JP2006105596A - 放射線像変換パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】 画質の良好な再生放射線画像を与える放射線像変換パネルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 基板上に気相堆積法により形成された多数の蛍光体柱状物が並立する蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、蛍光体柱状物の頂面における平均柱径が0.1乃至50μmの範囲にあり、かつ最大でも、該蛍光体柱状物の頂面での柱径が200μmを越えないことを特徴とする放射線像変換パネル。蛍光体層の気相堆積の開始に先立って、蒸発源全体を充分な溶融状態におくことにより、上記の放射瀬像変換パネルが製造できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、蓄積性蛍光体を利用する放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル、およびその製造方法に関するものである。
X線などの放射線が照射されると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線などの励起光の照射を受けると、蓄積した放射線エネルギーに応じて発光を示す性質を有する蓄積性蛍光体(輝尽発光を示す輝尽性蛍光体等)を利用して、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射線画像記録再生方法が広く実用に供されている。読み取りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。
放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基本構造として、支持体とその上に設けられた蛍光体層とからなるものである。
蛍光体層としては、蓄積性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるもの、真空蒸着などの気相堆積法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで蓄積性蛍光体の凝集体のみから構成されるものなどが知られている。
放射線画像記録再生方法(および放射線画像形成方法)は上述したように数々の優れた利点を有する方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれている。
蛍光体層を気相堆積法で形成する前記の方法は、感度および画質を高めることを目的として発明された技術である。気相堆積法には蒸着法やスパッタ法などがあり、例えば蒸着法は、蛍光体またはその原料からなる蒸発源を抵抗加熱器や電子線の照射により加熱して蒸発源を蒸発、飛散させ、金属シートなどの基板の表面にその蒸発物を堆積させることにより、多数の蛍光体柱状物が並立する蛍光体層を形成するものである。
気相堆積法により形成された蛍光体層は、結合剤を含有せず、蛍光体のみからなり、蛍光体柱状物間には空隙が存在する。このため、励起光の進入効率や発光光の取出し効率を上げることができるので高感度であり、また励起光の平面方向への散乱を防ぐことができるので高鮮鋭度の画像を得ることができる。
特許文献1には、蒸着により形成されたCsBr:Euなどのアルカリハライド蛍光体からなる層には、大粒子の成長により不均質な点状の部分が生じて層厚が一定にならないことが記載されている。そして、この理由から、蒸発源として使用する蛍光体の少なくとも30重量%を基板上に蒸着させた後、得られた蛍光体層を研磨剤で研磨して層厚を均一にすることが提案されている。
国際公開第WO 02/20868A1号パンフレット
放射線像変換パネルの蛍光体層を蒸着法などの気相堆積法により形成すると、前記のように柱状構造の蛍光体からなる蛍光体層が得られ、蛍光体柱状物の頂面での平均柱径は数μm乃至数十μmとある。しかしながら、柱状物の成長過程において、その柱状物が局所的に異常に成長したり、隣接する柱状物が互いに融合することがある。本発明者の研究によると、この異常成長した柱状物(異常結晶、Hillockとも言う)の頂面の柱径が放射線像変換パネル読み取り時の画素サイズや画像再生時の画像サイズを越えてしまうと、再生された放射線画像上でも点欠陥として目立つようになり、放射線画像を利用する各種の診断や検査に支障を来すことが分かった。
図1は、従来の放射線像変換パネルの蛍光体層表面を示す電子顕微鏡写真(倍率:150倍)であり、図2は、その蛍光体層の断面の一部を示す電子顕微鏡写真(倍率:500倍)である。図1及び図2に示すように、従来の放射線像変換パネルの蒸着法により形成された蛍光体層では蛍光体柱状物が異常に成長して、その頂面に柱状径が200μmを越える異常結晶が現れている。
図3は、上記従来の放射線像変換パネルを用いて得られた再生画像の一部を示す電子顕微鏡写真(倍率:35倍)である。図3に示すように、このパネルを用いて放射線画像情報の読み取りを行うと(画素サイズ:100μm、画像サイズ:200μm)、蛍光体層の異常結晶が再生放射線画像上でも点欠陥として現われ、この再生放射線画像を利用する医療診断などに障害をもたらす。
例えば、胸部放射線撮影では通常、放射線像変換パネル読み取り時の画素サイズが100μmピッチであり、再生時の画像サイズが200μmピッチである。従って、特に胸部放射線撮影等の医療診断用放射線撮影に用いる放射線像変換パネルでは、その蛍光体層の蛍光体柱状物の頂面の最大柱径が200μmを越えることによって、重大な障害が発生する。
従って、本発明は、画質の良好な放射線画像を与える放射線像変換パネルを提供することにある。
また、本発明は、画質の良好な放射線画像を与える放射線像変換パネルの製造方法を提供することにもある。
本発明者は、上述した問題についてさらに検討を重ねた結果、蛍光体層中で蛍光体柱状物が異常に成長して生じる異常結晶(通常は、蛍光体柱状物の頂面付近での融合体)は、蒸着に先立って蒸発源全体を充分に加熱溶融することからなる前処理を行って、蒸発物質の大きな突沸やスプラッシュ(跳ね掛け)を防ぐことにより回避できることを見い出し、本発明に至ったものである。
従って、本発明は、基板上に気相堆積法により形成された多数の蛍光体柱状物が並立する蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、該蛍光体柱状物の頂面における平均柱径が0.1乃至50μmの範囲にあり、かつ最大でも、該蛍光体柱状物の頂面での柱径が200μmを越えないことを特徴とする放射線像変換パネルにある。
本発明の放射線像変換パネルは、蛍光体もしくはその原料を含む蒸発源を充填した容器を蒸着装置内に設置した状態で、該蒸着装置内雰囲気を0.1乃至10Paの圧力範囲に調整し、次いでこの圧力範囲の雰囲気にて、蒸発源を充填した容器を、蒸発源全体が溶融状態になるまで加熱する前処理を行なった後、蒸発源から蒸発する物質を基板上に蒸着させる操作を開始し、次いで所定の層厚になるまで蒸着操作を続けることにより容易に製造することができる。
本発明の製造方法によれば、蒸着に先立って蒸発源を全体が溶融状態になるまで充分に熱処理する処理(前処理)を施すことにより、蛍光体柱状物の異常成長を有効に防止して、再生放射線画像に点欠陥となって影響を及ぼすような異常結晶が実質的に存在しない蛍光体層を形成することができる。また、蛍光体層中に蛍光体柱状物の頂面での径が200μmを越えるような異常結晶を含まない本発明の放射線像変換パネルは、画質の良好な放射線画像を与え、従って医療用放射線画像診断、特に胸部診断に有利に使用することができる。
本発明の放射線像変換パネルにおいて、蛍光体層は蛍光体柱状物の頂面での径が100μmを越える異常結晶を含まないことが好ましい。
本発明の放射線像変換パネルは、胸部医療診断用であることが好ましい。
また、本発明の製造方法の前処理は、蒸発源を充填した容器を蒸着時の蒸発温度よりも高い温度に加熱して行うことが好ましい。特に、蒸発源を充填した容器を加熱して、蒸着時の蒸発温度よりも高い温度であってかつ下記式(1)を満足する温度Tp℃で、2乃至20分間保持して前処理を行うことが好ましい。

Tm+10 < Tp < Tm+150 ‥‥(1)
[ただし、Tpは蒸発源の前処理における加熱温度(℃)であり、Tmは蒸発源の融点(℃)である]
あるいは、蒸発源を充填した容器を加熱して蒸発源の融点Tm℃付近の温度で15乃至300分間保持し、更に加熱して蒸発源の蒸着時の蒸発温度で5乃至120分間保持して前処理を行うことが好ましい。そして、蒸発源を充填した容器を10℃/分以下の昇温速度で加熱することが好ましい。
蒸発源を充填した容器内の温度分布(容器内の蒸発源の中心部での温度と周縁部での温度差)を30℃以下にして前処理を行うことが好ましい。
蒸発源から蒸発した物質粒子が基板上に蒸着するまでに蒸着装置内の雰囲気ガス分子と衝突する回数は、1回以上、1000回以下であることが好ましい。
蒸着を抵抗加熱方式により行うことが好ましい。
以下に、本発明の放射線像変換パネルの蛍光体層について詳細に述べる。
本発明の放射線像変換パネルにおいて、気相堆積法により形成された蛍光体層は、多数の蛍光体柱状物が並立する構造からなり、かつ蛍光体柱状物の頂面での径が、最大でも200μmを越えることがないことを特徴とする。
隣接する蛍光体柱状物の隙間の平均距離は、発光光の広がりを有効に防ぐためには、特に蛍光体層表面側において、発光光の波長の1/3以上であることが好ましく、具体的には100nm乃至5μmの範囲にあることが好ましい。蛍光体柱状物の高さ(すなわち、蛍光体層の層厚)は、一般には50〜1000μmの範囲にあり、好ましくは200〜700μmの範囲にある。
次に、本発明の放射線像変換パネルの製造方法について、蛍光体が蓄積性蛍光体であり、抵抗加熱方式による蒸着法を用いる場合を例にとって詳細に述べる。
蒸着膜形成のための基板は、通常は放射線像変換パネルの支持体を兼ねるものであり、従来の放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができるが、特に好ましい基板は、石英ガラスシート、サファイアガラスシート;アルミニウム、鉄、スズ、クロムなどからなる金属シート;全芳香族ポリイミドなどからなる樹脂シートである。公知の放射線像変換パネルにおいて、パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。本発明で用いられる基板についても、これらの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。さらに、蒸着膜の柱状結晶性を高める目的で、基板の蒸着膜が形成される側の表面(基板の表面に下塗層(接着性付与層)、光反射層あるいは光吸収層などの補助層が設けられている場合には、それらの補助層の表面であってもよい)には微小な凹凸が形成されていてもよい。
蓄積性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲の励起光の照射により、300〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。
そのうちでも、基本組成式(I):

IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)

で代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は特に好ましい。ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し、MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し、そしてAはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Mg、Cu及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表す。X、X’およびX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。a、bおよびzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す。
上記基本組成式(I)において、zは1×10-4≦z≦0.1の範囲内にあることが好ましい。MIとしては少なくともCsを含んでいることが好ましい。Xとしては少なくともBrを含んでいることが好ましい。AとしてはEu又はBiであることが好ましく、そして特に好ましくはEuである。また、基本組成式(I)には、必要に応じて、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を添加物として、MIX1モルに対して、0.5モル以下の量で加えてもよい。
また、基本組成式(II):
IIFX:zLn ‥‥(II)
で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
上記基本組成式(II)中のMIIとしては、Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとしては、特にEu又はCeであることが好ましい。また、基本組成式(II)では表記上F:X=1:1のように見えるが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを示すものであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示すものではない。一般に、BaFX結晶においてX-イオンの空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された状態が、600〜700nmの光に対する輝尽効率を高める上で好ましい。このとき、FはXよりもやや過剰にあることが多い。
さらに、基本組成式(III):

IIS:A,Sm ‥‥(III)

で代表される希土類付活アルカリ土類金属硫化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIはMg、Ca及びSrからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表す。Aは、Eu及び/又はCeを表す。
さらに、基本組成式(IV):

IIIOX:Ce ‥‥(IV)

で代表されるセリウム付活三価金属酸化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIIはPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。
ただし、本発明において蛍光体は蓄積性蛍光体に限定されるものではなく、X線などの放射線を吸収して紫外乃至可視領域に(瞬時)発光を示す蛍光体であってもよい。そのような蛍光体の例としては、LnTaO4:(Nb,Gd)系、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、CsX系(Xはハロゲンである)、Gd22S:Tb、Gd22S:Pr,Ce、ZnWO4、LuAlO3:Ce、Gd3Ga512:Cr,Ce、HfO2等を挙げることができる。
多元蒸着(共蒸着)により蛍光体蒸着層を形成する場合には、蒸発源として、蓄積性蛍光体の母体成分を含むものと付活剤成分を含むものからなる少なくとも二個の蒸発源を用意する。多元蒸着は、蛍光体の母体成分と付活剤成分の融点や蒸気圧が大きく異なる場合に、その蒸発速度を各々制御して蛍光体母体中に付活剤を均一に含有させることができるので好ましい。各蒸発源は、所望とする蓄積性蛍光体の組成に応じて、蛍光体の母体成分および付活剤成分それぞれのみから構成されていてもよいし、添加物成分などとの混合物であってもよい。また、蒸発源は二個に限定されるものではなく、例えば別に添加物成分などからなる蒸発源を加えて三個以上としてもよい。
蛍光体の母体成分は、母体を構成する化合物それ自体であってもよいし、あるいは反応して母体化合物となりうる二以上の原料の混合物であってもよい。また、付活剤成分は、一般には付活剤元素を含む化合物であり、例えば付活剤元素のハロゲン化物や酸化物が用いられる。
付活剤がEuである場合に、付活剤成分のEu化合物におけるEu2+化合物のモル比はできるだけ高いことが好ましい。所望とする輝尽発光(あるいは瞬時発光であっても)はEu2+を付活剤とする蛍光体から発せられるからである。一般に、市販されているEu化合物には酸素混入のためにEu2+とEu3+が混合して含まれていることが多いが、このような場合には、予めEu化合物をBrガス雰囲気中で溶融処理して含有酸素を除去し、そして得られたEuBr2を用いることが望ましい。
蒸発源は、その含水量が0.5重量%以下であることが好ましい。蒸発源となる蛍光体母体成分や付活剤成分が、例えばEuBr、CsBrのように吸湿性である場合には特に、含水量をこのような低い値に抑えることは突沸防止などの点から重要である。蒸発源の脱水は、上記の各蛍光体成分を減圧下で100〜300℃の温度範囲で加熱処理することにより行うことが好ましい。あるいは、各蛍光体成分を窒素ガス雰囲気などの水分を含まない雰囲気中で、該成分の融点以上の温度で数十分乃至数時間加熱溶融してもよい。
さらに、本発明において、蒸発源、特に蛍光体母体成分を含む蒸発源は、アルカリ金属不純物(蛍光体の構成元素以外アルカリ金属)の含有量が10ppm以下であり、そしてアルカリ土類金属不純物(蛍光体の構成元素以外アルカリ土類金属)の含有量が5ppm(重量)以下であることが望ましい。とりわけ、蛍光体が前記基本組成式(I)を有するアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である場合には望ましい。このような蒸発源は、アルカリ金属やアルカリ土類金属など不純物の含有量の少ない原料を使用することにより調製することができる。
本発明においては、例えば図4に示したような抵抗加熱器を備えた蒸着装置を用いて、基板上に蛍光体の蒸着膜を形成することができる。
図4は、本発明の製造方法に用いられる蒸着装置の構成例を示す概略断面図である。図4において、蒸着装置は、チャンバ1、基板加熱ヒータ2、基板保持部材3、シャッタ5、抵抗加熱器6、7、加熱容器6a、7a、ガス導入管8、蒸着速度モニタ9、真空計10、ガス分析計11、主排気バルブ12、および補助排気バルブ13から構成される。
上記の複数の蒸発源を、図4の蒸着装置の抵抗加熱器6、7の加熱容器6a、7aにそれぞれ充填する。また、基板4を基板保持部材3に保持させて固定する。装置のチャンバ1内を、主排気バルブ12および補助排気バルブ13により排気して、0.1〜10Pa程度の中真空度とする。好ましくは0.1〜4Paの真空度にする。特に好ましくは、チャンバ1内を排気して、一旦、1×10-5〜1×10-2Pa程度の高真空度とした後、ガス導入管8よりArガス、Neガス、N2ガスなどの不活性ガスを導入して不活性ガスの圧力を0.1〜10Pa、好ましくは0.1〜4Paにする。これにより、装置内の水分圧や酸素分圧等を下げることができる。真空度は真空計10にて検出され、ガス分圧はガス分析計11にて検出される。排気装置としては、ロータリーポンプ、ターボ分子ポンプ、ディフュージョンポンプ、クライオポンプ、メカニカルブースタ等を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の製造方法においては、蒸着に先立って蒸発源に前処理を行う。前処理は、蒸発源を充填した加熱容器6a(及び7a)を蒸発源の融点以上でかつ蒸着時の蒸発温度以上に加熱して、蒸発源を完全に溶融させることからなる。ただし、柱状結晶を構成するのは蛍光体の母体成分であるので、少なくとも蛍光体母体成分を含む蒸発源に前処理を行えばよい。蛍光体の付活剤成分は微量であるので、特には前処理を必要としない。本発明における前処理方法としては、下記の二つの前処理方法を好ましく用いることができる。
(前処理1)
抵抗加熱器6に電流を流し、蛍光体母体成分を含む蒸発源の加熱容器6a(及び7a)を、蒸発源の融点Tm℃以上であって蒸着時の蒸発温度T℃よりも高い温度に加熱する。例えば、蛍光体母体成分がCsBrであるとき、その融点Tmは、636(℃)であり、中真空度(0.1〜10Pa)での蒸発温度Tは680(℃)である。好ましくは、T℃よりも高い温度であってかつ下記式(1)を満足する温度Tp℃に加熱する。この温度での保持時間は、一般には2乃至20分間であり、好ましくは5乃至15分間である。

Tm+10 < Tp < Tm+150 ‥‥(1)
[ただし、Tpは蒸発源の前処理温度(℃)であり、Tmは蒸発源の融点(℃)である]
具体的には、まず蒸発源を充填した容器を3乃至30分間かけて300℃付近まで加熱し、次いで0.5乃至30分間で最高温度Tp℃まで加熱し、Tp℃を2乃至20分間、好ましくは5乃至15分間保持した後、0.5乃至30分間かけて蒸着時の蒸発温度T℃まで下げる。
図5〜図7に、CsBr蒸発源の前処理と、形成したCsBr:Eu蛍光体層表面に現れた異常結晶のサイズとの関係を示す。
図5は、CsBr蒸発源の平均温度(℃)と最大の蛍光体柱状物の頂面での径(μm)との関係を示すグラフである。図5から、CsBr蒸発源(Tm=636℃)の最高前処理温度Tpを上記式(1)の範囲内とすることが好ましいことが分かる。
図6は、CsBr蒸発源の容器内での温度分布(℃、容器内の蒸発源の中心部の温度と蒸発源が容器内壁に近接する位置での温度との差)と異常径の蛍光体柱状物(頂面での径:μm)との関係を示すグラフである。図6のグラフから、蒸発源溶融物の容器内での温度分布は、一般には30℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは10℃以下であることが分かる。
図7は、CsBr蒸発源の溶融時間(分)と異常径の蛍光体柱状物(μm)との関係を示すグラフである。図7のグラフから、溶融時間は3乃至15分間であることが好ましいことが分かる。これより、上記した最高温度での保持時間が決定された。
(前処理2)
抵抗加熱器6に電流を流し、蛍光体母体成分を含む蒸発源の加熱容器6a(及び7a)を蒸発源の融点Tm℃付近の温度まで加熱した後、この温度で15乃至300分間、好ましくは30乃至300分間保持し、次いで蒸着時の蒸発温度T℃まで加熱した後、この温度で5乃至120分間、好ましくは15乃至120分間保持する。昇温速度は10℃/分以下であることが好ましい。
蛍光体結晶の異常成長によって発生する点欠陥は、蒸発源から蒸発する物質の突沸やスプラッシュ(跳ね掛け)を起点として、蒸発粒子のゆらぎによって大きくなると考えられる。そして、異常結晶(Hillock:異常に成長あるいは頂面付近が融着した蛍光体柱状物)のサイズは、この起点の大きさ、異常結晶の形状および蒸着膜の膜厚によって決まる。よって、蒸着前に上述した前処理を行って蒸発源を充分に溶融させておくことにより、大きな突沸やスプラッシュを防ぐことができる。
一方、蒸発粒子(蒸発流)のゆらぎは、蒸発源から蒸発した蒸発粒子が基板に達するまでに装置内の不活性ガス分子など雰囲気ガス分子と衝突しうる回数を一定範囲内とすることにより、好適に抑制することができる。この蒸発粒子と雰囲気ガス分子との衝突回数は、次のようにして求めることができる。蒸発が平衡状態にあり、蒸発流が粘弾性流領域にあるとすると、ランダムウォークに基づいて、下記関係式(2)が成立する。

(t/τ) = (LTS/λ)2 ‥‥(2)
[ただし、LTSは蒸発源と基板の間の距離(m)であり、λは平均自由行程(m)であり、tは蒸発粒子が蒸発源から蒸発したのち基板に達するまでにかかる時間(秒)であり、τは蒸発粒子が平均自由工程を進むのにかかる時間(秒)である]
ここで、平均自由工程λは下記式(3)で表され、装置内の雰囲気ガスの圧力によって決まる。

λ = kT√(μ/m a ‥‥(3)
(πPbab 2
[ただし、kはボルツマン定数、Tは蒸発分子の温度(K)、maは蒸発分子の質量、mbは雰囲気ガス分子の質量、μは換算質量mab/(ma+mb)、Pbは雰囲気ガスの圧力(Pa)、そしてdabは蒸発分子の直径と蒸着雰囲気ガス分子の直径の平均である]
従って、上記式(2)及び(3)から、衝突回数t/τは雰囲気ガスの圧力Pbと基板−蒸発源間の距離LTSによって決まることが分かる。
図8は、CsBr蒸発粒子と雰囲気ガス(Arガス)分子の衝突回数(回)と、異常径柱状物の頂面での径(μm)との関係を示すグラフである。図8のグラフから、衝突回数を1000回以下とすることが好ましいことが分かる。
すなわち、蒸発粒子が基板に達するまでに雰囲気ガス分子と衝突する回数は、1乃至1000回の範囲にあることが好ましい。衝突回数が0では蒸着膜が独立した柱状構造をとらない。よって、蒸発源と基板との距離は、基板のサイズ等によっても異なるが、一般に10乃至1000mmの範囲にあり、各蒸発源間の距離は10乃至1000mmの範囲にある。
次に、抵抗加熱方式により蒸着を行う。抵抗加熱方式は、中程度の真空度で蒸着を行うことができ、柱状構造の良好な蒸着膜を容易に得られる利点がある。上記の前処理を行ったのち連続して、加熱容器6aを蒸発温度T℃にする。同時に、抵抗加熱器7にも電流を流して加熱容器7aを加熱する。これにより、蒸発流を安定させ、一定の速度で蒸着させて均質な蒸着膜を形成することができる。
蒸発源である蓄積性蛍光体の母体成分や付活剤成分は加熱されて蒸発し、その後、反応を生じて蛍光体を形成するとともに基板4の表面に堆積する。このとき、基板4を基板加熱ヒータ2により裏面から加熱してもよい。あるいは基板4を冷却してもよい。基板温度は、一般には20乃至350℃の範囲にあり、好ましくは100乃至300℃の範囲にある。各蒸発源の蒸着速度は、加熱器の抵抗電流などを調整することにより制御することができる。蒸着中、各成分の蒸着速度は蒸着速度モニタ9により随時検出される。蛍光体の堆積する速度、すなわち蒸着速度は、一般には0.1乃至1000μm/分の範囲にあり、好ましくは1乃至100μm/分の範囲にある。
なお、抵抗加熱器による加熱を複数回に分けて行って二層以上の蛍光体層を形成することもできる。蒸着終了後に蒸着膜を熱処理(アニール処理)してもよい。熱処理は、一般には100℃乃至300℃の温度で0.5乃至3時間かけて行い、好ましくは150℃乃至250℃の温度で0.5乃至2時間かけて行う。熱処理雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、もしくは少量の酸素ガス又は水素ガスを含む不活性ガス雰囲気が用いられる。
蛍光体からなる蒸着膜を形成するに先立って、蛍光体母体化合物のみからなる蒸着膜を形成してもよい。この母体化合物の蒸着膜は、一般に柱状物または球状物の凝集体となり、この上に形成される蛍光体蒸着膜の柱状結晶性をより一層良好にすることができる。なお、蒸着時の基板加熱および/または蒸着後の熱処理によっては、蛍光体蒸着膜中の付活剤など添加物が母体化合物蒸着膜中に拡散するために両者の境界は必ずしも明確ではない。
一元蒸着の場合には、蒸発源として蛍光体自体または蛍光体原料混合物を用いて、これを単一の抵抗加熱器で加熱する。蒸発源は予め、所望の濃度の付活剤を含有するように調製する。もしくは、蛍光体母体成分と付活剤成分との蒸気圧差を考慮して、蒸発源に蛍光体母体成分を補給しながら蒸着を行うことも可能である。
このようにして、蛍光体の柱状結晶がほぼ厚み方向に成長し、異常成長した蛍光体柱状物が見られない蛍光体層が得られる。この蛍光体層では、隣接する蛍光体柱状物間には空隙が存在する。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蒸着法の実施手段や条件などによっても異なるが、通常は50μm〜1mmの範囲にあり、好ましくは200μm〜700μmの範囲にある。
なお、基板は必ずしも放射線像変換パネルの支持体を兼ねる必要はなく、蛍光体層形成後、蛍光体層を基板から引き剥がし、別に用意した支持体上に接着剤を用いるなどして接合して、支持体上に蛍光体層を設けて放射線像変換パネルを製造することもできる。
本発明に用いられる気相堆積法は、上記の抵抗加熱方式による蒸着法に限定されるものではなく、電子線照射方式による蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着(CVD)法など公知の各種の方法を利用することができる。
蛍光体層の表面には、放射線像変換パネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のために、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光の入射や発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保護することができるように、化学的に安定で防湿性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
[実施例1]
(1)蒸発源
蒸発源として、純度4N以上の臭化セシウム(CsBr:融点、636℃)粉末、および純度3N以上の臭化ユーロピウム(EuBr2)粉末を用意した。各粉末中の微量元素をICP−MS法(誘導結合高周波プラズマ分光分析−質量分析法)により分析した結果、CsBr中のCs以外のアルカリ金属(Li、Na、K、Rb)は各々10ppm以下であり、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)など他の元素は2ppm以下であった。また、EuBr2中のEu以外の希土類元素は各々20ppm以下であり、他の元素は10ppm以下であった。これらの粉末は、吸湿性が高いので露点−20℃以下の乾燥雰囲気を保ったデシケータ内で保管し、使用直前に取り出すようにした。
(2)蛍光体層の形成
支持体として、順にアルカリ洗浄、純水洗浄、およびイソプロピルアルコール洗浄を施したガラス基板4を用意し、図4に示した蒸着装置内の基板保持部材3に設置した。上記CsBr蒸発源を抵抗加熱器6の坩堝容器6aに、EuBr2蒸発源を抵抗加熱器7の坩堝容器7aにそれぞれ充填した。基板4と各蒸発源との間の距離を150mmとした。次に、チャンバ1内を主排気バルブ12および補助排気バルブ13により排気して、1×10-3Paの真空度とした。このとき、真空排気装置としてロータリポンプ、メカニカルブースタおよびターボ分子ポンプの組合せを用いた。ガス導入管8よりチャンバ1内にArガス(純度5N)を導入して、1.0Paの真空度(Arガス圧)とした。基板加熱ヒータ2でガラス基板4を100℃に加熱した。
基板4と各蒸発源との間に設けられたシャッタ5を閉じた状態で、抵抗加熱器6に50Aの電流を10分間流してCsBr蒸発源の坩堝容器6a内の温度を約300℃にした。次いで、電流値70Aに変え、蒸発源の温度(容器内壁に近接する位置での温度)を700℃にした状態で15分間維持し、CsBr蒸発源全体を溶融状態とした。このとき、容器6a内の溶融状態でのCsBr蒸発源の温度分布(蒸発源の中央部と周縁部との間の温度差)は1℃であった。次に、電流値65Aで10分間維持して容器6a内の温度を蒸発温度(680℃)にした。このようにして前処理を行った。
続けて、抵抗加熱器7でEuBr2蒸発源の坩堝容器7aも加熱した後、まずCsBr蒸発源側のシャッタ5だけを開き、基板4の表面にCsBr蛍光体母体を堆積させて被覆層を形成した。その3分後に、EuBr2蒸発源側のシャッタ5も開き、被覆層上にCsBr:Eu輝尽性蛍光体を堆積させた。堆積は10μm/分の速度で行った。また、各抵抗加熱器6、7の電流値を調整して、輝尽性蛍光体におけるEu/Csモル濃度比が0.003/1となるように制御した。蒸着終了後、装置内を大気圧に戻し、装置から基板を取り出した。基板上には、蛍光体の柱状結晶がほぼ垂直方向に密に林立した構造の蓄積性蛍光体層(層厚:500μm、面積10cm×10cm)が形成されていた。なお、この蒸着工程での蒸発源から蒸発した物質粒子が基板上に蒸着するまでに蒸着装置内の雰囲気ガス分子と衝突する回数(蒸発粒子衝突回数)は506回(計算値)である。
このようにして、共蒸着により支持体と蓄積性蛍光体層とからなる本発明に従う放射線像変換パネルを製造した。
[実施例2]
実施例1において、前処理における蒸発源の温度を700℃にした状態で10分間維持して、CsBr蒸発源全体を溶融状態としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の各種の放射線像変換パネルを製造した。溶融状態での蒸発源の中央部と周縁部との間の温度差は3℃であった。
[実施例3]
実施例1において、前処理における蒸発源の温度を700℃にした状態で5分間維持して、CsBr蒸発源全体を溶融状態としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の各種の放射線像変換パネルを製造した。溶融状態での蒸発源の中央部と周縁部との間の温度差は10℃であった。
[実施例4]
実施例1において、前処理における電流値を70Aから75Aに変え、蒸発源の温度を775℃にした状態で5分間維持して、CsBr蒸発源全体を溶融状態としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の各種の放射線像変換パネルを製造した。溶融状態での蒸発源の中央部と周縁部との間の温度差は24℃であった。
[実施例5]
実施例1において、蒸着装置内の真空度を0.13×10-3Paとし、前処理における蒸発源の温度を685℃にした状態で3分間維持して、CsBr蒸発源全体を溶融状態としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の各種の放射線像変換パネルを製造した。溶融状態での蒸発源の中央部と周縁部との間の温度差は29℃であった。蒸着時の蒸発粒子衝突回数は9回(計算値)である。
[実施例6]
実施例1において、蒸着装置内の真空度を0.67×10-3Paとし、前処理における蒸発源の温度を685℃にした状態で3分間維持して、CsBr蒸発源全体を溶融状態としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の各種の放射線像変換パネルを製造した。蒸着時の蒸発粒子衝突回数は225回(計算値)である。
[実施例7]
実施例1において、蒸発源の前処理を下記のように行ったこと以外は実施例1と同様にして、本発明の放射線像変換パネルを製造した。
抵抗加熱器6に50Aの電流を10分間流してCsBr蒸発源の坩堝容器6a内の温度を約300℃にした。次いで、電流値60Aにして、蒸発源の温度(容器内壁に近接する位置での温度)を640℃にして60分間維持し、CsBr蒸発源全体を溶融状態とした。電流値65Aで30分間維持して容器内温度を蒸発温度(680℃)にした。溶融状態での蒸発源の中央部と周縁部との間の温度差は0℃であった。
[比較例1]
実施例1において、蒸発源の前処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、放射線像変換パネルを製造した。
[放射線像変換パネルの性能評価]
得られた各放射線像変換パネルについて以下のようにして評価を行った。
(1)蛍光体層の異常結晶(Hillock)
放射線像変換パネルの蛍光体層表面を、走査型電子顕微鏡(JSM−5400型、日本電子(株)製)を用いて写真撮影し、得られた写真に基づいて異常結晶(頂面が異常径の蛍光体柱状物)の有無およびそのサイズ(頂面の径)を測定した。
(2)放射線画像の点欠陥
放射線像変換パネルを室内光を遮蔽可能なカセッテに収納し、これにX線(10mR)を照射した。次いで、パネルをカセッテから取り出した後、ラインスキャン読取装置(励起光:He−Neレーザ光(波長:633nm)、CCDの受光面の大きさ=画素サイズ:100μm)を用いて、パネルから画像データを得、得られた画像データを画像再生装置(画像サイズ:200μm)により画像フィルムとして出力した。この出力フィルムを10人構成のパネルにより目視により観察してもらい、点欠陥を確認した人の数を調べた。
得られた結果をまとめて表1に示す。
表1
────────────────────────────────────
前 処 理 蛍光体柱状物の最大径 点欠陥確認数
────────────────────────────────────
実施例1 700℃、15分 20μm 0/10
実施例2 700℃、10分 30μm 0/10
実施例3 700℃、 5分 50μm 0/10
実施例4 775℃、 5分 150μm 2/10
実施例5 685℃、 3分 70μm 1/10
実施例6 685℃、 3分 100μm 1/10
実施例7 640℃、60分 30μm 0/10
────────────────────────────────────
比較例1 −−−− 650μm 10/10
────────────────────────────────────
表1に示した結果から、本発明の方法に従って蒸発源に前処理を行って製造した放射線像変換パネル(実施例1〜7)の蛍光体層にはいずれにも、200μmを越える異常結晶が無く、再生された放射線画像を示す画像フィルムも実用に充分適していた。一方、前処理を行わなかった従来の放射線像変換パネル(比較例1)は、200μmをはるかに上回る大きな異常結晶が生じ、その結果画像フィルムも実用に堪えなかった。
従来の放射線像変換パネルの蛍光体層表面の一部を示す電子顕微鏡写真である。 従来の放射線像変換パネルの蛍光体層断面の一部を示す電子顕微鏡写真である。 従来の放射線像変換パネルを用いて得られた再生画像の一部を示す電子顕微鏡写真である。 本発明に用いられる蒸着装置の構成例を示す概略断面図である。 CsBr蒸発源の容器内温度と異常結晶サイズとの関係を示すグラフである。 CsBr蒸発源の容器内温度分布と異常結晶サイズとの関係を示すグラフである。 CsBr蒸発源の溶融時間と異常結晶サイズとの関係を示すグラフである。 CsBr蒸発粒子とArガス分子の衝突回数と異常結晶サイズとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 チャンバ
2 基板加熱ヒータ
3 基板保持部材
4 基板
5 シャッタ
6、7 抵抗加熱器
6a、7a 加熱容器
8 ガス導入管
9 蒸着速度モニタ
10 真空計
11 ガス分析計
12 主排気バルブ
13 補助排気バルブ

Claims (12)

  1. 基板上に気相堆積法により形成された多数の蛍光体柱状物が並立する蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、該蛍光体柱状物の頂面における平均柱径が0.1乃至50μmの範囲にあり、かつ最大でも、該蛍光体柱状物の頂面での柱径が200μmを越えないことを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 蛍光体柱状物の頂面での最大柱径が100μmを越えない請求項1に記載の放射線像変換パネル。
  3. 頂面での柱径が最大の蛍光体柱状物が頂面付近で互いに融合した融合柱状物である請求項1もしくは2に記載の放射線像変換パネル。
  4. 蛍光体が蓄積性蛍光体である請求項1乃至3のいずれかの項に記載の放射線像変換パネル。
  5. 蓄積性蛍光体が、基本組成式(I):

    IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)

    [ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;AはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表し;そしてa、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す]
    を有するアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である請求項4に記載の放射線像変換パネル。
  6. 基本組成式(I)においてMIがCsであり、XがBrであり、AがEuであり、そしてzが1×10-4≦z≦0.1の範囲内の数値である請求項5に記載の放射線像変換パネル。
  7. 放射線像変換パネルが胸部医療診断用である請求項1乃至6のいずれかの項に記載の放射線像変換パネル。
  8. 蛍光体もしくはその原料を含む蒸発源を充填した容器を蒸着装置内に設置した状態で、該蒸着装置内雰囲気を0.1乃至10Paの圧力範囲に調整し、次いでこの圧力範囲の雰囲気にて、蒸発源を充填した容器を、蒸発源全体が溶融状態になるまで加熱する前処理を行なった後、蒸発源から蒸発する物質を基板上に蒸着させる操作を開始し、次いで所定の層厚になるまで蒸着操作を続けることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
  9. 蒸発源が少なくとも、蛍光体の母体を形成する化合物からなる母体蒸発源と付活剤からなる付活剤蒸発源の二種類からなり、このうち、少なくとも母体蒸発源について、その全体が溶融状態になるまで加熱する前処理を行なった後、該母体蒸発源から蒸発する物質と付活剤蒸発源とから蒸発する物質とを基板上に蒸着させる操作を開始し、次いで所定の層厚になるまで蒸着操作を続けることを特徴とする請求項8に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
  10. 前処理にて加熱されて溶融状態にある容器内の蒸発源の中心部での温度と周縁部での温度差を30℃以下となるように調整する請求項8もしくは9に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
  11. 蒸着操作を抵抗加熱方式により行う請求項8乃至10のいずれかの項に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
  12. 蒸発源から蒸発した物質粒子が基板上に蒸着するまでに蒸着装置内の雰囲気ガス分子と衝突する回数が1回以上で、1000回以下である請求項8乃至11のいずれかの項に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
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