JP2004340892A - 放射線像変換パネルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層がユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(但し、アルカリ金属原子は、Rb及び/又はCs、ハロゲンは、Cl、Br及び/又はI)からなり、そして該蛍光体層に放射線を照射し、次いで励起光で励起した後0.24ms経過後における輝尽残光強度が、輝尽発光強度の1/102.1以下である放射線像変換パネル。
【選択図】 図2
【解決手段】気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層がユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(但し、アルカリ金属原子は、Rb及び/又はCs、ハロゲンは、Cl、Br及び/又はI)からなり、そして該蛍光体層に放射線を照射し、次いで励起光で励起した後0.24ms経過後における輝尽残光強度が、輝尽発光強度の1/102.1以下である放射線像変換パネル。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄積性蛍光体を利用する放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線などの放射線が照射されると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けると、蓄積した放射線エネルギーに応じて発光を示す性質を有する蓄積性蛍光体(輝尽発光を示す輝尽性蛍光体等)を利用して、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射線画像記録再生方法が広く実用に供されている。読み取りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。
【0003】
放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基本構造として、支持体とその上に設けられた蛍光体層とからなるものである。ただし、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、蛍光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0004】
蛍光体層としては、蓄積性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるもの、気相堆積法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで蓄積性蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、および蓄積性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものなどが知られている。
【0005】
また、上記放射線画像記録再生方法の別法として特許文献1には、従来の蓄積性蛍光体における放射線吸収機能とエネルギー蓄積機能とを分離して、少なくとも蓄積性蛍光体(エネルギー蓄積用蛍光体)を含有する放射線像変換パネルと、放射線を吸収して紫外乃至可視領域に発光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する蛍光スクリーンとの組合せを用いる放射線画像形成方法が提案されている。この方法は、被検体を透過などした放射線をまず、該スクリーンまたはパネルの放射線吸収用蛍光体により紫外乃至可視領域の光に変換した後、その光をパネルのエネルギー蓄積用蛍光体にて放射線画像情報として蓄積記録する。次いで、このパネルに励起光を走査して発光光を放出させ、この発光光を光電的に読み取って画像信号を得るものである。このような放射線像変換パネルも、本発明に包含される。
【0006】
放射線画像記録再生方法(および放射線画像形成方法)は上述したように数々の優れた利点を有する方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれている。
【0007】
感度および画質を高めることを目的として、放射線像変換パネルの蛍光体層を気相堆積法により形成する方法が提案されている。気相堆積法には蒸着法やスパッタ法などがあり、例えば蒸着法は、蛍光体またはその原料からなる蒸発源を抵抗加熱器や電子線の照射により加熱して蒸発源を蒸発、飛散させ、金属シートなどの基板表面にその蒸発物を堆積させることにより、蛍光体の柱状結晶からなる蛍光体層を形成するものである。
【0008】
気相堆積法により形成された蛍光体層は、結合剤を含有せず、蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。このため、励起光の進入効率や発光光の取出し効率を上げることができるので高感度であり、また励起光の平面方向への散乱を防ぐことができるので高鮮鋭度の画像を得ることができる。
【0009】
一方、放射線像変換パネルの蛍光体層を励起光等で励起したときに、発光(輝尽発光)した後なお引き続いて蛍光体層から放出される残光は、放射線画像情報の読み取りの際にノイズとなってS/N比の低下を招くことになるので、鮮鋭度など画質の点から、できる限り小さいことが望ましい。特に、パネルからの発光光の検出を光電子増倍管等を用いて点検出(ポイントスキャン)で行う場合には走査速度が速いので、蛍光体の残光特性が大きな問題となる。
【0010】
特許文献2には、RbBr:Tlで代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体からなる蛍光体層またはその母体層を蒸着法等の気相堆積法で形成した後、付活剤および酸素化合物を含有する雰囲気中で熱処理することによって、輝尽残光量の少ない放射線像変換パネルを製造する方法が開示されている。
【0011】
特許文献3には、RbBr:Tlで代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の粉体を、酸素を含有する化合物を用いて焼成法で製造することにより、蛍光体中に酸素を含有させてその輝尽残光特性を改良することが開示されている。
【0012】
特許文献4には、CsX:Eu輝尽性蛍光体、およびこの輝尽性蛍光体からなる蛍光体層を気相堆積法により形成した蛍光体スクリーンが開示されている。蒸着法により形成したCsBr:Eu輝尽性蛍光体からなる蛍光体層を含むフィルムを紫外励起(波長280nm)したときの瞬時発光スペクトルが図示されているが、440nm付近に鋭い発光ピークがあるだけで、490nm付近にピークを示す発光についてははっきりとは確認できず、言及されてもいない。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−255610号公報
【特許文献2】
特開平4−240600号公報
【特許文献3】
特開昭62−156191号公報
【特許文献4】
国際公開第WO01/03156A1号パンフレット
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルを提供することにある。
また、本発明は、輝尽残光が小さく、高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルの製造方法を提供することにもある。
【0015】
本発明者は、気相堆積法により形成された、ユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(ただし、アルカリ金属原子は、Rb及び/又はCsで、ハロゲンは、Cl、Br及び/又はI)からなる蛍光体層を有する放射線像変換パネルの輝尽残光特性について検討した結果、輝尽残光の顕著に低減した放射線像変換パネルが得られることを見い出した。また、この蛍光体層の輝尽残光特性と紫外励起発光(瞬時発光)スペクトルとの間には特定の関係があり、440nm付近にピーク波長を持つ発光(輝尽発光の主ピーク波長もこの付近にあって、輝尽発光強度はこれに基づく)が、490nm付近にピーク波長を持つ発光に対して一定の割合以上であるときに、輝尽残光が顕著に減少することを見い出し、本発明に到達したものである。さらに、このように輝尽残光の減少した蛍光体層は、蒸着雰囲気中の酸素分圧など蒸着条件を好適に制御して蒸着を行なった後、好適な熱処理にかけることにより形成できることも見い出した。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、該蛍光体層がユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(但し、アルカリ金属原子は、Rb及び/又はCsであって、ハロゲンは、Cl、Br及び/又はIである)からなり、そして該蛍光体層に放射線を照射し、次いで励起光で励起した時から0.24ミリ秒経過後における輝尽残光強度が輝尽発光強度の1/102.1以下であることを特徴とする放射線像変換パネルにある。
【0017】
ここで、輝尽発光強度とは、放射線のエネルギーが蓄積された放射線像変換パネルの蛍光体層を励起光で励起して、蛍光体層から放出される輝尽発光光の強度を時間経時で測定したときに、励起直後における輝尽発光強度の最大値を意味する。また、本発明で問題になる輝尽残光特性は、実際に使用される放射線画像情報の読取方法(具体的には輝尽発光光の検出方法および手段)との兼ね合いから、励起停止後0.24ミリ秒における輝尽発光の強度(すなわち、輝尽残光強度)であり、上記最大輝尽発光強度に対して相対的に低いことが重要である。
【0018】
また、本発明は、ユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(但し、アルカリ金属原子は、Rb及び/又はCsであって、ハロゲンは、Cl、Br及び/又はIである)もしくはその原料を含む一以上の蒸発源を加熱して発生する物質を基板上に蒸着させることにより蛍光体層を形成する工程を含む放射線像変換パネルの製造方法において、該蛍光体のユーロピウム成分をアルカリ金属ハロゲン化物成分1モルに対して1.0×10−4モル以上、1.0モル以下で含む蒸発源を用いて、酸素分圧が5.0×10−4Pa以上、5.0×10−2Pa以下の蒸着雰囲気中で蒸着を行い、そして該蒸着後に、得られた蒸着膜を100℃乃至300℃の温度で0.5乃至2時間熱処理することを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法にもある。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の放射線像変換パネルは、蛍光体層に放射線を照射し、次いで励起光で励起した後0.24ミリ秒(ms)経過後における輝尽残光強度が、輝尽発光強度の1/102.5以下であることが好ましい。
【0020】
本発明の放射線像変換パネルの蛍光体層の紫外励起発光スペクトルにおいて、440nm付近の発光ピーク強度と490nm付近の発光ピーク強度の比率I(440/490)が
I(440/490) ≧ 10
の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは、
I(440/490) ≧ 14
の範囲にある。
【0021】
本発明において、ユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、下記基本組成式(I)を有することが好ましい。また、基本組成式(I)においてMIはCsであり、XはBrであることが好ましい。
【0022】
MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zEu ‥‥(I)
【0023】
[ただし、MIは、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”はそれぞれ、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;そしてa、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、1×10−5≦z≦1×10−1の範囲内の数値を表す]
【0024】
以下に、本発明の放射線像変換パネルについて図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0025】
図1は、支持体と、蒸着法により形成したCsBr:Eu輝尽性蛍光体層とからなる本発明の放射線像変換パネル(後述の実施例1)の蛍光体層を、紫外励起(励起波長:290nm)した時の瞬時発光スペクトルを示すグラフである。
【0026】
図1の紫外励起発光スペクトルには、発光ピークが440nm付近および490nm付近にある二つの発光が現れている。これら二つの発光は、下記に示すように異なる発光成分に起因するものと考えられる。
1)440nm:Eu−空孔
2)490nm:Eu凝集体
【0027】
なお、上記蛍光体層の輝尽発光スペクトル(一次励起:X線、二次励起:633nm)では、Eu−空孔によるCsBr:Eu蛍光体の輝尽発光が440nm付近(発光ピーク)に現れる。
【0028】
一般に、MIX:Eu(MIはアルカリ金属、Xはハロゲン)系輝尽性蛍光体からなる蛍光体層を蒸着法などの気相堆積法により形成した場合に、付活剤Eu成分と蛍光体母体MIX成分とでは蒸気圧が異なるために均等に蒸発し難く、また付活剤Eu(二価)は蛍光体母体MIXと価数が異なるために母体MIX中に均質に分散し難く、結果としてEu凝集体が形成されやすい。本発明では、気相堆積膜からなる蛍光体層中にこのEu凝集体に対してEu−空孔を多く形成することによって、輝尽発光強度が増加するだけではなく、輝尽残光強度も減少することが判明した。
【0029】
従って、本発明の放射線像変換パネルは、図1に示したような紫外励起発光スペクトルにおいて、440nm付近の発光ピーク強度と490nm付近の発光ピーク強度の比率I(440/490)が
I(440/490) ≧ 10
の範囲にあることが望ましい。その場合に、蛍光体層の輝尽残光特性は顕著に向上して、励起を停止した後0.24ミリ秒経過後における輝尽残光強度を最大輝尽発光強度の1/102.1以下(2.1桁以下)に下げることができる。
【0030】
特に、440nm付近の発光ピーク強度と490nm付近の発光ピーク強度の比率I(440/490)が
I(440/490) ≧ 14
の範囲にあることが好ましく、その場合には、励起停止後0.24ミリ秒経過後における輝尽残光強度を最大輝尽発光強度の1/102.5以下(2.5桁以下)まで下げることができる。
【0031】
ここで、各発光ピーク強度は、各発光のピーク波長における発光強度であり、紫外励起発光スペクトルの基線からピーク位置までの高さを意味する。
【0032】
一般的に、440nm(Eu−空孔)の発光は、蛍光体層中のEu濃度が高いほど増加し、MIX1モルに対して2×10−3モル程度で変化しなくなる。これに対して、490nm(Eu凝集体)の発光は、Eu濃度が低いほど減少する。また、蛍光体層中の酸素含有量が比較的多い方が輝尽残光が小さく、酸素含有量はMIX1モルに対して1×10−6モル以上、1×10−1モル以下であることが好ましい。
【0033】
上述したように輝尽残光特性の向上した放射線像変換パネルは、例えば、気相堆積材料中のEu成分の量を増やし、雰囲気中の酸素分圧を比較的高くして蛍光体の気相堆積膜を形成した後、得られた気相堆積膜を熱処理することにより製造することができる。本発明の放射線像変換パネルの製造方法について、気相堆積法の一種である蒸着法を用いる場合を例にとって詳細に述べる。
【0034】
本発明に用いられるユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、前記の基本組成式(I)で表される蛍光体であることが好ましい。基本組成式(I)において、輝尽発光量を多くするとの観点からは、MIとしては少なくともCsを含んでいることが好ましい。Xとしては、少なくともBrを含んでいることが好ましい。付活剤Euの量を表すzは、輝尽残光量を少なくするとの観点から、1×10−5≦z≦1×10−2の範囲内の数値であることが特に好ましい。さらに、基本組成式(I)には必要に応じて、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を添加物として、CsX1モルに対して0.5モル以下の量で加えてもよい。
【0035】
蒸着膜形成のための基板は、通常は放射線像変換パネルの支持体を兼ねるものであり、従来の放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができるが、特に好ましい基板は、石英ガラスシート、サファイアガラスシート;アルミニウム、鉄、スズ、クロムなどからなる金属シート;アラミドなどからなる樹脂シートである。公知の放射線像変換パネルにおいて、パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。本発明で用いられる基板についても、これらの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。さらに、柱状結晶性を高める目的で、基板の蒸着膜が形成される側の表面(支持体の蛍光体層側の表面に下塗層(接着性付与層)、光反射層あるいは光吸収層などの補助層が設けられている場合には、それらの補助層の表面であってもよい)には微小な凹凸が設けられていてもよい。
【0036】
多元蒸着(共蒸着)により蒸着膜を形成する場合には、まず蒸発源として、上記輝尽性蛍光体の母体成分を含むものと付活剤成分を含むものからなる少なくとも二個の蒸発源を用意する。多元蒸着は、蛍光体の母体成分と付活剤成分の蒸気圧が大きく異なる場合に、その蒸発速度を各々制御することができるので好ましい。各蒸発源は、所望とする輝尽性蛍光体の組成に応じて、蛍光体の母体成分および付活剤成分それぞれのみから構成されていてもよいし、添加物成分などとの混合物であってもよい。また、蒸発源は二個に限定されるものではなく、例えば別に添加物成分などからなる蒸発源を加えて三個以上としてもよい。
【0037】
蛍光体の母体成分は、母体を構成する化合物それ自体であってもよいし、または反応して母体化合物となりうる二以上の原料の混合物であってもよい。また、付活剤成分は、一般にはEuを含む化合物であり、例えばEuのハロゲン化物が用いられる。Eu化合物におけるEu2+化合物のモル比は70%以上であることが好ましい。一般に、Eu化合物にはEu2+とEu3+が混合して含まれているが、所望とする輝尽発光(あるいは瞬時発光であっても)はEu2+を付活剤とする蛍光体から発せられるからである。Eu化合物はEuXmであることが好ましく、その場合には、mは2.0≦m≦2.3の範囲内の数値であることが好ましい。mは、2.0であることが望ましいが、2.0に近づけようとすると酸素が混入しやすくなる。よって、実際にはmは2.2付近でXの比率が比較的高い状態が安定している。
【0038】
本発明において、蒸発源中の付活剤Eu成分は、母体MIX成分1モルに対して1.0×10−4モル以上、1.0モル以下で存在することが望ましい。より好ましくはEu成分は、5.0×10−3モル以上、5.0×10−1モル以下で存在する。
【0039】
蒸発源は、その含水量が0.5重量%以下であることが好ましい。蒸発源となる蛍光体母体成分や付活剤成分が、例えばEuBr、CsBrのように吸湿性である場合には特に、含水量をこのような低い値に抑えることは突沸防止などの点から重要である。蒸発源の脱水は、上記の各蛍光体成分を減圧下で100〜300℃の温度範囲で加熱処理することにより行うことが好ましい。あるいは、各蛍光体成分を窒素ガス雰囲気などの水分を含まない雰囲気中で、該成分の融点以上の温度で数十分乃至数時間加熱溶融してもよい。
【0040】
蒸発源の相対密度は、80%以上、98%以下であることが好ましく、より好ましくは90%以上、96%以下である。蒸発源が相対密度の低い粉体状態であると、蒸着の際に粉体が飛散するなどの不都合が生じたり、蒸発源の表面から均一に蒸発しないで蒸着膜の膜厚が不均一となったりする。よって、安定した蒸着を実現するためには蒸発源の密度がある程度高いことが望ましい。上記相対密度とするには一般に、粉体を20MPa以上の圧力で加圧成形したり、あるいは融点以上の温度で加熱溶融して、タブレット(錠剤)の形状にする。ただし、蒸発源は必ずしもタブレットの形状である必要はない。
【0041】
また、蒸発源、特に蛍光体母体成分を含む蒸発源は、アルカリ金属不純物(蛍光体の構成元素以外のアルカリ金属)の含有量が10ppm以下であり、そしてアルカリ土類金属不純物(蛍光体の構成元素以外のアルカリ土類金属)の含有量が1ppm以下であることが望ましい。このような蒸発源は、アルカリ金属やアルカリ土類金属など不純物の含有量の少ない原料を使用することにより調製することができる。これによって、不純物の混入が少ない蒸着膜を形成することができるとともに、そのような蒸着膜は発光量が増加する。
【0042】
蒸発源および基板を蒸着装置内に配置したのち装置内を排気する。電子線蒸着の場合には、装置内を1×10−5〜1×10−2Pa程度の高真空度とする。このとき、真空度をこの程度に保持しながら、Arガス、Neガス、N2ガスなどの不活性ガスを導入してもよい。抵抗加熱蒸着の場合には、0.1〜2.0Pa程度の中真空度にする。
【0043】
輝尽残光を低減するためには、蒸着雰囲気中の酸素分圧を5.0×10−4Pa以上、5.0×10−2Pa以下にすることが望ましい。ここで、酸素分圧は、実施例にて後述するように質量分析法(マスフィルタ)により算出した値である。このような酸素分圧は例えば、ディフュージョンポンプ(またはターボ分子ポンプ)とコールドトラップ(クライオコイル、クライオパネル、スーパートラップ等)の組合せからなる排気装置を用いて充分に排気した後、所望の真空度になるまで不活性ガスを導入することにより達成することができる。
【0044】
次に、電子線蒸着の場合には、複数の電子銃から電子線をそれぞれ発生させ、各蒸発源に照射する。このとき、電子線の加速電圧を1.5kV以上で、5.0kV以下に設定することが望ましい。電子線の照射により、蒸発源である輝尽性蛍光体の母体成分や付活剤成分等は加熱されて蒸発、飛散し、そして反応を生じて蛍光体を形成するとともに基板表面に堆積する。この際に、各電子線の加速電圧などを調整することにより、各蒸発源の蒸発速度を制御してもよい。抵抗加熱蒸着の場合には、抵抗加熱器に電流を流すことにより蒸発源を加熱する。蒸発源である輝尽性蛍光体の母体成分や付活剤成分等は加熱されて蒸発、飛散する。そして、両者は反応を生じて蛍光体を形成するとともに基板表面に堆積する。蛍光体の堆積する速度、すなわち蒸着速度は、一般には0.1〜1000μm/分の範囲にあり、好ましくは1〜100μm/分の範囲にある。なお、電子線の照射および/または抵抗加熱器による加熱を複数回に分けて行って、二層以上の蛍光体層を形成することもできる。さらに、蒸着の際に必要に応じて基板を冷却または加熱してもよい。
【0045】
一元蒸着の場合には、上記輝尽性蛍光体もしくはその原料混合物からなる一つの蒸発源を用いて蒸着を行う。あるいは、蒸発流に垂直な方向(基板に平行な方向)に上記蛍光体母体成分と付活剤成分とを分離して含む一個の蒸発源を用意してもよい(疑似一元蒸着)。そして、蒸着に際しては、一つの電子線を用いて、蒸発源の母体成分領域および付活剤成分領域各々に電子線を照射する時間(滞在時間)を制御することにより、均一な組成の輝尽性蛍光体からなる蒸着膜を形成することができる。
【0046】
なお、上記輝尽性蛍光体からなる蒸着膜を形成するに先立って、蛍光体の母体(MIX)のみからなる蒸着膜を形成してもよい。これによって、より一層柱状結晶性の良好な蒸着膜を得ることができる。なお、蛍光体からなる蒸着膜中の付活剤など添加物は、特に蒸着時の加熱および/または蒸着後の熱処理によって、蛍光体母体からなる蒸着膜中に拡散するために、両者の境界は必ずしも明確ではない。
【0047】
蒸着終了後、得られた蒸着膜を熱処理することが望ましい。熱処理により、蒸着膜中に存在するEu凝集体を分散させることができる。熱処理は一般に、100℃乃至300℃の温度で0.5乃至3時間かけて行う。好ましくは、150℃乃至250℃の温度で0.5乃至2時間かけて行う。熱処理雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、もしくは少量の酸素ガス又は水素ガスを含む不活性ガス雰囲気が用いられる。不活性ガスとしては、N2ガス、Arガス、Neガスなどを挙げることができる。蒸着装置内で基板上に蒸着したのち続けて熱処理を行ってもよいし、あるいは装置から一度基板を取り出したのち熱処理を行ってもよい。
【0048】
このようにして、ユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の柱状結晶がほぼ厚み方向に成長した蛍光体層であって、輝尽残光が減少した蛍光体層が得られる。蛍光体層は、結合剤を含有せず、輝尽性蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。蛍光体層の層厚は、通常は50〜1000μmの範囲にあり、好ましくは200μm〜700mmの範囲にある。
【0049】
本発明に用いられる気相堆積法は、上記の蒸着法に限定されるものではなく、スパッタ法、化学蒸着(CVD)法など公知の任意の方法であってもよい。
【0050】
なお、基板は必ずしも放射線像変換パネルの支持体を兼ねる必要はなく、蒸着膜形成後、蒸着膜を基板から引き剥がし、別に用意した支持体上に接着剤を用いるなどして接合して、蛍光体層を設ける方法を利用してもよい。あるいは、蛍光体層に支持体(基板)が付設されていなくてもよい。
【0051】
この蛍光体層の表面には、放射線像変換パネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のために、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光の入射や発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保護することができるように、化学的に安定で防湿性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
【0052】
保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護層形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。保護層の層厚は一般に、高分子物質からなる場合には約0.1〜20μmの範囲にあり、ガラス等の無機化合物からなる場合には100〜1000μmの範囲にある。
【0053】
保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を用いることができる。特に架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。
【0054】
上述のようにして本発明の放射線像変換パネルが得られるが、本発明のパネルの構成は、公知の各種のバリエーションを含むものであってもよい。例えば、放射線画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、上記の少なくともいずれかの層を、励起光を吸収し輝尽発光光は吸収しないような着色剤によって着色してもよい。
【0055】
【実施例】
以下の実施例において、蒸着雰囲気中のO2分圧は、質量分析法に従って、残留ガスアナライザ(マスフィルタ、RGA200型、STANFORD RESEARCH SYSTEMS社製)を用いて、蒸着装置内の雰囲気ガスを測定して算出した。
【0056】
[実施例1]
蒸発源として、CsBrとEuBrm(m≒2.2)の粉末混合物(Eu/Csモル比=1.0×10−1)を用意した。支持体として、順にアルカリ洗浄、純水洗浄、およびIPA(イソプロピルアルコール)洗浄を施した後、更にプラズマ洗浄を施した合成石英基板を用意し、蒸着装置内の基板ホルダーに設置した。上記蒸発源を装置内の坩堝容器に充填した後、装置内を排気して0.5Paの真空度とした。基板と蒸着源との距離は10cmであった。基板石英基板の蒸着とは反対側に位置したシーズヒータで、基板を100℃に加熱した。蒸発源を抵抗加熱器で加熱して、基板上にCsBr:Eu輝尽性蛍光体を5.1μm/分の速度で堆積させた。蒸着雰囲気中のO2分圧は2.8×10−2Paであった。
【0057】
蒸着終了後、装置内を大気圧に戻し、装置から石英基板を取り出した。石英基板上には、蛍光体の柱状結晶がほぼ垂直方向に密に林立した構造の蒸着膜(膜厚:約400μm、面積10cm×10cm)が形成されていた。
【0058】
次に、この基板をガス導入可能な真空加熱装置に入れ、ロータリーポンプにより約1Paまで真空に引いて蒸着膜に吸着している水分等を除去した後、N2ガス雰囲気中、200℃の温度で1時間蒸着膜を熱処理した。真空下で基板を冷却し、充分に温度が下がった時点で装置から基板を取り出した。このようにして、支持体と蛍光体層とからなる本発明の放射線像変換パネルを製造した。
【0059】
[実施例2〜9]
実施例1において、蒸発源であるCsBrとEuBrmの粉末混合物のEu/Csモル比、蒸着雰囲気中のO2分圧、および蒸着速度を、表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の各種の放射線像変換パネルを製造した。なお、蒸着雰囲気中のO2分圧は、酸素混合量の異な使用することにより制御した。また、蒸着速度は、加熱器の抵抗電流を調整することにより制御した。
【0060】
[比較例1、2]
実施例1において、蒸発源であるCsBrとEuBrmの粉末混合物のEu/Csモル比、蒸着雰囲気中のO2分圧、および蒸着速度を、表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較のための二種の放射線像変換パネルを製造した。
【0061】
[放射線像変換パネルの性能評価]
得られた各放射線像変換パネルの輝尽残光特性について以下のようにして評価を行った。放射線像変換パネルを室内光を遮蔽可能なカセッテに収納し、これに管電圧80kVp、管電流400mAのX線を照射した。次いで、パネルをカセッテから取り出した後、パネルをHe−Neレーザ光(波長:633nm)で励起し、パネルから放出される輝尽発光光をフォトマルチプライヤで時系列で検出した。得られた輝尽発光強度を経時時間でプロットして、励起後0.24ms経過した時点における輝尽残光強度/最大輝尽発光強度の比率(10X)を求めた。
【0062】
また、放射線像変換パネルの蛍光体層を紫外線(波長:345nm)で励起して瞬時発光スペクトルを測定した。得られた発光スペクトルの440nm付近の発光ピーク強度と490nm付近の発光ピーク強度との比率I(440/490)を求めた。
得られた結果をまとめて表1および図1、2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
図1は、本発明の放射線像変換パネル(実施例1)の蛍光体層の紫外励起発光スペクトルを示すグラフである。
【0065】
図2は、放射線像変換パネルの発光強度比I(440/490)と輝尽残光量xとの関係を表すグラフである。
【0066】
表1および図2に示した結果から、発光ピーク強度の比率I(440/490)が10以上である本発明の放射線像変換パネル(実施例1〜9)はいずれも、0.24ms経過後の輝尽残光が輝尽発光の1/102.1以下であり、良好な輝尽残光特性を示すことが明らかである。特に、比率I(440/490)が14以上であるパネル(実施例1、2、4、5)は、輝尽残光が輝尽発光の1/102.5以下であり、輝尽残光が顕著に減少した。
【0067】
【発明の効果】
本発明の放射線像変換パネルは、輝尽残光が非常に小さく、従って、ポイントスキャンのような走査速度の速い読み取り方法であってもS/N比が低下することがなく、高画質の放射線画像を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線像変換パネルの蛍光体層の紫外励起発光スペクトルを示すグラフである。
【図2】放射線像変換パネルの発光強度比I(440/490)と輝尽残光量xとの関係を表すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄積性蛍光体を利用する放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線などの放射線が照射されると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けると、蓄積した放射線エネルギーに応じて発光を示す性質を有する蓄積性蛍光体(輝尽発光を示す輝尽性蛍光体等)を利用して、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射線画像記録再生方法が広く実用に供されている。読み取りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。
【0003】
放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基本構造として、支持体とその上に設けられた蛍光体層とからなるものである。ただし、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、蛍光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0004】
蛍光体層としては、蓄積性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるもの、気相堆積法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで蓄積性蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、および蓄積性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものなどが知られている。
【0005】
また、上記放射線画像記録再生方法の別法として特許文献1には、従来の蓄積性蛍光体における放射線吸収機能とエネルギー蓄積機能とを分離して、少なくとも蓄積性蛍光体(エネルギー蓄積用蛍光体)を含有する放射線像変換パネルと、放射線を吸収して紫外乃至可視領域に発光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する蛍光スクリーンとの組合せを用いる放射線画像形成方法が提案されている。この方法は、被検体を透過などした放射線をまず、該スクリーンまたはパネルの放射線吸収用蛍光体により紫外乃至可視領域の光に変換した後、その光をパネルのエネルギー蓄積用蛍光体にて放射線画像情報として蓄積記録する。次いで、このパネルに励起光を走査して発光光を放出させ、この発光光を光電的に読み取って画像信号を得るものである。このような放射線像変換パネルも、本発明に包含される。
【0006】
放射線画像記録再生方法(および放射線画像形成方法)は上述したように数々の優れた利点を有する方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれている。
【0007】
感度および画質を高めることを目的として、放射線像変換パネルの蛍光体層を気相堆積法により形成する方法が提案されている。気相堆積法には蒸着法やスパッタ法などがあり、例えば蒸着法は、蛍光体またはその原料からなる蒸発源を抵抗加熱器や電子線の照射により加熱して蒸発源を蒸発、飛散させ、金属シートなどの基板表面にその蒸発物を堆積させることにより、蛍光体の柱状結晶からなる蛍光体層を形成するものである。
【0008】
気相堆積法により形成された蛍光体層は、結合剤を含有せず、蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。このため、励起光の進入効率や発光光の取出し効率を上げることができるので高感度であり、また励起光の平面方向への散乱を防ぐことができるので高鮮鋭度の画像を得ることができる。
【0009】
一方、放射線像変換パネルの蛍光体層を励起光等で励起したときに、発光(輝尽発光)した後なお引き続いて蛍光体層から放出される残光は、放射線画像情報の読み取りの際にノイズとなってS/N比の低下を招くことになるので、鮮鋭度など画質の点から、できる限り小さいことが望ましい。特に、パネルからの発光光の検出を光電子増倍管等を用いて点検出(ポイントスキャン)で行う場合には走査速度が速いので、蛍光体の残光特性が大きな問題となる。
【0010】
特許文献2には、RbBr:Tlで代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体からなる蛍光体層またはその母体層を蒸着法等の気相堆積法で形成した後、付活剤および酸素化合物を含有する雰囲気中で熱処理することによって、輝尽残光量の少ない放射線像変換パネルを製造する方法が開示されている。
【0011】
特許文献3には、RbBr:Tlで代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の粉体を、酸素を含有する化合物を用いて焼成法で製造することにより、蛍光体中に酸素を含有させてその輝尽残光特性を改良することが開示されている。
【0012】
特許文献4には、CsX:Eu輝尽性蛍光体、およびこの輝尽性蛍光体からなる蛍光体層を気相堆積法により形成した蛍光体スクリーンが開示されている。蒸着法により形成したCsBr:Eu輝尽性蛍光体からなる蛍光体層を含むフィルムを紫外励起(波長280nm)したときの瞬時発光スペクトルが図示されているが、440nm付近に鋭い発光ピークがあるだけで、490nm付近にピークを示す発光についてははっきりとは確認できず、言及されてもいない。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−255610号公報
【特許文献2】
特開平4−240600号公報
【特許文献3】
特開昭62−156191号公報
【特許文献4】
国際公開第WO01/03156A1号パンフレット
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルを提供することにある。
また、本発明は、輝尽残光が小さく、高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルの製造方法を提供することにもある。
【0015】
本発明者は、気相堆積法により形成された、ユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(ただし、アルカリ金属原子は、Rb及び/又はCsで、ハロゲンは、Cl、Br及び/又はI)からなる蛍光体層を有する放射線像変換パネルの輝尽残光特性について検討した結果、輝尽残光の顕著に低減した放射線像変換パネルが得られることを見い出した。また、この蛍光体層の輝尽残光特性と紫外励起発光(瞬時発光)スペクトルとの間には特定の関係があり、440nm付近にピーク波長を持つ発光(輝尽発光の主ピーク波長もこの付近にあって、輝尽発光強度はこれに基づく)が、490nm付近にピーク波長を持つ発光に対して一定の割合以上であるときに、輝尽残光が顕著に減少することを見い出し、本発明に到達したものである。さらに、このように輝尽残光の減少した蛍光体層は、蒸着雰囲気中の酸素分圧など蒸着条件を好適に制御して蒸着を行なった後、好適な熱処理にかけることにより形成できることも見い出した。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、該蛍光体層がユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(但し、アルカリ金属原子は、Rb及び/又はCsであって、ハロゲンは、Cl、Br及び/又はIである)からなり、そして該蛍光体層に放射線を照射し、次いで励起光で励起した時から0.24ミリ秒経過後における輝尽残光強度が輝尽発光強度の1/102.1以下であることを特徴とする放射線像変換パネルにある。
【0017】
ここで、輝尽発光強度とは、放射線のエネルギーが蓄積された放射線像変換パネルの蛍光体層を励起光で励起して、蛍光体層から放出される輝尽発光光の強度を時間経時で測定したときに、励起直後における輝尽発光強度の最大値を意味する。また、本発明で問題になる輝尽残光特性は、実際に使用される放射線画像情報の読取方法(具体的には輝尽発光光の検出方法および手段)との兼ね合いから、励起停止後0.24ミリ秒における輝尽発光の強度(すなわち、輝尽残光強度)であり、上記最大輝尽発光強度に対して相対的に低いことが重要である。
【0018】
また、本発明は、ユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(但し、アルカリ金属原子は、Rb及び/又はCsであって、ハロゲンは、Cl、Br及び/又はIである)もしくはその原料を含む一以上の蒸発源を加熱して発生する物質を基板上に蒸着させることにより蛍光体層を形成する工程を含む放射線像変換パネルの製造方法において、該蛍光体のユーロピウム成分をアルカリ金属ハロゲン化物成分1モルに対して1.0×10−4モル以上、1.0モル以下で含む蒸発源を用いて、酸素分圧が5.0×10−4Pa以上、5.0×10−2Pa以下の蒸着雰囲気中で蒸着を行い、そして該蒸着後に、得られた蒸着膜を100℃乃至300℃の温度で0.5乃至2時間熱処理することを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法にもある。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の放射線像変換パネルは、蛍光体層に放射線を照射し、次いで励起光で励起した後0.24ミリ秒(ms)経過後における輝尽残光強度が、輝尽発光強度の1/102.5以下であることが好ましい。
【0020】
本発明の放射線像変換パネルの蛍光体層の紫外励起発光スペクトルにおいて、440nm付近の発光ピーク強度と490nm付近の発光ピーク強度の比率I(440/490)が
I(440/490) ≧ 10
の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは、
I(440/490) ≧ 14
の範囲にある。
【0021】
本発明において、ユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、下記基本組成式(I)を有することが好ましい。また、基本組成式(I)においてMIはCsであり、XはBrであることが好ましい。
【0022】
MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zEu ‥‥(I)
【0023】
[ただし、MIは、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”はそれぞれ、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;そしてa、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、1×10−5≦z≦1×10−1の範囲内の数値を表す]
【0024】
以下に、本発明の放射線像変換パネルについて図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0025】
図1は、支持体と、蒸着法により形成したCsBr:Eu輝尽性蛍光体層とからなる本発明の放射線像変換パネル(後述の実施例1)の蛍光体層を、紫外励起(励起波長:290nm)した時の瞬時発光スペクトルを示すグラフである。
【0026】
図1の紫外励起発光スペクトルには、発光ピークが440nm付近および490nm付近にある二つの発光が現れている。これら二つの発光は、下記に示すように異なる発光成分に起因するものと考えられる。
1)440nm:Eu−空孔
2)490nm:Eu凝集体
【0027】
なお、上記蛍光体層の輝尽発光スペクトル(一次励起:X線、二次励起:633nm)では、Eu−空孔によるCsBr:Eu蛍光体の輝尽発光が440nm付近(発光ピーク)に現れる。
【0028】
一般に、MIX:Eu(MIはアルカリ金属、Xはハロゲン)系輝尽性蛍光体からなる蛍光体層を蒸着法などの気相堆積法により形成した場合に、付活剤Eu成分と蛍光体母体MIX成分とでは蒸気圧が異なるために均等に蒸発し難く、また付活剤Eu(二価)は蛍光体母体MIXと価数が異なるために母体MIX中に均質に分散し難く、結果としてEu凝集体が形成されやすい。本発明では、気相堆積膜からなる蛍光体層中にこのEu凝集体に対してEu−空孔を多く形成することによって、輝尽発光強度が増加するだけではなく、輝尽残光強度も減少することが判明した。
【0029】
従って、本発明の放射線像変換パネルは、図1に示したような紫外励起発光スペクトルにおいて、440nm付近の発光ピーク強度と490nm付近の発光ピーク強度の比率I(440/490)が
I(440/490) ≧ 10
の範囲にあることが望ましい。その場合に、蛍光体層の輝尽残光特性は顕著に向上して、励起を停止した後0.24ミリ秒経過後における輝尽残光強度を最大輝尽発光強度の1/102.1以下(2.1桁以下)に下げることができる。
【0030】
特に、440nm付近の発光ピーク強度と490nm付近の発光ピーク強度の比率I(440/490)が
I(440/490) ≧ 14
の範囲にあることが好ましく、その場合には、励起停止後0.24ミリ秒経過後における輝尽残光強度を最大輝尽発光強度の1/102.5以下(2.5桁以下)まで下げることができる。
【0031】
ここで、各発光ピーク強度は、各発光のピーク波長における発光強度であり、紫外励起発光スペクトルの基線からピーク位置までの高さを意味する。
【0032】
一般的に、440nm(Eu−空孔)の発光は、蛍光体層中のEu濃度が高いほど増加し、MIX1モルに対して2×10−3モル程度で変化しなくなる。これに対して、490nm(Eu凝集体)の発光は、Eu濃度が低いほど減少する。また、蛍光体層中の酸素含有量が比較的多い方が輝尽残光が小さく、酸素含有量はMIX1モルに対して1×10−6モル以上、1×10−1モル以下であることが好ましい。
【0033】
上述したように輝尽残光特性の向上した放射線像変換パネルは、例えば、気相堆積材料中のEu成分の量を増やし、雰囲気中の酸素分圧を比較的高くして蛍光体の気相堆積膜を形成した後、得られた気相堆積膜を熱処理することにより製造することができる。本発明の放射線像変換パネルの製造方法について、気相堆積法の一種である蒸着法を用いる場合を例にとって詳細に述べる。
【0034】
本発明に用いられるユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、前記の基本組成式(I)で表される蛍光体であることが好ましい。基本組成式(I)において、輝尽発光量を多くするとの観点からは、MIとしては少なくともCsを含んでいることが好ましい。Xとしては、少なくともBrを含んでいることが好ましい。付活剤Euの量を表すzは、輝尽残光量を少なくするとの観点から、1×10−5≦z≦1×10−2の範囲内の数値であることが特に好ましい。さらに、基本組成式(I)には必要に応じて、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を添加物として、CsX1モルに対して0.5モル以下の量で加えてもよい。
【0035】
蒸着膜形成のための基板は、通常は放射線像変換パネルの支持体を兼ねるものであり、従来の放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができるが、特に好ましい基板は、石英ガラスシート、サファイアガラスシート;アルミニウム、鉄、スズ、クロムなどからなる金属シート;アラミドなどからなる樹脂シートである。公知の放射線像変換パネルにおいて、パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。本発明で用いられる基板についても、これらの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。さらに、柱状結晶性を高める目的で、基板の蒸着膜が形成される側の表面(支持体の蛍光体層側の表面に下塗層(接着性付与層)、光反射層あるいは光吸収層などの補助層が設けられている場合には、それらの補助層の表面であってもよい)には微小な凹凸が設けられていてもよい。
【0036】
多元蒸着(共蒸着)により蒸着膜を形成する場合には、まず蒸発源として、上記輝尽性蛍光体の母体成分を含むものと付活剤成分を含むものからなる少なくとも二個の蒸発源を用意する。多元蒸着は、蛍光体の母体成分と付活剤成分の蒸気圧が大きく異なる場合に、その蒸発速度を各々制御することができるので好ましい。各蒸発源は、所望とする輝尽性蛍光体の組成に応じて、蛍光体の母体成分および付活剤成分それぞれのみから構成されていてもよいし、添加物成分などとの混合物であってもよい。また、蒸発源は二個に限定されるものではなく、例えば別に添加物成分などからなる蒸発源を加えて三個以上としてもよい。
【0037】
蛍光体の母体成分は、母体を構成する化合物それ自体であってもよいし、または反応して母体化合物となりうる二以上の原料の混合物であってもよい。また、付活剤成分は、一般にはEuを含む化合物であり、例えばEuのハロゲン化物が用いられる。Eu化合物におけるEu2+化合物のモル比は70%以上であることが好ましい。一般に、Eu化合物にはEu2+とEu3+が混合して含まれているが、所望とする輝尽発光(あるいは瞬時発光であっても)はEu2+を付活剤とする蛍光体から発せられるからである。Eu化合物はEuXmであることが好ましく、その場合には、mは2.0≦m≦2.3の範囲内の数値であることが好ましい。mは、2.0であることが望ましいが、2.0に近づけようとすると酸素が混入しやすくなる。よって、実際にはmは2.2付近でXの比率が比較的高い状態が安定している。
【0038】
本発明において、蒸発源中の付活剤Eu成分は、母体MIX成分1モルに対して1.0×10−4モル以上、1.0モル以下で存在することが望ましい。より好ましくはEu成分は、5.0×10−3モル以上、5.0×10−1モル以下で存在する。
【0039】
蒸発源は、その含水量が0.5重量%以下であることが好ましい。蒸発源となる蛍光体母体成分や付活剤成分が、例えばEuBr、CsBrのように吸湿性である場合には特に、含水量をこのような低い値に抑えることは突沸防止などの点から重要である。蒸発源の脱水は、上記の各蛍光体成分を減圧下で100〜300℃の温度範囲で加熱処理することにより行うことが好ましい。あるいは、各蛍光体成分を窒素ガス雰囲気などの水分を含まない雰囲気中で、該成分の融点以上の温度で数十分乃至数時間加熱溶融してもよい。
【0040】
蒸発源の相対密度は、80%以上、98%以下であることが好ましく、より好ましくは90%以上、96%以下である。蒸発源が相対密度の低い粉体状態であると、蒸着の際に粉体が飛散するなどの不都合が生じたり、蒸発源の表面から均一に蒸発しないで蒸着膜の膜厚が不均一となったりする。よって、安定した蒸着を実現するためには蒸発源の密度がある程度高いことが望ましい。上記相対密度とするには一般に、粉体を20MPa以上の圧力で加圧成形したり、あるいは融点以上の温度で加熱溶融して、タブレット(錠剤)の形状にする。ただし、蒸発源は必ずしもタブレットの形状である必要はない。
【0041】
また、蒸発源、特に蛍光体母体成分を含む蒸発源は、アルカリ金属不純物(蛍光体の構成元素以外のアルカリ金属)の含有量が10ppm以下であり、そしてアルカリ土類金属不純物(蛍光体の構成元素以外のアルカリ土類金属)の含有量が1ppm以下であることが望ましい。このような蒸発源は、アルカリ金属やアルカリ土類金属など不純物の含有量の少ない原料を使用することにより調製することができる。これによって、不純物の混入が少ない蒸着膜を形成することができるとともに、そのような蒸着膜は発光量が増加する。
【0042】
蒸発源および基板を蒸着装置内に配置したのち装置内を排気する。電子線蒸着の場合には、装置内を1×10−5〜1×10−2Pa程度の高真空度とする。このとき、真空度をこの程度に保持しながら、Arガス、Neガス、N2ガスなどの不活性ガスを導入してもよい。抵抗加熱蒸着の場合には、0.1〜2.0Pa程度の中真空度にする。
【0043】
輝尽残光を低減するためには、蒸着雰囲気中の酸素分圧を5.0×10−4Pa以上、5.0×10−2Pa以下にすることが望ましい。ここで、酸素分圧は、実施例にて後述するように質量分析法(マスフィルタ)により算出した値である。このような酸素分圧は例えば、ディフュージョンポンプ(またはターボ分子ポンプ)とコールドトラップ(クライオコイル、クライオパネル、スーパートラップ等)の組合せからなる排気装置を用いて充分に排気した後、所望の真空度になるまで不活性ガスを導入することにより達成することができる。
【0044】
次に、電子線蒸着の場合には、複数の電子銃から電子線をそれぞれ発生させ、各蒸発源に照射する。このとき、電子線の加速電圧を1.5kV以上で、5.0kV以下に設定することが望ましい。電子線の照射により、蒸発源である輝尽性蛍光体の母体成分や付活剤成分等は加熱されて蒸発、飛散し、そして反応を生じて蛍光体を形成するとともに基板表面に堆積する。この際に、各電子線の加速電圧などを調整することにより、各蒸発源の蒸発速度を制御してもよい。抵抗加熱蒸着の場合には、抵抗加熱器に電流を流すことにより蒸発源を加熱する。蒸発源である輝尽性蛍光体の母体成分や付活剤成分等は加熱されて蒸発、飛散する。そして、両者は反応を生じて蛍光体を形成するとともに基板表面に堆積する。蛍光体の堆積する速度、すなわち蒸着速度は、一般には0.1〜1000μm/分の範囲にあり、好ましくは1〜100μm/分の範囲にある。なお、電子線の照射および/または抵抗加熱器による加熱を複数回に分けて行って、二層以上の蛍光体層を形成することもできる。さらに、蒸着の際に必要に応じて基板を冷却または加熱してもよい。
【0045】
一元蒸着の場合には、上記輝尽性蛍光体もしくはその原料混合物からなる一つの蒸発源を用いて蒸着を行う。あるいは、蒸発流に垂直な方向(基板に平行な方向)に上記蛍光体母体成分と付活剤成分とを分離して含む一個の蒸発源を用意してもよい(疑似一元蒸着)。そして、蒸着に際しては、一つの電子線を用いて、蒸発源の母体成分領域および付活剤成分領域各々に電子線を照射する時間(滞在時間)を制御することにより、均一な組成の輝尽性蛍光体からなる蒸着膜を形成することができる。
【0046】
なお、上記輝尽性蛍光体からなる蒸着膜を形成するに先立って、蛍光体の母体(MIX)のみからなる蒸着膜を形成してもよい。これによって、より一層柱状結晶性の良好な蒸着膜を得ることができる。なお、蛍光体からなる蒸着膜中の付活剤など添加物は、特に蒸着時の加熱および/または蒸着後の熱処理によって、蛍光体母体からなる蒸着膜中に拡散するために、両者の境界は必ずしも明確ではない。
【0047】
蒸着終了後、得られた蒸着膜を熱処理することが望ましい。熱処理により、蒸着膜中に存在するEu凝集体を分散させることができる。熱処理は一般に、100℃乃至300℃の温度で0.5乃至3時間かけて行う。好ましくは、150℃乃至250℃の温度で0.5乃至2時間かけて行う。熱処理雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、もしくは少量の酸素ガス又は水素ガスを含む不活性ガス雰囲気が用いられる。不活性ガスとしては、N2ガス、Arガス、Neガスなどを挙げることができる。蒸着装置内で基板上に蒸着したのち続けて熱処理を行ってもよいし、あるいは装置から一度基板を取り出したのち熱処理を行ってもよい。
【0048】
このようにして、ユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の柱状結晶がほぼ厚み方向に成長した蛍光体層であって、輝尽残光が減少した蛍光体層が得られる。蛍光体層は、結合剤を含有せず、輝尽性蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。蛍光体層の層厚は、通常は50〜1000μmの範囲にあり、好ましくは200μm〜700mmの範囲にある。
【0049】
本発明に用いられる気相堆積法は、上記の蒸着法に限定されるものではなく、スパッタ法、化学蒸着(CVD)法など公知の任意の方法であってもよい。
【0050】
なお、基板は必ずしも放射線像変換パネルの支持体を兼ねる必要はなく、蒸着膜形成後、蒸着膜を基板から引き剥がし、別に用意した支持体上に接着剤を用いるなどして接合して、蛍光体層を設ける方法を利用してもよい。あるいは、蛍光体層に支持体(基板)が付設されていなくてもよい。
【0051】
この蛍光体層の表面には、放射線像変換パネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のために、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光の入射や発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保護することができるように、化学的に安定で防湿性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
【0052】
保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護層形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。保護層の層厚は一般に、高分子物質からなる場合には約0.1〜20μmの範囲にあり、ガラス等の無機化合物からなる場合には100〜1000μmの範囲にある。
【0053】
保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を用いることができる。特に架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。
【0054】
上述のようにして本発明の放射線像変換パネルが得られるが、本発明のパネルの構成は、公知の各種のバリエーションを含むものであってもよい。例えば、放射線画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、上記の少なくともいずれかの層を、励起光を吸収し輝尽発光光は吸収しないような着色剤によって着色してもよい。
【0055】
【実施例】
以下の実施例において、蒸着雰囲気中のO2分圧は、質量分析法に従って、残留ガスアナライザ(マスフィルタ、RGA200型、STANFORD RESEARCH SYSTEMS社製)を用いて、蒸着装置内の雰囲気ガスを測定して算出した。
【0056】
[実施例1]
蒸発源として、CsBrとEuBrm(m≒2.2)の粉末混合物(Eu/Csモル比=1.0×10−1)を用意した。支持体として、順にアルカリ洗浄、純水洗浄、およびIPA(イソプロピルアルコール)洗浄を施した後、更にプラズマ洗浄を施した合成石英基板を用意し、蒸着装置内の基板ホルダーに設置した。上記蒸発源を装置内の坩堝容器に充填した後、装置内を排気して0.5Paの真空度とした。基板と蒸着源との距離は10cmであった。基板石英基板の蒸着とは反対側に位置したシーズヒータで、基板を100℃に加熱した。蒸発源を抵抗加熱器で加熱して、基板上にCsBr:Eu輝尽性蛍光体を5.1μm/分の速度で堆積させた。蒸着雰囲気中のO2分圧は2.8×10−2Paであった。
【0057】
蒸着終了後、装置内を大気圧に戻し、装置から石英基板を取り出した。石英基板上には、蛍光体の柱状結晶がほぼ垂直方向に密に林立した構造の蒸着膜(膜厚:約400μm、面積10cm×10cm)が形成されていた。
【0058】
次に、この基板をガス導入可能な真空加熱装置に入れ、ロータリーポンプにより約1Paまで真空に引いて蒸着膜に吸着している水分等を除去した後、N2ガス雰囲気中、200℃の温度で1時間蒸着膜を熱処理した。真空下で基板を冷却し、充分に温度が下がった時点で装置から基板を取り出した。このようにして、支持体と蛍光体層とからなる本発明の放射線像変換パネルを製造した。
【0059】
[実施例2〜9]
実施例1において、蒸発源であるCsBrとEuBrmの粉末混合物のEu/Csモル比、蒸着雰囲気中のO2分圧、および蒸着速度を、表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の各種の放射線像変換パネルを製造した。なお、蒸着雰囲気中のO2分圧は、酸素混合量の異な使用することにより制御した。また、蒸着速度は、加熱器の抵抗電流を調整することにより制御した。
【0060】
[比較例1、2]
実施例1において、蒸発源であるCsBrとEuBrmの粉末混合物のEu/Csモル比、蒸着雰囲気中のO2分圧、および蒸着速度を、表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較のための二種の放射線像変換パネルを製造した。
【0061】
[放射線像変換パネルの性能評価]
得られた各放射線像変換パネルの輝尽残光特性について以下のようにして評価を行った。放射線像変換パネルを室内光を遮蔽可能なカセッテに収納し、これに管電圧80kVp、管電流400mAのX線を照射した。次いで、パネルをカセッテから取り出した後、パネルをHe−Neレーザ光(波長:633nm)で励起し、パネルから放出される輝尽発光光をフォトマルチプライヤで時系列で検出した。得られた輝尽発光強度を経時時間でプロットして、励起後0.24ms経過した時点における輝尽残光強度/最大輝尽発光強度の比率(10X)を求めた。
【0062】
また、放射線像変換パネルの蛍光体層を紫外線(波長:345nm)で励起して瞬時発光スペクトルを測定した。得られた発光スペクトルの440nm付近の発光ピーク強度と490nm付近の発光ピーク強度との比率I(440/490)を求めた。
得られた結果をまとめて表1および図1、2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
図1は、本発明の放射線像変換パネル(実施例1)の蛍光体層の紫外励起発光スペクトルを示すグラフである。
【0065】
図2は、放射線像変換パネルの発光強度比I(440/490)と輝尽残光量xとの関係を表すグラフである。
【0066】
表1および図2に示した結果から、発光ピーク強度の比率I(440/490)が10以上である本発明の放射線像変換パネル(実施例1〜9)はいずれも、0.24ms経過後の輝尽残光が輝尽発光の1/102.1以下であり、良好な輝尽残光特性を示すことが明らかである。特に、比率I(440/490)が14以上であるパネル(実施例1、2、4、5)は、輝尽残光が輝尽発光の1/102.5以下であり、輝尽残光が顕著に減少した。
【0067】
【発明の効果】
本発明の放射線像変換パネルは、輝尽残光が非常に小さく、従って、ポイントスキャンのような走査速度の速い読み取り方法であってもS/N比が低下することがなく、高画質の放射線画像を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線像変換パネルの蛍光体層の紫外励起発光スペクトルを示すグラフである。
【図2】放射線像変換パネルの発光強度比I(440/490)と輝尽残光量xとの関係を表すグラフである。
Claims (10)
- 気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、該蛍光体層がユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(但し、アルカリ金属原子は、Rb及び/又はCsであり、ハロゲンは、Cl、Br及び/又はIである)からなり、そして該蛍光体層に放射線を照射し、次いで励起光で励起した時から0.24ミリ秒経過後における輝尽残光強度が、輝尽発光強度の1/102.1以下であることを特徴とする放射線像変換パネル。
- 励起後0.24ミリ秒経過後における輝尽残光強度が、輝尽発光強度の1/102.5以下である請求項1に記載の放射線像変換パネル。
- 蛍光体層の紫外励起発光スペクトルにおいて、440nm付近の発光ピーク強度と490nm付近の発光ピーク強度の比率I(440/490)が
I(440/490) ≧ 10
の範囲にある請求項1または2に記載の放射線像変換パネル。 - 440nm付近の発光ピーク強度と490nm付近の発光ピーク強度の比率I(440/490)が
I(440/490) ≧ 14
の範囲にある請求項3に記載の放射線像変換パネル。 - ユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体が、基本組成式(I):
MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zEu ‥‥(I)
[ただし、MIは、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”はそれぞれ、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;そしてa、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、1×10−5≦z≦1.0の範囲内の数値を表す]
を有する請求項1乃至4のいずれかの項に記載の放射線像変換パネル。 - 基本組成式(I)においてMIがCsであり、XがBrである請求項5に記載の放射線像変換パネル。
- ユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(但し、アルカリ金属原子は、Rb及び/又はCsであり、ハロゲンは、Cl、Br及び/又はIである)もしくはその原料を含む一以上の蒸発源を加熱して発生する物質を基板上に蒸着させることにより蛍光体層を形成する工程を含む放射線像変換パネルの製造方法において、該蛍光体のユーロピウム成分をアルカリ金属ハロゲン化物成分1モルに対して1.0×10−4モル以上、1.0モル以下で含む蒸発源を用い、酸素分圧が5.0×10−4Pa以上、5.0×10−2Pa以下の蒸着雰囲気中で蒸着を行い、そして該蒸着後に、得られた蒸着膜を100℃乃至300℃の温度で0.5乃至2時間熱処理することを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
- 蛍光体のユーロピウム成分をアルカリ金属ハロゲン化物成分1モルに対して5.0×10−3モル以上、5.0×10−1モル以下で含む蒸発源を用いて、酸素分圧が5.0×10−4Pa以上、5.0×10−2Pa以下の蒸着雰囲気中で蒸着を行い、そして該蒸着後に、得られた蒸着膜を150℃乃至250℃の温度で0.5乃至2時間熱処理する請求項7に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
- ユーロピウム付活アルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体が、基本組成式(I):
MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zEu ‥‥(I)
[ただし、MIは、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”はそれぞれ、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;そしてa、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、1×10−5≦z≦1.0の範囲内の数値を表す]
を有する請求項7または8に記載の放射線像変換パネルの製造方法。 - 基本組成式(I)においてMIがCsであり、XがBrである請求項9に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
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