JP2004233343A - 放射線像変換パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】 高感度であって、かつ高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルを提供する。
【解決手段】 気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層が柱状構造の蛍光体からなり、そして該柱状構造の柱径が蛍光体層の裏面側よりも表面側で大きく、かつ蛍光体の占有率が蛍光体層の裏面側と表面側で同じであるか、または裏面側よりも表面側で低いことを特徴とする放射線像変換パネル。
【選択図】 図1

Description

本発明は、蓄積性蛍光体を利用する放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルに関するものである。
X線などの放射線が照射されると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けると、蓄積した放射線エネルギーに応じて発光を示す性質を有する蓄積性蛍光体(輝尽発光を示す輝尽性蛍光体等)を利用して、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射線画像記録再生方法が広く実用に共されている。読み取りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。
放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基本構造として、支持体とその上に設けられた蛍光体層とからなるものである。ただし、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、蛍光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
蛍光体層としては、蓄積性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるもの、蒸着法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで蓄積性蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、および蓄積性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものなどが知られている。
また、上記放射線画像記録再生方法の別法として、従来の蓄積性蛍光体における放射線吸収機能とエネルギー蓄積機能とを分離して、少なくとも蓄積性蛍光体(エネルギー蓄積用蛍光体)を含有する放射線像変換パネルと、放射線を吸収して紫外乃至可視領域に発光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する蛍光スクリーンとの組合せを用いる放射線画像形成方法が提案されている(特許文献1)。この方法は、被検体を透過などした放射線をまず、該スクリーンまたはパネルの放射線吸収用蛍光体により紫外乃至可視領域の光に変換した後、その光をパネルのエネルギー蓄積用蛍光体にて放射線画像情報として蓄積記録する。次いで、このパネルに励起光を走査して発光光を放出させ、この発光光を光電的に読み取って画像信号を得るものである。このような放射線像変換パネルおよび蛍光スクリーンも、本発明に包含される。
放射線画像記録再生方法(および放射線画像形成方法)は上述したように数々の優れた利点を有する方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれている。
感度および画質を高めることを目的として、放射線像変換パネルの蛍光体層を気相堆積法により形成する方法が提案されている。気相堆積法には蒸着法やスパッタ法などがあり、例えば蒸着法は、蛍光体またはその原料からなる蒸発源を抵抗加熱器や電子線の照射により加熱して蒸発源を蒸発、飛散させ、金属シートなどの基板表面にその蒸発物を堆積させることにより、蛍光体の柱状結晶からなる蛍光体層を形成するものである。
気相堆積法により形成された蛍光体層は、結合剤を含有せず、蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。このため、励起光の進入効率や発光光の取出し効率を上げることができるので高感度であり、また励起光の平面方向への散乱を防ぐことができるので高鮮鋭度の画像を得ることができる。
特許文献2には、気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、蛍光体層の層厚が300乃至700μmの範囲にあり、かつ相対密度(蛍光体層の全体積に対して蛍光体が占める体積の比率)が85乃至97%の範囲にある放射線像変換パネルが開示されている。しかしながら、この特許文献2には、蛍光体層全体の占有率が記載されているだけである。
特許文献3には、鮮鋭度の向上を目的として、基板の温度を経時的に低くしながら、基板上に輝尽性蛍光体層を気相堆積法によって形成する放射線像変換パネルの製造方法が開示されている。この方法によれば、基板上に形成された輝尽性蛍光体の柱状結晶は結晶が成長して厚みが増しても太くならず、空隙が蛍光体層の表面まで達するパネルが得られると記載されている。
特開2001−255610号公報 特開2002−214397号公報 特許第3070940号公報
放射線像変換パネルの蛍光体層を気相堆積法により形成する場合に、画像のボケを防いで鮮鋭度の高い放射線画像を得るためには、蛍光体層は蛍光体の柱状結晶がその厚み方向に成長した充分な柱状構造を有して、柱と柱の間には空隙が存在していなければならない。空隙が少な過ぎると、読取光(励起光)および発光光の柱内部での反射、散乱が減少して鮮鋭度が低下する。特に、画像情報の読み取りをライン検出で行うときには発光光の広がりも鮮鋭度に影響するので、鮮鋭度が著しく低下することになる。一方、高い感度を得るためには、蛍光体層における蛍光体の相対密度を上げて高密度とする必要がある。医療診断などにおいては、このような鮮鋭度等の画質と感度という相反する両特性を、より一層改善することが望まれている。
従って、本発明は、高感度であって、かつ高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルを提供することにある。
本発明者は、従来技術に於ける上記の問題について検討した結果、各柱の柱径を蛍光体層の裏面側(通常は支持体側)と表面側(読み取り側)で変化させて、裏面側よりも表面側で大きくなるようにし、かつ蛍光体の占有率(蛍光体からなる柱の面積占有率)が少なくとも裏面側と表面側とで同じであるか、あるいは表面側を低くすることによって、結果として柱間の隙間が裏面側では狭く、表面側では広くなるので、蛍光体層の裏面側では、X線等の放射線及び読取光を支持体まで通過させずに蛍光体に効率良く吸収させることができ、これにより感度を高めることができる。同時に、表面側では読取光および発光光の平面方向への広がりを抑えて画像のボケを防ぎ、高鮮鋭度とすることができることを見い出し、本発明に到達した。
本発明は、気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層が柱状構造の蛍光体からなり、そして該柱状構造の柱径が蛍光体層の裏面側よりも表面側で大きく、かつ蛍光体の占有率が蛍光体層の裏面側と表面側で同じであるか、または裏面側よりも表面側で低いことを特徴とする放射線像変換パネルにある。
本発明において、柱状構造の柱径とは、蛍光体層を平面方向(層厚に垂直な方向)に切断した切断面における各柱の平均径を意味し、蛍光体層断面の走査型電子顕微鏡写真より測定し算出した値である。蛍光体層の裏面側とは、気相堆積法の実施において蛍光体の柱状結晶が成長し始めた側であって、通常は支持体側(基板側)を意味する。蛍光体層裏面側の柱径とは、蛍光体層裏面(支持体)から蛍光体層の全層厚の1/5の位置における平均径を意味する。また、蛍光体層の表面側とは、蛍光体の柱状結晶の成長が終了した側を意味し、通常は放射線の照射および読み取りが行われる側である。蛍光体層表面側の柱径とは、蛍光体層表面から蛍光体層の全層厚の1/5の位置における平均径を意味する。(図2参照)
蛍光体の占有率とは、蛍光体層を平面方向(層厚に垂直な方向)に切断した切断面における蛍光体からなる柱が占有する面積の割合を意味し、蛍光体層断面の走査型電子顕微鏡写真より測定し算出した値である。蛍光体層裏面側の占有率とは、蛍光体層裏面(支持体)から蛍光体層の全層厚の1/5の位置における蛍光体の占有率を意味し、蛍光体層表面側の占有率とは、蛍光体層表面から蛍光体層の全層厚の1/5の位置における蛍光体の占有率を意味する。(図2参照)
本発明の放射線像変換パネルの好ましい態様は、以下の通りである。
(1)柱状構造の柱径が実質的に蛍光体層の裏面側から表面側に向かって大きくなり、かつ蛍光体の占有率が実質的に蛍光体層の裏面側から表面側に向かって低くなっている。
(2)柱状構造の平均柱径が蛍光体層の裏面側および表面側のいずれにおいても0.1乃至50μmの範囲にある。
(3)蛍光体の占有率が蛍光体層の裏面側および表面側のいずれにおいても75乃至96%の範囲にある。
(4)蛍光体が、蓄積性蛍光体であり、特には下記基本組成式(I)を有するアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である。
IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)

[ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;AはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表し;そしてa、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す]
本発明の放射線像変換パネルは、気相堆積法により形成された柱状構造の蛍光体層の柱径が裏面側よりも表面側で大きく、かつ蛍光体の占有率が裏面側よりも表面側で低いかあるいは同じであることにより、高感度であって、鮮鋭度の優れた高画質の放射線画像を与え、医療診断に適している。
以下に、本発明の放射線像変換パネルについて、添付図面を参照しながら詳細に述べる。
図1は、本発明の放射線像変換パネルの蛍光体層の柱状構造の一例を概略的に示す部分断面図である。図1において、放射線像変換パネルは支持体(基板)1と蛍光体層2とから構成される。蛍光体層2は、気相堆積法により形成された蛍光体の柱状構造からなり、支持体1側(裏面側)では柱径の細い柱が密集し、柱が成長するにつれて次第に隣接する柱と互いに合体統合して、表面側では柱径の太い柱となっている。そして、柱間の隙間は裏面側で狭く、表面側で広い。
図2は、放射線像変換パネルの構成を模式的に示す断面図である。図2において、放射線像変換パネルは支持体11と気相堆積法により形成された蛍光体層12とからなり、aは蛍光体層の裏面であり、bは蛍光体層の表面であり、cは蛍光体層裏面から全層厚の1/5の位置における断面であり、dは蛍光体層表面から全層厚の1/5の位置における断面である。
図3の(1)は、図1に示した本発明に係る蛍光体層の裏面側断面cを模式的に示す平面図であって、(2)は、その表面側断面dを模式的に示す平面図である。図3の(1)と(2)を比較すると、蛍光体層裏面側と表面側とで柱径、蛍光体の占有率、および柱間の隙間は以下のようになっている。
蛍光体層裏面側 蛍光体層表面側
柱径 : 小さい < 大きい
占有率 : 高い > 低い
隙間 : 狭い < 広い
図4の(1)は、本発明に係る蛍光体層の別の例の裏面側断面cを模式的に示す平面図であり、(2)は、その表面側断面dを模式的に示す平面図である。図4の(1)と(2)を比較すると、蛍光体層裏面側と表面側とで柱径、蛍光体の占有率、および柱間の隙間は以下のようになっている。
蛍光体層裏面側 蛍光体層表面側
柱径 : 小さい < 大きい
占有率 : 同じ = 同じ
隙間 : 狭い < 広い
本発明において、蛍光体層の裏面側および表面側の柱径並びに蛍光体の占有率はそれぞれ、前述したように、蛍光体層裏面からその全層厚の1/5の位置(図2の断面c)および蛍光体層表面からその全層厚の1/5の位置(図2の断面d)における柱の平均径並びに面積占有率を意味する。これらの柱径および占有率は下記のようにして算出される。
収束イオンビーム(FIB)法等により、所望とする蛍光体層の断面(例えば、蛍光体層表面から全層厚の1/5の位置の断面)を露出させる。走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて、およそ100本の柱の断面が得られるように断面写真を撮影する。得られた断面写真にて各柱の柱径と占有する面積を測定し、平均柱径および面積占有率(柱の占有面積÷全面積)を算出する。
本発明の放射線像変換パネルの蛍光体層は、図3及び図4に示したように、柱状構造の柱径が蛍光体層裏面側よりも表面側で大きく、かつ蛍光体の占有率が裏面側と表面側とで同じであるか、または裏面側よりも表面側で低い。これにより、蛍光体層裏面側では蛍光体の密度が高く、柱間の隙間が狭いので、X線等の放射線に対する吸収が良好となり、また読取光と蛍光体との相互作用も大となって読取光がそのまま支持体に達することが著しく減少して、読み出し効率および集光効率を高く維持できるため、結果として高い感度を得ることができる。一方、蛍光体層表面側では柱径は大きくなるものの蛍光体の密度が同じか低くなり、柱間の隙間が広くなるので、読取光および発光光の平面方向への広がりを効果的に抑えて画像のボケを防ぐことができる。特に、隙間のライトガイド効果が好適に働いて発光光が広がらずに蛍光体層表面まで達するため、鮮鋭度の高い画像を得ることができる。
本発明において、柱状構造の柱径は実質的に、図1に示したように、蛍光体層の裏面側から表面側に向かって次第に大きくなっていることが好ましい。また、蛍光体の占有率は実質的に、蛍光体層の裏面側から表面側に向かって次第に低くなっていることが好ましい。そして、柱間の隙間が蛍光体層の裏面側から表面側に向かって次第に広くなっていることが好ましい。これによって、より一層高感度であって高鮮鋭度の画像を得ることができる。
柱状構造の柱径(平均径)は、蛍光体層裏面側および表面側のいずれにおいても0.1乃至50μmの範囲にあることが好ましい。そして、裏面側の柱径は0.5乃至5μmの範囲にあることが好ましく、表面側の柱径は5乃至20μmの範囲にあることが好ましい。
蛍光体の占有率は、蛍光体層裏面側および表面側のいずれにおいても75乃至96%の範囲にあることが好ましい。また、占有率が蛍光体層裏面側から表面側に向かって低くなる場合に、裏面側の占有率は87乃至96%の範囲にあることが好ましく、表面側の占有率は75乃至85%の範囲にあることが好ましい。
柱状構造の柱間の隙間の平均距離は、発光光の広がりを有効に防ぐためには、蛍光体層表面側において発光光の波長の1/3以上であることが好ましく、具体的には100nm乃至5μmの範囲にあることが好ましい。
なお、本発明の放射線像変換パネルは、図1に示した構成に限定されるものではなく、例えば支持体は必ずしも付設されている必要はなく、また後述するように、保護層や各種の補助層が付設されていてもよい。
次に、本発明の放射線像変換パネルを製造する方法について、蛍光体が蓄積性蛍光体であって、気相堆積法として蒸着法を用いる場合を例にとり、詳細に述べる。
蒸着膜形成のための基板は、通常は放射線像変換パネルの支持体を兼ねるものであり、従来の放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができるが、特に好ましい基板は、石英ガラスシート、サファイアガラスシート;アルミニウム、鉄、スズ、クロムなどからなる金属シート;アラミドなどからなる樹脂シートである。公知の放射線像変換パネルにおいて、パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。本発明で用いられる基板についても、これらの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。さらに、蒸着膜の柱状結晶性を高める目的で、基板の蒸着膜が形成される側の表面(基板の表面に下塗層(接着性付与層)、光反射層あるいは光吸収層などの補助層が設けられている場合には、それらの補助層の表面であってもよい)には微小な凹凸が形成されていてもよい。
蓄積性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲の励起光の照射により、300〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。
そのうちでも、基本組成式(I):
IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)
で代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は特に好ましい。ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し、MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し、そしてAはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表す。X、X’およびX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。a、bおよびzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す。
上記基本組成式(I)中のMIとしては少なくともCsを含んでいることが好ましい。Xとしては少なくともBrを含んでいることが好ましい。Aとしては特にEu又はBiであることが好ましい。また、基本組成式(I)には、必要に応じて、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を添加物として、MIX1モルに対して、0.5モル以下の量で加えてもよい。
また、基本組成式(II):
IIFX:zLn ‥‥(II)
で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
上記基本組成式(II)中のMIIとしては、Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとしては、特にEu又はCeであることが好ましい。また、基本組成式(II)では表記上F:X=1:1のように見えるが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを示すものであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示すものではない。一般に、BaFX結晶においてX-イオンの空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された状態が、600〜700nmの光に対する輝尽効率を高める上で好ましい。このとき、FはXよりもやや過剰にあることが多い。
なお、基本組成式(II)では省略されているが、必要に応じて下記のような添加物を一種もしくは二種以上を基本組成式(II)に加えてもよい。
bA, wNI, xNII, yNIII
ただし、AはAl23、SiO2及びZrO2などの金属酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上では、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子でMIIFXとの反応性が低いものを用いることが好ましい。NIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これらの金属化合物としてはハロゲン化物を用いることが好ましいが、それらに限定されるものではない。
また、b、w、x及びyはそれぞれ、MIIFXのモル数を1としたときの仕込み添加量であり、0≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3の各範囲内の数値を表す。これらの数値は、焼成やその後の洗浄処理によって減量する添加物に関しては最終的な組成物に含まれる元素比を表しているわけではない。また、上記化合物には最終的な組成物において添加されたままの化合物として残留するものもあれば、MIIFXと反応する、あるいは取り込まれてしまうものもある。
その他、上記基本組成式(II)には更に必要に応じて、Zn及びCd化合物;TiO2、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Y23、La23、In23、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25、ThO2等の金属酸化物;Zr及びSc化合物;B化合物;As及びSi化合物;テトラフルオロホウ酸化合物;ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸、及びヘキサフルオロジルコニウム酸の1価又は2価の塩からなるヘキサフルオロ化合物;V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiなどの遷移金属の化合物などを添加してもよい。さらに、本発明においては上述した添加物を含む蛍光体に限らず、基本的に希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とみなされる組成を有するものであれば如何なるものであってもよい。
ただし、本発明において蛍光体は蓄積性蛍光体に限定されるものではなく、X線などの放射線を吸収して紫外乃至可視領域に(瞬時)発光を示す蛍光体であってもよい。そのような蛍光体の例としては、LnTaO4:(Nb,Gd)系、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、CsX系(Xはハロゲンである)、Gd22S:Tb、Gd22S:Pr,Ce、ZnWO4、LuAlO3:Ce、Gd3Ga512:Cr,Ce、HfO2等を挙げることができる。
多元蒸着(共蒸着)により蒸着膜を形成する場合には、まず蒸発源として、上記蓄積性蛍光体の母体成分を含むものと付活剤成分を含むものからなる少なくとも二個の蒸発源を用意する。多元蒸着は、蛍光体の母体成分と付活剤成分の蒸気圧が大きく異なる場合に、その蒸発速度を各々制御することができるので好ましい。各蒸発源は、所望とする蓄積性蛍光体の組成に応じて、蛍光体の母体成分および付活剤成分それぞれのみから構成されていてもよいし、添加物成分などとの混合物であってもよい。また、蒸発源は二個に限定されるものではなく、例えば別に添加物成分などからなる蒸発源を加えて三個以上としてもよい。
蛍光体の母体成分は、母体を構成する化合物それ自体であってもよいし、あるいは反応して母体化合物となりうる二以上の原料の混合物であってもよい。また、付活剤成分は、一般には付活剤元素を含む化合物であり、例えば付活剤元素のハロゲン化物や酸化物が用いられる。
付活剤がEuである場合に、付活剤成分のEu化合物におけるEu2+化合物のモル比が70%以上であることが好ましい。一般に、Eu化合物にはEu2+とEu3+が混合して含まれているが、所望とする輝尽発光(あるいは瞬時発光であっても)はEu2+を付活剤とする蛍光体から発せられるからである。Eu化合物はEuBrxであることが好ましく、その場合に、xは2.0≦x≦2.3の範囲内の数値であることが好ましい。xは、2.0であることが望ましいが、2.0に近づけようとすると酸素が混入しやすくなる。よって、実際にはxは2.2付近でBrの比率が比較的高い状態が安定している。
蒸発源は、その含水量が0.5重量%以下であることが好ましい。蒸発源となる蛍光体母体成分や付活剤成分が、例えばEuBr、CsBrのように吸湿性である場合には特に、含水量をこのような低い値に抑えることは突沸防止などの点から重要である。蒸発源の脱水は、上記の各蛍光体成分を減圧下で100〜300℃の温度範囲で加熱処理することにより行うことが好ましい。あるいは、各蛍光体成分を窒素ガス雰囲気などの水分を含まない雰囲気中で、該成分の融点以上の温度で数十分乃至数時間加熱溶融してもよい。
また、蒸発源の相対密度は80%以上であることが好ましい。より好ましくは90%以上の値である。ここで、相対密度とは、蛍光体またはその原料固有の密度に対する蒸発源の実際の密度の割合を意味する。蒸発源が相対密度の低い粉体状態であると、蒸着の際に粉体が飛散するなどの不都合が生じたり、蒸発源の表面から均一に蒸発しないで蒸着膜の膜厚が不均一となったりする。上記相対密度とするには一般に、粉体を20MPa以上の圧力で加圧成形したり、あるいは融点以上の温度で加熱溶融して、タブレット(錠剤)の形状にする。ただし、蒸発源は必ずしもタブレットの形状である必要はない。
さらに、本発明において、蒸発源、特に蛍光体母体成分を含む蒸発源は、アルカリ金属不純物(蛍光体の構成元素以外アルカリ金属を意味する)の含有量が10ppm以下であり、そしてアルカリ土類金属不純物(蛍光体の構成元素以外アルカリ土類金属)の含有量が5ppm(重量)以下であることが望ましい。とりわけ、蛍光体が前記基本組成式(I)を有するアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である場合には望ましい。このような蒸発源は、アルカリ金属やアルカリ土類金属など不純物の含有量の少ない原料を使用することにより調製することができる。
上記蒸発源、および基板を蒸着装置内に設置し、装置内を排気して1×10-5〜1×10-2Pa程度の真空度とする。このとき、装置内の雰囲気中の水分圧を、ディフュージョンポンプ(もしくはターボ分子ポンプ)とコールドトラップ(クライオコイル、クライオポンプ等)との組合せなどを用いることにより、7.0×10-3Pa以下にすることが好ましい。次いで、この低い水分圧を維持しながらArガス、Neガス、N2ガスなどの不活性ガスを導入して、0.1〜2.0Pa程度、好ましくは0.5〜1.5Pa程度の真空度にする。
次に、電子線蒸着の場合には、二つの電子銃から電子線をそれぞれ発生させて各蒸発源に照射する。このとき、電子線の加速電圧を1.5kV以上で、5.0kV以下に設定することが望ましい。電子線の照射により、蒸発源である蓄積性蛍光体の母体成分や付活剤成分等は加熱されて蒸発、飛散し、そして反応を生じて蛍光体を形成するとともに基板表面に堆積する。抵抗加熱による蒸着の場合には、抵抗加熱器に電流を流すことにより蒸発源を加熱する。蒸発源である蓄積性蛍光体の母体成分や付活剤成分等は加熱されて蒸発、飛散する。そして、両者は反応を生じて蛍光体を形成するとともに基板表面に堆積する。不活性ガスを導入して蒸着を行う際には抵抗加熱器の使用が好ましい。蒸着の際に必要に応じて基板を加熱してもよいし、あるいは冷却してもよい。基板温度は、一般には0〜300℃の範囲にあり、好ましくは50〜150℃の範囲にある。蛍光体の堆積する速度、すなわち蒸着速度は、一般には0.1〜1000μm/分の範囲にあり、好ましくは1〜100μm/分の範囲にある。
なお、電子線の照射および/または抵抗加熱器による加熱を複数回に分けて行って二層以上の蛍光体層を形成することもできる。また、蒸着終了後に蒸着膜を熱処理(アニール処理)してもよい。
また、上記蓄積性蛍光体からなる蒸着膜を形成するに先立って、蛍光体の母体のみからなる蒸着膜を形成してもよい。これによって、形状の良好な母体柱状結晶の上に蛍光体の柱状結晶を一対一で対応させて成長させることができるので、より一層柱状結晶性の良好な蒸着膜を得ることができる。なお、蛍光体からなる蒸着膜中の付活剤など添加物は、特に蒸着時の基板加熱および/または蒸着後の熱処理によって、蛍光体母体からなる蒸着膜中に拡散するために、両者の境界は必ずしも明確ではない。
一元蒸着(疑似一元蒸着)の場合には、蒸発流に垂直な方向(基板に平行な方向)に上記蛍光体母体成分と付活剤成分とを分離して含む一個の蒸発源を用意することが好ましい。そして、蒸着に際しては、一つの電子線を用いて、蒸発源の母体成分領域および付活剤成分領域各々に電子線を照射する時間(滞在時間)を制御することにより、所望の付活剤濃度を有し、かつ組成の均一な蓄積性蛍光体からなる蒸着膜を形成することができる。あるいは、蒸発源として蛍光体自体または蛍光体原料混合物を用いて、これに電子線を照射するか、または抵抗加熱器で加熱する一元蒸着であってもよい。その場合には、予め、所望の濃度の付活剤を含有するように蛍光体を調製する。もしくは、蛍光体母体成分と付活剤成分との蒸気圧差を考慮して、蒸発源に蛍光体の母体成分を補給しながら蒸着を行うことも可能である。
このようにして、蓄積性蛍光体の柱状結晶がほぼ厚み方向に成長した蛍光体層が得られる。蛍光体層は、結合剤を含有せず、蓄積性蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蒸着法の実施手段や条件などによっても異なるが、通常は50μm〜1mmの範囲にあり、好ましくは200μm〜700μmの範囲にある。
基板は必ずしも放射線像変換パネルの支持体を兼ねる必要はなく、蛍光体層形成後、蛍光体層を基板から引き剥がし、別に用意した支持体上に接着剤を用いるなどして接合して、支持体上に蛍光体層を設ける方法を利用してもよい。あるいは、蛍光体層に支持体(基板)が付設されていなくてもよい。
本発明に用いられる気相堆積法は、上記の蒸着法に限定されるものではなく、スパッタ法、化学蒸着(CVD)法など公知の各種の方法を利用することができる。
蛍光体層の表面には、放射線像変換パネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のために、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光の入射や発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保護することができるように、化学的に安定で防湿性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護層形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。保護層の層厚は一般に、高分子物質からなる場合には約0.1〜20μmの範囲にあり、ガラス等の無機化合物からなる場合には100〜1000μmの範囲にある。
保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を用いることができる。特に架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。
上述のようにして本発明の放射線像変換パネルが得られるが、本発明のパネルの構成は、公知の各種のバリエーションを含むものであってもよい。例えば、画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、上記の少なくともいずれかの層を励起光を吸収し発光光は吸収しないような着色剤によって着色してもよい。
[実施例1]
(1)蒸発源
蒸発源として、純度4N以上の臭化セシウム(CsBr)粉末、および純度3N以上の臭化ユーロピウム(EuBrx、x≒2.2)粉末を用意した。各粉末中の微量元素をICP−MS法(誘導結合高周波プラズマ分光分析−質量分析法)により分析した結果、CsBr中のCs以外のアルカリ金属(Li、Na、K、Rb)は各々10ppm以下であり、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)など他の元素は2ppm以下であった。また、EuBrx中のEu以外の希土類元素は各々20ppm以下であり、他の元素は10ppm以下であった。これらの粉末は、吸湿性が高いので露点−20℃以下の乾燥雰囲気を保ったデシケータ内で保管し、使用直前に取り出すようにした。
(2)蛍光体層の形成
支持体として、順にアルカリ洗浄、純水洗浄、およびIPA(イソプロピルアルコール)洗浄を施した合成石英基板を用意し、蒸着装置内の基板ホルダーに設置した。上記CsBr蒸発源およびEuBrx蒸発源を装置内の坩堝容器に充填した後、装置内を排気して1×10-3Paの真空度とした。このとき、真空排気装置としてロータリーポンプ、メカニカルブースターおよびターボ分子ポンプの組合せを用いた。その後、装置内にArガスを導入して0.8Paの真空度にした。次いで、基板の蒸着とは反対側に位置したシーズヒータで、石英基板を100℃に加熱した。基板と各蒸発源との距離を12cmに保持して、蒸発源それぞれを抵抗加熱器で加熱して、基板上に5μm/分の速度でCsBr:Eu輝尽性蛍光体を堆積させた。このとき、各々の加熱器の抵抗電流を調整して、輝尽性蛍光体におけるEu/Csモル濃度比が0.003/1となるように制御した。また、CsBr蒸発源の蒸着開始とEuBrx蒸発源の蒸着開始を、基板と各蒸発源の間に設けられたシャッタの開閉によって制御した。
蒸着終了後、装置内を大気圧に戻し、装置から石英基板を取り出した。石英基板上には、蛍光体の柱状結晶がほぼ垂直方向に密に林立した構造の蛍光体層(層厚:500μm、面積10cm×10cm)が形成されていた。
このようにして、共蒸着により支持体と蛍光体層とからなる本発明の放射線像変換パネルを製造した。
[実施例2]
実施例1において、Arガスの導入により蒸着装置内の真空度を蒸着開始時に1.2Paとし、蒸着中段階的に下げて蒸着終了時に0.1Paとしたこと以外は実施例1と同様にして、本発明の放射線像変換パネルを製造した。
[実施例3]
実施例1において、基板と蒸発源との距離を20cmとし、基板加熱温度を80℃とした以外は実施例1と同様にして、本発明の放射線像変換パネルを製造した。
[比較例1]
実施例1において、蒸着装置内を排気して8×10-4Paの真空度にし、そして基板温度を300℃に変更して蒸着を行ったこと以外は実施例1と同様にして、比較のための放射線像変換パネルを製造した。
[比較例2]
実施例1において、蒸着装置内を排気して7×10-2Paの真空度にして蒸着を行ったこと以外は実施例1と同様にして、比較のための放射線像変換パネルを製造した。
[比較例3]
実施例1において、Arガスの導入により蒸着装置内を1.0Paの真空度にし、そして基板温度を蒸着開始時に100℃とし、蒸着中段階的に上げて蒸着終了時に250℃としたこと以外は実施例1と同様にして、比較のための放射線像変換パネルを製造した。
[放射線像変換パネルの性能評価]
得られた各放射線像変換パネルの感度および画像鮮鋭度について評価を行った。また、各パネルの蛍光体層における柱径および蛍光体の占有率を、前述したようにして層厚方向に沿って求めた。
(1)感度
放射線像変換パネルを室内光を遮蔽可能なカセッテに収納し、これに80kVpのX線100mRを照射した。次いで、パネルをカセッテから取り出した後、パネルをLDレーザ光(波長:650nm)で励起し、パネルから放出された輝尽発光光をフォトマルチプライヤで検出し、その発光量(相対値)により感度を評価した。
(2)鮮鋭度
放射線像変換パネルを室内光を遮蔽可能なカセッテに収納し、これに80kVpのX線100mRを照射した。次いで、パネルをカセッテから取り出した後、パネルをLDレーザ光(波長:650nm、励起光の幅:100μm)で励起し、パネルから放出された輝尽発光光の幅を測定し、その発光幅により鮮鋭度を評価した。
得られた結果をまとめて表1および図5に示す。さらに、実施例1と比較例1、そして実施例3の各々で得られた放射線像変換パネルの蛍光体層の厚み方向に沿った蛍光体柱状体の直径(柱径、単位:μm)の変化を、図6と図7に示す。図6と図7のそれぞれにおいて、蛍光体層の膜厚は、基板表面を起点として示している。
表1
────────────────────────────────────
実施例 蒸着真空度 蒸着基板 柱径(μm) 占有率(%) 相対感度/
(Pa) 温度(℃) 裏面側/ 裏面側/ 鮮鋭度(μm)
表面側 表面側
────────────────────────────────────
実施例1 0.8 100 1/10 96/84 100/290
実施例2 1.2→0.1 100 1/10 90/90 110/380
実施例3 0.8 80 0.9/4 96/84 96/270
────────────────────────────────────
比較例1 0.0008 300 20/20 93/93 130/1300
比較例2 0.07 100 5/5 86/86 15/410
比較例3 1.0 100→250 1/10 86/93 90/800
────────────────────────────────────
図5は、蛍光体層の層厚と蛍光体の占有率との関係を表すグラフであり、蛍光体の面積占有率の層厚方向に沿った変化を示す。実線1は実施例1の本発明の放射線像変換パネルを示し、破線2は比較例1の放射線像変換パネルを示し、そして破線3は比較例2の放射線像変換パネルを示す。
表1および図5の結果から明らかなように、柱径が裏面側よりも表面側で大きく、蛍光体の占有率が裏面側から表面側に向かって低くなっているか、あるいは蛍光体の占有率が裏面側と表面側とが変わらない本発明の放射線像変換パネル(実施例1乃至3)は、蛍光体の柱径が裏面側から表面側に向かってほぼ一定である比較のための放射線像変換パネル(比較例1)と比べて、感度が同様に高く、かつ鮮鋭度が顕著に向上した。また、本発明の放射線像変換パネルは、同じく蛍光体の柱径が裏面側から表面側に向かってほぼ一定である比較のための放射線像変換パネル(比較例2)と比べて、鮮鋭度が同等かあるいはそれ以上に高く、かつ感度が顕著に向上した。さらに、本発明の放射線像変換パネルは、柱径と蛍光体の占有率の両方が裏面側から表面側に向かって高くなっている比較のための放射線像変換パネル(比較例3)と比べて、鮮鋭度が著しく高かった。よって、本発明の放射線像変換パネルは高感度、高画質という性能のバランスのとれたパネルであると言える。
本発明の放射線像変換パネルの蛍光体層の柱状構造の一例を示す部分概略断面図である。 放射線像変換パネルの構成を模式的に示す断面図である。 (1)及び(2)はそれぞれ、図1に示した蛍光体層の裏面側断面cおよび表面側断面dを模式的に示す平面図である。 (1)及び(2)はそれぞれ、本発明に係る蛍光体層の別例の裏面側断面cおよび表面側断面dを模式的に示す平面図である。 放射線像変換パネルの蛍光体層の層厚と蛍光体の占有率との関係を表すグラフである。 実施例1と比較例1の放射線像変換パネルの蛍光体層の層厚(膜厚:μm)の方向に沿った蛍光体柱状体の柱径(μm)の変化を表すグラフである。 実施例3の放射線像変換パネルの蛍光体層の層厚(膜厚:μm)の方向に沿った蛍光体柱状体の柱径(μm)の変化を表すグラフである。

Claims (6)

  1. 気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層が柱状構造の蛍光体からなり、そして該柱状構造の柱径が蛍光体層の裏面側よりも表面側で大きく、かつ蛍光体の占有率が蛍光体層の裏面側と表面側で同じであるか、または裏面側よりも表面側で低いことを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 柱状構造の柱径が実質的に蛍光体層の裏面側から表面側に向かって大きくなり、かつ蛍光体の占有率が実質的に蛍光体層の裏面側から表面側に向かって低くなっている請求項1に記載の放射線像変換パネル。
  3. 柱状構造の平均柱径が蛍光体層の裏面側および表面側のいずれにおいても0.1乃至50μmの範囲にある請求項1または2に記載の放射線像変換パネル。
  4. 蛍光体の占有率が蛍光体層の裏面側および表面側のいずれにおいても75乃至96%の範囲にある請求項1乃至3のいずれかの項に記載の放射線像変換パネル。
  5. 蛍光体が蓄積性蛍光体である請求項1乃至4のいずれかの項に記載の放射線像変換パネル。
  6. 蓄積性蛍光体が、基本組成式(I):

    IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)

    [ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;AはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表し;そしてa、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す]
    を有するアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である請求項5に記載の放射線像変換パネル。
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