JP2006100592A - 有機半導体材料、それを用いた半導体装置及び電界効果トランジスタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)等で示される化合物のいずれか1つである有機半導体材料である。R1〜R4のうち少なくとも1つはアルキル基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基のうちのいずれかである。また、少なくとも有機半導体層を有する半導体装置または電界効果トランジスタであって、有機半導体層は、一般式(1)等で示される化合物を含む。例えば、2置換から4置換の構造を有することにより、薄膜化した際に得られる結晶が2次元カラム形状の電流経路を形成することができ、高いキャリア移動度を実現することができる。
【化1】
【選択図】なし
Description
(式中、R1〜R26は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基のうちのいずれかを示し、R1〜R4のうち少なくとも1つ、R5〜R8のうち少なくとも1つ、R9〜R12のうち少なくとも1つ、R13〜R18のうち少なくとも1つ、R19〜R26のうち少なくとも1つ、はアルキル基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基のうちのいずれかである。)
本実施形態に係る有機半導体材料は、下記一般式(1)〜(5)で示される化合物のいずれか1つである。
(式中、R1〜R26は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基のうちのいずれかを示し、R1〜R4のうち少なくとも1つ、R5〜R8のうち少なくとも1つ、R9〜R12のうち少なくとも1つ、R13〜R18のうち少なくとも1つ、R19〜R26のうち少なくとも1つ、はアルキル基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基のうちのいずれかである。)
本実施形態に係る有機半導体材料を使用して、真空蒸着法等の周知の成膜方法により基板上に有機半導体薄膜が形成される。真空蒸着法等を使用する場合には、本実施形態に係る有機半導体材料の融点は、100℃〜600℃であることが好ましい。
また、本実施形態に係る有機半導体材料は、熱的安定性が高く、光や酸素等により酸化されにくい安定した構造を有する。したがって、この有機半導体材料を使用した薄膜を有する半導体装置としても安定性の高いものが得られる。
<2,11−ジヘキシルヘキサベンゾコロネン(2,11-Dihexylhexabenzocoronene):ヘキサベンゾコロネン誘導体1の合成>
(1)1,3−ビス(4−ブロモフェニル)−2−プロパノン(1,3-Bis(4-bromophenyl)-2-propanone)の合成
ジシクロヘキシルカルボジイミド23.9g(115.8mmol)、4−ジメチルアミノピリジン3.56g(29.1mmol)を窒素雰囲気下でジクロロメタン230mLに溶解した。この溶液に、4−ブロモフェニル酢酸25g(116.3mmol)をジクロロメタン230mLに溶解した溶液を滴下し、室温で24時間撹拌した。沈殿物をろ過により除き、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(溶媒;酢酸エチル)で精製し、さらにエタノールから再結晶を2回行い、下記式で示される1,3−ビス(4−ブロモフェニル)−2−プロパノンを淡橙色板状結晶として13.002g(収率60.7%)得た。構造はNMRにより確認した。
1H-NMR(CDCl3): 7.44(d,4H), 7.01(d,4H), 3.68(s,4H)
臭化亜鉛(ZnBr2)12.24g(54.35mmol)をTHF27mLに窒素雰囲気下で添加し、溶解させた。この溶液を0℃に冷却し、ヘキシルマグネシウムブロミドのエーテル溶液(2.0M)27.2mL(54.4mmol)を滴下して0℃のまま15分撹拌した。この混合溶液を−78℃に冷却し、PdCl2(dppf)[dppf:1,1’-Bis(diphenylphosphino)ferrocene]0.111g(0.136mmol,1mol%)を添加した。さらに1,3−ビス(4−ブロモフェニル)−2−プロパノン5.00g(13.58mmol)をTHF19mLに溶解した溶液を滴下し、室温に戻してから一晩撹拌した。この混合溶液を1時間還流した後、冷却してから10%塩酸88mLを添加し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、下記式で示される1,3−ビス(4−ヘキシルフェニル)−2−プロパノンをクリーム色結晶として5.0529g(収率:98.3%)得た。構造はNMRにより確認した。
1H-NMR(CDCl3): 7.11(d,4H), 7.04(d,4H), 3.67(s,4H), 2.58(t,4H), 1.59(tt,4H),
1.36-1.25(m,12H), 0.88(t,6H)
13C-NMR(CDCl3): 206.232(C=O), 141.694, 131.174, 129.331, 128.714, 48.646,
35.568, 31.710, 31.397, 28.979, 22.588, 14.074
1,3−ビス(4−ヘキシルフェニル)−2−プロパノン0.500g(1.32mmol)、ベンジル(Benzyl)0.277g(1.32mmol)をエタノール2.5mLに加え、窒素雰囲気下で80℃に加熱して溶解させた。水酸化カリウム0.050g(0.89mmol)をエタノール0.5mLに溶解した溶液をゆっくり滴下した。20分間撹拌した後、この混合液を氷に注ぎいれ、クロロホルム30mLを添加した。濃塩酸を添加して溶液を中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、下記式で示される2,5−ビス(4−ヘキシルフェニル)−3,4−ジフェニルシクロペンタジエノンを深紫色固体として0.3255g(収率44.6%)得た。構造はNMRにより確認した。
1H-NMR(CDCl3): 7.23(t,2H), 7.17(d,4H), 7.15(d,4H), 7.04(d,4H), 6.93(d,4H),
2.55(t,4H), 1.57(dt,4H), 1.33-1.29(m,14H), 0.87(t,6H)
2,5−ビス(4−ヘキシルフェニル)−3,4−ジフェニルシクロペンタジエノン0.325g(0.588mmol)、ジフェニルアセチレン0.115g(0.645mmol)をジフェニルエーテル2.0mLに加え、窒素雰囲気下、220℃で17時間加熱した。さらに7時間還流(259℃)した。反応液を冷却後、メタノール30mLを添加し、生成した沈殿をろ過した。沈殿物をメタノールで洗浄し、真空乾燥することにより、下記式で示される1,4−ビス(4−ヘキシルフェニル)−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼンを淡紫色板状結晶として0.2846g(収率:68.8%)得た。構造はNMRにより確認した。また、TOF−MASS測定により構造を確認した(M+=702)。
1H-NMR(CDCl3): 6.85-6.80(m,20H), 6.69(d,4H), 6.63(d,4H), 2.34(t,4H),
1.39(dt,4H), 1.26-1.15(m,8H), 1.07(dt,4H), 0.85(t,6H)
1,4−ビス(4−ヘキシルフェニル)−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン0.250g(0.356mmol)をジクロロメタン120mLに溶解し、窒素を5分間吹き込んだ。この溶液に窒素雰囲気下で無水塩化鉄(Fe(III)Cl3)1.08g(6.66mmol)をニトロメタン12.5mLに溶解した溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。メタノール120mLを添加し、生成した沈殿をろ過した。沈殿物を10%アンモニア水50mL中で撹拌し、ろ過した。さらに水50mL、ジクロロメタン50mLで洗浄し、真空乾燥することにより、下記式で示される2,11−ジヘキシルヘキサベンゾコロネン(ヘキサベンゾコロネン誘導体1)を濃橙色粉末として0.088g得た(収率:36%)。TOF−MASS測定により分子イオンを確認した(M+=690)。また、TG−DTA装置(リガク製、THERMO PLUS型)により、ヘキサベンゾコロネン誘導体1の分解温度は459℃であり、熱安定性が良好であることがわかった。
<2,5−ジヘキシルヘキサベンゾコロネン(2,5−Dihexylhexabenzocoronene):ヘキサベンゾコロネン誘導体2の合成>
(1)1,2−ビス(4−ヘキシルフェニル)−3,4,5,6−テトラフェニルベンゼン(1,2-Bis(4-hexylphenyl)-3,4,5,6-tetraphenylbenzene)の合成
2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタジエノン0.960g(2.50mmol)、1,2−ビス(4−ヘキシルフェニル)アセチレン0.865g(2.50mmol)をジフェニルエーテル5.0mLに加え、窒素雰囲気下、17時間還流(259℃)した。反応液を冷却後、メタノール50mLを添加し、生成した沈殿をろ過した。沈殿物をメタノールで洗浄し、シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒;ヘキサン:クロロホルム=4:1)で精製し、下記式で示される1,2−ビス(4−ヘキシルフェニル)−3,4,5,6−テトラフェニルベンゼンを淡黄色固体として1.3934g(収率:79.3%)得た。構造はNMRにより確認した。また、TOF−MASS測定により構造を確認した(M+=702)。
1H-NMR(CDCl3): 6.84-6.81(m,20H), 6.68(d,4H), 6.63(d,4H), 2.34(t,4H),
1.39(dt,4H), 1.25-1.16(m,8H), 1.11(dt,4H), 0.85(t,6H)
1,2−ビス(4−ヘキシルフェニル)−3,4,5,6−テトラフェニルベンゼン1.0g(1.42mmol)をジクロロメタン480mLに溶解し、窒素を5分間吹き込んだ。この溶液に窒素雰囲気下で無水塩化鉄(Fe(III)Cl3)4.30g(26.5mmol)をニトロメタン50mLに溶解した溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。メタノール480mLを添加し、生成した沈殿をろ過した。沈殿物を10%アンモニア水50mL中で撹拌し、ろ過した。さらに水50mL、ジクロロメタン50mLで洗浄し、真空乾燥することにより、下記式で示される2,5−ジヘキシルヘキサベンゾコロネン(ヘキサベンゾコロネン誘導体2)を茶色粉末として0.838g得た(収率:85.4%)。TOF−MASS測定により分子イオンを確認した(M+=690)。また、TG−DTA装置により、ヘキサベンゾコロネン誘導体2の分解温度は456℃であり、熱安定性が良好であることがわかった。
<2,5,11,14−テトラヘキシルヘキサベンゾコロネン(2,5,11,14-Tetrahexylhexabenzocoronene):ヘキサベンゾコロネン誘導体3の合成>
(1)4,4’−ジヘキシルベンジル(4,4’-Dihexylbenzyl)の合成
1,2−ビス(4−ヘキシルフェニル)アセチレン5.0g(14.43mmol)、ヨウ素1.744g(6.87mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)75mLに加え、窒素雰囲気下、155〜160℃で2時間反応させた。冷却後、減圧下で濃縮した。残渣に3%亜硫酸水素ナトリウム水溶液300mLを添加し、1時間撹拌した。エーテルで抽出し、エーテル層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、下記式で示される4,4’−ジヘキシルベンジルを淡褐色液体として4.4041g(収率:80.6%)得た。構造はNMRにより確認した。
1H-NMR(CDCl3): 7.88(d,4H), 7.30(d,4H), 2.67(t,4H), 1.62(dd,4H),
1.37-1.23(m,12H), 0.88(dd,6H)
13C-NMR(CDCl3): 194.552, 150.997, 130.861, 130.071, 129.068, 36.234, 31.627,
30.978, 28.905, 22.555, 14.066
1,3−ジフェニル−2−プロパノン2.0g(5.28mmol)、4,4’−ジヘキシルベンジル1.11g(5.28mmol)をエタノール10mLに加え、窒素雰囲気下で80℃に加熱して溶解させた。水酸化カリウム0.200g(3.56mmol)をエタノール2.0mLに溶解した溶液をゆっくり滴下した。15分間撹拌した後、この混合液を氷に注ぎいれ、クロロホルム30mLを添加した。濃塩酸を添加して溶液を中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、下記式で示される3,4−ビス(4−ヘキシルフェニル)−2,5−ジフェニルシクロペンタジエノンを深紫色固体として1.65g(収率:56.5%)得た。構造はNMRにより確認した。
1H-NMR(CDCl3): 7.26-7.20(m,10H), 6.96(d,4H), 6.80(d,4H), 2.55(t,4H),
1.57(t,4H), 1.29(br-s,12H), 0.88(t,6H)
3,4−ビス(4−ヘキシルフェニル)−2,5−ジフェニルシクロペンタジエノン1.0g(1.92mmol)、1,2−ビス(4−ヘキシルフェニル)アセチレン0.663g(1.91mmol)をジフェニルエーテル5.0mLに加え、窒素雰囲気下、10時間還流(259℃)した。反応液を冷却後、メタノール50mLを添加し、生成した沈殿をろ過した。沈殿物をメタノールで洗浄し、シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒;ヘキサン:クロロホルム=10:1〜4:1)で精製し、下記式で示される1,2,4,5−テトラ(4−ヘキシルフェニル)−3,6−ジフェニルベンゼンを黄色ペーストとして0.6308g(収率:37.7%)得た。構造はNMRにより確認した。また、TOF−MASS測定により構造を確認した(M+=871)。
1H-NMR(CDCl3): 6.81(br-s,10H), 6.67(d,8H), 6.62(d,8H), 2.34(t,7H),
1.39(dt,8H), 1.2-1.15(m,16H), 1.10(m,8H), 0.84(t,12H)
トリフルオロメタンスルホン酸銅11.59g(32.0mmol)、塩化アルミニウム4.51g(33.82mmol)を二硫化炭素(CS2)230mLに添加し、窒素雰囲気下で撹拌して溶解させた。この溶液に1,2,4,5−テトラ(4−ヘキシルフェニル)−3,6−ジフェニルベンゼン0.600g(0.689mmol)を添加し、室温で60時間撹拌した。10%塩酸200mLを添加して撹拌した後、CS2層を分離し、減圧下で濃縮した。残渣にジクロロメタン100mLを添加し、撹拌した後、沈殿をろ過した。沈殿物を10%アンモニア水100mL中で撹拌し、ろ過した。さらに水100mL、メタノール100mLで洗浄し、真空乾燥することにより、下記式で示される2,5,11,14−テトラヘキシルヘキサベンゾコロネン(ヘキサベンゾコロネン誘導体3)を茶色粉末として0.559g得た(収率:94.4%)。TOF−MASS測定により分子イオンを確認した(M+=859)。また、TG−DTA装置により、ヘキサベンゾコロネン誘導体3の分解温度は455℃であり、熱安定性が良好であることがわかった。
2,5,11,14−テトラヘキシルヘキサベンゾコロネン(ヘキサベンゾコロネン誘導体3)の合成については塩化鉄を用いる合成法も試みた。以下にその方法を示す。
1,2,4,5−テトラ(4−ヘキシルフェニル)−3,6−ジフェニルベンゼン0.900g(1.033mmol)をジクロロメタン350mLに溶解し、窒素を5分間吹き込んだ。この溶液に窒素雰囲気下で無水塩化鉄(Fe(III)Cl3)3.13g(19.3mmol)をニトロメタン36mLに溶解した溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。メタノール500mLを添加し、生成した沈殿をろ過した。沈殿物を10%アンモニア水50mL中で撹拌し、ろ過した。さらに水50mL、ジクロロメタン50mLで洗浄し、真空乾燥することにより、2,5,11,14−テトラヘキシルヘキサベンゾコロネン(ヘキサベンゾコロネン誘導体3)を黄色粉末として0.7699g得た(収率:86.7%)。TOF−MASS測定により分子イオンを確認した(M+=859)。
<ヘキサベンゾコロネン(Hexabenzocoronene):ヘキサベンゾコロネン誘導体4の合成>
トリフルオロメタンスルホン酸銅6.30g(17.4mmol)、塩化アルミニウム2.45g(18.4mmol)を二硫化炭素(CS2)125mLに添加し、窒素雰囲気下で撹拌して溶解させた。この溶液に1,2,3,4,5,6−ヘキサフェニルベンゼン(1,2,3,4,5,6-Hexaphenylbenzene)0.200g(0.374mmol)を添加し、室温で24時間撹拌した。10%塩酸100mLを添加し、生成した沈殿をろ過した。沈殿物を10%アンモニア水50mL中で撹拌し、ろ過した。さらに、水50mL、二硫化炭素50mL,ジクロロメタン50mLで洗浄し、真空乾燥することにより、橙色粉末として下記式で示されるヘキサベンゾコロネンが0.115g得られた。昇華精製することにより、下記式で示されるヘキサベンゾコロネン(ヘキサベンゾコロネン誘導体4)を黄色粉末として0.053g得た(収率27%)。TOF−MASS測定により分子イオンを確認した(M+=522)。また、TG−DTA装置により、ヘキサベンゾコロネン誘導体4の分解温度は480℃であり、熱安定性が良好であることがわかった。
ヘキサベンゾコロネン(ヘキサベンゾコロネン誘導体4)の合成については塩化鉄を用いる合成法も試みた。以下にその方法を示す。
1,2,3,4,5,6−ヘキサフェニルベンゼン1.10g(2.06mmol)をジクロロメタン500mLに溶解し、窒素を5分間吹き込んだ。この溶液に窒素雰囲気下で無水塩化鉄(Fe(III)Cl3)6.30g(38.84mmol)をニトロメタン72mLに溶解した溶液を滴下し、室温で30分撹拌した。メタノール500mLを添加し、生成した沈殿をろ過した。沈殿物を10%アンモニア水50mL中で撹拌し、ろ過した。さらに水50mL、ジクロロメタン50mLで洗浄し、真空乾燥することにより、ヘキサベンゾコロネン(ヘキサベンゾコロネン誘導体4)を橙色粉末として0.470g得た(収率43.7%)。TOF−MASS測定により分子イオンを確認した(M+=522)。
<2,5,8,11,14,17−ヘキサヘキシルヘキサベンゾコロネン(2,5,8,11,14,17-Hexahexylhexabenzocoronene):ヘキサベンゾコロネン誘導体5の合成>
(1)1,2,3,4,5,6−ヘキサ(4−ヘキシルフェニル)ベンゼン(1,2,3,4,5,6-Hexa(4-hexylphenyl)benzene)の合成
1,2−ビス(4−ヘキシルフェニル)アセチレン2.0g(5.77mmol)、ジコバルト オクタカルボニル(Dicobalt octacarbonyl)0.220g(0.643mmol)をジオキサン200mLに加え、窒素雰囲気下、10時間還流(101℃)した。反応液を冷却後、減圧下で溶媒を留去した。残渣に10%硝酸30mL、30%過酸化水素10mL、酢酸エチル50mLを添加し、室温で一晩撹拌した(コバルト試薬の分解)。酢酸エチル層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(溶媒;ヘキサン:クロロホルム=20:1〜5:1)で精製し、下記式で示される1,2,3,4,5,6−ヘキサ(4−ヘキシルフェニル)ベンゼンを淡黄色液体として1.572g(収率:78.6%)得た。構造はNMRにより確認した。また、TOF−MASS測定により構造を確認した(M+=1039)。
1H-NMR(CDCl3): 6.66(d,12H), 6.61(d,12H), 2.34(t,12H), 1.39(dd,12H),
1.27-1.17(m,24H), 1.14-1.08(m,12H), 0.86(t,18H)
13C-NMR(CDCl3): 140.271, 139.013, 138.264, 131.379, 126.444, 35.337, 31.726,
31.167, 28.510, 22.637, 14.132
1,2,3,4,5,6−ヘキサ(4−ヘキシルフェニル)ベンゼン0.240g(0.231mmol)をジクロロメタン80mLに溶解し、窒素を5分間吹き込んだ。この溶液に窒素雰囲気下で無水塩化鉄(Fe(III)Cl3)0.70g(4.32mmol)をニトロメタン8mLに溶解した溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。メタノール80mLを添加し、生成した沈殿をろ過した。沈殿物を10%アンモニア水50mL中で撹拌し、ろ過した。さらに水50mL、ジクロロメタン50mLで洗浄し、真空乾燥することにより下記式で示される2,5,8,11,14,17−ヘキサヘキシルヘキサベンゾコロネン(ヘキサベンゾコロネン誘導体5)を黄色粉末として0.2022g得た(収率:85.2%)。TOF−MASS測定により分子イオンを確認した(M+=1027)。また、TG−DTA装置により、ヘキサベンゾコロネン誘導体5の分解温度は450℃であり、熱安定性が良好であることがわかった。
<化27の合成>
(1)2’,3’,5’,6’,2’’’,3’’’,5’’’,6’’’−オクタフェニルキンケフェニル(2’,3’,5’,6’,2’’’,3’’’,5’’’,6’’’-Octaphenylquinquephenyl)の合成
1,4−ビス(フェニルエチニル)ベンゼン1.0g(3.6mmol)、2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタジエノン2.9g(7.5mmol)をジフェニルエーテル5mLに加え、窒素雰囲気下、220℃で2日間反応させた。メタノール100mLを添加し、生成した沈殿物をろ過した。沈殿物をニトロベンゼンから再結晶することにより、下記式で示される2’,3’,5’,6’,2’’’,3’’’,5’’’,6’’’−オクタフェニルキンケフェニルを乳白色結晶として3.2739g(収率:91.9%)得た。構造はNMRにより確認した。また、TOF−MASS測定により構造を確認した(M+=990)。
1H-NMR(CDCl3): 6.90-6.89(m,12H), 6.83-6.80(m,18H), 6.74-6.72(m,12H),
6.68-6.66(m,8H), 6.26(s,4H)
トリフルオロメタンスルホン酸銅12.6g(34.8mmol)、塩化アルミニウム4.90g(36.7mmol)を二硫化炭素(CS2)250mLに添加し、窒素雰囲気下で撹拌して溶解させた。この溶液に2’,3’,5’,6’,2’’’,3’’’,5’’’,6’’’−オクタフェニルキンケフェニル0.370g(0.373mmol)を添加し、室温で2日間撹拌した。10%塩酸200mLを添加して撹拌した後、CS2層を分離し、減圧下で濃縮した。残渣を10%アンモニア水100mL中で撹拌し、ろ過した。さらに水100mL、二硫化炭素100mL、ジクロロメタン100mLで洗浄し、真空乾燥することにより、下記式で示される化合物(化27)を茶色粉末として0.3114g得た(収率:86.7%)。TOF−MASS測定により構造を確認した(M+=962)。
製造例1で合成したヘキサベンゾコロネン誘導体1を使用して、図5に示すような積層構造の薄膜トランジスタを作製した。基板にはSbを高濃度でドーピングし、抵抗率が0.02Ωcm以下のSiウェハを用いた。熱酸化SiO2膜(膜厚300nm)を絶縁体膜として使用した。絶縁体容量は10nF/cm2であった。ヘキサベンゾコロネン誘導体1を使用して、真空蒸着法により室温(20℃)において30nmの厚さで有機半導体膜を成膜した。最上部に、メカニカルマスクを通して、ソースならびにドレイン電極となるAu(膜厚:30nm)を蒸着した。チャンネル長は5mm、チャンネル幅は0.2mmとした。最後に、Si基板の裏面にゲート電極となるAl(膜厚:100nm)を蒸着し、サンプルとした。
Id=(W/2L)μCi(Vg−Vt)2 (A)
ここで、LおよびWはゲート長およびゲート幅である。また、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量である。Vgはゲート電圧であり、Vtはしきい値電圧である。
ヘキサベンゾコロネン誘導体1の代わりに、製造例2で合成したヘキサベンゾコロネン誘導体2を使用した以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作成し、キャリア移動度(μ)及びオン/オフ比を求めた。結果を表1に示す。
ヘキサベンゾコロネン誘導体1の代わりに、製造例3で合成したヘキサベンゾコロネン誘導体3を使用した以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作成し、キャリア移動度(μ)及びオン/オフ比を求めた。結果を表1に示す。
ヘキサベンゾコロネン誘導体1の代わりに、製造例5で合成したヘキサベンゾコロネン誘導体4を使用した以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作成し、キャリア移動度(μ)及びオン/オフ比を求めた。結果を表1に示す。
ヘキサベンゾコロネン誘導体1の代わりに、製造例7で合成したヘキサベンゾコロネン誘導体5を使用した以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作成し、キャリア移動度(μ)及びオン/オフ比を求めた。結果を表1に示す。
Si基板上に、ヘキサベンゾコロネン誘導体1〜5をそれぞれ使用して、真空蒸着法により有機半導体膜を成膜し、サンプルを作製した。各サンプルについて、X線回折装置(リガク製、RINT−2200型)を使用して、X線回折パターンを測定した。結果を図6に示す。図6からわかるように、ヘキサベンゾコロネン誘導体1は高い結晶性を示していることがわかる。
Claims (10)
- 下記一般式(1)〜(5)で示される化合物のいずれか1つであることを特徴とする有機半導体材料。
(式中、R1〜R26は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基のうちのいずれかを示し、R1〜R4のうち少なくとも1つ、R5〜R8のうち少なくとも1つ、R9〜R12のうち少なくとも1つ、R13〜R18のうち少なくとも1つ、R19〜R26のうち少なくとも1つ、はアルキル基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基のうちのいずれかである。) - 請求項1に記載の有機半導体材料であって、
前記R1〜R4のうち少なくとも2つ、R5〜R8のうち少なくとも2つ、R9〜R12のうち少なくとも2つ、R13〜R18のうち少なくとも2つ、R19〜R26のうち少なくとも2つ、はアルキル基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基のうちのいずれかであることを特徴とする有機半導体材料。 - 請求項1に記載の有機半導体材料であって、
前記R1〜R4のすべて、R5〜R8のすべて、R9〜R12のすべて、R13〜R18のうち少なくとも4つ、R19〜R26のうち少なくとも4つ、はアルキル基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基のうちのいずれかであることを特徴とする有機半導体材料。 - 請求項1に記載の有機半導体材料であって、
前記R1及びR2のうち少なくとも1つ、R3及びR4のうち少なくとも1つ、R5及びR6のうち少なくとも1つ、R7及びR8のうち少なくとも1つ、R9及びR10のうち少なくとも1つ、R11及びR12のうち少なくとも1つ、R13〜R15のうち少なくとも1つ、R16〜R18のうち少なくとも1つ、R19〜R22のうち少なくとも1つ、R23〜R26のうち少なくとも1つ、はアルキル基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基のうちのいずれかであることを特徴とする有機半導体材料。 - 請求項1に記載の有機半導体材料であって、
前記R1及びR2のうちの1つ、R3及びR4のうちの1つ、R5及びR6のうちの1つ、R7及びR8のうちの1つ、R9及びR10のうちの1つ、R11及びR12のうちの1つ、R13〜R15のうちの1つ、R16〜R18のうちの1つ、R19〜R22のうちの1つ、R23〜R26のうちの1つ、はアルキル基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基のうちのいずれかであることを特徴とする有機半導体材料。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機半導体材料であって、
前記R1〜R26は、水素原子またはアルキル基であることを特徴とする有機半導体材料。 - 請求項6に記載の有機半導体材料であって、
前記アルキル基は、炭素数3〜12のアルキル基であることを特徴とする有機半導体材料。 - 請求項7に記載の有機半導体材料であって、
前記アルキル基は、炭素数4〜8のアルキル基であることを特徴とする有機半導体材料。 - 有機半導体層を有する半導体装置であって、
前記有機半導体層は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機半導体材料を含むことを特徴とする半導体装置。 - 有機半導体層を有する電界効果トランジスタであって、
前記有機半導体層は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機半導体材料を含むことを特徴とする電界効果トランジスタ。
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