を持たせることにより、あらゆるバイアスで動くいわゆるコンパクトモデル(BSIM3ver.3、MOS model9,EKV)を用いたシミュレータに組み込む高周波トランジスタモデルを、より適切に動作させ、精度が高いシミュレーションが可能となる。ここで、当該高周波トランジスタモデルを利用したものであれば、シミュレータの種類、コンパクトモデルの種類は任意であり、本質的でない。
また、今までの記載において消費電力については言及しなかったが、とくに基板結合容量と基板抵抗とで構成するCR直列回路において、消費電力のピーク点から、より消費電力が低い領域で動作するように、これらのパラメータを設定することが望ましい。
より詳細には、図1に示すゲート配線・基板結合容量Cc_gbとゲート結合基板抵抗Rsub_gbとによりCR直列回路が構成され、また、ドレイン配線・基板結合容量Cc_dbとゲート結合基板抵抗Rsub_dbとによりCR直列回路が構成されている。これらのCR直列回路において消費電力がピークを持ち、そのピーク時の基板抵抗は1/(2πC)により計算できる。ここで「C」はゲート配線・基板結合容量Cc_gbまたはドレイン配線・基板結合容量Cc_dbの値である。実施の形態において基板における消費電力を抑制するためには、配線構造や基板抵抗などの制約があるが、この制約の範囲内で上記ピーク点よりできるだけ離れた基板抵抗となるように、あるいは、十分に消費電力が低減されるように、ゲート配線・基板結合容量Cc_gbまたはドレイン配線・基板結合容量Cc_dbの値を設定することが望ましい。
以上のパラメータの最適化手法において、実施の形態において前述したようにシミュレーションの精度が上がる利益に加え、特性の予測が容易に達成できる。つまり、従来は、トランジスタモデルのパラメータが特性に及ぼす影響を知ることができなかったことから、一度試作(実際のデバイス作製)を行い、その特性を測定し、測定結果を所望の特性にフィティングさせることにより正しいパラメータを求めていた。これに対し、このパラメータの最適化を行うと各パラメータの高周波特性に及ぼす影響をある程度知ることができ、そのため従来のように試作を行うことなく、高周波回路のトランジスタユニットの特性が予測できるという利益が得られる。また、求める特性を最適化するための原因が明確になり、レイアウトの最適化も容易になる。
<高周波トランジスタの構造および設計方法の例>
以上のことを前提として、本発明に係る高周波トランジスタの構造および設計方法について、その実施の形態を、配線のレイヤ(階層)を変更する場合を例として説明する。
最初に、変更前のレイアウトおよび断面構造について説明する。
図15に、変更前のマルチフィンガーを有する高周波トランジスタの平面図を示す。また、図16に、図15におけるA−A線の概略的な断面を示す。なお、図16に示す断面では簡略化のため絶縁材料からなる部分を一切省略している。
図15に示すように矩形枠状の平面パターンを有する素子分離絶縁層2が半導体基板1に形成され、素子分離絶縁層2によって囲まれた基板領域に、矩形パターンを有する活性領域1Aが形成されている。高周波トランジスタのゲートGとして、活性領域1Aを各フィンガー部Fが横切るようにゲート電極2が形成されている。各フィンガー部Fは、活性領域1Aを熱酸化して形成されている薄いゲート絶縁膜(不図示)上に形成されている。ゲート電極2はたとえばポリシリコンからなり、ほぼ平行に配置されている複数のフィンガー部Fと、隣り合う2本のフィンガー部Fをつなぐ幅広の連結部とによって平面パターンとしては1本のライン状に形成されている。
図16は、2つの連結部間の部分を中心とした断面を示している。このゲート電極2の連結部上に第1ゲートコンタクト3が形成され、第1ゲートコンタクト3上に、ほぼ連結部と同じ平面パターンを有する中間接続層4が、第1層メタル(1MT)により形成されている。さらに中間接続層4は、第2ゲートコンタクト5を介して、第2層メタル(2MT)からなるゲート配線6に接続されている。ゲート配線6は、図15に示すように、活性領域1Aより一回り大きい矩形枠状の部分6Aと、この部分6Aから一方側に伸びる複数の太い配線部分6Bとを有する。図示を省略しているが、これら太い配線部分6Bは、トランジスタユニットの外部ゲート端子G0(図1参照)に共通に接続されている。
図16に示すように、ゲート電極の中間接続層4の間を、これと同じ2MTから形成されているドレイン配線7が通っている。ドレイン配線7は複数形成され(図15参照)、その各々が数個のドレインコンタクト8によって活性領域1Aに形成されているドレイン領域(不純物拡散層)9に接続されている。なお、このドレイン領域とドレインコンタクト8は、図16には現れていない。複数のドレイン配線7は、ゲート電極の太い配線部分6Bとは反対の側に延び、トランジスタユニットの外部ドレイン端子D0(図1参照)に共通に接続されている。
図16に示す断面には現れていないが、ドレイン配線7と同じ2MTからソース配線8が形成されている。ソース配線10は、図15に示すように、ゲート配線6より一回り外側を通る基板コンタクト部分10Aと、基板コンタクト部分10からゲート配線の太い配線部分6Bと同じ向きに伸びる配線部分10Bとを有する。ソース配線の基板コンタクト部分10Aは、素子分離絶縁層2の周囲に沿って形成されている基板コンタクト領域11の上方を通っており、両者が多数のソース・基板間コンタクト12によって接続されている。
このような配線部を有する高周波トランジスタにおいては、図16に示すように、レイアウト成分として高周波特性への影響が大きいゲート・ドレイン配線結合容量Cc_gd(図1参照)が、主に、3つの結合容量の値C11、C12およびC2の合成値によって決定される。結合容量の値C11とC12は、同一階層の1MT内において隣り合うドレイン配線7とゲート電極の中間接続層4との間の容量値である。また、結合容量の値C2は、1MTからなるドレイン配線7と、その上層の2MTからなるゲート配線6(厳密には、その配線部分6A)との間の容量値である。図16に示す配線部の構造においては、ドレイン配線がゲート配線やゲートコンタクトに囲まれており、その結果、ゲート・ドレイン配線結合容量Cc_gdが比較的大きくなりやすい。ゲート・ドレイン配線結合容量Cc_gdを小さくしたい場合に、隣接する配線間や配線とコンタクトとの距離を大きくする必要があることから、トランジスタ占有面積の縮小の要請と矛盾する。
また、他のレイアウト成分としてのドレイン配線・基板結合容量Cc_db(図1参照)は、図16における結合容量の値C3により決まる。結合容量値C3は、ドレイン配線7が1MTからなること比較的大きく、これを下げることが難しい。
つぎに、このような構成の高周波トランジスタの設計方法例を説明する。
ここでは、図15および図16に示す構成を第1レイアウトとし、この第1レイアウトの等価回路パラメータのうち、主に配線間、あるいは、配線と基板との間の結合容量に関して感度測定を行い、その結果から、第1レイアウトを新たな第2レイアウトに設計変更する場合について説明する。
図17は、高周波トランジスタの設計方法における各ステップを示すフローチャートである。
ステップST20において、トランジスタ部を設計し(トランジスタ部設計ステップ)、その配線部を設計し、これにより第1レイアウトの設計がすでに完了しているものとする。
つぎのステップST21において、第1レイアウトの高周波トランジスタに対し、その感度測定を行う。より詳細には、配線およびコンタクトの構成(配線部の構成)に応じて変化する等価回路パラメータのうち、ゲート配線6、ソース配線10およびドレイン配線7の各配線間の結合容量、ならびに、各配線と半導体基板1と間の結合容量について、高周波トランジスタの高周波特性に対する感度を測定する。
測定対象となる配線間の結合容量として、ゲート・ドレイン配線結合容量Cc_gdおよびゲート・ソース配線結合容量Cc_gs(図1参照)と、図1において省略しているドレイン・ソース配線結合容量Cc_dsとがある。
測定対象となる配線と半導体基板との間の結合容量として、ドレイン配線・基板結合容量Cc_dbとゲート配線・基板結合容量Cc_gbとがある(図1参照)。また、ソース端子Sとバックバイアス端子Bとを接続しない場合は、ソース配線・基板結合容量Cc_sbを測定対象とする。
感度の測定を、たとえば<パラメータの最適化手法の例>で述べた方法と同様な方法により行うことができる。<パラメータの最適化手法の例>ではフィンガー長Wfingerの値を変えて感度測定を行ったが、ここでは上記各結合容量の値を順次変えて感度測定を行う。このとき結合容量値の影響を見積もる高周波特性を、上記例と同様に電流利得遮断周波数ftや最大発振周波数fmaxとすることができる。
この感度測定により、高周波特性に影響が大きい順に、変更すべき結合容量の優先順位が決まる。
つぎのステップST22において、各配線の階層レベルを上記優先順位に基づいて決定する(レベル決定ステップ)。
そして、つぎのステップST23において、決定した階層レベルを遵守しながら配線部を設計する(配線部設計ステップ)。たとえば、決定した各階層レベルにおける前記ゲート配線、前記ソース配線およびドレイン配線のパターンと、各配線間あるいは配線と前記トランジスタ部とを接続するコンタクトの配置と大きさとを設計する。また、配線間の上下関係を変えることなく、配線の階層レベルを変更してもよい。
その後、図10に示す方法と同様にしてモデル再作成を行うようにしてもよい。このときの検証結果に応じて、変更すべきパラメータが判明する場合は、そのパラメータの変更をトランジスタ部および配線の設計ステップST20にフィードバックすることが望ましい。
また、<高周波トランジスタの構造および設計方法の例>の項で既に述べたように、基板シミュレータ等を用いて半導体基板におけるRC直列回路における消費電力が最大値をとる場合は、その最大値から消費電力が低くなるように基板抵抗などのデバイスパラメータあるいは配線部のパラメータを変更することが望ましい。このときも配線間の上下関係を変えることなく、配線の階層レベルを変更してもよい。変更後は、さらに検証を行って半導体基板におけるRC直列回路の消費電力が最大値から下がっていることを確認する。
以下、ドレイン配線に関する結合容量の低減を最優先する場合のレイアウト変更の結果得られる本発明に係る高周波トランジスタの実施の形態(構造例)を幾つか説明する。
[構造例1]
本実施の形態に係る高周波トランジスタの設計方法において、ドレイン配線のゲート配線との結合容量、ドレイン配線の基板との結合容量を、トランジスタサイズを変えることなく低減するには、ドレイン配線をゲート配線より上層にすることが望ましい(構造例1)。
図18は、構造例1の断面図である。この場合において、平面パターンそのものは図15と同様に設計することができる。つまり、図18においては、ゲート配線の矩形枠状の部分6Aが1MTにより形成され、その中間接続層4および第2ゲートコンタクト5(図16)は省略され、第1ゲートコンタクト3は、ゲート電極2のフィンガー部Fを連結する幅広部とゲート配線の矩形枠状の部分6Aとを接続するために用いられている。ドレイン配線7は2MTから形成されている。
構造例1において、ドレイン配線7とゲート配線6との結合容量の値C20は、図16における合成された結合容量の値(C2+C11+C12)より十分に小さく、その分、当該トランジスタの高周波特性が改善されている。
また、構造例1におけるドレイン配線7と半導体基板1との結合容量の値C30は、図16に示す構造例の場合に比べ、両者の距離が大きくなることから、その結合容量の値C30は、図16に示す結合容量の値C3より十分に小さく、その分、当該トランジスタの高周波特性が改善されている。
[構造例2]
図19に、構造例2の高周波トランジスタの図15におけるB−B線と同じ箇所の断面図を示す。
構造例2において、ドレイン配線7をゲート配線6より上層としたことに加え、ドレイン領域のコンタクト部分を最適化している。
より詳細には、2MTから形成されているドレイン配線7は、深いドレインコンタクト8によって半導体基板1に形成されているドレイン領域DRに接続されている。ドレイン領域DRは、隣り合う2つのフィンガー部Fをマスク層としたイオン注入により半導体基板1に形成されている。深いドレインコンタクト8の径が、当該トランジスタの形成に用いる半導体製造プロセスのコンタクトに関する最小寸法Wcを有する。また、深いドレインコンタクト8からフィンガー部Fまでの距離が、上記半導体製造プロセスのコンタクトと他の導電層との距離に関する最小寸法Wc_cとなっている。したがって、ドレイン領域DRの幅が(2Wc_c+Wc)と小さく、その分、トランジスタの占有面積が小さくなっている。なお、フィンガー部Fと深いドレインコンタクト8との距離を縮めると、その部分での結合容量も大きくなるが、水平方向において一方から他方を見たときの投影重なり面積は、配線同士が交差する場合の投影面積より元々十分に小さく、その結合面積の増加が高周波特性に与える影響は比較的小さい。
[構造例3]
上記構造例1および構造例2において、ドレイン配線7はゲート配線6より上層であればよく、ドレイン配線7を第3層メタル(3MT)以上の階層レベルとする変形が可能である。
構造例3は、構造例2においてドレイン配線7を3MTにより形成した場合を示すものであり、その断面図を図20に示す。
ソース構造例3において、ドレイン配線7とソース配線10との結合容量C41とC42が図16の場合より小さくなることから、構造例1より、さらにトラジスタの高周波特性が改善される可能性がある。
本発明は、高周波回路のシミュレーション、高周波トランジスタユニットのデバイスシミュレーションなどのソフトウエアに組み込んで使用され、トランジスタユニットをコンピュータ上で表現するための高周波トランジスタモデルの用途に適用できる。
本発明の実施の形態に係る高周波トランジスタモデルの等価回路図である。 高周波におけるゲート電極とチャネルの結合とチャネル抵抗を分布定数として示すNQS効果の説明図である。 内在的トランジスタ部を等価回路モデルとした場合の概略的な構成を示す等価回路図である。 (A)〜(D)は、高周波トランジスタモデルを用いたシミュレーション結果を実測値と比較して示すSパラメータのグラフである。 実際のSパラメータから抽出されるゲート抵抗値の周波数特性を示すグラフである。 従来のフィッティングによる特性調整で出力抵抗の高周波での増加の影響を抑制するために必要なパラメータを抽出して示す回路図である。 図6に示す回路における出力反射係数の軌跡を示すスミスチャートである。 レイアウト計算により求めた基板抵抗値(測定値)とSパラメータのフィッティング後に抽出した基板抵抗値とを比較して示す図表である。 高周波トランジスタモデルの作成において、パラメータ値を決定するための主なステップを示すフローチャートである。 高周波トランジスタモデルの作成において、レイアウト変更にともなうモデルの再作成(更新)方法の概略を示すフローチャートである。 (A)は第1のレイアウトの平面図、(B)は第2のレイアウトの平面図、(C)はレイアウト変更にともなうパラメータ変化の倍率を示す図表である。 非レイアウト依存成分の具体的な値を、ゲート抵抗と基板抵抗を例として示す説明図である。 (A)〜(D)は、実施の形態に係る方法で計算されたSパラメータと実測データの比較を示すスミスチャートである。 高周波トランジスタモデルの作成方法において、感度分析結果をまとめた図表である。 本発明の実施の形態に係る高周波トランジスタの設計において、変更前のマルチフィンガーを有する高周波トランジスタの平面図である。 図15におけるA−A線の概略的な断面を示す図である。 本発明の実施の形態に係る高周波トランジスタの設計方法の各ステップを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る高周波トランジスタの構造例1の断面図である。 本発明の実施の形態に係る高周波トランジスタの構造例2の断面図である。 本発明の実施の形態に係る高周波トランジスタの構造例3の断面図である。 背景技術の高周波トランジスタの動作を再現する外在的回路を含んだ等価回路モデルを示す等価回路図である。
符号の説明
1…半導体基板、1A…活性領域、2…ゲート電極、3…第1ゲートコンタクト、4…ゲート電極の中間接続層、5…第2ゲートコンタクト、6…ゲート配線、6A…矩形枠状の部分、6B…太い配線部分、7…ドレイン配線、8…ドレインコンタクト、9…ソースコンタクト、10…ソース配線、10A…基板コンタクト部分、10B…配線部分、11…基板コンタクト領域、12…ソース・基板コンタクト、Csub_db…ドレイン結合基板容量、Csub_gb…ゲート結合基板容量、Cc_db…ドレイン配線・基板結合容量、Cc_gb…ゲート配線・基板結合容量、Cc_gd…ゲート・ドレイン配線結合容量、Cc_gs…ゲート・ソース配線結合容量、Cgb_int…内在的ゲート・基板容量、Cgd_int…内在的ゲート・ドレイン容量、Cgs_int…内在的ゲート・ソース容量、Cgd_ov…ゲートとドレインのオーバーラップ結合容量、Cgs_ov…ゲートとソースのオーバーラップ結合容量、Cj_db…ドレイン・基板接合容量、Cj_sb…ソース・基板接合容量、D0…ドレイン引き出し端子、G0…ゲート引き出し端子、Ld_layout…ドレイン配線のインダクタンス成分、Lg_layout…ゲート配線のインダクタンス成分、Ls_layout…ソース配線のインダクタンス成分、Mi…内在的トランジスタ部、Rsub1…ドレイン基板抵抗、Rsub2,Rsub3…ソース・ドレイン基板抵抗、Rsub4…ソース基板抵抗、Rsub1y_layout(y=1,2,3,4)…基板抵抗のレイアウト成分、Rsuby_NQS(y=1,2,3,4)…基板抵抗のNQS成分、Rsub_db…ドレイン結合基板抵抗、Rsub_gb…ゲート結合基板抵抗、Rch…チャネル抵抗、Rd…ドレイン抵抗、Rd_layout…ドレイン配線抵抗のレイアウト成分、Rds…出力抵抗、Rg_NQS…NQSゲート抵抗、Rg_em…ゲート抵抗の電磁界効果成分、Rg_layout…ゲート抵抗のレイアウト成分、Rg_total…全ゲート抵抗、Rg0…ゲート抵抗、Rs…ソース抵抗、Rs_layout…ソース配線抵抗のレイアウト成分、S0…ソース引き出し端子、bi…内在的バックバイアスノード、di…内在的ドレインノード、gds…ドレインコンダクタンス、gi…内在的ゲートノード、gm…相互コンダクタンス、si…内在的ソースノード

Claims (14)

  1. 半導体基板に形成されているソース領域およびドレイン領域ならびにゲート電極を有するトランジスタ部と、前記ソース領域に接続されているソース配線と、前記ドレイン領域に接続されているドレイン配線と、前記ゲート電極に接続されているゲート配線とを有する高周波トランジスタに対し、前記ソース領域およびドレイン領域ならびに前記ゲート電極の各電圧供給ノードから高周波半導体回路のトランジスタユニットの各電極引き出しノードまでの配線およびコンタクトを最適化するための高周波トランジスタの設計方法であって、
    前記配線およびコンタクトの構成に応じて変化する等価回路パラメータのうち、前記ゲート配線、前記ソース配線および前記ドレイン配線の各配線間の結合容量、ならびに、各配線と半導体基板と間の結合容量について、前記高周波トランジスタの高周波特性に対する感度を測定する感度測定ステップと、
    前記感度に基づいて、前記ゲート配線、前記ソース配線およびドレイン配線の階層レベルを各々決定するレベル決定ステップと、
    決定した各階層レベルにおける前記ゲート配線、前記ソース配線およびドレイン配線のパターンと、各配線間あるいは配線と前記トランジスタ部とを接続するコンタクトの配置と大きさとを設計する配線部設計ステップと
    を含む高周波トランジスタの設計方法。
  2. 前記レベル決定ステップにおける前記決定の結果、前記ドレイン配線が前記ゲート配線より上層の場合、前記配線部設計ステップにおいて、前記ドレイン配線を前記ドレイン領域に接続するドレインコンタクトの寸法、および、前記ドレインコンタクトと前記ゲート配線との距離に、半導体製造プロセスの最小寸法を適用する
    請求項1に記載の高周波トランジスタの設計方法。
  3. 前記感度測定ステップにおける前記測定の結果、前記ドレイン配線と前記半導体基板との結合容量を小さくすべきときに、前記レベル決定ステップにおいて、前記ドレイン配線が前記ゲート配線よりも上層となるように各配線の階層レベルを各々決定する
    請求項1に記載の高周波トランジスタの設計方法。
  4. 前記感度測定ステップにおける前記測定の結果、前記ドレイン配線と前記ソース配線との結合容量を小さくすべきときに、前記レベル決定ステップにおいて、前記ソース配線と前記ドレイン配線が異なる階層となるように各配線の階層レベルを各々決定する
    請求項1に記載の高周波トランジスタの設計方法。
  5. 前記トランジスタ部を設計するトランジスタ設計ステップをさらに含み、
    前記感度測定のステップに用いた前記ドレイン配線と半導体基板との結合容量値の下では、前記結合容量と半導体基板の抵抗との直列回路において消費電力が最大値をとる場合、当該最大値から消費電力が小さくなるように半導体基板の抵抗値の修正値、前記ドレイン配線と半導体基板との結合容量の修正値の少なくとも一方を求め、求めた修正値を前記トランジスタ設計ステップ、前記感度測定ステップ、前記接続部設計ステップの少なくとも一つに反映させる
    請求項1に記載の高周波トランジスタの設計方法。
  6. 前記感度測定ステップにおいて、高周波特性のシミュレーション時に前記高周波トランジスタをコンピュータ上で表現するための高周波トランジスタモデルとして、高周波トランジスタの内在的(intrinsic)トランジスタ部と、前記内在的トランジスタ部に接続され、前記トランジスタユニットの電極、配線およびコンタクトのレイアウトの変更に応じて変化するレイアウトパラメータを含む寄生的回路と、を有する高周波トランジスタモデルを用い、前記レイアウトパラメータを各種変更して行うシミュレーションの結果から当該レイアウトパラメータの前記高周波特性に対する感度を測定する
    請求項1に記載の高周波トランジスタの設計方法。
  7. 前記内在的トランジスタ部に接続され、前記高周波トランジスタのチャネル内走行キャリアの時間遅れを示す非準静的パラメータを含む在外的(extrinsic)回路を
    さらに含む請求項6に記載の高周波トランジスタの設計方法。
  8. 前記寄生的回路は、半導体基板と前記ソース配線との結合容量、半導体基板と前記ドレイン配線との結合容量、各結合容量から半導体基板の基準電位までの基板内抵抗と基板内容量、前記ゲート配線と前記ドレイン配線の結合容量、および、前記ゲート配線と前記ソース配線との結合容量を含む
    請求項6に記載の高周波トランジスタの設計方法。
  9. 前記内在的トランジスタ部のパラメータであるゲート・ドレイン容量とゲート・ソース容量がバイアス依存性を有する
    請求項6に記載の高周波トランジスタの設計方法。
  10. 前記高周波トランジスタのゲート電極は、それぞれが実効的なゲート部となる複数のフィンガー部を有する
    請求項1に記載の高周波トランジスタの設計方法。
  11. 半導体基板に形成されているソース領域およびドレイン領域、ならびに、マルチフィンガーを持つゲート電極を有するトランジスタ部と、前記ソース領域に接続されているソース配線と、前記ドレイン領域に接続されているドレイン配線と、前記ゲート電極に接続されているゲート配線とを有する高周波トランジスタであって、
    前記ドレイン配線と半導体基板との結合容量を小さくするために、前記ドレイン配線を前記ゲート配線より上層に配置し、前記ドレイン配線を前記ドレイン領域に接続するドレインコンタクトの寸法、および、前記ドレインコンタクトと前記ゲート配線との距離に、半導体製造プロセスの最小寸法を適用している
    マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタ。
  12. 半導体基板に形成されているソース領域およびドレイン領域、ならびに、マルチフィンガーを持つゲート電極を有するトランジスタ部と、前記ソース領域に接続されているソース配線と、前記ドレイン領域に接続されているドレイン配線と、前記ゲート電極に接続されているゲート配線とを有する高周波トランジスタであって、
    前記ドレイン配線と前記ゲート配線との結合容量を小さくするために、前記ドレイン配線が前記ゲート配線よりも上層に配置されている
    マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタ。
  13. 半導体基板に形成されているソース領域およびドレイン領域、ならびに、マルチフィンガーを持つゲート電極を有するトランジスタ部と、前記ソース領域に接続されているソース配線と、前記ドレイン領域に接続されているドレイン配線と、前記ゲート電極に接続されているゲート配線とを有する高周波トランジスタであって、
    前記ドレイン配線と前記ソース配線との結合容量を小さくするために、前記ソース配線と前記ドレイン配線が異なる階層に配置されている
    マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタ。
  14. 半導体基板に形成されているソース領域およびドレイン領域、ならびに、マルチフィンガーを持つゲート電極を有するトランジスタ部と、前記ソース領域に接続されているソース配線と、前記ドレイン領域に接続されているドレイン配線と、前記ゲート電極に接続されているゲート配線とを有する高周波トランジスタであって、
    前記ゲート配線、前記ドレイン配線または前記ソース配線と前記半導体基板との結合容量値の下では、当該結合容量と半導体基板の抵抗との直列回路において消費電力が最大値をとる場合、当該最大値から消費電力が小さくなるように半導体基板の抵抗値、各配線と半導体基板と間の結合容量値の少なくとも一方が決められている
    マルチフィンガーゲートを有する高周波トランジスタ。
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